入賞発表/花祭りネット句会


■2016年花祭りネット句会■
■入賞発表/2016年4月8日

【金賞】
★青空へ吹かれ戻らぬ飛花あまた/川名ますみ
青空へ舞い散る桜。落花はやがて塵となってそこに留まるが、青空へ吹かれて飛ぶ花びらは、遠く運ばれ、戻ることはない。「戻らぬ飛花」への深い思い。(高橋正子)

【銀賞2句】
★八重椿屋根に載せたる花御堂/河野啓一
花御堂には、この今に咲く花がどりどり集められて飾られる。少し遅れて咲く、ぽったりとした八重椿も花御堂の花となる。寺のあるところに咲く花が集められ、花屋の花も買い足して花園のようだ。(高橋正子)

★式場のオルガンの音や春爛漫/井上治代
小さな幼稚園の入園式であろうか。それとも、結婚式であろうか。式場にオルガンが奏でられる。陽が照り、桜が咲き、オルガンが歌う今こそ春爛漫だ。(高橋正子)

【銅賞3句】
★桜散る大鐘楼を吹き抜けて/古田敬二
強い風に吹かれて大寺の桜がどっと散る。大鐘楼を吹き抜けて飛び行く様は豪快とでも言おうか。たっぷりと散りゆく花だ。(高橋正子)

★雑木林差し込む明かりと鶯と/祝恵子
雑木林は芽木で薄緑に染まっているだろう。陽の光はやさしく差し込み、鶯が麗しい声で鳴く。しばらくはこの林に居たくなる優しく明るい空間だ。(高橋正子)

★手づくりの生菓子回す花の宴/佃 康水
花の宴に、手作りの生菓子が回された。季節を象った生菓子であろうから、花の宴も一層ゆかしい宴になったことだろう。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★桜散る大鐘楼を吹き抜けて/古田敬二
今年の花流しは強風でしたから、境内の桜も、勢いよく散ったことでしょう。中でも「大鐘楼を吹き抜け」る飛花には、寂しさばかりでなく、清々しさを感じます。大鐘楼から響く鐘の音のように、どこまでも渡って行きそうな、広やかな心地です。(川名ますみ)

★パリパリの大きな制服入学式/高橋秀之
五月には、八十五歳の誕生日を迎えるのだが、それでも小学校や中学校の思い出は鮮明に残っている。いい思い出なのだ。(高橋信之)
入学する子供たちはまさに成長期、直ぐに体に合わなくなってしまうので少し大きめな制服を準備します。
「パリパリの大きな制服」にその様子が伺えると共に入学の喜びも伝わって参ります。(佃 康水)

★散り急ぐ花をくぐりて灌仏会/高橋正子
「灌仏会」そして「入学式」がある4月8日には、桜の花が咲き残っている。それを私は、うれしく思う。釈迦誕生と子等の入学を祝い、うれしく思う。(高橋信之)
見事な満開の花が早や急ぐかに散っています。散る桜をくぐって灌仏会に参詣、甘茶を注がれたのでしょうか。風情に満ちた美しい景色です。(佃 康水)

★手づくりの生菓子回す花の宴/佃 康水
「手づくり」であれば、「花の宴」の会話が盛り上がる。楽しい「花の宴」となる。(高橋信之)

★雑木林差し込む明かりと鶯と/祝恵子
横浜日吉に住んでいるのだが、近くに「四季の森」という名の公園があって、そこにも「雑木林」がある。私のお気に入りの散策の場所である。(高橋信之)

★八重椿屋根に載せたる花御堂/河野啓一
★青空へ吹かれ戻らぬ飛花あまた/川名ますみ

【高橋正子特選/7句】
★式場のオルガンの音や春爛漫/井上治代
春の日が輝きわたって、万象ことごとく柔らかく明るく美しくなか、結婚式の素敵なオルガンに仲の良い新郎新婦が現れ幸せいっぱいの景が素敵ですね。 (小口泰與)

★傘たたむ落花一片つけしまま/古田敬二
雨で散った花びらが傘についたままになっているのがきれいに感じるのは、この季節ならではの風情ですね。 (高橋秀之)

★あら虹と声をたぐれば桜咲く/祝恵子
アニメ映画のような意外性とユーモアが感じられ、印象的でした。満開の桜が目に浮かびます。 (河野啓一)

★夕桜風なくて散り吹かれ散り/川名ますみ
風がなくても、あっても、桜が散る。浅いところを見て、深いところを知るのだ。現象を見て、本性を知るのだ。(高橋信之)

