■10月月例ネット句会/入賞発表■


■2017年10月月例ネット句会■
■入賞発表/2017年10月9日

【金賞】
★いのこづち籾殻着けて猫帰る/柳原美知子
飼っている猫が、いのこづち、籾殻をつけて帰ってきた。草むらを踏んだり、田圃で転がったり、一日楽しく遊んだのだろう。猫の楽しい野の一日は作者の楽しさにもなっている。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★月昇り母の背眠る法被の子/藤田洋子
月が昇り、祭りの賑わいの疲れか、法被の子はすやすやと母の背に眠っている。夢見るような母子像だ。(高橋正子)

★輝ける銀杏黄葉の樹下に入る/谷口博望(満天星)
銀杏黄葉の金色の輝きが作る樹下。その輝きに入ると、神々しいような日常とは違う世界だ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★酔芙蓉二階から鳴るジャズピアノ/古田敬二
酔芙蓉の古風さと色香。二階から聞こえるジャズピアノ。ロマンスグレーの住人か、その息子が弾いているのか、と思ったりする。(高橋正子)

★秋空のなかで建設作業中/多田有花
高層の建物が建てられる昨今は、建設作業は空の中ということが多い。秋晴れの空のなかで、建設作業が見事に進む。これも人間の技。(高橋正子)

★ホームから残業帰りの十三夜/高橋秀之
残業帰り、駅のホームから十三夜の月が見えた。十三夜のまだ満ちぬみずみずしい月にほっとするひととき。よい時間。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★輝ける銀杏黄葉の樹下に入る/谷口博望(満天星)
早くも黄金色に色付く嬉しい秋の彩り。鮮やかに輝く黄葉の樹下に入り、自然との一体感の中、明るく華やいだ気持ちを抱かせてくれます。 (藤田洋子)

★いのこづち籾殻着けて猫帰る/柳原美知子
家猫のあちこちと動き回っている姿が浮かび、楽しい句ですね。 (祝恵子)

★名月がやがて出る空仰ぎけり/多田有花
晴天の十五夜となり、空は紺色を深め、いよいよ雲の中から名月が光を放ってきそうだ。名月を心待ちにする臨場感が表れています。(柳原美知子)

★オランダの孫にメールを十三夜/河野啓一
遠くオランダに住むお孫さんにも十三夜の月は見えるのか、メールでの楽しいやりとりと充実したお暮しぶりが伺えます。(柳原美知子)

★特攻も飛びし空なり赤とんぼ/タイチ
戦争の体験から、特攻と赤とんぼが繋がったと思う。特攻の悲しみ、赤とんぼの郷愁。平和の空があるからこその俳句。(高橋正子)

★秋空のなかで建設作業中/多田有花
★月上り母の背眠る法被の子/藤田洋子
★コスモスに雲がゆたかに寄り集う/高橋正子

【高橋正子特選/8句】
★ホームから残業帰りの十三夜/高橋秀之
残業で疲れて帰りの電車を待つ間、プラットホームから仰ぐ澄み切った十三夜の月に心もなごみ、ほっと一息つくことができたことでしょう。(柳原美知子)

★酔芙蓉二階から鳴るジャズピアノ/古田敬二
夕方の光景と思われますが、美しい秋のたそがれ時に二階よりジャズピアノが聞こえ、通りがかりに聞いている作者自身も酔芙蓉の花も、酔い痴れているようである。 (桑本栄太郎)

★独り居て夜気爽やかに今日終える/高橋信之
過ごしやすいころになりました。何かをやりおえて一日を終え、それをひとり振り返る夜のひとときです。充実した日々を感じる爽やかな句です。(多田有花)

★雲きれて名月すっきり山の端に/多田有花
雲で見えないと思っていたら、切れ間に山の端にすっきりとした月が見えました。何もない時と違いそのひとこまの光景に感動が伺えます。 (高橋秀之)

★秋空のなかで建設作業中/多田有花
★輝ける銀杏黄葉の樹下に入る/谷口博望(満天星)
★月昇り母の背眠る法被の子/藤田洋子
★いのこづち籾殻着けて猫帰る/柳原美知子

