■1月月例ネット句会入賞発表■
2025年1月13日
【金賞】
09.初日さし湖の昏さを破りけり/弓削和人
この句の湖は和人さんの住む近くの田沢湖と思われる。田沢湖は日本のバイカル湖とも言われ日本一の水深がある。豊かな水量は湖底より湧く水と言われている。田沢湖の周囲にはこの季節輝く雪嶺が望める。夜の湖の昏さはいかばかりか。その昏さを破って力強く初日が差してくる。新年の夜明けである。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
29.初漁の海豊漁の夕焼けに/吉田 晃
初漁の海は豊漁に恵まれ鮮やかな夕焼けに染まっている。すべてが豊かに、あざやかに生き生きと力強い。(髙橋正子)
25.石鎚晴れ田のひろびろと凧揚がる/柳原美知子(正子添削)
もとの句の「凧揚げる」を「凧揚がる」と客観写生の句に添削させてもらった。これにより、景色がすっきりと読者の前に提示される。四国の霊峰を望む田はひろびろとして凧が揚がっている。日本の風物詩をここに見ることができる。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
12.雪だるま万歳のまま夜を迎え/上島祥子
雪だるまの手に棒か、枯枝が差されている。ちょうど短い手で万歳をしている格好だ。子どものようで可愛らしい。夜がきても雪だるまは解けないで夜を迎えたのだ。雪だるまへの優しい眼差し、やさしい心に心温まる。(髙橋正子)
35.水仙の香の傍らにシーツ干す/川名ますみ
感覚が捉えた清潔感のあるすがすがしい句。シーツは庭の水仙が咲いている傍に干されたのだろう。マンションなら、プランターや鉢に水仙が咲いて、それに触れそうにシーツが干されているのかもしれない。理屈のない鋭敏な感覚の捉えたの句のよさがある。(髙橋正子)
14.覗き見てみなが捉えし雪の富士/土橋みよ(正子添削)
(原句:覗き見てみなが捉えし雪富士不意に/土橋みよ)
展望台の望遠鏡を見ていて雪の富士山が入り込んだので、みんなで代わる代わる「富士山だ、富士山だ」と喜んだに違いない。遠くの富士山を捉えたことのあまりあるうれしさが伝わってくる。みよさんは俳句を初められたばかりなので、いろいろ読みこみたい気持ちはわかるが、捉えどころがいいので、切り捨てる勇気をもってもらうために添削した。(髙橋正子)
【髙橋正子特選/7句】
07.配達夫来て去りしずか雪の軒/弓削和人
雪深い地方ならではの情景が詠まれています。雪がたっぷりと積もったなかを配達にまわる郵便夫の姿が尊いです。(多田有花)
09.初日さし湖の昏さを破りけり/弓削和人
湖が初日に映える様を「破りけり」と表現することで、明るく力強い元旦の情景が見えに浮かびました。 (西村友宏)
12.雪だるま万歳のまま夜を迎え/上島祥子
両腕に模して挿した枝、雪だるまが万歳をしているように見えました。寒さが厳しいのでしょう。夜を迎えても雪は解けず、万歳をしたままです。冬の楽しさと寒さを伝える、優しい観察に惹かれました。(川名ますみ)
25.石鎚晴れ田のひろびろと凧揚がる/柳原美知子(正子添削)
(原句:石鎚晴れ田のひろびろろ凧揚げる/柳原美知子)
正月の風物詩である凧揚げの背景となる里山の風景がありありと感じられました。 (土橋みよ)
山の高さと田の広がりを感じ雄大な景観です。凧揚げのの嬉しさが伝わってきました。(髙橋句美子)
29.初漁の海豊漁の夕焼けに/吉田 晃
新年最初の漁に出た船が大漁を得て港に戻ってきました。労働の喜びと収穫の喜び、生き生きと活気ある新年の始まりです。(多田有花)
33.月氷るバス待つ椅子もきんきんと/西村友宏
