3月月例ネット句会/入賞発表

■3月月例ネット句会/入賞発表
■2023年3月例ネット句会■
■入賞発表/2023年3月13日

【金賞】
37.うららかに東京駅舎人流れ/髙橋句美子
日本の玄関口、東京駅。その丸の内駅舎は2012年に復元保存され、創建当時の姿になっている。日本の近代化の数々の歴史を経験し、日本を代表するビジネス街とともに発展してきた。その駅舎は今、日差しを浴びてうららかに、ビシネス街へ向かう人々も春の流れの一つとなっている。「東京駅」でなく、「東京駅舎」としたところ、「うららかに」の季語が効いて、駘蕩とした首都の春が詠まれている。。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
19.春寒し掛けた布団をさらに寄せ/吉田 晃
春はいまだ寒い。布団をかけていながらも、首すじあたりに寒さが忍び入る。掛けている布団をさらに寄せて体温を逃さないように。春とは名ばかりである。(髙橋正子)

25.旅立ちの春改札に手を振りぬ/多田有花
この句は十七字音ではあるが、五・七・五となっていない。「旅立ちの春/改札に手を振りぬ」となり、切り方に自由さがある。従って音律がないわけではないが、独特の音律となっている。つまりは意味が重視されている。旅立って行く者をホームではなく、改札で手を振って見送った。若々しい明るい見送りがいい。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
04.ひと畝の早やも咲きたる茎立菜/桑本栄太郎
しなやかなリズムの句で、一気に読みくだせるよさがある。小さい菜園ではこのような光景が見られる。あっという間に茎立つ菜に、進む春のはやさに、驚きがある。(髙橋正子)

13.朧月書斎の窓の磨硝子/廣田洋一
「朧月」と「磨硝子」の取り合せで大正ロマンのような情感のある句になっている。場所は書斎と明示され、これもいろいろ読み手の想像で楽しく鑑賞できる良さがある。(髙橋正子)

24.菜の花の帯の2本を抜き水へ/祝 恵子
店で売られている菜の花は、茎を半分に折って帯で巻かれている。解けば少し萎れた感じがする。料理するには水に放し、水を吸わせてから使う。「菜の花」と「水」の取り合せが生き生きと、春らしい。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
のちほど。

【髙橋正子特選/7句】
07.湖へ径まっすぐやつくつくし/小口泰與
湖の水面のきらめき、まっすぐに伸びる径の両側につんつんと日差しを浴びて育つ土筆。うららかな光と風に包まれて至福の春のひとときが感じられます。 (柳原美知子)

19.春寒し掛けた布団をさらに寄せ/吉田 晃
朝の何気ない日常から、まだまだ寒い春の気候や様子がよく伝わってきます。(西村友宏)

25.旅立ちの春改札に手を振りぬ/多田有花
この季節は色々な旅立ちがある。新しい社会へ向けて旅立ち、巣立ってゆくのであるか、その分岐点が「改札」なのだ。見送る人と巣立つ人、改札口には様々なドラマがある。手を振る初々しい姿が想像される。 (吉田 晃)

37.うららかに東京駅舎人流れ/髙橋句美子
春の陽光の差す明るい季節となり、東京駅舎を歩く人たちの足取りも軽くなったよう。都会の日々の生活の中にも季節の変化を感じ、豊かな感性で楽しさを見つけられているのは素敵です。 (柳原美知子)

04.ひと畝の早やも咲きたる茎立菜/桑本栄太郎
13.朧月書斎の窓の磨硝子/廣田洋一
24.菜の花の帯の2本を抜き水へ/祝 恵子

【入選/17句】
01.白梅を通う人みな麗しき/弓削和人
梅は早春の寒気の中で咲き始めます。白梅の花の白さには凛とした気品を感じます。そこへ観梅に訪れた人もみな背筋を伸ばして凛とした雰囲気です。(多田有花)