【入選/15句】
★木道の野末や尾瀬の秋の雲/小口泰與
尾瀬の湿原に設置されている木道を通り抜けてゆく。すると晴天だろうか、雲がぽっかりと浮かんでいる。たまには、そのような散策に行ってみたいと思う。 (むつ)

★夜明け前ひと雨過ぎて秋祭り/藤田洋子
雨でお祭りが流れるかどうか気を揉んでいたら、夜明け前に一雨通りすぎて楽しみにしていたであろう秋祭りに気を馳せる朝の目覚めを感じます。 (高橋秀之)

★伸ばす手の反りの美しきや風の盆/廣田洋一
富山県八尾町で、9月1日?3日の3日間「越中おわら節」を歌い、踊り明かす踊り手の素敵な手の所作に魅せられている作者。素晴らしい風の盆の景ですね。 (小口泰與)
越中八尾の風の盆。編み笠を深くかぶり、顔を隠して静かな坂の街を踊る。カメラの焦点は女性の踊り手の指に合わせられる。細い白い指がきれいに反る.その情景が浮かぶ句である。 (古田敬二)

★中天に雲伴わず望の月/古田敬二
今年の15夜は、月がでたと思ったら、雲に隠れてしまい、中天に上る頃になって雲から離れて丸い月を観ることができた。それを雲伴わず望の月と表現したのが上手い。 (廣田洋一)

★冬瓜の艶めく色も転がされ/祝恵子
冬瓜のずどんとした形、その形が転がされた面白さ。色も深い緑がいきいきとして艶めいていいる。愛すべき冬瓜である。(高橋正子)

★雲走るままに照らさる月今宵/桑本栄太郎
名月の前をときおり雲が走ります。そこに月光があたり美しく輝きます。月を仰ぎ、雲も月光も楽しんでおられる様子が浮かびます。 (多田有花)

★ビル影の高きにありぬ望の月/桑本栄太郎
ビル影という都会から見える月は、高く見上げる位置にあります。ビル影という響きと望の月に対称を感じました。 (高橋秀之)

★秋晴れやどこかで山羊が鳴いている/柳原美知子
秋晴れのひととき。山羊の声は聞こえるが、どこにいるのか分からない。のどかな秋のひとときです。 (高橋秀之)

★間引菜の土とかがやき抱え来る/柳原美知子
間引菜を手にたずねてくださった方がありました。間引菜そのものもうれしいですし、訪問もうれしい。お互いににこにこ。「かがやき」にそれが見て取れます。 (多田有花)

★通天閣の先に大きく鰯雲/高橋秀之
見上げる通天閣の上に広がる一面の美しい鰯雲、心晴々と広やかな光景です。お暮らしの中で実感された心地よい季節の喜びが伝わります。(藤田洋子)

★握りたる手の暖かき良夜かな/廣田洋一
月の明るい美しい夜をいっそう感じさせてくれる手の温もり。良夜の優しい光に包まれて、ほのぼのとした幸福感が漂います。(藤田洋子)

★流星やメモせぬ俳句消えやすし/小口泰與
メモをしていない俳句は、覚えているつもりでも、消えている。流星のようだと思う。印象深い驚きがあるが、消えてしまえば、何もないように。(高橋正子)

★明け方の枯野の色の散歩道/むつ
散歩道は気づけば枯野の色となっている。いつの間にか、季節が進んで、明け方の冷え込みも増してくる頃だ。(高橋正子)

★秋行くやトランペットの「千の風」/谷口博望(満天星)
「千の風」の歌をトランペットで演奏するとどんな感じか。華やかなはずのトランペットの音色が哀愁を帯びている。(高橋正子)

★秋の夜自販機明るく道しるべ/高橋秀之
暮れるのが早い秋。夜となれば、すっかり暗くて、自動販売機が赤々と灯り、、安心の気持ちが湧く。道しるべなのでだ。(高橋正子)

■選者詠/高橋信之
★独り居て夜気爽やかに今日終える
過ごしやすいころになりました。何かをやりおえて一日を終え、それをひとり振り返る夜のひとときです。充実した日々を感じる爽やかな句です。 (多田有花)

