ご挨拶
11月月例ネット句会にご参加ありがとうございました。月一回の月例句会を楽しみに投句いただきている方もおられます。花冠のネット句会も11月27日で満21年となりました。ネット上の句会がこれほど続いたのは例がないのではないでしょうか。皆様のご支援に感謝するほかはありません。来月の月例ネット句会は<漱石忌ネット句会>といたします。こちらに奮ってご参加ください。これで11月月例ネット句会を終わります。(主宰/高橋正子)
ご挨拶
11月月例ネット句会にご参加ありがとうございました。月一回の月例句会を楽しみに投句いただきている方もおられます。花冠のネット句会も11月27日で満21年となりました。ネット上の句会がこれほど続いたのは例がないのではないでしょうか。皆様のご支援に感謝するほかはありません。来月の月例ネット句会は<漱石忌ネット句会>といたします。こちらに奮ってご参加ください。これで11月月例ネット句会を終わります。(主宰/高橋正子)
■2017年11月月例ネット句会■
■入賞発表/2017年11月13日
【金賞】
★立冬の長き影伸び畝造る/古田敬二
立冬ともなれば、寒さも増し、物の影も長くなる。畑の畝に自分の影が映るのを見つつ、精魂込めて畝を造る。実のある力強い句だ。(高橋正子)
【銀賞/2句】
★猫呼びに出れば全き冬銀河/柳原美知子
わが家の猫はいったいいつまで遊んでいるのか。呼びにでて見れば、冬銀河が全き形に横たわっている。猫を呼びに出たお陰で、すばらしい銀河に出会えた。猫との関係も微笑ましいが、「全き」に銀河の煌めきが素晴らしい。(高橋正子)
★風連れて赤城を越ゆる冬の鳥/小口泰與
赤城颪で知られる赤城山。上空はいつも風がふいているのだろう。赤城山を越える冬の鳥は、風を連れて、風に流れるように飛んでゆく。(高橋正子)
【銅賞/3句】
★冬めくやぽん菓子音の響きくる/祝恵子
冬めくころ、米の収穫が終わったころに、ぽん菓子屋がやって来る。米を持っていけば、ぽん菓子を作ってくれる。米を弾かせる驚くほどの大きな音を聞けば、楽しくも、また懐かしくもなる。(高橋正子)
★ふるさとを遠くに想いむかご飯/桑本栄太郎
都会ではむかごも買うものだが、ふるさとでは、近くでむかごが採れた。素朴な味わいのむかご飯に遠いふるさとが思われるのだ。(高橋正子)
★冬空に流れていくよ鳥の群れ/高橋秀之
冬空に流れていくように鳥の群れが飛んでいく。鳥の群れは上昇気流に吹かれていくのだろうか。壮大な景色だ。(高橋正子)
【高橋信之特選/8句】
★立冬の長き影伸び畝造る/古田敬二
耕す自分の影も長くなり、立冬を実感しつつ精魂込めて畝造りされる姿が目に浮かび、地に足を着けて季節と共にあるお暮しが伺えます。(柳原美知子)
「立冬」という季節の節目をあきらかに感じながら、これからの新たな土壌に育まれる作物、その収穫の期待をも思われます。 (藤田洋子)
★荷に詰めて蜜柑あかるき色発す/高橋正子
いくつもの蜜柑が重なりながら箱に詰められ、きれいな色に照り輝いている。蜜柑の送り主からのやさしい気持ちも詰まっているようだ。 (高橋句美子)
★草紅葉はやも空には青き星/高橋正子
田の畦や土手の上など靴で踏みにじるのが惜しいほど美しくなる草紅葉。空には冬間近の大気が澄み青い星が数多輝いています。素晴らしい暮の秋の景です。(小口泰與)
★猫呼びに出れば全き冬銀河/柳原美知子
小と大の対比が面白い。「全き冬銀河」が鮮烈な印象です。(河野啓一)
★塩チョイと利かせ夕べはむかご飯/古田敬二
「むかご飯」の句を栄太郎さんも作っておられるが、「むかご飯」には懐かしい思う出がある。横浜に移り住んで、近くの山裾にあった「むかご」を採っきて「むかご飯」を作った。四国の田舎に住んでいた頃には、近くの川土手の藪に生えていた「ハチクの筍(タケノコ)」を好んで食した。(高橋信之)
★風連れて赤城を越ゆる冬の鳥/小口泰與
