▼12月ネット句会は、<第2回漱石忌ネット句会>と致します。(管理:高橋信之)
◆第2回漱石忌ネット句会◆
http://blog.goo.ne.jp/siki2013n
▼12月ネット句会は、<第2回漱石忌ネット句会>と致します。(管理:高橋信之)
◆第2回漱石忌ネット句会◆
http://blog.goo.ne.jp/siki2013n
◆12月ネット句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(秋または冬の句)計3句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2015年12月1日(火)午前5時~12月6日(日)午後6時
④選句期間:12月6日(日)午後6時~12月6日(日)午後9時
⑤入賞発表:12月7日(月)正午
※10・11月ネット句会中止
◆10月ネット句会中止のお知らせ◆
①高橋信之先生、高橋正子先生から連絡があり、先生のパソコンに不具合が生じたため、今回のネット句会については「中止」いたします。
②ご投句、選句については、ご自由に行ってください。投句は句会の案内のコメント欄に、選句は下の<コメント欄>にお書き込みください。
(記:高橋秀之)
◆10月ネット句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(秋の句)計3句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2015年10月5日(月)午前5時~10月11日(日)午後6時
④選句期間:10月11日(日)午後6時~10月11日(日)午後9時
⑤入賞発表:10月12日(月)正午
ご挨拶
次々に来た台風も過ぎ去って、秋らしい空が見れるようになりました。句会の皆様には、大雨の被害はございませんでしたでしょうか。水害のニュースが一日中流れて気がかりでした。
今月は16名の方が参加くださいました。ご投句から始まり、互選とコメントをありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。先月の句会は、立秋でしたがそれからひと月で、ぐんと秋らしくなりました。これからは、七草の風情や月の美しさ、あふれる秋果を楽しまれることでしょう。毎回思うことですが、ご投句には季節の変化が丁寧に詠まれて、季節のある国にいる幸せを思いました。
句会の管理運営は信之先生に、また、互選の集計は藤田洋子さんにお世話になりました。ありがとうございました。これで9月ネット句会を終わります。
■2015年9月ネット句会■
■入賞発表/2015年9月14日
□入賞/16名21句
【金賞】
★水澄みて今日を新たに迎えけり/内山富佐子
水澄む日となった。そんな日は、気持ちも新たに今日を迎える。日々心新たにさせてくれる水澄む秋である。すっきりとした心境の句だ。(高橋正子)
【銀賞2句】
★ひとしきり萩と吹かれて丘の上/藤田洋子
萩の咲く丘に佇むと、萩が風に吹かれている。ひとしきり萩と同じ風に吹かれてみる。身の内までさわさわと萩の風が吹くようだ。(高橋正子)
★朝の窓鰯雲へと開け放つ/柳原美知子
朝の窓を開ける。開けると鰯雲の空が広がる。高く、広々と広がる鰯雲へと心を開け放ったような気持になる。ひろやかな句だ。(高橋正子)
【銅賞3句】
★多摩川の嵩増し蒼し颱風過/川名ますみ
颱風が過ぎると、雨に水嵩の増した多摩川も、蒼い水となって豊かに流れている。颱風一過のあとの安心。(高橋正子)
★赤とんぼの群れに真っ直ぐ突入す/高橋秀之
「真っ直ぐ突入す」が男らしいところ。赤とんぼの群れに突入した愉快さいい。(高橋正子)
★台風の過ぎゆく空の色軽し/井上治代
