ご挨拶/芍薬忌ご参加お礼

ご挨拶
信之先生が亡くなられてこの度5月24日に一周忌を迎えました。信之先生を忍んで芍薬忌ネット句会を開催させていただきました。平日にも拘わらず、多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。またお心のこもった献句をいただき、感謝申し上げます。献句は、色紙に寄せ書きにして仏前に供えております。信之先生の忌日を「芍薬忌・信之忌」と名付けましたが、皆様に受け入れていただき、ありがたく思います。

信之先生の誕生日は5月28日で、この頃ちょうど庭に芍薬が咲くので、芍薬が咲けば、誕生日が来るという思いで、毎年芍薬が咲くのを楽しみにしておりました。命日も誕生日の4日前という芍薬の咲く時期になりました。こう言ったことで、芍薬忌と名付けさせていただきました。今後ともよろしくお願いします。
芍薬忌ネット句会の入賞の皆様おめでとうございます。また、お忙しい中、選とコメントをありがとうございました。お陰様でよい供養になりました。
これで芍薬忌ネット句会を終わります。
                 2024年5月31日
                    髙橋正子

■芍薬忌献句十四句■

■芍薬忌献句十四句■
           2024年5月24日

★松山のことは夢なり芍薬忌/桑本栄太郎
★芍薬忌夜に句集を読み返す/高橋秀之
★先生の酔うた丸い背夏料理/吉田 晃
★ゆく星の光彩さやか芍薬忌/小口泰與
★自慢話また聞きたきや芍薬忌/廣田洋一
★青空に水煙高し芍薬忌/多田有花
★芍薬を咲かせて散らす師の詩魂/川名ますみ
★師と会うた城は大阪蝉しぐれ/祝恵子
★芍薬を凛と供えて一周忌/西村友宏
★水煙の空の近しや芍薬忌/弓削和人
★活けてより忌日の百合の香の深き/藤田洋子
★信之忌芍薬の白満開に/髙橋句美子
★芍薬忌野はひろびろと水湛う/柳原美知子
★山鳩のしきりに鳴けり芍薬忌/髙橋正子

                 合 掌

■芍薬忌ネット句会/入賞発表/2024年■

■芍薬忌ネット句会入賞発表■
2024年5月24日

【金賞】
38.茅花流し青き田水をきらめかす/柳原美知子
「茅花流し」の「流し」は、湿気を含んだ南風のこと。従って「茅花流し」は茅花の白い絮が風に飛ぶころの湿った南風のこと。茅花の白のイメージと青き田水の「青」のイメージが重なって、すずやかな印象を生み出している。それがきらめいているからなおさら美しい。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
03.良き暮らし吟ずべしとや風薫る/桑本栄太郎
信之先生は常々、「よい俳句はよい生活から」と言っておられた。「よい生活」は楽な生活をするということではなく、わかりやすく言えば、嘘偽りのない、充実した生活を送ると、いい俳句ができると言う意味と私は解釈している。風薫る季節が信之先生の命日となったが、忌日にそれを思いだすことは意義ある琴と思う。(髙橋正子)

20.紫陽花のつぼみの縁に青しかと/川名ますみ
これから時期を迎えて開こうとする紫陽花が、蕾の縁に青い色がしっかりと見せている。みずみずしい紫陽花の青い色をたしかに見届けた嬉しさ。(鷹は斎雅子)

【銅賞/3句】
06.蝶々来る朝日の光る水溜まり/高橋秀之
蝶々がくる水溜まりが朝日で光っている情景が眩しい。可憐な蝶々が朝日に光る水溜まりでいのち輝くものになっている。(髙橋正子)

29.どくだみの花のまわりの闇は濃し/弓削和人
どくだみの白い十字はとくに日陰では印象にのこる。浮き立つ白い花の周りは闇が「濃し」なのた。「深し」ではなく、「濃し」の印象は闇を色合いでとらえ、詩情を醸し出している。(髙橋正子)