★ふるさとを遠くに想いむかご飯/桑本栄太郎
★冬めくやぽん菓子音の響きくる/祝恵子
【高橋正子特選/8句】
★晴れてきて山の紅葉の照り出せる/藤田洋子
紅葉してきた樹々、晴れてきたら、ぱっと明るくなり山並みが見えてきました。 (祝恵子)
★わが頭上高くあかるき冬黄葉/高橋信之
冬晴れの黄葉した大樹の下を通ると、心も晴れ晴れとあかるく、透けて見える青空も美しく、新たな季節を軽やかに楽しんでおられる様子が伝わってきます。(柳原美知子)
★猫呼びに出れば全き冬銀河/柳原美知子
ちょっと家を出て猫を呼びに出ると、寒さの中にくっきりと天の川が見えたという。私が住んでいる広島市内では家の近くで天の川を見たことがないので羨ましいかぎりだ。 (満天星)
★風連れて赤城を越ゆる冬の鳥/小口泰與
★ふるさとを遠くに想いむかご飯/桑本栄太郎
★冬空に流れていくよ鳥の群れ/高橋秀之
★立冬の長き影伸び畝造る/古田敬二
★冬めくやぽん菓子音の響きくる/祝恵子
【入選/10句】
★澄み渡る冬空を飛ぶヘリコプター/多田有花
下五に置いた「ヘリコプター」がいい。中七の「冬空」が季題なのだが、下五の「ヘリコプター」を主題と見てもよい。(高橋信之)
★農業祭菊の展示を見て飽かず/祝恵子
「農業祭」であれば、「菊」も身近で優しい花となる。下五の「見て飽かず」に作者の姿がありありと浮かび、リアルだ。(高橋信之)
★すすり食ぶ故郷みやげの熟柿かな/桑本栄太郎
「すすり食ぶ」がリアルで、「故郷みやげ」に甘さがないのがいい。(高橋信之)
★ゴンドラの伸びる先へと山紅葉/藤田洋子
日毎に寒さが募り、山の紅葉が美しくなり始めました。ロープウェーに乗って紅葉狩りを行えば、山紅葉が迫ってくるように綺麗です。ゴンドラという動きのある美しい景色が広がって良い。(桑本栄太郎)
★冬林檎煮込んで甘い香台所/高橋句美子
日常生活を素直に詠んだ句だ。その素直なところがいい。(高橋信之)
★たんぽぽのすつくと立ちし帰り花/廣田洋一
中七の「すつくと立ちし」がいい。「帰り花」を詠んで見事な句だ。(高橋信之)
★菊日和狭庭の香り慎しく/河野啓一
天気のよい秋晴れ庭に咲く菊でしょうか。慎ましく香りを感じる穏やかなひとときが感じられます。 (高橋秀之)
★小道行き紅葉少しずつ色変わる/高橋句美子
小道を進むにつれて、紅葉の色が少しずつ変わると感じていく。実際に変わっているのか、見慣れて変わっていると感じるのか、いずれにしても作者の感じる秋がそこにあります。 (高橋秀之)
★母恋し青空を飛ぶ百合鴎/谷口博望 (満天星)
今年もまた北方から飛来する百合鴎。冬の澄んだ青空に映える、白い百合の花のような清楚な姿に、ふと「母恋し」作者の心情がしみじみと伝わります。 (藤田洋子)
今年もまた北方から飛来する百合鴎。冬の澄んだ青空に映える、白い百合の花のような清楚な姿に、ふと「母恋し」作者の心情がしみじみと伝わります。(高橋秀之)
★一面に落葉の積もる雨あがり/高橋秀之
雨あがり、地に一面に広がる落葉の光景。雨あとの清々しさに、様々な落葉が明るく鮮やかに目に浮かびます。 (藤田洋子)
雨あがり、地に一面に広がる落葉の光景。雨あとの清々しさに、様々な落葉が明るく鮮やかに目に浮かびます。(高橋秀之)
■選者詠/高橋信之
★わが頭上高くあかるき冬黄葉
冬晴れの黄葉した大樹の下を通ると、心も晴れ晴れとあかるく、透けて見える青空も美しく、新たな季節を軽やかに楽しんでおられる様子が伝わってきます。(柳原美知子)
★冬椿白に開放感があり
★赤き実の多し万両その他も
■選者詠/高橋正子
★冬の蝶花屋の花にはばからず
蝶がやってくれば、花屋の花もいきいきと自然に帰る。下五の「はばからず」がいい。(高橋信之)
★荷に詰めて蜜柑あかるき色発す
親しき人に送るのであろうか。「あかるき色」とした言葉の表現が的確であり、かつ斬新だ。(高橋信之)