★秋冷の闇の奥から少しの風
★さわやかに朝日射しくるパソコンに

■選者詠/高橋正子
★窓を開け月光少し入らしめぬ/高橋正子
まるで月光がたずねたきた大事なお客様であるかのようです。「いらっしゃいませ」と少し窓を開け、月の光を入れます。名月ならではで、その夜を楽しんでおられます。 (多田有花)

★コスモスに雲がゆたかに寄り集う/高橋正子
青空に色とりどりのコスモスが揺れる中、白雲が次々と湧き、秋の風と光が感じられる美しい情景です。(柳原美知子)

★上りつめ坂の上なる金木犀/高橋正子

■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
★酔芙蓉二階から鳴るジャズピアノ/古田敬二
★独り居て夜気爽やかに今日終える/高橋信之

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)

■10月月例ネット句会清記


■10月月例ネット句会清記
2017年10月8日
15名45句

01.雲走るままに照らさる月今宵
02.十五夜の月に祈るは国の末
03.ビル影の高きにありぬ望の月
04.名月がやがて出る空仰ぎけり
05.雲きれて名月すっきり山の端に
06.秋空のなかで建設作業中
07.流星やメモせぬ俳句消えやすし
08.新蕎麦や山湖の店の古暖簾
09.木道の野末や尾瀬の秋の雲
10.山霧が立ちこめるかな秋の雲

11.障子戸を向こうに見やり虫の声
12.明け方の枯野の色の散歩道
13.輝ける銀杏黄葉(いちょうもみじ)の樹下に入る
14.秋行くやトランペットの「千の風」
15.辛夷の実鳥も食はないグロテスク
16.名月や穂すすき軽くゆれており
17.オランダの孫にメールを十三夜
18.生憎の無月なるかな十三夜
19.風の織る薄紗生(ア)れきて天高し
20.特攻も飛びし空なり赤とんぼ

21.草刈の音遠くして秋真昼
22.夜明け前ひと雨過ぎて秋祭り
23.祭りあと月高々と町空に
24.月上り母の背眠る法被の子
25.ホームから残業帰りの十三夜
26.通天閣の先に大きく鰯雲
27.秋の夜自販機明るく道しるべ
28.握りたる手の暖かき良夜かな
29.酒飲まぬ友の酌にて良夜かな
30.伸ばす手の反りの美しきや風の盆

31.吾亦紅主張している束となり
32.冬瓜の艶めく色も転がされ
33.水落とす少年の手にシャベル
34.中天に雲伴わず望の月
35.酔芙蓉二階から鳴るジャズピアノ
36.ほろ酔いの色して夕べの酔芙蓉
37.窓を開け月光少し入らしめぬ
38.コスモスに雲がゆたかに寄り集う
39.上りつめ坂の上なる金木犀
40.秋冷の闇の奥から少しの風

41.さわやかに朝日射しくるパソコンに
42.独り居て夜気爽やかに今日終える
43.いのこづち籾殻着けて猫帰る
44.秋晴れやどこかで山羊が鳴いている
45.間引菜の土とかがやき抱え来る

※互選を開始してください。雑詠から一人5句、その中の一句にコメントをつけてください。選句は、この下のコメント欄にお書きください。

十五夜句会(10月月例ネット句会)ご案内


●十五夜句会(10月月例ネット句会)投句案内●

①投句:当季雑詠「秋の句(十五夜等)3句」
②投句期間:2017年10月4日(水)午後1時~2017年10月8日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言

①互選期間:10月8日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:10月9日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、10月9日(月)正午~10月12日(水)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/9月月例ネット句会


ご挨拶
9月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。16日に頂いたコメントの貼り付けを終わりました。ご確認ください。また、選句とコメントをありがとうございました。今回は「水」の句をご投句いただき、ご協力ありがとうございました。『毎日俳句αあるふぁ』(増刊号2018年2月発売予定)には、
9月月例句会からは
「供花挿して秋の山水溢らしむ/藤田洋子」
過去月例句会から
「七月や水の匂いに沿い歩く/多田有花」
「水揚げてリハビリ室の花菜の黄/柳原美知子」
「早起きの朝の洗濯初夏たのし/高橋句美子」を信之先生と検討して選びました。

