9月月例ネット句会/ご挨拶

ご挨拶
台風の過ぎたあとも厳しい残暑が続いています。9月月例ネット句会にご参加ありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。
暑いといいながらも朝夕は過ごしやすくなっている感じです。ご投句から、稲が熟れ、酢橘が出回り、烏賊が干されたり、身近な生活が秋らしくなっていることに新鮮さを感じました。

また、選句とコメントをありがとうございます。お一人お一人のコメントから、私の気づかなかったことなどの指摘があったり、勉強になっています。今月は12名のご参加があり、たのしい句会になりました。これで9月月例ネット句会を終わります。来月の句会は10月13日(日)となります。楽しみにお待ちください。
2024年9月12日
髙橋正子

■9月月例ネット句会/入賞発表■

■9月月例ネット句会/入賞発表■
2024年9月9日

【金賞】
17.とうふ真白すだちの青き香を絞る/川名ますみ
上五から下五まですっきりと詠みくだし、精神がまっすぐに通っているのがいい。すだちの「青き香」は香りでありながら、青色を視覚に訴える効果があって、句を印象づけている。気持ちのよい爽秋の句。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
06.稲の香のあふるるばかり天は青/小口泰與
句会参加者の大勢の共感を得た句。日本人みんなの心に響く句と言えよう。稲のぬくみのある香りがあふれ、空は晴れて真っ青。私もこの光景を懐かしく思い出し、はれやかな思いになった。稲の稔る美しい日本の象徴的な光景だ。(髙橋正子)

30.露草の青透く風に裏戸あけ/柳原美知子
裏戸を開けると露草が咲き、すずしい風が吹いている。露草の青い色が透き通り、目が覚めるようだ。「裏戸」の陰りのある印象が句に深みをもたらしている。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
08.寝ころびて見上げる空にいわし雲/友田 修
寝ころんで空を見上げる時間は、それが「しばしの時間」であっても貴重なのではないだろうか。見上げた空にいわし雲がひろがり、空はすっかり秋になっている。そんな思いがいい。(髙橋正子)

11.烏賊干せば烏賊の匂いの浜風に/吉田 晃
「烏賊干す」は浜上げされた烏賊を裁いて開き、するめいかにするために、風にあてて干すもので、この季節の風物詩でもある。烏賊を干せば、烏賊の生の匂いが浜風にのって届いてい来る。晴れた空に干されるたくさんの烏賊が浜の特別な風景になっている。(髙橋正子)

23.台風に泊まる事務所は煌々と/高橋秀之
台風が来るからと事務所に泊まり込みで警戒をしなくてはならない夜。港湾の事務所だろうが、事務所に灯る燈は煌々として、台風の接近に緊張感が高まっている。現場を詠んだ職場の俳句。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
06.稲の香のあふるるばかり天は青/小口泰與
稲刈りが始まったのでしょうか。溢れるばかりのイネの香りが、晴れわたる青き空を広く感じさせてくれます。(高橋秀之)
9月に入り日毎に秋めいて来れば、天は青くなり、稲穂は黄金色に熟れて豊かな香りを漂わせて居ります。 豊穣の稔りの秋の景色が嬉しい。(桑本栄太郎)

09.柔らいだ暑さに少しさびしさも/友田 修
猛暑続きだった夏の名残りはまだあるものの、朝夕は虫の音も聞こえ、秋風が吹き、秋本番もすぐそこです。秋が来れば一気に季節が進み、今年もすぐに暮れていきそうな寂しさも感じられます。 (柳原美知子)

17.とうふ真白すだちの青き香を絞る/川名ますみ
夏の名残の暑さの中に少し秋の風情が漂う昨今。豆腐に酢橘を絞りかけると、見た目にも香りにも爽やかさが感じられ、体の芯に溜まっていた疲れが消えてゆく。読み手にも爽やかさを分けていただいた。(吉田 晃)

