1月13日(日)

★正月の山の落葉のかく深し   正子
「正月」と「落葉」という季語が重なっているが、その重なりに、作者の「正月」であることの思いが強く、そして深く伝わってくる。表現が正直であることが強みでもある。(高橋信之)

○今日の俳句
澄みていし枯野に響く貨車の音/迫田和代
枯れが進んでくると、枯れも澄んだ感じとなる。枯野を長い貨車がことことと走り抜けて行く音が、人間的な懐かしさをもって訴えている。(高橋正子)

○榠樝(かりん)

[榠樝(かりん)/横浜日吉本町(2012年10月20日)]_[榠樝(かりん)/横浜日吉本町(2013年1月8日)]

★くらがりに傷つき匂ふかりんの実/橋本多佳子
★かりんの実しばらくかぎて手に返す/細見綾子
★売り家の庭に花梨が熟れている/川上杜平
★テーブルに置いて花梨の実が匂う/高橋正子
★花梨の実祭り幟がはためくに/高橋正子

 かりんの実を手にすると、いい匂いと表皮のねっとりした感触が伝わる。色合いも形も文人好みである。一つ二つのかりんをもらっても、何にしてよいのかわからないまま、テーブルなどに飾りのように置く。そして、その傍でものを書いたりしていると、その匂いに倦んでくる。そしてついに捨てられる。かりん酒などは、たとえ思いついても、作りはしない。かりんの実が熟れるころ、在所の祭りがある。墨痕鮮やか祭りの幟をはためかす風に、かりんは黄色く色づくのだ。
 カリン(榠樝、学名:Chaenomeles sinensis)は、バラ科ボケ属の落葉高木である。その果実はカリン酒などの原料になる。カリン、ボケ、クサボケは互いに近縁の植物である。 なお,日本薬局方外生薬規格においてカリンの果実を木瓜として規定していることから,日本の市場で木瓜として流通しているのは実はカリン(榠樝)である。
 原産は中国東部で、日本への伝来時期は不明。花期は3月〜5月頃で、5枚の花弁からなる白やピンク色の花を咲かせる。葉は互生し倒卵形ないし楕円状卵形、長さ3〜8cm、先は尖り基部は円く、縁に細鋸歯がある。未熟な実は表面に褐色の綿状の毛が密生する。成熟した果実は楕円形をしており黄色で大型、トリテルペン化合物による芳しい香りがする。10〜11月に収穫される。実には果糖、ビタミンC、リンゴ酸、クエン酸、タンニン、アミグダリンなどを含む。適湿地でよく育ち、耐寒性がある。花・果実とも楽しめ、さらに新緑・紅葉が非常に美しいため家庭果樹として最適である。

平成25年3月号(花冠)

ものみな清し
高橋正子
沼奥に蒲の穂絮の飛びづづけ
冬芽の尖り真青き空に差し入りて
紫も白も葉牡丹雪被り
風邪に臥しものみな清しクリスマス
侘助の蕾銀色鐘の音に
侘助へ寺の障子の白き張り
水仙のつぎつぎ花を昨日今日
蝋梅を透かせて空は大いなる
初富士の遠嶺明るし葛飾に
霜柱すくすく育てローム層

◇生活する花たち「冬椿・冬の梨園・冬田」(横浜市緑区北八朔)


コメント

  1. 迫田和代
    2013年1月8日 11:26

    お礼
    正子先生
    1/13の日記に(枯野)の句をお載せ戴き有り難う御座いました。依然に書きましたが 嬉しがり屋なので、しばらくじっと見ておりました。とても嬉しかったです。感謝の限りです。

  2. 迫田和代
    2013年1月8日 11:27

    お礼
    正子先生
    1/13の日記に(枯野)の句をお載せ戴き有り難う御座いました。依然に書きましたが 嬉しがり屋なので、しばらくじっと見ておりました。とても嬉しかったです。感謝の限りです。