■芍薬忌ネット句会清記■

■芍薬忌ネット句会清記■
2024年5月24日
42句(14名)

01.想い出を辿るひと時窓若葉
02.師の教え偲ぶ時なり青嵐
03.良き暮らし吟ずべしとや風薫る
04.風薫る海辺の緑地に家族連れ
05.軒先の紫陽花大きく膨らんで
06.蝶々来る朝日の光る水溜まり
07.夏灯ワインは赤くほの甘く
08.酔眼に夏星いくつも瞬けり
09.萍(うきくさ)の花咲く池の濁りより
10.話し声奪う瀧音明けの天

11.百本のばらの香りを浴びにけり
12.あけぼのの風の吐息や初夏の沼
13.芍薬の豊かに並ぶ門の前
14.フェンスよりはみ出し咲きぬ百合の花
15.バナナ採る朝一番の庭師かな
16.母存れば白寿なるかな小満に
17.初ほととぎす未明の空に響く
18.腹を見せ背を見せひらり夏つばめ
19.風すこし梅花空木の薫り来る
20.紫陽花のつぼみの縁に青しかと

21.青葉雨少年の弾くヴィヴァルディ
22.車椅子押しつつ吟行夏の城
23.田に水の入れば夏鳥羽休め
24.楽しみは子メダカ増える朝一番
25.雨上り雫滴るさくらんぼ
26.朝起きて淹れる新茶の青々と
27.身の締まる鯖寿司味わう日曜日
28.母の日やきょうも勤めし母の朝
29.どくだみの花のまわりの闇は濃し
30.みずみずし水没林の根のあまた

31.紫陽花の広がり蕾持ち始む
32.挿し芽して紫陽花小さき毬生まる
33.水に挿すパセリルッコラ風入るる
34.朝顔の双葉が青いと母の声
35.空仰ぎ日傘をもてば朝はじまり
36.ふと香る薔薇の赤に近づいて
37.夏鶯切り株みがく声放ち
38.茅花流し青き田水をきらめかす
39.パチパチと音たて走る麦焼く火
40.あじさいに雨ふるかぎり青に染む


41.夕焼けの吾にかく燃え信之忌    
42.クローバーある日夏めく密に咲き                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

■信之忌/芍薬忌(5月24日/金曜日)ネット句会ご案内■

■信之忌/芍薬忌(5月24日/金曜日)ネット句会ご案内■
名誉主宰の髙橋信之先生は昨年5月24日に亡くなられました。ちょうど1周忌を迎えますので、信之忌(芍薬忌)ネット句会を開催いたします。ご参加くださいますよう、下記にご案内いたします。(花冠代表 髙橋正子)
 記
①投句:献句1句と当季雑詠3句
 5月20日(月)午前6時~5月24日(金)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:5月24日(金)午後6時~午後10時
②入賞発表:5月25日(土)正午

      献句については選をいたしません。
③伝言・お礼等の投稿は、5月25日(土)正午~5月29日(水)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

ご挨拶/5月月例ネット句会を終えて

〇風薫る良い季節を迎えています。5月月例ネット句会にご参加ありがとうございました。入賞の皆様、おめでとうございます。
入賞句は、日本の美しい農を中心とした風景や、懐かしい、あるいは楽しい生活、生活のなかのちょっとした思いなどが詠まれていて、戦争のない日本の良さを思いました。内容が深い俳句も、また高みのある俳句も日々の生活から生まれるものなのでしょうから、生活というのは大事なものだと思います。
これで5月月例ネット句会を終わります。コメントのない句には、引き続きコメントを書いていただければ、嬉しいです。

〇なお、5月24日(金)は信之先生の忌日に当たりますので、この場所で、「信之忌(芍薬忌)ネット句会」を開催いたしますので、ご参加いただければたいへんうれしいです。

