■入賞発表/4月月例ネット句会■


■2019年4月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年4月15日

【金賞】
03.花見船声もろ共に降ろしけり/小口泰與
「花見」のいい風景を捉えた句だ。上五の「花見船」が一句の主題で、「声もろ共に降ろしけり」と一気に詠み終えたところが見事で、本人の日頃の精進を称えたい。(高橋信之)

【銀賞/2句】
05.船点々と春の海の輝きに/多田有花
春の海に、点々と船が浮かんでいる。きらきらと日を返す春の海に船もまた、海のかがやきの一つとなっているのだ。(高橋正子)

25.退勤の道が葉桜の並木/高橋句美子
いい生活句だ。句の冒頭に置いた「退勤の道」に作者の姿を見る。リアルな表現で身近な生活を見事に詠みあげた。(高橋信之)

【銅賞/3句】
13.逆上がり初めてできて風光る/西村友宏
下五に置いた季語の「風光る」がいい。中七の「初めてできて」に作者の思いが率直に、そしてはっきりと読み手に伝わってくる。(高橋信之)

24.夕づきて桜一樹の浮かびくる/柳原美知子
だんだん日暮れが近くなる、つまり「夕づく」と、白い桜の一樹が、黄昏の中に浮かび上がってくる。「夕づく」という美しい言葉を得て、桜一樹が一段と美しい景色となった。(高橋正子)

17.おじきするしぐさ可愛や仏生会/祝恵子
仏生会にお参りにきた子どものお辞儀をする姿が可愛らしく思えた。おそらく、きちんとお辞儀をして、それが、あまりに可愛いのだ。誕生仏を前にしての微笑ましい光景だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
13.逆上がり初めてできて風光る/西村友宏
逆上がりが初めてできた嬉しさに春の光が一層輝き、鉄棒にも仰ぎ見る空にも「風光る」が実感される記念すべき日となりました。(柳原美知子)

17.おじきするしぐさ可愛や仏生会/祝恵子
晴れ着で着飾った女の子が両親に連れられて4月8日のお釈迦様の誕生日にお釈迦をお参りする仏性会の様子を素敵に咏った素敵な句ですね。 (小口泰與)

12.ブラックホール遠くに隠す春の雲/廣田洋一
のどかな春の雲が浮かんでいるけれど、遥かかなたの宇宙には、すべての物質を飲み込んでしまうブラックホールが隠れており、先日史上初の画像が公開されました。宇宙の神秘が思われます。 (柳原美知子)

27.固き地にたんぽぽの茎みな真直ぐ/高橋句美子
どんな土地にもたんぽぽは咲き、春を告げてくれます。絮が飛んだあとには、茎だけが直立して並んでおり、その生命力に驚かされます。 (柳原美知子)

03.花見船声もろ共に降ろしけり/小口泰與
05.船点々と春の海の輝きに/多田有花
25.退勤の道が葉桜の並木/高橋句美子

【高橋正子特選/7句】
19.桜蕊降るにまかせて寺への道/高橋信之
落花の残る寺院への道、桜蕊がはらはらと降りかかる中を、ゆっくりと春の光を浴びて歩かれるお姿が目に浮かび、惜春の思いが感じられます。 (柳原美知子)

24.夕づきて桜一樹の浮かびくる/柳原美知子
桜の樹がほの暗い中でも存在感を感じる句です。(高橋句美子)

03.花見船声もろ共に降ろしけり/小口泰與
05.船点々と春の海の輝きに/多田有花
14.学ランの匂い柔らか入学す/西村友宏
17.おじきするしぐさ可愛や仏生会/祝恵子
25.退勤の道が葉桜の並木/高橋句美子

【入選/8句】
09.きのふ見し花のあはれや今朝の雨/桑本栄太郎
昨日観た桜が今朝は雨に打たれている風情にあはれを感じた。「花のあはれ」が良い。(廣田洋一)

