■9月月例ネット句会清記■

■9月月例ネット句会清記■
2022年9月11日
42句(14名)

01.流星や気散じの歩を湖辺まで
02.市松の切子硝子や秋うらら
03.蜩や湖にひと筋光りあり
04.あぶれ蚊の親しき声の纏い付く
05.身に入むや現世哀しき事ばかり
06.ふるさとの最後のひとつ梨を剥く
07.吾が影を追い越しトンボの影も飛ぶ
08.雨粒並ぶそれぞれに秋の色
09.辻地蔵稲穂出揃う裏通り
10.鶏頭の一群風にうねるかな

11.月やさしドビュッシーを聴きながら
12.ふと目覚めすこやかならむ母の秋
13.好天に恵まれし旅新酒酌む
14.高いわねと言ひて過ぎ行く秋刀魚かな
15.秋の虹新国王の城囲む
16.旅先で大空みれば中秋の月
17.目の前を行ったり来たり秋茜
18.秋の風ふと爽やかに頬を撫で
19.燕去り風は軽さを加えたり
20.名月のいま山の端を離れたり

21.名月の名残見送る夜明けかな
22.迎え火を焚く嬉しさよ茄子の牛
23.石鎚は白露の峰となり聳え
24.峡の田を守る案山子の首手拭い
25.名月のやすらう空の鉄色に
26.精霊バッタ飛び発ち翅のみどり透く
27.雹跡の疵梨剥くも野趣ふかし
28.待宵の田わたる風に身の軽く
29.月見団子丸めていれば雨あがり
30.名月のステンドグラスとなる高窓

31.旧友と並んで歩く秋の夜
32.弧を描く打球の先に光る月
33.読み終えて栞挟めば虫の声
34.海からの秋風の吹く大通り
35.秋晴れに雲一つなし海の青
36.梨届く段ボール畳む昼下がり
37.秋桜の揺れる畑よ青き空
38.重陽の雲間に見ゆる白き月
39.夕暮れの葉陰に揺れる栗のいが
40.黒ぐろと葡萄の粒が露を噴く

41.酢橘二個ころがり二個のみどり濃く
42.十五夜の盆にいびつな梨が載り

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

■2022年/9月月例ネット句会ご案内■

■2022年/9月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠(秋の句)3句
②投句期間:2022年9月5日(月)午前6時~2022年9月11日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:9月11日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:9月12日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、9月12日(月)正午~9月15日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/8月月例ネット句会を終えて

8月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。ちょうど月遅れのお盆と重なり、なにかとご用がおありだったことでしょうが、大勢の皆様にご参加いただき、感謝いたします。選とコメントをありがとうございました。
入賞の皆さまおめでとうございます。
今日は、西からの高気圧が張り出して暑さのなかにも秋の爽やかさを感じる一日となっています。
ご投句の俳句を拝見しますと、一日一日移り変わる季節がとらえられているのにいまさらながら驚きます。日々たのしく俳句を作って行きたいと思っています。
8月月例ネット句会をこれで終わります。
来月9月月例ネット句会は9月11日(日)となります。暑さの折、ご体調に気を付けてご健吟ください。
8月19日
髙橋正子

■2022年8月例ネット句会入賞発表■

■8月月例ネット句会/入賞発表
■2022年8月例ネット句会■
■入賞発表/2022年8月15日

【金賞】
26.近況を語り合いたる盆の客/多田有花
盆の客を迎えた家の情景がありありと見える。衒いのない表現がいい。盆のお参りにきた近い親戚、遠い親戚もこの日は睦まじく近況を語り合う。幼き日に戻れたような懐かしさを覚える。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
04.笊に乾す梅干塩の噴きにけり/桑本栄太郎
梅干しを作る作業では、暑い盛り、とくに土用の日に当てることが大事。笊に広げて乾かすと塩がきらきらと噴きでる。そのままを詠んで無駄がなくすっきりとしている。(髙橋正子)

39.世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな/友田 修
生活の街として都心を少し離れて発展してきた世田谷。広広とした街空の日暮れに蜻蛉が横切る。世田谷ならではの生活感覚をもって上手く蜻蛉が表現されている。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
08.街へ来ぬ素足にかるきハイヒール/川名ますみ
久しぶりにお洒落な街へ出て来た嬉しさが、「素足にかるきハイヒール」に表現されている。素足の華奢な脚、細いハイヒール。街にあってこそ映える。(髙橋正子)

