NEW■11月月例ネット句会入賞発表■

■11月月例ネット句会入賞発表■
2025年11月9日(日)
【金賞】
34.縺れあう黄蝶のふたつ天高し/川名ますみ
「天高し」によって、黄蝶は空の高みの、その青さの中にいることがわかる。空の青に紛れず、二つの蝶が軽やかに縺れあっている。
「ふたつ」は可憐な蝶をイメージさせてくれる。どの言葉も吟味され、詩のある句となっている。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
01.バス停の夜の静寂や金木犀/桑本栄太郎
「バス停の夜の静寂」が、金木犀の特別感を出している。バス停近くの住宅に金木犀があるのだろう。金木犀の匂いが夜の静寂に沁み込んでいくようだ。(髙橋正子)

29.草原に青き輝き竜胆咲く/多田有花
草原に竜胆が咲いているのを見つけた。竜胆は、思わず「青き輝き」を心で叫ぶほど可憐な青い花だったのだ。私は阿蘇で草の中に、それも足元に竜胆を見つけたとき、まさに、このような感じだった。あれから、50年近くになるだろうが、いまだにその花を覚えている。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
12.月満ちてあたり一面虫の声/友田 修
満月のひかりが、辺りを照らし、一面に鳴く虫の声を澄み透らせている。月と虫の声の織り成す、秋夜の満ち足りた時である。(髙橋正子)

24.柿落葉ひと葉ひと葉に色残し/藤田洋子
柿落葉は、ひと葉にいろんな色があるが、また別のひと葉ひと葉を見ても、その色彩は印象深い。落ちて間もない葉には、十分色が残っている。(髙橋正子)

25.風の穂に止まるとんぼの軽い赤/吉田 晃
「軽い赤」がとんぼの軽やかさを言い得ている。風に揺れている稲穂にとんぼが来て、つっと止まった。とんぼの動作がいかにも軽やかなのだ。「軽い赤」はそれから来ていると言えよう。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
01.バス停の夜の静寂や金木犀/桑本栄太郎
金木犀は住宅地の中にその香りが漂ってきて気が付くことが多いです。帰宅時にバスを降りてバスが去り、あたりに静けさが戻ったとき、
ふと金木犀の香りに気づかれた、その瞬間を詠まれています。(多田有花)

24.柿落葉ひと葉ひと葉に色残し/藤田洋子
紅葉する落葉の中でも柿落葉は赤、黄色、緑、青、紫などがあります。そして中には虫喰いもあり、一番変化に富みそれぞれひと葉ごとに変化があり、見ていても飽きが来ませんね!(桑本栄太郎)
落ち葉となり、一生を終えた柿の葉も、その一葉ごとにそれぞれ異なる色を残している。人の人生も同じかな。人それぞれの色がきっと残っていくと信じたい。(友田修)

28.朝霧の晴れ一面の芒原/多田有花
朝霧がぱっと晴れて、広がった一面の芒にハッとする情景が想像されました。秋の高原の清々しさが感じられました。(土橋みよ)
立ち込める霧も晴れ、朝の日が差す芒原の清々しい光景。霧に濡れる一面の芒もみずみずしい美しさです。(藤田洋子)

12.月満ちてあたり一面虫の声/友田 修
25.風の穂に止まるとんぼの軽い赤/吉田晃 
29.草原に青き輝き竜胆咲く/多田有花
34.縺れあう黄蝶のふたつ天高し/川名ますみ

【入選/15句】
22.水底に日差し朽葉の散らばりに/藤田洋子
水の底まで日が差すと、腐ってぼろぼろになった落葉が見えました。朽葉といえども、色や形が顕わになることで、その命を再認識します。「散らばり」ということばから、葉が自ら散っていったような、能動的な明るさを感じました。(川名ますみ)

32.礫浜に白波砕ける秋の朝/上島祥子
晩秋から初冬にかけて、波は荒くなっていきます。磯浜に打ちつける白波、波音に季節の移ろいを感じます。(高橋 秀之)

