■3月月例ネット句会/入賞発表■


3月月例ネット句会/入賞発表

■2020年3月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年3月9日
【金賞】
05.突堤に若布刈るなり少年ら/多田有花
春になると若布が海岸や突堤に寄せてくる。海岸で採れなければ、突堤まで出てゆく。少年たちが若布を刈っている珍しい光景だ。家業の手伝いか、ただ楽しみの若布刈りか。少年たちは春を呼び込んでいる。(高橋正子)

【銀賞/2句】
23.梅満ちし谷を貫く水の音/柳原美知子
谷あいの梅林には、梅が咲き満ちている。その谷を貫いて水音を立てて川が流れている。満ち満つ梅の香り、耳に快い春の水音。清らかな早春がここにある。(高橋正子)

15.小さき手の紙の切り絵に雛生まる/藤田洋子
小さな子が小さな手で、器用に鋏をつかい雛の切り絵を作った。まだ小さいながらも、さらに小さい妹を思ってだろう、雛を切り出した。ほほえましい。(高橋正子)

【銅賞/3句】
20.じゃが芋を地中に深く植えにけり/古田敬二
3月は、じゃが芋の植え付けシーズン。冬野菜の後に植えられることも多いが、地中深く、じゃが芋が寒さに当たらないよう、しっかり根を張るよう、地中深く植えた。作物に対するまず最初の愛情だ。(高橋正子)

30.菜の花の絵葉書明るい朝日射す/高橋句美子
菜の花の季節、菜の葉の絵葉書をもらった。ちょうど絵葉書に明るい朝日が射して、菜の花が生きてるように明るくなった。(高橋正子)

36.木蓮の芽のさみどりに春の雨/川名ますみ
木蓮の芽がわずかに覗いた。さみどり色の芽にやさしい春の雨が注ぐ。さみどり色には春の雨が似合う。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
09.一画の花菜明かりや丘の畑/桑本栄太郎
菜の花の黄色はまさに「明かり」というにふさわしい明るさです。よく晴れた日、丘の畑の一画で菜の花が咲いているのは春の明るさを最も感じる光景です。 (多田有花)

36.木蓮の芽のさみどりに春の雨/川名ますみ
モクレンの花芽も日ごとふくらんでいます。晴れの日は日差しが、雨の日は雨滴がその花芽の歩みを促すようです。 (多田有花)

05.突堤に若布刈るなり少年ら/多田有花
15.小さき手の紙の切り絵に雛生まる/藤田洋子
20.じゃが芋を地中に深く植えにけり/古田敬二
23.梅満ちし谷を貫く水の音/柳原美知子
30.菜の花の絵葉書明るい朝日射す/高橋句美子

【高橋正子特選/7句】
10.砂利舟のポンポンポンと春の川/祝恵子
明るい春の訪れを音で感じます。(髙橋句美子)

25.庭仕事終えて煎茶と春の鳥/西村友宏
もう一仕事すれば汗ばむような陽気になってきました。集中して庭仕事をこなされ、一段落。出された煎茶を楽しみつつふと気が付けば野鳥の囀りがあちこちから聞こえてきます。 (多田有花)

05.突堤に若布刈るなり少年ら/多田有花
15.小さき手の紙の切り絵に雛生まる/藤田洋子
19.葱坊主茎太ければ太く咲く/古田敬二
23.梅満ちし谷を貫く水の音/柳原美知子
30.菜の花の絵葉書明るい朝日射す/高橋句美子

【入選/12句】
01.春風や朝の光のグラデーション/小口泰與
春の朝、柔らかい風が吹き、朝日が昇ってくるが、時とともに光が強くなりそれを受けた
木の葉も色を変えていく。このような朝の景色をうまく詠んだ。(廣田洋一)

04.麗かや今日は異なる道をゆく/多田有花
日毎に春めき、日射しも暖かくなってまいりました。毎日の散策もとても心地良く、俳句
メモ帖を片手に今日はあそこ明日はあそこへと、場所を変えながら歩きます。 (桑本栄太郎)
春の日が輝きわたって、万象ことごとく柔らかに明るく美しく見え渡り、鶯の声の明るく
朗らかな気分で今日の新しい気持で探検心を持って新しい道に挑む作者の素晴らしい行動に
感動致します。 (小口泰與)

08.腹這いの子等の水面へ蝌蚪の紐/桑本栄太郎
元気な子供たちが遊んでいます。覗き込みたくなる景ですね。 (祝恵子)

11.子と摘みし穏やかな日よつくつくし/祝恵子
柔らかく野遊びの子と詠者を包んでくれる、かけがえのない春の喜びが感じられるひと時ですね。(柳原美知子)