13.トマトの葉もぐ指先に同じ香が/吉田 晃
トマトの葉をもぐと指先もトマトの葉と全く同じ匂いが付く。そこまで強烈に付く匂いはトマト独特。夏を感じさせる青臭い生命力のある匂いだ。(髙橋正子)

18.とんぼうは引けば寄るなり夕の原/弓削和人
とんぼうの習性がよく観察されている。というより、幼いころのからの経験が「引けば寄るなり」という巧みな表現をいとも易く言ってのけた感じだ。夕べの原にニュアンスがある。(髙橋正子)
【髙橋信之特選/7句】
18.とんぼうは引けば寄るなり夕の原/弓削和人
夕方の原っぱでの蜻蛉との出会いと小さな発見。秋の訪れと涼しさのみなぎる心温まる句ですね。 (柳原美知子)

26.近況を語り合いたる盆の客/多田有花
 お盆に久しぶりに会った者同士が近況を語り合う姿が良く解ります。家族の話や健康の話など尽きることがないですね。 (小口泰與)

39.世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな/友田 修
立秋後連日まだ残暑の厳しいものの、東京も都心を少し離れた世田谷ともなれば、夕暮れ時に微かに秋風が感じられ、蜻蛉が横切るようになります。「世田谷」との地名も入り、早くも秋の気配を感ずる作者です。 (桑本栄太郎)

04.笊に乾す梅干塩の噴きにけり/桑本栄太郎
08.街へ来ぬ素足にかるきハイヒール/川名ますみ
13.トマトの葉もぐ指先に同じ香が/吉田晃

【髙橋正子特選/7句】
11.植田見ゆ角をすぐると風にあう/祝恵子
「風にあう」という表現が新鮮だと思いました。植田から新しい生命力が吹いてくるイメージが出てきます。 (弓削和人)

35.稲穂出で夜風芳し星仄か/柳原美知子
稲穂の香りが漂う気持ちいいよ風とそらには星も瞬いています。のどかで綺麗な風景が目にうかびました。(西村友宏)

04.笊に乾す梅干塩の噴きにけり/桑本栄太郎
08.街へ来ぬ素足にかるきハイヒール/川名ますみ
18.とんぼうは引けば寄るなり夕の原/弓削和人
26.近況を語り合いたる盆の客/多田有花
39.世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな/友田 修

【入選/21句】
12.向日葵のわが実の重さに耐えており/祝恵子
大輪の向日葵なんでしょう。実がなってくると頭を垂れる向日葵が多い中、頑張って正面を向いている向日葵が目に浮かびます。 (高橋秀之)
ぐんぐんと太陽に向かってのびたひまわりも花が終わる時期になると、種の重さで首をうなだれるようになります。ひまわりが人の姿に重なってユーモアを感じます。 (多田有花)

19.天高し丹沢望む露天風呂/廣田洋一
気持ちよさそうですね。青空の下、空を仰ぎながら入る露天風呂。よくぞ日本に生まれけり、という気持ちになります。 (多田有花)

20.田起こしの所作軽やかに風の盆/廣田洋一
踊りの中のふり、田起こしを軽やかに踊りながら、遠ざかってゆく風の盆、一度は見て見たいものです。 (祝恵子)
風の盆は、富山の八尾の盆踊りですが、よく知りませんでした。編み笠に顔が隠れて、手をしなやかに使う踊りに合わせた胡弓の音がさびしそうです。田おこしの所作があるのを初めて知りました。 (髙橋句美子)

23.梨の実の瑞々しさは今年初/高橋秀之
お盆のころに今年の初物として梨が店頭に並び始めます。今年も先日スーパーで見かけてお盆なんだと感じました。 (多田有花)

24.夕食に酒はなくとも冷ややっこ/高橋秀之
多分、作者が一人で頂く夕食だろう。酒はなくとも、冷奴のさっぱりした味を楽しんでいる様が良く見える。 (廣田洋一)

28.革靴を磨きつつ待つ流星群/西村友宏
革靴を磨くという日常の中で、流星群という非日常を待つわくわく感が伝わってきます。秋の訪れが実感される夜空です。(柳原美知子)

