11月ネット句会入賞発表■

■11月ネット句会■
■入賞発表/2014年11月12日■

【金賞】
★清純な空の青さに小鳥来る/井上治代
「小鳥来る」ころの空の青さを「清純」と感じたのはユニーク。小鳥のかわいらしさがそう感じさせたのか。清新な青空を渡って来た小鳥が愛おしい。(高橋正子)

【銀賞2句】
★錦秋の雑木もみじに風どっと/小川和子
「風どっと」が生きている。雑木もみじの様々な色を吹き、揺るがせる風の大いなること。読めば、読み手をも風が大きく包んでくれるような気持になれる。(高橋正子)

★頂きし小さき種はハンカチに/祝恵子
植物の好きな近所の人と立話をしていて種をもらったのだろう。小さいので、ハンカチを取り出して、ハンカチに包んだ。気持が優しく、可愛らしささえある仕草。(高橋正子)

【銅賞3句】
★いきいきと立冬の朝の挨拶を/迫田和代
大変、はきはきとした句。立冬の朝を迎え、きびきびとした冬が来て、なんだか嬉しくなっている。朝の挨拶もいきいきと気持よく交わされる。(高橋正子)

★軒下に光集める吊るし柿/古田敬二
軒下の吊るし柿は、簾のようになって、暗かった軒下が柿の色で明るくなる。青空の日が当たると、まさに光を集めて輝くのだ。(高橋正子)

★初冬のメロディー報らす湯張りかな/桑本栄太郎
初冬のころは温かい風呂が恋しい。バスタブに湯が適量張られると、音楽で報せてくれる器具がある。「お風呂が沸いたよ」という、そのメロディーが何とも楽しい。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★初冬のメロディー報らす湯張りかな/桑本栄太郎
お風呂の湧きあがりを軽快なメロディーに知る現代の暮らし。寒さに向かいますが、「初冬の」の季語もよく効いて冬の日もあたたかです。 (小川和子)

★軒下に光集める吊るし柿/古田敬二
山里の吊るし柿ほど、澄んだ青空に似合うものはないと思います。あの明かるさに出会う度、しばし呆然と立ち尽くしてしまいます。光集めるという表現は、その輝かしさを見事に言い切っていらっしゃるように思います。 (福田ひろし)

★りんどうの一輪がよく陽にあたる/高橋句美子
清楚かつくっきりと力強いリンドウがいっぱいに陽を受けている。リンドウは地の恵みであり陽は天からの賜りものだ。 (小西 宏)

★日当たりの朝餉嬉しく冬に入る/桑本栄太郎
「冬に入る」季節となれば、「朝餉」の刻の日差しは、室内の奥へと伸びて、「日当たり」のいい「朝餉」となる。家族の会話も嬉しく、楽しい「朝餉」だ。季語「冬に入る」が生活と深く結びついて、いい生活句となった。(高橋信之)

★いきいきと立冬の朝の挨拶を/迫田和代
★頂きし小さき種はハンカチに/祝恵子
★清純な空の青さに小鳥来る/井上治代
★錦秋の雑木もみじに風どっと/小川和子

【高橋正子特選/8句】
★枯れてゆくさまの残菊薫りけり/小川和子
盛りの菊の薫りは勿論ですが、枯れてゆく菊にも薫りが残っている。花の生命力を思います。 (祝恵子)

★箱買いのみかんを荷台に自転車漕ぐ/高橋秀之
冬に入り、食後にお八つにいつも手元にあれば食べるみかんです。箱ごと買って持ち帰れば、子供たちの喜ぶ顔が目に浮かぶ事でしょう。 (桑本栄太郎)
冬になって、いよいよ蜜柑のシーズン。ご家族のために箱ごと買って、自転車の荷台に乗せ家へ持ち帰る。待ちわびるご家族の方々の笑顔も楽しく思い浮かべられます。 (小西 宏)
家族のための箱買いしたみかん。喜ぶ皆の姿を思いながらの、楽しい自転車での帰りです。 (祝恵子)

★いきいきと立冬の朝の挨拶を/迫田和代
★頂きし小さき種はハンカチに/祝恵子
★秋高し心が先に歩き出す/高橋信之
★軒下に光集める吊るし柿/古田敬二
★清純な空の青さに小鳥来る/井上治代
★錦秋の雑木もみじに風どっと/小川和子

【入選/9句】
★小雨のち晴れの週末おでんの香/福田ひろし
立冬ともなると晴れていても暖かくはない。まして雨が降ったあとは・・・ そんな夕餉におでんは嬉しい。  作っている時からするあの独特匂いのが堪らない。(内山富佐子)

★秋深む終着駅の箱根から/高橋句美子
晩秋、秋の気配が濃く趣が深まった小田急の終点箱根に着いて、まずはゆっくり温泉に入って英気を養ってから紅葉見学でも、と考えている作者。素晴らしい日をお過ごしになるのでしょう。 (小口泰與)
小田急線箱根行きの電車に乗り終着駅に着いてみれば、辺りはすっかり錦秋の光景である・・・。さてこれから、散策の始まりを・・とも想われ、上・中・下のそれぞれの語句から深まりゆく秋の光景へと、作者の心が動き行く様子が窺がえ素晴らしい。終着駅との措辞が効いている。(桑本栄太郎)

