■4月月例ネット句会/入賞発表
■2022年4月月例ネット句会■
■入賞発表/2022年4月11日
04.客船に舞いこむ桜陽が照らす/高橋秀之
客船は岸に近いところを航行しているのだろう。桜の花びらが舞い込み、それが陽に照らされて生き生きとしている。踏まれてしまいそうな花びらが、陽を受けて存在感を再びとりもどしている。桜はこれまで、潔さ、儚さ、幽玄の美などが詠まれ、描かれてきた。この句は、存在感のある力つよさがある。これまでの桜の詠み方とは違ってリアリティが増している。そこを評価したい。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
15.稜線の影やわらかき芽立時/多田有花
山々の木々が芽吹き、稜線の境目が影のようにやわらかになって、まさに春の山。水彩画の技法のような詠みぶりがこの句を画のようにしあげている。(髙橋正子)
16.谷水の音へ辛夷のひらき初む/柳原美知子
谷の辛夷は里の辛夷に少し遅れて咲く始める。谷水が流れる音に耳をそばだてているような辛夷の開き初めの姿が可憐でもあり、またすがすがしくていい。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
14.雲動く桜の色も動きけり/多田有花
流れ動く雲から目を桜に移すと、花の雲も動くように思える。「桜の色も動きけり」は抽象的だが、それが却って花の雲を思わせていて上手い。(髙橋正子)
30.手作りて桜餅を父母に/髙橋句美子
父母に手作りの桜餅をあげた、ということだが、「手作り」「桜餅」「父母」とやわらかく、ふっくらした言葉が続いて、自然体のさらりと句になっている。自然体でさらりと詠むことは、意外とむずかしい。(髙橋正子)
34.きゃべつの葉水に浸ければ飛花の浮く/川名ますみ
きゃべつを水に浸して洗おうとすると、桜の花びらが浮いてきた。驚きとともに、きゃべつが育った桜の咲く景色のよい畑が思い浮かぶ。
04.客船に舞いこむ桜陽が照らす/高橋秀之
川沿いの桜でしょうか。風に吹かれてきらきらと光りながら客船の中に舞い、目を楽しませてくれます。心地よい春の日差しを受け、青空と波を眺めながらの明るい船旅が想像されます。 (柳原美知子)
10.五地蔵の背後に散るよ寺桜/祝 恵子
五地蔵を見守るかのように立つ寺院の桜。満開の桜に明るく照らされて、今は静かに背後に散り刻をきざんでいます。惜春のおもいとともに、新たな季節の予感に包まれ、地蔵への優しい眼差しが感じられます。 (柳原美知子)
26.八重桜街ゆく人の衣を軽く/髙橋正子
四月の初めあたりまでは、ときに暖房が欲しいような日もありますが、八重桜が咲くころになるとぐんと暖かくなります。人々も上着を脱ぎ軽装となって強くなった日差しの中を行き交います。足取りも思わず軽くなる季節の雰囲気をよくとらえられています。(多田有花)
八重桜という季語と「衣を軽く」という表現ですっかり春めいた街並みや情景が鮮明に浮かびます。(西村友宏)
14.雲動く桜の色も動きけり/多田有花
15.稜線の影やわらかき芽立時/多田有花
16.谷水の音へ辛夷のひらき初む/柳原美知子
30.手作りて桜餅を父母に/髙橋句美子
04.客船に舞いこむ桜陽が照らす/高橋秀之
川沿いの桜でしょうか。風に吹かれてきらきらと光りながら客船の中に舞い、目を楽しませてくれます。心地よい春の日差しを受け、青空と波を眺めながらの明るい船旅が想像されます。 (柳原美知子)
08.白蝶の我が背を抜いてゆくはやさ/吉田 晃
お散歩中でしょうか。ご自身の背をすばやく追い抜いてゆく白蝶に、はっとする瞬間。春が来て、また過ぎてゆく季節の「はやさ」を、小さな蝶に見て取られたのでしょう。(川名ますみ)
21.新品の鉛筆光る新学期/西村友宏
大人になると鉛筆を使うことも稀になりますが、小学生の頃は1学期の新学期に新品の鉛筆をおろしてもらうのが嬉しかったのを思い出します。きっと今の小学生も同じだと思います。(高橋秀之)