30.露草の青透く風に裏戸あけ/柳原美知子
まだ気温は高いものの、空気が澄み、小さな草花がきれいに映える季節となりました。露草の青色はひときわ明るく、風に透けるほど。裏戸をあけてその風を入れるとき、秋の清々しさを全身に感じます。(川名ますみ)

11.烏賊干せば烏賊の匂いの浜風に/吉田 晃
23.台風に泊まる事務所は煌々と/高橋秀之
29.登校の帽子の列が稔り田を/柳原美知子

【髙橋句美子特選/7句】
06.稲の香のあふるるばかり天は青/小口泰與
稲刈りが始まったのでしょうか。溢れるばかりのイネの香りが、晴れわたる青き空を広く感じさせてくれます。(高橋秀之)
9月に入り日毎に秋めいて来れば、天は青くなり、稲穂は黄金色に熟れて豊かな香りを漂わせて居ります。 豊穣の稔りの秋の景色が嬉しい。(桑本栄太郎)

08.寝ころびて見上げる空にいわし雲/友田 修
空の広さを感じてゆったりとした気持ちになりました。 (髙橋句美子)

21.秋天に草刈る音の響きおり/多田有花
秋の空に向かって、草を刈る音が高らかに響いていきます。残暑が厳しい日が続きますが、季節は確実に進んでいる一コマです。(高橋秀之)

26.つゆ草の露のとうめ玻璃よりも/髙橋正子
露を帯びて咲くツユクサの清楚なたたずまい。身近な野の花なのに高貴な雰囲気を感じます。(多田有花)

30.露草の青透く風に裏戸あけ/柳原美知子
まだ気温は高いものの、空気が澄み、小さな草花がきれいに映える季節となりました。露草の青色はひときわ明るく、風に透けるほど。裏戸をあけてその風を入れるとき、秋の清々しさを全身に感じます。(川名ますみ)

10.秋茄子の紐に結わえて支えられ/吉田 晃
17.とうふ真白すだちの青き香を絞る/川名ますみ

【入選/8句】
02.嵐去り又も日差しの残暑かな/桑本栄太郎
先日の台風10号は見たこともないような進路をとったうえに嵐が去れば涼しくなるかと思いきや厳しい残暑を残していきました。うんざりされているさまが浮かびます。(多田有花)

07.夕立の切れ目に聞こゆ虫の声/友田 修
夕立があがると同時に聞こえ出す虫の声。そして、また雨が降り出すと静かになります。夕立の切れ目の自然の動きをつかみ取りました。(高橋秀之)

12.店先のすすきへ風の来る花屋/吉田 晃
通りかかった花屋の店先にそよぐすすき。町中にも爽やかな秋の訪れを感じるうれしいひとときです。 (柳原美知子)

14.鶏頭のふさふさ伸びて子規忌来る/廣田洋一
鶏頭と子規忌の素敵な取り合わせですね。(小口泰與)

19.刃を受けて西瓜ぱっくりと割れぬ/多田有花
大きな西瓜をまっぷたつに切るのはなかなか難しいですが、良く熟れていたのでしょう。さくっと刃がが入りきれいに二つに割れました。「ぱっくりと」
にうれしい気持ちが表れています。みずみずしくおいしそうな西瓜が目に浮かびます。 (柳原美知子)

22.蟋蟀の声はどこから列車待つ/高橋秀之
夜になると虫の声がさかんに聞こえる季節になりました。ひとり列車を待っておられたらどこからかコオロギの声。秋の深まりを感じるひとときですね。(多田有花)

28.野分過ぎ闇の深さに星光る/柳原美知子
深夜、台風の眼の下に入ったときに見た星空の美しかったことを思い出します。本当に嵐とは対照的な静けさです。(友田修)
嵐が過ぎ去った後は、空気も澄んで星空観察には良いタイミングですね。夜中にひときわ輝く星空が浮かびます。 (西村友宏)