来月の月例ネット句会は、10月8日(日)です。さわやかな良い季節、楽しみご健吟ください。(主宰/高橋正子)

■9月月例ネット句会/入賞発表■


■2017年9月月例ネット句会■
■入賞発表/2017年9月11日

【金賞】
★秋晴やものみなくっきり影を持つ/多田有花
ものの影は、日射しの強い夏よりも、秋晴の日のほうがくっきりする。大気が澄み、目に見えるものがくっきりとその存在を明らかにする。秋晴れの明るさが詠まれた。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★松手入れ風に乗りたる音の良き/河野啓一
松を手入れする植木職人の鋏の音が、こころよく聞こえてくる。風に乗って来るのは、松葉の匂いもだろう。整えられてゆく松の木の爽やかな姿が想像できる。(高橋正子)

★朝刊の隅の一句の爽やかに/藤田洋子
朝刊の片隅のコラムに日々の一句が載る。その爽やかな句に、読むものにも季節の爽やかさくれるのだ。生活の中にある俳句と季節感。俳都松山ならでは。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★冬瓜の実り確かな重さかな/古田敬二
よく実った冬瓜は、独特の形から、目で見てもその重さが計られそうだ。濃い緑の充実感。(高橋正子)

★月白や男が捌く鯉料理/小口泰與
鯉料理は、男に任せたい。月白に今日の客人をもてなそうとするのか。「月白」によって、捌く手元が神事めく。(高橋正子)

★新涼や雉鳩水を飲むところ/谷口博望 (満天星)
新涼の水たまり。雉鳩がやってきて、水を飲むところだ。野の鳥たちにも水が与えられる。(高橋正子)

【高橋信之特選/9句】
★松手入れ風に乗りたる音の良き/河野啓一
いい句だ。快い句だ。嬉しい句だ。下五の「音の良き」の平明さが成功した。(高橋信之)

★朝刊の隅の一句の爽やかに/藤田洋子
中七の「隅」がいい。真ん中でなく、「隅」が爽やかなのだ。(高橋信之)

★冬瓜の実り確かな重さかな/古田敬二
作者の実感を直に感じる佳句。中七の「確かな」は、作者自身の「確かな言葉」だ。生き生きとした農作業の成果を見る。(高橋信之)

★秋晴やものみなくっきり影を持つ/多田有花
秋が深まりゆくと共に空気は乾き、日向と日陰の明るさの対比が強くなります。秋晴の日は、このように「ものみなくっきり影を持つ」景色となり、当意即妙の描写が良い。(桑本栄太郎)

★真つ新な白きエプロン秋茄子/小口泰與
真っ新なエプロンの白と秋茄子の紫紺、くっきりとした色彩の対比が目に清々しく鮮明です。いっそう美味で新鮮な秋茄子を感じ、季節のものをいただく喜びが感じ取れます。 (藤田洋子)

★月白や男が捌く鯉料理/小口泰與
★新涼や雉鳩水を飲むところ/谷口博望 (満天星)
★新涼や木曽の白樺抜けてくる/古田敬二
★供花挿して秋の山水溢れしむ/藤田洋子

【高橋正子特選/9句】
★秋風を通す入口長屋門/祝恵子
「長屋門」は、母方の祖母の実家にあった。母方の母の従弟に正岡子規や大江健三郎が在学した旧松山中学(現松山東高)に通い、俳句で少し名を知らていたが、早世した。(高橋信之)

★鈴虫の鳴く声近く真暗闇/高橋句美子
鈴虫の素直な句で、下五に置いた「真暗闇」がいい。穏やかに、そして力強い言葉の「真暗闇」で一句を収めた。(高橋信之)

★松手入れ風に乗りたる音の良き/河野啓一
下五に置いた「音の良き」がいい。読み手の心に快く響く。(高橋信之)

★家々の裏手を流れ秋の水/多田有花
どの家の裏にも小川が流れ、秋には澄んだ水音が聞こえ木の橋が渡され季節と共にある豊かな「水の恵み」の生活が感じられます。 (柳原美知子)