28.山菜の若芽の渦巻き足下に/髙橋句美子
山菜採りに行っているのでしょうか。足下に若芽の山菜を見つけ、これからまさに採ろうとしている様子が目に浮かびます。 (高橋秀之)
34.きゃべつの葉水に浸ければ飛花の浮く/川名ますみ
澄んだ目で見ておられるように感じ、鑑賞していて緊張感が溶けていくようです。 (吉田晃)
14.雲動く桜の色も動きけり/多田有花
16.谷水の音へ辛夷のひらき初む/柳原美知子
【入選/12句】
03.綿菓子のふわっと膨れ花月夜/小口泰與
綿菓子のふわっとした感じと花月夜がよく呼応し、幻想的な美しい朧夜が想像されます。 (柳原美知子)
四月も初旬を過ぎると名残の寒さもすっかり消えます。気が付けば桜も散ってすでに晩春。風にはかすかに夏の気配も感じられ始めます。 (多田有花)
12.土筆提げ今日の成果の指の灰汁/祝 恵子
土筆摘みの醍醐味を詠まれています。わからないものには何が楽しいのかわからないのですが、好きな人にはこたえられない今日の成果なんですね。 (多田有花)
つばめの速い動きが感じられ躍動感があります。 (髙橋句美子)
18.金色(こんじき)の瀬戸海はるか花の影/柳原美知子
夕暮れ時でしょうか、満開の桜の下、遠くに金色に染まったの瀬戸内海が見えます。値千金のひとときですね。 (多田有花)
19.せせらぎのゆったり響く春の川/西村友宏
足を止めてゆったりと川の音を聞いていると、日常の事が忘れられ、眠くなってゆくようです。 (祝恵子)
32.亡き母の着物想いぬ紫木蓮/桑本栄太郎
着物がお似合いだった在りし日のお母様。特にお気に入りだった艶やかな紫木蓮の着物姿がまなうらに浮かび、さまざまなことを思い出す春昼です。 (柳原美知子)
36.花びらを巻いて届きし春きゃべつ/川名ますみ
届いた春キャベツに花びらが付いている。春の訪れを二重に感じるお届けものです。 (高橋秀之)
02うら若き牡丹の新芽ほぐれけり/小口泰與
07.田舎味噌麦の匂いの蜆汁/吉田 晃
09.物干に明るい風の吹く四月/吉田 晃
13.見上げれば雲と桜と青空と/多田有花
39.満開に早や舞い落ちる桜かな/友田 修
■選者詠/髙橋信之
24.花祭り妻が居る日よ今日があり/髙橋信之
お釈迦様の生誕を祝う花祭りに奥様と行かれ、改めておふたりで過ごされた来し方を振り返り、奥様への感謝の念を強くされました。花祭りの輝きに溢れたかけがえのない今日の日です。 (柳原美知子)
22.窓開けて近くに見えてチューリップ
23.さくら咲き寺の庭のひろびろと
■選者詠/髙橋正子
26.八重桜街ゆく人の衣を軽く/髙橋正子
四月の初めあたりまでは、ときに暖房が欲しいような日もありますが、八重桜が咲くころになるとぐんと暖かくなります。人々も上着を脱ぎ軽装となって強くなった日差しの中を行き交います。足取りも思わず軽くなる季節の雰囲気をよくとらえられています。(多田有花)
八重桜という季語と「衣を軽く」という表現ですっかり春めいた街並みや情景が鮮明に浮かびます。(西村友宏)
27.花は葉にここより老いの正念場/髙橋正子
爛漫と咲きほこった万朶の花の散り際のあわただしさがひとしお愛惜される。花が散り青葉に変わる桜の木、人生もまた歴史を繰り返す。いよいよ作者としては素晴らしい人生の為の最終章の生きざまの正念場である。素晴らしき人生の為に。 (小口泰與)
25.大空にたんぽぽ無心の黄の花を
●最高点(6点)
04.客船に舞いこむ桜陽が照らす/高橋秀之
■4月月例ネット句会清記■
2022年4月10日
13名(39句)
02うら若き牡丹の新芽ほぐれけり
03.綿菓子のふわっと膨れ花月夜
04.客船に舞いこむ桜陽が照らす
05.新しき制服の列入学式
06.寒暖の差が身に染みる春の風
07.田舎味噌麦の匂いの蜆汁
08.白蝶の我が背を抜いてゆくはやさ
09.物干に明るい風の吹く四月
10.五地蔵の背後に散るよ寺桜
11.ホタルイカ酒のさかなの一品に
