■故髙橋信之先生追悼句会/入賞発表

■故髙橋信之先生追悼句会(6月月例ネット句会)
入賞発表/2023年6月12日

【金賞】
27.紫陽花の今朝の色挿すガラス瓶/藤田洋子
七変化と言われる紫陽花について「今朝の色」は、はっとさせられる。庭から、今朝切り取った朝顔の「今朝だけの色」。ガラス瓶が今朝だけの色を支えていることに揺らぎと儚さが感じ取れる。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
05.菜園に初生り胡瓜の濃き一本/吉田 晃
初生りの嬉しさが、「濃き一本」に凝縮されている。一本の胡瓜が目にはっきりとある、この力強さ。(髙橋正子)


30.水湛え朝空湛え田植待つ/柳原美知子
田植を待つ田んぼには、水が湛えられ、朝の空を映している。ひやひやと風の吹く田植を待つ田は洋子さんの言われるように「静謐」な田である。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
18.時々は川面に触れて鯉のぼり/祝 恵子
川に張り渡されている鯉のぼりだろう。風が吹くと、川を溯るように勢いよく泳ぐ。風が止むと鯉のぼりは尾が垂れて川面に触れる。それを「時々は川面に触れて」で簡潔にして十分に表現されている。(髙橋正子)

34.芍薬を深く抱く師の薄き胸/川名ますみ
信之先生の誕生日は、5月28日で、ちょうど誕生日に合わせたように芍薬の花が咲くので、花が咲くのを心待ちにしていたように思う。松山郊外の砥部には庭があったので、昔ながらの一重の芍薬を植えていた。そんなことを承知の皆さんからよく芍薬の花を贈られた。痩身であったので、芍薬の花を「深く抱く」感じに見えたのだろう。(髙橋正子)

32.色あせたジーンズ干して夏の色/西村友宏
ジーンズは、よく履いて、洗い晒らされたものに、ますます愛着がわく。色あせたジーンズは色が薄くなって、夏が来て、夏に履くのにいい色になった。「夏の色」がさわやか。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】

05.菜園に初生り胡瓜の濃き一本/吉田 晃
手塩にかけて育てられた胡瓜が生る時期に入ってきました。
採りごろになった胡瓜を見つけられた心のときめきが伝わってきます。 (多田有花)

18.時々は川面に触れて鯉のぼり/祝 恵子
鯉幟が川を渡って飾られている。風がなかったり、逆に強すぎたりすると鯉幟が上下に揺れてたまには尾が川面に触れる様が良く見える。川面に触れてが良い。 (廣田洋一)

25.額装の師の墨痕に梅雨深む/藤田洋子
信之先生の墨跡も瑞々しい書を前に、さまざまな思い出とともに時の過ぎゆく感慨と哀悼の思いが「梅雨深む」に表されていて、感動します。 (柳原美知子)

27.紫陽花の今朝の色挿すガラス瓶/藤田洋子
日替わりで色の違う紫陽花をガラス瓶にさして楽しむ情景が浮かぶとともに、昨日挿した紫陽花の色が今日は変化して違う色になっていたりするのかなと想像されます。諸事、無常、変化の世の中ですがそれを楽しむ気持ちも大切と思いました。 (友田修)
紫陽花の日ごと徐々に色変えてゆく姿、今朝の色、がいいですね。 (祝恵子)
紫陽花の色の変化を楽しむ素敵な日常が目に浮かびます。「今朝の色」で一日を気持ちよくスタートできそうです。(西村友宏)

30.水湛え朝空湛え田植待つ/柳原美知子
田植えを前に、一面水を満たした田と朝空の爽やかな清々しい光景。田植えの準備が整い、その時を待つ水田の静謐なひと時をも感じます。 (藤田洋子)

34.芍薬を深く抱く師の薄き胸/川名ますみ
大好きな芍薬の花の香りに包まれた細身の信之先生のお姿と笑顔が彷彿とされます。先生への思いが伝わってきます。ご冥福をお祈りいたします。(柳原美知子)