★月白や男が捌く鯉料理/小口泰與
★新涼や雉鳩水を飲むところ/谷口博望 (満天星)
★秋晴やものみなくっきり影を持つ/多田有花
★朝刊の隅の一句の爽やかに/藤田洋子
★爽やかに今朝の襖の開け閉めよ/高橋信之

【入選/10句】
★鬼の子の独りあそびや風の友/桑本栄太郎
青葉の頃から、木の葉や枝を綴り合わせて蓑のような巣を作り樹上を移動して木を食べる蓑虫。その蓑虫が風に吹かれてまるで独り遊びのように揺れている素敵な景ですね。(小口泰與)

★田水落つ音に熟れゆく稲穂かな/桑本栄太郎
刈入れに備えてて水を落とす。その光景を無理なく描写されました。(河野啓一)

★せせらぎの木洩れ日揺らぎ秋の水/桑本栄太郎
せせらぎに刺し込む木漏れ日も秋の水の動きに合わせて揺れている、との景色が良く見える。(廣田洋一)

★水切りの石の行方や秋の蝉/小口泰與
水切りをして、つっと何回か跳ねて成功したときは、やったと思ったものです。石の行方なんて思ってもみませんでしたが。(祝恵子)

★斐駒ヶ岳(かいこま)が茜に染まる蕎麦の花/古田敬二
雄大な自然を背景にいっそう可憐な蕎麦の花を感じます。色彩豊かな美しい情景に、心洗われ澄み渡るようです。(藤田洋子)

★梨剥くも噛む音聞くも独りかな/廣田洋一
梨を剥く音、梨を噛む音は普通聞こえない。この音を聞くほどの静寂と孤独が伝わる。(谷口博望/満天星)
独り身にも秋は来る。果汁たっぶりの梨をむき食す。秋の夜の静寂感。(古田敬二)

★池底に糸を垂らして子らの秋/祝恵子
爽やかな秋風の吹く水辺に釣り糸を垂らす笑顔の子供たち。透明な水底にさす光も秋を感じさせます。(柳原美知子)

★鰯雲仰ぎつ丘の市場まで/柳原美知子
季節感のあふれる句だが、生活感のしっかりした実感がある。主婦ならではの佳句。(高橋信之)

★旅先の城址で見る鰯雲/高橋秀之
旅情あふれる句だ。下五の季題「鰯雲」が効いた。(高橋信之)

★秋風がさざ波立たす夜の川/高橋句美子
下五の「夜」がいい。秋の夜の静かな句だ。(高橋信之)

■選者詠/高橋信之
★一人起き朝の読書の爽やかに
秋になり、夏のころとは違い朝晩が涼しくなりました。そんな朝に一人先に起きて静かに読書を楽しめば、爽やかな気持ちになれることでしょう。(高橋秀之)

★爽やかに今朝の襖の開け閉めよ
襖の開け閉めの動きに加えて、スッと軽やかな襖の音。お暮らしの中で察知された朝の爽やかさが、快く新鮮に伝わります。日常の生活から生まれる一句の素晴らしさをあらためて教えていただきました。 (藤田洋子)

★天高く雲無き朝の楽しさよ
天高く馬肥ゆる秋の空。一読直ちに爽快さが胸に飛び込んできます。(河野啓一)

★爽やかに高きを雲の流れゆく
★朝爽やかに一杯の水を飲む

■選者詠/高橋正子

★秋潮の水の力に打ち返す
上五の「秋潮」にある季節感がいい。俳句の力を読む。(高橋信之)

★虫の音の眠ればそれきり木のベット
経験はありませんがログハウスのような山荘で虫の音に包まれて眠る快適さを想像してうれしくなりました。(河野啓一)

★秋風に絮飛ぶ浮遊する心
秋草の絮が風に任せて煌きながらふわふわと飛んでいる
様子をみていると、心も軽く絮と共に自由に宙を巡るような気持ちになります。爽やかな秋空までも飛べそうです。 (柳原美知子)

