10月22日(火)

曇り
かわせみの青き背を向け秋の暮  正子
野菊咲く小川の音の高かりき   正子
コスモスと穂草が絡む山の辺よ  正子
小綬鶏の子連れらしくて秋の沢   正子
鴨来るはやも浮き寝の三羽なり   正子

●午後、四季の森公園へ行った。弁当をもって出かけるつもりで卵焼きも焼いたが、お昼をすぎたので、家で食べてから出かけた。

一番の期待は、鴨が来ているかどうかだった。初め杭かどうかよくわからなかったが、はす池に三羽いる。これが、眠ったように水に浮いて、ほんの少し動いているだけなので、遠目には杭に思える。入口の自販機で買ったセブンティーンアイスを食べながら鴨を見ていた。座っている大きな御影石のベンチが、日に温もってほんのりあたたかい。

今日は四季の森には目立ったものはないだろう。そう思いながら、はす池の木道を奥へと歩いた。途中から小川の流れに沿うと、水が落ちる音が快い。チカラシバさえも水際ですずやかな印象だ。穂草のなかに終わりかけのコスモスがまだ咲いており、シロヨメナが一番きれいに咲いている。広場の大きなコナラの枝がほとんど切り落とされている。林の中に、新しいナラの切株があちこちにある。途中出会った老人によると、楢枯れで伐採されたのだという。ここ数年は楢枯れが広がっているそうだ。葦原を一周すると、ツリフネソウ、、キツリフネソウ、アキノウナギツカミ、ミゾハギがある。葦の中に鳥がいるような音がするのだが、出てこない。径の縁に水引草があちこちにあって、赤い色が見事に濃い。

葦原を一周し終わるところで、小綬鶏を見た。沢の草や笹に入り込んで、なかなか姿を見せなかった。草は揺れている。すると一羽が頭と胴を見せ、もう一羽が首を伸ばして顔を出した。オレンジロがくっきりとし、たしかに小綬鶏だった。鳴きはしない。三、四羽いるらしい。小綬鶏のいる少し上にがまずみの実が真っ赤に熟れている。

広場の入口に、ユウガギクガたくさん咲いていた。ユウガギクは柚子の香りがするので「柚香菊」と書くが、嗅いでみても、柚子の香りはない。池には翡翠が一羽、青い背をこちらに向けて枝に止まっていつもよりどっしりしている。カメラマンたちは引き払ってだれもいなかった。池の縁をのぞくとトリカブトらしい青紫の花が目に入った。林には鵯がよく鳴き、森の入口には四十雀の地鳴きが聞こえた。森に居れば居るほど、いろんなものが見えてくる。帰るまぎわ、里山花壇でウワミズザクラを見付けた。これは桜とは似ても似つかぬ白い房状の花。暮れるといけないので、3時半ごろ公園を出た。

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