23.田に水の入れば夏鳥羽休め/祝 恵子
すこし大きい鳥だろう。田んぼに水が入ったので、水に浮いて羽を休めている。安全地帯の水のある田んぼで、ゆっくり羽を休めている鳥を見ると、見る側も心やすらかになる。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
03.良き暮らし吟ずべしとや風薫る/桑本栄太郎
「明るくて深い句」「良い暮らしから良い句」これが信之先生の教えでした。はや一年たったのかと思いながら、良き暮らしができているか、とわが身を顧みます。 (多田有花)

32.挿し芽して紫陽花小さき毬生まる/藤田洋子
挿し芽した紫陽花がしっかりと根付き、まだ小さいけれど、可憐な毬のような花を咲かせてくれた嬉しさ。これからどんな色の変化を見せてくれるのか楽しみですね。(柳原美知子)

38.茅花流し青き田水をきらめかす
茅の穂が銀色の絮となり、茅花流しが吹く頃になりました。名前の通り、茅の穂のゆらめく様も美しいですが、その風が田を渡る時はひときわでしょう。「青き田水」のきらめきが浮かびます。 (川名ますみ)

06.蝶々来る朝日の光る水溜まり/高橋秀之
20.紫陽花のつぼみの縁に青しかと/川名ますみ
23.田に水の入れば夏鳥羽休め/祝 恵子
29.どくだみの花のまわりの闇は濃し/弓削和人

【髙橋句美子特選/7句】
02.師の教え偲ぶ時なり青嵐/桑本栄太郎
信之先生のお句には青の多様な色彩が表現されており、青嵐に吹かれながら、さまざまなお教えが偲ばれます。先生の「大杉の芯を鳴らして青あらし」のお句も思い出されます。(柳原美知子)

33.水に挿すパセリルッコラ風入るる/藤田洋子
ルッコラは地中海原産のハーブの一種。ご自宅で水栽培されているのですね。そういえば、信之先生はお料理されるのもお好きでした。 (多田有花)

06.蝶々来る朝日の光る水溜まり/高橋秀之
20.紫陽花のつぼみの縁に青しかと/川名ますみ
29.どくだみの花のまわりの闇は濃し/弓削和人
39.パチパチと音たて走る麦焼く火/柳原美知子
40.あじさいに雨ふるかぎり青に染む/髙橋正子

【入選/11句】
07.夏灯ワインは赤くほの甘く/吉田 晃
昼の夏に輝く太陽が沈む暮。涼しい時分の赤ワインは殊の外、澄んでいて甘さを際立たせている。夏とワインが、赤で象徴的な結びつき、心地よい気分を醸し出している。(弓削和人)

09.萍(うきくさ)の花咲く池の濁りより/吉田 晃
池の周りを散歩しているのでしょうか。澄んだ水でもないのに、萍(うきくさ)の花が咲いて、楽しいことよ。 (祝恵子)

11.百本のばらの香りを浴びにけり/小口泰與
小口さまは薔薇を栽培しておられましたね。百本の薔薇が咲きそろいましたか。丹精の結晶です。 (多田有花)

12.あけぼのの風の吐息や初夏の沼/小口泰與
新緑の沼に吹く曙の風が吐息のように、沼を波立たせ、朝が静かに明けてゆきます。初夏の沼の美しい夜明けです。(柳原美知子)

13.芍薬の豊かに並ぶ門の前/廣田洋一
芍薬が並んで咲く門、豪華です。良い暮らし、いい意味での豊かな暮らしが感じられます。 (多田有花)

16.母在れば白寿なるかな小満に/多田有花
白寿を迎えられたお母様、お喜び申しあげます。万物の成長が満ちあふれる季節の節目に、ご長寿の喜びが重なり、これからの健康と幸せを願うお気持ちが伝わります。(藤田洋子)

18.腹を見せ背を見せひらり夏つばめ/多田有花
優雅に軽やかに飛ぶ夏燕が夏の訪れを告げているような美しい情景を思い浮かべました。(西村友宏)

21.青葉雨少年の弾くヴィヴァルディ/川名ますみ
雨の濡らす青葉のみずみずしさと少年の弾くバイオリンの伸びやかで明るいヴィヴァルディの旋律がマッチしていて、癒され、希望が感じられます。(柳原美知子)