★草紅葉はやも空には青き星
田の畦や土手の上など靴で踏みにじるのが惜しいほど美しくなる草紅葉。空には冬間近の大気が澄み青い星が数多輝いています。素晴らしい暮の秋の景です。(小口泰與)
■互選高点句/同点2句
●最高点(6点)
★立冬の長き影伸び畝造る/古田敬二
農作業を詠んだ佳句だ。「畝造る」行為が俳句となった。農作業を詩に取り上げるのは難しい。(高橋信之)
★冬めくやぽん菓子音の響きくる/祝恵子
冬めくころ、米の収穫が終わったころに、ぽん菓子屋がやって来る。米を持っていけば、ぽん菓子を作ってくれる。米を弾かせる驚くほどの大きな音を聞けば、楽しくも、また懐かしくもなる。(高橋正子)
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
■11月月例ネット句清記
2017年11月12日
14名42句
01.菊日和狭庭の香り慎しく
02.モノレール緩やかに行く菊日和
03.ご先祖も洞窟住い冬立ちぬ
04.乙女子のような小沼よ小六月
05.風連れて赤城を越ゆる冬の鳥
06.いちはやく明けし浅間や見張り鴨
07.すすり食ぶ故郷みやげの熟柿かな
08.ふるさとを遠くに想いむかご飯
09.老松の陸(おか)へと曲がり冬の海
10.見つめ合ふ桃色吐息真弓の実
11.母恋し青空を飛ぶ百合鴎
12.鴨翔てり瓢箪今に落ちさうな
13.山肌に一点紅き冬紅葉
14.澄み渡る冬空を飛ぶヘリコプター
15.冬晴れの車に掃除機をかける
16.一面に落葉の積もる雨あがり
17.冬空に流れていくよ鳥の群れ
18.入れ替えて箪笥が狭く冬支度
19.指先を滑らせ霜月の種を蒔く
20.立冬の長き影伸び畝造る
21.塩チョイと利かせ夕べはむかご飯
22.農業祭菊の展示を見て飽かず
23.小春日や庭に笛音舞神楽
24.冬めくやぽん菓子音の響きくる
25.冬ぬくし休耕田に草の生へ
26.傘を差すこともなかりし初時雨
27.たんぽぽのすつくと立ちし帰り花
28.小道行き紅葉少しずつ色変わる
29.冬林檎煮込んで甘い香台所
30.晴れた日の炬燵ぬくぬく温まる
31.荷に詰めて蜜柑あかるき色発す
32.草紅葉はやも空には青き星
33.冬の蝶花屋の花にはばからず
34.石鎚の嶺々日差し紅葉晴れ
35.ゴンドラの伸びる先へと山紅葉
36.晴れてきて山の紅葉の照り出せる
37.小春日の波を玻璃戸に海の幸
38.しんとして海光に咲く石蕗一輪
39.猫呼びに出れば全き冬銀河
40.わが頭上高くあかるき冬黄葉
41.冬椿白に開放感があり
42.赤き実の多し万両その他も
※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。
●11月月例ネット句会投句案内●
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(秋か冬の句)計3句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2017年11月7日(火)午前6時~11月12日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
▼互選・入賞・伝言
①選句期間:11月12(日)午後6時~11月12日(日)午後9時
②入賞発表:11月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、11月13日(月)正午~11月15日(水)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之
ご挨拶
