★枯木立星のあおさに揺れもせず 正子
冬夜の澄み透るような星のあおさが、枯木立の輪郭をより際立たせてくれます。煌く星の輝きに、惑うことなく凛と佇む姿に、枯木立のいのちの美しさを見る思いがいたします。 (藤田洋子)
○今日の俳句
葦原の枯れ尽くしても水の上/藤田洋子
「枯れ尽くしても水の上」は、意表をついて、新しい発見。蓮や菖蒲などは、枯れると茎や葉が折れて水に浸かってしまう。葦原の葦は、枯れながらもまっすぐに立ち、水には影を落とすのみ。なるほど、枯れ尽くしても水の上ある。(高橋正子)
○河豚
★河豚の皿燈下に何も残らざる/橋本多佳子
河豚は、河豚の刺身、河豚刺で食べるのが一番河豚を食べたらしい。大皿に透き通った河豚の身が花のように並べられる。牡丹の花というのだろう。それを一枚一枚はがしてもみじおろしを添えたポン酢で食べる。さば河豚と呼ばれるものは松山では、スーパーでも売られている。東京に住まうようになった息子が、店に河豚の刺身を売っていないと電話をよこしたことがある。下関に近い松山に住んでいたならばこそ普段さば河豚なら食卓に載せることができた。
河豚の思い出といえば、子供のころ魚釣りの好きな伯父がいて、ときどき海へ釣りにゆくので付いて行った。釣れる魚は、熱帯魚のようなキザミ、キス、それに釣る目的もないらしい河豚。釣りあげられたは河豚ぷうっと膨れている。河豚が膨れるのは危険を感じたときのようだ。釣って帰っても河豚は捨てられる羽目になるのだが、捨てられるまでは、口に麦わらを差し込んで風船のように膨らませて遊んだ。戦後おもちゃなどない時代。膨らんだ河豚は愛嬌がある。
夏海にどこかに河豚がいて釣られ/高橋正子
大皿の藍の透けたる河豚刺身/高橋正子
コメント
お礼
正子先生、今日の俳句に「葦原」の句を取り上げていただきありがとうございました。
★枯木立星のあおさに揺れもせず 正子
冬夜の澄み透るような星のあおさが、枯木立の輪郭をより際立たせてくれます。煌く星の輝きに、惑うことなく凛と佇む姿に、枯木立のいのちの美しさを見る思いがいたします。