25.雨上り雫滴るさくらんぼ/西村友宏
雨上がりのしずくが、きっと瑞々しく弾かれていのでしょう。そんな光景がパッと浮かびました。 (高橋秀之)

26.朝起きて淹れる新茶の青々と/西村友宏
まだ肌寒い朝、起きて最初に淹れるときの新茶の香おりと色は、季節と幸せを感じさせてくれます。良い一日のスタートですね。(柳原美知子)

01.想い出を辿るひと時窓若葉/桑本栄太郎

■選者詠/髙橋正子
40.あじさいに雨ふるかぎり青に染む
紫陽花は、雨の色を取り込んで青くなるのを上手く詠んだ。 (廣田洋一)

41. 夕焼けの吾にかく燃え信之忌
信之先生の一周忌の夕焼けは、格別に燃えるような濃い色で、胸に迫ってきます。一周忌を無事終えられた感慨と共に一抹の寂しさも覚えられたことでしょう。信之先生も天からこの日を見届けられたことでしょう。(柳原美知子)

42,クローバーある日夏めく密に咲き
いつもの野にあるクローバー、ふと「ある日」変化するクローバーの群生。春からいよいよ夏へと移る季節の動き、日ごとに変わる野の状景を敏感に感じ取られていると思います。(藤田洋子)

■選者詠/髙橋句美子
36.ふと香る薔薇の赤に近づいて
 何かの拍子に薔薇が目の前に来たのだろう。その時、薔薇の赤い色とそして、ふと香りを感じたのである。(吉田晃)

34.朝顔の双葉が青いと母の声
芽を出したばかりの朝顔の双葉、その初々しい青さに、初夏のみずみずしい明るさを感じます。これからも朝顔の成長を見守りながら、母娘の穏やかな時間が流れていくようです。(藤田洋子)

35.空仰ぎ日傘をもてば朝はじまり

互選高点句
●最高点句(同点3句/5点)
06.蝶々来る朝日の光る水溜まり/高橋秀之
20.紫陽花のつぼみの縁に青しかと/川名ますみ
40.あじさいに雨ふるかぎり青に染む/髙橋正子
集計:髙橋正子


※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■芍薬忌ネット句会清記■

■芍薬忌ネット句会清記■
2024年5月24日
42句(14名)

01.想い出を辿るひと時窓若葉
02.師の教え偲ぶ時なり青嵐
03.良き暮らし吟ずべしとや風薫る
04.風薫る海辺の緑地に家族連れ
05.軒先の紫陽花大きく膨らんで
06.蝶々来る朝日の光る水溜まり
07.夏灯ワインは赤くほの甘く
08.酔眼に夏星いくつも瞬けり
09.萍(うきくさ)の花咲く池の濁りより
10.話し声奪う瀧音明けの天

11.百本のばらの香りを浴びにけり
12.あけぼのの風の吐息や初夏の沼
13.芍薬の豊かに並ぶ門の前
14.フェンスよりはみ出し咲きぬ百合の花
15.バナナ採る朝一番の庭師かな
16.母存れば白寿なるかな小満に
17.初ほととぎす未明の空に響く
18.腹を見せ背を見せひらり夏つばめ
19.風すこし梅花空木の薫り来る
20.紫陽花のつぼみの縁に青しかと

21.青葉雨少年の弾くヴィヴァルディ
22.車椅子押しつつ吟行夏の城
23.田に水の入れば夏鳥羽休め
24.楽しみは子メダカ増える朝一番
25.雨上り雫滴るさくらんぼ
26.朝起きて淹れる新茶の青々と
27.身の締まる鯖寿司味わう日曜日
28.母の日やきょうも勤めし母の朝
29.どくだみの花のまわりの闇は濃し
30.みずみずし水没林の根のあまた

