■2016年端午ネット句会■
■入賞発表/2016年5月5日
【金賞】
★パレードの青き空飛ぶ夏つばめ/佃 康水
青空の下をにパレードの行進がほがらに進む。夏が来たばかりの青い空をつばめがパレードをかすめるように飛ぶ。浮き浮きする光景だ。(高橋正子)
【銀賞2句】
★大空に雲なき朝の鯉のぼり/高橋秀之
朝の大空には雲が一つもなく、鯉のぼりがさわやかに泳いでいる。おおらかで、さっぱりとした句だ。その句意は、そのまま男の子にも望みたい精神だ。(高橋正子)
★菖蒲の葉八百屋のバケツに青々と/高橋句美子
八百屋に、端午の節句用の菖蒲が青々と売られている。菖蒲を売るための入れ物は、バケツで間に合わせているが、菖蒲とバケツの取り合わせが庶民的で、誰もが、邪気を払い健康を願うにふさわしい。(高橋正子)
【銅賞3句】
★盛り上がりもりあがり咲くモッコウバラ/祝恵子
モッコウバラは、棘がなく、小さな可憐なクリーム色の花を咲かせる優しい花だ。白い花もあるが、どちらの花も旺盛に蔓をのばし、花を「もりあがる」ようにつけて美しい。旺盛な花の生命力は、やはり、夏のものだ。(高橋正子)
★鯉幟尾をつかまんと子ら跳ねる/廣田洋一
鯉幟を立ててもらった子らは、風に泳ぐ鯉幟の尾を捕まえようと、飛び跳ねる。吹かれれば吹かれるほど、しっぽを掴みたくなるのだ、子供だ。鯉幟に無邪気に遊ぶ子らが健やかだ。(高橋正子)
★ポケットに豌豆ずっしり持ち帰る/井上治代
畑に植えた豌豆が収穫できるようになった。少し摘むつもりだったのだろうが、たくさん莢を付けた豌豆をついつい摘んで、エプロンのポケットだろうか、「ずっしり」となるほど摘んで持ち帰った。うれしい収穫だ。(高橋正子)
【高橋信之特選/7句】
★せせらぎにカエル探して子らの声/河野啓一
一昔前は普通の光景だったですが、今は珍しい光景となりました。自然の風情を思い出しました。(高橋秀之)
さらさらと流れる川で遊んでいる子ども達。「カエル見ーつけた」と言っている明るい声が青空へ響いています。この子ども達の未来が明るく輝いてほしいと思いました。(井上治代)
★鯉幟尾をつかまんと子ら跳ねる/廣田洋一
幼稚園か保育園でしょうか。節句の行事でのほほえましい光景が目に浮かぶようです。 (河野啓一)
★盛り上がりもりあがり咲くモッコウバラ/祝恵子
★綱張って吹かれ吹かれる鯉のぼり/高橋正子
★大空に雲なき朝の鯉のぼり/高橋秀之
★菖蒲の葉八百屋のバケツに青々と/高橋句美子
★ポケットに豌豆ずっしり持ち帰る/井上治代
【高橋正子特選/7句】
★菖蒲の葉八百屋のバケツに青々と/高橋句美子
つんと伸びた青々とした菖蒲の葉、店先で私も見かけました。 (祝恵子)
★雨粒を抱きてばらの咲きはじむ/祝恵子
ばらの種類は様々で色彩的にも豪華なものが多いですね。雨粒を抱けばそのばらの色を透かせて、瑞々しくまた美しく真珠の様に光っています。これからがばらの最盛期となり楽しみですね。(佃 康水)
薔薇に限らず、花は咲く前に大きく膨らむ。その時に降った雨粒を抱いて弾きながら開花する瞬間を切り取った美しい句です。 (廣田洋一)
★あやめ直立して遠からず近からず/高橋信之
あやめは緑色の剣状の葉の間から40~50センチの茎を伸ばして紫や白の花を咲かせますが、花茎が長いので直立している様にも見えます。恐らく手入れが行き届いた場所と思われますので、むやみに近づくことも出来ない。しかし鑑賞するには程ほどの距離に有って、さぞ美しいあやめをご覧になられたことでしょう。(佃 康水)
★玉ねぎの香りとともに掘り起こす/古田敬二
新玉ねぎの収穫の時期になって参りました。掘り起こすと玉ねぎ独特の香りがして、元気になる様な気が致します。私たちにとっても玉ねぎは貯蔵も効くので年間を通しての貴重な食品です。掘り起こす玉ねぎの香りに収穫の喜びが伝わって参ります。(佃 康水)
★大空に雲なき朝の鯉のぼり/高橋秀之
★パレードの青き空飛ぶ夏つばめ/佃 康水
★ポケットに豌豆ずっしり持ち帰る/井上治代
