7月ネット句会清記


7月ネット句会清記
17名51句

01.青空の玉巻く葛のよる辺かな
02.リセットのやうな大雨夏台風
03.あの蟻の穴や如何にと大雨に
04.歩くこと嬉しきあかご万緑へ
05.夏落葉風に弾みし硬き音
06.朝空へ百日紅撒く大通り
07.凌霄の樟に高々三つ四つ
08.空蝉や碧き地球の果てまでも
09.雲の峰赤強くなり辛夷の実
10.夏台風庭木支える杭を打ち

11.初蝉や町の札所に三声ほど
12.踏板を起こせば蟻の騒ぎかな
13.裸子の逃げ足速しバスタオル
14.昇り来る日の壮大の青田かな
15.浅間から夕べの風や風露草
16.何時までも深い哀しみ原爆忌
17.青々と青蔦茂る道を行く
18.カミソリのような風吹く樹陰かな
19.摘みたての紫蘇も合わせてジューサーに
20.収穫はトマト・胡瓜と雨の露

21.蓮花に止まり雀のきてはやす
22.風雨過ぎ初蝉の窓開け放つ
23.紫陽花を剪りつつ水の香を散らす
24.青梅雨の仏間にマッチ擦る匂い
25.夏嵐電車のすべて止まりたる
26.水音高し夏の嵐の去りし後
27.台風過青葉の枝の散乱す
28.竹立てて流しそうめんデイの午後
29.青空に今朝咲き出でぬ百日紅
30.夏の瀬戸島影巡る船の旅

31.停車駅車両に夏の風通る
32.雨上がりが合図のように蝉の鳴く
33.江ノ電と海岸線と夏の空
34.三角の水無月菓子の涼しさよ
35.日盛りの参道日傘増えゆけり
36.日盛りの病名癌もあっけらかん
37.朝間より物の影濃く梅雨明くる
38.砂丘メロン冷やすゆかしき従姉妹たち
39.寮生でありし彼の日の夾竹桃
40.蝙蝠の無様に飛ぶも気ままなり

41.梅雨晴れ間我が物顔に犬吠ゆる
42.峰雲のさらに上過ぐ機影かな
43.正午告ぐメロディー乗せて青田風
44.雨上がり水路に映る夏の雲
45.花南瓜明日咲く蕾地に立てり
46.煮こぼるる麦茶の香り今日始まる
47.明易や音の大きな母の杖
48.一人居や風鈴の音家中に
49.梅雨降れる妻入院のその朝は
50.梅雨降れる吾も表参道の群に

51.梅雨降れる横浜も東京も

◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、7月20日(月)午後6時から始め、同日午後9時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、7月21日(火)午前10時
※2) 伝言・お礼等の投稿は、7月21日(火)午前10時~7月22日(水)午前10時です。

▼正子先生の入院・手術のために、<7月ネット句会>の予定に多少のずれがありますので、ご了承ください。

◆7月ネット句会のご案内◆

◆7月ネット句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(夏の句)計3句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2015年7月17日(金)午後6時~7月20日(月)午後6時
④選句期間:7月20日(月)午後6時~午後9時
⑤入賞発表:7月21日(火)午前10時

※予定が多少ずれましたが、ご了解ください。

◆ご挨拶/6月ネット句会(句会主宰:高橋正子)◆


6月ネット句会は、特に行事をテーマにした句会ではなく、通常の月例句会でした。梅雨に入り、梅仕事やらっきょうを漬けたり、主婦の方はいろいろお忙しい日々を過ごしておられると思います。菜園を作っておられるかたは、新じゃがいもの収穫などうれしい句材も揃ったご様子。生活を詠むということは、メリハリも必要なことと思われますが、これが意外と難しいことだと思います。今月は、先月より一人多い15名の方が句会に参加されました。投句、選、コメントとありがとうございました。月例句会を楽しみにされているかたがおられ、マンネリになりがちなことを反省しつつ、継続は大事と思いつつ作業をしました。思えば月例ネット句会もずいぶん続いております。句会の管理運営は信之先生に、互選の集計は藤田洋子さんにお願いいたしました。来月7月の句会を楽しみにお待ちください。これで、6月ネット句会を終わります。