27.紫陽花の今朝の色挿すガラス瓶/藤田洋子
32.色あせたジーンズ干して夏の色/西村友宏

【髙橋句美子特選/7句】

13.紫陽花を濡らす優しき朝の雨/友田 修
紫陽花を降り包む雨の静けさに、紫陽花の清楚な佇まいが目に浮かびます。しっとりと心落ち着く朝の情景です。
(藤田洋子)
20.いつになく早き梅雨入り師は逝けり/多田有花
今年は例年にない早い梅雨入りで、信之先生のご逝去を哀悼するかのような雨となりました。先生との思い出を胸にご冥福をお祈りするお気持ちが伝わってきます。 (柳原美知子)

26.紫陽花の薄きみどりに偲ぶ日々/藤田洋子
薄きみどり色はなんとも言えない感情を表しています。(髙橋句美子)

05.菜園に初生り胡瓜の濃き一本/吉田 晃
32.色あせたジーンズ干して夏の色/西村友宏
34.芍薬を深く抱く師の薄き胸/川名ますみ
45.衣更えて夫かろやかに旅立てり/髙橋正子

【入選/14句】

1.はんざきのように眠りぬ夏の風邪/桑本栄太郎
「はんざき」というのが意表を突く言葉であると同時にユーモアを感じます。
きれいな水の底でじっとしているはんざきのように、ゆっくり今はただ眠るのみです。 (多田有花)
12.まさおなる空や二階へ枇杷実/弓削和人
枇杷が実り始めました。二階へ届きそうな大きな枇杷の木なのでしょう。
それを下から見上げるとその視線の先に青空が広がっていました。 (多田有花)

17.メダカの子今は小さなちいさな子/祝 恵子
そうなんです。ほんとそうなんです。というように見たままの句。でも、なぜか心に訴えるものがありました(わが家でメダカを飼っているからかもしれません)。 (高橋秀之)

40.竹林の手入れを終へて梅雨満月/廣田洋一
竹は成長が早く手入れが欠かせません。梅雨の季節、伐採や落葉掻きを終え、雨夜の月を想う時は、会いたくても会えない相手が浮かぶでしょうか。竹取の翁のような、広い世界と少しの寂しさを感じます。 (川名ますみ)


03.斧構えうじゃうじゃや生る子蟷螂/桑本栄太郎
07.電話より聲高らかや松落葉/小口泰與
19.師の訃報告げる電話や五月逝く/多田有花
15.真青なる空に吹き初む夏の風/友田 修
22.一株の紫陽花大きく鮮やかに/高橋秀之
24.初蝶の舞い上がりゆく空広し/高橋秀之
31.夕日さす水面に光る鮎二匹/西村友宏
35.青葉雨心あそばせ光りとなる/川名ますみ
41.短夜やこむらがへりに目覚めたり/廣田洋一
42.短夜のワイン控えめパリの宿/廣田洋一

■選者詠/髙橋正子
45.衣更えて夫かろやかに旅立てり
信之先生を見送られた正子先生の御句。看取るということには、一言では言い難いものがあります。ただ「かろやかに」という語が信之先生らしくもあり、正子先生らしくもあります。今は旅立たれた信之先生にもご遺族のみなさまにも「お疲れ様でございました」と申し上げたいです。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 (多田有花)
信之先生のご逝去は丁度衣更の時季であった為、死出の旅の衣もかろやかであったとは言え、小柄な信之先生のお身体を想う時正子先生の御心境は如何許りかと想われます。 (桑本栄太郎)
 昔は、宮中でも民間でも、陰暦四月朔日と十月朔日とに、衣を更えるのを例とした。要するに、冬より夏へ時期の衣服にかえて信之先生は次の新しい世界へと旅立っていきました。今は正子先生をはじめご遺族の皆様の弥栄をお祈り申し上げます。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。合掌。 (小口泰與)
軽やかに旅立たれたとのこと。先生の笑顔が見える。「晃さん 先に行っときますよ」という声が聞こえる気がして辛い。 (吉田晃)