03.春の湖白鳥翔てりと聞くばかり/弓削和人
いつの間にか白鳥がいなくなった湖。静かに春の日差しに煌めいている。北国へ渡っていったとは聞くけれど、見届けたかった。白鳥へのやさしい思いとさびしさがうかがえます。 (柳原美知子)

05.歩みゆく人立ち止まる初音かな/桑本栄太郎
初音を聞いたときの人の動きがよくわかります。「あれ?もしや」と動作をとめて耳を澄まします。そしてもう一声聞こえてくるのを待ちます。ときめくとはこういう感覚か、と思います。 (多田有花)

10.おはようの朝の挨拶受験の日/高橋秀之
受験生の緊張した受験当日の朝、挨拶の第一声により、親しき友達でもライバルになるし、また受験を共に戦う戦友にも似た景が想像されます。 (弓削和人)

12.今日は右明日は左春の風/高橋秀之
春の風は気まぐれです。そよ吹くやわらかいものが翌日には驚くような冷たいものに変わったりします。吹く方向も、南、北と変わり移り気な人の心によくたとえられます。(多田有花)

16.藍色の空に滲むは春満月/友田 修
夕暮れ時が遅くなりすでに夜にも寒さを感じなくなったころ、藍色の空に満月が昇ってきました。湿気を帯びた春の空気に月の輪郭が滲んでいます。春らしいゆったりとした伸びやかな雰囲気が伝わってきます。 (多田有花)

20.麦味噌の汁にたっぷり春野菜/吉田 晃
美味しそうです。麦みそは伝統的に中国・四国・九州といった暖かい地方で良く作られたあっさりとした甘口の味噌。冬の身体を温める類の汁物とは異なり春の野菜の味を堪能するための味噌汁です。 (多田有花)

21.絵馬古き堂訪う人の梅見かな/吉田 晃
江戸時代からの絵馬が残るような歴史あるお堂。そこの梅園もまた歴史があります。紅梅、白梅咲きそろう中を参拝を兼ねて梅見に訪れる人々の姿は古い時代からずっと続いているのでしょう。(多田有花)

22.かわいいね屈む親子のチューリップ/祝 恵子
永かった冬の寒さも和らぎ、漸く春を迎えました。花壇であろうか?それとも鉢植えのチューリップであろうか?愛らしい花が咲き、親子で屈み眺めている幼子が想われます。 (桑本栄太郎)
道端か、野原か通りがけにチューリップを見つけた親子が、可愛いねと言って屈んで愛でる様が良く見える。春らしい句。 (廣田洋一)

27.花の香の部屋に溢れて春の朝/多田有花
室内に活けている花の香でしょうか。溢れるという表現に花の多さを感じます。 (高橋秀之)

28.紅白梅樹影踏んでは香を吸って/柳原美知子
観梅の風景を見事に詠まれています。紅白梅の花の美しさ、梅の香り、日差しでできた梅の影、そこでのひとときの楽しさそれらをすべてが感じられます。 (多田有花)

35.寝そべって河津桜と川の音/西村友宏
「寝そべって」からうららかな春の温かさが感じられ、その上、青い空さえ想像できます。川の音を聞きながら河津桜を寝そべって眺めるおだやかな休日のゆっくりとした時間を感じます。 (友田 修)
川の流れと早咲きの河津桜、寝そべって音を聞く、それに菜の花があれば最高ですね。 (祝 恵子)

39.蝋梅の透けし青空屋根を越え/髙橋句美子
蝋梅を透かしているように広がる青空の雄大さが屋根を超えての下の句から感じられます。 (高橋秀之)

08.全山を震わす声や昼蛙/小口泰與
12.今日は右明日は左春の風/高橋秀之
14.観音の柔和な顔や玉縄桜/廣田洋一
15.池巡る橋桁覆ふ春の泥/廣田洋一
30.雛分け愛猫座してすまし顔/柳原美知子