10月月例句会にご参加ありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。コメントもそれぞれに句にいただき、句を別の角度から、あるいは、深く読むことができ、よい勉強になりました。10月の6日(スエーデンでは5日)には、ノーベル文学賞が長崎生まれのカズオ・イシグロさんだったこともあり、文学への関心も高まり、内へ内へとなりがちな俳句に明るい見通しができた感じがしました。来月は11月第2日曜日の12日に開催します。ご健吟ください。
今月は、添削教室の案内を見て投句された方がお二人おられ、ご参加ありがとうございました。これで、10月月例ネット句会を終わります。(主宰/高橋正子)
■2017年10月月例ネット句会■
■入賞発表/2017年10月9日
【金賞】
★いのこづち籾殻着けて猫帰る/柳原美知子
飼っている猫が、いのこづち、籾殻をつけて帰ってきた。草むらを踏んだり、田圃で転がったり、一日楽しく遊んだのだろう。猫の楽しい野の一日は作者の楽しさにもなっている。(高橋正子)
【銀賞/2句】
★月昇り母の背眠る法被の子/藤田洋子
月が昇り、祭りの賑わいの疲れか、法被の子はすやすやと母の背に眠っている。夢見るような母子像だ。(高橋正子)
★輝ける銀杏黄葉の樹下に入る/谷口博望(満天星)
銀杏黄葉の金色の輝きが作る樹下。その輝きに入ると、神々しいような日常とは違う世界だ。(高橋正子)
【銅賞/3句】
★酔芙蓉二階から鳴るジャズピアノ/古田敬二
酔芙蓉の古風さと色香。二階から聞こえるジャズピアノ。ロマンスグレーの住人か、その息子が弾いているのか、と思ったりする。(高橋正子)
★秋空のなかで建設作業中/多田有花
高層の建物が建てられる昨今は、建設作業は空の中ということが多い。秋晴れの空のなかで、建設作業が見事に進む。これも人間の技。(高橋正子)
★ホームから残業帰りの十三夜/高橋秀之
残業帰り、駅のホームから十三夜の月が見えた。十三夜のまだ満ちぬみずみずしい月にほっとするひととき。よい時間。(高橋正子)
【高橋信之特選/8句】
★輝ける銀杏黄葉の樹下に入る/谷口博望(満天星)
早くも黄金色に色付く嬉しい秋の彩り。鮮やかに輝く黄葉の樹下に入り、自然との一体感の中、明るく華やいだ気持ちを抱かせてくれます。 (藤田洋子)
★いのこづち籾殻着けて猫帰る/柳原美知子
家猫のあちこちと動き回っている姿が浮かび、楽しい句ですね。 (祝恵子)
★名月がやがて出る空仰ぎけり/多田有花
晴天の十五夜となり、空は紺色を深め、いよいよ雲の中から名月が光を放ってきそうだ。名月を心待ちにする臨場感が表れています。(柳原美知子)
★オランダの孫にメールを十三夜/河野啓一
遠くオランダに住むお孫さんにも十三夜の月は見えるのか、メールでの楽しいやりとりと充実したお暮しぶりが伺えます。(柳原美知子)
★特攻も飛びし空なり赤とんぼ/タイチ
戦争の体験から、特攻と赤とんぼが繋がったと思う。特攻の悲しみ、赤とんぼの郷愁。平和の空があるからこその俳句。(高橋正子)
★秋空のなかで建設作業中/多田有花
★月上り母の背眠る法被の子/藤田洋子
★コスモスに雲がゆたかに寄り集う/高橋正子
【高橋正子特選/8句】
★ホームから残業帰りの十三夜/高橋秀之
残業で疲れて帰りの電車を待つ間、プラットホームから仰ぐ澄み切った十三夜の月に心もなごみ、ほっと一息つくことができたことでしょう。(柳原美知子)
★酔芙蓉二階から鳴るジャズピアノ/古田敬二
夕方の光景と思われますが、美しい秋のたそがれ時に二階よりジャズピアノが聞こえ、通りがかりに聞いている作者自身も酔芙蓉の花も、酔い痴れているようである。 (桑本栄太郎)
★独り居て夜気爽やかに今日終える/高橋信之
過ごしやすいころになりました。何かをやりおえて一日を終え、それをひとり振り返る夜のひとときです。充実した日々を感じる爽やかな句です。(多田有花)
★雲きれて名月すっきり山の端に/多田有花
雲で見えないと思っていたら、切れ間に山の端にすっきりとした月が見えました。何もない時と違いそのひとこまの光景に感動が伺えます。 (高橋秀之)
