ご挨拶/4月月例ネット句会を終えて

  新年度がはじまりました。4月月例ネット句会は、ちょうど桜の咲く季節にかさなり、多くの桜の秀句が詠まれました。どの句も甲乙つけがたく、繊細に、誠実に、率直に、そして情感豊かに詠まれた句は花冠の誇るべき句だと思いました。
ほどんどの会員のかたにご参加いただき、ありがとうございました。入賞の皆様、おめでとうございます。選と丁寧なコメントをありがとうございました。句会後にも、コメントを書き込んでくださってこれもありがたく思います。

  私ごとですが、私の孫にあたります、娘の髙橋句美子と花冠同人の西村友宏さんの子どもがちょうど4月に誕生し、皆様から温かいお祝いの言葉をいただきました。心よりお礼申し上げます。亡き信之先生も驚いて、さぞや喜んでくれていることと思います。これもみなさまのご支援の賜物と感謝していることでございましょう。

★下記は西村友宏・髙橋句美子さんからの皆様へのお礼の言葉です。コメント欄にありましたのを、ここに貼り付け、感謝の気持ちといたします。

御礼 
みなさま
この度は子どもの出産につきまして、温かいメッセージを誠にありがとうございます。大変嬉しく拝見させて頂きました。また、大変思い出にも残る素敵な句会となりました。重ねて感謝申し上げます。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
西村友宏
髙橋句美子
(2025-04-17 16:38:30)

これで4月月例ネット句会を終わります。
2025年4月18日  
髙橋正子

■4月月例ネット句会入賞発表■

■4月月例ネット句会入賞発表■
2025年4月14日
【金賞】
36.花透かせ花に溶けゆく夕茜/柳原美知子
満開の桜に夕日が落ちかかる光景。桜の向こうに夕日が落ち、夕日の色に溶けるように同化していく桜が、たっぷりと抒情ゆたかに詠まれている。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
10.沖見えるまで花の坂上りゆく/藤田洋子
桜の並木が坂の上へと続いている。あるところから、桜並木を透かして海が見える。遥かに青くきらめく海と、桜の色がうつしい対比をなして、心遥かな心情が読み取れる。(髙橋正子)

30.境内の花摘み供す灌仏会/土橋みよ
灌仏会の花御堂をかざるために、境内の花をいろいろ摘み集めた。何が咲いているのだろう。椿、さくら、それに、かわいい花花が咲いている。釈迦誕生を祝う気持ちが自然で、うつくしい。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
19.永日や日時計の針Ⅵを指す/上島祥子
日が永くなった。少し前までは5時をすぎ6時ごろには、暮れていた。それが日時計の針は6時を示すVIを指している。日の長さを日時計で実感するのどかさがいい。(髙橋正子)

23.みちのくの陽光ひさし朝寝かな/弓削和人
雪に埋もれた生活もようやく朝の陽光で目覚める春がきた。明るく気持ちのよい朝に朝寝を決め込んだ。雪国の生活者の春の来たよろこびなのだ。(髙橋正子)

26.春空に飛行機雲のほぐれゆく/多田有花
春空にのびやかに引かれた飛行機雲がやがてほぐれて空に消えていった。春空ののどかさやおおらかさが自然体で詠まれている。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
10.沖見えるまで花の坂上りゆく/藤田洋子
海に面した桜並木のある坂道を、ぐんぐん上へと登って行きます。振り返れば、桜の花のトンネルの下方へ海が沖合まで見え、絶景を楽しむ作者です。(桑本栄太郎)
花はそれだけで美しい。しかし、春の海を背に咲く花はもっと美しい。そんな風景があるだろうと、ゆっくり坂を上るのである。眼前に広がる風景が見える、それを楽しみに「ゆっくり」上った。 (吉田 晃)

37.満開の桜と祝す吾子誕生/西村友宏
お目出度うございます。タイミング良く、桜が満開となりました。最高のお祝いです。(廣田洋一)
“吾子誕生”おめでとうございます。この上ない喜びが、満開の桜の明るさに満ちあふれているようです。(藤田洋子)

32.苗箱に早苗の緑がゆれあふる/吉田 晃
やがて田に植えられる早苗の緑が、優しく柔らかです。これから始まる新しい季節を感じさせてくれる早苗の明るさとみずみずしさです。(藤田洋子)
苗箱に蒔かれた早稲の籾種が早くも育ち、瑞々しい緑の苗となってあふれ、柔らかく風に揺れる嬉しさ。田植えの季節もすぐそこです。農の尊さを感じます。 (柳原美知子)