■5月月例ネット句会入賞発表■

■5月月例ネット句会入賞発表■
2024年5月12日
【金賞】
18.湧水の波紋に砂のゆれる初夏/吉田晃
砂から水が湧き出し波紋をつくると、その波紋で砂が静かにゆれる、繊細で清らかな水と砂の動きは、初夏を象徴する光景と言える。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
27.刈られゆく麦の香一日風に乗り/柳原美知子
家の周りは麦刈の真っ最中。刈り取られる麦の匂いが風に乗って一日中漂ってくる。麦秋の季節の明るさ、爽やかさ、その匂いに懐かしい昭和の光景を思い出した。今もその光景があることの大切さを思う。(髙橋正子)

23.田に水の満ちる音して五月に入る/祝恵子
田んぼに水が引かれ、しだいに田に満ちていく。流れ入る水の音もかろやかに弾んでいる。ちょうど五月に入った日なのだ。田植の準備が着々と進んでいる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
05.竹皮を脱ぐや至れり薮の空/桑本栄太郎
竹の生長ははやい。皮を脱ぐとあっという間に空へ高く伸びる。しかし、伸びる先の空はあくまでも生えたところの藪の空。このあたりにせつなくも諧謔味があって、これも竹の本質。(髙橋正子)

12.葉桜の作る日陰に長き列/高橋秀之
素直な詠みかたは、葉桜の日陰をかろやかに印象付けてくれる。葉桜の季節は汗ばむ日もある。長い列はなんの列だろう。何か待っている列には違いない。暑い日差しを避けられる葉桜の日陰がありがたい。(髙橋正子)

20.はつなつの稜線に雲湧き初めし/多田有花
山の稜線は山並みの描く「線」。その山に夏らしい白い雲が湧き始めるのを見ると、夏が来たな、と思う。「はつなつ」の心楽しさが詠まれている。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
10.帰省の子迎えるように鯉のぼり/高橋秀之
息子さんたちも成長し自立されました。そして、ゴールデンウィークには帰省されました。それを迎えるようにご近所で鯉のぼりがはためいています。 (多田有花)

23.田に水の満る音して五月に入る/祝恵子
水が張られ田植えの準備も終わり、充実した五月を迎える爽やかな心境を感じました。 (西村友宏)
 新緑の快い季節のなか、田には水がいっぱいに張られ田植えの準備が出来上がり、気候も自然の風物も衣食住も夏らしくなってくる素晴らしい季節です。(小口泰與)

27.刈られゆく麦の香一日風に乗り/柳原美知子
今日は熟れた麦の刈り取りの日なのですね?この日は一日中麦の香が風にただよい、当に麦秋の収穫の喜びに満ち溢れますね。(桑本栄太郎)
熟れた麦が刈られてゆきその香が一日漂っている、動きを感じます。麦の香と風のそよぎが伝わってきます。(多田有花)

36.鯉のぼり喜ぶ声がどこからか/髙橋句美子
鯉のぼりは誰が見ても楽しく心を躍らせてくれます。どこらか聞こえる喜ぶ声もきっと弾んだ明るい声でしょう。(髙橋秀之)

05.竹皮を脱ぐや至れり薮の空/桑本栄太郎
18.湧水の波紋に砂のゆれる初夏/吉田晃
20.はつなつの稜線に雲湧き初めし/多田有花

【髙橋句美子特選/7句】
18.湧水の波紋に砂のゆれる初夏/吉田晃
水の中で砂が穏やかに揺れる様子が夏らしいです。(髙橋句美子)

22.朝一番眺める鉢のメダカの子/祝恵子
メダカを飼育して、稚魚が生まれると楽しいですね。生まれた子の様子を毎朝真っ先にご覧になる。うきうきと水槽をのぞかれる様子が想像できます。 (多田有花)

23.田に水の満ちる音して五月に入る/祝恵子
新緑の快い季節のなか、田には水がいっぱいに張られ田植えの準備が出来上がり、気候も自然の風物も衣食住も夏らしくなってくる素晴らしい季節です。(小口泰與)
水が張られ田植えの準備も終わり、充実した五月を迎える爽やかな心境を感じました。 (西村友宏)

