■4月月例ネット句会/入賞発表

■4月月例ネット句会/入賞発表
■2023年4月例ネット句会■
■入賞発表/2023年4月11日

【金賞】
27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子
つばめが来るということは、有花さんのコメントにあるように、季節の一ページがめくられる新鮮さがある。風が新しく吹く里は、田植の準備がされ、いよいよ活気づいて来る。心弾む季節をつばめは連れて来たのだ。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
20.田がえしの畦に抜かれし花大根/吉田 晃
冬の間田に植えてあった大根も花咲いて、田返しの際は、畦に抜き捨てて、田を打ち返す。今、田植の準備が始まったところ。情景がリアルで、田土の匂いがしそうである。(髙橋正子)

23.巣作りの燕の行き来軽やかに/多田有花
巣作りに燕がなんども行き来している。巣へ戻る時も、巣から出て行くときも、いつも軽やか。巣作りにいそしみながらも、楽しそうである。巣が出来ると、卵を産み 雛を育て、飛び発つまでの営みが人間にも楽しさをもたらしてくれる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
3.桜咲く大空青く子の門出/高橋秀之
わが子の門出にふさわしく、空は大きく青く、桜が咲いて祝福してくれている。大らかな詠みぶりに、子を旅立たせる父親の懐深い心情が読み取れる。(髙橋正子)

16.抱く児に花びらヒラと舞い落ちる/祝 恵子
児を抱いて、桜の下にいると。ヒラっと花びらが舞い落ちた。小さな指で摘まめそうな花びらに、興味しんしんなみどり児のやわらかさがいい。(髙橋正

子)

29.高窓に囀あふれ処置室へ/川名ますみ
処置室へ向かう廊下だろう。空が見える高い窓からは弾けるように囀りが聞こえる。高窓にあふれる囀りに、フレッシュな気持ちが湧いて来る。春はわくわくと新しい。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】

のちほど。

【髙橋正子特選/7句】
20.田がえしの畦に抜かれし花大根/吉田 晃
抜かれた花だいこんが、田がえしに次々と鋤かれていくのが見えてきます。 (祝 恵子)

22.花失せて今朝花冷えの残りけり/多田有花
ここ数日、大変暖かったものが急に冷え込みです。「新樹冷ゆ」でもなく、「若葉寒」でもなく、まさに「花失せて花冷え残りけり」でした。この様な事もある、気候の端境期のようです。 (桑本栄太郎)
まだ見られると思っていた桜が、思いがけない嵐で散ってしまいました。けれど、そのうすら寒さはまだ残っているよう。静かな花冷えを抱きしめるように感じます。(川名ますみ)

23.巣作りの燕の行き来軽やかに/多田有花
巣作りをしている燕は、本当に軽やかに飛んでいる。これを燕の行き来と上手く詠んだ。景が見える。(廣田洋一)

27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子
つばめは渡り鳥の中でもとりわけはっきりと季節の移り変わりを教えてくれます。つばめがやってきた、それだけで季節の一ページが確実にめくられたことがわかります。「風新しき」に共感します。新鮮な感動を連れてきてくれる鳥です。 (多田有花)
つばめが飛び交うようになると、いかにも春の季節の到来を感じさせて、里は活気に満ちてよみがえるようになる。素敵な季節の到来である。 (小口泰與)
新しい季節を迎えたことを、「つばめが来て里の空気をがらりと変えた」、「風新しき里」と詠まれたことに感服いたします。颯爽と風と共につばめが横切るさまが目に浮かびます。 (友田 修)
つばめが里に戻ることで、平凡な日常生活に自然界から刺激が与えられ、里全体が活気づく予感がして春めいた情景が目に浮かぶようです。 (弓削和人)
 
13.桜咲く大空青く子の門出/高橋秀之
16.抱く児に花びらヒラと舞い落ちる/祝 恵子
29.高窓に囀あふれ処置室へ/川名ますみ

【髙橋句美子特選/5句】
03.稜線のあおぞらうねり花の雲/桑本栄太郎
青空のうねりが雄大に感じられる句です。(髙橋句美子)

