東海道53次川崎宿
★下萌えの六郷川の水青し 正子
春の訪れに、種々の草が緑の芽を出し陽に輝いています。そばを流れる川の水も青く輝き、草の緑と川の青が呼応し明るい世界が広がっています。(井上治代)
○今日の俳句
早も咲ける菜の花の丈低かりし/井上 治代
春も暦ばかりと思えるのに、早も菜の花が咲いて黄色い光を返している。先駆けの菜の花らしく「丈低かりし」であって、実在感がある花となっている。(高橋正子)
○浅蜊
★浅蜊に水いっぱい張って熟睡す/菖蒲あや
淡水の多少混じった砂泥の浅海に埋没して棲息する二枚貝。潮干狩の最たる獲物である。川が流れ込む砂浜で、浅蜊はよく取れる。今は春に限らず、養殖の浅蜊が手に入り、砂出しの必要もないものが多くなった。我が家でもよく食べる貝で、一番好きなのは浅蜊のお汁。食べた後の殻はきれいに洗って乾かし、小布でくるんで遊んだことがある。中学生のときに、多摩美大から教生の先生が来られて、貝殻をデザインする授業だったが、熱心に描いた。教頭先生のご子息で、詰襟姿で教壇に立たれたが、本当の美術って、こんなのかなと中学生に思わせてくれた。
小学2,3年の頃だったと思う。近所の人たちが数キロ先に浮かぶ無人島に浅蜊掘りに行くのに誘われた。この島は源平合戦のとき、義経が矢を放って浮き流れているのを射とめてその位置にとどまったという島で「矢の島」と呼ばれて、お椀を伏せたようなごく小さい島である。無人島なので、もちろん桟橋や舟着き場などない。小舟を砂浜に寄せて海水を歩いて島に上がる。子供の私には浅蜊はほとんど採れなかったと思うが、それはまだよい。帰るときその島に独りおいてきぼりにされかかったのだ。誰かが気付いて舟に乗せてくれた。海の水の緑ふかい青さと島の緑が異様に恐ろしく思えた。
松山にいたころは、海辺に出かけて何気なく砂を掘ると小さな浅蜊を見つけることがあった。少し拾って、夜は申し訳程度の浅蜊汁にしたが、けっこう楽しいことである。
○ヘレボルス(クリスマスローズ)
[ヘレボルス/横浜日吉本町]
★クリスマスローズ咲かせる窪の家/松崎鉄之介
★クリスマスローズ仰向くことのなく/椋本一子
★クリスマスローズかかへて友を訪ふ/坂本知子
ヘレボルスとは、キンポウゲ科(Ranunculaceae)ヘレボルス(属)(helleborus)の植物。『ヘレボルス』というと、なんだか聞きなれない名前だが『クリスマスローズ』と言えばご存知の方も多いのではないか。実は、クリスマスローズとは通称で、本名はヘレボルスと言う。ヘレボルスの中の一種である『ニゲル』という原種がイギリスのクリスマス時期に咲くことからクリスマスローズと名付けられた。しかしほとんどのヘレボルスはクリスマスの時期には咲かず2月ごろからの開花となる。
『クリスマスローズ』はローズと言ってもバラではなく、キンポウゲ科の多年草で、ギリシャ語の、殺す「helein」と食べ物「bore」が合わさって出来た名前だそうである。この植物には毒性があって狩などにつかわれていたという話もある。最近では、スーパーの花屋でも買い求めることができるほど人気がでてきたクリスマスローズ。花(本当はガク)の色がカラフルで、株分けやクローンでないかぎり2つとして同じものはないというのも魅力のひとつで、うつむき加減がしおらしい、日本人好みの花。
コメント
お礼
正子先生
今日の俳句に「菜の花」の句をお取り上げ頂きましてありがとうございます。今年は寒い冬でしたが、菜の花が咲いたのを見ると安らいだ気持になります。
下萌えの六郷川の水青し
春の訪れに、種々の草が緑の芽を出し陽に輝いています。そばを流れる川の水も青く輝き、草の緑と川の青が呼応し明るい世界が広がっています。