俳句メモ11月~12月

冬鵙の囃すは水照る向こう岸
冬鶺鴒せきれいほどの影を連れ
芒原風得てそよぎ茫々と
彫り跡のような漣冬日燦
冬日燦姉さんかぶりをして歩く
冬雲の浮かべば南の空濁る
純白の苺の花も十二月
雨に暮れる小住宅に花梨の実
ユトリロの絵に似て雨の花梨の実
一冬燈残し花屋の閉店す
夕寒き街のはずれに花屋の燈
一冬燈残したままの朝の花屋
冬はじめでびらカレーをこんがりと
落葉踏み階踏みてわが家の燈
植えられてパンジー苗のすぐそよぎ
パンジー苗どれも一花をつけており
室内の壁の白さに室の花
柚子刻み柚子の香つんと立ちにけり
朝市の柚子あるところが灯るなり
朝市に時雨あやしく降り来たり
上手より家を巡りて亥の子の子ら
門土をうっすら窪ませ亥の子石
亥の子の子らまた坂道を上の家へ
金桶の水澄めるまで菜を洗い
洗われてなおほうれん草の深みどり
落葉ふる空の青さのどこまでも


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