■9月月例ネット句会/入賞発表■
2024年9月9日
【金賞】
17.とうふ真白すだちの青き香を絞る/川名ますみ
上五から下五まですっきりと詠みくだし、精神がまっすぐに通っているのがいい。すだちの「青き香」は香りでありながら、青色を視覚に訴える効果があって、句を印象づけている。気持ちのよい爽秋の句。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
06.稲の香のあふるるばかり天は青/小口泰與
句会参加者の大勢の共感を得た句。日本人みんなの心に響く句と言えよう。稲のぬくみのある香りがあふれ、空は晴れて真っ青。私もこの光景を懐かしく思い出し、はれやかな思いになった。稲の稔る美しい日本の象徴的な光景だ。(髙橋正子)
30.露草の青透く風に裏戸あけ/柳原美知子
裏戸を開けると露草が咲き、すずしい風が吹いている。露草の青い色が透き通り、目が覚めるようだ。「裏戸」の陰りのある印象が句に深みをもたらしている。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
08.寝ころびて見上げる空にいわし雲/友田 修
寝ころんで空を見上げる時間は、それが「しばしの時間」であっても貴重なのではないだろうか。見上げた空にいわし雲がひろがり、空はすっかり秋になっている。そんな思いがいい。(髙橋正子)
11.烏賊干せば烏賊の匂いの浜風に/吉田 晃
「烏賊干す」は浜上げされた烏賊を裁いて開き、するめいかにするために、風にあてて干すもので、この季節の風物詩でもある。烏賊を干せば、烏賊の生の匂いが浜風にのって届いてい来る。晴れた空に干されるたくさんの烏賊が浜の特別な風景になっている。(髙橋正子)
23.台風に泊まる事務所は煌々と/高橋秀之
台風が来るからと事務所に泊まり込みで警戒をしなくてはならない夜。港湾の事務所だろうが、事務所に灯る燈は煌々として、台風の接近に緊張感が高まっている。現場を詠んだ職場の俳句。(髙橋正子)
【髙橋正子特選/7句】
06.稲の香のあふるるばかり天は青/小口泰與
稲刈りが始まったのでしょうか。溢れるばかりのイネの香りが、晴れわたる青き空を広く感じさせてくれます。(高橋秀之)
9月に入り日毎に秋めいて来れば、天は青くなり、稲穂は黄金色に熟れて豊かな香りを漂わせて居ります。 豊穣の稔りの秋の景色が嬉しい。(桑本栄太郎)
09.柔らいだ暑さに少しさびしさも/友田 修
猛暑続きだった夏の名残りはまだあるものの、朝夕は虫の音も聞こえ、秋風が吹き、秋本番もすぐそこです。秋が来れば一気に季節が進み、今年もすぐに暮れていきそうな寂しさも感じられます。 (柳原美知子)
17.とうふ真白すだちの青き香を絞る/川名ますみ
夏の名残の暑さの中に少し秋の風情が漂う昨今。豆腐に酢橘を絞りかけると、見た目にも香りにも爽やかさが感じられ、体の芯に溜まっていた疲れが消えてゆく。読み手にも爽やかさを分けていただいた。(吉田 晃)
30.露草の青透く風に裏戸あけ/柳原美知子
まだ気温は高いものの、空気が澄み、小さな草花がきれいに映える季節となりました。露草の青色はひときわ明るく、風に透けるほど。裏戸をあけてその風を入れるとき、秋の清々しさを全身に感じます。(川名ますみ)
11.烏賊干せば烏賊の匂いの浜風に/吉田 晃
23.台風に泊まる事務所は煌々と/高橋秀之
29.登校の帽子の列が稔り田を/柳原美知子
【髙橋句美子特選/7句】
06.稲の香のあふるるばかり天は青/小口泰與
稲刈りが始まったのでしょうか。溢れるばかりのイネの香りが、晴れわたる青き空を広く感じさせてくれます。(高橋秀之)
9月に入り日毎に秋めいて来れば、天は青くなり、稲穂は黄金色に熟れて豊かな香りを漂わせて居ります。 豊穣の稔りの秋の景色が嬉しい。(桑本栄太郎)
08.寝ころびて見上げる空にいわし雲/友田 修
空の広さを感じてゆったりとした気持ちになりました。 (髙橋句美子)
21.秋天に草刈る音の響きおり/多田有花
秋の空に向かって、草を刈る音が高らかに響いていきます。残暑が厳しい日が続きますが、季節は確実に進んでいる一コマです。(高橋秀之)
26.つゆ草の露のとうめ玻璃よりも/髙橋正子
露を帯びて咲くツユクサの清楚なたたずまい。身近な野の花なのに高貴な雰囲気を感じます。(多田有花)
30.露草の青透く風に裏戸あけ/柳原美知子
まだ気温は高いものの、空気が澄み、小さな草花がきれいに映える季節となりました。露草の青色はひときわ明るく、風に透けるほど。裏戸をあけてその風を入れるとき、秋の清々しさを全身に感じます。(川名ますみ)
10.秋茄子の紐に結わえて支えられ/吉田 晃
17.とうふ真白すだちの青き香を絞る/川名ますみ
【入選/8句】