36.シチューからスパイス香る今朝の冬/川名ますみ
立冬の日の夕食はぐつぐつとシチューを煮込む。ローリエやペッパーなどスパイスの香りが食欲をそそり、体の芯から温まって、冬の到来が実感されます。新たな季節を楽しんで迎えられるお心持ちが伝わってきます(柳原美知子)

04.棘光る鈴なりの柚子に朝日差し/土橋みよ
08.紅葉が空の青さを引き立てる/高橋秀之
11.曼珠沙華妖しい光を連れてくる/友田 修
13.富士山のくっきり見ゆる小春かな/廣田洋一
14.ひとしきり落葉時雨を浴びにけり/廣田洋一
19.足湯する道後の空には鰯雲/柳原美知子
20.小鳥来て声澄む道後の子規像に/柳原美知子
21.はじめてと嫁栗飯を作りくれ/柳原美知子
23.古代蓮枯れきるまでを水に照り/藤田洋子
26.すする茶の音の軽さよ冬に入る/吉田 晃
27.逝く秋の風の心地を満身に/吉田 晃
30.立冬の月くっきりと宵の空/多田有花

■選者詠/髙橋正子
17.オリオンの星をたしかに星月夜
今の時期オリオン座が昇る時間は遅く、慌ただしい一日を過ごした夜更けに出会います。澄み渡る静寂の秋の夜空に、冬が近づいて来た合図を受けた心地がします。美しい景色です。(上島祥子)
「たしかに」の表現によって、オリオンのひときわ明るく強く輝いている存在の大きさが表現されているだけでなく、満天の星の存在の強さ、大きさをも感じさせてくれ、目の前に星月夜を見ている気になってきた。(吉田 晃)

16.今朝の冬病み臥す窓に外の光 
18.初紅葉電車のわれを誰知らず 

互選高点句
●最高点句(8点)
28.朝霧の晴れ一面の芒原/多田有花

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

 

NEW■11月月例ネット句会清記■

■11月月例ネット句会清記■
2025年11月9日
36句(12名)
※句会での句の前書きについて
句会では、ふつう投句に前書きをつけません。これまで、ネット句会の特性上、前書きのある句には、前書きをつけたまま清記に記載しておりました。他の句会に参加されることもあると思いますので、句会の慣例に従い、前書きを外しました。

01.バス停の夜の静寂や金木犀
02.緋の色のアメリカ楓の紅葉かな
03.あおぞらにさくら紅葉や仰ぎ見る
04.棘光る鈴なりの柚子に朝日差し
05.窓越しのどろぼう草や子らの声
06.秋麗や郵便バイク来る時分
07.出勤前妻とみかんを半分こ
08.紅葉が空の青さを引き立てる
09.朝礼で冬が来ると空を指し
10.窓辺から聴く秋風に色を見る

11.曼珠沙華妖しい光を連れてくる
12.月満ちてあたり一面虫の声
13.富士山のくっきり見ゆる小春かな
14.ひとしきり落葉時雨を浴びにけり
15.群れ雀落穂啄む小さき田
16.今朝の冬病み臥す窓に外の光 
17.オリオンの星をたしかに星月夜
18.初紅葉電車のわれを誰知らず
19.足湯する道後の空には鰯雲
20.小鳥来て声澄む道後の子規像に

21.はじめてと嫁栗飯を作りくれ
22.水底に日差し朽葉の散らばりに
23.古代蓮枯れきるまでを水に照り
24.柿落葉ひと葉ひと葉に色残し
25.風の穂に止まるとんぼの軽い赤
26.すする茶の音の軽さよ冬に入る
27.逝く秋の風の心地を満身に
28.朝霧の晴れ一面の芒原
29.草原に青き輝き竜胆咲く
30.立冬の月くっきりと宵の空

31.礫浜の路行き止まる秋の波
32.礫浜に白波砕ける秋の朝
33.秋望を母と天険親不知
34.縺れあう黄蝶のふたつ天高し
35.お土産の芙蓉を両のてのひらに
36.シチューからスパイス香る今朝の冬

