2022年月例ネット句会最優秀作品決定
廣田 洋一:① ⑥ ⑪
桑本栄太郎:① ⑧ ⑫
弓削 和人:② ④ ⑪
祝 恵子:④ ⑦ ⑪
小口 泰與:⑥ ⑧ ⑪
多田 有花:④、⑤、⑥
柳原美知子:④ ? ⑪
吉田 晃:③ ⑥ ⑦
川名ますみ:③、⑨、⑪
髙橋句美子:① ⑥ ⑪
2022年月例ネット句会金賞作品
四月 ④客船に舞いこむ桜陽が照らす 高橋秀之
五月 ⑤住み古りし家に別れ来夕牡丹 柳原美知子
六月 ⑥連山を映し色濃き青田かな 桑本栄太郎
七月 ⑦合歓咲いてはるか島なみ青湛え 柳原美知子
八月 ⑧近況を語り合いたる盆の客 多田有花
九月 ⑨ふるさとの最後のひとつ梨を剥く 桑本栄太郎
十一月⑪初冬の薔薇みずいろの空に向き 多田有花
12月ネット句会を終えて/ご挨拶
■12月月例ネット句会/入賞発表
■2022年12月例ネット句会■
■入賞発表/2022年12月11日
【金賞】
27.布団干す晴れ渡る日の午餐どき/高橋秀之
「午餐どき」に家族の暮らしの姿が見えて、全てを温和に包こんでくれるような句。よく晴れた日曜日だろうか、午餐どきになってのんびり布団を干す。家族がそれぞれに、過ごして、ゆるく繋がっている家族像が見える。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
17.傘深くさして枯葉の吹く道を/吉田 晃
吹き降りがひどいのであろう。枯葉を吹く風が、雨を斜めに降らせる。濡れないように傘に深く身を入れて道を歩く。今は吹き降りの暗さのただ中にあるが、その先に必ずや明るさがあることが信じさせてくれる句。(髙橋正子)
31.小雪の朝日へつぎつぎ子ら登校/柳原美知子
ちらほら雪が舞ってもよさそうな日。そんな日も朝日は元気よく昇り、つぎつぎに登校してくる子供たちを輝かせている。昔から変わらぬ冬の朝の登校風景でありながら、「小雪」の日は、特別な光景に見える。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
01.みどり子の生誕待たる十二月/桑本栄太郎
十二月のみどり子の生誕は、イエス・キリストの生誕。今イエスがこの世に生誕するのを人々と共に心待ちにする気持ちがリアルである。(髙橋正子)
15.裸婦坐像銀杏落葉に囲まれて/多田有花
裸婦座像の周りに銀杏落葉が降り敷いている。銀杏落葉によって裸婦座像に想いが生まれてくるようだ。芸術的な風景に人はなにがしか、心が動く。(髙橋正子)
39.からからと笑うヘルパー小春風/川名ますみ
介護を受ける身となれば、ペルパーさんが明るい方であるといい。前向きに明るい方へ事が運ぶ感じがする。小春風のようなヘルパーのからから笑う声がいい。(髙橋正子)
12.冬の草触りて息吹感じたり/廣田洋一
冬なお青く、枯残った草が目に染みる。青々とした草が力つよさを感じさせてくれる。(小口泰與)
春に向けて、生命力の躍動を秘めている冬草。観ているだけではなく、触れることで感じ取れる何かを大切にしている。(弓削和人)
23.大学の銀杏黄葉の坂なせり/髙橋正子
大学の銀杏大樹の黄葉が降り輝く坂道。様々な青春時代に思いを馳せつつ、落葉を踏みしめて歩く温かいひとときです。(柳原美知子)
17.傘深くさして枯葉の吹く道を/吉田 晃
27.布団干す晴れ渡る日の午餐どき/高橋秀之
31.小雪の朝日へつぎつぎ子ら登校/柳原美知子
39.からからと笑うヘルパー小春風/川名ますみ
【髙橋正子特選/7句】
07.朝明けや空までつづく道に冬/弓削和人
朝一番に仰ぐ空。今日は冬の雲におおわれている。その空まで続いているような登り坂の道も白く冷気が漂っているようだ。本格的な冬の到来に身を引き締める詠者が想像されます。(柳原美知子)
15.裸婦坐像銀杏落葉に囲まれて/多田有花
美術館の広い中庭だろうか。銀杏の葉が像の周りを黄色く埋めている。その真ん中に膝を崩した裸婦の座像がうつむき加減にある。行く秋に溶け込んで物思いに耽っている静かな姿を想像します。 (吉田晃)
21.升で豆量り売りする冬テント/祝 恵子
師走となり、お節料理のための豆類が売られ、活気づく出店。寒さの中にも生き生きと温かい生活のひとこまです。句のリズムもよく明るさを感じます。 (柳原美知子)
34.クリスマス街の光が夜空へと/高橋句美子
クリスマスの電飾で華やぐ街。その光が夜空にも投影され、幻想的な闇が浮かびあがります。日常とは異なったこの時期の都市の空間を楽しみながらの帰宅です。(柳原美知子)
11.探し出し子らに見せたる竜の玉/廣田洋一
27.布団干す晴れ渡る日の午餐どき/高橋秀之
31.小雪の朝日へつぎつぎ子ら登校/柳原美知子
02.着水の長き飛沫や鴨来たる/桑本栄太郎
鴨がスムーズに着水する一瞬の出来事を的確に捉えていると感じました。(西村友宏)