13.手を離し始めの一歩雛の日/藤田洋子
伝い歩きだった子が初めて自分で一歩歩いた瞬間は印象に残ります。女の子だったのでしょうか。男の子であったとしてもそれはそれでめでたき第一歩です。(多田有花)

07.水底を見やれば揺るる蘆の角/桑本栄太郎
水中、地下茎から出でた葦の新芽。水辺に出会う確かな春の訪れに、季節の喜びを感じます。 (藤田洋子)

17.また一つ中止になりて春の闇/廣田洋一
様々な事柄が中止になり、今まさに人々が怖れを抱く「春の闇」ですが、一日も早く闇からの光を見出したいものです。 (藤田洋子)

29.河津桜青い葉っぱと青空と/高橋句美子
花の盛りの河津桜と開花後に見る「青い葉っぱ」、ともに鮮やかに青空に映えて、明るく清々しい春の到来を告げてくれます。 (藤田洋子)

35.千代紙の雛の迎える緩和ケア/川名ますみ
緩和ケアの細やかな心遣いが思われる千代紙のお雛様です。心和らぎ安らぐ雛の温もりです。 (藤田洋子)

06.海苔拾う日差し輝く浜辺にて/多田有花
14.初雛花麩ふっくら椀開く/藤田洋子
34.医師の手にバレンタインの紙袋/川名ますみ

■選者詠/高橋信之
31.曇り空見上げて見れば春の雪
32.窓外の遠くの空は春の雪
33.早春の晴れて元気に歩く子よ

■選者詠/高橋正子
38.雨空の白さに溶けて花辛夷
雨空に淡く白い辛夷のありようが美しく、その清純な白さ、春の初めの季節感が感じ取れます。 (藤田洋子)
今年は例年よりこぶしの開花が早い。春雨の空を見上げると花こぶしが雨雲に溶けて美しい。(古田敬二)

37.日暮れては菜の花灯るごときなり
39.雨降れば黄水仙のみなうつむき

■互選高点句
●最高点(8点)
23.梅満ちし谷を貫く水の音/柳原美知子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も一点として加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。


コメント

  1. 藤田洋子
    2020年3月9日 15:41

    コメント
    07.水底を見やれば揺るる蘆の角/桑本栄太郎
    水中、地下茎から出でた葦の新芽。水辺に出会う確かな春の訪れに、季節の喜びを感じます。

    17.また一つ中止になりて春の闇/廣田洋一
    様々な事柄が中止になり、今まさに人々が怖れを抱く「春の闇」ですが、一日も早く闇からの光を見出したいものです。

    29.河津桜青い葉っぱと青空と/高橋句美子
    花の盛りの河津桜と開花後に見る「青い葉っぱ」、ともに鮮やかに青空に映えて、明るく清々しい春の到来を告げてくれます。

    35.千代紙の雛の迎える緩和ケア/川名ますみ
    緩和ケアの細やかな心遣いが思われる千代紙のお雛様です。心和らぎ安らぐ雛の温もりです。

  2. 藤田洋子
    2020年3月9日 16:08

    お礼
    3月月例ネット句会お世話になりありがとうございました。
    信之先生、正子先生、「雛生まる」を選句いただき、そのうえ銀賞に選んでくださり大変ありがとうございました。正子先生には嬉しいコメントを添えていただき感謝いたします。初節句を迎える妹に兄となる子が作ってくれました。
    また、入選句に「雛の日」と「初雛」も選句いただきありがとうございました。
    多田有花様、選句と温かなコメントをいただきありがとうございます。祝恵子様、柳原美知子様、廣田洋一様、桑本栄太郎様、古田敬二様、選句をいただきありがとうございました。

  3. 多田有花
    2020年3月9日 20:10

    コメント
    09.一画の花菜明かりや丘の畑/桑本栄太郎
    菜の花の黄色はまさに「明かり」というにふさわしい明るさです。よく晴れた日、丘の畑の一画で菜の花が咲いているのは春の明るさを最も感じる光景です。

    36.木蓮の芽のさみどりに春の雨/川名ますみ
    モクレンの花芽も日ごとふくらんでいます。晴れの日は日差しが、雨の日は雨滴がその花芽の歩みを促すようです。

    25.庭仕事終えて煎茶と春の鳥/西村友宏
    もう一仕事すれば汗ばむような陽気になってきました。集中して庭仕事をこなされ、一段落。出された煎茶を楽しみつつふと気が付けば野鳥の囀りがあちこちから聞こえてきます。