★今日灌仏会寺苑に花びらを敷き/高橋信之
★八重椿屋根に載せたる花御堂/河野啓一
★青空へ吹かれ戻らぬ飛花あまた/川名ますみ

【入選/4句】
★芽吹く木に雨とどまりて光り落つ/川名ますみ
この時期の雨は草木にとっては新しい芽吹きを促す嬉しい雨ですね。その雨が芽吹いたばかりの葉っぱへ留めて光を放ち雫となって落ちました。美しい活き活きとした好きな句です。(佃 康水)

★花びらをつまむ幼児や花の昼/桑本栄太郎
散り初めた花弁をつまみ上げて、しげしげと眺める幼児。小さいお子さんも交えて一家団欒の花見の景が想像されます。のどかで笑いに満ちたひとときです。 (河野啓一)

★奥利根の風の硬しや夕桜/小口泰與
花冷えの頃の風は肌寒い感じがしますが、そのことを「風の硬しや」と表現された感覚がすばらしいと思いました。奥利根という地名もこの句にぴったりだと思います。 (井上治代)

★花祭甘茶所望の四十雀/満天星
四十雀が飛んできて、花御堂をちょんちょんとつつき、まるで「私にも甘茶をください。」と言っているような様子が可愛いなあと思いました。 (井上治代)

■選者詠/高橋信之
★花御堂に花あふれさせ手を合わす
字余りですが無理なく詠まれ詩情ゆたかな御句に成るほどと教えられました。花祭りの愉しさがあふれています。(河野啓一)

★今日灌仏会寺苑ひろびろとして晴れ
★今日灌仏会寺苑に花びらを敷き

■選者詠/高橋正子
★指先の滴がきらと甘茶仏
天上を指すお釈迦様の指先が甘茶できらと光ったという一瞬の光景を捕えて素晴らしい。 (満天星)
次々と甘茶をかけられるお釈迦様、指先に雫が春の日にひかり落ちているのを見つめている、細かい視点ですね。(祝恵子)

★花御堂日がほの甘く差しいたり
釈迦誕生の「花御堂」のやさしさを詠んで、「日がほの甘く差しいたり」と捉えた。作者独自の言葉がいい。(高橋信之)

★散り急ぐ花をくぐりて灌仏会

■互選高点句
●最高点句(6点)
★八重椿屋根に載せたる花御堂/河野啓一

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆花祭りネット句会清記◆


2016年4月8日
■■花祭りネット句会清記
12名36句

01. 八重椿屋根に載せたる花御堂
02. 仏生会教えあまねく天と地に
03. れんげ咲く小川のほとりすみれ草
04. 花びらをつまむ幼児や花の昼
05. 花屑やライトアップの高瀬川
06. 散り際の色に出で居る桜かな
07. 展望台眼下は桜が一面に
08. 街灯に映える桜は七分咲き
09. パリパリの大きな制服入学式
10. 古稀迎え心安らぐ花祭り

11. 式場のオルガンの音や春爛漫
12. 夕月の白く輝き春おぼろ
13. 夕桜風なくて散り吹かれ散り
14. 青空へ吹かれ戻らぬ飛花あまた
15. 芽吹く木に雨とどまりて光り落つ
16. 欠番
17. 欠番
18. 欠番
19. 奥利根の風の硬しや夕桜
20. ごうごうの利根川(とね)や落花の限りなし

21. 翔つ鳥の合掌のさま山桜
22. 傘たたむ落花一片つけしまま
23. 池落花如意輪観音伏し目がち
24. 桜散る大鐘楼を吹き抜けて
25. あら虹と声をたぐれば桜咲く
26. 竹の秋音する方へ鹿威し
27. 雑木林差し込む明かりと鶯と
28. 散り急ぐ花をくぐりて灌仏会
29. 花御堂日がほの甘く差しいたり
30. 指先の滴がきらと甘茶仏

31. 花祭甘茶所望の四十雀
32. 対岸の紫荊恋うて昔色
33. 花吹雪もぬけの殻の城の堀
34. 今日灌仏会寺苑ひろびろとして晴れ
35. 今日灌仏会寺苑に花びらを敷き
36. 花御堂に花あふれさせ手を合わす
37. 坊守の急ぎ足さるる甘茶寺
38. 手づくりの生菓子回す花の宴
39. 咲き溢れ桜絵巻の錦帯橋