台風が過ぎてゆくとき、次第に雲の色もうすれ、水色の空が見えるようになる。さほど大きい台風ではなかったのだろう。「色軽し」に台風のあとのさわやかさが読み取れる。(高橋正子)
【高橋信之特選/8句】
★瀬戸の航望む丘陵萩白し/藤田洋子
穏やかな瀬戸内海の船の旅白い萩が美しく咲き乱れている景色が浮かび上がる昔瀬戸内海を見た美しい景が思い出されました。(内山富佐子)
★秋刀魚焼く帰りの遅き子にも焼く/古田敬二
秋刀魚の美味しい季節となりました。七輪で家族の秋刀魚を目をしょぼしょぼさせながら焼いているあたたかい場面が浮かび上がってきました。(内山富佐子)
回遊魚の秋刀魚は脂がのっていて塩焼きにして柚子や大根おろしで食べるのがとても美味しいので、この時期には必ず食卓に上ります。帰りの遅い子供さんにも是非食べさせたいと言う親心と温かいご家族を垣間見る思いです。(佃 康水)
★朝の窓鰯雲へと開け放つ/柳原美知子
朝夕はすっかり秋らしくなりました。動きのある句で好きです。(古田敬二)
★ひとしきり萩と吹かれて丘の上/藤田洋子
萩の咲く丘に佇むと、萩が風に吹かれている。ひとしきり萩と同じ風に吹かれてみる。身の内までさわさわと萩の風が吹くようだ。(高橋正子)
★葛の花ふっと匂うは高みより/ 高橋正子
「葛の花」を遠くに見ることがあるが、その在りどころが確かなので嬉しい。秋の季節が確実に来たことを知らせてくれるのだ。(高橋信之)
★多摩川の嵩増し蒼し颱風過/川名ますみ
颱風が過ぎると、雨に水嵩の増した多摩川も、蒼い水となって豊かに流れている。颱風一過のあとの安心。(高橋正子)
★水澄みて今日を新たに迎えけり/内山富佐子
水澄む日となった。そんな日は、気持ちも新たに今日を迎える。日々心新たにさせてくれる水澄む秋である。すっきりとした心境の句だ。(高橋正子)
★赤とんぼの群れに真っ直ぐ突入す/ 高橋秀之
「真っ直ぐ突入す」が男らしいところ。赤とんぼの群れに突入した愉快さいい。(高橋正子)
【高橋正子特選/8句】
★台風の過ぎゆく空の色軽し/井上治代
台風の来る前の空は、暗くて重苦しい色ですが、過ぎ去ったとき、それた時の色は、軽いのです。それは実感です。良い俳句ですね。 (迫田和代)
台風一過黒々とした雲も無くなり、青空が現れ、空は夕ぐれの淡い素敵な色と太陽の光りに雲も淡い色の中にゆったりと漂っている素敵な景です。 (小口泰與)
★水澄みて今日を新たに迎えけり/内山富佐子
美しく澄んだ、秋の水にふれた折の新鮮な心地。曇りのない水、滞ることのない季に、自らの今日も「新たに迎え」る心境になります。(川名ますみ)
★目の前を右に左に赤とんぼ/高橋秀之
涼しい風が吹き始めると、どこからともなく赤とんぼの数がふえて、自由きままな感じで飛びかっています。とんぼが飛び始めると、もうすっかり秋になったという気持ちになります。(井上治代)
★朝の窓鰯雲へと開け放つ/柳原美知子
朝夕はすっかり秋らしくなりました。動きのある句で好きです。(古田敬二)
★変わらない椅子に座って虫しぐれ/迫田和代
「変わらない椅子」の措辞がいいですね。夜の静かな一時、何時もの椅子に座っていると澄み切った虫の音がやがて虫時雨となって聞こえて来る。椅子のみならず作者の普段からの平穏な暮らしぶりが見えて参ります。(佃 康水)
★多摩川の嵩増し蒼し颱風過/川名ますみ
颱風が過ぎると、雨に水嵩の増した多摩川も、蒼い水となって豊かに流れている。颱風一過のあとの安心。(高橋正子)
★ひとしきり萩と吹かれて丘の上/藤田洋子
萩の咲く丘に佇むと、萩が風に吹かれている。ひとしきり萩と同じ風に吹かれてみる。身の内までさわさわと萩の風が吹くようだ。(高橋正子)
★さわやかに風吹く森の中を吹く/高橋信之
「森の中」を一人歩くのが好きだ。遥かな高みに、僅かだが青い空を見て歩く。季節の移り変わりに、自然の確かな営みを見る。その確かさがいい。(自句自解)
【入選/8句】
★藪からし小さき花は可憐なり/井上治代