33.八重桜揺れて濃淡鮮やかに/西村友宏
八重桜が咲くころは日差しもぐんと強くなります。重たげに豊満に咲く八重桜の花が風にゆられる様子を「濃淡鮮やか」ととらえられ、新鮮です。 (多田有花)

37.春深し白き小花の街に満つ/川名ますみ
可憐なこでまりや雪柳などの白い花が咲き満ちてそよ風に揺れる街に出ると、心も軽く春の深まりが実感されますね。 (柳原美知子)

12.葉桜の作る日陰に長き列/高橋秀之
27.刈られゆく麦の香一日風に乗り/柳原美知子

【入選/10句】
01.満緑の中に沈みて昼寝かな/小口泰與
満緑の庭に置かれた座り心地のよい肘掛け椅子が想像されます。その椅子に身を沈めみどりの風に身をまかせての昼寝。至福のひとときですね。 (柳原美知子)

08.亀鳴くやゆるき日暮れの待ち合わせ/弓削和人
日長となった春の夕暮れになりきらない頃の待ち合わせ。こんな時には亀が鳴くのではと思うようなのどかで楽しいひとときです。 (柳原美知子)

15.断崖を目指すが如き卯波かな/廣田洋一
「卯波」の季語をよく研究されていて、「断崖」と「卯波」の取り合わせて、画のような景色が生まれている。ただ「如き」が惜しい。例えば添削例として「断崖を目指して迅(はや)き卯波かな」のように、具体的に卯波を写生されるとよいと思う。(髙橋正子)

16.老の声漁の話を初夏の浜/吉田 晃
熱心に夏の浜辺で聞きいっている若者がいます。(祝 恵子)

17.鎌研げば軽くなる風麦畑/吉田 晃
麦刈りに備えて鎌を研ぐと吹く風も軽くなっている。いよいよ収穫の時がきた。無事に麦が育ち収穫を迎える喜びが感じられます。 (柳原美知子)

19.短夜を夜通し風の吹き通し/多田有花
夜に窓を開く時期になりました。夜通し吹き通す風に季節感が溢れてます。(髙橋秀之)

31.箸先に弾力伝わる初鰹/西村友宏
初鰹の身は、固く締まっていてしかも弾力がある。これを箸先に伝わると詠んで、引き締まった鰹の旨さを上手く表現した。 (廣田洋一)

02.庭にきて静寂を砕く時鳥/小口泰與
11.初蝶がひらりと肩にタッチ/高橋秀之
14.土手道を走る親子や薄暑光/廣田洋一

■選者詠/髙橋正子
28.啄木鳥の鳴く声若葉の奥深く
初夏の森の奥深くから啄木鳥の鳴き声が聞こえてくる。秋に木の幹を叩いては餌を探すあの音ではなく、若葉の奥で鳴く声である。啄木鳥の森は瑞々しい若葉に囲まれ、その声が瑞々しく聞こえているのだろう。 (吉田晃)

30.夏の蝶遺影の夫の変わらずに
夏の蝶は大きく、時に、天からの遣いのように映ります。その影に促されて遺影を仰げば、いつものご夫君の姿。遺影が変わらないのは当然ですが、それに驚きを覚えるほど、時の流れを感じられたのでしょう。 (川名ますみ)

29.発車して旅に出るごと栃の花

■選者詠/髙橋句美子
34.黄菖蒲の川の流れに満開に/髙橋句美子
流れに映る黄菖蒲も美しく、風の音清らかな水音も聞こえてくるような爽やかな初夏の景色です。 (柳原美知子)

36.鯉のぼり喜ぶ声がどこからか
鯉のぼりは誰が見ても楽しく心を躍らせてくれます。どこらか聞こえる喜ぶ声もきっと弾んだ明るい声でしょう。(髙橋秀之)

35.同窓会写真に映る八重桜

互選高点句
●最高点句(7点)
23.田に水の満る音して五月に入る/祝恵子
集計:髙橋正子

※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■5月月例ネット句会清記■

■5月月例ネット句会清記■
2024年5月12日
39句(13名)