32.台風のあと食堂をひとり占め/西村友宏
関東地方は台風から離れていたにもかかわらずあちこちで豪雨災害が。出勤してくる人が少なく、食堂ではひとりきり。それを「ひとり占め」と詠まれ、子どものような爽快さがあります。(多田有花)

■選者詠/髙橋正子  
26.つゆ草の露のとうめ玻璃よりも
露を帯びて咲くツユクサの清楚なたたずまい。身近な野の花なのに高貴な雰囲気を感じます。(多田有花)

27 秋澄んで山々近く寄り来る
秋の空は澄んでいて色もくっきり見えるので、山も近く見えるのを、近く寄り来るとしたのが上手い。 (廣田洋一)

25.朝顔の青の二輪を仏前に 

■選者詠/髙橋句美子
34.萩の花の揺れて祝う誕生日/髙橋句美子
信之先生が「女児誕生白萩の白咲ける日に」と詠まれているように、句美子様の誕生の日に咲いた白い萩の花。今年もまた誕生日には萩の花が咲いていて
風に揺れ、誕生日を祝ってくれているかのようです。爽やかにお誕生日を迎えられ、お喜び申しあげます。 (柳原美知子)

35.百日紅満開青い空の下
花が相対的に少なくなる夏に、百日紅はその薄紅色の花を長く楽しめます。そしてその花の上にはいつも青い空があります。 (友田修)

36.清々しゼリーに浮かぶ葡萄の実

●互選最高点句(10点)
06.稲の香のあふるるばかり天は青/小口泰與
集計:髙橋正子


※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■9月月例ネット句会清記■

■9月月例ネット句会清記■
2024年9月8日
36句(12名)

01.おそろしき事となりたる朝の冷え
02.嵐去り又も日差しの残暑かな
03.鳴き尽くすかに焦り居りつくつくし
04.老人の浮子にとまりし蜻蛉かな
05.山霧の雫の音に秋の蝶
06.稲の香のあふるるばかり天は青
07.夕立の切れ目に聞こゆ虫の声
08.寝ころびて見上げる空にいわし雲
09.柔らいだ暑さに少しさびしさも
10.秋茄子の紐に結わえて支えられ

11.烏賊干せば烏賊の匂いの浜風に
12.店先のすすきへ風の来る花屋
13.笠取りて顔を見せたる踊子ら
14.鶏頭のふさふさ伸びて子規忌来る
15.法師蝉鳴きつのりたる法の庭
16.蚯蚓抓み訪問看護師土の上へ
17.とうふ真白すだちの青き香を絞る
18.首都高を出で公園にカンナ燃ゆ
19.刃を受けて西瓜ぱっくりと割れぬ
20.かすかなる赤き三日月西空に

21.秋天に草刈る音の響きおり
22.蟋蟀の声はどこから列車待つ
23.台風で泊まる事務所は煌々と
24,隙間から見える日差しは天高く
25.朝顔の青の二輪を仏前に   
26.つゆ草の露のとうめい玻璃よりも
27 秋澄んで山々近く寄り来る 
28.野分過ぎ闇の深さに星光る
29.登校の帽子の列が稔り田を
30.露草の青透く風に裏戸あけ

31.家事終えてほっと一息レモン水
32.台風のあと食堂をひとり占め
33.名月やタクシー帰りの身を癒す
34.萩の花の揺れて祝う誕生日
35.百日紅満開青い空の下
36.清々しゼリーに浮かぶ葡萄の実

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

■9月月例ネット句会ご案内■

■9月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠3句
9月2日(月)午前6時~9月8日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:9月8日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:9月9日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、8月9日(月)正午~9月13日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

8月月例ネット句会/ご挨拶

ご挨拶
残暑お見舞い申し上げます。8月も半ばを過ぎました。地震も日常生活に入り込んでくるほど頻繁に起こり、心配なことです。きのうは台風7号に見舞われました。被害はありませんでしたか。