12.土筆提げ今日の成果の指の灰汁
13.見上げれば雲と桜と青空と
14.雲動く桜の色も動きけり
15.稜線の影やわらかき芽立時
16.谷水の音へ辛夷のひらき初む
17.夕つばめ河口より来て瀬音切り
18.金色(こんじき)の瀬戸海はるか花の影
19.せせらぎのゆったり響く春の川
20.春の宵ウィスキーと詰将棋
21.新品の鉛筆光る新学期
22.窓開けて近くに見えてチューリップ
23.さくら咲き寺の庭のひろびろと
24.花祭り妻が居る日よ今日があり
25.大空にたんぽぽ無心の黄の花を
26.八重桜街ゆく人の衣を軽く
27.花は葉にここより老いの正念場
28.山菜の若芽の渦巻き足下に
29.庭園に木瓜の花咲く赤と白
30.手作りて桜餅を父母に
32.亡き母の着物想いぬ紫木蓮
33.遅き日の黒猫塀に憩い居り
34.きゃべつの葉水に浸ければ飛花の浮く
35.飛花ひとひら内に巻きいるきゃべつの葉
36.花びらを巻いて届きし春きゃべつ
37.公園の桜に集う昼下がり
38.追分の辻に古木の桜かな
39.満開に早や舞い落ちる桜かな
※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。
■2022年/4月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2022年4月4日(月)午前6時~2022年4月10日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:4月10日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:4月11日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、4月11日(月)正午~4月14日(木)午後6時
○句会管理:高橋信之
※都合で投句受付開始日より前に投句したい方は、期日前でも投句が可能です。
ご挨拶
■3月月例ネット句会/入賞発表
■入賞発表/2022年3月14日
【金賞】
09.ヒヤシンス根っこは水を掴み巻く/祝 恵子
水栽培のヒアシンスの根の逞しさを描写して、シュールなイメージを呼び起こす。「水を掴み巻く」が、人の手ならば、出来そうもないこと。透明感とヒアシンスの匂いを呼び起こしている。ここがよい。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
31.花菜畑分けゆく先の海の青/柳原美知子
花菜畑の黄色、海の青い色の対比が鮮やか。風景を鮮明に捉え、日本人の原風景でありながらも、斬新な絵画のようであるのが新鮮。(髙橋正子)
20.鮮やかな袴で揃い卒業生/多田有花
卒業式に臨む女子学生たちが、鮮やかな袴で勢ぞろいした。鮮やかな色に、華やかさと凛々しさ、また若さが読み取れ、眩しいほどである。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
17.終着の近き電車へ麦青む/吉田 晃
電車が終着の駅に近づくと、麦が青々と育っているのを目にすることになった。電車は市街から郊外へと走り、終着駅近くになると田園風景が広がるということ。麦青む景色があるのがうれしい。(髙橋正子)
22.春日和巣立つわが子にスーツ買う/高橋秀之
社会人となる子に、はなむけにスーツを買う親の気持ちを「春日和」がよく表している。日常の言葉が素直に心に温かく響いて来る句だ。(髙橋正子)
29.トンネルを抜けて空には春の虹/西村友宏
暗いトンネルを抜けるとそこにあるのは、空にかかる春の虹。予期しない春の虹に心が広がる思い。よいことがありそうだ。(髙橋正子)
22.春日和巣立つわが子にスーツ買う/高橋秀之
我が子も漸く学生生活を終え、社会人となって巣立つ事になる春を迎えた。最後の子育ての心算でスーツを買い与え、ほっと安堵と同時に、一抹の寂しさも感ずる簿妙な親心が垣間見える。 (桑本栄太郎)
