2024年7月15日
【金賞】
13.水弾く真っ赤なトマトを丸かじり/高橋秀之
誰にでもわかる易しいことばと、率直な詠み方に俳句の本質を見る句と思う。採れたての真っ赤に熟れたトマトを、勢いよく流れる水の下で洗い、水滴のあるままそれを丸かじりする。ずばり、トマトのおいしさが伝わってくる。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
22.初蝉の朝のひと声艶やかに/吉田 晃
朝、今年はじめて、ひと声鳴く蝉の声を聞いた。その新鮮な驚きと、夏が来たと言う実感が「艶やかに」に洗われている。蝉の姿まで艶やかに思われる。(髙橋正子)
28.夕焼の雲を押し上げ富士現る/川名ますみ
空に広がる夕焼雲を押し上げて富士山の山頂が現れる。力強い富士山と夕焼雲のある景色があきらかに目に見えて来る。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
16.谷水に声を響かせほととぎす/柳原美知子
谷水を汲もうとしているのか。ほととぎすの鋭い声が、谷水を響かせるように聞こえる。谷水とほととぎすの声のある景色に山気を感じて涼しいそうだ。(髙橋正子)
17.青紫蘇を薫らせ日々の厨事/柳原美知子
今私のベランダにも青紫蘇がこんもりと繁っているが、毎日数枚を採って料理に楽しんでいる。美知子さんも日々の厨ごとに何かにつけて、青紫蘇を使っ使い薫らせている。清々しい日々の暮らしがいい。(髙橋正子)
34.テレワーク窓を開ければ星涼し/西村友宏
日中のテレワーク中は、窓を閉め切ってクーラーをかけている。根詰めていたテレワークの仕事が終わり、窓を開ければ星が涼しそうに輝いている。星の美しさを実感し、ほっとするひとときだ。「テレワーク」はコロナ禍を経て日常化した言葉。(髙橋正子)
【髙橋正子特選/7句】
13.水弾く真っ赤なトマトを丸かじり/高橋秀之
家庭菜園で採れたトマトやナス、胡瓜を水桶に漬けて居ります。その中の真っ赤に熟れたトマトを丸かじりすれば、至福の美味しさです。 (桑本栄太郎)
夏の盛りに、みずみずしい真っ赤な大きなトマトを丸かじりしながら、したたる果汁を拭う情景が想い浮かぶ。「真っ赤な」と表現したことが、水の青色とトマトの赤色のコントラストが清々しい。(弓削和人)
よく熟した瑞々しいトマト。一番美味しい食べ方は、やはり「丸かじり」でしょう。率直な言葉選びで、情景がダイレクトに届きます。 (川名ますみ)
28.夕焼の雲を押し上げ富士現る/川名ますみ
夕焼け雲が切れて富士山が見えるようになりました。「雲を押し上げ」と富士山自身が意志を持っているようです。夕焼け空の中に聳える神々しいまでの富士山の姿です。 (多田有花)
28.押し上げるという表現で富士山の力強さを感じると共に厳かな光景が目に浮かびます。(西村友宏)
16.谷水に声を響かせほととぎす/柳原美知子
ホトトギスの鳴き声を「テッペンカケタカ」と表現するが、実際の声は丸みを帯びた可愛らしい声であり、青葉繁る谷にその声を響かせる。涼しい風を感じさせてくれる。(吉田晃)
32.ナイターの光夜空を突き抜ける/髙橋句美子
夜空を突き抜けるナイターの光の華やぎに昼間の仕事からの解放感やひろびろとした夜空の涼しさが感じられ、楽しい観戦のひとときが想像されます。 (柳原美知子)
17.青紫蘇を薫らせ日々の厨事/柳原美知子
22.初蝉の朝のひと声艶やかに/吉田晃
34.テレワーク窓を開ければ星涼し/西村友宏
【髙橋句美子特選/7句】
01.小燕の店番となり道の駅/弓削和人