※互選を開始してください。

◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、4月8日(水)午後6時から始め、同日午後9時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、4月8日(水)午前10時
※2) 伝言・お礼等の投稿は、4月9日(木)午前10時~5月10日(金)午前10時です。

◆花祭り(4月8日、釈迦誕生の日)ネット句会のご案内◆

◆花祭り(4月8日、釈迦誕生の日)ネット句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠発行所にお申し込みください。
②当季雑詠(花祭り・春)計3句、花祭り・桜の句などを下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2016年4月7日(木)午前0時~4月8日(金)午後6時
④選句期間:4月8日(金)午後6時~午後9時
⑤入賞発表:4月8日(金)午後10時
⑥伝言・お礼等の投稿は、4月8日(金)午後10時~4月9日(土)午前10時

◆ご挨拶/雛祭りネット句会(句会主宰:高橋正子)◆


ご挨拶
雛祭りネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。入賞の皆さまおめでとうございます。
3月に入ってから、比較的暖かい日が続くようになりました。週末に向かって気温は上がっていくようですが、そのあと寒さが戻らなければいいのですが。今朝の新聞には上野公園のオオカンザクラが開いて花を見ながら通る人たちの写真が載っていました。桜や路地植えの桃が咲くまであと少しです。花桃ではない、実の生る桃の花は、ほんとうにきれいな桃色で、この桃の花の咲くのを楽しみにしています。今住んでいる日吉の丘に上れば桃畑があります。今月は、参加者が7名と少なかったのですが、雛祭りらしく、近くで話をしているような気持になった句会でした。来月の月例ネット句会は、花まつり(灌仏会)の4月8日(金)を予定しております。楽しみに、ご健吟ください。これで、雛祭りネット句会を終わります。

※金銀銅賞の皆さまには、上島祥子さんが提供してくださった和紙のシールをお送りいたします。お使いください。

入賞発表/雛祭りネット句会


■2016年雛祭りネット句会■
■入賞発表/2016年3月4日

【金賞】
★耕すやバケツに水をたんと張り/佃 康水
耕したあとにはすぐにも苗を植えたり、種を蒔いたりするのであろう。バケツに水をいっぱいにして、耕し始める。バケツにいっぱいにした水に春の暖かさ、うららかさが思われる。生き生きした句だ。(高橋正子)

【銀賞句】
★透けている和紙に包んだ雛あられ/迫田和代
和紙は、薄く漉かれて、包んだものがうっすらと透けて見える。雛あられの色が淡く和紙に透けてみやびだ。(高橋正子)

【銅賞句】
★青海苔のふりかけ芳し朝食に/井上治代
春寒のころの朝、炊き立てご飯に香りも芳しい青海苔を振りかけていただく。青海苔の香りがぷんとして、すがすがしい朝が始まる。春の朝のすがすがしさ。(高橋正子)

【高橋信之特選/6句】
★青海苔のふりかけ芳し朝食に/井上治代
美味しそう! 鮮やかな緑の青海苔を火に炙り熱々のご飯のお供に頂く。色も香りも高く一気に春の訪れを感じさせて頂きました。(佃 康水)

★空に向け桜さくらの坂道を/迫田和代
青空に向かって桜の花が咲き、美しい光景です。この句から何年か前に旅行した、吉野山の山桜の様子を思い浮かべることができました。 (井上治代)

★友からの写真は雛と幼き子/高橋秀之
子どもの健やかな成長を願う、明るく温かな家庭の様子が伺え、私も幸せな気持ちになりました。 (井上治代)

★雛の日の蛤濡れて売らるるよ/高橋正子
雛祭りのお祝いの膳にと売られる蛤、濡れて春潮の香りも漂うようです。貝合わせの雅な絵模様なども思われる雛の日のひと時です (柳原美知子)

★耕すやバケツに水をたんと張り/佃 康水

【高橋正子特選/6句】
★透けている和紙に包んだ雛あられ/迫田和代
和紙に包んだ雛あられ。緑や桃色、黄色と白、透けてとても愛らしい。見ても、食べても雛あられには特別な懐かしい思い出が甦って来た事でしょう。 (佃 康水)

★やさしさの光の中のひな祭り/高橋信之
少しずつ春らしくなり、自然もやさしい光に包まれるようになりました。ひな祭りのほのぼのとした様子が感じられます。 (井上治代)