★土手を歩く小春の風と陽をまとい/小川和子
小春日の清々しい季節感を感じながら土手道を歩くのは、とても気持ちの良いことでしょう。 (高橋秀之)

★池の面の黄のさ揺らぐや石蕗の花/佃 康水
水辺に好んで群生する石蕗の花ですが、その黄色い花が池の面に映って頼りなげに風にゆれている。初冬の穏やかで優美な詠みが魅力です。「さゆらぐ」がいいですね。 (河野啓一 )

(故郷の山・妙高山を読む)
★立冬や妙高山の仁王立ち/ 内山富佐子
立冬を迎える頃は日の光も急に弱まり日脚も短く寒さのつのる厳しい季節になって参ります。立冬と百名山の一つ妙高山の仁王立ちとの取り合わせにより寒さに向かう一層の緊張感を感じさせ、大自然の中の堂々とした景が見えて参ります。 (佃 康水)

★雑木黄葉の窪地に鳥の声満つる/小西 宏
初冬となり、殆どの樹木が錦秋の光景です。窪地(谷地?)の中であってもそこだけは限られた明るい別天地となり、鳥達がが元気に謳歌している。 (桑本栄太郎)

★初冬のマルシェに求むフランスパン/河野啓一
晩秋から初冬になっても、日々の生活は淡々としていて変わらない。しかし、硬目のフランスパンは初冬に相応しいかも知れず、それをマルシェに求め袋からはみ出させて帰る光景は、如何にも洒落た感性である。 (桑本栄太郎)

★萩の寺に句碑見に行かん今朝の冬/矢野文彦
萩の花がまだ残っているかもしれない寺の句碑を見にきたくなった初冬の朝の作者。句碑がある萩寺と言えば、私にも懐かしい寺でもあります。 (祝恵子)

★冬ばらのみず枝をつつむ朝日かな/小口泰與
薔薇を大切に育てておられる泰與さん。薔薇の茎から、紅の柔らかなみず枝がすっと伸び、朝日が暖かく包んでいる。薔薇への細やかな愛情が感じられる。(高橋正子)

■選者詠/高橋信之
★秋高し心が先に歩き出す
晴れ渡った秋の空の下へ出かけようとする時、足より先に心が歩きだすという。心の充実感があふれだしそうにいきいきとした句。(古田敬二)
理屈でなく、言葉もなく、ただただ心と体が一緒になって歩き出す。そんな、高く澄んで大らかな秋空だったのだ。 (小西 宏)

★台風来つつありパソコン画面の緊張
★台風の眼がある今日のパソコンに

■選者詠/高橋正子
★冬はじめ一人紅茶の湯気たのしむ
まだ浅い冬のひと日にあるとは、どのようなことだろうか。とりたてての感慨があるわけではない。ただゆったりとした時の流れ。ほんの少し、冷めた空気を間接的に感じることがあるだけ。 (小西 宏)

★温室のブーベンビリアの楽園へ
大船フラワーセンターの句。「冬はじめ」の季節であったが、室外の季節とは違った冬の「温室」で、南の楽園を思わせるブーベンビリアが色とりどりの花を咲かせていた。(高橋信之)

★山茶花の花はたとえば二年生

■互選高点句
●最高点(6点)
★軒下に光集める吊るし柿/古田敬二

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)

※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆11月ネット句会清記◆


■11月ネット句会■
■清記/17名51句

01.冬ばらのみず枝をつつむ朝日かな
02.冬ざれの一朶の雲のはやきかな
03.山道の落葉にすべる小犬かな
04.日当たりの朝餉嬉しく冬に入る
05.切干の笊に日当たるテラスかな
06.初冬のメロディー報らす湯張りかな
07.誰も居ぬコート落ち葉の演舞場
08.銀杏黄葉ほとばしる色ここに在り
09.立冬や妙高山の仁王立ち
10 青い空紅葉紅葉の間から

11 香につられつましくおける菊花展
12 いきいきと立冬の朝の挨拶を
13 カルデラの裂け目に立ちて冬来る
14 小雨のち晴れの週末おでんの香
15 さらさらと湯と流る来る落ち葉かな
16 頂きし小さき種はハンカチに
17 我が街も銀杏並木の黄が続く
18 晶子の碑色づく落葉に囲まれて
19 神おわす山くっきりと今朝の冬
20 楯のごと湖面に迫る峡紅葉

21 池の面の黄のさ揺らぐや石蕗の花
22 雑木黄葉の窪地に鳥の声満つる
23 土柔らか黄金落ち葉に陽の眩し
24 道掃くも午後の楽しみ彩落葉
25 温室のブーベンビリアの楽園へ
26 冬はじめ一人紅茶の湯気たのしむ
27 山茶花の花はたとえば二年生
28 秋深む終着駅の箱根から
29 温泉に紅葉落ち浮く湯気の中
30 りんどうの一輪がよく陽にあたる