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

11月月例ネット句会ご案内/2025年

■11月月例ネット句会ご案内/2025年■New!
11月月例ネット句会を下記の通り開きます。ご参加くださいますよう、ご案内いたします。
期 日  :11月9日(日)
①投句:当季雑詠3句
    11月3日(月)午前6時~11月9日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
              ※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:11月9(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:11月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、11月10日(月)正午~
                 11月13日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

■10月月例ネット句会入賞発表■

■10月月例ネット句会入賞発表■
2025年10月13日
【金賞】
29.陽が沈む稲架の垂れ穂を赤く染め/吉田 晃
稲架に掛けられた稲穂に、沈む夕陽が差し、その穂を赤く染めている。「赤く染め」は、夕陽の赤さであり、稔りの豊かさや、あかるさ、うれしさなどを含んだ祝祭的な赤さなのだ。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
23.鹿の声長く響いて更けゆく夜/多田有花
「鹿の声」は、古来、日本の詩歌に多く読まれて、古典的なひびきを帯びている。声が「長く響いて」は、秋の夜のさびしさや「あはれ」の感情を呼び起こす。その声にますます秋の夜は更けてゆくのである。(髙橋正子)

14.瑠璃の光空にゆらして野ぶどう垂る/柳原美知子
野ぶどうが、瑠璃色の光をはなちて、空に垂れている。野ぶどうの色の美しさが、深まる秋を色彩的に彩っている。ぶどうの実だけでなく、黄葉している葉やあたりの様子が想像できる絵画的なよさのある句。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
08.リビングにすだちの香り夕餉待つ/高橋秀之
リビングで、夕飯ができるのを待っている。空腹のたのしい時間である。そこへ食欲をそそる、すだちの香りがしてくる。今夜の献立が想像できて、暮らしの幸福感があるのがいい。(髙橋正子)

21.新刊書積み上げ揃う帯さやか/藤田洋子
この句は、書店の光景とも読めるが、この新刊書はこの度洋子さんが出版されたたアンソロジーのことであろう。積み上げられた、新刊の図書の帯が揃って、美しさとなっている。さやかな美しさである。出版おめでとうございます。
「新刊書」を「新句集」とすれば、もっと自分の事として、読む人に訴えられたのはないかと思う。(髙橋正子)

34.秋晴れの高みを目指し一番機/上島祥子
今日の一番機が、秋晴れの空の高みを目指している。「高みを目指す」、「一番機」に作者の姿勢の正しさ、意志の高さが、すっきりと伝わってくる。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
08.リビングにすだちの香り夕餉待つ/高橋秀之
日毎に秋も深まり、そろそろ鍋料理の時季ですね?夕餉を待つリビングに、すだちの香りがして来ます。(桑本栄太郎)

11.秋彼岸小豆の煮ゆる音閑か/土橋みよ
ことことと小豆を煮るゆっくりとした時の流れ。その閑けさに、秋彼岸ならではの季節感、故人を偲ぶ心情がしみじみと感じられます。(藤田洋子)

14.瑠璃の光空にゆらして野ぶどう垂る/柳原美知子
瑠璃色の野葡萄の美しさ、言外の葉の碧さ、澄んだ空気、里山の秋の美しさを想像し、秋の美しさを十二分に表した句と思いました。(上島祥子

23.鹿の声長く響いて更けゆく夜/多田 有花
音が響いているにもかかわらず静けさを覚える、美しい句と思います。この季節、牡鹿の声は哀れを催すと云われます。遠くからそれが響く中、夜が深まってゆく。晩秋の寂しさと澄んだ空気を感じます。(川名ますみ)

29.陽が沈む稲架の垂れ穂を赤く染め/吉田 晃
秋の落日の牧歌的な景に、静けさと充実感、明日への祈りを感じます。じっと見ていたい光景です。(柳原美知子)
夕日の光が秋の収穫を祝しているような美しい情景が浮かびました。(西村友宏)