■選者詠/髙橋信之
のちほど。
■選者詠/髙橋正子
31.吹く風に花を浮かせて黄水仙
深緑色の葉の間から香りのよい黄色の花を開く水仙が風に吹かれて花を浮かせるように咲いている。素晴らしい景です。 (小口泰與)
風が吹く。黄水仙の花が揺れ、浮き上がる。自然のなかのふとした情景がうららかな春の様子を伝えてくれます。 (高橋秀之)
32.春の坂旅のかばんを引き上る
春の旅行が楽しげで、鞄の重さもうれしさに変わりそうな雰囲気です。 (髙橋句美子)
33.高空の曇りて濁る花こぶし

■互選高点句
●最高点句(6点)
25.旅立ちの春改札に手を振りぬ/多田有花

集計:髙橋正子
※コメントの無い句にコメントをお願いします。

■3月月例ネット句会清記■

■3月月例ネット句会清記■
2023年3月12日
39句(13名)
01.白梅を通う人みな麗しき
02.朝海にわずかな春や照る山辺
03.春の湖白鳥翔てりと聞くばかり
04.ひと畝の早やも咲きたる茎立菜
05.歩みゆく人立ち止まる初音かな
06.木蓮のにつとはにかみ咲く構え
07.湖へ径まっすぐやつくつくし
08.全山を震わす声や昼蛙
09.如月や際立つ山のきららかに
10.おはようの朝の挨拶受験の日

11.梅開く大阪城を仰ぎ見て
12.今日は右明日は左春の風
13.朧月書斎の窓の磨硝子
14.観音の柔和な顔や玉縄桜
15.池巡る橋桁覆ふ春の泥
16.藍色の空に滲むは春満月
17.街灯の照らす花壇のチューリップ
18.青天に確かに梅は散りぬべし
19.春寒し掛けた布団をさらに寄せ
20.麦味噌の汁にたっぷり春野菜

21.絵馬古き堂訪う人の梅見かな
22.かわいいね屈む親子のチューリップ
23.雛色紙京の歩きで求めしもの
24.菜の花の帯の2本を抜き水へ
25.旅立ちの春改札に手を振りぬ
26.春風に凧あげの父娘河川敷
27.花の香の部屋に溢れて春の朝
28.紅白梅樹影踏んでは香を吸って
29.海統べて石鎚連山はだれ雪
30.雛分け愛猫座してすまし顔

31.吹く風に花を浮かせて黄水仙
32.春の坂旅のかばんを引き上る
33.高空の曇りて濁る花こぶし
34.園児らが手を挙げ歩く春の朝
35.寝そべって河津桜と川の音
36.あたらしい帽子が舞った春一番
37.うららかに東京駅舎人流れ
38.黄水仙そよぐ斜面にレンズ向け
39.蝋梅の透けし青空屋根を越え

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

■3月月例ネット句会ご案内

①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2023年3月6日(月)午前6時~2023年3月12日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:3月12日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:3月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、3月13日(月)正午~3月16日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/2月句会を終えて

寒さが行きつ戻りつの日が続きますが、次第に日差しが春らしくなって、ほっとさせられます。2月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございます。また、入賞の皆様おめでとうございます。
「入賞」というと、コンテストやコンクールの印象がしますが、あくまで「句会」です。賞の名前は、本来なら「金・銀・銅」というより「天・地・人」のような呼び方でレベルを示すほうがいいかもしれませんが、わかりやすいことも重要なので、慣例的に「金銀銅賞」として発表しています。コンクールやコンテストではないことを十分にご理解ください。
ご挨拶が遅くなりましたが、2月月例ネット句会をこれで終わりといたします。来月の句会を楽しみにご健吟ください。
2023年2月25日
髙橋正子