★空に向け桜さくらの坂道を/迫田和代
★青海苔のふりかけ芳し朝食に/井上治代
★耕すやバケツに水をたんと張り/佃 康水
★豆雛寄せて楽しき段飾り/柳原美知子

【入選/2句】
★親と児の手を添え合うて雛流す/佃 康水
仲のいい親子なんでしょう。ほほえましい句ですね。手を添え合うて いいですね。 (迫田和代)

★指ほどの小さき雛と笑み交わす/井上治代
指ほどの豆雛を手にとると、その可愛らしさにおもわず笑みがこぼれる。優しさあふれる静かな雛祭りです。(柳原美知子)

■選者詠/高橋信之
★嫁がせし娘の雛飾るひな祭り
女の子のお孫さんがいらっしゃるのでしょう。代々受け継がれていく雛飾りが日本の大切な風習を思い起こさせてくれます。 (高橋秀之)

★ひなあられの袋に描かれ雛美し
★やさしさの光の中のひな祭り

■選者詠/高橋正子
★椿咲き心にほっとするものを
椿の種類は多く春を代表する神聖な木の意を込めて「つばき」に当てたという事を聞いたことが有ります。「生活する花達」の中にも詳しく解説されたり、自作の俳句も多いことなどから、作者の心には椿には特別な想いをお持ちなのでしょう。御句にその気持ちが頷けます。(佃 康水)

★雛の日の蛤濡れて売らるるよ
雛祭りのお祝いの膳にと売られる蛤、濡れて春潮の香りも漂うようです。貝合わせの雅な絵模様なども思われる雛の日のひと時です (柳原美知子)

★雛の日の宵の明かりに夕支度

■互選高点句
●最高点(4点)/同点2句
★透けている和紙に包んだ雛あられ/迫田和代
★青海苔のふりかけ芳し朝食に/井上治代

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆雛祭りネット句会清記◆


2016年3月3日
■雛祭りネット句会清記
 7名21句

01.空に向け桜さくらの坂道を
02.透けている和紙に包んだ雛あられ
03.揺れながら土手の桜と舟の旅
04.指ほどの小さき雛と笑み交わす
05.青海苔のふりかけ芳し朝食に
06.道端のムスカリ一輪あたたか
07.友からの写真は雛と幼き子
08.就活の彼ら彼女ら春の服
09.早朝の街への日差し春めいて
10.母と児の手を添え合うて雛流す

11.相対すひいなや吾子と同い年
12.耕すやバケツに水をたんと張り
13.豆雛寄せて楽しき段飾り
14.贈られし雛にそれぞれ友の面
15.春の雪ふわりと窓に降りかかる
16.雛の日の蛤濡れて売らるるよ
17.雛の日の宵の明かりに夕支度
18.椿咲き心にほっとするものを
19.ひなあられの袋に描かれ雛美し
20.やさしさの光の中のひな祭り

21.嫁がせし娘の雛飾るひな祭り

  ※互選を開始してください。

●雛祭りネット句会ご案内●


●雛祭りネット句会投句案内●
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2016年3月1日(火)午前0時~2016年3月3日(木)午後7時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:3月3日(木)午後7時~午後10時
②入賞発表:3月4日(金)正午
③伝言・お礼等の投稿は、3月4日(金)正午~3月6日(日)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

◆ご挨拶/立春ネット句会(句会主宰:高橋正子)◆


ご挨拶
今年は暖冬と言われながらも、普段雪の降らない西日本や九州にも雪が積もり、厳しい寒さが続きました。日差しは日増しに強くなって、暦の上では春となりました。少し救われるような思いです。入賞作品を拝読しますと、やはり春は来ていると知らされます。立春句会には13名の方がご参加くださいました。ありがとうございます。入賞の皆様おめでとうございます。また、選句とコメントをありがとうございました。
私は、4日は昼間の3時間ほど目黒の自然教育園へ信之先生と出かけました。森は春の光が大いに差し込んでいましたが、花らしいものは見えません。それでも探せばありました。藪椿が数花咲いていました。例年は咲いている節分草は、芽も出ておりませんでしたが、雪割いちげがちらほら咲き始めていました。それに福寿草も咲き始めていました。小鳥はコゲラが二羽枯れた蒲の茎を叩いておりましたし、大鷺も枯れ沼で餌を漁っていて、結構楽しんで帰りました。俳句となるとなかなかまとまりません。次には良い句をと思うことになりました。寒いといいながらも少しずつ暖かくなることでしょう。風邪に気を付けてご健吟ください。来月は雛祭ネット句会となります。(高橋正子)