31 秋高し心が先に歩き出す
32 台風来つつありパソコン画面の緊張
33 台風の眼がある今日のパソコンに
34 初冬のマルシェに求むフランスパン
35 谷紅葉まっかに燃えて瀬音かな
36 立冬の湖を背にして彦根城
37 軒下に光集める吊るし柿
38 ちりじりに分かれることが鰯雲
39 蒼天に漆紅葉の鮮やかに
40 清純な空の青さに小鳥来る

41 秋天へ工事現場の音高し
42 いけばな展苔むす古木堂々と
43 枯れてゆくさまの残菊薫りけり
44 土手を歩く小春の風と陽をまとい
45 錦秋の雑木もみじに風どっと
46 落葉舞う音のかそけき後の月
47 柿熟れて背景の空よそよそし
48 萩の寺に句碑見に行かん今朝の冬
49 黄葉の真っ直ぐ連なる御堂筋
50 齧りかけの林檎がひとつ皿の上

51 箱買いのみかんを荷台に自転車漕ぐ

◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、11月11日(火)午後8時から始め、同日(11月11日)午後12時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、11月12日(水)正午
※2) 伝言・お礼等の投稿は、11月12日(水)正午~11月13日(木)午後6時です。

11月ネット句会のご案内

◆11月ネット句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(秋か冬の句)計3句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2014年11月7日(金)午前6時~11月11日(火)午後6時
④選句期間:11月11(火)午後6時~11月11日(火)午後9時
⑤入賞発表:11月12日(水)正午
※投句を受け付けています。

◆ご挨拶/10月ネット句会◆


◆10月ネット句会◆
ご挨拶(高橋正子/主宰)

 今月の句会は、体育の日の連休中でしが、先週の台風18号に続き、今週も大型の19号が来襲するというので、ひやひやいたしました。皆さまのところには、被害はございませんでしたでしょうか。横浜は、夜9時ごろからしばらく、本ぶりの雨と風でしたが、今朝は台風一過の青空が広がっています。今月の投句者は18名でした。入賞の皆さまおめでとうございました。選コメントをありがとうございました。先月の句会より、秋がまたひとつ深くなり、季節の進みを感じました。皆既月食あり、稲の稔りや、秋祭りの句、木の実や秋の花々の句など、めずらしい句もありました。読む楽しみも、作る楽しみもあるのが句会ですが、ネットでありながら、親しく交わる句会となっていることを、嬉しく思いました。
 総合俳誌「俳句界」10月号に花冠のネット活動を信之先生が紹介されています。日本のなかでも、あるいは世界のなかでもと言えると思いますが、ネットを利用しての句会や俳句活動は、花冠の誇るところと思います。一人ひとりのご参加があってのことです。ますます、ご健吟ください。句会の管理運営は信之先生に、互選の集計は洋子さんにお願いしました。お世話になりありがとうございました。朝夕冷え込むようになりました。風邪にはご用心なさってください。これで今月の句会を終わります。

■10月ネット句会入賞発表■


■10月ネット句会■
■入賞発表/2014年10月13日■

【金賞】
★風澄みて濠の蓮の実飛ぶを見る/小川和子
蓮の花が終わると、蜂の巣状に穴の開いた花托(かたく)となって、中の実が熟すと穴から飛び出て水に落ちる。この句の蓮は濠に咲いていた蓮。「蓮の実飛ぶ」を眼のあたりにした驚きでもあるが、「風澄みて」によって、いっそうクリアに「蓮の実飛ぶ」を見たことになった。(高橋正子)

【銀賞2句】
★幟はためき刈りたての田が匂う/藤田洋子
幟は秋祭りの幟で、そもそも秋祭りは収穫に感謝する祭りだ。稲が刈られたばかりの田が匂い、墨痕鮮やかな幟がはためき、祭りの気分も盛り上がる。在所の秋祭りの雰囲気がよく出ている。(高橋正子)

★爽やかに大東京を一望す/多田有花
東京が一望できる超高層ビルやタワーに上ったのだろう。秋気が澄み、大東京が一望できることに、爽やかさを感じ取った。また、句意がはっきりしていることも、爽やかさの一つとしたい。(高橋正子)

【銅賞3句】
★ぷちぷちと足裏にひびき木の実踏む/桑本栄太郎
散歩などで森の道などを歩くと、おびただしい木の実が落ちているのに出会う。踏み歩くと足裏に「ぷちぷち」とひびく。木の実の形、木の実の硬さが足裏に伝わってくる確かな実感がある。(高橋正子)

★カタコトと夜なべのミシン軽やかに/井上治代
夜なべは、農家では冬物の繕いや藁仕事などしたが、今ではこうした夜なべは少ない。夜遅くまで起きている生活が普通になり、「夜なべ」にも、趣味的な楽しみの要素がが加わってきた。この句の夜なべに踏むミシンもカタコトと、軽やかで楽しそうだ。(高橋正子)