■六月ネット句会入賞発表■


■6月ネット句会■
■入賞/15名45句

■入賞発表/2015年6月21日
【金賞】
★なだらかに百合は海へと続きおり/祝 恵子
バスや車、電車などで出かけると、山肌の斜面に白い百合が雪崩れ咲いているのを見かける。私の経験では、松山自動車道を通るときに、こういった光景をよく見た。今では、懐かしい風景として蘇る。百合と海との取り合わせに清潔さがあって、すがすがしい。望郷の思いも重なる。(高橋正子)

【銀賞2句】
★枇杷熟れて吾に望郷つのりけり/桑本栄太郎
枇杷の実が熟れると、灯をともしたような色になる。田舎ではどの家にもというほど、枇杷があった。枇杷の実は子どもの楽しみでもあった。その夢見るような優しさは、望郷の思いをつらせる。(高橋正子)

★ロープーウェイ眼下は若葉の広がりし/高橋秀之
ロープウェイで吊られてゆくと、眼下には若葉が広がっている。明るい若葉の上をよぎることなど、ロープウェイでないとできないことだ。眼下に広がる若葉を楽しんでのことだ。(高橋正子)

【銅賞3句】
★合歓咲きて丘の一隅灯したり/ 佃 康水
丘の上に合歓の花が咲いた。淡い薄桃色の合歓の花が咲くと、丘の一隅が灯をともしたように明るくなる。合歓を見る人は、ともし火のような優しさに包まれる。(高橋正子)

★しんじゃがの籠重たくて畦を行く/古田敬二
しんじゃがを収穫した籠を下げて畦を行く。たくさん収穫できた喜び。しかし、下げれば重い籠に苦心して帰る道々。まだ土の乾かないようなしんじゃがは、作った人でないと味わえない。さぞやおいしいことだろう。(高橋正子)

★うるわしき大洲盆地や若葉風/井上治代
大洲盆地は、その中心を肱川が流れ、霧が発生することでも有名だ。夏にはこの川で鵜飼があり、川ほとりには大洲城がある。盆地を埋める豊かな若葉。その若葉を風が吹くと、「うるわしき哉、大洲盆地」となる。故郷賛歌。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★まな板にのせて収穫初胡瓜/祝 恵子
自家製の胡瓜が実り、初めて収穫され、今、まな板に載っています。何のご馳走が出来るのでしょうか。収穫の喜びと主婦らしい眼差しを感じます。 (佃 康水)

★ロープーウェイ眼下は若葉の広がりし/高橋秀之
若葉とロープウエイに的を絞って大景を俯瞰された詠みに惹かれました。 (河野啓一)

★蜻蛉生る狭庭の隅やビオトープ/河野啓一
庭の隅にある小さなビオトープから蜻蛉が生まれます。小さくても身近なところに生命の神秘があります。(高橋秀之)

★枇杷熟れて吾に望郷つのりけり/桑本栄太郎
★なだらかに百合は海へと続きおり/祝 恵子
★しんじゃがの籠重たくて畦を行く/古田敬二
★うるわしき大洲盆地や若葉風/井上治代
★夕立のあとのいつもの街を歩く/高橋正子

【高橋正子特選/8句】
★湖は夏櫂の雫も風に乗り/河野啓一
湖の水の上を渡って匂うような爽やかな風が吹き、ボートに乗っている若い二人の櫂も気の合った漕ぎ方でスイスイと進み、櫂から飛び散る水滴も風に乗ってとっても気持良さそうです。 (小口泰與)

★道端に瞳涼しき石仏/井上治代
瞳のすずやかな石仏に会われ、足を止められ、話しかけられたりしておられるのかなと推察いたしました。 (祝 恵子)

★雨上がりの空へ向かって夏の蝶/高橋秀之
雨の多い季節,蝶は翅を濡らし重たそうにしています。雨が上がれば翅を乾かすかの様に空に向かって飛ぶ活き活きとした夏の蝶の姿が見えて参ります。(佃 康水)

★糠漬の夏の野菜と白米と/迫田和代
むしむしとした夏、些か食欲も衰え勝ちです。そんな時、胡瓜、茄子などの夏野菜の糠漬と白いご飯が有れば食が進みます。糠漬と白米のみに焦点を当て、後は何も言わなくても日本人ならではの食事、これからの猛暑も乗り切れそうですね。(佃 康水)