34.秋晴れの高みを目指し一番機/上島祥子
早朝なのでしょうか。1番機という響きがいいです。晴れ渡る秋空に向かって飛び立つ1番機。すごく素敵な旅を予感させてくれます。(高橋秀之)

21.新刊書積み上げ揃う帯さやか/藤田洋子

【入選/14句】
01.釣上げし木の葉山女の錆の色/小口泰與
渓流の女王と呼ばれるヤマメ。警戒心が強く難易度が高いそうですね。俊敏な動きに素早くあわせて釣り上げた瞬間の醍醐味が感じられます。(多田有花)

04.雲の共なくて孤光や月今宵
秋の夜空に雲がかかることなく輝く月の情景を、単に、雲がかかっていないと表現するのではなく「雲の共なくて」と表現し、月の輝きを「孤光や」と表現することによって、雄大な自然に触発されて現実の生活を想起させ、長い余韻を残すことを学びました。(土橋みよ)

10.秋空に薄煙立ち里近し/土橋みよ
心地よい秋風に吹かれて見知らぬ土地を散策することも楽しく、澄み切った秋空に薄煙が立ち昇るのを見つけると懐かしさと人恋しさを覚えもします。充実した秋の一日が想像されます。(柳原美知子)

12.心晴れまた歩く道に鰯雲/土橋みよ
気を取り直して歩く大空にひろがる鰯雲に、心も解放され勇気づけられます。心も新たに力強く踏み占める秋の道です。(柳原美知子)

13.供花挿せば竹春の風吹きわたる/柳原美知子
竹林に吹き渡る風の音の中、静かに花を備えてお参りする姿が対称的で、秋の物寂しさを感じます。(上島祥子)

15.お食い初め秋潮の紺窓に流れ
生命の始まりを祝うお食い初めの儀式と窓から見える紺色の海の構図が新鮮で驚きました。また、季語の「秋潮の紺」がとても美しく、「窓に流れ」が詩情を掻き立てることを学びました。(土橋みよ)

19.掛け声の空へ竿立つ秋祭り/藤田洋子
秋祭りの時期です。ようやく暑さも落ち着き田は刈り取りが終わりました。快晴の祭りの日、神社の幟が立ち、威勢のいい掛け声も響きます。
豊年の喜びが感じられます。(多田有花)

22.強風の一夜の過ぎて秋晴れに/多田有花
秋はとかく天候の変わりやすいもの。強風の続いたあとの朝空の安堵感に、ことさら澄んだ秋晴れの美しさが目に浮かび、明るい一日の始まりを感じます。(藤田洋子)

25.松手入れ鋏の音の歯切れ良く/廣田洋一
松手入れの歯切れのよいリズム音に、いかにも秋らしい清々しさを感じます。鋏音とともに松の仄かな香りも漂うようです。(藤田洋子)

27.仏壇の母子に供えし栗ご飯
生活の一場面に、日常の生活のぬくもりと家族への追憶が感じられ、胸を打ちました。一口の栗ご飯に託された想いに共感いたしました。(土橋みよ)

28.さざ波に砂のさざめく秋の浜/吉田 晃
穏やかな瀬戸内の晩秋の浜辺の様子が浮かんできます。「さざ」が重なって心地よいリズムを生み出しています。夏の喧騒が去った秋の浜辺をひとり散策されているのでしょうか。(多田有花)

31.ベビーカー押して軽やか秋の空/西村友宏
ベビーカーを押してお子様との外出、広がる秋空の季節の心地よさに、軽やかな明るい心情がうかがえます。(藤田洋子)

35.断崖に溢れる蜻蛉や日本海/上島祥子
日本海の断崖、といえば東尋坊などを連想します。間もなく雪の季節となり、厳しい季節風にさらされる断崖です。そこにいまは赤とんぼの群れが飛んでいます。空間の広がりを感じます。(多田有花)

