■5月月例ネット句会/入賞発表

■2022年5月月例ネット句会■
■入賞発表/2022年5月9日
【金賞】
25.住み古りし家に別れ来夕牡丹/柳原美知子
長年住んだ家に別れ、後ろ髪をひかれる思いで新しい家に越されたことだろう。そこに暮らした夫や子供たちとの歳月や思い出を置いて来るような気持ちになる。その気持ちを「夕牡丹」がすっかり引き受けている。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
13.売れ残り茄子苗太り夏に入る/吉田 晃
茄子の苗が店に売れ残っている。捨てるわけでもないから、そのままにしておくと、育って太ってきた。太陽と風と水をもらって苗と言ど、元気でに育つ逞しさは変わらない。初夏の爽やかさがいい。(髙橋正子)

22.飛行機雲ぐんぐん伸び行く五月空/多田有花
よく見かける光景を素直に詠んで、飛行機雲の伸び具合そのもののような感じの句だ。「ぐんぐん伸び行く」がすっきりしていて、よい。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
10.手を借りて鉢苗植えるみどりの日/祝 恵子
みどりの日は、夏の花苗や野菜苗を植えるのによい時期。みんなの手を借りて、たくさんの鉢に苗を植えた。夏へ向けて、忙しいが楽しい一日となった。(髙橋正子)

18.紫陽花の色変わりたり旅帰り/西村友宏
紫陽花は七変化とよばれるように、次第に色を変える。白みどりから青に、というふうに。旅の前に見た色と、旅から帰って見た色が違っている。
「旅をしていた時間」がワープしたような感覚で把握できる。(髙橋正子)

28.母の日のミニ薔薇鉢を溢れ咲く/髙橋句美子
そのままの俳句。母の日にミニ薔薇が鉢を溢れるように咲いている。可愛いミニ薔薇が母の日を彩って、それで十分な母の日だ。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
4.父母が居て子の居てこその子供の日/桑本栄太郎
コロナ禍の折、子供が独立した後の世帯にとっては、子供の日というのは、少しさびしいものですね。子供たちと賑やかに暮らしていた頃が懐かしく思い出されます。(柳原美知子)

09.こいのぼり今年も青き大空へ/高橋秀之
三人の息子さんをお持ちの作者。今年もこいのぼりをあげられたのでしょうか。末息子さんもかなり成長されているので、他の家のこいのぼりを目にされてのことかもしれません。(多田有花)

11.春の種土もち上げて芽を伸ばす/祝 恵子
春に播いた種の成長を日々見守り、その生命力に感動の眼差しをむけられる詠者の姿が目に浮かぶようです。(柳原美知子)

19.花嫁が混じりておりぬ夏電車/髙橋正子
思いがけず同じ電車に乗り合わせた花嫁さん。初夏の光の中で眩いばかりに輝いており、幸せをおすそわけしてもらったような気分になられたことでしよう。(柳原美知子)

22.飛行機雲ぐんぐん伸び行く五月空/多田有花
25.住み古りし家に別れ来夕牡丹/柳原美知子
28.母の日のミニ薔薇鉢を溢れ咲く/髙橋句美子

【髙橋正子特選/7句】
03.みかん咲き北限の地の浪やさし/小口泰與
みかんといえば温暖な地の植物。このみかんはどこで成長しているのでしょうか。一番端のものに興趣を覚えるのは人間心理の面白さです。(多田有花)

10.手を借りて鉢苗植えるみどりの日/祝 恵子
みどりの日に鉢苗を手分けして植えていく。家族でガーデニングでしょうか。素敵な一日です。 (西村友宏)

18.紫陽花の色変わりたり旅帰り/西村友宏
何日ほどの旅だったのでしょう。戻ってみると庭の紫陽花が早くも色を変えていました。ふと季節の変化を感じられた瞬間をうまくとらえておられます。(多田有花)