★ラムネ買い水色ガラスの音がする/高橋句美子
ラムネを買われた作者、実際に音を鳴らされたのか或いはまた、ラムネの水色のビンの形、ラムネの栓、ガラス玉の音、抜く時のしゅっ!とした音、など等懐かしい思い出のイメージが浮かんで来られたのでしょうか。遠い夏の日の涼しい音が甦って参りました。(佃 康水)
ラムネは子どもの頃に飲んだ記憶があります。飲んだ後でビンを揺らして、ビー玉の音を楽しんでいました。「水色ガラスの音がする」という表現が涼しげで「夏が来た」という感じがします。 (井上治代)

★枇杷熟れて吾に望郷つのりけり/桑本栄太郎
★なだらかに百合は海へと続きおり/祝 恵子
★合歓咲きて丘の一隅灯したり/ 佃 康水

【入選/5句】
★雷鳴や雹の飛び交う厩橋/小口泰與 
ここ数年、温暖化のせいでしょうか?全国至る所で異常気象の発生です。先日の関東地方を襲ったダウンバースト現象のようですが、雷鳴と共に雹が降り、大変な被害でした。厩橋との地名も効いていて異常気象の緊張感を巧みに詠まれました。 (桑本栄太郎)

★田植え終う里鎮もりて満月光/柳原美知子
田植えの終わった広々とした水田。その静持ったみなもを満月の光りが静かに照らす。平和な農村風景である。 (古田敬二)

★亀そろい甲羅を干すや梅雨晴れ間/多田有花
雨の後の青さが増した空の下で、亀が並んで甲羅を干している様子がユーモラスな感じがして、楽しい句だと思いました。(井上治代)

★万緑の大山崎や蒸留所/桑本栄太郎
JR京都線に乗って大阪から京都に向かう途中にサントリーの蒸留所が見えます。都会からわずかの距離なのに、緑が濃くほっとする景色が広がっています。あああのあたりだなと思う御句です。(多田有花)

★不死鳥のフェニックス揺れ墜栗花雨/谷口博望
植物のフェニックスの名がエジプト神話の不死鳥のフェニックスと同じなので、「不死鳥のフェニックス」と言った。蘇鉄似た、それよりも大きな葉を広げ、風を受けて大きくそよぐ。墜栗花雨は、「ついりあめ」と読む。フェニックスが揺れているのは墜栗花雨のせい。(高橋正子)

■選者詠/高橋信之
★芍薬のピンクが白に近い色
美しい芍薬の花白に近いピンク色にぱっと咲いて周りを華やかにする。淡いピンクを白に近い色と言われたのもいいですね。 (迫田和代)

★栃の木の紅花立てて街路樹に
栃の木は高木で大きな葉を付け,花は円錐状に空へ向かって立ち上がっています。
植物公園で初めて見た時、正子先生の句にも有りました様に本当に豊かな気持ちになりました。その栃の花が日常的に街路樹に見られるのは嬉しいです。(佃 康水)

★花蜜柑の匂い池への斜面を流れ

■選者詠/高橋正子
★欅並木梅雨をきらきら滴らす
梅雨の欅並木を軽快に歩む詠者。雨滴がきらきらと輝く様子を眺めるのも梅雨ならではの楽しみです。生き生きとした梅雨の季節の生活が感じられます。 (柳原美知子)

★夕立のあとのいつもの街を歩く
「いつもの街」がよく効いていると感じます。
日々暮らす自分の生活する街、夕立はその街に新鮮な風を運びます。雨上がりのさっぱりとした景色の中を歩く心地よさが伝わってきます。(多田有花)

★休憩に真正面の夕焼けへ

■互選高点句
●最高点(6点)
★道端に瞳涼しき石仏/井上治代

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

6月ネット句会清記


2015年
6月ネット句会清記
15名45句

01.雷鳴や雹の飛び交う厩橋
02.妖怪の仕業の如き雹降れり
03.窓ガラス叩き割りたる雹の数
04.万緑の大山崎や蒸留所
05.枇杷熟れて吾に望郷つのりけり
06.あれそれと主語なき会話梅雨ぐもり
07.医学部の献体の碑や枇杷熟るる
08.赤レンガ木斛の実の熟れ初むる
09.不死鳥のフェニックス揺れ墜栗花雨
10.高原を抜けて夏山登山口