【入選/8句】
★あちこちにゆったり泳ぐ鯉のぼり/迫田和代
あちらこちらに鯉のぼりがゆったりと泳ぎ、さわかかな天気がつづく。日本な日本に子供たちがすくすく育つことを願う。(高橋正子)
俳句のお蔭であちこちの鯉のぼりがゆったりと泳いでいるのが目に入り嬉しくなりますね。子供たちの元気な成長を願うばかりです。作者の平穏な温かい眼差しが見えて参ります。(佃 康水)
★夏は来ぬ瀬戸に白帆のつぎつぎと/河野啓一
新緑の心地よい季節に南風が緑の上、水の上を渡って匂うような爽やかな瀬戸の海を白い帆に風をいっぱいに含んだヨットが次々に走っている素敵な景ですね。(小口泰與)
丘から見下ろす瀬戸内海。どこからともなくヨットが次々に増えて浮かぶ。青空と紺碧の瀬戸内海の初夏の風景が鮮やか。 (古田敬二)
★筍の柔らかさ噛み母の味/高橋句美子
昨日我が家は筍ごはんだったが旬を味わいました。お母さんの炊かれた筍の味をなつかしく思い出されているのだろう。初夏の季語に筍が効いていると思いました。(満天星)
★つる薔薇の翳なす庭に茶の用意/高橋正子
手入れの行き届いたつる薔薇でしょうか?フェンスに這わせ,可愛い花のアーチ等もよく見かけます。沢山の花で翳をなしている庭に、「どうぞゆっくり観て下さい」とおもてなしのお茶まで用意して有るのでしょうか?花を大事にされる心豊かな住人に、見せて頂く側の人達も心が温まります。(佃 康水)
★眠き児へ父膝枕こどもの日/ 佃 康水
こどもの日の家族そろってお出掛けの光景であろうか?電車、バスの中でも子供は眠たくなり、父親がそっと膝枕のようである。子供にとってお父さんの優しい想い出となる事でしょう。 (桑本栄太郎)
★菖蒲葺く軒の低さよ藁の屋根/ 桑本栄太郎
端午の節句に、屋根に菖蒲の葉をたばねて載せて厄除け祈念すると聞いたことがありますが、藁葺きの低い屋根であってこそなのですね。古来の風習の由来を有り難く納得できました。(河野啓一)
★はこべらに子山羊の瞳めんこいよ/小口泰與
春から初夏にかけて野山でスキップでもしている気分にさせられます。童謡を歌っているような愉しい一句です。(河野啓一)
★ブラシの花が赤く咲き夏は来ぬ/谷口博望(満天星)
ブラシの花は、目にしたことのない方が多いかもしれないが、試験管ブラシのような形状の赤い花で、南国の雰囲気が漂う。青空にこの花が揺れるとと「夏は来ぬ」という思いになる。(高橋雅子)
■選者詠/高橋信之
★水芭蕉の白の世界へためらい入る
昔、北海道網走湖畔で野道を歩いていて水芭蕉の群落に出合いました。その時の詩情と感激を想い出しました。まさに「ためらい入る」という気持ちで、自然の素晴らしさと秘やかさに畏敬の念を抱きます。(河野啓一)
★あやめ直立して遠からず近からず
あやめは緑色の剣状の葉の間から40~50センチの茎を伸ばして紫や白の花を咲かせますが、花茎が長いので直立している様にも見えます。恐らく手入れが行き届いた場所と思われますので、むやみに近づくことも出来ない。しかし鑑賞するには程ほどの距離に有って、さぞ美しいあやめをご覧になられたことでしょう。(佃 康水)
★寺苑に咲いているあやめの縞模様
■選者詠/高橋正子
★つる薔薇の翳なす庭に茶の用意
手入れの行き届いたつる薔薇でしょうか?フェンスに這わせ,可愛い花のアーチ等もよく見かけます。沢山の花で翳をなしている庭に、「どうぞゆっくり観て下さい」とおもてなしのお茶まで用意して有るのでしょうか?花を大事にされる心豊かな住人に、見せて頂く側の人達も心が温まります。(佃 康水)
★薔薇垣の二軒に早き朝が来る
★綱張って吹かれ吹かれる鯉のぼり
■互選高点句
●最高点句(6点)
★09. 夏は来ぬ瀬戸に白帆のつぎつぎと/河野啓一
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
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