43.入らざりし点滴液捨つ夏隣
44.昼顔は真昼の花よ夫眠る

■選者詠/髙橋句美子

37.絵ろうそく揺らぐ炎に蓮の花/髙橋句美子
丁寧に一つ一つ絵が描かれた和蝋燭。揺らめく炎がことさら柔らかく、優しく感じられます。その炎の揺らぎと蓮の花の清浄さに、作者の込められた情感がしみじみと伝わります。
(藤田洋子)

38.芍薬の白はもうすぐ誕生日

白色の芍薬がお好きだった信之先生。通りすがりに
芳香を放っている白い芍薬を見ると、お父様の誕生日が意識されます。お元気で誕生日を迎えてほしいと願われる情愛が思われます。 (柳原美知子)

39.初夏の雨花の苗は青々と

■互選高点句
●最高点句(7点)
27.紫陽花の今朝の色挿すガラス瓶/藤田洋子


集計:髙橋正子
※コメントの無い句にコメントをお願いします。

■故髙橋信之先生追悼句会(6月月例ネット句会)清記■

■故髙橋信之先生追悼句会(6月月例ネット句会)清記■
2023年6月11日
45句(15名)

01.はんざきのように眠りぬ夏の風邪
02.かたつぶり片目つぶりてゆくところ
03.斧構えうじゃうじゃや生る子蟷螂
04.特急は梅雨のカーブに傾いて
05.菜園に初生り胡瓜の濃き一本
06.初夏の雨溝は濁りて赤手蟹
07.電話より聲高らかや松落葉
08.いかづちや避けて通れぬ死出の旅
09.へら浮子の塗りの見事や沼の夏
10.夜歩く山の寂しさ朴の花

11.ヤマホウシ昼日の差して白さまし
12.まさおなる空や二階へ枇杷実る
13.紫陽花を濡らす優しき朝の雨
14.どくだみに雨打つ白き朝かな
15.真青なる空に吹き初む夏の風
16.待合室花瓶に溢るガクアジサイ
17.メダカの子今は小さなちいさな子
18.時々は川面に触れて鯉のぼり
19.師の訃報告げる電話や五月逝く
20.いつになく早き梅雨入り師は逝けり

21.聖五月師は今生を去りにけり
22.一株の紫陽花大きく鮮やかに
23.空眺め気付けば今年も梅雨に入る
24.初蝶の舞い上がりゆく空広し
25.額装の師の墨痕に梅雨深む
26.紫陽花の薄きみどりに偲ぶ日々
27.紫陽花の今朝の色挿すガラス瓶
28.花樗かおる川風舟運ぶ
29.新玉ねぎペコロス皮ごと荷に詰める
30.水湛え朝空湛え田植待つ

31.夕日さす水面に光る鮎二匹
32.色あせたジーンズ干して夏の色
33.五月雨やレシピ片手にストレッチ
34.芍薬を深く抱く師の薄き胸
35.青葉雨心あそばせ光りとなる
36.明るくて深いところへ新樹光
37.絵ろうそく揺らぐ炎に蓮の花
38.芍薬の白はもうすぐ誕生日
39.初夏の雨花の苗は青々と
40.竹林の手入れを終へて梅雨満月

41.短夜やこむらがへりに目覚めたり
42.短夜のワイン控えめパリの宿
43.入らざりし点滴液捨つ夏隣
44.昼顔は真昼の花よ夫眠る
45.衣更えて夫かろやかに旅立てり

※互選をはじめてください。好きな句を5句選び、そのうちの一句にコメントをお願いします。

■故髙橋信之先生追悼句会のご案内

お知らせ
去る5月24日、花冠名誉主宰である髙橋信之先生が91歳で逝去されました。葬儀は家族葬で6月1日に執り行いました。生前の皆様の交誼に感謝し、ここに謹んで逝去をお知らせいたします。
2023年6月2日
花冠主宰 髙橋正子
■故髙橋信之先生追悼句会のご案内
①投句:信之先生への追悼句1句、当季雑詠(春の句・夏の句)3句 計4句
②投句期間:2023年6月5日(月)午前6時~2023年6月11日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:6月11日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:6月12日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、6月12日(月)正午~6月15日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏
※6月月例ネット句会は、信之先生の追悼句会とします。
主宰 髙橋正子
2023年6月2日

