1月9日(月)

★寒林を行けばしんしん胸が充つ  正子
しんと静まる寒林を行くほどに、枯れ尽くす木々の清々しさ、澄んだ大気に、快く充たされる心。「しんしん」と胸に響く言葉に、豊かな詩情を感じずにいられません。(藤田洋子)

○今日の俳句
水仙の一輪机上を整えり/藤田洋子
机上に水仙の一輪をさすと、机上がすっきりと整った感じとなる。水仙の清潔で、凛とした姿がそうさせる。「整えり」は、技巧に走らずにうまい。

○寒
寒浄し床に白磁の観世音/川本臥風
寒禽の啼きいて晴れの空を飛ぶ/高橋信之

寒の入りから寒の明けの前日までの小寒と大寒とを合わせ、およそ三十日間が寒である。今年の寒の入りは、1月6日に、寒の明けの立春は、2月4日となった。寒という特別に寒く冷たい期間を人々は大いに利用しているように思う。正月のお餅が無くなったころ、「寒餅」と称して普段食べる餅を搗いていた。寒中なので、黴が生えにくこともあったろうが、なにか、引き締まったような餅の味がした。お酒なども寒造りといって、水がより清浄となるせいか、よい酒ができる。寒中は澄み切って晴れる日も多く、気持ちのよい寒さと向き合うことになる。鳥たちもひろびろと自由に空を飛んで、うらやましいほどだ。厳寒の地に住んでいないので、こういうことがいえるのだろうが。

寒空の青に鳥らの飛ぶ自由 正子

◇生活する花たち「冬薔薇・冬桜・南天」(横浜日吉本町)


コメント

  1. 藤田洋子
    2012年1月11日 12:06

    お礼
    正子先生、「水仙」の句を今日の俳句に取り上げていただきありがとうございました。

    ★寒林を行けばしんしん胸が充つ  正子
    しんと静まる寒林を行くほどに、枯れ尽くす木々の清々しさ、澄んだ大気に、快く充たされる心。「しんしん」と胸に響く言葉に、豊かな詩情を感じずにいられません。