31.紫陽花の広がり蕾持ち始む
32.挿し芽して紫陽花小さき毬生まる
33.水に挿すパセリルッコラ風入るる
34.朝顔の双葉が青いと母の声
35.空仰ぎ日傘をもてば朝はじまり
36.ふと香る薔薇の赤に近づいて
37.夏鶯切り株みがく声放ち
38.茅花流し青き田水をきらめかす
39.パチパチと音たて走る麦焼く火
40.あじさいに雨ふるかぎり青に染む


41.夕焼けの吾にかく燃え信之忌    
42.クローバーある日夏めく密に咲き                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

■信之忌/芍薬忌(5月24日/金曜日)ネット句会ご案内■

■信之忌/芍薬忌(5月24日/金曜日)ネット句会ご案内■
名誉主宰の髙橋信之先生は昨年5月24日に亡くなられました。ちょうど1周忌を迎えますので、信之忌(芍薬忌)ネット句会を開催いたします。ご参加くださいますよう、下記にご案内いたします。(花冠代表 髙橋正子)
 記
①投句:献句1句と当季雑詠3句
 5月20日(月)午前6時~5月24日(金)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:5月24日(金)午後6時~午後10時
②入賞発表:5月25日(土)正午

      献句については選をいたしません。
③伝言・お礼等の投稿は、5月25日(土)正午~5月29日(水)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

ご挨拶/5月月例ネット句会を終えて

〇風薫る良い季節を迎えています。5月月例ネット句会にご参加ありがとうございました。入賞の皆様、おめでとうございます。
入賞句は、日本の美しい農を中心とした風景や、懐かしい、あるいは楽しい生活、生活のなかのちょっとした思いなどが詠まれていて、戦争のない日本の良さを思いました。内容が深い俳句も、また高みのある俳句も日々の生活から生まれるものなのでしょうから、生活というのは大事なものだと思います。
これで5月月例ネット句会を終わります。コメントのない句には、引き続きコメントを書いていただければ、嬉しいです。

〇なお、5月24日(金)は信之先生の忌日に当たりますので、この場所で、「信之忌(芍薬忌)ネット句会」を開催いたしますので、ご参加いただければたいへんうれしいです。

■5月月例ネット句会入賞発表■

■5月月例ネット句会入賞発表■
2024年5月12日
【金賞】
18.湧水の波紋に砂のゆれる初夏/吉田晃
砂から水が湧き出し波紋をつくると、その波紋で砂が静かにゆれる、繊細で清らかな水と砂の動きは、初夏を象徴する光景と言える。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
27.刈られゆく麦の香一日風に乗り/柳原美知子
家の周りは麦刈の真っ最中。刈り取られる麦の匂いが風に乗って一日中漂ってくる。麦秋の季節の明るさ、爽やかさ、その匂いに懐かしい昭和の光景を思い出した。今もその光景があることの大切さを思う。(髙橋正子)

23.田に水の満ちる音して五月に入る/祝恵子
田んぼに水が引かれ、しだいに田に満ちていく。流れ入る水の音もかろやかに弾んでいる。ちょうど五月に入った日なのだ。田植の準備が着々と進んでいる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
05.竹皮を脱ぐや至れり薮の空/桑本栄太郎
竹の生長ははやい。皮を脱ぐとあっという間に空へ高く伸びる。しかし、伸びる先の空はあくまでも生えたところの藪の空。このあたりにせつなくも諧謔味があって、これも竹の本質。(髙橋正子)

12.葉桜の作る日陰に長き列/高橋秀之
素直な詠みかたは、葉桜の日陰をかろやかに印象付けてくれる。葉桜の季節は汗ばむ日もある。長い列はなんの列だろう。何か待っている列には違いない。暑い日差しを避けられる葉桜の日陰がありがたい。(髙橋正子)

20.はつなつの稜線に雲湧き初めし/多田有花
山の稜線は山並みの描く「線」。その山に夏らしい白い雲が湧き始めるのを見ると、夏が来たな、と思う。「はつなつ」の心楽しさが詠まれている。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
10.帰省の子迎えるように鯉のぼり/高橋秀之
息子さんたちも成長し自立されました。そして、ゴールデンウィークには帰省されました。それを迎えるようにご近所で鯉のぼりがはためいています。 (多田有花)