31.アイスティーインクの乾く間を繋ぐ/上島祥子
手紙を書かれているのでしょうか?万年筆でしたためる一筆。 (多田有花)

36.水路の水汲んで苧殻火尽きるまで/柳原美知子
 炊いた迎え火を消えるまで眺めている。いろいろな思いや思い出を感じておられるのだと思う。燃え尽きた苧殻を家の前の水路の水で消すのだが、それはご先祖様が生前親しんでおられた水路の水なのだ。ご先祖様はきっと喜んでおられることでしょう。(吉田晃)

46.夏草をかき分け進む植物園/髙橋句美子
学術的にラベル付けされた、植物園の展示。その通り道にも、自然の夏草が茂っています。エネルギーに満ちた夏草を「かき分け進む」という描写に、力強さを感じます。 (川名ますみ)

01.利根川の岩場へつつと石たたき/小口泰與
02.夕鵙や風雨に晒さる摩崖仏/小口泰與
05.ひぐらしや想い出よぎる吾が半生/桑本栄太郎
06.かなかなのかなの途切れし茜かな/桑本栄太郎
07.空色の切り絵をひらく戻り梅雨/川名ますみ
09.髪切って胡瓜どっさり冷や汁に/川名ますみ
14.買い物へ苧殻の人とすれ違う/吉田晃
16.祖母もぎる指の無花果やわらかき/弓削和人
25.祖父母の像下に新盆叔父の像/多田有花
29.真っ新な運動靴で夏雲へ/西村友宏
34.夏祓墨絵の灯篭裏参道/柳原美知子
47.真夏日の大樹風に靡くまま/髙橋句美子

■選者詠/髙橋信之
40.茗荷二個よく洗われて光る
41.茄子三個洗われ雫がたくさん
42.梨・茗荷・茄子を揃えてバットに載せ

■選者詠/髙橋正子
44.はじめての虫音響けり居間の窓/髙橋正子
今年は梅雨明けも早く熱帯のような湿度と猛暑の夏でした。まだまだ残暑の続く中、夜になりはじめての虫音が聞こえて来た時の嬉しさは、ひとしおですね。暦どおり秋は着実にすすんでいると実感されます。(柳原美知子)

43.ほてい葵盆にあわせて花ひらく
45.台風の過ぎ行く夜を灯ともして

■互選高点句
●最高点(同点2句/5点)
12.向日葵のわが実の重さに耐えており/祝恵子
26.近況を語り合いたる盆の客/多田有花

集計:髙橋正子

■8月月例ネット句会清記■

■8月月例ネット句会清記■
2022年8月14日
16名(48句)

01.利根川の岩場へつつと石たたき
02.夕鵙や風雨に晒さる摩崖仏
03.扁額の筆跡褪せし桐一葉
04.笊に乾す梅干塩の噴きにけり
05.ひぐらしや想い出よぎる吾が半生
06.かなかなのかなの途切れし茜かな
07.空色の切り絵をひらく戻り梅雨
08.街へ来ぬ素足にかるきハイヒール
09.髪切って胡瓜どっさり冷や汁に
10.苦瓜の種赤ければすくい食ぶ

11.植田見ゆ角をすぐると風にあう
12.向日葵のわが実の重さに耐えており
13.トマトの葉もぐ指先に同じ香が
14.買い物へ苧殻の人とすれ違う
15.袋菓子選る老の瞳に秋涼し
16.祖母もぎる指の無花果やわらかき
17.車より降りるや靴へ猫じゃらし
18.とんぼうは引けば寄るなり夕の原
19.天高し丹沢望む露天風呂
20.田起こしの所作軽やかに風の盆

21.盆踊りアームカヴァーのしなやかに
22.夏日差す熱きステージこぶし上げ
23.梨の実の瑞々しさは今年初
24.夕食に酒はなくとも冷ややっこ
25.祖父母の像下に新盆叔父の像
26.近況を語り合いたる盆の客
27.盆提灯叔父の写真の両脇に
28.革靴を磨きつつ待つ流星群
29.真っ新な運動靴で夏雲へ
30.風鈴と古典に耽るカフェテラス