藪枯らしは蔓が絡んで繁茂すると藪でも枯れると云う害草と言われています。しかし、あの小さな花はとても害草とは思えないほどに可憐です。嫌な草木にも愛おしむ気持ちが持てる所。(佃 康水)
★落柿舎の裏の塚かな柿ひとつ/桑本栄太郎
如何にも秋の風情ですね。もう様子は変わっているでしょうが、以前、嵯峨野に去来の草庵を訪ねたことを想い出します。(河野啓一)
★筏曳き瀬戸をゆく船いわし雲/佃 康水
瀬戸の船がいわし雲が湧く中を、ゆっくりと筏を引きながら進んでいる。写真の世界にいるようです。 (祝恵子)
★湧きいずる霧のまにまに鳥兜/多田有花
一面に立ち込める山霧の中、鮮やかに目を引く鳥兜に深山の秋を感じます。美しくも毒草の鳥兜なればこそ、ひときわ強い存在感を放ちます。 (藤田洋子)
今の時季、霧深い山に入れば猛毒で知られるトリカブトの花を見る事が出来ます。幻想的なうす紫のその花は霧の中に見え隠れしていて、妖しくも登山者の眼を奪うようです。現場に立つ作者の、高山の霧深い光景が眼の前に鮮やかに想起されます。 (桑本栄太郎)
★水災の隣に伸びぬ鰯雲/川名ますみ
この度の豪雨による水害は、東日本大震災の津波をおもい起させ、自然の猛威を再び思い知らされました。が、自然はまたそのかたわらで、美しい鰯雲や月を見せてもくれます。被害を受けた方々に思いを馳せ、一瞬でも心慰められるようお祈り致します。 (柳原美知子)
★木の実落つ音の静けさ森の道/河野啓一
澄み切った空気が漂う森の中で、木の実の落ちる音が響きます。心が洗われるような情景です。(井上治代)
★瓢箪に並ぶ実の影映りおり/祝恵子
瓢箪に別の瓢箪の実の影が映っているところまで、よく観察されていて、たくさんの実がなっている様子がよくわかります。(井上治代)
★杉の実や銃弾の数果ても無し/小口泰與
「杉の実」を鉄砲のたま(銃弾)としたのが「杉の実鉄砲」で、鉄砲作りは、男の子に人気があった。杉の実鉄砲の他に紙鉄砲、竹鉄砲と、いろいろな鉄砲を作った。「ポンッ」と威勢のいい音が心地よく、いろんな的を目がけて楽しんだものだ。(高橋信之)
■選者詠/高橋信之
★さわやかに風吹く森の中を吹く
都会の喧騒を離れた森の中、吹き抜ける風の清々しさに、暑熱去る季節のいっそう澄んだ秋意を感じます。自然の健やかさ、透明な秋の大気に満たされる作者の姿に、さわやかな季節の喜びがあふれます。(藤田洋子)
「森の中」を一人歩くのが好きだ。遥かな高みに、僅かだが青い空を見て歩く。季節の移り変わりに、自然の確かな営みを見る。その確かさがいい。(自句自解)
★新涼の風に吹かれて喜びぬ
空は青く澄み、吹く風は涼しく、爽やかな季節になりました。「風に吹かれて喜びぬ」という表現が素直で、全身で秋を満喫している様子がよく伝わりました。(井上治代)
★穂絮飛ぶ池の向こうを風が吹き
池の周りに繁茂する草々の穂絮が風に乗り秋光に煌めきながら飛んでゆく様子、水澄む池の面のかすかな小波の音まで聞こえてきそうな爽やかな秋の情景に心洗われるようです。(柳原美知子)
■選者詠/高橋正子
★月光の曲にこおろぎ鳴き速む
こおろぎの鳴き声が、月光の幻想的な曲に合わせて速くなると感じるほどに、幻想的な雰囲気の秋の夜なのでしょう。(高橋秀之)
★葛の花ふっと匂うは高みより
葛の葉の密生する中に薄紫、薄紅色に直立の形に可愛い花を咲かせますが、葛の生茂った山か丘を散策して居られたのでしょうか?高みよりふっと匂いがしてきました。そこはかとない香りに秋を感じ取られた事でしょう。(佃 康水)
★無花果に思い出したる瀬戸の空
作者が生まれ、育ったのは、「福山」で、瀬戸内海の鞆の浦の直ぐ近くの町である。そして、学生時代以来、子育ての時期は、四国の松山で過ごした。「瀬戸の空」には、作者の人生の思いがある。(高橋信之)
■互選高点句
●最高点(7点/同点2句)
★水澄みて今日を新たに迎えけり/内山富佐子