猛暑のなか、8月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。
毎回、滞りなく句会が進んで、ご協力に感謝しています。また、選とコメントをありがとうございます。句会後にもコメントが付けられていますので、月例句会のブログをお訪ねください。まだまだ暑さが続き、熱中症にも気を付けなければいけない状況ですが、お体に気をつけてご健吟ください。これで8月月例ネット句会を終わります。
来月の月例ネット句会は9月8日(日)となります。楽しみにお待ちください。
2024年8月17日
高橋正子

■8月月例ネット句会入賞発表■

■8月月例ネット句会/入賞発表■
2024年8月12日

【金賞】
21.朝影の田に濃きみどり秋立てり/柳原美知子
「朝影」は朝日の光のこと。朝日が田んぼに射すと、緑濃くなった田んぼに爽やかな風が吹き、立秋を知る。朝影のイメージと響きが美しく、季節の移り変わりを大切に思う心がみえてくる。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
02.茄子の葉へ軽い音してにわか雨/吉田 晃
にわか雨の降り始めに、茄子の広げた葉に軽く音を立てて雨が落ち始めた。その時の様子が、リアルに伝わってくる。「軽い音」に茄子も雨も生き生きとしている様子がうかがえる。(髙橋正子)

31.いかづちや東京の夜を真っ二つ/西村友宏
大都会の東京でも雷光と雷鳴に夜空が真っ二つに割かれるような激しい雷があった。「夜」「真っ二つ」に力強さがあり、雷の力強さを示す句となった。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
22.白壁を朝顔の紺のぼりきる/川名ますみ
白壁と朝顔の紺の対比が美しい句。また、「のぼりきる」に作者の決意ともいえるような強い内省的な意志が見えて、美しさに加えてのよさとなっている。(髙橋正子)

30.赤とんぼおのおの翅をきらめかせ/多田有花
赤とんぼが群れ飛んでいる。それぞれに陽があったって、それぞれの翅が向きむきで、どの赤とんぼの翅もきらめいている。赤とんぼの世界が別世界のように思える。(髙橋正子)

35.夏晴れる瀬戸内海の田舎町/髙橋句美子
瀬戸内海の夏は、かつては塩田に象徴されたように、雨が少ない瀬戸内式気候と言われる特徴を持っている。晴れると夏の強烈な日差しが射すが、どこか細やかな陰影を見せる晴れ方である。その瀬戸内の田舎町は、古い町並みが夏陽に照らされ、特別な印象をもって、目に残るのだ。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
02.茄子の葉へ軽い音してにわか雨/吉田 晃
俄雨の中の茄子畑の様子を良く見ている。軽い音が良い。 (廣田洋一)

14.母がむく桃を頬張る帰省の子/高橋秀之
帰省した子に旬のおいしいものを食べさせたいと思う母心。童心にかえって母の気持ちに甘える子。成長した子に幼き日の面影を重ね、微笑ましく見守る作者です。 (柳原美知子)

21.朝影の田に濃きみどり秋立てり/柳原美知子
朝影の映る田の鮮やかな緑の葉がさやさやと風になびいている。初秋の爽やかな一日が始まる。(弓削和人)

22.白壁を朝顔の紺のぼりきる/川名ますみ
きっと白壁を這う朝顔が紺の花を咲かせているのでしょう。爽やかな朝の景色を感じます。(高橋秀之)

30.赤とんぼおのおの翅をきらめかせ/多田有花
夏から秋にかけて色々な種類の蜻蛉がみられます。特に赤とんぼうの初秋の強い日が翅に当たった姿は素晴らしいですね。(小口泰與)

31.いかづちや東京の夜を真っ二つ/西村友宏
東京の夜の激しい雷雨。ガラスの高層ビルの並びを雷光が照らし、雷鳴が轟きます。「真っ二つ」に雷の激しさが感じられます。(多田有花)
この夏は、東京にも、幾度か激しい雷雨が起きました。日頃は人工の灯が固まってきらきらと光る東京の夜景。大きな夜空に、天から地へ突き抜けるように電光が走った、その衝撃が伝わります。 (川名ますみ)

