■2016年7月月例ネット句会■
■入賞発表/2016年7月11日
【金賞】
★完熟のトマト朝陽に透けるほど/古田敬二
夏の菜園で一番楽しみな時は、朝であろう。はちきれんばかりに、真っ赤に熟れたトマトに朝陽が射して、トマトは透けるほどだ。誇らしい出来栄えのトマトが生き生きとしている。(高橋正子)
【銀賞2句】
★早朝にヨットが静かに遠ざかる/高橋秀之
早朝の海の涼しさをヨットは、静かに遠くへ出て行った。「静かに」が寡黙な海の男を思わせる一方、滑るように離れて行くヨットの景色が、朝の涼しさをさらに呼び起こしている。(高橋正子)
★釣り人も吾が目の視野に百合の咲く/祝 恵子
私の視野には、釣り人も百合も入っている。釣りをする人がいかにも涼しげだ。さらりとした句柄が心を爽やかにしてくれる。(高橋正子)
【銅賞3句】
★ひとつ咲き今日が初めや百日草/桑本栄太郎
百日草と言われて、夏の暑い盛りを咲き続けてくれる花が、今日その初めの一花を開いた。これから、百日咲き続けてくれるだろう、咲き続けてくれよとの願い。
私事だが、夏休みの間、百日草はよく咲いてくれて、玄関の花に、仏様の花にと、よく剪ったものだ。(高橋正子)
★青田道踏みしむ金属入りし脚で/柳原美知子
脚を患っておられるのだろう。歩きにくい脚に金属を入れて補強し、歩けるようになった。青田の道を一歩一歩踏みしめて歩く。青田道の青さが救いのように思える。お大事に。(高橋正子)
★艶やかにガラスの皿の葛饅頭/井上治代
葛饅頭は、透明な葛がつややかに透けて、中の餡を見せている。ガラスの皿に載せられて、目にも涼ししく、まさに夏のお菓子だ。たしかに、葛は「艶やかだ」。(高橋正子)
【高橋信之特選/7句】
★早朝にヨットが静かに遠ざかる/高橋秀之
きらきら光る青い海を、白い帆のヨットが静かに遠ざかる光景から、涼しい風が吹きわたっている感じがして、すっきりとした素敵な句だと思いました。(井上治代)
★水筒の残りし氷取り出す子/祝 恵子
夏の暑い盛り、水筒のお茶を飲みほして、さらに残っている氷を取りだす。元気いっぱいの子どもたちです。 (高橋秀之)
★七夕や世界の平和願いおり/井上治代
七夕の短冊に込められた願いはさまざまですが、今年の国際情勢を見ていると、世界平和を願う気持ちは共感します。 (高橋秀之)
★ひとつ咲き今日が初めや百日草/桑本栄太郎
★釣り人も吾が目の視野に百合の咲く/祝 恵子
★青田道踏みしむ金属入りし脚で/柳原美知子
★完熟のトマト朝陽に透けるほど/古田敬二
【高橋正子特選/7句】
★初蝉の声高きより瀬の音に/柳原美知子
初蝉の声は、新鮮な声で高く聞こえてきましたが、静かになると瀬の音に変わってくる。盛夏の訪れがそこに感じられます。 (高橋秀之)
★ひとつ咲き今日が初めや百日草/桑本栄太郎
★早朝にヨットが静かに遠ざかる/高橋秀之
★釣り人も吾が目の視野に百合の咲く/祝 恵子
★艶やかにガラスの皿の葛饅頭/井上治代
★しんとして夏の盛りに思うこと/高橋信之
★完熟のトマト朝陽に透けるほど/古田敬二
【入選/6句】
★噴水や暗き影ある旅鞄/小口泰與
旅鞄に影あるとは何か不吉な予感のする夏の旅でしょうか。松本清張の推理小説にでも出てきそうなストーリー性があるように思いました。 (満天星)
★ソーダ水水滴落ちるグラス持つ/高橋句美子
よく冷えたソーダ水とよく冷やしたグラス、その水滴も心地よく美味しいことでしょう。 (祝恵子)
★燈を消して漁火沖の涼夜かな/桑本栄太郎
闇の中で潮風に吹かれながら沖の漁火をながめれば、心もひろびろと波音が静かに胸に沁み込んでいくようです。 (柳原美知子)
★花合歓のひそと佇む山路かな/河野啓一
6月末、7月と所要の為田舎鳥取の実家を訪れる機会があり、中国道、米子道を二度往復する機会がありました。野山の至る所に合歓の花が咲き、うっすっらとした花が沢山集まって圧倒されるほどの光景でした。(桑本栄太郎)
★万緑や名もなき鳥の鳴く静寂/谷口博望 (満天星)
なんという鳥か知らないが、小鳥の声にはつい耳を澄ます。万緑に鳴く鳥の声に、鳥の声があればこそ、万緑の静寂が深まる。(高橋正子)
★七夕や耳を澄ませて星の歌/廣田洋一
「澄ませて」の「て」が気になるところだが、七夕の夜、耳を澄ませば夜空の星が歌う歌が聞こえそうだ。七夕の夜は、おのずと詩情が湧いてくる。(高橋正子)
■選者詠/高橋信之
★しんとして夏の盛りに思うこと
夏の盛りを感覚で捉えれば、「しんとして」だ。暑さ極まったときの「しんとした」時間は、人に何かを思わせる。(高橋正子)
★炎天となりゆく下の今日を歩く