38.秋夕焼富士を映せしビルの窓/川名ますみ
空気の澄んだ秋の夕暮れに、見事な富士山がビルの窓に映った。それはもう消えてしまっているけれど、その面影が目に焼き付いている。都会の秋の静寂と時の流れを感じました。(土橋みよ)

■選者詠/髙橋正子
16.露草の青点々と立ち上がる/髙橋正子
咲いたばかりの露草の透明な青が早朝の草原を彩り、その可憐な花を支えている茎は澄み切った秋の空気の中、しっかりと立ち上がって、みずみずしい生命力を見せてくれている。「立ち上がる」にリアリティがあり、力強さと植物の生命への愛しさを感じます。(柳原美知子)

18.木の実捨つわが手にありし温もりも
公園を散歩の途中、落ちている木の実が目に留まり、懐かしさを覚えて拾い上げたのだろう。少し青味の残る木の実は、昔の事、特に我が子の幼い頃の出来事を思い出させてくれる。暫く思いに浸っていたが、温もった木の実を踏まれぬように戻した。「手にありし温もりも」捨てたのであるが、掌には木の実の感触と思い出した懐かしさが残されていた。(吉田晃)

17.バス降りてすぐ数本の曼殊沙華

互選高点句
●最高点句(6点)
23.鹿の声長く響いて更けゆく夜/多田有花

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■10月月例ネット句会清記■

■10月月例ネット句会清記■
2025年10月12日
39句(13名)

01.釣上げし木の葉山女の錆の色
02.木犀の香に包まるる四畳半
03.髪も眼も雨に襲われしむ身かな
04.雲の共なくて孤光や月今宵
05.お隣のグランド今日は体育祭
06.バスを待つ間にも揺れ居り萩の風
07.中秋と知らず見上げた空冴える
08.リビングにすだちの香り夕餉待つ
09.コスモスや一両列車がやって来る
10.秋空に薄煙立ち里近し

11.秋彼岸小豆の煮ゆる音閑か
12.心晴れまた歩く道に鰯雲
13.供花挿せば竹春の風吹きわたる
14.瑠璃の光空にゆらして野ぶどう垂る
15.お食い初め秋潮の紺窓に流れ
16.露草の青点々と立ち上がる
17.バス降りてすぐ数本の曼殊沙華
18.木の実捨つわが手にありし温もりも
19.掛け声の空へ竿立つ秋祭り
20.新藁の残るみどりに幟立つ

21.新刊書積み上げ揃う帯さやか
22.強風の一夜の過ぎて秋晴れに
23.鹿の声長く響いて更けゆく夜
24.屋台ゆく刈られし稲の香る道
25.松手入れ鋏の音の歯切れ良く
26.秋晴れや大リング行く人の列
27.仏壇の母子に供えし栗ご飯
28.さざ波に砂のさざめく秋の浜
29.陽が沈む稲架の垂れ穂を赤く染め
30.みかん摘む鋏の音もみかん香に

31.べビーカー押して軽やか秋の空
32.秋の夜ラジオの唄で寝かしつけ
33.朝日浴び親子揃ってくしゃみする
34.秋晴れの高みを目指し一番機
35.断崖に溢れる蜻蛉や日本海
36.白馬より降り来る歩荷や秋日影
37.蜻蛉浮く大病院の棟の間に
38.秋夕焼富士を映せしビルの窓
39.朝顔の後ろ姿のすっきりと

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

 

■10月月例ネット句会ご案内/2025年■

■10月月例ネット句会ご案内/2025年■
10月月例ネット句会を下記の通り開きます。ご参加くださいますよう、ご案内いたします。
期 日  :10月12日(日)
①投句:当季雑詠3句
    10月6日(月)午前6時~10月12日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
              ※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:10月12(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:10月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、10月13日(月)正午~
                 10月16日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