小燕の声が挨拶のように賑やかに思います。みちの駅も旅行客で賑わっている様子がうかがえます。(髙橋句美子)
11.大聖火向かうはパリや夏旺/廣田洋一
大聖火は無事にパリに到着し市内をめぐってるようです。夏の盛りのオリンピック、世界が少しでも明るい未来へとひらかれるよう、アスリートの方々の
活躍を見守りたいですね。 (柳原美知子)
03.六月の樹々雨音を迎えたり/弓削和人
新樹にとって雨は必要不可欠なもの。喜んで雨と雨音を迎えたことでしょう。絵本を見るようです。 (柳原美知子)
20.ふる雨の強さにゆれる白睡蓮/髙橋正子
雨の中の白睡蓮の揺れる様子に、雨音、風の音、水の音、水の色などが感じられ、白睡蓮の存在感が晴れている時よりもさらに強く感じられるようです。
(柳原美知子)
13.水弾く真っ赤なトマトを丸かじり/高橋秀之
15.海沿いを走る電車に夏の雨/高橋秀之
28.夕焼の雲を押し上げ富士現る/川名ますみ
【入選/10句】
05初蝉の忽と鳴き初め即止みぬ/桑本栄太郎
初夏になると子供のころの懐かしい蝉の声があちらこちらから聞こえてくる。野原を駆け回り疲れた体で一休みしていると、頑張れと蝉の一声に励まされてまた遊びほけた事が思い出される。 (小口泰與)
23.ぶらんこの子に梅雨空の休みけり/吉田 晃
実際には梅雨の中休みの時間に子どもたちが公園のぶらんこを楽しんでいるのでしょうが、ぶらんこの子を主体に捉えた楽しい目線の句を感じます。(高橋秀之)
24.向日葵の鉢の新装喫茶店/吉田 晃
いきつけの喫茶店でしょうか。それとも新しくオープンした店?向日葵の鉢がそこに飾られました。仲間が毎朝集まってモーニングを楽しむ情景を想像します。(多田有花)
27.朝凪の終わり吹き初め今朝の風/多田有花
朝凪が終わる。風が吹く。今朝の風はその吹き初め。夏がやってきたと感じる朝の一コマがそこにあります。(高橋秀之)
35.扇風機のメモリを「強」へ風呂あがり/西村友宏
すごく気持ちが分かります。自然の行動を素直に表現されていると感じます。(高橋秀之)
22.威勢よく草刈る男の腕まくり/弓削和人
04.驟雨止み雨雲峡にとどまれり/桑本栄太郎
07.風鈴やまた聞し召す赤ワイン/小口泰與
08.一本のばらのくずれる朝かな/小口泰與
12.世事忘れ避暑の旅へと出かけたり/廣田洋一
■選者詠/髙橋正子
19.あおあおと蓮の花托の葉を抜きぬ
蓮は最初に若葉が池の面に張り付くように出てきます。巻葉が水面から立ち上り花托もそれに続きます。初夏から晩夏へと移り変わっていく蓮の生長の瞬間をとらえておられます。(多田有花)
20.ふる雨の強さにゆれる白睡蓮
雨の中の白睡蓮の揺れる様子に、雨音、風の音、水の音、水の色などが感じられ、白睡蓮の存在感が晴れている時よりもさらに強く感じられるようです。
(柳原美知子)
21.風鈴に風の声聞く盆法会
■選者詠/髙橋句美子
2.ナイターの光夜空を突き抜ける/髙橋句美子
夜空を突き抜けるナイターの光の華やぎに昼間の仕事からの解放感やひろびろとした夜空の涼しさが感じられ、楽しい観戦のひとときが想像されます。 (柳原美知子)
33.真新しい色の夏帽小旅行
今の夏に新調した夏帽子なのでしょう。小旅行の楽しさと相まって、わくわくする気持ちを感じます。(高橋秀之)
31.とりどりの願い事揺れ七夕笹
●互選最高点句(8点)
13.水弾く真っ赤なトマトを丸かじり/高橋秀之
集計:髙橋正子
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さい。