11.亀そろい甲羅を干すや梅雨晴れ間
12.緑なす谷に響きし不如帰
13.なだらかに百合は海へと続きおり
14.まな板にのせて収穫初胡瓜
15.水足せば流れに沿うて目高たち
16.合歓咲きて丘の一隅灯したり
17.高啼きて鴉を威嚇親つばめ
18.背の音へ闇やわらかし初蛍
19.ロープーウェイ眼下は若葉の広がりし
20.雨上がりの空へ向かって夏の蝶

21.冷蔵庫開けて麦茶の一気飲み
22.合歓の花見上げつひとり丘の道
23.湖は夏櫂の雫も風に乗り
24.蜻蛉生る狭庭の隅やビオトープ
25.境内の紫陽花の花生々と
26.糠漬の夏の野菜と白米と
27.田植えすみ水に映った深い空
28.しんじゃがの籠重たくて畦を行く
29.湧き出ずる淡き紅合歓の花
30.合歓見れば優しき心が湧いてくる

31.滔々と清き流れや夏来る
32.道端に瞳涼しき石仏
33.うるわしき大洲盆地や若葉風
34.夕立のあとのいつもの街を歩く
35.休憩に真正面の夕焼けへ
36.欅並木梅雨をきらきら滴らす
37.栃の木の紅花立てて街路樹に
38.芍薬のピンクが白に近い色
39.花蜜柑の匂い池への斜面を流れ
40.梅雨冷の海風強く吹き渡る

41.梅干しのおにぎりうれし急ぎ帰宅
42.ラムネ買い水色ガラスの音がする
43.堀流る水を弾いて夏つばめ
44.ヒメジョオン真白土塁の松影に
45.田植え終う里鎮もりて満月光

◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、6月21日(日)午後6時から始め、同日午後9時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、6月22日(月)午前10時
※2) 伝言・お礼等の投稿は、6月22日(月)午前10時~6月23日(火)午前10時です。

◆6月ネット句会のご案内◆

◆6月ネット句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(夏の句)計3句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2015年6月14日(日)午後6時~6月21日(日)午後6時
④選句期間:6月21日(日)午後6時~午後9時
⑤入賞発表:6月22(月)午前10時
※投句を受け付けています。

◆ご挨拶/端午ネット句会(句会主宰:高橋正子)◆

端午ネット句会にご参加ありがとうございました。入賞の皆様、おめでとうございます。今年の連休は、はじめから終わりまでお天気に恵まれました。珍しいことと思います。5日の子どもの日、端午の節句は、朝夕の風はひんやりと心地よく、昼間は薫風が吹き抜けて、本当に気持ちの良い祝日を過ごすことができました。端午に合わせのご投句に、昔ながらの懐かしい生活や風景も詠まれて、いまもこうしたことが続いていて、嬉しくなりました。私の郷里では、柏の木がなく、山帰来の葉で柏餅を作っておりました。それもかしわ餅と呼んでおりましたが、佃さんの句に、そんなことなど思い出しました。このごろ粽が手に入らなくなったのが残念です。
連休最中の句会でしたが、14名のかたにご参加いただいて、よい句会になりましたことを、お礼申し上げます。来月のネット句会を楽しみに、ご健吟ください。これで、端午ネット句会を終わります。管理運営の信之先生、互選集計の洋子さん、大変お世話になりありがとうございました。

■五月端午ネット句会入賞発表■


■端午ネット句会■
■入賞/14名42句

■入賞発表/2015年5月5日
【金賞】
★子どもの日青空からの風が吹く/高橋句美子
晴天に恵まれた子どもの日。広い青空から風が心地よく吹いてくる。屋上や高層階では、特にこんな感じだろう。青空と風を詠んでそれが、「子どもの日」らしい爽やかさとなっているのがよい。(高橋正子)

【銀賞2句】
★広い空ゆったり泳ぐ鯉のぼり/迫田和代
広い空を腹いっぱいに風をはらんでゆったり泳ぐ鯉のぼりを、その鯉のぼりと同じようにゆったりとした語調で詠んでいる。内容と言葉が、これほとぴったりと合っている句はまれだ。風をはらんだ鯉のぼりの泳ぐ音までが聞こえるようだ。(高橋正子)