13.猫の背にとまるひとひら花ふぶき/川名ますみ
猫は心地よい居場所をよく知っています。心地よい風が吹き仄かな花の香りがする満開の桜の木の傍で、まったりとしていたのでしょう。猫の背のひとひらの花ふぶきに作者の猫への愛しさと桜の季節を惜しむ気持が感じられます。 (柳原美知子)

19.永日や日時計の針Ⅵを指す/上島祥子
36.花透かせ花に溶けゆく夕茜/柳原美知子
30.境内の花摘み供す灌仏会/土橋みよ

【髙橋句美子特選/7句】
12.朝が来て香る窓辺のフリージア/藤田洋子
朝の目覚めに窓辺のフリージアから春の香りが漂う。気持ちの良い朝を迎えられている様子が窺えました。(高橋秀之)

18.木陰から見上げる空に新芽吹く/髙橋秀之
大木の木陰からクローズアップされた春の空と芽吹いた新芽の明るさ。春の爽快さが感じられます。 (柳原美知子)

23.みちのくの陽光ひさし朝寝かな/弓削和人
26.春空に飛行機雲のほぐれゆく/多田有花
36.花透かせ花に溶けゆく夕茜/柳原美知子
桜と夕陽の淡い色の重なりが暖かい雰囲気です。(髙橋句美子)
43.みどり児に春月天心にのぼり/髙橋正子

【入選/16句】
01.花疲れ熟睡の部屋の四畳半/小口泰與
こういう疲れは充実の疲れですね。桜が咲き誇る戸外から戻ってこじんまりとした四畳半でやれやれと横になる。短時間でもぐっすりお休みになれたのでは。(多田有花)

03.鳥鳴いて花の噂を届けたり/小口泰與
優しい気持ちが伝わってくる句だと思いました。鳥が伝えてくれた花の噂がどんな花の様子だったか興味を持ちました。(土橋みよ)

04.廃校と決まる校門さくら咲く/桑本栄太郎
校門に桜が咲く風景は散見される。。一方、廃校という条件下に物悲しいさが見て取れる。廃校になった後は、どのようになるのだろう、という想像に書き立たれると共に、無常観を感じる句である。私ごとではあるが、母校である某小学校が廃校になっていたことと重なった。(弓削和人)

06.ぎらぎらと甍きらめく春の里/桑本栄太郎
明るく活気にあふれる春の里の様子を感じさせていただきました。(土橋みよ)

09.娘子の高き歌声柿若葉/廣田洋一
早や迎える新緑の季節。若き女性の明るい歌声に、柿若葉の透きとおるような美しさ、眩しさが、いっそう感じられます。(藤田洋子)

15.おひたしに求めし菜花のつぼみ咲く/川名ますみ
おひたしを作ろうと買い求めた菜の花なのでしょうか。さぁ、料理しようと思ったら、あら、つぼみが。作者がほほ笑む料理タイムだったのではないでしょうか(高橋秀之)

17.晴れの日は楽しき仲間とチューリップ/高橋秀之
チューリップには明るい日差しと仲間の笑いあう声が似あいます。この世界の「楽しさ」を花にしたらきっとチューリップになるだろうというような。(多田有花)

22.蕗の花どの花よりも土に触れ/弓削和人
地面から出たばかりの蕗の花芽。「どの花よりも」土近く開くその愛らしさと色合いに、春来たる喜びが感じ取れます。(藤田洋子)

24.幼子のほっぺと並ぶ桜餅/弓削和人
子供のほっぺが桜餅のもちもちした感触にかさなります。長閑で可愛らしい素敵な日常を思い浮かべました。(西村友宏)

27,春淡路大観覧車に迎えられ/多田有花
淡路の観覧車と言えば明石大橋を抜けた四国側。春の淡路を訪れたときに、大観覧車に迎えられた大きな気持ちを感じたのでしょう。(高橋秀之)

29.桜鯛花の気配にあかねさす/土橋みよ
桜が咲き始める頃の花を待つ気持ちが桜鯛の色彩にこめられて見事です。鯛の色合い、咲き始めようとする桜の色合い、それらが重なり合って華やかです。(多田有花)

33.山桜目で追いゆけば海はるか/吉田 晃
海の近くに連なる低山の山肌に山桜が点々と咲き始めています。その花を追って視線を移していけば、その先に青い海が広がっています。瀬戸内海沿岸部の花の季節の山の風景はまさにこういう感覚です。(多田有花)

