12月3日(月)

★純白の苺の花も十二月  正子

○今日の俳句
落葉踏む紅も黄色もさみどりも/桑本栄太郎
落葉と言えど枯れ色の葉ばかりではない。紅も、黄色も、またさみどりもあって、色鮮やかである。今落ちたばかりの葉も混じって、冬に入れば冬の明るさがある。(高橋正子)

○柊(ひいらぎ)

[柊/横浜日吉本町] 
★屋根ふいて柊の花に住みにけり 鬼城
★柊の花と思へど夕まぐれ 風生
★柊の花にかぶせて茶巾干す みどり女
★柊の花一本の香かな 素十
★柊の花多ければ喜びぬ 草田男
★心ひまあれば柊花こぼす 虚子
★柊の花や掃かれし土の匂ひ 林火
★柊の花のともしき深みどり たかし
★柊の指さされたる香かな 波郷
★柊の香やあをあをと夜の冨士 悌二郎

★柊の花に触れずに眺めいし/高橋信之
★ひいらぎの花の清らと香の清ら/高橋正子

 ヒイラギ(柊・疼木・柊木、学名:Osmanthus heterophyllus)は、モクセイ科モクセイ属の常緑小高木。和名の由来は、葉の縁の刺に触るとヒリヒリ痛む(古語:疼(ひひら)く・疼(ひいら)ぐ)ことから。季語としては、「柊の花」 は冬。東アジア原産で、日本では本州(関東地方以西)、四国、九州、琉球の山地に分布しているほか、外国では台湾でも見られる。樹高は4-8m。葉は対生し楕円形から卵状長楕円形、革質で光沢あり、縁には先が鋭い刺となった鋭鋸歯がある。また、老樹になると葉の刺は次第に少なくなり、葉は丸くなってしまう。花期は11-12月。葉腋に白色の小花を密生させる。雌雄異株で雄株の花は2本の雄蕊が発達し、雌株の花は花柱が長く発達して結実する。花は同じモクセイ属のキンモクセイに似た芳香がある。花冠は4深裂して、径5mmになる。果実は長さ12-15mmになる核果で、翌年6-7月に暗紫色に熟す。果実は鳥に食べられて種子が散布される。
 低木で常緑広葉樹であるため、盆栽などとしても作られている。幹は堅く、なおかつしなやかであることから、衝撃などに対し強靱な耐久性を持っている。この為、玄翁(げんのう)と呼ばれる重さ3kgにも達する大金槌の柄にも使用されている。特に熟練した石工はヒイラギの幹を多く保有し、自宅の庭先に植えている者もいる。他にも、細工物、器具、印材などに利用される。葉に棘があるため、防犯目的で生け垣に利用することも多い。古くから邪鬼の侵入を防ぐと信じられ、庭木に使われてきた。家の庭には表鬼門(北東)にヒイラギ、裏鬼門(南西)に南天の木を植えると良いとされている(鬼門除け)。また、節分の夜、ヒイラギの枝と大豆の枝に鰯(いわし)の頭を門戸に飾ると悪鬼を払うという(柊鰯)。

◇生活する花たち「林檎の帰り花・ゲンノショウコ・桂黄葉」(横横浜・四季の森公園)


コメント

  1. 桑本栄太郎
    2012年12月18日 19:45

    御礼と好きな句鑑賞
    正子先生
    「落葉踏む」の句を12月3日の今日の俳句におとり上げ頂き、素晴らしいコメント頂戴しまして大変有難うございます。仰るように落葉だからといって枯れ色ばかりではなく色々な彩色です。
    そのような落葉を踏む事は、童心に返り思わず愉しくなっていまいます。

    (好きな句鑑賞)
    ★純白の苺の花も十二月  正子
    小生の自宅のベランダにもありますが、ワイルドベリーの一種のようですね?ベランダの小春日和の陽だまりをささやかな頼りとし、白い花を健気に咲かせています。しかしそこはやはり十二月です。時には冴え冴えと見えることもあります。「純白」との措辞が効果的かと存じます。