29.トンネルを抜けて空には春の虹/西村友宏
車か電車かあるいは徒歩か、いずれにせよ閉塞空間のトンネルを抜けたらその先の青空に虹がかかっていました。忘れがたい一瞬です。 (多田有花)
31.花菜畑分けゆく先の海の青/柳原美知子
黄色の花菜の畑を越えてゆくとその先なに青々とした春の海が開けている。希望の世界が目の前にある。素敵な景ですね。 (小口泰與)
41.戦争の報道昼夜咲くミモザ/髙橋正子
ミモザの黄の花が美しい季節となったけれど、同じ空の下ウクライナでは戦争が起き、多くの命と街が失われており、胸が痛みます。一日も早い停戦と平和を祈る日々です。 (柳原美知子)
09.ヒヤシンス根っこは水を掴み巻く/祝 恵子
14.菊根分鉢を受けたる垣根越/廣田洋一
20.鮮やかな袴で揃い卒業生/ 多田有花
【髙橋正子特選/7句】
28.水温の春めく朝に声弾む/西村友宏
水温で春を感じた、にそうなんだと思います。私もこの数日の温かさに、メダカの水替えをしたところです。(祝恵子)
34.青空へ桜の蕾ふっくら伸び/髙橋句美子
急に暖かくなり、桜の蕾がふくらんで青空に映え、気持ちも浮き立ちます。日一日と開花が待たれます。 (柳原美知子)
09.ヒヤシンス根っこは水を掴み巻く/祝 恵子
17.終着の近き電車へ麦青む/吉田 晃
20.鮮やかな袴で揃い卒業生/ 多田有花
22.春日和巣立つわが子にスーツ買う/高橋秀之
31.花菜畑分けゆく先の海の青/柳原美知子
03.利根川の水は水追い鳥雲に/小口泰與
豊かな利根川の流れの上を渡り鳥が北方へと帰ってゆきます。名残りを惜しみ、新たな季節の到来を実感される優しい眼差しが感じられます。 (柳原美知子)
昼寝をされていたのでしょう。冬ならばすぐに日が傾いてしまいますが、まだまだ明るいところに春の日永を実感されています。 (多田有花)
一面の菜の花に包まれた海沿いの鉄路。駅に停車するたび、菜の花の匂いが車内にもひろがり、駅を降りると海にもその匂いがひろがっていくのを感じます。春が実感される至福のひとときです。 (柳原美知子)
菜の花が広々と咲いている様子が思い浮かびました。(髙橋句美子)
21.花束を解けば春の香広がりぬ/多田有花
ラッピングを解いたことで漂う香りが素敵な春の訪れを演出しているような綺麗なシーンが浮かびました。 (西村友宏)
27.葉牡丹の茎立風をつかまえる/川名ますみ
これと同じ光景を近所の玄関で目にしました。小さな葉ボタンが立ち上がって伸び、まるで薔薇のようです。葉ボタンの新たな美しさを発見されていますね。 (多田有花)
30.伊予柑を剥くか剥かぬか午後十時/西村友宏
伊予柑を食べたい、でももう遅い時間だから、の葛藤が読み取れます。春になり夜の時間も過ごしやすくなってきました。 (高橋秀之)
36.麗日のパン屋の香り坂下る/髙橋句美子
寒さが去りうらうらと春の日差しが差す坂道を下っていたら焼きたてのパンの香りが漂ってきました。春の何でもない一日の幸せです。 (多田有花)
37.雨音に春の夜明けと判じけり/友田 修
静かに土を濡らすような雨音に耳を澄ませ、春の夜明けを味わわれる。充実した一日となることでしょう。 (柳原美知子)
02.山裾の松の支える春の雲/小口泰與
05.三月や出会いと別れあるばかり/桑本栄太郎
08.送りくる春の荷包む新聞紙/祝 恵子
19.いかなごのくぎ煮や播磨の春の味/多田有花
11.春の雲高しその下を鳥たちは
雲の高さと、その下を舞う鳥の姿が対比されていて、春の空を舞う鳥たちの喜びが見えるようだ。鳥たちが命を喜んでいる姿を感じておられるこの句は信之先生のものに間違いない。 (吉田晃)
10.春うららぽん菓子皿に軽くあり
12.白れんの道を妻と帰りたり
■選者詠/髙橋正子
40.花蕾枝に散らばりはや眩し
桜の枝のそこここで、花芽が膨らみ始めました。ほんのり紅色を帯びて、はやくも春の陽射しに燦めいています。枝に散らばる蕾が眩しい、希望に満ちた光景です。 (川名ますみ)
