■3月月例ネット句会入賞発表■

■3月月例ネット句会入賞発表■
2026年3月8日
【金賞】
19.庭中の雪解雫の音へ出る/柳原美知子
庭中に積もった雪が、庭に出てみると、晴れてきたのだろう、解け始める。すると、庭中に、あちこちに、雪解雫の音がしている。そんな中へ作者は出たのだ。雪解けの音を全身で感じている。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
21.川波のひかりへ枝垂れ初桜/柳原美知子
初桜のういういしさが、川波のひかりと響き合い、やさしく美しい景色となっている。(髙橋正子)

30.水門に銀の波生み春の川/上島祥子
春の川の勢いづいた流れがよく見える。「銀の波」は川の水が水門にあたって光に反射する姿。「銀の波」「春の川」が、きらきらした春を呼んでいる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
03.瀬戸をゆく船の汽笛も春霞/ 吉田 晃
スケールの大きな句で、把握もおおらかだ。春ののどかさが読者にしっかり印象づけられる。(髙橋正子)

11.春日差す立たんと幾たび吾子の足/西村友宏
まだ立てない児が、陽の差す中で、何度も自分の足に力を込めては、ぐらりとしながらも再び立ち上がろうとする。その小さな身体の反復が、生命の芽生えの確かさを静かに伝えてくる。(髙橋正子)

38.朝食に添える八朔瑞々し/高橋秀之
八朔を割ったときの、はじけるような香りと果汁の清らかさが、そのまま朝の空気に広がるように詠まれている。読後に、口中が洗われるような爽やかさが残る。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/9句】
19.庭中の雪解雫の音へ出る/柳原美知子
春の雪が降り思いがけない積雪となったのでしょう。昼になり日差しが出てそれらの雪を溶かしていきます。そのしずくの音が庭中に満ちて明るいです。(多田有花)
庭の木々や軒先から滴る雪の雫。そのきらめく情景と滴る音のみずみずしさに、自ずと明るい春の訪れと喜びを感じ取れます。(藤田洋子)

21.川波のひかりへ枝垂れ初桜/柳原美知子
反射光が川の水面の乱れによって微かに揺れ、そこにかかる枝から目を上げれば、春の訪れを知らせる初桜が咲いています。控えめな句のようでありながら、美しい詩的な時間の流れをはっきりと気づかせていただきました。(土橋みよ)
水量の増す春の川に、陽射しが降り注ぎ輝いて、勢いを増して流れている。その岸辺に早咲きの桜が川に枝を伸ばし咲いている。とても美しい光景ですね。(上島祥子)
春になり日が差し込む川の流れのひかりも鮮やかに。そんな川に枝垂れる桜にも早咲きの花が見られたのでしょう。ちなみに、数日前、近所の桜にもぽつぽつと桜が咲いていました。(高橋秀之)

22.咲き遅る父の育てし和水仙/土橋みよ
お父様が育てられたのと同じ和水仙を植えられているのでしょうか。芳香と共に大切なお父様との思い出を胸に、咲くのを楽しみにされている日々。寒さのためか、今年は咲くのが遅れているようです。お父様を偲ぶお気持ちが伝わってきます。(柳原美知子)

29.休田の菜の花畑に黄の満ちて/上島祥子
我家の近くにも、休耕田をそのままにしては淋しいと言って、菜の花を一杯植えて、採り放題にしているところがある。そう言う景色が良く見える。(廣田洋一)

35.白つばき紅の気配を残しつつ/多田有花
蕾のうちから、どんな色合いなのか楽しみにしていた椿が咲きました。春の日差しの中で、その椿はみずみずしく凛とした白の中にも、紅の気配が感じられます。これからの季節の中で、どんな微妙な色合いの変化がみられるのか楽しみでもあります。(柳原美知子)

03.瀬戸をゆく船の汽笛も春霞/ 吉田 晃
11.春日差す立たんと幾たび吾子の足/西村友宏
30.水門に銀の波生み春の川/上島祥子
38.朝食に添える八朔瑞々し/高橋秀之