01.満緑の中に沈みて昼寝かな
02.庭にきて静寂を砕く時鳥
03.ほめられて香水の名あかすなり
04.茉莉花の紅のつぼみや雨予報
05.竹皮を脱ぐや至れり薮の空
06.美味しそうな新緑なりぬ在所かな
07.僚友と一宿一飯さくら餅
08.亀鳴くやゆるき日暮れの待ち合わせ
09.一日を終えし雲かも鳥帰る
10.帰省の子迎えるように鯉のぼり

11.初蝶がひらりと肩にタッチ
12.葉桜の作る日陰に長き列
13.青梅を踏んでしまいし石畳
14.土手道を走る親子や薄暑光
15.断崖を目指すが如き卯波かな
16.老の声漁の話を初夏の浜
17.鎌研げば軽くなる風麦畑
18.湧水の波紋に砂のゆれる初夏
19.短夜を夜通し風の吹き通し
20.はつなつの稜線に雲湧き初めし

21.通学す青葉若葉の下の道
22.朝一番眺める鉢のメダカの子
23.田に水の満る音して五月入る
24.夏近し鉢柿枝の伸びを切る
25.エプロンのポケットに摘む豌豆の香
26.山映す代田に沿いて廃校まで
27.刈られゆく麦の香一日風に乗り
28.啄木鳥の鳴く声若葉の奥深く
29.発車して旅に出るごと栃の花
30.夏の蝶遺影の夫の変わらずに

31.箸先に弾力伝わる初鰹
32.旧友と再会祝す八重桜
33.八重桜揺れて濃淡鮮やかに
34.黄菖蒲の川の流れに満開に
35.同窓会写真に映る八重桜
36.鯉のぼり喜ぶ声がどこからか
37.春深し白き小花の街に満つ
38.白山吹寄らんとすれば既に散る
39.つぶつぶと銀杏並木に木の芽張る

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

■5月月例ネット句会ご案内■

■5月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠
5月6日(月)午前6時~6月12日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:5月12日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:5月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、5月13日(月)正午~5月16日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

ご挨拶/4月月例ネット句会を終えて

〇4月月例ネット句会にご参加ありがとうございました。今年の桜は、満開になるころ冷え込んだせいもあって、長く楽しめました。それだけに、多くの方がさまざまに桜を詠んでくださり、句会も華やかな感じになりました。
選とコメントをありがとうございました。

〇この場をお借りして合同句集『泉』から四季の句を一句ずつ4月15日にまでに選んでいただきましたことをお礼申し上げます。ありがとうございました。 全員とはなりませんでしたが、選んでくださった方大変ありがとうございました。花冠N0.371号(夏号)に花冠の秀句としてよい形で掲載したいと思っております。
 
〇これで、4月月例ネット句会を終わります。来月の月例ネット句会は5月12日(日)となります。
また、5月24日(金)は信之先生の忌日にあたりますので、信之忌(芍薬忌)ネット句会を開催いたしますので、こちらへもご参加よろしくお願いいたします。詳細はのちほどネット短信と、月例ネット句会のこのブログ上でお知らせいたします。
2024年4月20日
髙橋正子

お詫び/入選句追加

●4月月例ネット句会の入賞発表において、次の吉田晃さんの句を入選句にあげるべきところ脱落しておりました。お詫びして訂正いたします。従って【入選句】は10句から11句となります。

互選3点句
17. 枝垂れ咲く古刹桜の夕明かり/吉田 晃

大変失礼いたしました。
2024年4月16日
髙橋正子

■4月月例ネット句会入賞発表■

■4月月例ネット句会入賞発表■
2024年4月14日
【金賞】
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/ 吉田 晃
「土が目覚める」という感覚がいい。耕すと、下になっていた土が上に出てくる。その時の土の色、風が吹いてきて匂う土。冬の眠りから覚めた、春の土が新鮮である。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
22.花終えて今いきいきと山の色/多田有花
山に桜が咲いている景色も、それはそれで美しい日本の風景だが、桜が咲き終わると、急に山々に新緑が増え、山が生き生きとして感じられるのだ。花から新緑へ山の色の変化はすなわち、季節の移ろいの色。(髙橋正子)