2月月例ネット句会の入賞句について

2月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。
今朝、2月例ネット句会の
金賞 13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃
銅賞 08.初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
の句が、2月月例ネット句会で「春の句3句」の投句規定に反しているのではないかと、ご指摘を受けました。規定違反なのになぜ入賞か、と言うことであると思います。
簡単に説明しますと、
1番目は、2月月例ネット句会は、冬と春の季節が現実には行き来しているときでもあり、また、1月月例ネット句会より1か月ほどですので、「春の句3句」ではなく、「冬の句・春の句3句」とすべきでした。主宰の髙橋正子の句会案内の間違いです。要は「当季雑詠」をお願いしています。
2番目には、投句されてしまった句が規定の季節を多少季節がずれていたとし大幅にずれていなければ、尊重します。規定は尊重されなければなりませんが、月例ネット句会は、ネットで公開しているとは言え、花冠の内部(座)
の句会ですので、投句されてしまった句が、大幅に秋とか夏にずれてなく、句が佳ければ、仲間内(座)の句会の結果論として容認しました。
以上を考えまして、入賞は取り消しません。
花冠では、「季感」を重要としています。今回のご指摘は季語の問題ではありません。
主宰 髙橋正子
2023年2月24日

■2月月例ネット句会/入賞発表

■2月月例ネット句会/入賞発表
■2023年2月例ネット句会■
■入賞発表/2023年2月13日
【金賞】
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃
蜜柑の採れない雪国へ蜜柑を送った。「香をぎっしり」に送った人の思いがこもる。届いた荷を開けたとたん、蜜柑の明るい色と香りが弾けるように出てくるだろう。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
10.鳥帰る川面の影の途切れずに/廣田洋一
渡り鳥が返る季節。空を帰ってゆく鳥の影が途切れずに川に映る。「川面の影」を通して詠むことで、鳥たちへの別れのさびしさが表現されている。(髙橋正子)

22.春の水峡の四方の山鳴らす/柳原美知子
山に滲みこんでいた水や雪解けの水が、春になり水音高く流れ出す。迫り合う四方の山々からも流れ出すと、うれしい春の到来となるのだ。里山の風景が詠まれて懐かしい。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
06.また二人餅草摘みに現れし/小口泰與
暖かくなって、草餅にする餅草を摘みに二人が現れた。「また二人」連れ立って現れたのだ。ということは、先に来た人たちもいた。春が来て蓬摘みなど、生活はますます楽しくなる。(高橋正子)

08.初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
年が改まって入る風呂は、湯気まであたらしい感じがする。あたらしい香りのする湯気をリッラクスして、胸いっぱい吸い込む。初風呂とはいいものだ。(髙橋正子)

38.梅咲けば庭おのずから光りだす/多田有花
梅の花は満開となっても静かな雰囲気をあたりに漂わす。庭に咲いて「おのずから光りだす」、静かな光のような花なのだ。先師の臥風先生は、梅が咲いた景色を「寂光土」と詠まれた。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
10.鳥帰る川面の影の途切れずに/廣田洋一
北国へ帰ろうとする鳥は何なのでしょう。鶴、鴨、雁、白鳥、いずれにせよ長い旅路の始まりです。途切れることなく列をなして飛んでいく姿は、冬から春への移り変わりを教えてくれます。 (多田有花)

21.珈琲をほっと頂く木の芽時/友田 修
木の芽時の春の息吹を感じる嬉しさの中にもまだまだ肌寒い日、コーヒーの温かさにくつろぐひとときの幸せ。「ほっと」がよく効いていて自然体の詠みぶりに惹かれます。 (柳原美知子)

03.まんさくの花芽ふくらむ葉のままに/桑本栄太郎
06.また二人餅草摘みに現れし/小口泰與
08.初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
11.差し出せる手に飛び込みぬ福の豆/廣田洋一
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃

【髙橋正子特選/7句】
8.梅咲けば庭おのずから光りだす/多田有花
春の明るい日差しに照らされて輝くように咲く梅の花によって、自然と庭も明るくなります。 (西村友宏)

17.束ねらる菜の花蕾開きそう/祝 恵子
早春らしい御句です。束ねられた菜の花のひとつの様子に目をとめられた細やかな観察眼と優しいお気持ちが伝わります。(多田有花)

17.束ねらる菜の花蕾開きそう/祝 恵子
早春らしい御句です。束ねられた菜の花のひとつの様子に目をとめられた細やかな観察眼と優しいお気持ちが伝わります。(多田有花)