★コスモスの色地に零しつつ剪れり/柳原美知子
秋も半ば、コスモスが咲き誇っている。中にはすぐに散る花もある。剪りとろうとすると、花びらがこぼれ散る。その散り零れるいろいろの色が、咲く花よりも儚くて印象に残る。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】

★幟はためき刈りたての田が匂う/藤田洋子
秋祭りの風景なのであろうか。あるいは、稲刈りと合わせて田の傍に幟を立てるものなのだろうか。私は、実際にこうした風景を見たことはないのだが、収穫の喜びが晴れ晴れと祝われている情景を目の当たりにすることができます。「田が匂う」が力強く響きます。(小西 宏)
人を詠んだ句ではないのに、そこに暮らす人のぬくもりを感じる、好きな句です。路には行事の幟が立てられ、稲はまさに苅ったばかり、刈株が並んで、田ごと匂い立つよう。静かな景色に、確かな日々の営みがあります。(川名ますみ)
稲刈りを終えた里の秋祭りを迎える静かで喜びに満ちた人々の暮らしがうかがえる日本の原風景に、心安らぐ思いがします。(柳原美知子)

★蔓細工の籠に重ねて青みかん/小川和子
味わいのある籠に重ねられたみかん。つやつやと輝きおいしそうです。実りの秋に感謝したいと思います。 (井上治代)

★俎板に軽き音立て秋祭り/藤田洋子
そうですよね、お祭りの外の賑やかさを詠むことが多いですが、家内のご馳走づくりも祭りのものですね。力を入れずに「軽き」がとても素敵です。 (祝恵子)

★乾杯のワインの美味さ赤き月/内山富佐子
先日の皆既月食ですね。夕方から夜半前までの天体ショー。今回は約1時間かけて赤い月を眺める事が出来ました。その月を仰ぎながらご家族?お友達?とワインで乾杯!美味しい!至福の一時です。 (佃 康水)

★風澄みて濠の蓮の実飛ぶを見る/小川和子
蓮の実は実に奇妙な形をしている。実際に飛ぶ光景を見た事はないものの、秋晴れの爽やかな日にポンと音を立てて飛ぶと聞いた事がある。あの多連装の銃口のような形状から飛ぶ事を想えばさもありなんと想え、そこに秋の豊かな詩情が生まれた。 (桑本栄太郎)

★妹も泥に網入れ蘆の花/小西 宏
おそらく上のお子さんを真似ての姿でしょう。自然の中で遊ぶ子どもたちがありありと目に浮かび、心安らぐ水辺の秋の光景です。子どもたちを見守るあたたかな眼差しに、蘆の花穂がこよなく優しく感じられます。 (藤田洋子)

★ぷちぷちと足裏にひびき木の実踏む/桑本栄太郎
★爽やかに大東京を一望す/多田有花

【高橋正子特選/8句】

★幟はためき刈りたての田が匂う/藤田洋子
人を詠んだ句ではないのに、そこに暮らす人のぬくもりを感じる、好きな句です。路には行事の幟が立てられ、稲はまさに苅ったばかり、刈株が並んで、田ごと匂い立つよう。静かな景色に、確かな日々の営みがあります。(川名ますみ)
稲刈りを終えた里の秋祭りを迎える静かで喜びに満ちた人々の暮らしがうかがえる日本の原風景に、心安らぐ思いがします。(柳原美知子)

★風澄みて濠の蓮の実飛ぶを見る/小川和子
蓮の実は実に奇妙な形をしている。実際に飛ぶ光景を見た事はないものの、秋晴れの爽やかな日にポンと音を立てて飛ぶと聞いた事がある。あの多連装の銃口のような形状から飛ぶ事を想えばさもありなんと想え、そこに秋の豊かな詩情が生まれた。 (桑本栄太郎) 

★畝に座し句帳開けば百舌遠音/古田敬二
菜園作業を終えちょっと一休み。やれやれと畝に座し句帳を開くと何処からか百舌の声が聞こえてくる。そこで一句。日頃から菜園を楽しみつつ、またそれを余さず句財にされている作者が見えて参ります。空晴れて絶好の百舌日和、心身共に伸びやかです。 (佃 康水)

★稲雀辺りの屋根を逃げ場とし/佃 康水
辺りを賑わしている稲雀たち、敏感に反応しては近場の屋根に逃げてはまた下りる。その動きを楽しんでいる作者です。(祝恵子)
何に驚いたのか、そろって逃げ去り、近くの屋根に集まってようすを窺う姿をよく見かけます。そのくせ、すぐにまた刈り後の田んぼに舞い降りて来るのですね。微笑ましい秋の風景です。(小西 宏)

★東へと帰る旅路は秋の夜/高橋秀之
東へと向かっている、旅を終えての帰途の安堵感でしょうか。(祝恵子)

★カタコトと夜なべのミシン軽やかに/井上治代
★爽やかに大東京を一望す/多田有花
★コスモスの色地に零しつつ剪れり/柳原美知子

【入選/7句】
★秋の蝶吾身に触れて離れゆく/祝恵子
秋の蝶はどこか、はかなげ。ひらひらと近づいてきて、作者に触れ、どこへともなく去ってゆく。秋の日の蝶との又とない交流のひとときが思われます。(小川和子)