★秋空のなかで建設作業中/多田有花
★輝ける銀杏黄葉の樹下に入る/谷口博望(満天星)
★月昇り母の背眠る法被の子/藤田洋子
★いのこづち籾殻着けて猫帰る/柳原美知子
【入選/15句】
★木道の野末や尾瀬の秋の雲/小口泰與
尾瀬の湿原に設置されている木道を通り抜けてゆく。すると晴天だろうか、雲がぽっかりと浮かんでいる。たまには、そのような散策に行ってみたいと思う。 (むつ)
★夜明け前ひと雨過ぎて秋祭り/藤田洋子
雨でお祭りが流れるかどうか気を揉んでいたら、夜明け前に一雨通りすぎて楽しみにしていたであろう秋祭りに気を馳せる朝の目覚めを感じます。 (高橋秀之)
★伸ばす手の反りの美しきや風の盆/廣田洋一
富山県八尾町で、9月1日?3日の3日間「越中おわら節」を歌い、踊り明かす踊り手の素敵な手の所作に魅せられている作者。素晴らしい風の盆の景ですね。 (小口泰與)
越中八尾の風の盆。編み笠を深くかぶり、顔を隠して静かな坂の街を踊る。カメラの焦点は女性の踊り手の指に合わせられる。細い白い指がきれいに反る.その情景が浮かぶ句である。 (古田敬二)
★中天に雲伴わず望の月/古田敬二
今年の15夜は、月がでたと思ったら、雲に隠れてしまい、中天に上る頃になって雲から離れて丸い月を観ることができた。それを雲伴わず望の月と表現したのが上手い。 (廣田洋一)
★冬瓜の艶めく色も転がされ/祝恵子
冬瓜のずどんとした形、その形が転がされた面白さ。色も深い緑がいきいきとして艶めいていいる。愛すべき冬瓜である。(高橋正子)
★雲走るままに照らさる月今宵/桑本栄太郎
名月の前をときおり雲が走ります。そこに月光があたり美しく輝きます。月を仰ぎ、雲も月光も楽しんでおられる様子が浮かびます。 (多田有花)
★ビル影の高きにありぬ望の月/桑本栄太郎
ビル影という都会から見える月は、高く見上げる位置にあります。ビル影という響きと望の月に対称を感じました。 (高橋秀之)
★秋晴れやどこかで山羊が鳴いている/柳原美知子
秋晴れのひととき。山羊の声は聞こえるが、どこにいるのか分からない。のどかな秋のひとときです。 (高橋秀之)
★間引菜の土とかがやき抱え来る/柳原美知子
間引菜を手にたずねてくださった方がありました。間引菜そのものもうれしいですし、訪問もうれしい。お互いににこにこ。「かがやき」にそれが見て取れます。 (多田有花)
★通天閣の先に大きく鰯雲/高橋秀之
見上げる通天閣の上に広がる一面の美しい鰯雲、心晴々と広やかな光景です。お暮らしの中で実感された心地よい季節の喜びが伝わります。(藤田洋子)
★握りたる手の暖かき良夜かな/廣田洋一
月の明るい美しい夜をいっそう感じさせてくれる手の温もり。良夜の優しい光に包まれて、ほのぼのとした幸福感が漂います。(藤田洋子)
★流星やメモせぬ俳句消えやすし/小口泰與
メモをしていない俳句は、覚えているつもりでも、消えている。流星のようだと思う。印象深い驚きがあるが、消えてしまえば、何もないように。(高橋正子)
★明け方の枯野の色の散歩道/むつ
散歩道は気づけば枯野の色となっている。いつの間にか、季節が進んで、明け方の冷え込みも増してくる頃だ。(高橋正子)
★秋行くやトランペットの「千の風」/谷口博望(満天星)
「千の風」の歌をトランペットで演奏するとどんな感じか。華やかなはずのトランペットの音色が哀愁を帯びている。(高橋正子)
★秋の夜自販機明るく道しるべ/高橋秀之
暮れるのが早い秋。夜となれば、すっかり暗くて、自動販売機が赤々と灯り、、安心の気持ちが湧く。道しるべなのでだ。(高橋正子)
■選者詠/高橋信之
★独り居て夜気爽やかに今日終える
過ごしやすいころになりました。何かをやりおえて一日を終え、それをひとり振り返る夜のひとときです。充実した日々を感じる爽やかな句です。 (多田有花)
★秋冷の闇の奥から少しの風