31.アイスティーインクの乾く間を繋ぐ
32.夏便り三度見直し投函す
33.夏帽子ゴム付け替えて母仕様
34.夏祓墨絵の灯篭裏参道
35.稲穂出で夜風芳し星仄か
36.水路の水汲んで苧殻火尽きるまで
37.秋立ちて風の動きに驚きぬ
38.立秋を確かに風に感じけり
39.世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな
40.茗荷二個よく洗われて光る

41.茄子三個洗われ雫がたくさん
42.梨・茗荷・茄子を揃えてバットに載せ
43.ほてい葵盆にあわせて花ひらく
44.はじめての虫音響けり居間の窓
45.台風の過ぎ行く夜を灯ともして
46.夏草をかき分け進む植物園
47.真夏日の大樹風に靡くまま
48.禊萩の群生枝の小さい赤

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

■2022年/8月月例ネット句会ご案内■

■2022年/8月月例ネット句会ご案内■

①投句:当季雑詠(夏の句・秋の句)3句
②投句期間:2022年8月8日(月)午前6時~2022年8月14日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:8月14日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:8月15日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、8月15日(月)正午~8月18日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

■7月月例ネット句会/入賞発表

■7月月例ネット句会/入賞発表
■2022年7月月例ネット句会■
■入賞発表/2022年7月11日

【金賞】
12.合歓咲いてはるか島なみ青湛え/柳原美知子
合歓の花の背景として青を湛える島なみが絵画的な風景を見せてくれている。瀬戸内海の夏の夏の景色があくまでも優しく詠まれている。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
20.生まれたて影を連れてる子のメダカ/祝 恵子
生まれたばかりなのに、影を連れて泳いでいる。実態が確かであればあるほど、影も確かであると思われるが、生まれて早やも影がある存在の確かさをさりげなく詠んで涼しそうだ。(髙橋正子)

36.桃ゼリー匙の冷たさ一瞬に/髙橋句美子
桃ゼリーを匙に載せたとき、ゼリーの冷たさが匙に伝わり、それが舌に伝わったときに驚くような一瞬の冷たさ。桃ゼリーと匙の取り合せに涼感がある。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
04.釣り上げし山女を掲ぐ吾子の顔/小口泰與
山女を釣るのは難しいと思われるが、それを釣りあげた子ども誇らしげな笑顔が健康的で素晴らしい。(髙橋正子)

13.日傘さし遊覧船で堀巡り/高橋秀之
堀を巡る遊覧船でゆっくりすごす日傘の人。湖や川ではなく堀というのも庶民的。日傘と水のある風景が目に眩しい。(髙橋正子)

28.ジャガイモの葉へ夏蝶の風に流れて/吉田晃
ジャガイモの葉も収穫前となり青さえ闌けた色になっている。そこへ夏蝶が風に流されてやって来る。風も蝶もジャガイモの葉もみんな季節の出会いのなかにある。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
12.合歓咲いてはるか島なみ青湛え/柳原美知子
合歓の花が咲くのは梅雨明けから盛夏のころ。独特の花の形と色合い、香りです。その花の姿の彼方に見えるのは青い瀬戸内海、景色の大きな広がりを感じます。 (多田有花)

20.生まれたて影を連れてる子のメダカ/祝 恵子
メダカの子が自らの影を伴って、水槽か池を泳いでいる姿が微笑ましい。作者の子供が成長する姿を重ねながら詠んでいるようで、想像もふくらみます。 (弓削和人)

25.ピーマンとトマトと水に浮き動く/髙橋正子
ピーマンとトマトの色彩もよく、冷水にぷかぷか浮いている様子は、涼しげで、何もかも水に浮かべて冷やしていた懐かしい夏の光景を思い出します。 (柳原美知子)

04.釣り上げし山女を掲ぐ吾子の顔/小口泰與
13.日傘さし遊覧船で堀巡り/高橋秀之
28.ジャガイモの葉へ夏蝶の風に流れて/吉田晃
36.桃ゼリー匙の冷たさ一瞬に/髙橋句美子

【髙橋正子特選/7句】
01.初蝉の少し鳴いてはそれつきり/桑本栄太郎
今は、一匹が鳴き始めると大合唱ですが、毎年、初蝉はまさにこの句のとおりです。いよいよ暑い夏が来るぞ、の心の準備期間なのでしょうか。(高橋秀之)
すぐ鳴きやむ様を「それっきり」という言葉で見事に表現していると思いました。状況や光景が自然と浮かびました。 (西村友宏)

