★山中に鵯鳴きわが身まっ二つ 正子
「まっ二つ」との言葉は鵯のあの鳴声ならではと感じます。甲高く決して聞き惚れるような声ではありませんが、何か魂をゆさぶるようなところがあります。 (多田有花)
○今日の俳句
湯気立てて私の時間愉しめり/藤田裕子
「愉しめり」がいい。「私の時間」がいい。主婦の日常を詠んだ、作者のささやかだが、充実した生活が伝わってくる。この句を読めば、読者も「愉しめり」の境地になる。(高橋信之)
○冬黄葉(はりぎり/てんぐうちわ)
[はりぎり/東京白金台・自然教育園]
★冬もみぢ晩年すでに始るか/安住敦
★水底の紅葉水面の冬もみぢ/岡本眸
★冬もみぢ三面鏡に閉ぢ込める/塩路隆子
★鈍色の空にきはだつ冬黄葉/桐一葉
★てんぐうちわの黄葉がきらりきらり森の空/高橋信之
ハリギリ(針桐、学名:Kalopanax septemlobus)は、ウコギ科の落葉高木で広葉樹。幹は直立し、高さ10-20m、大きいものは30mになる。別名、センノキ(栓の木)、ミヤコダラ、テングウチワ、ヤマギリなどがある。
日本全土(特には北海道)・朝鮮半島・中国の山地に分布する。若木は枝や樹幹にとげがあるが、老木になるに従い鋭さを失い瘤になる。幹の樹皮に深く縦に入った筋(裂け目)がこの樹木を特徴づける。葉柄は長さ10-30cm、葉身は掌状に5-9裂し、カエデのような姿で径10-25cmと大きく、天狗の団扇のような形をしている。そこから「テングウチワ」と呼ばれることもある。秋には黄褐色に黄葉する。7-8月、黄緑色の小花が球状に集まったものが傘状につき、藍色の丸い果実を結ぶ。
肥えた土地に自生するので、開拓時代はこの木が農地開墾の適地の目印であった。その為、北海道には大きな木が多く、明治末には下駄材として本州に出荷された。現在でも国内産の栓の9割は北海道産である。展開したばかりの芽は同じウコギ科のタラノキやコシアブラ、ウドなどと同様に山菜として食用にされる。見た目は「たらの芽」としてよく知られる近縁のタラノキの芽に良く似るが、苦味やえぐみとして感じられるあくがやや強い。しっかり灰汁抜きをすればコシアブラ同様に非常に美味であり、利用価値が高い。
コメント
お礼
正子先生、「今日の俳句」に「湯気立てて」の句をお選びくださいまして有難うございます。
信之先生、温かい句評をいただきまして有難うございます。ほっとできる時間が、とてもうれしくたのしく、大切にしております。