02.嵐去り又も日差しの残暑かな/桑本栄太郎
先日の台風10号は見たこともないような進路をとったうえに嵐が去れば涼しくなるかと思いきや厳しい残暑を残していきました。うんざりされているさまが浮かびます。(多田有花)
07.夕立の切れ目に聞こゆ虫の声/友田 修
夕立があがると同時に聞こえ出す虫の声。そして、また雨が降り出すと静かになります。夕立の切れ目の自然の動きをつかみ取りました。(高橋秀之)
12.店先のすすきへ風の来る花屋/吉田 晃
通りかかった花屋の店先にそよぐすすき。町中にも爽やかな秋の訪れを感じるうれしいひとときです。 (柳原美知子)
14.鶏頭のふさふさ伸びて子規忌来る/廣田洋一
鶏頭と子規忌の素敵な取り合わせですね。(小口泰與)
19.刃を受けて西瓜ぱっくりと割れぬ/多田有花
大きな西瓜をまっぷたつに切るのはなかなか難しいですが、良く熟れていたのでしょう。さくっと刃がが入りきれいに二つに割れました。「ぱっくりと」
にうれしい気持ちが表れています。みずみずしくおいしそうな西瓜が目に浮かびます。 (柳原美知子)
22.蟋蟀の声はどこから列車待つ/高橋秀之
夜になると虫の声がさかんに聞こえる季節になりました。ひとり列車を待っておられたらどこからかコオロギの声。秋の深まりを感じるひとときですね。(多田有花)
28.野分過ぎ闇の深さに星光る/柳原美知子
深夜、台風の眼の下に入ったときに見た星空の美しかったことを思い出します。本当に嵐とは対照的な静けさです。(友田修)
嵐が過ぎ去った後は、空気も澄んで星空観察には良いタイミングですね。夜中にひときわ輝く星空が浮かびます。 (西村友宏)
32.台風のあと食堂をひとり占め/西村友宏
関東地方は台風から離れていたにもかかわらずあちこちで豪雨災害が。出勤してくる人が少なく、食堂ではひとりきり。それを「ひとり占め」と詠まれ、子どものような爽快さがあります。(多田有花)
■選者詠/髙橋正子
26.つゆ草の露のとうめ玻璃よりも
露を帯びて咲くツユクサの清楚なたたずまい。身近な野の花なのに高貴な雰囲気を感じます。(多田有花)
27 秋澄んで山々近く寄り来る
秋の空は澄んでいて色もくっきり見えるので、山も近く見えるのを、近く寄り来るとしたのが上手い。 (廣田洋一)
25.朝顔の青の二輪を仏前に
■選者詠/髙橋句美子
34.萩の花の揺れて祝う誕生日/髙橋句美子
信之先生が「女児誕生白萩の白咲ける日に」と詠まれているように、句美子様の誕生の日に咲いた白い萩の花。今年もまた誕生日には萩の花が咲いていて
風に揺れ、誕生日を祝ってくれているかのようです。爽やかにお誕生日を迎えられ、お喜び申しあげます。 (柳原美知子)
35.百日紅満開青い空の下
花が相対的に少なくなる夏に、百日紅はその薄紅色の花を長く楽しめます。そしてその花の上にはいつも青い空があります。 (友田修)
36.清々しゼリーに浮かぶ葡萄の実
●互選最高点句(10点)
06.稲の香のあふるるばかり天は青/小口泰與
集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。
■9月月例ネット句会清記■
2024年9月8日
36句(12名)
01.おそろしき事となりたる朝の冷え
02.嵐去り又も日差しの残暑かな
03.鳴き尽くすかに焦り居りつくつくし
04.老人の浮子にとまりし蜻蛉かな
05.山霧の雫の音に秋の蝶
06.稲の香のあふるるばかり天は青
07.夕立の切れ目に聞こゆ虫の声
08.寝ころびて見上げる空にいわし雲
09.柔らいだ暑さに少しさびしさも
10.秋茄子の紐に結わえて支えられ
11.烏賊干せば烏賊の匂いの浜風に
12.店先のすすきへ風の来る花屋
13.笠取りて顔を見せたる踊子ら
14.鶏頭のふさふさ伸びて子規忌来る
15.法師蝉鳴きつのりたる法の庭
16.蚯蚓抓み訪問看護師土の上へ
17.とうふ真白すだちの青き香を絞る
18.首都高を出で公園にカンナ燃ゆ
19.刃を受けて西瓜ぱっくりと割れぬ
20.かすかなる赤き三日月西空に
21.秋天に草刈る音の響きおり
22.蟋蟀の声はどこから列車待つ
23.台風で泊まる事務所は煌々と
24,隙間から見える日差しは天高く
25.朝顔の青の二輪を仏前に
26.つゆ草の露のとうめい玻璃よりも
27 秋澄んで山々近く寄り来る
28.野分過ぎ闇の深さに星光る
29.登校の帽子の列が稔り田を
30.露草の青透く風に裏戸あけ
31.家事終えてほっと一息レモン水
32.台風のあと食堂をひとり占め
33.名月やタクシー帰りの身を癒す
34.萩の花の揺れて祝う誕生日
35.百日紅満開青い空の下
36.清々しゼリーに浮かぶ葡萄の実
※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。