18.雨やめば藤の房にも粒を持ち/祝 恵子
雨がっ止んだ後の藤の房に水玉が映える綺麗な光景が目に浮かびました。 (西村友宏)


20.田がえしの畦に抜かれし花大根/吉田 晃
抜かれた花だいこんが、田がえしに次々と鋤かれていくのが見えてきます。 (祝 恵子)

27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子
37.咲きあふる寺の桜を通りより/髙橋正子

【入選/18句】
02.大木の木瓜の花咲く旧家かな/桑本栄太郎
白壁に囲まれたお屋敷の中、ひと際みずみずしい朱の色の花を咲かせている木瓜の大樹。その美しさに感動し春が実感され、年輪と共にお屋敷の様々な歴史に思いを馳せられる詠者です。 (柳原美知子)

05.雨雲や袈裟斬りに飛ぶつばくらめ/小口泰與
雨雲に覆われた空からキラリと白い腹をひからせ、袈裟斬りに飛翔し風をおこすつばめ。その勢いと美しさが想像され、雨もよいの景の風情が感じられます。 (柳原美知子)

09.輝ける春のひかりを胸に抱く/友田 修
うららかな春の日の胸に透き通るようなひかりが感じられ、身も心も静かに満ち足りていくようです。繊細で若々しい句ですね。 (柳原美知子)

15.静かなるふたりの食卓春野菜/高橋秀之
子供たちもみな巣立たれ、夫婦ふたりだけとなった静かな食卓。一抹の寂しさとともにしみじみと味わう春野菜の一皿です。 (柳原美知子)

19.カツオ船入るなつかしさ刺身引く/吉田 晃
漁港に戻って来たカツオ漁船でしょうか。その場で引くカツオの刺身。きっと美味なことでしょう。 (高橋秀之)

30.糊利きし白衣四月の病院に/川名ますみ
糊がピシッときいた白衣の医師や看護師さんが生き生きと働いている姿に、改めて四月、新年度がきたことが実感されるようです。清潔なたたずまいで接してくれる看護師さん達には、安心感が持て、心強い気がしますね。 (柳原美知子)

31.川下る賑わう船に花吹雪/髙橋句美子
両岸に満開の桜が咲いている川を下る観光船でしょうか。花見で賑わいがより一層の盛り上がっているんだろうと感じます。 (高橋秀之)

32.電車待つ春のコートに風つよし/髙橋句美子
都会の春は若い女性によく似合う。東京勤務時代は50年も前の事。渋谷、新宿、池袋が休日の活動範囲だったが、プラットホームに吹く春の強い風が女性の長い髪を乱す。そんな姿がよく春に似合っていると感心したものだった。 (吉田 晃)

33.風光るいつもの店にパン選ぶ/髙橋句美子
いつものパン屋さんへの出入りにも煌めく光と風が感じられる春たけなわ。仕事から解放され、心も軽く今日のパンを選ぶのも楽しみのひとつですね。 (柳原美知子)

35.生徒らに式辞の長し花曇り/西村友宏
式辞というものは、どうして長いの。早く終わって。という生徒たちの思いが花曇りの天気と重なって微笑ましく懐かしいです。 (高橋秀之)

36.朝寝してコーヒー片手に野球観る/西村友宏
春の朝寝は気持ちがいいですね。WBCの試合でしょうか。準決勝、決勝と湧かせてくれましたね。コーヒー片手に満面の笑顔が想像されます。 (柳原美知子)

04.喧騒の利根の流れや春の鳥/小口泰與
05.雨雲や袈裟斬りに飛ぶつばくらめ/小口泰與
08.青空と新緑に心が躍る/友田 修
12.白き蝶群なし舞へる畑かな/廣田洋一
14.列車行く菜の花畑の向こう側/高橋秀之
15.静かなるふたりの食卓春野菜/高橋秀之
21.桃咲いて子ら新しき道をゆく/吉田 晃
25.谷音聴く樹下に初音のこぼれきて/柳原美知子
34.目黒川英語飛び交い桜舞う/西村友宏