晴れた夜空に、気温が下がり、バス停の椅子までもが冷却されている様子が目に浮かびました。(土橋みよ)
35.水仙の香の傍らにシーツ干す/川名ますみ
【髙橋句美子特選/7句】
02.大利根の夕日ゆかしき冬の径/小口泰與
慣れ親しんだひろびろとした利根川に差す夕日に包まれてゆく冬の径は、寒さの中にもあたたかく懐かしい思いに満たされ心やすらぎます。 (柳原美知子)
07.配達夫来て去りしずか雪の軒/弓削和人
雪深い地方ならではの情景が詠まれています。雪がたっぷりと積もったなかを配達にまわる郵便夫の姿が尊いです。(多田有花)
12.雪だるま万歳のまま夜を迎え/上島祥子
両腕に模して挿した枝、雪だるまが万歳をしているように見えました。寒さが厳しいのでしょう。夜を迎えても雪は解けず、万歳をしたままです。冬の楽しさと寒さを伝える、優しい観察に惹かれました。(川名ますみ)
13.鐘響き葉間にきらめく冬の空/土橋みよ
お寺の鐘の音に思わず見上げた大樹の葉の間に、冬空のきらめく青さを見つけられた感動が伝わってきます。 (柳原美知子)
24.花苗は生きいき寒の明るさに/髙橋正子
寒晴れの明るい店先で、色とりどりの花苗が水を遣られ光をあびて生き生きしているのを見ると「冬来たりなば春遠からじ」の思いを強くします。 (柳原美知子)
25.石鎚晴れ田のひろびろろ凧揚げる/柳原美知子
山の高さと田の広がりを感じ雄大な景観です。凧揚げのの嬉しさが伝わってきました。(髙橋句美子)
34.白菜に刃が入る音のさっぱりと/川名ますみ
丸々とした白菜にザクっとした音を響かせて白菜に包丁を入れる。刃が入る音のさっぱりとに目の前にある白菜の新鮮さを感じます。(高橋秀之)
【入選/9句】
05.からからと枯葉まろびぬ風の径/桑本栄太郎
(か)の三音が素敵な音律になって快いですね。素敵な御句と思います(小口泰與)
11.雪だるま会話始まる母と子に/上島祥子
雪だるまを母子で作り、日ごろの忙しさから解放されて楽しいおしゃべりのひととき。寒い中の温かい貴重な体験ですね。見守る作者の優しさが伝わってきます。 (柳原美知子)
18.北風に響くや子らの遊ぶ声/多田有花
寒に入り強い北風の吹く中戸外は益々寒くても、「子供は風の子」と云います。大きな声が響き、元気に遊び回りって居ります。(桑本栄太郎)
21.初鏡パリの土産の紅をさす/廣田洋一
おしゃれですね。パリという地名の持つ詩情が良く生きています。(多田有花)
27.小雪舞うリハビリ始め息合わす/柳原美知子
お天気、盆暮れ関係無くリハビリは続けなければなりません。大変な日常の中に小雪に季節を思う心の豊かさを感じます。(上島祥子)
28.杵つきが懐かし硬き雑煮餅/吉田 晃
スーパーマーケットで売られている食べやすく加工された均一の品質の餅ではなく、なるべく水がたくさん入らないようにして杵つきで搗いた一つ一つ違う餅は今では貴重です。そのような餅が懐かしいです。(土橋みよ)
36.裸木となり存分にひかり浴ぶ/川名ますみ
覆うものがなくなり寒風に晒されている裸木である が暖かな冬日にも恵まれ、春を待っている。厳しい風と優しい光を受け、冬の厳しさを力強く耐えているのだろう。 (吉田 晃)
10.初雪に遊ぶ童はシャツ一枚/上島祥子
16.日が昇る初雪の山の後ろより/多田有花
■選者詠/髙橋正子
22.寒晴に円すばらしき観覧車
観覧車は家族や友人との思い出の中にあり、巨大建造物で有りながら見れば優しい気持ちになります。それが中句の「円すばらしき」の表現なっているのかと感じました。 (上島祥子)
24.花苗は生きいき寒の明るさに
寒晴れの明るい店先で、色とりどりの花苗が水を遣られ光をあびて生き生きしているのを見ると「冬来たりなば春遠からじ」の思いを強くします。 (柳原美知子)