23.田に水の満る音して五月に入る/祝恵子
水が張られ田植えの準備も終わり、充実した五月を迎える爽やかな心境を感じました。 (西村友宏)
 新緑の快い季節のなか、田には水がいっぱいに張られ田植えの準備が出来上がり、気候も自然の風物も衣食住も夏らしくなってくる素晴らしい季節です。(小口泰與)

27.刈られゆく麦の香一日風に乗り/柳原美知子
今日は熟れた麦の刈り取りの日なのですね?この日は一日中麦の香が風にただよい、当に麦秋の収穫の喜びに満ち溢れますね。(桑本栄太郎)
熟れた麦が刈られてゆきその香が一日漂っている、動きを感じます。麦の香と風のそよぎが伝わってきます。(多田有花)

36.鯉のぼり喜ぶ声がどこからか/髙橋句美子
鯉のぼりは誰が見ても楽しく心を躍らせてくれます。どこらか聞こえる喜ぶ声もきっと弾んだ明るい声でしょう。(髙橋秀之)

05.竹皮を脱ぐや至れり薮の空/桑本栄太郎
18.湧水の波紋に砂のゆれる初夏/吉田晃
20.はつなつの稜線に雲湧き初めし/多田有花

【髙橋句美子特選/7句】
18.湧水の波紋に砂のゆれる初夏/吉田晃
水の中で砂が穏やかに揺れる様子が夏らしいです。(髙橋句美子)

22.朝一番眺める鉢のメダカの子/祝恵子
メダカを飼育して、稚魚が生まれると楽しいですね。生まれた子の様子を毎朝真っ先にご覧になる。うきうきと水槽をのぞかれる様子が想像できます。 (多田有花)

23.田に水の満ちる音して五月に入る/祝恵子
新緑の快い季節のなか、田には水がいっぱいに張られ田植えの準備が出来上がり、気候も自然の風物も衣食住も夏らしくなってくる素晴らしい季節です。(小口泰與)
水が張られ田植えの準備も終わり、充実した五月を迎える爽やかな心境を感じました。 (西村友宏)

33.八重桜揺れて濃淡鮮やかに/西村友宏
八重桜が咲くころは日差しもぐんと強くなります。重たげに豊満に咲く八重桜の花が風にゆられる様子を「濃淡鮮やか」ととらえられ、新鮮です。 (多田有花)

37.春深し白き小花の街に満つ/川名ますみ
可憐なこでまりや雪柳などの白い花が咲き満ちてそよ風に揺れる街に出ると、心も軽く春の深まりが実感されますね。 (柳原美知子)

12.葉桜の作る日陰に長き列/高橋秀之
27.刈られゆく麦の香一日風に乗り/柳原美知子

【入選/10句】
01.満緑の中に沈みて昼寝かな/小口泰與
満緑の庭に置かれた座り心地のよい肘掛け椅子が想像されます。その椅子に身を沈めみどりの風に身をまかせての昼寝。至福のひとときですね。 (柳原美知子)

08.亀鳴くやゆるき日暮れの待ち合わせ/弓削和人
日長となった春の夕暮れになりきらない頃の待ち合わせ。こんな時には亀が鳴くのではと思うようなのどかで楽しいひとときです。 (柳原美知子)

15.断崖を目指すが如き卯波かな/廣田洋一
「卯波」の季語をよく研究されていて、「断崖」と「卯波」の取り合わせて、画のような景色が生まれている。ただ「如き」が惜しい。例えば添削例として「断崖を目指して迅(はや)き卯波かな」のように、具体的に卯波を写生されるとよいと思う。(髙橋正子)

16.老の声漁の話を初夏の浜/吉田 晃
熱心に夏の浜辺で聞きいっている若者がいます。(祝 恵子)

17.鎌研げば軽くなる風麦畑/吉田 晃
麦刈りに備えて鎌を研ぐと吹く風も軽くなっている。いよいよ収穫の時がきた。無事に麦が育ち収穫を迎える喜びが感じられます。 (柳原美知子)

19.短夜を夜通し風の吹き通し/多田有花
夜に窓を開く時期になりました。夜通し吹き通す風に季節感が溢れてます。(髙橋秀之)