【入選/16句】
06.式終えし子らの笑顔や東風の中/廣田洋一
高校生の卒業式かと思います。制服衣生活も今日で終わり。クラスメートと全く同じ顔が一堂に会することはもう二度とない。けれどそんなことはまだ脳裏に無い若さですね。(多田有花)

07.初宮の赤子抱きものの芽の杜に/藤田洋子
神社の杜という神聖な舞台を背景として、初宮、赤子、ものの芽という生命の誕生と自然の再生が一体となった春のお祝いの一コマを感じさせていただきました。(土橋みよ)

09.下萌えの岸へさざなみ堰の水/藤田洋子
下萌えの岸辺が明るく、春の水のさざなみを吸い込み潤っていく様子に心洗われます。浅春の水の音、風の音が聞こえてくるようです。(柳原美知子)

10.春の朝伝い歩きに起こされぬ/西村友宏
お仕事で疲れ、育児も大変で休みの日はゆっくり眠りたい…。ところが赤ちゃんはお父さんと遊びたい、だから無邪気にやってくる。
微笑ましい情景が浮かびます。(多田有花)

18.手あぶりの火鉢あかあか一人酒/小口泰與
都市部では見ることのなくなった火鉢ですが、静かな、落ち着いた日本の空間という感じを醸し出して、ひとり思いにふけりながら飲むお酒がおいしそうです。(高橋秀之)

23.不揃いの切干煮ゆる夕餉かな/土橋みよ
不揃いでもいい。切干の煮物は美味しい。むしろ不揃いの方が、画一的な食材ではなく自然の食材として美味しさを引き立てるのでは
ないでしょうか。(高橋秀之)

24 春月や島遠くなる船一艘/土橋みよ
春の月のもと、広い海にポツンと浮かぶ「船一艘」という情景が、島から離れていく情景が、どこか寂寥感のある空気を感じます(友田修)

25.雛道具するりとよけて猫のぼる
華やかで細やかな雛飾りを倒すこともなく、上手に隙間を登ってゆく猫の姿が目に浮かぶようです。猫も参加する雛祭りの楽しさと作者の優しい眼差しが伝わってきまず。(柳原美知子)

28.緋桜に声置く鳥の影速し/上島祥子
緋桜と通り過ぎる鳥の影という目に見える美しさと耳に聴こえる鳥の鳴き声によって一瞬の情景が鮮やかに思い浮かびました。鳥は何という鳥でしょうか。どこへ飛んでいくのでしょうか。想像を自由にさせていただきました。(土橋みよ)

31.啓蟄や公園ひかり子ら遊ぶ/友田 修
このころの特徴はやはり光の明るさ。まだ冴え返ることも多く本格的な暖かさはもう少し先です。それでも公園には子どもたちの声が満ちてきます。(多田有花)

39.ふと見れば陽ざしの先に新芽あり/高橋秀之
視線が光に導かれた先には新芽ができていました。穏やかな春の訪れを感じ取られた作者の優しさが伝わってきました。(土橋みよ)

02.春の雨渇水ダムの底水に/吉田 晃
16.ひととぜの再会ありてのどかなり/小口泰與
20.六地蔵の前掛け吹き上ぐ春一番/柳原美知子
26.春の雨仏語の単語帳つづる/川名ますみ
36.石灯籠前に小さき春黄金花/多田有花

■選者詠/髙橋正子
13.白梅の影そのままに白壁に
白壁に、花の咲いた白梅の木の影が映っています。白い花びらも黒々とした枝や幹も、白壁には影として現れます。白梅そのものを見た時は、わからなかった何かが、白壁に「そのままに」映った影から、見て取れるかもしれません。(川名ますみ)

14.春満月風の冷たさなおもあり
夜桜の美しさ、満月の見事さに見惚れることはあっても、すっと吹き抜ける風に冷たさを感じはするが見逃してしまう感覚である。「なおもあり」の言葉が見逃してしまった意識を引き戻してくれ、まだ早い春を十分に堪能させてくれる。(吉田 晃)

