★山茶花の高垣なればよく匂う 正子
住宅街でしょうか、あるいは里の道でしょうか。道路より少し高くなった庭に山茶花の垣が作られ、ちょうど通行人の目の高さに花が咲き香りが届いてきます。高さを歌われていることで、花の姿、香りが更にきらびやかに見えてきます。(小西 宏)
○今日の俳句
機首上げてプロペラ高し冬木立//小西 宏
句意がはっきりして、軽快な句。機首を上げているプロペラ機に対して、冬木立と空が明るい。
○蔦紅葉(つたもみじ)
[蔦紅葉/横浜日吉本町] [夏の蔦/ネットより]
★蔦の葉はむかしめきたる紅葉かな/松尾芭蕉
★岩山や空に這ひつく蔦紅葉/正岡子規
★白滝や黒き岩間の蔦紅葉/夏目漱石
★蔦紅葉高樋あふれて雨の如/瀧春一
★直立ちの木を飾りけり蔦紅葉/阿部ひろし
★真つ先に朝日捉へし蔦紅葉/木暮陶句郎
★白壁の余白残して蔦紅葉/加藤一雄
路地裏のフェンスや壁に絡みつく色鮮やかな蔦(ツタ)に、ハッとした経験はありませんか。思わぬ場所で出合う紅葉は感動もひとしおで、木々の紅葉とはひと味違う美しさがあります。ツタという名は、「伝う」からきています。 でも、多くの蔦は緑色のまま。同じ蔦なのに、どうして紅葉するものとしないものがあるのでしょう?実は、種類が違うのです。蔦におおわれた家も素敵。冬でも葉が落ちず緑色なのがウコギ科の「キヅタ」で、「冬蔦」とも呼ばれています。基本的には常緑で落葉しません。育つ環境によっては赤みを帯びてくることもありますが、モミジのような鮮やかさではなく、なんとなく色づく程度で、夏になれば色が戻ります。ヨーロッパでは、常緑の冬蔦を家の壁にはわせると雷や魔よけになると言われていました。また、冬蔦は裕福な家の象徴で、これが急に枯れ落ちたりすると災難が起こるという迷信もあります。そのため、ヨーロッパには大きな石造りに蔦をはわせた家が多いのです。
秋になると美しく紅葉し、冬には葉が落ちてしまうのはブドウ科の「ツタ」で、「夏蔦」とも呼ばれています。都会で見つけた“まっかな秋”。よく見ると、ブドウに似た実がついています。この夏蔦をよく見てみると、ブドウ科だけあってブドウのような実をつけています。また、落葉時には葉を支えている柄(え)の部分を残して先に葉の部分だけが落ち、そのあと残った柄が落ちるのも特徴です。夏蔦は、その艶やかな紅葉ぶりが好まれて歌に詠まれることも多く、「紅葉蔦(もみじづた)」「蔦紅葉 (つたもみじ)」「錦蔦(にしきづた)」などの別名があります。童謡『まっかな秋』の「まっかだな まっかだな つたの葉っぱがまっかだな♪」 というフレーズも、夏蔦のことをさしています。(『まっかな秋』 作詞:薩摩忠/作曲:小林秀雄)常緑のほうが冬蔦で、紅葉する「紅葉蔦」は夏蔦……少々ややこしいネーミングですが、覚えておくと秋の楽しみが増えそうです。(ブログ「暮らしの歳時記」より)
コメント
お礼
高橋正子先生
「機首上げてプロペラ高し冬木立」を先生の「俳句日記」にご紹介くださり、たいへんありがとうございました。
鑑賞
★山茶花の高垣なればよく匂う 正子住宅街でしょうか、あるいは里の道でしょうか。道路より少し高くなった庭に山茶花の垣が作られ、ちょうど通行人の目の高さに花が咲き香りが届いてきます。高さを歌われていることで、花の姿、香りが更にきらびやかに見えてきます。