★あつあつの秋刀魚ふとぶと皿に余る/小西 宏
秋の味覚の王者、秋刀魚。皿をはみ出すほどの太った秋刀魚。焼き立てにカボスなどを絞って掛け、アツアツをほぐして、新米の飯を食う。どんなレストランの料理のも勝る夕餉である。 (古田敬二)

★鳥が飛ぶ秋の瀬戸内海岸線/高橋秀之
大きな景の句です。鳥の目になってどこまでも続く瀬戸内の海岸線を空から気持ちよく俯瞰しました。 (内山富佐子)

★噴煙の果てて紅葉の日和かな/小口泰與
噴煙は浅間山のものでしょうか。今日は噴煙が少なく穏やか、お天気も上々で色づき始めた紅葉が美しく山を彩っています。 (多田有花)

★月食を同窓会に秋の暮/川名ますみ
月食の夜に生まれる、旧友たちとの素敵な交流に心和みます。刻々と進む月食の感動を互いに共有しながら、深まる秋にいっそう心豊かなひとときが感じられます。 (藤田洋子)

★秋晴れに島のまわりに釣りの舟/迫田和代
瀬戸内の島でしょう。小舟が島のまわりに散らばっています。澄んだ秋空と穏やかな瀬戸の海、ほのぼのとした情景です。 (多田有花)

★銀漢や灯台の下釣り師あり/福田ひろし
雄大な景色です。天の川、灯台、釣り師と大きなところから小さなところへと視点を誘われます。 (多田有花)

■選者詠/高橋信之
★台風の眼がある今日のパソコンに
大型の台風19号は台湾と小笠原諸島との間を通過 する時には大きな台風の眼がレイダーにはっきり映りTVやPCで見ることが出来ます。今年最大の勢力で日本を縦断して大きな被害をもたらしました。(小口泰與)
先日、宇宙ステーションから撮影した台風19号の写真をネットで見ました。恐らく同じものをご覧になっての御句と思います。白い雲の中央に目がくっきりと見えていて、大型で強い台風の力を感じました。(多田有花)

★手拭の小熊の笑みよ台風去る
★台風去って街の明るい朝へ出る

■選者詠/高橋正子
★月ひとつ霧に滲んで高くあり
秋の月が、少し滲みながらも、毅然と空高く輝いている。ひとつ、高く、という言葉が厳かな雰囲気を見事に表現されているように思います。(福田ひろし)

★銀杏を割って永久のみどり色
お正月の祝い膳に翡翠色した銀杏を飾ったり、茶碗蒸しに入れたり、殻煎りしてぷちっと割って出てきた緑の実を美味しく戴くのがこれからの楽しみです。「永久のみどり色」の表現にとても新鮮な魅力を感じました。「永久の」とは「割った芯の何処までも澄んだみどり色」「何時も変わらぬ翡翠色」などの意味を表現されているのかなと透きとおる様な銀杏のみどりを思い浮かべています。(佃 康水)

★空耳と思えど里の祭笛
氏神様を祀る秋祭りは収穫の整う10月上旬に行われる事が多く、小生の田舎では10月10日に行われていた。三方に米、里芋、柿、人参ほか収穫物を乗せて供えていた。秋祭りは遷宮でもあれば露店も出て、それは大変な賑わいであった。風に乗って何処か遠くから祭笛の音が聞こえて来れば、空耳では?と思いながらも遠い懐かしい記憶が一瞬にして蘇えり、胸が躍るのである。(桑本栄太郎)

■互選高点句
●最高点(7点)
★幟はためき刈りたての田が匂う/藤田洋子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)

◆10月ネット句会清記◆


■10月ネット句会■
■清記/18名54句
※午後6時になりましたら、選句を開始してください。

01.木犀や田川の瀬音身の内に
02.噴煙の果てて紅葉の日和かな
03.目覚めたる身の節々や豊の秋
04.虫の音を遠くに聞きてしまい風呂
05.秋暑し芋の葉陰で憩いたり
06.カタコトと夜なべのミシン軽やかに
07.嵐去り秋蝶つるみ青空へ
08.蔓引けば青き香いまだ溢れけり
09.ぷちぷちと足裏にひびき木の実踏む
10.月食の土手や細りし虫の闇

11.稲雀辺りの屋根を逃げ場とし
12.電線を撓わせ並ぶ秋燕
13.街角に神輿高々秋祭り
14.俎板に軽き音立て秋祭り
15.幟はためき刈りたての田が匂う
16.秋扇巻きし毛先を揺らすため
17.月食を同窓会に秋の暮
18.タブレット越しのお喋り赤き月
19.秋蝶の低きを飛んで優しかり
20.畝に座し句帳開けば百舌遠音

21.新しき畝を秋の天道虫
22.森近くあちらこちらに吾亦紅
23.澄んだ水川の流れを橋の上
24.秋晴れに島のまわりに釣りの舟
25.蔓細工の籠に重ねて青みかん
26.風澄みて濠の蓮の実飛ぶを見る
27.半世紀経て吾に褪せぬ林檎園
28.眈々と狙い定める野分かな
29.銀漢や灯台の下釣り師あり
30.静かなる野分の前の薄き空

