●入賞発表/2月月例ネット句会●


■2019年2月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年2月11日

【金賞】
★豆を撒く雨の匂いの闇やわらか/柳原美知子
豆撒きの夜は、節分の夜は、雨である。その雨の匂いがやわらかい。立春となる前夜の雨の闇。雨の匂いのする闇に、いち早く春の匂いを感じ取った。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★駅に来る度に確かむ梅便り/桑本栄太郎
駅には、どこそこの梅が開花したなどと、小旅行を誘うような梅だよりが張り出される。栄太郎さんの住む京都は、梅の名所も色々あって、楽しみなことであろう。梅をたのしもうと心はやるこの頃だ。(高橋正子)

★昇る陽の光が照らす梅の花/高橋秀之
「昇る陽」は朝日のことであるが、ゆっくりと昇ってくる輝く朝日が想像できる。昇る陽に照らされた梅がきらりとかがやき、新鮮だ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★風にまだ厳しさ残り藪椿/多田有花
俳句で椿というときは、主に野生の藪椿を指して、濃い緑のつややかな葉の中に赤い花が印象的な春の花だ。その藪椿が咲くと春だ。早々と咲きだした藪椿に、風は、まだ冷たく厳しい。その中で凛と咲く椿に魅かれる。(高橋正子)

★後ろ手に歩く小道や春来る/古田敬二
寒ければ、体は前に屈み、手は体近くに寄せる。春が来ると、小道を歩くとき、手は自然に後ろ手に。春の小道がうららかで楽しそうだ。(高橋正子)

★湘南を束の間白く春の雪/廣田洋一
2月9日には、首都圏にも雪が降った。湘南にも束の間春の雪が舞った。「湘南」には、遠く富士山を、傍に海を想像させて、句の景色をひろげている。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★春浅き山を猪駆けてゆく/多田有花
春めく日差しに動物の活動も活発になり、まだ冷たい山の風と共に駆け抜ける猪の疾走と木々の芽吹く山の情景が目に浮かびます。 (柳原美知子)

★雪降ってバス待つ子らの頬赤し/西村友宏
真白く降り積もった雪の中、バスを待つ子らの賑やかな声が聞こえ、白息と赤い頬が温かい絵本のような情景ですね。 (柳原美知子)

★霙ふる音に重なる鍵開く音/高橋正子
冷え込んだ日、雨は霙になっていました。その音に混じって鍵を開ける硬い音が聞こえました。音の重なる瞬間を鋭敏にとらえられた御句です。 (多田有花)

★駅に来る度に確かむ梅便り/桑本栄太郎
★後ろ手に歩く小道や春来る/古田敬二
★昇る陽の光が照らす梅の花/高橋秀之
★豆を撒く雨の匂いの闇やわらか/柳原美知子

【高橋正子特選/7句】
★湘南を束の間白く春の雪/廣田洋一
数日前から関東地方は春の冷え込みでした。都心は氷点下になったとか。海辺の湘南でも雪が積もったのですね。湘南という地名が生きている、と思います。 (多田有花)

27.菜の花の束を山積み若草色/高橋句美子
山積みの菜の花の柔らかな瑞々しさが若草色に表わされ、春の到来の喜びが感じられます。 (柳原美知子)

★雪降ってバス待つ子らの頬赤し/西村友宏
真白く降り積もった雪の中、バスを待つ子らの賑やかな声が聞こえ、白息と赤い頬が温かい絵本のような情景ですね。 (柳原美知子)

★駅に来る度に確かむ梅便り/桑本栄太郎
★風にまだ厳しさ残り藪椿/多田有花
★昇る陽の光が照らす梅の花/高橋秀之
★豆を撒く雨の匂いの闇やわらか/柳原美知子

【入選/12句】
★榛名湖の波の尖りし余寒かな/小口泰與
榛名湖は那須火山帯の上毛三山の、一つ榛名山の麓に出来た火口湖である。冬の寒さは格別であり、結氷した湖面でのワカサギ釣りは特に有名である。この冬は 暖冬と言われ、結氷していなくても波が尖っているような余寒である。(桑本栄太郎)
今年は寒が明けてからの方が寒さが強い。榛名湖の波が尖がるのを見るとその寒さが余計身に迫ってくる。(古田敬二)

★鬼追いの餅つく音が境内に/多田有花
檀家さんが集まっての鬼追いの餅つきでしょうね。境内での餅つき、子供たちも取り囲んでいるのでしょうか。(祝恵子)

★雪が舞い三連休の家籠り/高橋句美子
昨9日は首都圏にも大雪の予報が出て、交通の混乱も予想された。予定していた句会も中止となり、私も3連休を家籠りする結果となった。雪は大したことはなかったが、予報で混乱する首都圏の状況を上手く詠んだ。(廣田洋一)