19.藤蕾む枝垂れて咲くぞというかたち/祝恵子
「咲くぞ」の「ぞ」を入れると、中七が字余りになるが、その崩れに藤の花房が枝垂れ、その先に円錐の切っ先の力が読み取れる。また、散文的な表現の工夫に新しさがある。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
08.参道の桜の影を踏みしめる/高橋秀之
「踏みしめる」に確かさがある。参道には日がよく当たって、桜の影がしっかりとできている。しっかりした影でないと、「(踏み)しめる」感覚はわかない。一歩一歩の充実した着実さがうかがえる。(髙橋正子)

28.列車来て桜若葉が揺れる朝/西村友宏
「桜若葉」というあたらしい表現。葉桜になる少しまえに、柔らかな葉となっている。それを若葉と言った。駅や線路沿いにある桜の枝は、列車の風圧で揺れる。若葉と朝と、揺れに、さわやかさ新しさが感じらえる。(髙橋正子)

34.青空にゆったり葉桜ゆれている/髙橋句美子
桜が散るとすぐに葉桜の季節になる。新年度のあわただしが落ち着き、葉桜となった枝は、青々とした葉をゆったりと揺らせている。「ゆったり」した感じがよい。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
08.参道の桜の影を踏みしめる/高橋秀之
桜が満開の参道です。桜を仰ぐ目を下に向けると桜の影も同じように満開なのです。(多田有花)

16.たがやせば目覚めて風に匂う土/吉田 晃
19.藤蕾む枝垂れて咲くぞというかたち/祝恵子
22.花終えて今いきいきと山の色/多田有花
25.花菜畑はろばろ夕日溶かしゆく/柳原美知子
31けさ二輪雲のいろしてさくら咲く/川名ますみ
34.青空にゆったり葉桜ゆれている/髙橋句美子

【髙橋句美子特選/7句】
03.散り敷きて尚も色濃く花の屑/桑本栄太郎
散ったばかりの一面の花の色が乾くにつれて色濃く染め上げられ、その最後の美しさに桜の季節の名残りが惜しまれます。 (柳原美知子)

07.日が注ぐ新芽は色が鮮やかに/高橋秀之
春の日差しを受けて輝く新芽の色の美しさに見とれる心地よいひととき。心もはればれと良い一日になりそうです。 (柳原美知子)

18.春水を吸ってあかるい芽の緑/ 吉田 晃
生き生きとした新たな芽吹きから春らしさを感じました。明るい季節を予感させる素敵な光景です。(西村友宏)

13.蝶にして花散る谷を飛ぶはやさ/髙橋正子
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/ 吉田 晃
22.花終えて今いきいきと山の色/多田有花
28.列車来て桜若葉が揺れる朝/西村友宏

入選/11句
01.あの辺り金蔵寺とや花の雲/桑本栄太郎
洛西大原野にある金蔵寺ですね。どこか高いところから見晴らしておられるのでしょうか。大原野に一面の桜、古刹の名前も雅やかです。 (多田有花)

04.山風にあらがう麦の青さかな/小口泰與
人間や他の動物のように歩いたり走ったりすることが出来ない植物は風にあたり揺れ動く事により、運動となり大きく成長すると云います。今の時季は日々春めくと共に風も良く吹き、抗うように揺れる青麦の様子が見えるようである。(桑本栄太郎)

09.ふと見れば白夜の空に桜舞う/高橋秀之
白夜の薄明りの空に舞う桜、長い夜を彩ってくれ、異国情緒が漂いますね。(柳原美知子)

10.子雀の水浴びしたる潦/廣田洋一
雨上がり潦におぼつかない足取りで近寄り、水浴びをしている子雀に寄せる作者の優しい視線が感じられます。 (柳原美知子)