31.青空に芙蓉の赤のふと揺れて
32.秋の蝶吾身に触れて離れゆく
33.赤とんぼスイッと追いこし戻りくる
34.団栗のポツと地を打つ森静か
35.妹も泥に網入れ蘆の花
36.あつあつの秋刀魚ふとぶと皿に余る
37.秋晴れや玉砂利踏んで二重橋
38.秋天へぐんぐん昇るエレベーター
39.爽やかに大東京を一望す
40.鳥が飛ぶ秋の瀬戸内海岸線

41.単線の線路の隙間に狗の子草
42.東へと帰る旅路は秋の夜
43.月ひとつ霧に滲んで高くあり
44.空耳と思えど里の祭笛
45.銀杏を割って永久のみどり色
46.台風の眼がある今日のパソコンに
47.手拭の小熊の笑みよ台風去る
48.台風去って街の明るい朝へ出る
49.濠の秋鯉群がりて綾をなし
50.破蓮の水面に届く日の光

51.乾杯のワインの美味さ赤き月
52.コスモスの色地に零しつつ剪れり
53.秋天へ甲羅干したる堀の亀
54.刈田吹く風を集めて夕焼雲

◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、10月13日(月)午後6時から始め、同日(10月13日)午後9時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、10月14日(火)正午
※2) 伝言・お礼等の投稿は、10月14日(火)正午~10月15月(水)午後6時です。

10月ネット句会のご案内

◆10月ネット句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(秋の句)計3句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2014年10月8日(水)午後4時~10月13日(月)午後6時
④選句期間:10月13日(月)午後6時~10月13日(月)午後9時
⑤入賞発表:10月14日(火)正午
※投句を受け付けています。

◆ご挨拶/9月ネット句会◆

◆9月ネット句会◆
ご挨拶(高橋正子/主宰)
厳しかった今年の暑さも去り、すっかり涼しくなりました。今月の句会は、9月8日の名月のあとの句会でした。月も半月となっておりましたが、ご投句には、期待した通り、仲秋の名月の句などを含めて、深まりゆく秋を詠んだ句に出会い、嬉しくなりました。入賞の皆さまおめでとうございます。ご参加の皆さまには、選とコメントをありがとうございました。私は、選に迷うことがよくありますが、今月は、多少表現に滑らかさを欠いても、表現したい内容の力強さを優先して選びました。私自身を含めてのことですが、表現の不十分さは、時間を置いたり、推敲したりして補うように努めないといけないと思います。コメントですが、選んだ句のコメントを書いていると、その句の良いところがますますはっきりしてくるように思います。悪いところに気づくこともありますが。句会がこうしたことのよい勉強の場であるよう願います。新しい人たちにも楽しんでいただけたことと思います。今月も句会の管理運営は信之先生に、集計は洋子さんにお世話いただきました。どうもありがとうございました。これで、9月ネット句会を終わります。

■9月ネット句会入賞発表■

■9月ネット句会■
■入賞発表/2014年9月15日■

【金賞】
★高原の空へ手を伸べ林檎もぐ/柳原美知子
「高原の空」が「太初の空」を連想させる。冷やかな高原の青空へ手を差し伸べてもぐ林檎がやはり原初の林檎のようだ。素直な表現ながら、句意のレベルは高い。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★十六夜の海に種牡蠣沈められ/佃 康水
満ちて後の十六夜の月の光が海底まで届き、種牡蠣を育てる。月の光と海水が命を育てる美しい句だ。(高橋正子)

★稲の秋遍路道にも香り立ち/河野啓一
遍路道は稲田を脇を通る道でもある。稲が熟れると、熟れ稲の香りが遍路道にも届いて、遍路を包む。遍路の祈願も叶いそうだ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★陽を受けてどんぐり朝の輝きを/古田敬二
地面に落ちたどんぐりは、陽が当たらなければにぶい茶色だが、朝日が昇り、陽が差すと、たちまち艶やかに輝く。命を得た輝きを見せる。(高橋正子)

★赤とんぼの群れに飛び込む河川敷/高橋秀之
河川敷で、赤とんぼの群れに飛び込んでしまった。その驚きとともに赤とんぼの仲間に入った不思議な嬉しさが湧く。(高橋正子)

★肩の冷え名月後に車椅子/迫田和代
名月を鑑賞して車椅子で帰ろうとすると、肩がすっかり冷えている。美しい月を見たあとのわびしさが先ほどまで見ていた月を印象づけている。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★新米研ぐ水さらさらと指伝う/藤田洋子
水加減が難しい新米の炊き方、まずは慎重に水で研ぐ。新米に対する作者の愛情が伝わってきます。 (古賀一弘)

★陽を受けてどんぐり朝の輝きを/古田敬二
澄んだ秋の朝の空気に、朝日を受ける眩しいばかりのどんぐりに、清々しい季節の喜びが伝わります。(藤田洋子)