■選者詠/髙橋信之

のちほど。

■選者詠/髙橋正子
39.車椅子軽く動けり花は葉に 
車椅子で移動できることはありがたいですね。押す人も押される人も一体となって春光を浴び、短い花の季節を楽しまれたことでしょう。葉桜がまたおふたりを迎えてくれます。(柳原美知子)

37.咲きあふる寺の桜を通りより
38.花は葉に犬と子どもが走り来る

■互選高点句
●最高点句(7点)
27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子

次点(6点/同点2句)
13.桜咲く大空青く子の門出/高橋秀之
22.花失せて今朝花冷えの残りけり/多田有花

集計:髙橋正子

■4月例ネット句会清記■

■4月例ネット句会清記■
2023年4月9日
39句(13名)

01.遠目にも赤き垣根や新芽立つ
02.大木の木瓜の花咲く旧家かな
03.稜線のあおぞらうねり花の雲
04.喧騒の利根の流れや春の鳥
05.雨雲や袈裟斬りに飛ぶつばくらめ
06.朧夜や史書興亡の国数多
07.散る花びらを仰ぎ見る春の午後
08.青空と新緑に心が躍る
09.輝ける春のひかりを胸に抱く
10.鶯の谷渡りして虚子忌かな

11.公園の園児の声や松の芯
12.白き蝶群なし舞へる畑かな
13.桜咲く大空青く子の門出
14.列車行く菜の花畑の向こう側
15.静かなるふたりの食卓春野菜
16.抱く児に花びらヒラと舞い落ちる
17.ひこばえのさくらの高さに目を合わせ
18.雨やめば藤の房にも粒を持ち
19.カツオ船入るなつかしさ刺身引く
20.田がえしの畦に抜かれし花大根

21.桃咲いて子ら新しき道をゆく
22.花失せて今朝花冷えの残りけり
23.巣作りの燕の行き来軽やかに
24.青空は春闌の色となり
25.谷音聴く樹下に初音のこぼれきて
26.花の雨少女が吹けるユーフォニウム
27.つばめ来て風新しき里となる
28.菜の花を広場に咲かす五年生
29.高窓に囀あふれ処置室へ
30.糊利きし白衣四月の病院に

31.川下る賑わう船に花吹雪
32.電車待つ春のコートに風つよし
33.風光るいつもの店にパン選ぶ
34.目黒川英語飛び交い桜舞う
35.生徒らに式辞の長し花曇り
36.朝寝してコーヒー片手に野球観る
37.咲きあふる寺の桜を通りより
38.花は葉に犬と子どもが走り来る
39.車椅子軽く動けり花は葉に

■4月月例ネット句会ご案内

①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2023年4月3日(月)午前6時~2023年4月9日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:4月9日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:4月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、4月10日(月)正午~4月13日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/3月月例ネット句会を終えて

今年は桜が早く咲きはじめました。わが家の近くの参道の桜並木も咲き初めています。WBCの観戦に湧きたった数日でしたが、侍ジャパンの選手たちは連勝して、準決勝の地マイアミへ飛び発っていき、今一時静かになっています。
3月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。選とコメントもそれぞれにありがとうございました。
入賞とは言いますが、句会はコンテストではありませんので、その点をご承知くだるようお願いします。なによりも俳句(創作活動)が窮屈にならないよう、楽しんで俳句が作れるように気を配りたいと思います。
次回は4月9日(日)となります。第2日曜日が早く回ってきますので、日にちをお間違えのないようにご留意ください。では、これで3月月例ネット句会を終わります。
2023年3月18日
髙橋正子