★虫の音の研ぎ澄まされて行く真闇
★沸きし湯の落ちるに響く虫の声

■互選高点句
●最高点(5点/同点3句)
★秋晴やものみなくっきり影を持つ/多田有花
★爽やかに今朝の襖の開け閉めよ/高橋信之
★月白や男が捌く鯉料理/小口泰與

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■9月月例ネット句会清記


■9月月例ネット句会清記
2017年9月10日
14名70句

01.山ひとつ影蔽い居り秋の雲
02あきつ飛ぶ風に序列のあるらしき
03鬼の子の独りあそびや風の友
04田水落つ音に熟れゆく稲穂かな
05せせらぎの木洩れ日揺らぎ秋の水
06真つ新な白きエプロン秋茄子
07月白や男が捌く鯉料理
08稲妻の行方や利根川(とね)は永久に利根川(とね)
09水切りの石の行方や秋の蝉
10渓流の岩にた走る初紅葉

11曼殊沙華あの世の臭うグロテスク
12いなびかり雲の形相すさまじく
13ビル影に磯鵯の赤と青
14被爆跡のひずむ九輪や水引草
15新涼や雉鳩水を飲むところ
16さまざまな色艶ありて鶏頭花
17松手入れ風に乗り足る音の良き
18あき雨のカヌー下りや吉野川
19水澄める箕面川原の楓かな
20男の子なら遠く旅せよ椰子の実よ

21秋晴やものみなくっきり影を持つ
22秋晴の山際にあり朝の月
23模擬店に並ぶ週末秋日和
24家々の裏手を流れ秋の水
25焼きし指流るる秋水に浸す
26新涼や木曽の白樺抜けてくる
27甲斐駒ヶ岳(かいこま)が茜に染まる蕎麦の花
28冬瓜の実り確かな重さかな
(紀伊の国文蔵の滝)
29青空と滝壺繋ぐ水太し
30駒ヶ根を白く流れる秋の水

31旅先の城址で見る鰯雲
32秋麗ら二人で巡る武家屋敷
33台風が過ぎて眩しき朝の空
34顔洗う手がひんやりと秋の水
35月映る大雨の後の溜まり水
36威銃当てる気もなく夕日落つ
37神事終え化粧直しの秋祭り
38梨剥くも噛む音聞くも独りかな
39秋の雨町も野原も水浸し
40裏山を根こそぎ崩す秋出水

41秋風を通す入口長屋門
42広縁にお手玉転がし秋うらら
43秋の空合掌造りの屋根高し
44水底に糸を垂らして子らの秋
45数体のかかし今年も水の中
46青芒朝の雨滴に光り出す
47一雨過ぎ子規忌近づく空の青
48朝刊の隅の一句の爽やかに
49?ぎたての秋茄子水にキュッと鳴る
50供花挿して秋の山水溢れしむ

51茹栗の笊にあげられ湯気が立つ
52秋の月丸く浮かぶ薄い雲
53鈴虫の鳴く声近く真暗闇
54秋風がさざ波立たす夜の川
55傘さして銀杏落葉の正門を
56爽やかに今朝の襖の開け閉めよ
57一人起き朝の読書の爽やかに
58天高く雲無き朝の楽しさよ
59爽やかに高きを雲の流れゆく
60朝爽やかに一杯の水を飲む

61虫の音の眠ればそれきり木のベット
62虫の音の研ぎ澄まされて行く真闇
63秋風に絮飛ぶ浮遊する心
64沸きし湯の落ちるに響く虫の声
65秋潮の水の力に打ち返す
66.鰯雲仰ぎつ丘の市場まで
67.青空に色づき初めし柿揺れて
68.一面の田の匂う道月澄める
69.梨をむくナイフに指に水滲む
70.稲穂垂るまだ入りし水黄にそめて

※互選を開始してください。雑詠から一人5句、水の句から1句、計6句選をし、その中の一句にコメントをつけてください。選句は、この下のコメント欄にお書きください。

●9月月例ネット句会投句案内●


●9月月例ネット句会投句案内●
①投句:当季雑詠「秋の句3句」と「水に関係して詠んだ句2句」計5句
   (※水に関する秀句は、「毎日俳句α」水特集に寄稿。)
②投句期間:2017年9月4日(月)午後1時~2017年9月10日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:9月10日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:9月11日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、9月11日(月)正午~9月13日(水)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