★鯉のぼり尾まで丸々風のなか/川名ますみ
鯉のぼりが風を飲み込んで、丸々として吹かれている。それも、尻尾まで丸々している。風はたっぷりと尾を抜けて、丸々とした男の子を思わせる。(高橋正子)

【銅賞3句】
★柏餅夜には揃う子らのため/高橋秀之
柏餅が子供たちのために用意されている。それは、夜に揃う子供たちのためにである。昼間は、子供たちは、それぞれに、友達と遊んだり、部活動に出かけたりして揃わないが、夜にはみんな揃う今、今日の家庭の姿が、あたたかい眼差しで詠まれている。(高橋正子)

★細やかな雨に少女ら茶摘みかな/佃 康水
茶畑の茶は新芽が出そろい、若葉となって茶摘みの季節を迎えた。茶の若葉に降る細い雨が、茶摘みの季節をよく感じさせてくれる。茶摘みの少女のしなやかな指も茶葉の柔らかさを印象付けている。(高橋正子)

★夏帽子飛ばし吾影に帽子無く/祝恵子
風に夏帽子を飛ばされてしまった。足元の濃く映った自分の影は、なるほど、帽子を冠っていない。ユニークで楽しい発想の句に感服。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★父と児の連弾はずむ子供の日/佃 康水
おそらく、ピアノ教室にも通っているお子さんと父親の光景のようですね?いつもはお仕事で家には居ないパパと、長いG・Wの休みの子供の日には一緒にピアノに向い連弾のひと時を過ごしています。親子の活き活きとした子供の日が想われて、頼もしい。(桑本栄太郎)

★熟れ初めし麦サワサワと朝風に/柳原美知子
麦秋の始まりである。サワサワと乾いた音に夏の近さを感じている。さわやかな句と思います。(古田敬二)

★新聞紙折りて兜に子ら勇む/河野啓一
新聞紙で兜を折ることも珍しくなったが、男の子は兜を冠ぶらせてもらうと、自分が勇ましく思えるのだろう、勢い「勇む」ポーズをとったりする。健やかさ男児がほほえましい。(高橋正子)

★菖蒲どさっと売らる店頭すがすがし/高橋正子
スーパーに菖蒲の葉がどっさりと売られていて、そのコーナーに立つと、すがすがしい気持ちになった。買い物客も菖蒲を買い物籠に入れてカート押していたり、季節感があっていいものと思った。(自句自解)

★広い空ゆったり泳ぐ鯉のぼり/迫田和代
広い空の綺麗な空気一杯を飲み込み、悠々と泳いでいるどっしりとした鯉幟が目に浮かびます。私達までゆったりとした気持ちにさせて頂けた御句です。(佃 康水)

★夏帽子飛ばし吾影に帽子無く/祝恵子
夏帽子が風に攫われてしまった。ふと自分の影に気づくと帽子が映っていない。飛ばしたのだから影も無い筈だけれども、当然のことを詠まれた所に俳句の魅力と面白さを感じさせて頂きました。(佃 康水)

★子どもの日青空からの風が吹く/高橋句美子
子供の日は青空が晴れ渡っていました。「青空からの風が吹く」の措辞に綺麗な風の吹く爽やかさ、そして嬉しさが伝わって参ります。「子供の日」である事がまた嬉しいです。(佃 康水)

★鯉のぼり尾まで丸々風のなか/川名ますみ
風一杯を飲み込んだ鯉幟が尾の先まで丸々となって泳いでいます。丸々とした子供のふくよかさを想起させ、作者が目を細めて仰いでおられる優しい姿が見えて参ります。健やかな成長を願いたいですね。(佃 康水)

【高橋正子特選/8句】
★柏餅夜には揃う子らのため/高橋秀之
端午の節句と言えば柏餅。子らのために昔作ったそのままの柏餅を又皆が揃う子どもの日の夜のために手作りする親心が偲ばれ、家族の平和への祈りが感じられます。 (柳原美知子)

★鯉のぼり百を渡らせ川流る/柳原美知子
川の両岸を結んでたくさんの鯉のぼりが泳いでいるのは、川の流れと相まって躍動的な風景です。 (高橋秀之)