★少年の無口に答う葛の花/高橋正子
豆の花に似た紅紫色の花が下から咲きのぼる葛の花は大きな葉に隠れがちであるが藤の花に似て美しい花と青年期の初期の男性との対比が素晴らしいですね。(小口泰與)

★新豆腐水に放てば水はじく/井上治代
一年中ある豆腐ながら、今年収穫された大豆から作る新豆腐は、やはり秋の季節ならではの味覚である。新鮮な大豆は油分を多く含み、出来た豆腐はぷりぷりとしていて弾力がある。直截な表現がリアルで良い。 (桑本栄太郎)

★高原の空へ手を伸べ林檎もぐ/柳原美知子
「空へ手を伸べ」が澄んだ秋の空気を爽やかに表現しています。そこに「林檎」の色と香りが際立って想像されます。「もぐ」という何でもない動詞が躍動します。(小西 宏)
高い所にあるリンゴに手を差し伸べる。その上は透き通った秋の空。熟したリンゴの赤とバックの秋の青空の対比が美しい。 (古田敬二)

★語らいの窓にさし込む満月光/小川和子
「語らい」の座が開放的であり、それも自然に開かれていて、「満月光」の差し込む「語らい」なのだ。隠し事がない世界はいい。自然にも、人間にも、そして神仏にも、である。(高橋信之)

★赤とんぼの群れに飛び込む河川敷/高橋秀之
この句も開放的で、自由な世界を詠んでいる。「赤とんぼの河川敷」が開放的で自由なのだが、そこへ「飛び込む」作者の開放的で、自由な世界が嬉しい。(高橋信之)

★十六夜の海に種牡蠣沈められ/佃 康水
「牡蠣」は冬の季語だが、この句の季節は季語「十六夜」の秋である。十六夜(いざよい)の海に「沈められ」とした下五の「沈められ」にいい抒情がある。(高橋信之)

【高橋正子特選/8句】
★稲の秋遍路道にも香り立ち/河野啓一
黄金色の稔田に沿って遍路道を歩けば、心地よい風と稲の香に包まれ疲れた心身を蘇らせてくれることでしょう。(柳原美知子)

★窓に響く祭太鼓のリズム聴く/高橋句美子
遠くに祭り太鼓が響いている。作者は家にいて、窓に届くリズムを楽しみ、聴いている。そんな、静かな祭りの楽しみ方もある。(小西 宏)

★秋風に速き流れの雲ひとつ/高橋秀之
空を眺めていると、ひとつだけ速く流れている雲に気づく。そこにだけ風が強く吹いているのだろうか。秋の空を見に行ってみたいものだ。(高橋正子)

★十六夜の海に種牡蠣沈められ/佃 康水
★ドングリの朝の輝き拾いけり/古田敬二
★肩の冷え名月後に車椅子/迫田和代
★バス降りてここより歩く秋高し/高橋信之
★高原の空へ手を伸べ林檎もぐ/柳原美知子

【入選/10句】
★神殿に波打つ音や大満月/佃 康水
神殿と海と大満月。壮大なイメージながら、音は「波打つ」それだけ。神聖な気持ちになります。(川名ますみ)
神殿にはリズムよく響く太鼓の音か何かが響いている。その神殿を照らす満月の光。秋の夜の明るさと幻想がそこにあります。 (高橋秀之)

★子に約束ふうせんかずらのハートの種/祝恵子
風船蔓から種は三つ採れますが、全体が黒くハート形の白い模様がとても可愛いですね。その種を「必ず採っておくからね」と約束されたお子様との対応にとても優しく温かいものが感じられ好きな句です。 (佃 康水)

★隙間なく里芋積まれ届きたり/川名ますみ
何を食べてもおいしく感じる食欲の秋になりました。隙間なく並べられた里芋は、「いもたき」にすると美味しいことでしょう。 (井上治代)

★稲穂そよぐ稔りの音を風に乗せ/柳原美知子
もうすぐ収穫が待たれる稲穂、なびく稔りの音が豊作の喜びになることでしょう。 (祝恵子)
たわわに稔った稲田が秋の秋風にそよいでいる。何とも豊かで爽やかな景が目に浮かぶようです。昔の田舎の秋の風情を想い出します。 (河野啓一)

★声出して論語読む人月今宵/古賀一弘
美しい満月の夜に、論語を読んでいる声が夜空に響いている様が心惹かれます。(内山富佐子)

★田一枚伸ばす散歩やきりぎりす/小口泰與
キリギリスの鳴くあぜ道を 涼しい秋風に吹かれて歩くと距離が思わずのびてしまった。その距離を田一枚とした表現が素晴らしいです。(内山富佐子)

★天然のうれしなつかし鮎の味/西村友宏
天然のアユは常に新鮮で豊かな水量を湛えた川底の石に付くコケを削り取る様にして食べて成長するのだそうですね。天然と聞くだけで新鮮に思えます。作者は故郷で天然のアユを食べた頃の事を色々と思い出し、懐かしみながら味わっていらっしゃる姿が見えて参ります。 (佃 康水)