■9月月例ネット句会入賞発表■

■9月月例ネット句会入賞発表■
2025年9月15日
【金賞】
05.石狩に雲の一刷毛稲稔る/土橋みよ
石狩平野の広がりと、高い空の、なぞったかのような一刷毛の雲。地には黄金の実りの色。広大な石狩平野の風景を三層に詠みながら、「生きることの静かな肯定」が滲んでいる。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
09.満月光雨の匂いの残る田に/柳原美知子
雨が止んだ直後の田んぼに漂う、湿った土と稲の香り。読み手の嗅覚を刺激する描写に、読者はその場に引き込まれる。乾いた満月の光と、湿った温もりのある雨の匂いは、対照的な感覚でありながら共存し、読者はその場に引き込まれる。言葉ではいいがたい、「気配」がただよっている。(髙橋正子)

39.水澄んで吾子はじめての離乳食/西村友宏
「水澄む」は、自然が落ち着き、余分なものが沈殿したかのような清らかな季節をイメージさせる。それが冒頭におかれ、離乳食を食べ始めたわが子の成長の感慨深い一瞬を祝福しているかのように思えたのだ。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
01.大笹を傾けて置く星祭/川名ますみ
願いを短冊に託し、笹に飾る風習の「星祭」に、祈りと幻想がある。「大笹を傾けて置く」は、準備の途中なのか、大きいので立てきれないのか、完璧に整えられた祭りではなく、生活の中にある素朴な星祭の姿が浮かぶ。大笹の傾きに、星への祈りの方向があり、詩情を生んでいる。「大笹を/傾けて置く/星祭」に構成の妙がある。(髙橋正子)

23.ひと雨にえのころ青き穂の光り/藤田洋子
野の草のえのころぐさ」が、通り雨や夕立の短い雨に洗われ、光を受けて輝く様子を見逃さず、捉えて詠んだ俳句。視覚的な美しさだけでなく、命の瑞々しさや、時間の儚さが込められている。「雨」と「光」という一見対照的な要素が、えのころという素朴な草を通して結びついている点が秀逸。(髙橋正子)

31.奥山の水音秋の蝶を呼び/上島祥子
この句の美しさは、「呼び」という動詞にある。水音が蝶を「呼ぶ」ことで、自然は能動的に命を迎え入れている。「秋の蝶」は、命の終盤に差しかかる儚い存在で、その蝶が呼び戻されたと感じたところに、作者の優しさがある。奥山の静かさ、水の音、秋の蝶を立体的に詠み、その自然と作者との一体感が言語外に感じられる。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
01.大笹を傾けて置く星祭/川名ますみ
七夕近くになると人の集まる場所に七夕の笹と短冊が用意されますね。多くの人の願いを受け止める為、天井につかえる程の大きな笹が飾られたのでしょうか。色とりどりの短冊が吊るされているのでしょう、その全てにある願い事の重みで笹がしなる様子が浮かびます。(上島祥子)

05.石狩に雲の一刷毛稲稔る/土橋みよ
石狩平野の情景でしょうか。北海道であれば秋の深まりも早いでしょう。広い大地に稔る黄金色の稲穂。広く高く澄んだ青空に空に流れる一筋の雲。映像が目に浮かぶようです。(多田 有花)
澄み切った石狩平野の空に浮かぶ一刷毛の秋の雲の白さとひろびろとした稔り田の美しさが目に浮かび、秋の清涼さを感じます。(柳原美知子)
先ず北海道の石狩との地名入りが良い。北海道の広大な稔り田が広がり、雄大な青空が想われ、その上秋晴れの刷毛雲が爽やかで心地良い。(桑本栄太郎)

09.満月光雨の匂いの残る田に/柳原美知子
懐かしい田圃の風景がある。雨が上がったばかりの畦道を歩くと雨の匂いがする。満月の光は、まだ湿っている田を蒼く照らしている。(吉田 晃)
今年は猛暑、雨不足が顕著だったがゆえに雨のにおいがひと際引き立ちます。そんな田水に満月の光が差す。稲の実りがそこにあることを願います。(高橋 秀之)

23.ひと雨にえのころ青き穂の光り/藤田洋子
日常にあるえのころ草の、雨による変化に気づいてその瞬間の様を句にされたのが素晴らしいですね。(上島祥子)