★さわやかに朝日射しくるパソコンに
■選者詠/高橋正子
★窓を開け月光少し入らしめぬ/高橋正子
まるで月光がたずねたきた大事なお客様であるかのようです。「いらっしゃいませ」と少し窓を開け、月の光を入れます。名月ならではで、その夜を楽しんでおられます。 (多田有花)
★コスモスに雲がゆたかに寄り集う/高橋正子
青空に色とりどりのコスモスが揺れる中、白雲が次々と湧き、秋の風と光が感じられる美しい情景です。(柳原美知子)
★上りつめ坂の上なる金木犀/高橋正子
■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
★酔芙蓉二階から鳴るジャズピアノ/古田敬二
★独り居て夜気爽やかに今日終える/高橋信之
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
■10月月例ネット句会清記
2017年10月8日
15名45句
01.雲走るままに照らさる月今宵
02.十五夜の月に祈るは国の末
03.ビル影の高きにありぬ望の月
04.名月がやがて出る空仰ぎけり
05.雲きれて名月すっきり山の端に
06.秋空のなかで建設作業中
07.流星やメモせぬ俳句消えやすし
08.新蕎麦や山湖の店の古暖簾
09.木道の野末や尾瀬の秋の雲
10.山霧が立ちこめるかな秋の雲
11.障子戸を向こうに見やり虫の声
12.明け方の枯野の色の散歩道
13.輝ける銀杏黄葉(いちょうもみじ)の樹下に入る
14.秋行くやトランペットの「千の風」
15.辛夷の実鳥も食はないグロテスク
16.名月や穂すすき軽くゆれており
17.オランダの孫にメールを十三夜
18.生憎の無月なるかな十三夜
19.風の織る薄紗生(ア)れきて天高し
20.特攻も飛びし空なり赤とんぼ
21.草刈の音遠くして秋真昼
22.夜明け前ひと雨過ぎて秋祭り
23.祭りあと月高々と町空に
24.月上り母の背眠る法被の子
25.ホームから残業帰りの十三夜
26.通天閣の先に大きく鰯雲
27.秋の夜自販機明るく道しるべ
28.握りたる手の暖かき良夜かな
29.酒飲まぬ友の酌にて良夜かな
30.伸ばす手の反りの美しきや風の盆
31.吾亦紅主張している束となり
32.冬瓜の艶めく色も転がされ
33.水落とす少年の手にシャベル
34.中天に雲伴わず望の月
35.酔芙蓉二階から鳴るジャズピアノ
36.ほろ酔いの色して夕べの酔芙蓉
37.窓を開け月光少し入らしめぬ
38.コスモスに雲がゆたかに寄り集う
39.上りつめ坂の上なる金木犀
40.秋冷の闇の奥から少しの風
41.さわやかに朝日射しくるパソコンに
42.独り居て夜気爽やかに今日終える
43.いのこづち籾殻着けて猫帰る
44.秋晴れやどこかで山羊が鳴いている
45.間引菜の土とかがやき抱え来る
※互選を開始してください。雑詠から一人5句、その中の一句にコメントをつけてください。選句は、この下のコメント欄にお書きください。
●十五夜句会(10月月例ネット句会)投句案内●
①投句:当季雑詠「秋の句(十五夜等)3句」
②投句期間:2017年10月4日(水)午後1時~2017年10月8日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:10月8日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:10月9日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、10月9日(月)正午~10月12日(水)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之
ご挨拶