■8月月例ネット句会/入賞発表■


■2017年8月月例ネット句会■
■入賞発表/2017年8月14日

【金賞】
★稲の花咲いて田水の零れ落つ/柳原美知子
かそかな稲の花。田水が豊かに零れ落ちる。稲の花が咲くまでに育ったこと。零れ落ちる田水のゆたかさに、日の恵みに稲は実りを預けるのだ。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★今生れしつくつくぼうし我がシャツへ/谷口博望(満天星)
愛着あるつくつくぼうしという名前。生まれたばかりのつくつくぼうしが自分のシャツに止まる。少年のようなときめきと、優しさが感じられる。清潔で透明感のある句だ。(高橋正子)

★取りたての枝豆茹でる大鍋/柳原美知子
私の記憶では、枝前は稲の田の畦に植えられていた。畦からごっそり抜いてきて、大鍋で茹でる。大家族の昔が見える気がする。頼もしい句だ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★魚の斑のきらりと消ゆる水の秋/小口泰與
魚は山女か。その特徴ある斑がきらりと見えたと思うと、きらりと水に消える。魚のすばしこさ、渓流の水の輝きなどを思う。渓流の景色が「水の秋」に象徴された。(髙橋正子)

★噴水のしぶきの向こうに揺れる虹/高橋秀之
虹は、噴水のしぶきでできた虹だろう。噴水のしぶきが風にゆれると虹が揺れる。楽しそうな人たちがいるのが想像できる、明るく爽やかな光景だ。(高橋正子)

★見あぐれば眩しくてひまわりと空/祝恵子
見上げれば、目を射す眩しさ。眩しさのなかに空とひまわりがくっきりと。ひまわりと空と私の夏のひとこま。(高橋正子)、

【高橋信之特選/8句】
★山霧にバス諸共に吸い込まれ/小口泰與
山に登るバスに乗っておられるのか、それとも麓からバスを見上げておられるのか。いずれにしても高山の涼しげな空気が伝わってきます。 (多田有花)

★今生れしつくつくぼうし我がシャツへ/谷口博望(満天星)
長い間地中にいてやっと地上に現れ、殻を破って羽化する様子を眺められたのでしょうか。生まれたばかりの透明な法師蝉のいたいけな姿が目に浮かび、温かい作者の眼差しと感動が伝わってきます。(柳原美知子)

★稲の花咲いて田水の零れ落つ/柳原美知子
去年初めて一枚の田にだけ稲の花が咲いているのを見て感動しました。花の命は短くて2時間ほどといいます。その時は田の水はもうありませんでした。今年ももう一度見たいものです。(満天星)

★萩を吹く風に吹かれて墓地を出づ/柳原美知子
お墓の掃除を丹念にされて終わった時に、風があるのに気付く、近くに咲く萩の花も揺れて見送っているようです。 (祝恵子)

★噴水のしぶきの向こうに揺れる虹/高橋秀之
同じ光景を見ました。噴水に可愛い虹が生まれ、ふと足を止めて見入りました。 (祝恵子)

★つかのまに虹立つころを帰宅せり/髙橋正子
「虹立つころ」の季節感がいい。「帰宅せり」に主婦の生活感がある。(高橋信之)

★台風の過ぎし大空青々と/高橋秀之30.取りたての枝豆茹でる大鍋/柳原美知子

【高橋正子特選/8句】
★虫が鳴くその奥にまた虫が鳴く/髙橋信之
近くの草叢で虫の音が聞こえたかと思うと、それに呼応するかのように奥の方からもかすかに虫音がし、涼風を感じます。いよいよ夏も終わり、新たな季節の到来が実感されます。 (柳原美知子)

★雨止みてじきに始まる虫時雨/廣田洋一
雨が降っている間は静かな原っぱから、雨が止むと同時に虫たちが活動を始めるのか、一斉に鳴き始めます。虫たちの息吹を感じるひとこまです。(高橋秀之)

★魚の斑のきらりと消ゆる水の秋/小口泰與
★今生れしつくつくぼうし我がシャツへ/谷口博望(満天星)
★噴水のしぶきの向こうに揺れる虹/高橋秀之
★見あぐれば眩しくてひまわりと空/祝恵子
★稲の花咲いて田水の零れ落つ/柳原美知子
★取りたての枝豆茹でる大鍋/柳原美知子

