1月7日(土)/七草

★七草の書架のガラスの透きとおり  正子
正月七日、ようやく日常に戻る七草のころ、きれいに磨かれた書架のガラスに、整然と並ぶ書物が見えるようです。年の始めの清々しさとともに、清潔感漂うお暮らしもうかがえます。(藤田洋子)

○今日の俳句
刻ゆるやかに七草粥の煮ゆるなり/藤田洋子
主婦にとって、正月はなにかと落ち着かなく過ぎるが、七草のころになると一段落する。ふつふつと煮える七草粥に、「刻ゆるやかに」の感が強まる。

○七草/七種(ななくさ)
カナリヤはずむ七草粥を食い居れば/川本臥風
七草籠売れ了りたる土間濡るる/宮津昭彦
正月七日に七種類の若菜を食べると万病を除くと考えられ平安時代の初めごろはじまったものらしい。七種の菜は、せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろである。

七草のなかでも「はこべら」は、子どもにとって身近であった。庭や畑の隅などいたるところにみずみずしく生えていて、鶏やうさぎの餌にしていた。ままごとの菜にもなった。丈は高くなくやわらかに生い茂る。戦時中はお浸しにもなったと聞く。花言葉は「追想」。そう言われれば、なにか思い出をまとったような菜である。よく見れば、白い花も可憐である。

◇生活する花たち「百両・千両・万両」(横浜日吉本町)


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