ご挨拶/4月月例ネット句会を終えて

今年は桜がいつもより早く咲き初め、すっかり葉桜となりました。4月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。いつもながら、選とコメントをありがとうございます。入賞の皆様おめでとうございます。今月は佳句が多く、厳選になりました。花冠の中から生まれた句は、だれが何と言おうと誇りと思える句だと思っています。これからも、精進を続けて参りましょう。これで、4月月例ネット句会を終わります。

なお、来月5月月例ネット句会は延期となります。延期の日時は未定です。よろしくお願いします。
4月19日
主宰 髙橋正子

■4月月例ネット句会/入賞発表

■4月月例ネット句会/入賞発表
■2023年4月例ネット句会■
■入賞発表/2023年4月11日

【金賞】
27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子
つばめが来るということは、有花さんのコメントにあるように、季節の一ページがめくられる新鮮さがある。風が新しく吹く里は、田植の準備がされ、いよいよ活気づいて来る。心弾む季節をつばめは連れて来たのだ。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
20.田がえしの畦に抜かれし花大根/吉田 晃
冬の間田に植えてあった大根も花咲いて、田返しの際は、畦に抜き捨てて、田を打ち返す。今、田植の準備が始まったところ。情景がリアルで、田土の匂いがしそうである。(髙橋正子)

23.巣作りの燕の行き来軽やかに/多田有花
巣作りに燕がなんども行き来している。巣へ戻る時も、巣から出て行くときも、いつも軽やか。巣作りにいそしみながらも、楽しそうである。巣が出来ると、卵を産み 雛を育て、飛び発つまでの営みが人間にも楽しさをもたらしてくれる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
3.桜咲く大空青く子の門出/高橋秀之
わが子の門出にふさわしく、空は大きく青く、桜が咲いて祝福してくれている。大らかな詠みぶりに、子を旅立たせる父親の懐深い心情が読み取れる。(髙橋正子)

16.抱く児に花びらヒラと舞い落ちる/祝 恵子
児を抱いて、桜の下にいると。ヒラっと花びらが舞い落ちた。小さな指で摘まめそうな花びらに、興味しんしんなみどり児のやわらかさがいい。(髙橋正

子)

29.高窓に囀あふれ処置室へ/川名ますみ
処置室へ向かう廊下だろう。空が見える高い窓からは弾けるように囀りが聞こえる。高窓にあふれる囀りに、フレッシュな気持ちが湧いて来る。春はわくわくと新しい。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】

のちほど。

【髙橋正子特選/7句】
20.田がえしの畦に抜かれし花大根/吉田 晃
抜かれた花だいこんが、田がえしに次々と鋤かれていくのが見えてきます。 (祝 恵子)

22.花失せて今朝花冷えの残りけり/多田有花
ここ数日、大変暖かったものが急に冷え込みです。「新樹冷ゆ」でもなく、「若葉寒」でもなく、まさに「花失せて花冷え残りけり」でした。この様な事もある、気候の端境期のようです。 (桑本栄太郎)
まだ見られると思っていた桜が、思いがけない嵐で散ってしまいました。けれど、そのうすら寒さはまだ残っているよう。静かな花冷えを抱きしめるように感じます。(川名ますみ)

23.巣作りの燕の行き来軽やかに/多田有花
巣作りをしている燕は、本当に軽やかに飛んでいる。これを燕の行き来と上手く詠んだ。景が見える。(廣田洋一)

27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子
つばめは渡り鳥の中でもとりわけはっきりと季節の移り変わりを教えてくれます。つばめがやってきた、それだけで季節の一ページが確実にめくられたことがわかります。「風新しき」に共感します。新鮮な感動を連れてきてくれる鳥です。 (多田有花)
つばめが飛び交うようになると、いかにも春の季節の到来を感じさせて、里は活気に満ちてよみがえるようになる。素敵な季節の到来である。 (小口泰與)
新しい季節を迎えたことを、「つばめが来て里の空気をがらりと変えた」、「風新しき里」と詠まれたことに感服いたします。颯爽と風と共につばめが横切るさまが目に浮かびます。 (友田 修)
つばめが里に戻ることで、平凡な日常生活に自然界から刺激が与えられ、里全体が活気づく予感がして春めいた情景が目に浮かぶようです。 (弓削和人)
 
