2月24日(金)

★青空の果てしなきこと二月なる   正子
未だ寒い二月ですが、それだけに空はあくまで青く、果てしなく澄みわったています。浅春の冷気と透明感が快く伝わって来る御句です。 (河野啓一)

○今日の俳句
水音して箕面連山春浅し/河野啓一
「水音して・・春浅し」の感覚がいい。箕面連山を行くと、ころころと水音が絶えずしている。自然に身を入れると、確かに春が来ている。(高橋正子)

○海苔
★濡れ岩の乏しき海苔を掻く音す/渡辺水巴
★海苔網を押しあげてゐるうねりかな/斉藤梅子

紅藻類や緑藻類の苔状海藻類の総称。一般には食用紅藻類の甘海苔をさす。天然の海苔の採取は、古くから行われていたが、養殖が始まったのは江戸時代から。秋から春にかけて収穫される。現在でも養殖は盛ん。乾燥させたものが干し海苔。
私の記憶では、春先、寒さが緩み始めると、農家の主婦たちは隣近所を誘って岩場へ海苔掻きに出かけていた。当時母は一時家業としていた備後表の生産で忙しかったので海苔掻きに出かけたことは一度もなかったので、収穫した海苔を醤油と砂糖などで甘辛く煮たものがどんなにおいしいか友人達の話を聞くだけであった。しかし、私の想像癖は、海苔掻きの現場の風景を鮮明に想像することができた。その海の濡れ岩に海苔がへばり付いているのを見ていたし、海水がどの程度ぴたぴたと寄せて揺れるか、またそういう時農家のおばさんたちがどんな話をし、どんな格好をするかなど、知っているからであるが。収穫した海苔は鍋一杯に炊かれてご飯のおかずになったようだ。浅蜊掘りと並んで農家の主婦の楽しみとなっていた。瀬戸内海苔として養殖される海苔粗朶も違う海にあった。海苔粗朶が夕陽にひたと輝く光景は穏やかで美しい。

★海苔洗う清冽な水に母の指/川名ますみ
★農婦らの海苔掻く声の岩にあり/高橋正子

◇生活する花たち「梅」(横浜大倉山梅林)


コメント

  1. 河野啓一
    2012年2月21日 16:56

    御礼
    正子先生
    水音して箕面連山春浅し/の句を今日の俳句におとり上げくださり、有難い句評もいただきまして厚くお礼申しあげます。家から程遠くない箕面へは四季を問わずよく出かけておりました。今もときには連れて行ってもらっています。

  2. 河野啓一
    2012年2月21日 17:33

    コメント
    ★青空の果てしなきこと二月なる   正子
    未だ寒い二月ですが、それだけに空はあくまで青く、果てしなく澄みわったています。浅春の冷気と透明感が快く伝わって来る御句です。