34.昇る陽を受け初め青き棗の実/多田有花
体感的には終わらない夏に秋の訪れを感じさせる青々とした棗の実に朝陽が差しこむ鮮やかな光景が目に浮かびます。(高橋 秀之)

39.水澄んで吾子はじめての離乳食/西村友宏
始まりの「水澄んで」が清らかな環境と新たな始まりを連想させ、お子様の成長の喜びの一場面を温かく包み込むようです。(土橋みよ)
お乳から離乳食へ進むのは、赤ちゃんにとっては大きな出来事ですね。上句の「水澄んで」は美しい秋を初めて迎える赤ちゃんに相応しいと思いました。(上島祥子)
ものすべて澄みわたる秋、川の水も底が見える美しさです。離乳が始まる今、そのきれいな水がお子さまの体を作っていくことへの、希望や喜びを感じます。(川名ますみ)

31.奥山の水音秋の蝶を呼び/上島祥子

【入選/13句】
02.ハンカチの刺繍見せ合うティータイム/川名ますみ
いろいろな刺繍がほどこされたハンカチを見せ合う嬉しいティータイム。皆さんとともに過ごす素敵なひとときが軽やかに伝わり、心楽しく明るくなります。(藤田洋子)

08.稲稔り朝の光に香を放つ/柳原美知子
早朝の熟れた稲田の情景を見事に詠んでおられます。稲歩のすべてが露を持ちそこに朝日があたり稲の香りがします。(多田 有花)

10.風吹けば米の匂いや稲穂波/桑本栄太郎
「米の匂い」という表現に驚きました。こう表現することによって、目による描写とともに、農村の秋の様子がとてもイメージしやすいことがわかり、大変勉強になりました。(土橋みよ)

15.蜻蛉のついつと水面弾きけり/小口泰與
産卵のためかとんぼが水面に降りてくる様子を弾くという感じで捉えられたのかと思います。トンボが水面を弾いて小さな波紋が広がるのも自然の一コマなのでしょう。(高橋 秀之)

18.鍬洗う藁のタワシに秋の水/ 吉田 晃
秋の種まきのために耕し終え、夕暮れの流れに鍬を洗うと、手になじんだ藁のタワシを伝わる水はひんやりと心地よく秋の訪れが実感されます。農作業を通して、ひとつの季節を終え新たな季節を迎えられる充実感が感じられます。(柳原美知子)

22.溝蕎麦の川縁沿えば風の寄る/藤田洋子
「風の寄る」という下5がとても優しく、秋の溝蕎麦の風景が親しみをもって感じられました。(土橋みよ)

24.雷雨過ぐ風新涼の朝の間に/藤田洋子
今年は本当に厳しい暑さです。9月に入ってもまだそれは続いていましたが朝方の雷雨が続き新涼といえる空気をもたらしてくれました。(多田 有花)

27.雨上がり秋空高く澄み渡る/高橋 秀之
秋空が気持ちよく晴れ上がった様を上手く詠んだ。(廣田洋一)

28.爽やかに風吹き抜ける土手の道/廣田洋一
ここ数日ようやく爽やかといえるような風と空の高さを感じられるようになってきました。土手の散歩も足取り軽く出かけられますね。(多田 有花)

30.江の島の姿変わらず秋の潮/廣田洋一
江の島はいつもと変わらず懐かしい姿を見せているが、周りの海は今秋の紺碧の色となり、秋の潮風が吹き、いつの間にかすっかり秋となっている。(柳原美知子)

36.幾筋も遠峰に稲妻の走る/多田 有花
「幾筋も」の稲妻は迫力があり、遠方の山々まで大きく広がるパノラマが目に見えるようです。(土橋みよ)