13.桜咲く大空青く子の門出/高橋秀之
16.抱く児に花びらヒラと舞い落ちる/祝 恵子
29.高窓に囀あふれ処置室へ/川名ますみ

【髙橋句美子特選/5句】
03.稜線のあおぞらうねり花の雲/桑本栄太郎
青空のうねりが雄大に感じられる句です。(髙橋句美子)

18.雨やめば藤の房にも粒を持ち/祝 恵子
雨がっ止んだ後の藤の房に水玉が映える綺麗な光景が目に浮かびました。 (西村友宏)


20.田がえしの畦に抜かれし花大根/吉田 晃
抜かれた花だいこんが、田がえしに次々と鋤かれていくのが見えてきます。 (祝 恵子)

27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子
37.咲きあふる寺の桜を通りより/髙橋正子

【入選/18句】
02.大木の木瓜の花咲く旧家かな/桑本栄太郎
白壁に囲まれたお屋敷の中、ひと際みずみずしい朱の色の花を咲かせている木瓜の大樹。その美しさに感動し春が実感され、年輪と共にお屋敷の様々な歴史に思いを馳せられる詠者です。 (柳原美知子)

05.雨雲や袈裟斬りに飛ぶつばくらめ/小口泰與
雨雲に覆われた空からキラリと白い腹をひからせ、袈裟斬りに飛翔し風をおこすつばめ。その勢いと美しさが想像され、雨もよいの景の風情が感じられます。 (柳原美知子)

09.輝ける春のひかりを胸に抱く/友田 修
うららかな春の日の胸に透き通るようなひかりが感じられ、身も心も静かに満ち足りていくようです。繊細で若々しい句ですね。 (柳原美知子)

15.静かなるふたりの食卓春野菜/高橋秀之
子供たちもみな巣立たれ、夫婦ふたりだけとなった静かな食卓。一抹の寂しさとともにしみじみと味わう春野菜の一皿です。 (柳原美知子)

19.カツオ船入るなつかしさ刺身引く/吉田 晃
漁港に戻って来たカツオ漁船でしょうか。その場で引くカツオの刺身。きっと美味なことでしょう。 (高橋秀之)

30.糊利きし白衣四月の病院に/川名ますみ
糊がピシッときいた白衣の医師や看護師さんが生き生きと働いている姿に、改めて四月、新年度がきたことが実感されるようです。清潔なたたずまいで接してくれる看護師さん達には、安心感が持て、心強い気がしますね。 (柳原美知子)

31.川下る賑わう船に花吹雪/髙橋句美子
両岸に満開の桜が咲いている川を下る観光船でしょうか。花見で賑わいがより一層の盛り上がっているんだろうと感じます。 (高橋秀之)

32.電車待つ春のコートに風つよし/髙橋句美子
都会の春は若い女性によく似合う。東京勤務時代は50年も前の事。渋谷、新宿、池袋が休日の活動範囲だったが、プラットホームに吹く春の強い風が女性の長い髪を乱す。そんな姿がよく春に似合っていると感心したものだった。 (吉田 晃)

33.風光るいつもの店にパン選ぶ/髙橋句美子
いつものパン屋さんへの出入りにも煌めく光と風が感じられる春たけなわ。仕事から解放され、心も軽く今日のパンを選ぶのも楽しみのひとつですね。 (柳原美知子)

35.生徒らに式辞の長し花曇り/西村友宏
式辞というものは、どうして長いの。早く終わって。という生徒たちの思いが花曇りの天気と重なって微笑ましく懐かしいです。 (高橋秀之)

36.朝寝してコーヒー片手に野球観る/西村友宏
春の朝寝は気持ちがいいですね。WBCの試合でしょうか。準決勝、決勝と湧かせてくれましたね。コーヒー片手に満面の笑顔が想像されます。 (柳原美知子)