25.住み古りし家に別れ来夕牡丹/柳原美知子
長年住み慣れた家から引っ越されることになりました。牡丹は家の庭に咲いているのでしょう。家というのは人生そのものを入れてきた器です。
一言では言い表せない感慨がおありのことと思います。(多田有花)
5月の初めの頃、芳香の大輪の花を梢上にひらく牡丹が夕日に照らされて豪華に咲き誇る家と分かれる辛さが出ています。丹精を込めた牡丹を新居に一緒に行けないつらさがありありとわかりますね。(小口泰與)

28.母の日のミニ薔薇鉢を溢れ咲く/髙橋句美子
 溢れ咲くはお母さんへの溢れる愛情と感謝。そして、健康でいてくださいと願う作者の溢れる思い。溢れる優しさを感じた。(吉田 晃)

13.売れ残り茄子苗太り夏に入る/吉田 晃
22.飛行機雲ぐんぐん伸び行く五月空/多田有花

【入選/10句】
01.葉の影の重く動きし蝸牛/小口泰與
葉の陰に見つけた蝸牛、揺れてる蝸牛、私も見つけてみたいです。(祝 恵子)

07.春月や寝起き眼に目玉焼き/高橋秀之
日毎に夜明けも早くなりながら、作者は朝の早い仕事の出勤です。未だ薄暗い暁闇に春の月が臨まれ、寝起き眼で朝食の目玉焼きを食べて居ります。日常の何気ない暮らしの中にも、ふと風情を垣間見る作者であります。(桑本栄太郎)

14.フリージア子の仏前へ菓子と添え/吉田 晃
咲いたばかりのフリージアを好きだったお菓子を添えてお子様にお供えする親心が思われます。心の中でどんなお話をされたのでしょうか。(柳原美知子)

16.新しきジャージで夏めく空の下/西村友宏
季節の変わり目に新しい夏服を身に着ける嬉しい気持ちが感じられます。 (髙橋句美子)

17.うたた寝より覚めてチャイムと岩燕/西村友宏。そのうたた寝を覚ます無粋なチャイムの音。玄関を開けると、岩燕が寝ぼけた気持ちをすっと晴らしてくれた。そんな情景を思い浮かべました。 (高橋秀之)

02.山百合や木道天へ迂回せり/小口泰與
06.メロディーの報らす湯張りや菖蒲の湯/桑本栄太郎
12.パンジーを抜いて野菜の鉢確保/祝 恵子
15.白む夜の空より白し初夏の風/吉田 晃
29.新緑の日陰を渡り坂下る/髙橋句美子

■選者詠/髙橋信之
31.石楠花の大きな花を窓越しに
32.石楠花の花を見せくれ安楽椅子
33.誕生月五月朝日がよく差して

■選者詠/髙橋正子
21.ばら園は汽笛届きて消ゆる丘
初夏の明るい光とばらの香りに包まれて、遥かな汽笛の聞こえる丘での至福のひとときが想像されます。(柳原美知子)

19.花嫁が混じりておりぬ夏電車
20.谷戸口に樹齢いくばく栃の花
■互選高点句
●最高点(7点)
25.住み古りし家に別れ来夕牡丹/柳原美知子
集計:髙橋正子
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コメント

  1. 多田有花
    2022年5月10日 7:18

    コメント
    03.みかん咲き北限の地の浪やさし/小口泰與
    みかんといえば温暖な地の植物。このみかんはどこで成長しているのでしょうか?
    一番端のものに興趣を覚えるのは人間心理の面白さです。

    09.こいのぼり今年も青き大空へ/高橋秀之
    三人の息子さんをお持ちの作者。今年もこいのぼりをあげられたのでしょうか。
    末息子さんもかなり成長されているので、他の家のこいのぼりを目にされての
    ことかもしれません。

    18.紫陽花の色変わりたり旅帰り/西村友宏
    何日ほどの旅だったのでしょう。戻ってみると庭の紫陽花が早くも色を変えていました。
    ふと季節の変化を感じられた瞬間をうまくとらえておられます。