15.みどり児を抱けば全身いちごの香

互選高点句(6点/同点2句)
03.瀬戸をゆく船の汽笛も春霞/ 吉田 晃
21.川波のひかりへ枝垂れ初桜/柳原美知子

集計:髙橋正子

※コメントのない句に、コメントをよろしくお願いいたします。


コメント

  1. 多田有花
    2026年3月9日 10:20

    06.式終えし子らの笑顔や東風の中/廣田洋一
    高校生の卒業式かと思います。制服衣生活も今日で終わり。
    クラスメートと全く同じ顔が一堂に会することはもう二度とない。
    けれどそんなことはまだ脳裏に無い若さですね。

    10.春の朝伝い歩きに起こされぬ/西村友宏
    お仕事で疲れ、育児も大変で休みの日はゆっくり眠りたい…。
    ところが赤ちゃんはお父さんと遊びたい、だから無邪気にやってくる。
    微笑ましい情景が浮かびます。

    31.啓蟄や公園ひかり子ら遊ぶ/友田 修
    このころの特徴はやはり光の明るさ。
    まだ冴え返ることも多く本格的な暖かさはもう少し先です。
    それでも公園には子どもたちの声が満ちてきます。

  2. 柳原美知子
    2026年3月9日 19:04

    09.下萌えの岸へさざなみ堰の水/藤田洋子
    下萌えの岸辺が明るく、春の水のさざなみを吸い込み潤っていく様子に心洗われます。浅春の水の音、風の音が聞こえてくるようです。
    22.咲き遅る父の育てし和水仙/土橋みよ
    お父様が育てられたのと同じ和水仙を植えられているのでしょうか。
    芳香と共に大切なお父様との思い出を胸に、咲くのを楽しみにされている日々。
    寒さのためか、今年は咲くのが遅れているようです。
    お父様を偲ぶお気持ちが伝わってきます。
    35.白つばき紅の気配を残しつつ/多田有花
    蕾のうちから、どんな色合いなのか楽しみにしていた椿が咲きました。
    春の日差しの中で、その椿はみずみずしく凛とした白の中にも、紅の気配が感じられます。これからの季節の中で、どんな微妙な色合いの変化がみられるのか楽しみでもあります。

  3. 高橋秀之
    2026年3月9日 21:59

    18.手あぶりの火鉢あかあか一人酒/小口泰與

    都市部では見ることのなくなった火鉢ですが、
    静かな、落ち着いた日本の空間という感じを
    醸し出して、ひとり思いにふけりながら飲む
    お酒がおいしそうです。

    23.不揃いの切干煮ゆる夕餉かな/土橋みよ
    不揃いでもいい。切干の煮物は美味しい。
    むしろ不揃いの方が、画一的な食材ではなく
    自然の食材として美味しさを引き立てるのでは
    ないでしょうか。

  4. 多田有花
    2026年3月10日 8:32

    正子先生、3月月例句会を開催いただきありがとうございます。
    「35.白つばき紅の気配を残しつつ」を正子先生特選9句に
    「36.石灯籠前に小さき春黄金花」を入選句に
    それぞれお選びいただきありがとうございます。
    柳原美知子様、35へのコメント、うれしく拝読しました。
    ありがとうございます。
    土橋みよ様、高橋秀之様、36への選をいただきありがとうございます。

  5. 土橋みよ
    2026年3月10日 13:24

    07.初宮の赤子抱きものの芽の杜に/藤田洋子
    神社の杜という神聖な舞台を背景として、初宮、赤子、ものの芽という生命の誕生と自然の再生が一体となった春のお祝いの一コマを感じさせていただきました。
    28.緋桜に声置く鳥の影速し/上島祥子
    緋桜と通り過ぎる鳥の影という目に見える美しさと耳に聴こえる鳥の鳴き声によって一瞬の情景が鮮やかに思い浮かびました。鳥は何という鳥でしょうか。どこへ飛んでいくのでしょうか。想像を自由にさせていただきました。
    39.ふと見れば陽ざしの先に新芽あり/高橋秀之
    視線が光に導かれた先には新芽ができていました。穏やかな春の訪れを感じ取られた作者の優しさが伝わってきました。