★十五夜のまだ空蒼き嶺の奥/ 桑本栄太郎
十五夜の月が昇る。地の近くにはまだ空の青が暮れ残っている。山々の峰の影がクッキリと美しい。(小西 宏)

★どんぐりの緑ころがる風の朝/小西 宏
未だ青い小さなどんぐりが転がっているのを見かける季節になりました。「風の朝」の措辞により更に青どんぐりの新鮮さが協調され爽やかな風が吹いている秋の訪れを告げられる御句です。 (佃 康水)

★群青の空の真中に名月あり/内山富佐子
やや紫を帯びた深い青色の中天にかかった名月。澄み渡った群青の空と赤味をおびた大きな月の対比が鮮明となりました。「真中に名月あり」と言い切られた御句からスーパームーンを仰がれた感動が伝わって参ります。 (佃 康水)

■選者詠/高橋信之
★秋天のただ一枚のああ青よ
どこまでも澄んだ青空 ぬけるような雲一つない秋空 嬉しいですね。 (迫田和代)

★バス降りてここより歩く秋高し
バスを降りて、そこからはゆっくりと歩いてみる。晴れ渡る空の下に秋の景色が大きく広がっている。あるいは、その秋にじかに触れようと、わざと手前でバスを降りたのかもしれない。(小西 宏)

★秋天の隠すもの無しあっけらかん

■選者詠/高橋正子
★少年の無口に答う葛の花
豆の花に似た紅紫色の花が下から咲きのぼる葛の花は大きな葉に隠れがちであるが藤の花に似て美しい花と青年期の初期の男性との対比が素晴らしいですね。(小口泰與)

★見渡して花ひとつなき葛ケ原
★秋の野に遊びて夜の薬風呂

■互選高点句
●最高点(6点/同点2句)
★高原の空へ手を伸べ林檎もぐ/柳原美知子
★新豆腐水に放てば水はじく/井上治代

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)

※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆9月ネット句会清記◆

■9月ネット句会■
■清記/20名60句

01.十五夜のまだ空蒼き嶺の奥
02.彼岸花大地の憤怒やも知れず
03.秋澄むや肺の奥まで丘の風
04.福耳でおはす観音照紅葉
05.声出して論語読む人月今宵
06.暫くと書きて筆措く紅葉宿
07.道々に城見える町子規忌来る
08.えのころを手に夕風の川に沿い
09.新米研ぐ水さらさらと指伝う
10.田一枚伸ばす散歩やきりぎりす

11.秋風や暗記せしこと早忘る
12.芝刈り機小石とばすや鉦叩
13.神殿に波打つ音や大満月
14.十六夜の海に種牡蠣沈められ
15.筏曳き漁船沖ゆく鰯雲
16.ドングリの朝の輝き拾いけり
17.陽を受けてどんぐり朝の輝きを
18.我が街も今朝から椎の実零れ初む
19.少年の無口に答う葛の花
20.見渡して花ひとつなき葛ケ原

21.秋の野に遊びて夜の薬風呂
22.本堂を抜ける風あり秋澄めり
23.ぶどう棚路地の店舗の京人形
24.子に約束ふうせんかずらのハートの種
25.群青の空の真中に名月あり
26.忙しや花粉だんごの秋の蜂
27.新さんまどの海見つめていたのやら
28.ちちろ鳴く狭庭の隅に木漏れ日が
29.稲の秋遍路道にも香り立ち
30.鄙の里鐘の音遠く秋澄める

31.大雨に洗われしドームと赤とんぼ
32.山近く明るく揺れる芒原
33.肩の冷え名月後に車椅子
34.笙の音の秋風にのり献花式
35.新豆腐水に放てば水はじく
36.羽音たて花から花へ秋の蝶
37.秋天のただ一枚のああ青よ
38.秋天の隠すもの無しあっけらかん
39.バス降りてここより歩く秋高し
40.赤とんぼの群れに飛び込む河川敷

41.秋まつり奉納花火の大きな輪
42.秋風に速き流れの雲ひとつ
43.隙間なく里芋積まれ届きたり
44.灯にひかる茄子それぞれの姿して
45.枝豆のポタージュスープ青さらり
46.語らいの窓にさし込む満月光
47.宿半天羽織りて友と花野ゆく
48.身にしむやコスモスかくも愛らしく
49.窓に響く祭太鼓のリズム聴く
50.秋の風ふわりと流れ高き雲

51.秋晴れて紅白トランプに拍手湧く
52.疲れた体にすかっと爽快ソーダ水
53.雨上がり西瓜が涼しく並んでる
54.天然のうれしなつかし鮎の味
55.どんぐりの緑ころがる風の朝
56.風清き小さな庭に秋のバラ
57.敬老の日の絵手紙の幼き字
58.満月光稲田の水を煌めかす
59.高原の空へ手を伸べ林檎もぐ
60.稲穂そよぐ稔りの音を風に乗せ

◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、9月14日(日)午後6時から始め、同日(9月14日)午後9時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、9月15日(月)正午
※2) 伝言・お礼等の投稿は、9月15日(月)正午~9月16日(火)午後6時です。