  2. 古田けいじ
    2022年5月10日 20:41

    投句させていただきます。
    盆梅のこの上の無い白に咲く
    立春やいよいよ御嶽海大関に
    田作り八十路の口には堅すぎる
    梅一輪いちりんごとに妻元気
    リハビリや七草粥で起こされる
    山茶花や朝陽が当たれば鮮やかに
    山笑う昔の父も笑いけり
    戦闘機は見えずうれしき初燕
    啓蟄や我は巣ごもり外出出来ず
    四月尽早くわが病も終わらんか
    暖かやリハビリ散歩終えし後
    海老根蘭くれし人今年は頼りなし
    ショウジョウバカマ前山の曲がり角
    早く吹け反戦春の風ロシアにも
    初蛙築後百年の縁で聴く

  3. 柳原美知子
    2022年5月12日 0:36

    コメント
    04.父母が居て子の居てこその子供の日/桑本栄太郎
    コロナ禍の折、子供が独立した後の世帯にとっては、子供の日というのは、少しさびしいものですね。子供たちと賑やかに暮らしていた頃が懐かしく思い出されます。

    11.春の種土もち上げて芽を伸ばす/祝 恵子
    春に播いた種の成長を日々見守り、その生命力に感動の眼差しをむけられる詠者の姿が目に浮かぶようです。

    19.花嫁が混じりておりぬ夏電車/髙橋正子
    思いがけず同じ電車に乗り合わせた花嫁さん。初夏
    の光の中で眩いばかりに輝いており、幸せをおすそわけしてもらったような気分になられたことでしよう。

    14.フリージア子の仏前へ菓子と添え/吉田 晃
    咲いたばかりのフリージアを好きだったお菓子を添えてお子様にお供えする親心が思われます。心の中でどんなお話をされたのでしょうか。

  4. 柳原美知子
    2022年5月12日 1:01

    お礼
    信之先生、正子先生、5月月例句会を開催していただき、ありがとうございました。
    「夕牡丹」の句を両先生の特選及び金賞にお選びいただき、正子先生の素晴らしいご句評を賜り大変嬉しく感謝申し上げます。
    私にとって一生に一度の記念すべき句となりました。
    多田有花様、小口泰與様には、同句に選と温かいコメントを、吉田晃様、祝恵子様、桑本栄太郎様には選をいただき、ありがとうございました。

  5. 小口泰與
    2022年5月12日 12:34

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    花冠5月例会を開催していただき有難う御座いました。
    「みかん咲き」の句を正子先生の特選7句の一句にお取り上げ頂き有難う御座いました。
    また、「蝸牛」の句と「山百合」の句を入選句にお取り上げ頂き有難う御座いました。
    「蝸牛」の句に多田有花様、祝恵子様選を頂き有難う御座いました。その上祝恵子様には嬉しいコメントを頂き重ねて御礼申し上げます。
    「山百合」の句に桑本栄太郎様、西村友宏様選を頂き有難う御座いました。
    「みかん咲き」の句に柳原美知子様、高橋久美子様選を頂き有難う御座いました。
    今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。

  6. 祝恵子
    2022年5月12日 15:42

    お礼
    高橋信之先生、正子先生、5月月例ネット句会の開催をありがとうございます。
    信之先生の特選句に「春の種」、正子先生特選句に「みどりの日」と、銅賞に「みどりの日」暖かい句評を頂き、ありがとうございます。
    柳原美知子様、西村友宏様コメントを添えていただきましてありがとうございます。
    選句頂きました 多田有花様. 桑本栄太郎様、柳原美知子様、西村友宏様、髙橋句美子 様、とても嬉しく、ありがとうございました。

  7. 多田有花
    2022年5月16日 12:46

    お礼
    信之先生、正子先生
    5月月例ネット句会を開催いただきありがとうございました。
    「飛行機雲ぐんぐん伸び行く五月空」を銀賞句にお選びいただきありがとうございます。
    ふと見上げた青空を真っ直ぐに伸びていく飛行機雲がありました。
    吉田 晃様、 西村友宏様、選をいただきありがとうございました。