【入選/5句】
★仏壇が華やかとなり盂蘭盆会/高橋秀之
お盆になると、お盆菓子やお供えの野菜や花が飾られて仏壇は賑やかに明るくなる。華やかとなると言う表現が良い。(廣田洋一)

★子は登る向日葵木陰をつくる樹に/祝恵子
最近は木登りをする子を見かけることも珍しくなりました。向日葵木陰をつくるに夏休みの元気な子が思い浮かびます。(高橋秀之)

★献水の竹筒ささげ原爆忌/桑本栄太郎
鎮魂の思いと平和への願いを込めて献水する原爆忌。ささやかな日常の生活がいつまでも失われることのないように。 (柳原美知子)

★秋めく空蝉の声いまだ高けれど/多田有花
立秋を過ぎて秋めいてくる空なのに、まだまだ蝉の声は高く聞こえてきます。季節の変わり目を感じさせてくれる光景です。(高橋秀之)

★青空の輝くところ原爆忌/谷口博望(満天星)

■選者詠/高橋信之
★虫が鳴くその奥にまた虫が鳴く
近くの草叢で虫の音が聞こえたかと思うと、それに呼応するかのように奥の方からもかすかに虫音がし、涼風を感じます。いよいよ夏も終わり、新たな季節の到来が実感されます。 (柳原美知子)

★立秋という涼しき言葉を書く
土用が明けて、まだ暑い盛りだが、風の音にももう秋が来たと言う感じがする涼しさを、半紙に立秋と書いて居る作者。素敵な景ですね。(小口泰與)

★初秋や薄明という明るさに

■選者詠/高橋正子
★芋の葉に雲の分量増えやすし
★つかのまに虹立つころを帰宅せり
★初秋の朝日新聞ごく薄し

■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
★稲の花咲いて田水の零れ落つ/柳原美知子
★噴水のしぶきの向こうに揺れる虹/高橋秀之

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■8月月例ネット句清記


■8月月例ネット句会清記
2017年8月13日
10名30句 

01.山霧にバス諸共に吸い込まれ
02.魚の斑のきらりと消ゆる水の秋
03.山襞の定かや庭へ小鳥来る
04.今生れしつくつくぼうし我がシャツへ
05.子燕のねぐらへと舞ふ夕間暮
06.青空の輝くところ原爆忌
07.水無瀬ちょう石のさざれや旱川
08.献水の竹筒ささげ原爆忌
09.帰省子の手みやげ数え旅用意
10.台風接近風雨しだいに強まりぬ

11.嵐去る初秋の空に朝の虹
12.秋めく空蝉の声いまだ高けれど
13.噴水のしぶきの向こうに揺れる虹
14.台風の過ぎし大空青々と
15.仏壇が華やかとなり盂蘭盆会
16.子は登る向日葵木陰をつくる樹に
17.見あぐれば眩しくてひまわりと空
18.話聞く孫といる居間初スイカ
19.虫が鳴くその奥にまた虫が鳴く
20.立秋という涼しき言葉を書く

21.初秋や薄明という明るさに
22.芋の葉に雲の分量増えやすし
23.つかのまに虹立つころを帰宅せり
24.初秋の朝日新聞ごく薄し
25.雨止みてじきに始まる虫時雨
26.ご婦人の生足伸びる残暑かな
27.苧殻焚く妹よ間違えるなよ
28.稲の花咲いて田水の零れ落つ
29.萩を吹く風に吹かれて墓地を出づ
30.取りたての枝豆茹でる大鍋よ
 
※互選を開始してください。一人5句選をし、その中の一句にコメントをつけてください。選句は、この下のコメント欄にお書きください。

●8月月例ネット句会投句ご案内


●8月月例ネット句会投句案内●
①投句:当季雑詠(夏の句・秋の句)3句
②投句期間:2017年8月4日(金)午後1時~2017年8月13日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:8月13日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:8月14日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、8月14日(月)正午~8月116日(水)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之