★筏曳き瀬戸をゆく船いわし雲/佃 康水
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。
9月ネット句会清記
16名48句
01.台風の過ぎゆく空の色軽し
02.あこがれる寂光浄土秋桜
03.藪からし小さき花は可憐なり
04.杉の実や戦場数多絶えも無し
05.杉の実や銃弾の数果ても無し
06.竜胆やいろはにほへと九十九折
07去来忌の水嵩ますや渡月橋
08.いしぶみの百人百句や秋の嵯峨
09.落柿舎の裏の塚かな柿ひとつ
10.木の実落つ音の静けさ森の道
11.銀漢に祈るや遠き人の世を
12.秋出水かく激しとは知らざりき
13.筏曳き瀬戸をゆく船いわし雲
14.無花果のネット潜りて捥ぎくれる
15.冬瓜や草を褥に横たわり
16.水澄みて今日を新たに迎えけり
17.秋の昼蕎麦屋の白き暖簾かな
18.目の合ひし秋刀魚夕餉の膳にあり
19.土手道の水音のするほうずきや
20.変わらない椅子に座って虫しぐれ
21.散らばった雲間から出る月仰ぐ
22.瓢箪に並ぶ実の影映りおり
23.友といて京路を歩く白露かな
24.枯山水静かに雨を迎える秋
<剣山登山>
25.湧きいずる霧のまにまに鳥兜
26.洪水の映像を見る天高し
27.秋蝉の声の消えたる森を歩く
28.赤とんぼの群れに真っ直ぐ突入す
29.目の前を右に左に赤とんぼ
30.背伸びする窓から差し込む秋日差し
31.朝顔の閉じゆく刻を母と見る
32.多摩川の嵩増し蒼し颱風過
33.水災の隣に伸びぬ鰯雲
34.瀬戸の航望む丘陵萩白し
35.野の風に枝を重ねて萩撓む
36.ひとしきり萩と吹かれて丘の上
37.無花果に思い出したる瀬戸の空
38.葛の花ふっと匂うは高みより
39.月光の曲にこおろぎ鳴き速む
40.新涼の風に吹かれて喜びぬ
41.さわやかに風吹く森の中を吹く
42.穂絮飛ぶ池の向こうを風が吹き
43.初秋の朝の光の庭に濃し
44.秋刀魚焼く帰りの遅き子にも焼く
45.露天風呂背中と通る風は秋
46.朝の窓鰯雲へと開け放つ
47.鈴虫の声澄みわたる市の奥
48.稲穂垂れ水路一筋黄に光る
※選句を開始してください。
◆9月ネット句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(秋の句)計3句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2015年9月7日(月)午前5時~9月13日(日)午後6時
④選句期間:9月13日(日)午後6時~9月13日(日)午後9時
⑤入賞発表:9月14日(月)正午
◆9月ネット句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(秋の句)計3句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2015年9月7日(月)午前5時~9月13日(日)午後6時
④選句期間:9月13日(日)午後6時~9月13日(日)午後9時
⑤入賞発表:9月14日(月)正午
ご挨拶
立秋ネット句会に14名の方にご参加いただきました。ありがとうござます。入賞の皆様おめでとうございます。横浜は、立秋の朝は、これまでの真夏日の猛暑が少し和らぎ、気温も2.3度下がったようでした。大阪はどしゃ降りに雷が鳴っているという報告を聞きました。各地様々なお天気だったようです。まだまだ昼間は暑いですが、これから徐々に涼しくなっていってほしいものです。この暑さのなか、投句に始まり選とコメントをありがとうございました。涼しそうな吟行の句、なにげない日常のさわやかな句や立秋を詠んだ句に汗が引く思いでした。そんな句に交り、原爆忌の句にも身に染みて印象に残る句がありました。原爆は人間の尊厳を無きものにしています。