★嬬恋の雪間に泳ぐ幟かな/小口泰與
嬬恋の山々には雪が残っているが、鯉幟が高く泳ぎ、山国にも五月が来た。日本全国さまざまな風景の中で泳ぐ鯉幟が見られることであろうが、雪間に泳ぐ鯉幟もそのひとつ。農作業も、一気に活気づくことであろう。(高橋正子)

★夏雲雀ここよここよと宙で鳴く/祝恵子
青々と広がる夏空に高くあがって鳴く雲雀。宙の真ん中で、「私は、ここよここよ」と自分の居所に気づいてくれと鳴いている。「ここよここよ」と聞きなしたところが楽しく、夏空のすがすがしさが思われる。(高橋正子)

★広い空ゆったり泳ぐ鯉のぼり/迫田和代
広い空の綺麗な空気一杯を飲み込み、悠々と泳いでいるどっしりとした鯉幟が目に浮かびます。私達までゆったりとした気持ちにさせて頂けた御句です。 (佃 康水)

★鯉のぼり尾まで丸々風のなか/川名ますみ
風一杯を飲み込んだ鯉幟が尾の先まで丸々となって泳いでいます。丸々とした子供のふくよかさを想起させ、作者が目を細めて仰いでおられる優しい姿が見えて参ります。健やかな成長を願いたいですね。 (佃 康水)

★子どもの日青空からの風が吹く/高橋句美子
子供の日は青空が晴れ渡っていました。「青空からの風が吹く」の措辞に綺麗な風の吹く爽やかさ、そして嬉しさが伝わって参ります。「子供の日」である事がまた嬉しいです。 (佃 康水)

★細やかな雨に少女ら茶摘みかな/佃 康水

【入選/9句】
★テント張り河原の朝よこどもの日/祝 恵子
今日のこどもの日は、我が家も三男を連れて朝から淀川の河川敷でバーベキューに行きましたが、正に朝からテントを張っている家族連れの方がたくさんいらっしゃり、この句の光景そのまま楽しい光景でした。(高橋秀之)

★菖蒲湯や父のかひなの中に居て/桑本栄太郎
端午の節句に菖蒲湯に入るのは邪気をはらい、心身を清めるためのもので、まして父親の太い腕の中に抱かれて一緒に入る菖蒲湯は子供に安心感と安らぎを与え素晴らしいですね。菖蒲湯と父親の太い腕の中の対比が素晴らしいですね。(小口泰與)

★薫風や遮るものなき山頂に/古田敬二
遮ることない山頂にあり、.薫風を受け身も心も 爽やかそのものです。(祝恵子)

★しゃがむ背に飛び乗る少女青葉風/川名ますみ
今日は子供の日、青葉若葉の中で親御さんと子供が愉しく遊んでいる様子が目に浮かびます。少女と青葉風のとり合わせが印象的で好ましいと思います。((河野啓一)

★風無ければ鯉のぼりの尾をつかむ子よ/高橋信之 
青い空のもと風をお腹一杯に飲み込んで元気に泳いでいる鯉幟を見てこの家には男の子がいらっしゃるんだなとこちらまで元気を頂きます。しかし、風の無い時にはだらんとした姿で下がっているだけ。もし手の届く所に有れば皆ちょっと触っても見たくなります。子供が興味深々と尾を掴んで見ています。子供らしい様子が見える微笑ましい御句です。(佃 康水)

★花屋に置かれ緑青々菖蒲の葉/高橋句美子
緑青々、夏らしいですね。花屋さんの香りさえしてきます。(迫田和代)

★川風を腹いっぱいに鯉のぼり/高橋秀之
今年の連休は、青空から風が吹き渡り、堂々たる鯉のぼりを見ることができました。それが川風ならば尚のこと。鯉のぼりが「腹いっぱいに」飲み込んで、立派に泳いでいる姿が浮かびます。(川名ますみ)

★暁(あかとき)の浮き葉の濠や白き鷺/内山富佐子
暁の浮き葉の濠を背景に、たたずむ白い鷺が日本画のように詠まれ描かれて、朝涼の気が味わえる句だ。(高橋正子)

★堰落ちる水音若葉の山を包む/柳原美知子
新緑となった山の木々を育ててくれる水が応援するかのように音を立てている。「山包む」の措辞があたたかです。 (内山富佐子)