39.寝かしつけ終えて一息桜餅/西村友宏
我が子の誕生に感激するとともに、慣れない子育てをこなして安堵する一コマがうまく切り取られていると思いました。桜餅を食べる姿がとても共感を呼びます。(土橋みよ)

11.母の手を離し走る子花の下/藤田洋子
16.新たなる門出に桜風に舞う/高橋秀之
25.大橋を渡らんのどけき春の日に/多田有花

■選者詠/髙橋正子
43.みどり児に春月天心にのぼり
生まれたばかりのみどり児がみずみずしい春月の月光に優しく包まれ、静かで神々しさを感じる光景です。赤ちゃんのお誕生おめでとうございます。健やかなご成長をお祈りいたします。 (柳原美知子)
生まれて来てくれた素晴らしい赤子を祝い、滴るばかりの艶なる春月が赤ちゃんを祝い、天の意思を神に届けていただくき、神様の恩恵が末永く続きますようにお祈りするご両親の心が感じられる御句ですね。(小口泰與)

45.花冷えの水の旨きをごくごくと
真冬とは異なる花冷えの寒さ。寒き中でもごくごと冷たい水が美味しく飲める季節になりました。 (高橋秀之)


44.遠山の桜ぬれているらしく

■選者詠/髙橋句美子
40.まんまるの子の誕生に桜咲く
桜花が赤ちゃんの誕生を言祝ぐ様ですね。桜の花に見守られる嬰児が健やかである喜びが伝わります。おめでとうございます。(上島祥子)
「まんまる」の赤ちゃんのご誕生おめでとうございます。これから桜が咲く度にお誕生日をお祝いできますね。どうぞお健やかに。 (川名ますみ)

41.蔓は空へ誕生祝いのスイートピー
晴れやかな気持ちが直接表現されていて、いつも元気を頂戴しております。(土橋みよ)


42.春の光テディイベアの誕生祝

互選高点句
●最高点句(8点)
10.沖見えるまで花の坂上りゆく/藤田洋子

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■4月月例ネット句会清記■

■4月月例ネット句会清記■
2025年4月13日
45句(15名)

01.花疲れ熟睡の部屋の四畳半
02.自ずから崩れる膝や朧月
03.鳥鳴いて花の噂を届けたり
04.廃校と決まる校門さくら咲く
05.水底の日の斑の揺らぐ蘆の角
06.ぎらぎらと甍きらめく春の里
07.虚子忌過ぎ記念館に春惜しむ
08.躑躅燃ゆ新工場の狭き庭
09.娘子の高き歌声柿若葉
10.沖見えるまで花の坂上りゆく

11.母の手を離し走る子花の下
12.朝が来て香る窓辺のフリージア
13.猫の背にとまるひとひら花ふぶき
14.車椅子カラカラ鳴らし花冷へ
15.おひたしに求めし菜花のつぼみ咲く
16.新たなる門出に桜風に舞う
17.晴れの日は楽しき仲間とチューリップ
18.木陰から見上げる空に新芽吹く
19.永日や日時計の針Ⅵを指す
20.引退のD51囲む朝桜

21.蛙の目借時未読の書積む
22.蕗の花どの花よりも土に触れ
23.みちのくの陽光ひさし朝寝かな
24.幼子のほっぺと並ぶ桜餅
25.大橋を渡らんのどけき春の日に
26.春空に飛行機雲のほぐれゆく
27.春淡路大観覧車に迎えられ
28.杖ついて仰げば三毳の山笑う
29.桜鯛花の気配にあかねさす
30.境内の花摘み供す灌仏会

31.朝庭に揺れる高枝小手鞠の花
32.苗箱に早稲の緑がゆれあふれ
33.山桜目で追いゆけば海はるか
34.家々を影絵としつつ彼岸の雪
35.あけぼのの風となり来て消ゆ燕
36.花透かせ花に溶けゆく夕茜
37.満開の桜と祝す吾子誕生
38.ミルクあげ吾子泣き止めば春雀
39.寝かしつけ終えて一息桜餅
40.まんまるの子の誕生に桜咲く

41.蔓は空へ誕生祝いのスイートピー
42.春の光テディイベアの誕生祝
43.みどり児に春月天心にのぼり
44.遠山の桜ぬれているらしく
45.花冷えの水の旨きをごくごくと

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。