35.夏晴れる瀬戸内海の田舎町/髙橋句美子
昨今、瀬戸内海沿岸の小さな町や小島が、古い伝統を残す町並みと素晴らしい景観で脚光を浴びています。夏晴れの瀬戸内海の光景を思い浮かべ、そのことを思い出しました。(高橋秀之)

【髙橋句美子特選/7句】
02.茄子の葉へ軽い音してにわか雨/吉田 晃
茄子の葉の柔らかさを感じる句です。(髙橋句美子)

04,かなかなや峡の村なる母のさと/桑本栄太郎
かなかなの少しさびしい声を聞くと郷愁を覚えます。山峡の村の母の里に繋がる様々な思い出が蘇るひとときです。 (柳原美知子)

22.白壁を朝顔の紺のぼりきる/川名ますみ
きっと白壁を這う朝顔が紺の花を咲かせているのでしょう。爽やかな朝の景色を感じます。(高橋秀之)

27.溝萩のすっくと立ちて風のなか/髙橋正子
風が吹いても決して倒れることなく直立している様子が「すっくと」と言う表現で目に浮かびます。(西村友宏)

30.赤とんぼおのおの翅をきらめかせ/多田有花
夏から秋にかけて色々な種類の蜻蛉がみられます。特に赤とんぼうの初秋の強い日が翅に当たった姿は素晴らしいですね。(小口泰與)

21.朝影の田に濃きみどり秋立てり/柳原美知子
26.秋蝉の螺子のゆるみて鳴き終わる/髙橋正子

【入選/12句】
01.鵜がもぐる蒼き水輪の海は秋/吉田 晃
鵜にはカワウとウミウがいますがこれはウミウなのです。もぐってさかんに魚をとっています。その海もしだいに秋めいてきています。(多田有花)

07.朝涼や一湖と吾のほかになし/弓削和人
早朝の空を映すひろびろと澄んだ湖に一人佇み、朝風に吹かれる。この上ない朝涼の景です。(柳原美知子)

15.機上から青き山頂夏の富士/高橋秀之
富士山の上を飛ぶ飛行機の旅。冠雪時期は白い山頂ですが、夏場は青い山頂です。ここにも日本の夏があります。(多田有花)

16.山の日や湯煙高く露天風呂/廣田洋一
山に登って山の露天風呂を楽しむのは山登りの大きな楽しみのひとつです。麓に下りてそこの露天風呂から今登った山を仰ぐのもまたよし。(多田有花)

18.秋の蝉命の限り鳴き続け/廣田洋一
夏蝉に続いて秋を知らせてくれる蝉も七年もの土の中から地上に出てきて、ほんの短い期間を樹々を渡って命の限り鳴き声を聞かせてくれる。その最後の
声を心して聞きたいものです。 (柳原美知子)

24.新涼やけさ心地好き朝寝坊/川名ますみ
これ迄熱帯夜が続き、寝苦しかったもののここ数日、漸く朝方は涼しくなって参りました。涼しい朝方の心地よい睡眠に、朝寝坊を楽しむ作者が見えます。如何にも新涼の心地である。 (桑本栄太郎)

28.昼寝より覚めれば法師蝉の声/多田有花
昼寝はある意味至福のひととき。その昼寝から目覚めると聞こえてくるのは法師蝉。残暑厳しき中にも確実に秋が近づいてくることを感じさせてくれます。(高橋秀之)

09.大西日犬にホースの水しぶき/弓削和人
11.老鶯の声の整う沼の木木/小口泰與
19.草照らす手花火窓より愛猫も/柳原美知子
20.浄瑠璃の語りに凉し人形の所作/柳原美知子
33,ビル抜けて仕事終わりの盆の月/西村友宏

■選者詠/髙橋正子
25.夕焼けの窓を連ねて東横線
渋谷から横浜へ向かう東横線の電車。西へ行く電車の全車両の窓に夏の西日が射している。夕焼けを窓満載に横浜へ向かうのである。東横線…大学生時代を思い浮かべる、懐かしい響きである。 (吉田晃)