3月月例ネット句会/入賞発表

■3月月例ネット句会/入賞発表
■2023年3月例ネット句会■
■入賞発表/2023年3月13日

【金賞】
37.うららかに東京駅舎人流れ/髙橋句美子
日本の玄関口、東京駅。その丸の内駅舎は2012年に復元保存され、創建当時の姿になっている。日本の近代化の数々の歴史を経験し、日本を代表するビジネス街とともに発展してきた。その駅舎は今、日差しを浴びてうららかに、ビシネス街へ向かう人々も春の流れの一つとなっている。「東京駅」でなく、「東京駅舎」としたところ、「うららかに」の季語が効いて、駘蕩とした首都の春が詠まれている。。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
19.春寒し掛けた布団をさらに寄せ/吉田 晃
春はいまだ寒い。布団をかけていながらも、首すじあたりに寒さが忍び入る。掛けている布団をさらに寄せて体温を逃さないように。春とは名ばかりである。(髙橋正子)

25.旅立ちの春改札に手を振りぬ/多田有花
この句は十七字音ではあるが、五・七・五となっていない。「旅立ちの春/改札に手を振りぬ」となり、切り方に自由さがある。従って音律がないわけではないが、独特の音律となっている。つまりは意味が重視されている。旅立って行く者をホームではなく、改札で手を振って見送った。若々しい明るい見送りがいい。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
04.ひと畝の早やも咲きたる茎立菜/桑本栄太郎
しなやかなリズムの句で、一気に読みくだせるよさがある。小さい菜園ではこのような光景が見られる。あっという間に茎立つ菜に、進む春のはやさに、驚きがある。(髙橋正子)

13.朧月書斎の窓の磨硝子/廣田洋一
「朧月」と「磨硝子」の取り合せで大正ロマンのような情感のある句になっている。場所は書斎と明示され、これもいろいろ読み手の想像で楽しく鑑賞できる良さがある。(髙橋正子)

24.菜の花の帯の2本を抜き水へ/祝 恵子
店で売られている菜の花は、茎を半分に折って帯で巻かれている。解けば少し萎れた感じがする。料理するには水に放し、水を吸わせてから使う。「菜の花」と「水」の取り合せが生き生きと、春らしい。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
のちほど。

【髙橋正子特選/7句】
07.湖へ径まっすぐやつくつくし/小口泰與
湖の水面のきらめき、まっすぐに伸びる径の両側につんつんと日差しを浴びて育つ土筆。うららかな光と風に包まれて至福の春のひとときが感じられます。 (柳原美知子)

19.春寒し掛けた布団をさらに寄せ/吉田 晃
朝の何気ない日常から、まだまだ寒い春の気候や様子がよく伝わってきます。(西村友宏)

25.旅立ちの春改札に手を振りぬ/多田有花
この季節は色々な旅立ちがある。新しい社会へ向けて旅立ち、巣立ってゆくのであるか、その分岐点が「改札」なのだ。見送る人と巣立つ人、改札口には様々なドラマがある。手を振る初々しい姿が想像される。 (吉田 晃)

37.うららかに東京駅舎人流れ/髙橋句美子
春の陽光の差す明るい季節となり、東京駅舎を歩く人たちの足取りも軽くなったよう。都会の日々の生活の中にも季節の変化を感じ、豊かな感性で楽しさを見つけられているのは素敵です。 (柳原美知子)

04.ひと畝の早やも咲きたる茎立菜/桑本栄太郎
13.朧月書斎の窓の磨硝子/廣田洋一
24.菜の花の帯の2本を抜き水へ/祝 恵子

【入選/17句】
01.白梅を通う人みな麗しき/弓削和人
梅は早春の寒気の中で咲き始めます。白梅の花の白さには凛とした気品を感じます。そこへ観梅に訪れた人もみな背筋を伸ばして凛とした雰囲気です。(多田有花)

03.春の湖白鳥翔てりと聞くばかり/弓削和人
いつの間にか白鳥がいなくなった湖。静かに春の日差しに煌めいている。北国へ渡っていったとは聞くけれど、見届けたかった。白鳥へのやさしい思いとさびしさがうかがえます。 (柳原美知子)

05.歩みゆく人立ち止まる初音かな/桑本栄太郎
初音を聞いたときの人の動きがよくわかります。「あれ?もしや」と動作をとめて耳を澄まします。そしてもう一声聞こえてくるのを待ちます。ときめくとはこういう感覚か、と思います。 (多田有花)