31.箸先に弾力伝わる初鰹/西村友宏
初鰹の身は、固く締まっていてしかも弾力がある。これを箸先に伝わると詠んで、引き締まった鰹の旨さを上手く表現した。 (廣田洋一)

02.庭にきて静寂を砕く時鳥/小口泰與
11.初蝶がひらりと肩にタッチ/高橋秀之
14.土手道を走る親子や薄暑光/廣田洋一

■選者詠/髙橋正子
28.啄木鳥の鳴く声若葉の奥深く
初夏の森の奥深くから啄木鳥の鳴き声が聞こえてくる。秋に木の幹を叩いては餌を探すあの音ではなく、若葉の奥で鳴く声である。啄木鳥の森は瑞々しい若葉に囲まれ、その声が瑞々しく聞こえているのだろう。 (吉田晃)

30.夏の蝶遺影の夫の変わらずに
夏の蝶は大きく、時に、天からの遣いのように映ります。その影に促されて遺影を仰げば、いつものご夫君の姿。遺影が変わらないのは当然ですが、それに驚きを覚えるほど、時の流れを感じられたのでしょう。 (川名ますみ)

29.発車して旅に出るごと栃の花

■選者詠/髙橋句美子
34.黄菖蒲の川の流れに満開に/髙橋句美子
流れに映る黄菖蒲も美しく、風の音清らかな水音も聞こえてくるような爽やかな初夏の景色です。 (柳原美知子)

36.鯉のぼり喜ぶ声がどこからか
鯉のぼりは誰が見ても楽しく心を躍らせてくれます。どこらか聞こえる喜ぶ声もきっと弾んだ明るい声でしょう。(髙橋秀之)

35.同窓会写真に映る八重桜

互選高点句
●最高点句(7点)
23.田に水の満る音して五月に入る/祝恵子
集計:髙橋正子

※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■5月月例ネット句会清記■

■5月月例ネット句会清記■
2024年5月12日
39句(13名)

01.満緑の中に沈みて昼寝かな
02.庭にきて静寂を砕く時鳥
03.ほめられて香水の名あかすなり
04.茉莉花の紅のつぼみや雨予報
05.竹皮を脱ぐや至れり薮の空
06.美味しそうな新緑なりぬ在所かな
07.僚友と一宿一飯さくら餅
08.亀鳴くやゆるき日暮れの待ち合わせ
09.一日を終えし雲かも鳥帰る
10.帰省の子迎えるように鯉のぼり

11.初蝶がひらりと肩にタッチ
12.葉桜の作る日陰に長き列
13.青梅を踏んでしまいし石畳
14.土手道を走る親子や薄暑光
15.断崖を目指すが如き卯波かな
16.老の声漁の話を初夏の浜
17.鎌研げば軽くなる風麦畑
18.湧水の波紋に砂のゆれる初夏
19.短夜を夜通し風の吹き通し
20.はつなつの稜線に雲湧き初めし

21.通学す青葉若葉の下の道
22.朝一番眺める鉢のメダカの子
23.田に水の満る音して五月入る
24.夏近し鉢柿枝の伸びを切る
25.エプロンのポケットに摘む豌豆の香
26.山映す代田に沿いて廃校まで
27.刈られゆく麦の香一日風に乗り
28.啄木鳥の鳴く声若葉の奥深く
29.発車して旅に出るごと栃の花
30.夏の蝶遺影の夫の変わらずに

31.箸先に弾力伝わる初鰹
32.旧友と再会祝す八重桜
33.八重桜揺れて濃淡鮮やかに
34.黄菖蒲の川の流れに満開に
35.同窓会写真に映る八重桜
36.鯉のぼり喜ぶ声がどこからか
37.春深し白き小花の街に満つ
38.白山吹寄らんとすれば既に散る
39.つぶつぶと銀杏並木に木の芽張る

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

■5月月例ネット句会ご案内■

■5月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠
5月6日(月)午前6時~6月12日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:5月12日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:5月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、5月13日(月)正午~5月16日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