※上島祥子さんが、和紙で出来たかわいいシールを沢山送ってくださいましたので、金・銀・銅賞と最高点を取られた方にお送りいたします。ご利用ください。

入賞発表/立春ネット句会


■2016年立春ネット句会■
■入賞発表/2016年2月4日

【金賞】
★大鉢に椿をどんと活ける店/祝恵子
椿は、瓶や大鉢に惜しみなく、どんと活けるのが似合う。春が店頭に惜しみなくある。いかにも清潔で活気ある店のたたずまいが想像できる。たっぷりとした椿が春を告げている。(高橋正子)

【銀賞句】
★水揚げてリハビリ室の花菜の黄/柳原美知子
リハビリという根気がいる治療に、気がめいることもあるだろうが、春を先駆けて菜の花が活けてある。水をよく吸い上げて黄色い花をほころばせ、元気だ。それを見るにつけ、励まされる思いだろう。(高橋正子)

【銅賞2句】
★立春や木立の影はまっすぐに/古田敬二
立春の声を聞くと、辺りはどこか、伸びやかな雰囲気になる。木立の影も健やかに真直ぐ伸びている。そのことを、技巧を凝らさず詠んだところにこの句の妙味が生まれている。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★いつまでもいつものところ鴨を見て/谷口博望 (満天星)
ただ鴨を見ている、作者のその姿がいい。(高橋信之)

★大鉢に椿をどんと活ける店/祝恵子
春を迎えてのいい句だ。他に言葉を付け加え無くてよい。(高橋信之)

★水揚げてリハビリ室の花菜の黄/柳原美知子
リハビリ室の患者さんに何気なく活けてある花菜、元気を出してくださいとの職員の方の励ましでしょうね。 (祝恵子)

★たんぽぽの咲き初めしを座して見る/祝恵子
ふと気づいた咲初めの路傍のたんぽぽに、思わず足を止め座り込んで見ている様子が目に浮かびます。(高橋秀之)

★節分の豆を家族にそれぞれ買い/髙橋句美子
節分の豆を家族の人数分それぞれに買われた優しい気持ちが見えて、「福は内!」の雰囲気が醸し出された御句です。(佃 康水)

★ふきのとう明るいみどりに刻まれる/高橋句美子
ふきのとうが土を割って花芽をのぞかせる頃となりました。花の開かない内に摘み採り、味噌汁などに散らすため刻めば明るい薄緑が広がり、また香ばしい香りを放ちます。厨に立つ初々しい主婦の姿を想像致します。(佃 康水)

★料峭や手荷物チッキに上京す/桑本栄太郎
「料峭」は、春風が寒く吹くことなのだが、「料峭」としか言いえないような気候である。日差しはすでに明るく、あたたかいように思えても風は冷たい。手荷物をチッキにして、入学や就職で故郷を離れる若者も多いだろう。嬉しさと、不安と、淋しさが混じったような気持を料峭はよく表しているのではないだろうか。(高橋正子)

★立春や木立の影はまっすぐに/古田敬二

【高橋正子特選/8句】
★春立つや川の光の流れゆく/祝恵子
小川のせせらぎが春の陽光にきらきらと輝いて流れてゆく心愉しい景。童謡「春の小川」を想い出します。(河野啓一)

★囲われて檻の猿なり雪さんさん/高橋信之
雪降る中、狭い檻の中で自由を奪われ寒さに震えているであろう猿への温かいまなざしと待春の思いが感じ
られます。(柳原美知子)

★春立ちて蒼空高く鳥渡る/河野啓一
春立ちて、蒼空の高いところを鳥が渡ってゆく。きょうより春というだけで、蒼空に光が強くなり、渡る鳥の影も濃くなる。それを素直に詠んで、好感が持てる。(高橋正子)

★いつまでもいつものところ鴨を見て/谷口博望 (満天星)
★立春や木立の影はまっすぐに/古田敬二
★ふきのとう明るいみどりに刻まれる/髙橋橋句美子
★大鉢に椿をどんと活ける店/祝恵子
★水揚げてリハビリ室の花菜の黄/ 柳原美知子

【入選/6句】
★山かげを山に映して山笑う/佃 康水
春の山の明る感じをリズム良く素敵に詠つています。素晴らしいですね (小口泰與)