11.皿ケ嶺ブナの葉陰に清水放ち/柳原美知子
一読して涼しさが溢れてくる句です。四国山脈の仰ぎ見る高さ、そのひとつ皿ヶ嶺から流れ出る清水、ブナの中を吹き渡る涼風が肌に感じられます。 (多田有花)

34.日が沈む七夕祭りのアーケード/髙橋句美子
七夕祭りをしている商店街の向こうに日が沈むのでしょうか。日が沈みお祭りはこれから本番という切り替わり時が感じられます。 (高橋秀之)

04.釣り上げし山女を掲ぐ吾子の顔/小口泰與
12.合歓咲いてはるか島なみ青湛え/柳原美知子
13.日傘さし遊覧船で堀巡り/高橋秀之
20.生まれたて影を連れてる子のメダカ/祝恵子

【入選/17句】
02.雨雲の嶺より峡へ戻り梅雨/桑本栄太郎
梅雨明けが非常に早かったためか、その後またぐずついたお天気が何日かありました。梅雨明け宣言もなかなか難しい判断です。雨雲が漂う山々の様子を広くとらえられています。 (多田有花)

03.夕暮れの川に水輪や宵涼し/桑本栄太郎
 夏は暑い季節であるから、ひとしお涼気が意識される。夕暮の川の瀞に水輪が生まれ、瀞の静かな流れに夏の暑さを忘れる事が出来ますね。 (小口泰與)

05.幼子の頬っぺに紅や夏祭/小口泰與
久しぶりの夏祭りに、幼子もお化粧してもらって、これからいよいよ出番です。笑顔あふれる真夏の宵が想像されます。 (柳原美知子)

07.逝く蝉の瞳は天を仰ぎたり/弓削和人
ころんと仰向けになっている蝉の亡骸をよくみかけますが、こんなふうに考えたことはなかったので、その発想に惹かれます。短い命の尊さが思われます。(柳原美知子)

10ズッキーニやっと雄花が咲き受粉/柳原美知子
同じように苦瓜に受粉した経験があり、やっとに実感がわかります。 (祝恵子)

16.東雲の空灼熱の予感あり/多田有花
早く梅雨明けとなったかと思えば、又戻り梅雨などもありながら日毎に暑くなり、6月中より全国至るところに於いて最高気温の猛暑日です。朝戸外の東の空を眺めれば、うっすらと霞みが差し今日も灼熱の暑さの予感です。 (桑本栄太郎)

17.女子のさす日傘男子もためらわず/多田有花
先日、親娘ほど歳の違う女子の日傘に入れてもらいました。これだけ暑い日差しを受けると、まさにためらわず、です。 (高橋秀之)

24.曲がり角占めて咲きたり鉄砲百合/廣田洋一
群集している鉄砲百合の存在感が感じられる句です。 (髙橋句美子)

31.風鈴の音に佇む駄菓子店/西村友宏
風鈴も騒音問題があって最近ではあまり見られなくなりました。風鈴の音を響かせる駄菓子店に出会い、ふと子どもの頃を思い出されたのでしょうか。 (多田有花)

33.あたらしい日傘が光る日曜日/西村友宏
男性も日傘をさす昨今。新しい日傘をご自身でさされたのかあるいは奥様との相合傘でしょうか。傘に透ける日差しの中で、少し照れくさいような楽しい日曜日です。 (柳原美知子)

06.山にまだ日の有るうちやビャーホール/小口泰與
09.高き日や野露は峰の雲となり/弓削和人
14.友と行く夏の立山空青し/高橋秀之
21.降り初む植田に雨のはじく粒/祝 恵子
23.夜店の灯鳥の飛び立つ飴細工/廣田洋一
30.甲羅干す子らは河原に夏蓬/吉田晃
35.夏氷ガラスにカランと塊を/髙橋句美子

■選者詠/髙橋信之
37.扇風機となりの妻も風を受け
会員の俳句を整理しておられるのだろうか。松山の先生宅で、私がいつも見ていた光景だ。時々言葉を交わし、また机に視線を戻す。水煙創刊以来ずっと続いて来たお二人の姿なのだろう。(吉田晃)

39.西瓜食う妻も隣に座り来て
西瓜を切って、ご主人のいる卓に奥様も座って、一緒に食べた。さりげない日常の景色を上手く詠まれた。 (廣田洋一)