夏もいよいよ盛りとなり、炎天となりゆく空の色や雲を眺めながら今日を確かに歩まれる充実した日々が伺え、元気をいただく思いです。 (柳原美知子)
★七月の薄明という明るさに
■選者詠/高橋正子
★夏暁のこのひとときを二度寝する
暑い夏の早朝の涼しさの中でまた寝る事の楽しさが滲み出ている素晴らしい句だと思います。 (小口泰與)
★木星の月へ近づく夏ゆうべ
木星探査機が木星に到着したところと思いました。地球の月だけでなく、木星の月までの、大きな夢を感じさせられます。 (河野啓一)
★金魚屋がありて買わずも寄りて過ぐ
夜店も開かれ、いよいよ夏本番。色鮮やかな金魚が出番を待ってすいすい泳いでいる姿は、いかにも涼しげで、思わず立ち寄ってしまいます。爽やかな夏の風物詩ですね。(柳原美知子)
■互選高点句
●最高点句(同点2句/5点)
★早朝にヨットが静かに遠ざかる/高橋秀之
★完熟のトマト朝陽に透けるほど/古田敬二
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。
コメント
コメント
★17.水筒の残りし氷取り出す子/祝 恵子
夏の暑い盛り、水筒のお茶を飲みほして、さらに残っている氷を取りだす。元気いっぱいの子どもたちです。
★27.七夕や世界の平和願いおり/井上治代
七夕の短冊に込められた願いはさまざまですが、今年の国際情勢を見ていると、世界平和を願う気持ちは共感します。
お礼
信之先生、正子先生、
完熟のトマト朝陽に透けるほど/
をお取り上げいただきありがとうございました。今年は中玉トマトの苗をいただき育てています。2,3日に一度、10数個を収穫しています。枝で完熟させるとうまさもまた違います。
お礼
信之先生、正子先生、7月月例ネット句会の開催をありがとうございました。
信之先生には「百合」「氷」、正子先生には[百合」を特選句に頂き、銅賞に「百合」をお選びいただきましてありがとうございます。励みにいたします。
「百合」の句へ選句頂きました柳原美知子様、「氷」の句へ選句いただきました小口泰與様、同句にコメントを添えて頂きました高橋秀之様、とてもありがたく感謝です。
コメント
★炎天となりゆく下の今日を歩く/高橋信之
夏もいよいよ盛りとなり、炎天となりゆく空の色や雲を眺めながら今日を確かに歩まれる充実した日々が伺え、元気をいただく思いです。
★金魚屋がありて買わずも寄りて過ぐ/高橋正子
夜店も開かれ、いよいよ夏本番。色鮮やかな金魚が出番を待ってすいすい泳いでいる姿は、いかにも涼しげで、思わず立ち寄ってしまいます。爽やかな夏の風物詩ですね。
お礼
信之先生、正子先生、7月ネット句会を開催していただきありがとうございました。
「青田道」の句に銅賞と信之先生の特選、正子先生には温かいご句評も賜り、とても嬉しく元気づけられました。2か月半ほど前に、左の人工股関節置換手術を受け、経過は順調で、目下自宅周辺をリハビリでぼつぼつ歩いているところです。「初蝉」の句に正子先生の特選もいただき、感謝申しあげます。
高橋秀之様には「初蝉」に選とコメントをお寄せいただき、井上治代様には選をいただきありがとうございました。
河野啓一様には、「青田道」に選を、高橋句美子様には「立葵」に選をいただき、ありがとうございました。
お礼
信之先生、正子先生
7月ネット句会を開催して頂きましてありがとうございます。「葛饅頭」の句を銅賞と正子先生特選にお選び頂きましてありがとうございます。正子先生には、丁寧な句評を頂きましてありがとうございます。同句に谷口博望様、祝恵子様、桑本栄太郎様の選を頂きましてありがとうございます。「七夕や」の句を信之先生特選にお選び頂きましてありがとうございます。高橋秀之様には嬉しいコメントを頂きましてありがとうございます。同句に河野啓一様の選を頂きましてありがとうございます。
7月ネット句会の御礼
高橋信之先生、正子先生
いつもお世話になり大変有難うございます。
7月ネット句会をご開催頂き、有難うございます。
「百日草」の拙句を図らずも銅賞のお選び
頂き正子先生には素敵なご句評も賜り大変有難うございます。又、信之先生には同句を特選7句にお選び頂き大変有難うございます。
又、「涼夜」の句に井上様、河野様、柳原様
には貴重なる選を賜り、柳原様には素晴らしいコメントも頂戴しまして、大変有難うございます。
御礼
高橋信之先生、正子先生
7月度ネット句会をありがとうございました。「花合歓」の句を入選句にお取り下され、誠に有難うございました。
同句に貴重な線をいただいた小口様、桑本様,素晴らしいコメントをお添えくださいました桑本さまに感謝申し上げます。