2月18日(土)

 横浜港
★港湾の動きに満ちて春浅し   正子
♪春は名のみの風の寒さや♪の季節です。ときには雪の交じる季節ですが確実に春は近付いてきています。港では船の動き、岸壁では人が忙しげに動いています。海のきらめきにも春を感じ、春への期待に胸膨らむ作者です。(古田敬二)

○今日の俳句
耕しに土の中なる根のさみどり/古田敬二
「耕し」は、春の季語。春になると、種まきの準備など、田畑を耕す。耕していると、土の中に白い根ではなく、さみどりの根があることに驚く。土の中にもすでに春の息吹がある。(高橋正子)

○黄水仙
★突風や算を乱して黄水仙/中村汀女
★横濱の方にある日や黄水仙/三橋敏雄
★石崖に黄水仙咲く午後も通る/加倉井秋を

南ヨーロッパ原産の多年草で、江戸末期に渡来した。観賞用として庭園等に植えられる。葉は剣状。春、濃黄色の花を横向きに開く。白い花の水仙は、冬の花であるが、黄水仙は春の花である。小学生のころは、この黄水仙が咲くのをいつも待っていた。白い水仙のあと、いぬふぐりの咲き始め、それから黄水仙となる。らっぱ水仙とも呼んでいたが、黄水仙が咲くと春が来て、遊ぶ時も、上着を脱いで遊べるようになった。そのころは農家では、ジャガイモを植えつける。食べ物では、あおやぎや蛸の「ぬた和え」が美味しい。桜が咲く前である。イギリスの湖水地方の詩人ワーズワースの「ダッファディル」としても知られる花で、春が来れば湖水地方一面に咲く。「ブルーベル」とともにイギリスの春の花である。下記の句は、キーツとワーズワースの詩を少し意識している、というか、二人の詩が浮かんで作ったもの。

黄水仙北北西の風に揺れ/高橋正子

◇生活する花たち「梅①・梅②・蝋梅」(横浜日吉本町)


コメント

  1. 古田敬二
    2012年2月21日 15:55

    コメント
    港湾の動きに満ちて春浅し   正子

    春とは名のみ、時折雪が混じる天候になるときもある。が、確実に春は近づいてきている。
    港の船や岸辺での動きも盛んになってきている。きらめく海面、船の動き、働く人々の姿、全てが春の到来を告げている。それを思う作者の浮き立つ気持ちも伝わってくる句である。