10.おはようの朝の挨拶受験の日/高橋秀之
受験生の緊張した受験当日の朝、挨拶の第一声により、親しき友達でもライバルになるし、また受験を共に戦う戦友にも似た景が想像されます。 (弓削和人)

12.今日は右明日は左春の風/高橋秀之
春の風は気まぐれです。そよ吹くやわらかいものが翌日には驚くような冷たいものに変わったりします。吹く方向も、南、北と変わり移り気な人の心によくたとえられます。(多田有花)

16.藍色の空に滲むは春満月/友田 修
夕暮れ時が遅くなりすでに夜にも寒さを感じなくなったころ、藍色の空に満月が昇ってきました。湿気を帯びた春の空気に月の輪郭が滲んでいます。春らしいゆったりとした伸びやかな雰囲気が伝わってきます。 (多田有花)

20.麦味噌の汁にたっぷり春野菜/吉田 晃
美味しそうです。麦みそは伝統的に中国・四国・九州といった暖かい地方で良く作られたあっさりとした甘口の味噌。冬の身体を温める類の汁物とは異なり春の野菜の味を堪能するための味噌汁です。 (多田有花)

21.絵馬古き堂訪う人の梅見かな/吉田 晃
江戸時代からの絵馬が残るような歴史あるお堂。そこの梅園もまた歴史があります。紅梅、白梅咲きそろう中を参拝を兼ねて梅見に訪れる人々の姿は古い時代からずっと続いているのでしょう。(多田有花)

22.かわいいね屈む親子のチューリップ/祝 恵子
永かった冬の寒さも和らぎ、漸く春を迎えました。花壇であろうか?それとも鉢植えのチューリップであろうか?愛らしい花が咲き、親子で屈み眺めている幼子が想われます。 (桑本栄太郎)
道端か、野原か通りがけにチューリップを見つけた親子が、可愛いねと言って屈んで愛でる様が良く見える。春らしい句。 (廣田洋一)

27.花の香の部屋に溢れて春の朝/多田有花
室内に活けている花の香でしょうか。溢れるという表現に花の多さを感じます。 (高橋秀之)

28.紅白梅樹影踏んでは香を吸って/柳原美知子
観梅の風景を見事に詠まれています。紅白梅の花の美しさ、梅の香り、日差しでできた梅の影、そこでのひとときの楽しさそれらをすべてが感じられます。 (多田有花)

35.寝そべって河津桜と川の音/西村友宏
「寝そべって」からうららかな春の温かさが感じられ、その上、青い空さえ想像できます。川の音を聞きながら河津桜を寝そべって眺めるおだやかな休日のゆっくりとした時間を感じます。 (友田 修)
川の流れと早咲きの河津桜、寝そべって音を聞く、それに菜の花があれば最高ですね。 (祝 恵子)

39.蝋梅の透けし青空屋根を越え/髙橋句美子
蝋梅を透かしているように広がる青空の雄大さが屋根を超えての下の句から感じられます。 (高橋秀之)

08.全山を震わす声や昼蛙/小口泰與
12.今日は右明日は左春の風/高橋秀之
14.観音の柔和な顔や玉縄桜/廣田洋一
15.池巡る橋桁覆ふ春の泥/廣田洋一
30.雛分け愛猫座してすまし顔/柳原美知子

■選者詠/髙橋信之
のちほど。
■選者詠/髙橋正子
31.吹く風に花を浮かせて黄水仙
深緑色の葉の間から香りのよい黄色の花を開く水仙が風に吹かれて花を浮かせるように咲いている。素晴らしい景です。 (小口泰與)
風が吹く。黄水仙の花が揺れ、浮き上がる。自然のなかのふとした情景がうららかな春の様子を伝えてくれます。 (高橋秀之)
32.春の坂旅のかばんを引き上る
春の旅行が楽しげで、鞄の重さもうれしさに変わりそうな雰囲気です。 (髙橋句美子)
33.高空の曇りて濁る花こぶし