04.喧騒の利根の流れや春の鳥/小口泰與
05.雨雲や袈裟斬りに飛ぶつばくらめ/小口泰與
08.青空と新緑に心が躍る/友田 修
12.白き蝶群なし舞へる畑かな/廣田洋一
14.列車行く菜の花畑の向こう側/高橋秀之
15.静かなるふたりの食卓春野菜/高橋秀之
21.桃咲いて子ら新しき道をゆく/吉田 晃
25.谷音聴く樹下に初音のこぼれきて/柳原美知子
34.目黒川英語飛び交い桜舞う/西村友宏


■選者詠/髙橋信之

のちほど。

■選者詠/髙橋正子
39.車椅子軽く動けり花は葉に 
車椅子で移動できることはありがたいですね。押す人も押される人も一体となって春光を浴び、短い花の季節を楽しまれたことでしょう。葉桜がまたおふたりを迎えてくれます。(柳原美知子)

37.咲きあふる寺の桜を通りより
38.花は葉に犬と子どもが走り来る

■互選高点句
●最高点句(7点)
27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子

次点(6点/同点2句)
13.桜咲く大空青く子の門出/高橋秀之
22.花失せて今朝花冷えの残りけり/多田有花

集計:髙橋正子

■4月例ネット句会清記■

■4月例ネット句会清記■
2023年4月9日
39句(13名)

01.遠目にも赤き垣根や新芽立つ
02.大木の木瓜の花咲く旧家かな
03.稜線のあおぞらうねり花の雲
04.喧騒の利根の流れや春の鳥
05.雨雲や袈裟斬りに飛ぶつばくらめ
06.朧夜や史書興亡の国数多
07.散る花びらを仰ぎ見る春の午後
08.青空と新緑に心が躍る
09.輝ける春のひかりを胸に抱く
10.鶯の谷渡りして虚子忌かな

11.公園の園児の声や松の芯
12.白き蝶群なし舞へる畑かな
13.桜咲く大空青く子の門出
14.列車行く菜の花畑の向こう側
15.静かなるふたりの食卓春野菜
16.抱く児に花びらヒラと舞い落ちる
17.ひこばえのさくらの高さに目を合わせ
18.雨やめば藤の房にも粒を持ち
19.カツオ船入るなつかしさ刺身引く
20.田がえしの畦に抜かれし花大根

21.桃咲いて子ら新しき道をゆく
22.花失せて今朝花冷えの残りけり
23.巣作りの燕の行き来軽やかに
24.青空は春闌の色となり
25.谷音聴く樹下に初音のこぼれきて
26.花の雨少女が吹けるユーフォニウム
27.つばめ来て風新しき里となる
28.菜の花を広場に咲かす五年生
29.高窓に囀あふれ処置室へ
30.糊利きし白衣四月の病院に

31.川下る賑わう船に花吹雪
32.電車待つ春のコートに風つよし
33.風光るいつもの店にパン選ぶ
34.目黒川英語飛び交い桜舞う
35.生徒らに式辞の長し花曇り
36.朝寝してコーヒー片手に野球観る
37.咲きあふる寺の桜を通りより
38.花は葉に犬と子どもが走り来る
39.車椅子軽く動けり花は葉に

■4月月例ネット句会ご案内

①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2023年4月3日(月)午前6時~2023年4月9日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:4月9日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:4月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、4月10日(月)正午~4月13日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/3月月例ネット句会を終えて

今年は桜が早く咲きはじめました。わが家の近くの参道の桜並木も咲き初めています。WBCの観戦に湧きたった数日でしたが、侍ジャパンの選手たちは連勝して、準決勝の地マイアミへ飛び発っていき、今一時静かになっています。
3月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。選とコメントもそれぞれにありがとうございました。
入賞とは言いますが、句会はコンテストではありませんので、その点をご承知くだるようお願いします。なによりも俳句(創作活動)が窮屈にならないよう、楽しんで俳句が作れるように気を配りたいと思います。
次回は4月9日(日)となります。第2日曜日が早く回ってきますので、日にちをお間違えのないようにご留意ください。では、これで3月月例ネット句会を終わります。
2023年3月18日
髙橋正子