22.春の水峡の四方の山鳴らす/柳原美知子
山の積雪が解け、勢いよく流れ来る豊かな水。山からの水が、また四方の山を鳴らして春が始まります。山峡に響く、春の訪れを聴かせていただきました。 (川名ますみ)

06.また二人餅草摘みに現れし/小口泰與
08.初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
10.鳥帰る川面の影の途切れずに/廣田洋一
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃
17.束ねらる菜の花蕾開きそう/祝 恵子

【入選/20句】
09.寝て起きぬひかりて根づく雪の原/弓削和人
雪国でなければ触れられない光景であり、感覚であると思います。日常のなかに雪があり、今朝は雪がやんで光が一面の雪の上に差しているのでしょう。厳しくも眩しく明るい景色が浮かびます。(多田有花)

14.手拭を浸せば透けて寒の水/吉田 晃
手拭が透けるほどの鮮烈な水の流れが冬の厳しさを感じると共に、澄み切った空気のもとで、日常生活をおくる一日の断面を切り取った瞬間が快い。 (弓削和人)

20.空の青薄く明るき春の朝/友田 修
春の朝の景色は薄く明るい青で、この句の通りである。上手い写生句である。(廣田洋一)
ぼんやりと明るい春の光を感じます。 (髙橋句美子)

25春の雪片手のクレープほかほかと/西村友宏
春の雪の白さとふわふわした質感が クレープとよく合っていて、軽やかで若々しい句ですね。 (柳原美知子)

26.新しきワイシャツ白く春の朝/西村友宏
新しい白いワイシャツと春の朝から、冬から春へと季節がまた巡ってきて、輝く希望を感じます。(友田修)

27.白梅や神社参りの背を伸ばす/西村友宏
神社へお参りに来て見れば、境内の白梅はもうすでに咲いて居り、その神々しい花と香りに、作者は思わず背筋を伸ばしました。 (桑本栄太郎)

30.豆まきの升をあふれて跳ねる豆/髙橋句美子
升から零れ落ちた節分の豆を見て「跳ねる豆」と詠まれたところに明日立春を迎える喜びが感じられ、素敵だと思います。 (柳原美知子)

40.春立つ日新しき刃が髪を断つ/川名ますみ
「立つ」と「断つ」。日本語は同音異義語が多く、そこから独特の連想を生みます。髪を切るのは何かを断ち切るような感覚、そして春が立つのは新しい始まりです。(多田有花)

41.新しき鋏の響き今朝の春/川名ますみ
 春とは言え2月はまだ極寒の月ではあるが、次第に温暖の日が多くなり、草木が芽ぐむ季節となる。新しい鋏で古い草木の枝を剪作者の気持ちの良い景が浮かびます。 (小口泰與)

02.薄氷の片方に寄りぬにはたづみ/桑本栄太郎
04.月光に妙義の奇岩冴返る/小口泰與
05.噴煙の広ごる先の余寒かな/小口泰與
07.みちのくの道はさびしや雪霰/弓削和人
15.冬灯し万年筆の黒き字へ/吉田 晃
18.頂きし冬の野菜はキッチンへ/ 祝 恵子
23.村はずれ一樹に咲き初む薄紅梅/柳原美知子
29.節分の赤鬼の面陳列され/髙橋句美子
37.足もとに青き輝きいぬふぐり/多田有花
40.春立つ日新しき刃が髪を断つ/川名ますみ
43.春の夜の灯りの下で妻を待つ/髙橋秀之
44.建国の日の丸眺める銀婚日/髙橋秀之

■選者詠/髙橋信之
31.たらの芽がしずかに白い皿の上
たらの芽のみずみずしいみどりが白い皿に映え、山の春の息吹と香りが感じられる食卓。静けさの中にも春到来の喜びが感じられるひとときです。(柳原美知子)

32.蓮根の穴が九つこれ立春
33.みな赤くパックに詰まり春いちご

■選者詠/髙橋正子
34.つぎつぎと水をくずして春の鴨
次々にやってきた鴨たちの着水、賑やかなことでしょうね。 (祝恵子)