38.西瓜食う三角小さく切り分けて

■選者詠/髙橋正子
25.ピーマンとトマトと水に浮き動く

ピーマンとトマトの色彩もよく、冷水にぷかぷか浮いている様子は、涼しげで、何もかも水に浮かべて冷やしていた懐かしい夏の光景を思い出します。 (柳原美知子)
26.メロン二艘真白き皿の上に浮き
27.昼顔はいつしか好きな花であり

■互選高点句
●最高点(5点)
12.合歓咲いてはるか島なみ青湛え/柳原美知子

集計:髙橋正子

■7月月例ネット句会清記■

■7月月例ネット句会清記■
2022年7月10日
13名(39句)
01.初蝉の少し鳴いてはそれつきり
02.雨雲の嶺より峡へ戻り梅雨
03.夕暮れの川に水輪や宵涼し
04.釣り上げし山女を掲ぐ吾子の顔
05.幼子の頬っぺに紅や夏祭
06.山にまだ日の有るうちやビャーホール
07.逝く蝉の瞳は天を仰ぎたり
08.梅雨明けの海漫漫に一人かな
09.高き日や野露は峰の雲となり
10.ズッキーニやっと雄花が咲き受粉

11.皿ケ嶺ブナの葉陰に清水放ち
12.合歓咲いてはるか島なみ青湛え
13.日傘さし遊覧船で堀巡り
14.友と行く夏の立山空青し
15.緑濃き山を後ろに美女を撮る
16.東雲の空灼熱の予感あり
17.女子のさす日傘男子もためらわず
18.夏真昼とろり豆乳ヨーグルト
19.あいこちゃんガンバも育つミニトマト
20.生まれたて影を連れてる子のメダカ

21.降り初む植田に雨のはじく粒
22.弔報に変わらぬ姿夏の川
23.夜店の灯鳥の飛び立つ飴細工
24.曲がり角占めて咲きたり鉄砲百合
25.ピーマンとトマトと水に浮き動く
26.メロン二艘真白き皿の上に浮き
27.昼顔はいつしか好きな花であり
28.ジャガイモの葉へ夏蝶の風に流れて
29.夏雲へ水飲む少年の喉仏
30.甲羅干す子らは河原に夏蓬

31.風鈴の音に佇む駄菓子店
32.仕事終えアイス舐めれば沢の音
33.あたらしい日傘が光る日曜日
34.日が沈む七夕祭りのアーケード
35.夏氷ガラスにカランと塊を
36.桃ゼリー匙の冷たさ一瞬に
37.扇風機となりの妻も風を受け
38.西瓜食う三角小さく切り分けて
39.西瓜食う妻も隣に座り来て

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。

■2022年/7月月例ネット句会ご案内■

■2022年/7月月例ネット句会ご案内■

①投句:当季雑詠(夏の句)3句
②投句期間:2022年7月4日(月)午前6時~2022年7月10日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:7月10日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:7月11日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、7月11日(月)正午~7月14日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/6月月例ネット句会を終えて

6月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。今月は新会員の方を含め14名の方が参加されました。入賞の皆さまおめでとうございます。
日本全土が梅雨入りしたとのニュースがありました。すっぽり雨に包まれた日本列島も豪雨が無ければ、いいものです。朝夕、散歩に出かけると立葵がきれいに咲き上っているのに出会います。アガパンサスのうす紫や、いたるところに紫陽花が、それもいろんな色の、まためずらしい種類の紫陽花が咲いています。
月例句会はオンラインでおこなわれますが、花冠のオフ句会のときも大体14,5名の参加でした。オフ句会は主宰の自宅で、二間続きの畳の部屋の襖を取り払って句会場としており、家庭的な句会でした。正月など他結社の主宰がお越しくださることもありましたが、それでも自由な議論の交わされる句会で、句会場に来るまでに見た田園などの風景を句に詠んですぐ投句と言う場合もよくありました。今月は、田植えの風景などが詠まれて、そんなことを思い出す句会でした。
来月の句会は7月10日(日)となります。そのころは、梅雨があけているでしょうか。また違った風景の句が詠まれるのを楽しみにしています。これで6月月例ネット句会を終わります。
主宰 髙橋正子
2022年6月17日