2月20日(月)

★二月はや雛の鼓笛を持たさるる   正子
実にうまいと思います。技巧のすぐれた句は、余韻の無いさ末主義におちいりやすく、ただ興がっただけの、空疎な嫌味の句になりかねないものですが、この句は、そうならない前、ぎりぎりの句のように思えます。(川本臥風)

○第6回きがるに句会
昨日正午、第6回句会入賞発表を済ます。

◆ご挨拶◆
第6回きがるに句会にご参加いただき、ありがとうございます。入賞の皆さまおめでとうございます。特別招待選者の皆さまには、選とコメントをありがとうございました。インフルエンザが猛威をふるっていると今朝の新聞報道にありました。お気をつけください。梅が開くのを待っておりますが、まだちらほらですので、今年はよほど寒いのでしょう。これで、第6回きがるに句会を終わります。次回を楽しみに、ご健吟ください。(主宰/高橋正子)

◆最優秀/2句◆
★春植えの畝の支度や鍬光る/古田敬二
春に植えるものには、じゃがいもなどがあるが、その畝の支度に余念がない。振り上げる鍬も早春の光に光るという耕しの楽しさがある。(高橋正子)
★蝋梅の向こう甍とひかる海/小西 宏
蝋梅越しに、甍と光る海が見える景色。海辺の景色だが、甍があることによって句が絵画的になった。(高橋正子)

▼その他の入賞句:
http://blog.goo.ne.jp/kakan02c/

○いぬふぐり
★いぬふぐりここより野路の視野展け/稲畑汀子
★こんこんと日は恙なし犬ふぐり/森澄雄

野原や路傍などに多いきわめて小さな二年草。早春の陽光あふれる日には小さな花々が太陽に向かっていっせいに歓声をあげているように咲きにぎわう。しかし実際は真冬のうちから他の花に先駆けて少しは咲きだしている。その名は犬のふぐりに似ているところから来ている。「おおいぬのふぐり」。

★青空の青を返して犬ふぐり/渋谷洋介
犬ふぐりは、地に咲く星に例えられたり、その他、いろいろな表現で称えられてきた。この句のよさは、「青を返して」にある。青空の青を映し、その青をまた空へそっくり返す。この力が花の生命力、あるいは生命感というものであろう。(高橋正子)

★少女らの明るく飛んで犬ふぐり/高橋正子
★空のしずくこぼれてここに犬ふぐり/高橋正子

○今日の俳句
池をめぐる樹々それぞれの木の芽張る/矢野文彦
早春の池の水の色と芽木の枝の張りに早春の淡さ、また、緊張感や芽ぐむものの希望が感じられる。(高橋正子)

◇生活する花たち「河津桜」(伊豆河津2011)


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