06.ため池に春の波たつ播磨かな/多田有花
この4月は寒暖の差が激しく、時には春北風の強くて冷たい風が吹く日々が何日もありました。ため池はいつもであればさざ波程度の所、大きな波が立ち、岸辺にたっぷんたっぷんと打ち寄せています。米所播磨の地名も入って、沢山のため池を想わせている。 (桑本栄太郎)

01.さえずりや利根本流の洋々と/小口泰與
坂東太郎と称される大河利根川、さえずりを配してその雄大な流れと春ののどかさを見事に表現しておられます。 (多田有花)

08.花に酔ふ同期四人や彦根城/桑本栄太郎
お城はいずこも桜の名所です。彦根城もそうなのでしょう。久しぶりに同期で集まってその桜を堪能されました。学生時代の桜の情景も脳裏に浮かんだことでしょう(多田有花)

23.はかまとれば猫も土筆を掴まんと/柳原美知子
つくしを採ってきて、下ごしらえをされています。ペットの猫がそばに寄ってきて、はずされたはかまにじゃれついているのでしょう。可愛らしい様子が浮かびます。(多田有花)

04.咲き初めし三葉躑躅に霰来る/多田有花
10.乾門また閉じられて春惜しむ/廣田洋一
15.昼休み缶コーヒーと春の空/西村友宏

■選者詠/高橋信之
19.桜蕊降るにまかせて寺への道
落花の残る寺院への道、桜蕊がはらはらと降りかかる中を、ゆっくりと春の光を浴びて歩かれるお姿が目に浮かび、惜春の思いが感じられます。 (柳原美知子)

20.入学の子が登る山花明かり
21.目の前を黄蝶飛びゆく日和かな

■選者詠/高橋正子
29.葉桜の若葉たる色かがやけり
家の周辺の山はヤマザクラが散り、若葉の色へと代わってきました。春の終わりを告げ夏へと向かう色彩です。いきいきとしたその色に輝く日差しがよく似合います。(多田有花)
待ち望んだ桜も終わり葉桜となってはいるが、若々しい色を輝かせていて、これもいいものですね。(祝恵子)

28.冷え冷えと花散る晴れていたるとも
30.藤蕾房のかたちに伸びいたり

■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
24.夕づきて桜一樹の浮かびくる/柳原美知子
13.逆上がり初めてできて風光る/西村友宏

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■4月月例ネット句清記■


■4月月例ネット句清記
2019年4月14日
10名30句

01.さえずりや利根本流の洋々と
02.春耕や利根の恵みを賜りし
03.花見船声もろ共に降ろしけり
04.咲き初めし三葉躑躅に霰来る
05.船点々と春の海の輝きに
06.ため池に春の波たつ播磨かな
07.満ちてなほ散るべく想ふ花あはれ
08.花に酔ふ同期四人や彦根城
09.きのふ見し花のあはれや今朝の雨
10.乾門また閉じられて春惜しむ

11.烏鳴けど時計は鳴らず大朝寝
12.ブラックホール遠くに隠す春の雲
13.逆上がり初めてできて風光る
14.学ランの匂い柔らか入学す
15.昼休み缶コーヒーと春の空
16.春灯しターンテーブルの紹興酒
17.おじきするしぐさ可愛や仏生会
18.春寒し背すじ伸ばせと風のいう
19.桜蕊降るにまかせて寺への道
20.入学の子が登る山花明かり

21.目の前を黄蝶飛びゆく日和かな
22.青麦畑はしる朝風窓に鳴る
23.はかまとれば猫も土筆を掴まんと
24.夕づきて桜一樹の浮かびくる
25.退勤の道が葉桜の並木
26.春霞都心のビルが遠ざかる
27.固き地にたんぽぽの茎みな真直ぐ
28.冷え冷えと花散る晴れていたるとも
29.葉桜の若葉たる色かがやけり
30.藤蕾房のかたちに伸びいたり

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

●4月月例ネット句会投句ご案内●


●4月月例ネット句会投句ご案内●
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2019年4月7日(日)午前6時~2019年4月14日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:4月14日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:4月15日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、4月15日(月)正午~4月18日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之