■互選高点句
●最高点句(6点)
25.旅立ちの春改札に手を振りぬ/多田有花

集計:髙橋正子
※コメントの無い句にコメントをお願いします。

■3月月例ネット句会清記■

■3月月例ネット句会清記■
2023年3月12日
39句(13名)
01.白梅を通う人みな麗しき
02.朝海にわずかな春や照る山辺
03.春の湖白鳥翔てりと聞くばかり
04.ひと畝の早やも咲きたる茎立菜
05.歩みゆく人立ち止まる初音かな
06.木蓮のにつとはにかみ咲く構え
07.湖へ径まっすぐやつくつくし
08.全山を震わす声や昼蛙
09.如月や際立つ山のきららかに
10.おはようの朝の挨拶受験の日

11.梅開く大阪城を仰ぎ見て
12.今日は右明日は左春の風
13.朧月書斎の窓の磨硝子
14.観音の柔和な顔や玉縄桜
15.池巡る橋桁覆ふ春の泥
16.藍色の空に滲むは春満月
17.街灯の照らす花壇のチューリップ
18.青天に確かに梅は散りぬべし
19.春寒し掛けた布団をさらに寄せ
20.麦味噌の汁にたっぷり春野菜

21.絵馬古き堂訪う人の梅見かな
22.かわいいね屈む親子のチューリップ
23.雛色紙京の歩きで求めしもの
24.菜の花の帯の2本を抜き水へ
25.旅立ちの春改札に手を振りぬ
26.春風に凧あげの父娘河川敷
27.花の香の部屋に溢れて春の朝
28.紅白梅樹影踏んでは香を吸って
29.海統べて石鎚連山はだれ雪
30.雛分け愛猫座してすまし顔

31.吹く風に花を浮かせて黄水仙
32.春の坂旅のかばんを引き上る
33.高空の曇りて濁る花こぶし
34.園児らが手を挙げ歩く春の朝
35.寝そべって河津桜と川の音
36.あたらしい帽子が舞った春一番
37.うららかに東京駅舎人流れ
38.黄水仙そよぐ斜面にレンズ向け
39.蝋梅の透けし青空屋根を越え

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

■3月月例ネット句会ご案内

①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2023年3月6日(月)午前6時~2023年3月12日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:3月12日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:3月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、3月13日(月)正午~3月16日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/2月句会を終えて

寒さが行きつ戻りつの日が続きますが、次第に日差しが春らしくなって、ほっとさせられます。2月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございます。また、入賞の皆様おめでとうございます。
「入賞」というと、コンテストやコンクールの印象がしますが、あくまで「句会」です。賞の名前は、本来なら「金・銀・銅」というより「天・地・人」のような呼び方でレベルを示すほうがいいかもしれませんが、わかりやすいことも重要なので、慣例的に「金銀銅賞」として発表しています。コンクールやコンテストではないことを十分にご理解ください。
ご挨拶が遅くなりましたが、2月月例ネット句会をこれで終わりといたします。来月の句会を楽しみにご健吟ください。
2023年2月25日
髙橋正子

2月月例ネット句会の入賞句について

2月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。
今朝、2月例ネット句会の
金賞 13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃
銅賞 08.初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
の句が、2月月例ネット句会で「春の句3句」の投句規定に反しているのではないかと、ご指摘を受けました。規定違反なのになぜ入賞か、と言うことであると思います。
簡単に説明しますと、
1番目は、2月月例ネット句会は、冬と春の季節が現実には行き来しているときでもあり、また、1月月例ネット句会より1か月ほどですので、「春の句3句」ではなく、「冬の句・春の句3句」とすべきでした。主宰の髙橋正子の句会案内の間違いです。要は「当季雑詠」をお願いしています。
2番目には、投句されてしまった句が規定の季節を多少季節がずれていたとし大幅にずれていなければ、尊重します。規定は尊重されなければなりませんが、月例ネット句会は、ネットで公開しているとは言え、花冠の内部(座)
の句会ですので、投句されてしまった句が、大幅に秋とか夏にずれてなく、句が佳ければ、仲間内(座)の句会の結果論として容認しました。
以上を考えまして、入賞は取り消しません。
花冠では、「季感」を重要としています。今回のご指摘は季語の問題ではありません。
主宰 髙橋正子
2023年2月24日