★七色の金平糖や春の星/小口泰與
七色の金平糖と春の星の華やぎに新たな季節の到来と喜びが感じられます。 (柳原美知子)

★紅梅の青空占めて日差しけり/桑本栄太郎
地元の梅林はかなり開花が進んでいます。晴天の日、梅の木の下へ出かけて花を見上げると空の青さを背景に梅の花の色が広がります。 (多田有花)

★芽吹き待つ樹幹を白き機影飛ぶ/古田敬二
きっと春の芽吹きを感じる大きな木の幹を見上げているのでしょう。その向こうに轢こう雲を残す機影が見える。大きな景色を感じさせてくれます。(高橋秀之)

★寒梅やお濠に遊ぶ舟のあり/祝 恵子
大阪城でしょうか。今年は暖冬で梅の開花が早く、大阪城周辺でももうかなり開いているでしょう。梅を楽しみつつお濠を行く舟があります。 (多田有花)

★雪ちらり見ている内に風となる/祝 恵子
ちらりと舞い降りてきた雪の行方を追う視線の温かさと童心にかえる心持ちに惹かれます。 (柳原美知子)

★節分の豆を母にとお裾分け/高橋句美子
子どもたちが独立すると節分の豆まきをすることもなくなったのでしないでしょうか。そんな実家の母に節分の豆を届けるところに子の親への思いを感じます。 (高橋秀之)

★顔よごし帰る白猫春隣/柳原美知子
暖かくなると猫の行動も活発になってくるのでしょう。白猫であればこそ、顔を汚して帰ってくることでそれが分かる。いよいよ春隣の季節です。 (高橋秀之)

★朝練の掛け声高し冴返る/ 廣田洋一
★黒毛牛尾を振る畜舎風二月/柳原美知子

■選者詠/高橋信之
★今日の空朝から冬晴れ外へ出る
朝起きたら晴れている冬空が、外出への気持ちを高めてくれ、気持ちよく外に出掛けられそうです。(高橋秀之)

★二ン月の朝を楽しむ吾が居る
★冬晴れの空の朝よ妻と居る

■選者詠/高橋正子
★白鳥の羽打つ飛沫金色に
1月,2月と毎週白鳥の撮影に出かけいますが、夕映えの光を浴びた白鳥が盛んに水面に羽を打ち付けている景を毎回見ていますが、素晴らしい白鳥の景を詠っている景を拝見して、まさにこの御句のとおりです。有難う御座います。 (小口泰與) 

★霙ふる音に重なる鍵開く音
冷え込んだ日、雨は霙になっていました。その音に混じって鍵を開ける硬い音が聞こえました。音の重なる瞬間を鋭敏にとらえられた御句です。 (多田有花) 

★セロリ―のぱきと折れたる水飛沫

■互選高点句
●最高点(6点)
★湘南を束の間白く春の雪/廣田洋一

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。


コメント

  1. 多田有花
    2019年2月11日 9:16

    コメント
    05.紅梅の青空占めて日差しけり/桑本栄太郎
    地元の梅林はかなり開花が進んでいます。
    晴天の日、梅の木の下へ出かけて花を見上げると
    空の青さを背景に梅の花の色が広がります。

    19.寒梅やお濠に遊ぶ舟のあり/祝 恵子
    大阪城でしょうか。今年は暖冬で梅の開花が早く、
    大阪城周辺でももうかなり開いているでしょう。
    梅を楽しみつつお濠を行く舟があります。

    28.霙ふる音に重なる鍵開く音/高橋正子
    冷え込んだ日、雨は霙になっていました。
    その音に混じって鍵を開ける硬い音が聞こえました。
    音の重なる瞬間を鋭敏にとらえられた御句です。

  2. 廣田洋一
    2019年2月11日 10:17

    御礼
    高橋信之先生
       正子先生
    「湘南を束の間白く春の雪」を銅賞及び正子先生特選7句にお選び頂き有難うございます。

    多田有花様
    素敵な句評を有難うございました。

  3. 柳原美知子
    2019年2月11日 15:15

    コメント
    09.春浅き山を猪駆けてゆく/多田有花
    春めく日差しに動物の活動も活発になり、まだ冷たい山の風と共に駆け抜ける猪の疾走と木々の芽吹く山の情景が目に浮かびます。

    23.雪降ってバス待つ子らの頬赤し/西村友宏
    真白く降り積もった雪の中、バスを待つ子らの賑やかな声が聞こえ、白息と赤い頬が温かい絵本の
    ような情景ですね。

    02.七色の金平糖や春の星/小口泰與
    七色の金平糖と春の星の華やぎに新たな季節の到来と喜びが感じられます。

    20.雪ちらり見ている内に風となる/祝 恵子
    ちらりと舞い降りてきた雪の行方を追う視線の温かさと童心にかえる心持ちに惹かれます。

  4. 高橋秀之
    2019年2月11日 19:13

    コメント
    12.芽吹き待つ樹幹を白き機影飛ぶ/古田敬二
    きっと春の芽吹きを感じる大きな木の幹を見上げているのでしょう。その向こうに轢こう雲を残す機影が見える。大きな景色を感じさせてくれます。

