★春立ちてものの影踏むこと多し 正子
すでに寒中から日差しが力を増してきています。それがいよいよ立春ともなれば、はっきりと「光の春」に入り、すべてのものの影がくっきりとしてきます。そのさまを的確に詠まれています。(多田有花)
○今日の俳句
立春大吉梅の小枝はまっすぐに/多田有花
「立春大吉」は目出たい上に、朗らか。梅のずわいが真っ直ぐ伸びて、躊躇なし。目出たく、朗らかで、躊躇なし。こう行きたい。(高橋正子)
○立春
★立春の米こぼれをり葛西橋/石田波郷
★立春の海よりの風海見えず/桂 信子
陰暦では、1年360日を二十四気七十二候に分けたが、立春はその二十四気の一つで、陽暦では2月4日か5日、節分の翌日に当たる。節分は冬の季語となっている。節分を堺に翌日は春となる。あくまでも暦の上だが、この切り替えがまた、人の心の切り替えにも役立って、立春と聞くと見るもの聞くものが艶めいて感じられる。冬木もいよいよ芽を動かすのだろうと思う。寒禽と呼ばれていた鳥も鳴き声がかわいらしく聞こえる。そういえば、林の木々の枝を渡る小鳥がよく目に入るようになった。今年の寒さはめったに雪の降らない地方にも雪を降らせていて、来週はまたぐっと冷え込むらしい。
★立春の夜道どこからか水の匂い/高橋信之
コメント
お礼とコメント
正子先生、「立春大吉梅の小枝はまっすぐに」を今日の俳句に
お取り上げいただきありがとうございます。
花がつく枝がすべて天をさしてまっすぐに伸びているというのが
梅の木の特徴のひとつです。寒さが最も厳しいときに咲き始める
花らしい気持ちよさを感じます。
★春立ちてものの影踏むこと多し 正子
すでに寒中から日差しが力を増してきています。それがいよいよ
立春ともなれば、はっきりと「光の春」に入り、すべてのものの
影がくっきりとしてきます。そのさまを的確に詠まれています。