■2月月例ネット句会/入賞発表

■2月月例ネット句会/入賞発表
■2023年2月例ネット句会■
■入賞発表/2023年2月13日
【金賞】
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃
蜜柑の採れない雪国へ蜜柑を送った。「香をぎっしり」に送った人の思いがこもる。届いた荷を開けたとたん、蜜柑の明るい色と香りが弾けるように出てくるだろう。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
10.鳥帰る川面の影の途切れずに/廣田洋一
渡り鳥が返る季節。空を帰ってゆく鳥の影が途切れずに川に映る。「川面の影」を通して詠むことで、鳥たちへの別れのさびしさが表現されている。(髙橋正子)

22.春の水峡の四方の山鳴らす/柳原美知子
山に滲みこんでいた水や雪解けの水が、春になり水音高く流れ出す。迫り合う四方の山々からも流れ出すと、うれしい春の到来となるのだ。里山の風景が詠まれて懐かしい。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
06.また二人餅草摘みに現れし/小口泰與
暖かくなって、草餅にする餅草を摘みに二人が現れた。「また二人」連れ立って現れたのだ。ということは、先に来た人たちもいた。春が来て蓬摘みなど、生活はますます楽しくなる。(高橋正子)

08.初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
年が改まって入る風呂は、湯気まであたらしい感じがする。あたらしい香りのする湯気をリッラクスして、胸いっぱい吸い込む。初風呂とはいいものだ。(髙橋正子)

38.梅咲けば庭おのずから光りだす/多田有花
梅の花は満開となっても静かな雰囲気をあたりに漂わす。庭に咲いて「おのずから光りだす」、静かな光のような花なのだ。先師の臥風先生は、梅が咲いた景色を「寂光土」と詠まれた。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
10.鳥帰る川面の影の途切れずに/廣田洋一
北国へ帰ろうとする鳥は何なのでしょう。鶴、鴨、雁、白鳥、いずれにせよ長い旅路の始まりです。途切れることなく列をなして飛んでいく姿は、冬から春への移り変わりを教えてくれます。 (多田有花)

21.珈琲をほっと頂く木の芽時/友田 修
木の芽時の春の息吹を感じる嬉しさの中にもまだまだ肌寒い日、コーヒーの温かさにくつろぐひとときの幸せ。「ほっと」がよく効いていて自然体の詠みぶりに惹かれます。 (柳原美知子)

03.まんさくの花芽ふくらむ葉のままに/桑本栄太郎
06.また二人餅草摘みに現れし/小口泰與
08.初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
11.差し出せる手に飛び込みぬ福の豆/廣田洋一
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃

【髙橋正子特選/7句】
8.梅咲けば庭おのずから光りだす/多田有花
春の明るい日差しに照らされて輝くように咲く梅の花によって、自然と庭も明るくなります。 (西村友宏)

17.束ねらる菜の花蕾開きそう/祝 恵子
早春らしい御句です。束ねられた菜の花のひとつの様子に目をとめられた細やかな観察眼と優しいお気持ちが伝わります。(多田有花)

17.束ねらる菜の花蕾開きそう/祝 恵子
早春らしい御句です。束ねられた菜の花のひとつの様子に目をとめられた細やかな観察眼と優しいお気持ちが伝わります。(多田有花)

22.春の水峡の四方の山鳴らす/柳原美知子
山の積雪が解け、勢いよく流れ来る豊かな水。山からの水が、また四方の山を鳴らして春が始まります。山峡に響く、春の訪れを聴かせていただきました。 (川名ますみ)

06.また二人餅草摘みに現れし/小口泰與
08.初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
10.鳥帰る川面の影の途切れずに/廣田洋一
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃
17.束ねらる菜の花蕾開きそう/祝 恵子