★新しき靴履き初めて春立つ日/ 多田有花
パステルカラーのパンプスでしょうか?新調の春物の洋装には、その色に合わせて購入した靴を節目の立春に履き初めます。少し肌寒いものの、心が躍り出しそうです。(桑本栄太郎)
立春に合わせて新しい靴をおろしたんでしょう。今日から新たな気分で臨むことが感じられる、気持ちの良い句です。(高橋秀之)

★薄氷に風の震えし痕を見る/古田敬二 
暦の上では春になっても、まだまだ寒く早朝の池や水溜りなどに薄く氷が張る事があります。その薄氷に風の通り道とも思える模様が残っているのが見えますが「風の震えし痕」と詠まれたところに詩情を感じます。 (佃 康水)

★立春の木肌の温みに触れてみる/古田敬二
永かった冬も終わり、天地はゆるみ、芽吹こうとしている木肌の微かな温もりを感じたいということであろうか。 (満天星)

★伸びやかな赤城の裾野麦青む/小口泰與
赤城山は見たことがありませんが赤城山へ続くすそ野の春の感じが読まれていてよいと思います。(古田敬二)

★おはようのあいさつ明るく春立てる/高橋秀之
立春の暖かい日差しの中で「おはよう」と挨拶を交わし合う子ども達の声はおのずと明るく元気がよい。笑顔あふれる春の訪れです。(柳原美知子)

■選者詠/高橋信之
★丘への道丘からの道椿咲く
丘へ登る時も降りる時も美しい椿を愛で、丘から仰ぐ青空もひろびろと春の訪れが感じられる伸びやかな句ですね。 (柳原美知子)

★囲われて檻の猿なり雪さんさん
雪降る中、狭い檻の中で自由を奪われ寒さに震えているであろう猿への温かいまなざしと待春の思いが感じ
られます。(柳原美知子)

★立春の森の青空仰ぎたり

■選者詠/高橋正子
★森の道紅い椿になごみつつ
森に「紅い椿」が咲けば、森の厳しさ、淋しさは、無い。そこを下五の「なごみつつ」と詠んだのは、作者の感性であって、作者らしい句となった。(高橋信之)

★春光に蒲の穂絮の粒子めく
「粒子めく」で春光にきらめき、青空へと立ち昇る蒲の穂絮、水光る岸辺の情景が鮮やかに目に浮かびます。(柳原美知子)

★冬すぎて春が来ている榛の花

■互選高点句
●最高点(7点)
★春立つや川の光の流れゆく/祝恵子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆立春ネット句会清記◆


2016年2月4日
■立春ネット句会清記
13名39句

01.海苔掻や潮のふくらみ濡らす尻
02.料峭や手荷物チッキに上京す
03.春寒のふるさと放れ早や古希に
04.おはようのあいさつ明るく春立てる
05.窓を開け深呼吸する立春の朝
06.立春の文字は大きくネットみる
07.春立ちて蒼空高く鳥渡る
08.春立つや庭に明るき鳥の声
09.立春大吉幸祈りおるかな年男
10.いつまでもいつものところ鴨を見て

11.豆拾ひ神社廻りの節分会
12.抽斗のカナダの写真春立ちぬ
13.節分の豆や老犬まじろぎし
14.白梅の雨や和菓子の個個の色
15.伸びやかな赤城の裾野麦青む
16.立春や木立の影はまっすぐに
17.立春の木肌の温みに触れてみる
18.薄氷に風の震えし痕を見る
19.山かげを山に映して山笑う
20.白梅の蕾ひしめく空青し

21.縁起もの目につく日々や初受験
22.節分の豆を家族にそれぞれ買い
23.ふきのとう明るいみどりに刻まれる
24.春の光街に広がり窓照らす
25.春光に蒲の穂絮の粒子めく
26.冬すぎて春が来ている榛の花
27.森の道紅い椿になごみつつ
28.春立つや川の光の流れゆく
29.たんぽぽの咲き初めしを座して見る
30.大鉢に椿をどんと活ける店

31.節分の朝よく晴れて風も無し
32.快晴や冬に別れを告げる霜
33.新しき靴履き初めて春立つ日
34.立春の森の青空仰ぎたり
35.丘への道丘からの道椿咲く
36.囲われて檻の猿なり雪さんさん
37.寒明くる開花予想のテレビより
38.水揚げてリハビリ室の花菜の黄
39.立春の淡き夕焼け木の間より

  ※互選を開始してください。