04.霜の朝連山我に迫り来る/小口泰與
山に囲まれた土地の冷え込んだ早朝の厳しくも清々しい空気が感じられます。 (多田有花)
朝の山の厳かな雰囲気に偉大さを思います。 (髙橋句美子)
06.昭和の血湧かせ唄うや年忘/小口泰與
忘年会で、歌をうたうとなると、独唱であれ、合唱であれ、歌いなれた昭和の歌を唄うことになる。血湧かせ唄うと、熱唱ぶりを表したのが上手い。 (廣田洋一)
14.薄日差す師走の城を仰ぎおり/多田有花
なにかとあわただしい師走。気がせく日常も仰ぎ見る城は変わらぬ風情を保っている。そんなお城が薄日が差しこむとより悠然と感じ、落ち着きを呼び戻してくれる気がします。(高橋秀之)
20.詰め放題からつき牡蠣を袋詰め/祝 恵子
物価高の歳末です。詰め放題、しかも牡蠣となるとうれしいですね。この日の夕食の献立は牡蠣に決まりです。(多田有花)
25.百万の電飾冬の御堂筋/高橋秀之
御堂筋は大阪梅田より難波まで続く幅44メートルの大阪の基幹道路である。その沿道には大きなビルが立ち並び、ビジネスや商業の中心をなして居る。冬の今頃の時季ともなれば、百万とも云うべき電飾で飾られ、寒さの中にも冬の風物詩として著名である。その景色をすべて名詞で詠われて居り、如何にも冬の街並みの風情が表された。 (桑本栄太郎)
30.新しきペンが滑らか冬の朝/西村友宏
新しい万年筆、少し張り込んで買われたものか、それとも贈り物でいただかれたものか。いずれにしても、ペンの滑らかさは弾む心を表しています。(多田有花)
35.ポインセチア軽き葉色を師へ選ぶ/高橋句美子
クリスマスの季節に欠かせぬポインセチア。赤々しいポインセチアではなく軽き葉色を選ぶ心が優しさを感じます。(高橋秀之)
38.日向ぼこ猫がそうしていた部屋で/川名ますみ
猫が日向ぼこしていた部屋。暖かく日が当たる部屋、今は一人で猫といるような気持になりうとうとしてきました。 (祝恵子)
猫は暖かい場所をよく知っています。猫のいた部屋はきっと暖かい。なので、日向ぼこには最適の部屋なのです。 (高橋秀之)
さっきまで猫がそこで気持ちよさそうに昼寝をしていました。そこで同じようにゆったりと過ごされます。猫がお好きな作者の思いがあふれています。(多田有花)
05.ダム湖へと沈みし村や返り花/小口泰與
08.浮かび咲く八手の花や夕の空/弓削和人
13.城まで歩く銀杏落葉の散る道を/多田有花
18.秋がゆく灯影に白き蛾の戯れ/吉田 晃
19.露草の紫色を溜めて冬/祝 恵
26.絶え間なく続く白波冬の海/高橋秀之
32.子が引いて作りし今朝の蕪のスープ/柳原美知子
37.眉墨をやや長くひく今朝の冬/川名ますみ
■選者詠/髙橋信之
のちほど。
22.青空にきよらかなりて枯木立
23.大学の銀杏黄葉の坂なせり
24.包まれてずっしり白菜のかたち
■互選高点句
●最高点(同点3句/4点)
02.着水の長き飛沫や鴨来たる/桑本栄太郎
25.百万の電飾冬の御堂筋/高橋秀之
38.日向ぼこ猫がそうしていた部屋で/川名ますみ
集計:髙橋正子
■12月月例ネット句会清記■
2022年12月11日
13句(39名)
01.みどり子の生誕待たる十二月
02.着水の長き飛沫や鴨来たる
03.ふるさとの海鳴り想う寒波かな
04.霜の朝連山我に迫り来る
05.ダム湖へと沈みし村や返り花
06.昭和の血湧かせ唄うや年忘
07.朝明けや空までつづく道に冬
08.浮かび咲く八手の花や夕の空
09.冬海に雲段段や波の花
10.道草を食わずに帰る漱石忌
11.探し出し子らに見せたる竜の玉
12.冬の草触りて息吹感じたり
13.城まで歩く銀杏落葉の散る道を
14.薄日差す師走の城を仰ぎおり
15.裸婦坐像銀杏落葉に囲まれて
16.ストーブの古びて首ふる小さな音
17.傘深くさして枯葉の吹く道を
18.秋がゆく灯影に白き蛾の戯れ
19.露草の紫色を溜めて冬
20.詰め放題からつき牡蠣を袋詰め
21.升で豆量り売りする冬テント
22.青空にきよらかなりて枯木立
23.大学の銀杏黄葉の坂なせり
24.包まれてずっしり白菜のかたち
25.百万の電飾冬の御堂筋
26.絶え間なく続く白波冬の海
27.布団干す晴れ渡る日の午餐どき
28.冬晴れや人が群がる豚汁屋
29.鯛焼きの餡子ふくら頬緩む
30.新しきペンが滑らか冬の朝
31.小雪の朝日へつぎつぎ子ら登校
32.子が引いて作りし今朝の蕪のスープ
33.髪切って11月果つ街の灯に
34.クリスマス街の光が夜空へと
35.ポインセチア軽き葉色を師へ選ぶ
36.寒風を避けつつ乗り換え駅急ぐ
37.眉墨をやや長くひく今朝の冬
38.日向ぼこ猫がそうしていた部屋で
39.からからと笑うヘルパー小春風
※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。