■選者詠/高橋信之
★風無ければ鯉のぼりの尾をつかむ子よ
青い空のもと風をお腹一杯に飲み込んで元気に泳いでいる鯉幟を見てこの家には男の子がいらっしゃるんだなとこちらまで元気を頂きます。しかし、風の無い時にはだらんとした姿で下がっているだけ。もし手の届く所に有れば皆ちょっと触っても見たくなります。子供が興味深々と尾を掴んで見ています。子供らしい様子が見える微笑ましい御句です。(佃 康水)

★鯉のぼりの色鮮やかに空に浮かぶ
★いちはつの一本立ちて晴れの日よ

■選者詠/高橋正子
★「とんがり帽子」の歌に目覚めて子供の日
「緑の丘の赤い屋根、とんがり帽子の時計台–」とかっての国民的歌謡が耳の中に甦ってきました。まことにこどもの日にぴったりの、元気を与えてくれる詠みかと拝察しました。(河野啓一)

★さくらんぼ熟れて輝く実となれる
★菖蒲どさっと売らる店頭すがすがし

■互選高点句
●最高点(7点)
★薫風や遮るものなき山頂に/古田敬二

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆端午ネット句会清記◆

5月端午ネット句会清記
14名42句

01.薫風や遮るものなき山頂に
02.残雪の眩しきに沿い山頂へ
03.若葉山見え隠れしてシャトルバス
04.川風を腹いっぱいに鯉のぼり
05.鴨川に観光客と鯉のぼり
06.柏餅夜には揃う子らのため
07.「とんがり帽子」の歌に目覚めて子供の日
08.さくらんぼ熟れて輝く実となれる
09.菖蒲どさっと売らる店頭すがすがし
10.風無ければ鯉のぼりの尾をつかむ子よ

11.鯉のぼりの色鮮やかに空に浮かぶ
12.いちはつの一本立ちて晴れの日よ
13.嬬恋の雪間に泳ぐ幟かな
14.夏隣今朝の浅間山(あさま)は紫紺なり
15.行く春や川瀬にまじる鳥の声
16.広い空ゆったり泳ぐ鯉のぼり
17.花舗の前どっさり置かれた夏の花
18.夜の空明るく輝く星月夜
19.踏ん張って崖の葉摘みてかたら餅
20.父と児の連弾はずむ子供の日
     
21.細やかな雨に少女ら茶摘みかな
22.熟れ初めし麦サワサワと朝風に
23.鯉のぼり百を渡らせ川流る
24.堰落ちる水音若葉の山包む
25.テント張り河原の朝よこどもの日
26.夏雲雀ここよここよと宙で鳴く
27.夏帽子飛ばし吾影に帽子無く
28.菖蒲湯や父のかひなの中に居て
29.父が居て母が居てこそ子供の日
30.武具飾る写真のありぬ子は父に
28.菖蒲湯や父のかひなの中に居て
29.父が居て母が居てこそ子供の日
30.武具飾る写真のありぬ子は父に

31.暁(あかとき)の浮き葉の濠や白き鷺
32.こどもの日お惣菜屋の店開き
33.盲目の語り部の指白躑躅
34.子どもの日青空からの風が吹く
35.花屋に置かれ緑青々菖蒲の葉
36.鯉のぼり白い尾っぽがはたはたと
37.花園に座して紅茶を風薫る
38.空高く萌ゆる姿や楠若葉
39.新聞紙折りて兜に子ら勇む
40.しゃがむ背に飛び乗る少女青葉風

41.鯉のぼり尾まで丸々風のなか
42.商店街菖蒲を握る子と母と

◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、5月5日(火)午後6時から始め、同日午後9時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、5月6日(水)午前10時
※2) 伝言・お礼等の投稿は、5月6日(水)午前10時~5月7日(木)午前10時です。

◆端午(5月)ネット句会案内◆


◆端午(5月5日、端午の節句・子供の日)ネット句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠発行所にお申し込みください。
②当季雑詠(夏)計3句、子供の日・鯉のぼりなどの句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2015年5月4日(月)午前0時~5月5日(火)午後6時
④選句期間:5月5日(火)午後6時~午後9時
⑤入賞発表:5月6日(水)午前9時
⑥伝言・お礼等の投稿は、5月6日(水)午前9時~5月7日(月)午前9時