21.花吹雪く展示車両のひかり号/ 祝恵子
京都の鉄道博物館でしょうか。東海道新幹線開通時に走ったひかり号が展示されています。今のものより丸い雰囲気で穏やかに花吹雪を浴び余生を楽しんでいます。(多田有花)

24.時おりは花びらに触れ歩きけり/多田有花
桜並木を散策していると、時々、さくらに触れて思わぬ喜びをもらいます。(祝恵子)

27.山桜眼下に我が町光る海/柳原美知子
山桜の咲いている場所から見下ろしている景色がよく見える。光る海が良い、景色を大きくみせる。(廣田洋一)

05.沼の面を袈裟切りに飛ぶ燕かな/小口泰與
06.揚がりきり点となりたる揚雲雀/小口泰與

17.枝垂れ咲く古刹桜の夕明かり/吉田晃
30.花冷えやシネマ帰りの夜散歩/西村友宏

■選者詠/髙橋正子
13.蝶にして花散る谷を飛ぶはやさ
桜吹雪の谷その中を蝶が飛んでいきます。まるで花びらの一片でもあるかのように。(多田有花)

14.花散るやしずかな息をはく地球
一年後また花を咲かせるためにしずかに花は散る。地球上の万物はそのようにしずかに息をはき、時を待ち、息をつなぎ、命をつないでゆく。その循環がとだえることのないように祈りたいですね。 (柳原美知子)

15.はちみつのような春の森時間

■選者詠/髙橋句美子
34.青空にゆったり葉桜ゆれている
 人ごみに晒された喧噪が去り、ようやく静かになった。葉が緑の色を広げ、残り少なくなった花が、その陰にあって、これまでの疲れをいやすかのように青空にゆったりとゆれている。(吉田 晃)

35.花吹雪どこへゆくのか空に消え
普段はひらひらと地面に揺れ落ちる桜が花吹雪として舞っている。吹き上げられて大空に向かった桜の葉にびらはどこへ行くのか。いろんな想像が膨らむ光景です。 (高橋秀之)

36.花祭り音楽聞こえた母の便り


互選高点句
●最高点句(5点)
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/ 吉田 晃

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■4月月例ネット句会清記■

■4月月例ネット句会清記■
2024年4月14日
36句(12名)

01.あの辺り金蔵寺とや花の雲
02.はらり落つひとひら又も花の塵
03.散り敷きて尚も色濃く花の屑
04.山風にあらがう麦の青さかな
05.沼の面を袈裟切りに飛ぶ燕かな
06.揚がりきり点となりたる揚雲雀
07.日が注ぐ新芽は色が鮮やかに
08.参道の桜の影を踏みしめる
09.ふと見れば白夜の空に桜舞う
10.子雀の水浴びしたる潦

11.青空に紫映えるつつじかな」
12.公園のベンチの前や虞美人草
13.蝶にして花散る谷を飛ぶはやさ
14.花散るやしずかな息をはく地球
15.はちみつのような春の森時間
16.たがやせば目覚めて風に匂う土
17.枝垂れ咲く古刹桜の夕明かり
18.春水を吸ってあかるい芽の緑
19.藤蕾む枝垂れて咲くぞというかたち
20.枝垂れざくらピンクの下に集いおり

21.花吹雪く展示車両のひかり号
22.花終えて今いきいきと山の色
23.花の上連なる白亜の天守群
24.時おりは花びらに触れ歩きけり
25.花菜畑はろばろ夕日溶かしゆく
26.山頂まで桜透く日と鳥の声
27.山桜眼下に我が町光る海
28.列車来て桜若葉が揺れる朝
29.葉桜を横目に急ぐ朝出勤
30.花冷えやシネマ帰りの夜散歩

31.けさ二輪雲のいろしてさくら咲く
32.栗鼠の尾をなびかせており春北風
33.雪やなぎの光がビルの向こうから
34.青空にゆったり葉桜ゆれている
35.花吹雪どこへゆくのか空に消え
36.花祭り音楽聞こえた母の便り

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。