    25.節分の豆を母にとお裾分け/高橋句美子
    子どもたちが独立すると節分の豆まきをすることもなくなったのでしないでしょうか。そんな実家の母に節分の豆を届けるところに子の親への思いを感じます。

    34.顔よごし帰る白猫春隣/柳原美知子
    暖かくなると猫の行動も活発になってくるのでしょう。白猫であればこそ、顔を汚して帰ってくることでそれが分かる。いよいよ春隣の季節です。

  5. 祝恵子
    2019年2月12日 8:26

    お礼
    信之先生、正子先生、2月月例ネット句会の開催ありがとうございます。
    入選に(寒梅)(雪)をお取り頂きましてありがとうございました。
    小口泰與様、廣田洋一様(寒梅)に選を。古田敬二様、柳原美知子様には(雪)に選を頂きましてありがとうございました。
    多田有花様、柳原美知子様、 嬉しいコメントを 添えていただき感謝です。ありがとうございました。

  6. 小口泰與
    2019年2月12日 10:11

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    2月月例ネット句会を開催していただき有難う御座います。
    その上、入選句に「余寒」と「春の星」の句をお取り上げいただき重ねて御礼申し上げます。
    桑本様、古田様には「余寒」の句に素晴らしいコメントをいただき有難う御座いました。
    廣田様、多田様には「余寒」の句に選をいただき有難う御座いました。
    高橋句美子様には「春の星」の句に選をいただき有難う御座いました。
    両先生ならびに会員の皆様には今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。

  7. 桑本栄太郎
    2019年2月12日 14:05

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    2月月例ネット句会を開催頂きまして、大変有難とう御座います!!。計らずも「駅に来る度に確かむ梅便り」の句を銀賞にお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います。
    同句に貴重な選を頂きました、祝恵子様には心より御礼申し上げます。又、「紅梅の青空占めて日差しけり」の句に貴重な選を頂きました高橋句美子様、多田有花様、柳美知子様に御礼を申し上げます。又、多田有花様には同句に素晴らしいご句評を頂戴しまして大変御礼申し上げます。
    高橋両先生初め、会員の皆様には寒の戻りの寒さにご注意され、インフルエンザなどに罹りませんよう!!祈って居ります。

  8. 多田有花
    2019年2月12日 15:21

    お礼
    信之先生、正子先生、
    2月月例句会を開催いただきありがとうございます。
    「風にまだ厳しさ残り藪椿」に銅賞をいただき、
    正子先生の特選とご句評を頂戴し、誠にありがとうございました。
    小口泰與さま、古田敬二さま、高橋句美子さま、高橋秀之さま
    選をいただきありがとうございます。

    「春浅き山を猪駆けてゆく」を入選、ならびに
    信之先生の特選をいただきありがとうございます。
    桑本栄太郎には選を頂戴し、御礼申し上げます。
    柳原美知子さま、コメントをうれしく読ませていただきました。

    「鬼追いの餅つく音が境内に」を入選句に
    お選びいただきありがとうございます。
    祝恵子さまには、選とうれしいコメントをありがとうございます。
    柳原美知子さまには選をいただきありがとうございました。

  9. 古田敬二
    2019年2月13日 9:46

    御礼
    正子先生、信之先生
    後ろ手の句に選を賜りありがとうございました。

    有花さん、恵子さん選を賜りありがとうございました。

    句作に苦労しております。
    選をいただくと元気が出ます。

  10. 高橋秀之
    2019年2月13日 23:08

    お礼
    高橋信之先生、
    高橋正子先生
    2月月例ネット句会を開催いただき、ありがとうございます!!。
    また、昇る陽の光が照らす梅の花の句を銀賞にお選びいただきあれがとうございます。
    廣田洋一さまには同句に選をいただきましてありがとうございました。

    まだまだ寒い日が続きそうな予報です。御身、ご自愛ください。

  11. 柳原美知子
    2019年2月14日 1:01

    お礼
    信之先生、正子先生、2月月例ネット句会を開催していただき、ありがとうございました。冬から春への季節の移ろいを皆様のお句に実感し、楽しく学ばせていただきました。
    「豆を撒く」に両先生の特選と金賞、正子先生のご句評を賜り、大変うれしく感謝申しあげます。
    「風二月」「春隣」も入選句にお加えいただき、ありがとうございました。
    廣田洋一様、多田有花様、祝恵子様には「豆を撒く」に、古田敬二様には「風二月」に選をいただき、ありがとうございました。
    高橋秀之様には「春隣」に温かいコメントを、小口泰與様には選をいただき、ありがとうございました。