【入選/20句】
09.寝て起きぬひかりて根づく雪の原/弓削和人
雪国でなければ触れられない光景であり、感覚であると思います。日常のなかに雪があり、今朝は雪がやんで光が一面の雪の上に差しているのでしょう。厳しくも眩しく明るい景色が浮かびます。(多田有花)

14.手拭を浸せば透けて寒の水/吉田 晃
手拭が透けるほどの鮮烈な水の流れが冬の厳しさを感じると共に、澄み切った空気のもとで、日常生活をおくる一日の断面を切り取った瞬間が快い。 (弓削和人)

20.空の青薄く明るき春の朝/友田 修
春の朝の景色は薄く明るい青で、この句の通りである。上手い写生句である。(廣田洋一)
ぼんやりと明るい春の光を感じます。 (髙橋句美子)

25春の雪片手のクレープほかほかと/西村友宏
春の雪の白さとふわふわした質感が クレープとよく合っていて、軽やかで若々しい句ですね。 (柳原美知子)

26.新しきワイシャツ白く春の朝/西村友宏
新しい白いワイシャツと春の朝から、冬から春へと季節がまた巡ってきて、輝く希望を感じます。(友田修)

27.白梅や神社参りの背を伸ばす/西村友宏
神社へお参りに来て見れば、境内の白梅はもうすでに咲いて居り、その神々しい花と香りに、作者は思わず背筋を伸ばしました。 (桑本栄太郎)

30.豆まきの升をあふれて跳ねる豆/髙橋句美子
升から零れ落ちた節分の豆を見て「跳ねる豆」と詠まれたところに明日立春を迎える喜びが感じられ、素敵だと思います。 (柳原美知子)

40.春立つ日新しき刃が髪を断つ/川名ますみ
「立つ」と「断つ」。日本語は同音異義語が多く、そこから独特の連想を生みます。髪を切るのは何かを断ち切るような感覚、そして春が立つのは新しい始まりです。(多田有花)

41.新しき鋏の響き今朝の春/川名ますみ
 春とは言え2月はまだ極寒の月ではあるが、次第に温暖の日が多くなり、草木が芽ぐむ季節となる。新しい鋏で古い草木の枝を剪作者の気持ちの良い景が浮かびます。 (小口泰與)

02.薄氷の片方に寄りぬにはたづみ/桑本栄太郎
04.月光に妙義の奇岩冴返る/小口泰與
05.噴煙の広ごる先の余寒かな/小口泰與
07.みちのくの道はさびしや雪霰/弓削和人
15.冬灯し万年筆の黒き字へ/吉田 晃
18.頂きし冬の野菜はキッチンへ/ 祝 恵子
23.村はずれ一樹に咲き初む薄紅梅/柳原美知子
29.節分の赤鬼の面陳列され/髙橋句美子
37.足もとに青き輝きいぬふぐり/多田有花
40.春立つ日新しき刃が髪を断つ/川名ますみ
43.春の夜の灯りの下で妻を待つ/髙橋秀之
44.建国の日の丸眺める銀婚日/髙橋秀之

■選者詠/髙橋信之
31.たらの芽がしずかに白い皿の上
たらの芽のみずみずしいみどりが白い皿に映え、山の春の息吹と香りが感じられる食卓。静けさの中にも春到来の喜びが感じられるひとときです。(柳原美知子)

32.蓮根の穴が九つこれ立春
33.みな赤くパックに詰まり春いちご

■選者詠/髙橋正子
34.つぎつぎと水をくずして春の鴨
次々にやってきた鴨たちの着水、賑やかなことでしょうね。 (祝恵子)

35.満作の花よ悴む手を触れて
日本固有の木で、昔から生薬として重宝されてきた。しもやけや湿疹に効能があるという。詠者は幼少の昔、この葉の世話になったのだろうかと思ったりもする。悴む手を触れてそのことを思い浮かべているのであろうか。「満作の花よ」に込められた思いを想像する。(吉田晃)

6.雪どけの道濡れきって春の月

■互選高点句
●最高点句(7点)
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃

集計:髙橋正子