41.戦争の報道昼夜咲くミモザ
42.戦下のバス母も子もみな着ぶくれて
■互選高点句
●最高点(6点)
09.ヒヤシンス根っこは水を掴み巻く/祝 恵子
集計:髙橋正子
■3月月例ネット句会清記■
2022年3月13日
14名(42句)
02.山裾の松の支える春の雲
03.利根川の水は水追い鳥雲に
04.うつうつと面影追いぬ春の夢
05.三月や出会いと別れあるばかり
06.目覚めても日差し明るき遅日かな
07.昼月に一直線に飛ぶ雲雀
08.送りくる春の荷包む新聞紙
09.ヒヤシンス根っこは水を掴み巻く
10.春うららぽん菓子皿に軽くあり
11.春の雲高しその下を鳥たちは
12.白れんの道を妻と帰りたり
13.御開帳少しはずみしご喜捨かな
14.菊根分鉢を受けたる垣根越
15.道端に伏せて休める椿かな
16.のど飴の溶けゆく甘さ春の風邪
17.終着の近き電車へ麦青む
18.菜の花の匂いが海へ電車へも
19.いかなごのくぎ煮や播磨の春の味
20.鮮やかな袴で揃い卒業生
21.花束を解けば春の香広がりぬ
22.春日和巣立つわが子にスーツ買う
23.春風が頬をふんわり暖かく
24.ものの芽を見つけ微笑む昼下がり
25.木瓜の花すっかり枝を隠しきり
26.葉牡丹の茎立のさき軽き色
27.葉牡丹の茎立風をつかまえる
28.水温の春めく朝に声弾む
29.トンネルを抜けて空には春の虹
30.伊予柑を剥くか剥かぬか午後十時
31.花菜畑分けゆく先の海の青
32.マトリョーシカ雛に加えて祈りけり
33.青麦やフレンチトーストふわり焼け
34.青空へ桜の蕾ふっくら伸び
35.薄墨の空にぽつりと朧月
36.麗日のパン屋の香り坂下る
37.雨音に春の夜明けと判じけり
38.家々に明かりが灯る春の宵
39.黒土のほころぶころや春の雨
40.花蕾枝に散らばりはや眩し
41.戦争の報道昼夜咲くミモザ
42.戦下のバス母も子もみな着ぶくれて
※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。
■2022年/3月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2022年3月7日(月)午前6時~2022年3月13日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:3月13日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:3月14日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、3月14日(月)正午~3月17日(木)午後6時
○句会管理:高橋信之
※都合で投句受付開始日より前に投句したい方は、期日前でも投句が可能です。
ご挨拶/2月月例ネット句会を終えて
■2月月例ネット句会/入賞発表
■入賞発表/2022年2月13日
【金賞】
8.裸木の白壁に影立たせおり/祝 恵子
「裸木や白壁に影立たせおり」とすれば、さらに意味が通りやすくなると思う。「影立たせ」が秀逸で、白壁に映った影が、影でありながら、再び、立ち上がっている。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
10.芋粥を遺影の母へ供えけり/吉田 晃
普段家庭ではさつま芋を入れた粥も芋粥と言われるが、俳句では、自然薯を入れて炊いた粥のこと。貴重な自然薯が手に入り、やらわかく粥に炊いて、仏前の母に供えた。母への行き届いた思いの句。(髙橋正子)
19.寒林に水音添いくる母の忌よ/柳原美知子
寒林を歩くと水音が身に添ってくる。思えば母の忌日である。いつの間にか、母といるような透明な感覚に襲われる。言葉にし得ない母への思い。(髙橋正子)
13.妻と見る高層階から春空を/高橋秀之