句会の管理運営は信之先生に、互選の集計は洋子さんにお世話いただきました。ありがとうございました。
また、信之先生、わたくしの術後へのお気遣いをありがとうございました。これで8月立秋ネット句会を終わります。
■2015年8月立秋ネット句会■
■入賞発表/2015年8月8日
□入賞/12名21句
【金賞】
★吊忍風を招いて売られおり/祝恵子
「風を招いて」が吊忍の本質を言いあてて涼しそうだ。吊忍自体に風を招く性質があると思える。風に吹かれているのではなく、風を招いているのだ。(高橋正子)
【銀賞2句】
★朝の虹スマホに収め子は出勤/古田敬二
出勤のために玄関を出たとたん、朝の空にかかる虹を見た。きれいな虹を思わずスマホにとって、出勤となったのであるが、虹をポケットに入れている思いだ。一日いいことがありそうだ。(高橋正子)
★雅楽の音余韻の海や月涼し/佃 康水
雅楽の音の余韻が海に響き、空には月が涼しくかかり、雅やかな中にも、あわれが感じられる。栄華を誇った平家のことが今日にも及んで偲ばれる。(高橋正子)
【銅賞3句】
★塩飴を含み風立つ草田男忌/桑本栄太郎
8月5日は中村草田男の忌日。暦の上では立秋がまじかではありますがが、実際には連日の猛暑。その熱中症対策には塩飴を口に含むことも大切です。一方では涼やかな風が吹き始めている。まさに季節の移ろいの情景を上手に詠まれ勉強になりました。 (佃 康水)
★一輪の桔梗朝陽をほしいまま/井上治代
桔梗は、秋の七草のなかでも、残暑のきびしいころから花を開く。一輪の桔梗が咲き始め、朝陽をひとりじめして、それこそ朝陽をほしいままに咲いている。ほこらしくさえ思える。(高橋正子)
★花柘榴実となる空や原爆忌/小川和子
緑のなかに紅一点としてさく柘榴の花であるが、原爆忌の8月6日の空に目をやると、柘榴の赤い花が実とを結んでいる。原爆忌のころは、柘榴も小さい実を空に結ぶのだ。原爆と聞けば、われわれはきのこ雲を思い、空へ目をやる。(高橋正子)
【高橋信之特選/8句】
★夕焼に一朶の雲の欺かず/小口泰與
「欺かず」がいい。作者の言わんとするところで、「一朶の雲の夕焼」が読者の眼前にも鮮明に浮かぶ。(高橋信之)
★塩飴を含み風立つ草田男忌/桑本栄太郎
草田男を偲んで、「塩飴」がいい。「塩飴」は草田男の味がするというのだ。(高橋信之)
★朝の虹スマホに収め子は出勤/古田敬二
奇をてらった句でないが、ユニークな句だ。日常の生活を描いた秀句で、「出勤」で一句をおさめ成功した。(高橋信之)
★夏帽子脱ぎ黙祷の席に立つ/佃 康水
眼前の情況をそのまま写生して佳句となった。作者内面の良さがそのまま句となったのだ。原爆忌に相応しい、亡き人への追悼の句である。(高橋信之)
★花柘榴実となる空や原爆忌/小川和子、
「空」がこの句の眼目であり、そこに作者の思いがある。「原爆忌」といえば、多くの人は、空を仰ぐ。(高橋信之)
★吊忍風を招いて売られおり/祝恵子
★安静の日々の背を押す今朝の秋/高橋正子
★あきらかに天は青かり原爆忌/高橋正子
【高橋正子特選/8句】
★渓を歩く滴りの音ひんやりと/小川和子
町中を離れ、渓の中を歩くと空気もひんやりとしています。聞こえてくる滴りの音も心地よく、体中にしみわたるようです。(井上治代)
★稲の花水音のせてそよぎおり/柳原美知子
今年も小さい稲の花がたくさん咲き、秋の収穫が待たれます。「水音のせてそよぎおり」という表現が爽やかで、このような光景をみると、暑い夏もなんとかのりきれそうです。(井上治代)
★川縁の水引草に風立ちぬ/藤田洋子
川の縁に楚々と咲く水引草。目立たない花ですがどこか風情がありますね。「風立ちぬ」で止められたところにも心引かれる一句です。 (小川和子)
★陶器市神官の撒く水しぶき/祝恵子
神社の境内で開かれた陶器市。神官も少しでも涼しいように勢いよく水を撒く。ホースでまくのだろう。しぶきが飛ぶ。陶器と水のとりあわせに涼しさを感じる。(高橋正子)