  6. 川名ますみ
    2026年3月11日 20:56

    正子先生、今月も月例ネット句会を開催くださいまして、ありがとうございました。
    おかげ様で、皆さまの御句とコメントから、明るい春の訪れを感じることができました。
    この度は、「雛道具」と「春の雨」の句に入選を賜り、嬉しく存じます。
    美知子さまには、「雛道具」に、嬉しい選とコメントをいただき、感謝いたします。猫は雛飾りが大好きですね。キャットタワーのようにするするとのぼって、満足げに鎮座する姿がかわいらしいです。
    洋子さま、「春の雨」の句をお選びくださいまして、ありがとうございました。

  7. 土橋みよ
    2026年3月12日 9:49

    正子先生、句会の開催有難うございます。また、入選句に選んで頂き有難うございます。美知子様には「咲き遅る」の句に親切な句評を頂き有難うございます。和水仙は北海道からこちらに引っ越してくるときに移植した植物の一つで、毎春球根が増え花が咲くのを楽しみにしています。秀之様には「不揃いの」の句に好意的な句評を頂き有難うございます。手作りのためどうしても不揃いになってしまう切干大根ですが、ぐつぐつ煮える音がしみじみとしていて俳句にしてみました。友田様には「春月や」の句に貴重な句評を頂き有難うございます。海外で海洋観測する孫を思うと心配が先に立ち、寂しさを纏う句になってしまったのではないかと思います。また、吉田様、ますみ様には選を頂き有難うございました。

  8. 柳原美知子
    2026年3月12日 15:46

    正子先生、句美子様、友宏様、3月月例句会を開催いただき、ありがとうございました。皆様のお住まいの地のそれぞれの春の豊かさを感じることができ、楽しませていただきました。
    「雪解雫」の句に金賞、「初桜」の句に銀賞を賜り、正子先生の丁寧なご句評をいただき、大変うれしく、感謝申しあげます。
    「春一番」の句も入選句にお加えいただき、ありがとうございました。
    2月上旬に前日の夕方から降った雪が積もり、このあたりでは珍しい雪景色となり、朝はベランダの雪が解けてバサッと落ちてくるほどでした。雪の雫の音に聞き入るのは楽しい経験でした。
    有花様、洋子様には同句に選と温かいコメントを、ますみ様には選をいただき、ありがとうございました。
    みよ様、祥子様、秀之様には「初桜」に選と丁寧なコメントを、有花様、ますみ様には選をいただき、ありがとうございました。
    洋一様、修様には「春一番」に選をいただき、ありがとうございました。

  9. 上島祥子
    2026年3月12日 22:53

    正子先生 句美子様 友宏様 3月月例句会を開催いただき、有難うございました。
    「春の川」の句を銀賞にお選び頂き丁寧な句評を有難うございました。「菜の花畑」の句を正子先生の特選句に、「緋桜」の句を入選句にお選びくださり有難うございました。大垣市墨俣を訪ねるのに木曽川、長良川、揖斐川、を渡り増した。普段より水量が多く、煌めいて春の勢いを感じました。
    洋一様には「菜の花畑」に貴重な選とコメントを頂き有難うございました。みよ様 修様 には「緋桜」の句に貴重な選を頂き有難うございました。みよ様には丁寧なコメントを頂き有難うございました。満開の緋桜に近づいたら、鳥を驚かせたようで、鳴き声と共に飛んでいってしまいました。一瞬の出来事でした。鳴き声からモズのような気がします。

  10. 友田 修
    2026年3月13日 5:32

    正子先生、句美子様、友宏様、3月月例句会を開催いただき、ありがとうございました。「啓蟄」の句を入選16句にお取りくださりありがとうございます。また同句にコメントをお寄せくださった多田有花様ありがとうございま👇。

  11. 藤田洋子
    2026年3月13日 16:33

    正子先生、句美子様、友宏様、3月月例ネット句会、お世話になりありがとうございました。今月も皆様の御句、選やコメント楽しく学ばせていただきました。
    入選句に「ものの芽」「下萌え」の句を取り上げていただき大変ありがとうございました。みよ様、美知子様、嬉しいコメントを寄せていただきありがとうございました。
    晃様、祥子様、洋一様、みよ様、美知子様、選句をいただきありがとうございました。