9月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。16日に頂いたコメントの貼り付けを終わりました。ご確認ください。また、選句とコメントをありがとうございました。今回は「水」の句をご投句いただき、ご協力ありがとうございました。『毎日俳句αあるふぁ』(増刊号2018年2月発売予定)には、
9月月例句会からは
「供花挿して秋の山水溢らしむ/藤田洋子」
過去月例句会から
「七月や水の匂いに沿い歩く/多田有花」
「水揚げてリハビリ室の花菜の黄/柳原美知子」
「早起きの朝の洗濯初夏たのし/高橋句美子」を信之先生と検討して選びました。
来月の月例ネット句会は、10月8日(日)です。さわやかな良い季節、楽しみご健吟ください。(主宰/高橋正子)
■2017年9月月例ネット句会■
■入賞発表/2017年9月11日
【金賞】
★秋晴やものみなくっきり影を持つ/多田有花
ものの影は、日射しの強い夏よりも、秋晴の日のほうがくっきりする。大気が澄み、目に見えるものがくっきりとその存在を明らかにする。秋晴れの明るさが詠まれた。(高橋正子)
【銀賞/2句】
★松手入れ風に乗りたる音の良き/河野啓一
松を手入れする植木職人の鋏の音が、こころよく聞こえてくる。風に乗って来るのは、松葉の匂いもだろう。整えられてゆく松の木の爽やかな姿が想像できる。(高橋正子)
★朝刊の隅の一句の爽やかに/藤田洋子
朝刊の片隅のコラムに日々の一句が載る。その爽やかな句に、読むものにも季節の爽やかさくれるのだ。生活の中にある俳句と季節感。俳都松山ならでは。(高橋正子)
【銅賞/3句】
★冬瓜の実り確かな重さかな/古田敬二
よく実った冬瓜は、独特の形から、目で見てもその重さが計られそうだ。濃い緑の充実感。(高橋正子)
★月白や男が捌く鯉料理/小口泰與
鯉料理は、男に任せたい。月白に今日の客人をもてなそうとするのか。「月白」によって、捌く手元が神事めく。(高橋正子)
★新涼や雉鳩水を飲むところ/谷口博望 (満天星)
新涼の水たまり。雉鳩がやってきて、水を飲むところだ。野の鳥たちにも水が与えられる。(高橋正子)
【高橋信之特選/9句】
★松手入れ風に乗りたる音の良き/河野啓一
いい句だ。快い句だ。嬉しい句だ。下五の「音の良き」の平明さが成功した。(高橋信之)
★朝刊の隅の一句の爽やかに/藤田洋子
中七の「隅」がいい。真ん中でなく、「隅」が爽やかなのだ。(高橋信之)
★冬瓜の実り確かな重さかな/古田敬二
作者の実感を直に感じる佳句。中七の「確かな」は、作者自身の「確かな言葉」だ。生き生きとした農作業の成果を見る。(高橋信之)
★秋晴やものみなくっきり影を持つ/多田有花
秋が深まりゆくと共に空気は乾き、日向と日陰の明るさの対比が強くなります。秋晴の日は、このように「ものみなくっきり影を持つ」景色となり、当意即妙の描写が良い。(桑本栄太郎)
★真つ新な白きエプロン秋茄子/小口泰與
真っ新なエプロンの白と秋茄子の紫紺、くっきりとした色彩の対比が目に清々しく鮮明です。いっそう美味で新鮮な秋茄子を感じ、季節のものをいただく喜びが感じ取れます。 (藤田洋子)
★月白や男が捌く鯉料理/小口泰與
★新涼や雉鳩水を飲むところ/谷口博望 (満天星)
★新涼や木曽の白樺抜けてくる/古田敬二
★供花挿して秋の山水溢れしむ/藤田洋子
【高橋正子特選/9句】
★秋風を通す入口長屋門/祝恵子
「長屋門」は、母方の祖母の実家にあった。母方の母の従弟に正岡子規や大江健三郎が在学した旧松山中学(現松山東高)に通い、俳句で少し名を知らていたが、早世した。(高橋信之)
★鈴虫の鳴く声近く真暗闇/高橋句美子
鈴虫の素直な句で、下五に置いた「真暗闇」がいい。穏やかに、そして力強い言葉の「真暗闇」で一句を収めた。(高橋信之)
★松手入れ風に乗りたる音の良き/河野啓一
下五に置いた「音の良き」がいい。読み手の心に快く響く。(高橋信之)
★家々の裏手を流れ秋の水/多田有花