妻と上がった高層のビルから向こうの春空や、さらに高い、さらに遠くの春の空が見える。春の空のような、さり気ない夫婦の会話が聞こえそう。(髙橋正子)
塩漬けの桜の葉に包まれた薄い桃色の桜餅は、季節菓子の中でも特に春らしいもの。季節になれば、たくさん並べて売られる。一列に並べられることもある。菓子舗の店先があかるく彩られ、楽しい季節になる。(髙橋正子)
36.紅梅の莟ふくらむほど淡き/川名ますみ
紅梅が固い莟のときは、紅が濃い。ふくらんでいく程にやわらかな淡い色になっていく。莟がふくらむように、心もふくらんでくる。(髙橋正子)
【髙橋信之特選/7句】
25.音立てて天ぷら揚がる春立つ日/髙橋正子
今日から春。立春寒波で寒い春の初日でした。からりと揚がった熱々の天ぷらが美味しそうです。揚げたてをいただきましょう。 (多田有花)
26.青空に枝きらきらと雪のあと/髙橋正子
「雪のあと」の表現に魅かれた。積った雪がきらきら光るのは当然のことであり、誰もが表現する。水気を含み溶けかけて、それでも雪の形を枝に残している姿を表現しているのだと思う。青空と溶けかけた雪の光の表現に魅力を感じた。(吉田晃)
青空を見上げると、枝に残る雪に日の光が反射してきらきらしている。これからの暖かい未来を示している様子が春遠からずを感じさせてくれます。(高橋秀之)
18.裸木の白壁に影立たせおり/祝 恵子
19.寒林に水音添いくる母の忌よ/柳原美知子
27.空を指す枝の幾千芽吹かんと/髙橋正子
【髙橋正子特選/7句】
36.紅梅の莟ふくらむほど淡き/川名ますみ
春の喜びを感じ、日々のふくらみを心待ちにされている。静かな希望に満ちた優しい句ですね。(柳原美知子)
13.妻と見る高層階から春空を/高橋秀之
18.裸木の白壁に影立たせおり/祝 恵子
19.寒林に水音添いくる母の忌よ/柳原美知子
31.桜餅薄い桃色一列に/髙橋句美子
【入選/17句】
01.春雪の晴れて舞いたる風の空/桑本栄太郎
寒波が押し寄せると太平洋側にもその余波の雪がもたらされます。日本海側の豪雪とは違いすぐに溶けてしまう淡雪であることがほとんど。青空の下を雪片が舞うこともあります。 (多田有花)
まんさくの花にほんのり温もりを感じ、一足早く春の訪れに気づきます。 (西村友宏)
昔から「春の夢と言って、はかない事のたとえに言われているが、夢の中のあこがれたスターと語っている青春時代の作者が居る。素晴らしい夢の世界ですね。(小口泰與)
20.蜜柑色のジャム煮る匂い春立てり/柳原美知子
爽やかでみずみずしい香りが春のようです。 (髙橋句美子)
24.お守りを内ポケットに大試験/西村友宏
大学受験でしょう。学問の神様天満宮のお守りでしょうか。やることはやってきた、あとは本番で実力を発揮するのみですね。 (多田有花)
28.寒明けやくるくる変はる空模様/廣田洋一
寒が明け立春を迎えれば「春に三日の晴間なし」とも云われ、空模様は猫の眼のように変わり易くなります。この季節の天候が直截に表現され、季節の変わり目が良く詠いあげられている。(桑本栄太郎)
30.初島の影くっきりと春の雪/廣田洋一
初島は相模湾に浮かぶ静岡県唯一の有人島。春の雪が舞う沖を眺めれば初島の影が黒く浮かんでいます。 (多田有花)
40.立春の川面膨らむ光かな/友田 修
立春の朝、川面に陽が差して水が膨らんでいるように見えると言う、いかにも春らしい景色。 (廣田洋一)
02.雲走り影の走りぬ春の嶺/桑本栄太郎
■選者詠/髙橋信之
38.朝の日があかるく窓に梅に差し
朝日が窓や梅にも明るく差してきた。今日も元気に過ごせそうですね。 (祝恵子)
39.桜咲く季節を待てば喜びも
■選者詠/髙橋正子
25.音立てて天ぷら揚がる春立つ日
26.青空に枝きらきらと雪のあと
27.空を指す枝の幾千芽吹かんと
■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
26.青空に枝きらきらと雪のあと/髙橋正子
36.紅梅の莟ふくらむほど淡き/川名ますみ