16,蜻蛉止まり首を傾げている垣根/ 吉田 晃
29.富士山に光り返しつ花野行く/廣田洋一

■選者詠/髙橋正子
19.天じゅうの雷へと電車走り入る
乗車中の電車が天をおおう稲光に包まれ、天を轟かすような雷鳴の方へと向かっている。まるで異界へと走りこんでいくような恐怖が感じられ、臨場感に溢れています。スリリングな体験ですね。ご無事でよかったです。(柳原美知子)

20.亡骸となってわが家に秋の蝉
21.プランターに旱というものありにけり

互選高点句
●最高点句(7点/同点2句)
05.石狩に雲の一刷毛稲稔る/土橋みよ
39.水澄んで吾子はじめての離乳食/西村友宏

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■9月月例ネット句会清記■

■9月月例ネット句会清記■
2025年9月14日
39句(13名)

01.大笹を傾けて置く星祭
02.ハンカチの刺繍見せ合うティータイム
03.空色のトーンを落とし九月来る
04.里の幸分かちて祈る施食寺
05.石狩に雲の一刷毛稲稔る
06.秋の日に源氏を繙く加冠の儀
07.蝉声を流す谷水秋光帯び
08.稲稔り朝の光に香を放つ
09.満月光雨の匂いの残る田に
10.風吹けば米の匂いや稲穂波

11.草萩の花の微かに塵出し場
12.虫の音の夜の団地の静寂かな
13.蜻蛉や水面に映る蒼き影
14.雲流る流れる方へ秋の鳥
15.蜻蛉のついつと水面弾きけり
16,蜻蛉止まり首を傾げている垣根
17,田水沸く風は稲穂をなでるのに
18.鍬洗う藁のタワシに秋の水
19.天じゅうの雷へと電車走り入る
20.亡骸となってわが家に秋の蝉

21.プランターに旱というものありにけり
22.溝蕎麦の川縁沿えば風の寄る
23.ひと雨にえのころ青き穂の光り
24.雷雨過ぐ風新涼の朝の間に
25.アメンボが波紋広げる秋の田に
26.糸とんぼ秋の陽を受けきらり舞う
27.雨上がり秋空高く澄み渡る
28.爽やかに風吹き抜ける土手の道
29.富士山に光り返しつ花野行く
30.江の島の姿変わらず秋の潮

31.奥山の水音秋の蝶を呼び
32.水鏡空に波紋を生む蜻蛉
〈浅野長政公邸宅跡 北政所の歌碑〉
33.寧々の歌碑蔦這う林に道が出来
34.昇る陽を受け初め青き棗の実
35.秋空を伸びゆく飛行機雲二本
36.幾筋も遠峰に稲妻の走る
37.秋の蚊と午前零時の寝かしつけ
38.蝉しぐれ予防接種に吾子も泣く
39.水澄んで吾子はじめての離乳食

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

 

9月月例ネット句会のご案内 NEW!

■9月月例ネット句会ご案内/2025年■New!
9月月例ネット句会を下記の通り開きます。ご参加くださいますよう、ご案内いたします。
期 日  :9月14日(日)
①投句:当季雑詠3句
    9月8日(月)午前6時~9月14日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
              ※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:9月14(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:9月15日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、9月15日(月)正午~
                 9月18日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

 

お知らせ/重要

暑中お見舞い申し上げます。
花冠ブログをご利用、またご覧いただき、ありがとうございます。このたび、現在利用しているNTTドコモが提供するgoo.blogが11月をもってサービスを終了します。

サービス終了にともない、花冠ブログをすべて移転します。移転先は移転終了後にみなさまにお知らせし、これまでどおりの活動ができるようにします。移転作業のために、下記の期間ブログへの書き込みを禁止します。またその期間を花冠の夏休みとします。8月月例ネット句会はお休みです。ご協力、よろしくお願いいたします。

   記
ブログ移転作業期間:8月1日(金)~8月15日(金)
花冠夏休み    :8月1日(金)~8月15日(金)
8月月例ネット句会:休会
(移転作業の進み具合により、予定が変更される場合がありますので、ご了承ください)。
                  2025年7月21日
                      花冠代表 髙橋正子