35.満作の花よ悴む手を触れて
日本固有の木で、昔から生薬として重宝されてきた。しもやけや湿疹に効能があるという。詠者は幼少の昔、この葉の世話になったのだろうかと思ったりもする。悴む手を触れてそのことを思い浮かべているのであろうか。「満作の花よ」に込められた思いを想像する。(吉田晃)

6.雪どけの道濡れきって春の月

■互選高点句
●最高点句(7点)
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃

集計:髙橋正子

2月月例句会ネット清記録(別枠)

★髙橋秀之さんの句を別枠で受け付けました。選が可能な方は、一人一句選をお願いします。選は、ここのコメント欄にお願いします。(コメントは自由です。)よろしくお願いします。(髙橋正子)
2月月例ネット句会別枠清記
髙橋秀之
43.春の夜の灯りの下で妻を待つ
44.建国の日の丸眺める銀婚日
45.受験する子におはようと声をかけ

■2月月例ネット句会清記■

■2月月例ネット句会清記■
2023年2月12日
14句(42名)
01.足下の池のそこひや蘆の角
02.薄氷の片方に寄りぬにはたづみ
03.まんさくの花芽ふくらむ葉のままに
04.月光に妙義の奇岩冴返る
05.噴煙の広ごる先の余寒かな
06.また二人餅草摘みに現れし
07.みちのくの道はさびしや雪霰
08.初風呂や新たな湯気を胸いっぱい
09.寝て起きぬひかりて根づく雪の原
10.鳥帰る川面の影の途切れずに

11.差し出せる手に飛び込みぬ福の豆
12.カメラ持ち男も並ぶ針供養
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり
14.手拭を浸せば透けて寒の水
15.冬灯し万年筆の黒き字へ
16.葉の落ちて新芽立ち上がる自然
17.束ねらる菜の花蕾開きそう
18.頂きし冬の野菜はキッチンへ
19.早春の朝ぽっかりと月浮かぶ
20.空の青薄く明るき春の朝

21.珈琲をほっと頂く木の芽時
22.春の水峡の四方の山鳴らす
23.村はずれ一樹に咲き初む薄紅梅
24.伊予柑食ぶしたたる果汁に顔うずめ
25.春の雪片手のクレープほかほかと
26.新しきワイシャツ白く春の朝
27.白梅や神社参りの背を伸ばす
28.春光の畦道続く雨上がり
29.節分の赤鬼の面陳列され
30.豆まきの升からあふれ跳ねる豆

31.たらの芽がしずかに白い皿の上
32.蓮根の穴が九つこれ立春
33.みな赤くパックに詰まり春いちご
34.つぎつぎと水をくずして春の鴨
35.満作の花よ悴む手を触れて
36.雪どけの道濡れきって春の月
37.足もとに青き輝きいぬふぐり
38.梅咲けば庭おのずから光りだす
39.かいつぶりのつがい浮かべて春の川
40.春立つ日新しき刃が髪を断つ

41.新しき鋏の響き今朝の春
42.春みぞれ訪問看護師手を頬に

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

■2月月例ネット句会ご案内

■2月月例ネット句会ご案内
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2023年2月5日(月)午前6時~2023年2月12日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:2月12「日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:2月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、2月13日(月)正午~2月16日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/1月月例ネット句会を終えて(2023年)

  2023年の第1回となります、新年月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。コメントもたくさん、積極的にお書きいただき、ありがとうございます。
  また、みなさまのご投句から、これまで以上に「前向きの力」を感じ、うれしく、力づけられました。幸先のよい新年のスタートを切ることができました。今年も「細く長く」「良い俳句は良い生活から」をモットーに「明るくて深い現代語による俳句」を目指して、句作いたしましょう。
  来月の月例ネット句会は2月12日(日)となります。たのしみにお待ちください。これで、1月月例ネット句会を終わります。
2023年1月13日
髙橋正子