  4. 多田有花
    2020年3月9日 20:25

    お礼
    信之先生、正子先生
    3月月例句会を開催いただきありがとうございました。
    「突堤に若布刈るなり少年ら」を金賞、ならびに両先生の特選7句にお選びいただきありがとうございます。祝恵子さま、柳原美知子さま選をいただきありがとうございました。
    姫路市の東部の海岸線です。小赤壁という景勝地がありそこへ行ってみました。突堤の先に数人の人影があり、そばへ行ってみると、中学生と高校生くらいの兄弟とその祖父、母でした。学校が休校になってお天気もいいので、若布刈りに来たとのこと。細い竿の先に鎌をつけ、突堤に生えている若布を刈っては網ですくっています。こんなところで若布が採れるとは思ってもいませんでした。

    04.麗かや今日は異なる道をゆく
    入選句にお選びいただきありがとうございます。
    桑本栄太郎さま、小口泰與さま、選とコメントをいただきありがとうございます。今頃は晴天だと気温があがり、気分もうきうきしてきます。そこでいつもとは違う道をたどってみようと思ったりします。

    06.海苔拾う日差し輝く浜辺にて
    入選句にお選びいただきありがとうございます。
    藤田洋子さま、髙橋句美子さま、選をいただきありがとうございました。先の若布刈りの少年たちの妹と祖母が突堤の手前の海岸線で海苔を拾っていました。突堤までやってきたときには祖母の手にはビーチグラスも握られていました。その後一家は突堤でお弁当を広げていました。

  5. 祝恵子
    2020年3月10日 8:57

    お礼
    高橋信之先生、正子先生、3月月例ネット句会の開催をありがとうございます。
    正子先生の特選に「春の川」をおえらびいただき、高橋句美子様には嬉しいコメントを、ありがとうございます。
    同句に選を頂きました 廣田洋一様 、桑本栄太郎様 小口泰與様、多田有花様 ありがとうございす。
    「つくつくし」に選と暖かなコメントをいただきました柳原美知子様、ありがとうございます。

  6. 小口泰與
    2020年3月10日 9:04

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    3月月例ネット句会を開催していただき有難う御座いました。
    「春風」の句を入選句にお取り上げ頂きありがとう御座いました。
    今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。

    廣田洋一様には「春風」の句に選とコメントを頂き有難う御座いました。

  7. 桑本栄太郎
    2020年3月10日 17:32

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    3月月例ネット句会を開催頂きまして、大変有難う御座います!!。
    信之先生には「一画の花菜明かりや丘の畑」の句を特選7句にお選び頂きまして大変有難う御座います!!。又同句に廣田様、小口様、古田様より選を頂き大変有難う御座います。又、祝恵子さまには「腹這いの子等の水面へ蝌蚪の紐」の句をお選び頂き、嬉しいコメントも頂戴しまして大変有難う御座いました。
    又。藤田洋子様には「水底を見やれば揺るる蘆の角」の句にコメントを、多田有花様には「一画の花明かりや丘の畑」の句にコメントを頂戴しまして大変有難う御座いました。

  8. 川名ますみ
    2020年3月11日 18:14

    お礼
    信之先生、正子先生、3月月例ネット句会に参加させていただきまして、ありがとうございました。皆さまの御句やコメントにふれられ、幸せです。
    この度は「木蓮」の句に銅賞を賜わりまして、感謝申し上げます。信之先生の特選、正子先生のコメントを頂戴し、大変嬉しゅうございます。励みにいたします。
    同句に選を頂きました句美子さま、コメントを下さいました有花さま、感謝いたします。
    また「千代紙の」と「医師の手に」の句にも入選を賜り、嬉しく存じます。洋子さまには 「千代紙」に選とコメントを、恵子さま、有花さまには「千代紙」に選を、栄太郎さまには「医師」に選を頂きまして、お礼申し上げます。
    懐かしいお名前や御句にも再会でき、あたたかな心地です。ありがとうございました。

  9. 柳原美知子
    2020年3月12日 0:30

    お礼
    信之先生、正子先生、3月月例ネット句会を開催していただき、ありがとうございました。
    「梅満ちし谷を貫く水の音」に銀賞と両先生の特選を賜り、正子先生の素敵なご句評をいただき、大変うれしく感謝申し上げます。湧水を汲みに行っている滑川渓谷の清流です。行く度に新たな季節が感じられ、楽しみです。
    小口泰與様、多田有花様、祝恵子様、藤田洋子様
    古田敬二様、高橋句美子様、選をいただき、ありがとうございました。