26.秋蝉の螺子のゆるみて鳴き終わる
勢いよく鳴いていたツクツクボウシでしょうか。だんだんと消え入るように鳴き止む様子が「螺子のゆるみて」によく表されていて面白くも儚くもあります。 (柳原美知子)

27.溝萩のすっくと立ちて風のなか
風が吹いても決して倒れることなく直立している様子が「すっくと」と言う表現で目に浮かびます。(西村友宏)

■選者詠/髙橋句美子
35.夏晴れる瀬戸内海の田舎町
昨今、瀬戸内海沿岸の小さな町や小島が、古い伝統を残す町並みと素晴らしい景観で脚光を浴びています。夏晴れの瀬戸内海の光景を思い浮かべ、そのことを思い出しました。(高橋秀之)


34.色とりどり浴衣に埋まる河川敷
36.花火の輪枝垂れ落ちて輝き散る

●互選最高点句(6点/同点3句)
02.茄子の葉へ軽い音してにわか雨/吉田 晃
22.白壁を朝顔の紺のぼりきる/川名ますみ
31.いかづちや東京の夜を真っ二つ/西村友宏

※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■8月月例ネット句会清記■

■8月月例ネット句会清記■
2024年8月11日
36句(12名)

01.鵜がもぐる蒼き水輪の海は秋
02.茄子の葉へ軽い音してにわか雨
03.好物の甘き西瓜を買いもどる
04.かなかなや峡の村なる母のさと
05.抜駆けのように鳴き居り法師蝉
06.勇気とて暑さにしぼむ草田男忌
07.朝涼や一湖と吾のほかになし
08.動かざる嶺より来る大暑かな
09.大西日犬にホースの水しぶき
10.隠沼の川蝉自由奔放に

11.老鶯の声の整う沼の木木
12.鮎提げ駆け来る園児顔さやか
13.立秋や青空見上げて深呼吸
14.母がむく桃を頬張る帰省の子
15.機上から青き山頂夏の富士
16.山の日や湯煙高く露天風呂
17.秋天にしかと掴みし金メダル
18.秋の蝉命の限り鳴き続け
19.草照らす手花火窓より愛猫も
20.浄瑠璃の語りに凉し人形の所作

21.朝影の田に濃きみどり秋立てり
22.白壁を朝顔の紺のぼりきる
23.晩夏光褪せし色して足もとに
24.新涼やけさ心地好き朝寝坊
25.夕焼けの窓を連ねて東横線
26.秋蝉の螺子のゆるみて鳴き終わる
27.溝萩のすっくと立ちて風のなか
28.昼寝より覚めれば法師蝉の声
29.夕刻や秋をすすめる驟雨来る
30.赤とんぼおのおの翅をきらめかせ

31.いかづちや東京の夜を真っ二つ
32.一瞬に夜空彩る大花火
33,ビル抜けて仕事終わりの盆の月
34.色とりどり浴衣に埋まる河川敷
35.夏晴れる瀬戸内海の田舎町
36.花火の輪枝垂れ落ちて輝き散る

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

■8月月例ネット句会ご案内■

■8月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠3句
8月5日(月)午前6時~8月11日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:8月11日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:8月12日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、8月15日(月)正午~8月18日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

ご挨拶/7月月例ネット句会を終えて

今日は梅雨明けか、という予報も出ています。実際、どうなるのでしょう。梅雨が明ければ暑い本番の夏が来ること間違いなしです。暑さにはお互いに気をつけましょう。

7月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。今月は12名の皆さんにご参加いただきました。いろいろご用が色々ある中、選と丁寧なコメントをありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。コメント欄にコメントやお礼などは、まだ受け付けていますので、自由にお書きください。
これで、7月月例ネット句会を終わります。
髙橋正子
2024年7月18日