★一輪の桔梗朝陽をほしいまま/井上治代
★吊忍風を招いて売られおり/祝恵子
★雅楽の音余韻の海や月涼し/佃 康水
★一日を解放されて素足の吾/高橋信之
【入選/6句】
★蟻の列行くに逡巡なかりけり/小口泰與
アリとキリギリスのイソップ物語りのように、蟻さんは働きものです。暑い日射しの中でも少しも躊躇う事無く、黙々と働き続けています。どの蟻さんもそれぞれ、一生けん命に歩き廻っている様子が良く描かれている。(桑本栄太郎)
★悪政へ怒りの立ち様雲の峰/古田敬二
今の安倍政権は戦争法案を通そうとしているが、入道雲もこのことを怒っているようだ。時事俳句ですが、我々俳人も政治に無関心ではいけない筈であるという示唆。(谷口博望)
★鳥声にさそわれ森の新涼に/河野啓一
明るい鳥声も嬉しく、森の木々、森の風のさやぎに、清々しく快い初秋の涼気を感じさせていただきました。 (藤田洋子)
★湯上りの涼を奏でる窓の風/河野啓一
猛暑の1日を無事終え、ゆったりと湯上がり後の窓辺の涼風にくつろぐ至福のひととき。何気ない生活の中に、充実感が感じられます。(柳原美知子)
★鎮魂の七十年や夾竹桃/谷口博望
すっきりとした、鮮やかな詠みに強い印象を受けました。長崎の爆心地に夾竹桃が植えられていると聞いたことがあるように思います。引きかえて、力づくでいがみ合っている人間共の愚かさは何とかならないものでしょうか。 (河野啓一)
原爆により100年間は草木も生えないと言われた焦土にいち早く咲いた花が夾竹桃。復興への希望と光を与えてくれました。原爆犠牲者への慰霊の意もこめて昭和48年、広島市の花に選定されました。原爆投下70年を迎えた今年、作者の深い想いが感じられます。 (佃 康水)
★ぐっすりとよく寝た朝の蝉しぐれ/迫田和代
正に同感です。うるさい蝉しぐれも優しい目覚まし時計になりますね。 (河野啓一)
ぐっすりとよく寝た朝はさぞ心身共に爽やかなお目覚めだった事でしょう。夜明けと共に啼き始めた蝉もいのちの限りを懸命に鳴き競っています。作者も蝉も今のいのちを謳歌している様で気持ちの良い御句です。 (佃 康水)
■選者詠/高橋信之
★一日を解放されて素足の吾
夕方お仕事より帰宅、又は外出からの帰りでしょうか。自宅での素足、何とも言えない解放感が伝わってきます。 (祝恵子)
★朝食の葡萄のうまき大粒を
如何にもおいしそうな大粒の葡萄が目に浮かびます。さあ食べるぞ、と云う食欲が湧いてきます。 (河野啓一)
★朝食の葡萄に露がいきいきと
涼しい朝の朝食の葡萄に露がついている。しっかりとした露は、いきいきと光り、食欲をさそう。(高橋正子)
■選者詠/高橋正子
★今朝秋の洗面の水たまりゆく
何となく秋の気配の近付く立秋の朝、起きがけの洗顔の水がゆっくりと溜まって行く。何気ないことですが爽やかな秋の近いことを思わせる句だと思います。 (古田敬二)
★あきらかに天は青かり原爆忌
空は青かったです。でも、惨い戦争の色とは思いません。戦争の色はどす黒い赤のように思います。青い空に守られたのでしよう。好きな色ですから。 (迫田和代)
原爆投下の朝は良く晴れ渡っていました。以後、毎年かの日は晴れ、天が青いのが「広島の空」と言ってもいいかもしれません。〈昨年は珍しく雨が降りましたが〉
「あきらかに天は青かり」の措辞は原爆の痛ましい日の事を暗に語って居られる作者の気持ちが伝わって参ります。 (佃 康水)
★安静の日々の背を押す今朝の秋
予後を安静に過ごされていられる作者にとって立秋を迎え、「今朝の秋」をひとしお身にしみて受けとめたことでしょう。回復への希望がしみじみと伝わってくるようです。(小川和子)
■互選高点句
●最高点(6点)
★夏帽子脱ぎ黙祷の席に立つ/佃 康水
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。