どの家の裏にも小川が流れ、秋には澄んだ水音が聞こえ木の橋が渡され季節と共にある豊かな「水の恵み」の生活が感じられます。 (柳原美知子)
★月白や男が捌く鯉料理/小口泰與
★新涼や雉鳩水を飲むところ/谷口博望 (満天星)
★秋晴やものみなくっきり影を持つ/多田有花
★朝刊の隅の一句の爽やかに/藤田洋子
★爽やかに今朝の襖の開け閉めよ/高橋信之
【入選/10句】
★鬼の子の独りあそびや風の友/桑本栄太郎
青葉の頃から、木の葉や枝を綴り合わせて蓑のような巣を作り樹上を移動して木を食べる蓑虫。その蓑虫が風に吹かれてまるで独り遊びのように揺れている素敵な景ですね。(小口泰與)
★田水落つ音に熟れゆく稲穂かな/桑本栄太郎
刈入れに備えてて水を落とす。その光景を無理なく描写されました。(河野啓一)
★せせらぎの木洩れ日揺らぎ秋の水/桑本栄太郎
せせらぎに刺し込む木漏れ日も秋の水の動きに合わせて揺れている、との景色が良く見える。(廣田洋一)
★水切りの石の行方や秋の蝉/小口泰與
水切りをして、つっと何回か跳ねて成功したときは、やったと思ったものです。石の行方なんて思ってもみませんでしたが。(祝恵子)
★斐駒ヶ岳(かいこま)が茜に染まる蕎麦の花/古田敬二
雄大な自然を背景にいっそう可憐な蕎麦の花を感じます。色彩豊かな美しい情景に、心洗われ澄み渡るようです。(藤田洋子)
★梨剥くも噛む音聞くも独りかな/廣田洋一
梨を剥く音、梨を噛む音は普通聞こえない。この音を聞くほどの静寂と孤独が伝わる。(谷口博望/満天星)
独り身にも秋は来る。果汁たっぶりの梨をむき食す。秋の夜の静寂感。(古田敬二)
★池底に糸を垂らして子らの秋/祝恵子
爽やかな秋風の吹く水辺に釣り糸を垂らす笑顔の子供たち。透明な水底にさす光も秋を感じさせます。(柳原美知子)
★鰯雲仰ぎつ丘の市場まで/柳原美知子
季節感のあふれる句だが、生活感のしっかりした実感がある。主婦ならではの佳句。(高橋信之)
★旅先の城址で見る鰯雲/高橋秀之
旅情あふれる句だ。下五の季題「鰯雲」が効いた。(高橋信之)
★秋風がさざ波立たす夜の川/高橋句美子
下五の「夜」がいい。秋の夜の静かな句だ。(高橋信之)
■選者詠/高橋信之
★一人起き朝の読書の爽やかに
秋になり、夏のころとは違い朝晩が涼しくなりました。そんな朝に一人先に起きて静かに読書を楽しめば、爽やかな気持ちになれることでしょう。(高橋秀之)
★爽やかに今朝の襖の開け閉めよ
襖の開け閉めの動きに加えて、スッと軽やかな襖の音。お暮らしの中で察知された朝の爽やかさが、快く新鮮に伝わります。日常の生活から生まれる一句の素晴らしさをあらためて教えていただきました。 (藤田洋子)
★天高く雲無き朝の楽しさよ
天高く馬肥ゆる秋の空。一読直ちに爽快さが胸に飛び込んできます。(河野啓一)
★爽やかに高きを雲の流れゆく
★朝爽やかに一杯の水を飲む
■選者詠/高橋正子
★秋潮の水の力に打ち返す
上五の「秋潮」にある季節感がいい。俳句の力を読む。(高橋信之)
★虫の音の眠ればそれきり木のベット
経験はありませんがログハウスのような山荘で虫の音に包まれて眠る快適さを想像してうれしくなりました。(河野啓一)
★秋風に絮飛ぶ浮遊する心
秋草の絮が風に任せて煌きながらふわふわと飛んでいる
様子をみていると、心も軽く絮と共に自由に宙を巡るような気持ちになります。爽やかな秋空までも飛べそうです。 (柳原美知子)
★虫の音の研ぎ澄まされて行く真闇
★沸きし湯の落ちるに響く虫の声
■互選高点句
●最高点(5点/同点3句)
★秋晴やものみなくっきり影を持つ/多田有花
★爽やかに今朝の襖の開け閉めよ/高橋信之
★月白や男が捌く鯉料理/小口泰與
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
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