■12月月例ネット句会/入賞発表■

■12月月例ネット句会/入賞発表■
2024年12月9日
【金賞】
32.雲晴れて石鎚全き雪嶺に/柳原美知子
「全き雪嶺」に目を瞠る作者の様子が。たちまち思い浮かぶ。朝夕、さまざまな姿を見せる石鎚山は、ことに雪嶺は圧巻だ。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
22.時雨るるを鳥渡りゆく佐田岬/吉田 晃
愛媛県の西に長く伸びる佐多岬。時雨に降られながら、鳥がしずかに渡ってゆく。さびさびとした鳥の渡りが大きく詠まれている。(髙橋正子)

26.冬の鵙いまは静かに止まりおり/多田有花
秋には、鋭い声で鳴いていた鵙も、冬となっては、静かに枝に止まっている。視線の鋭さもいくぶん和らぎ、瞑想めいている。秋、冬と姿を変える鵙だ。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
05.水鳥の飛沫あげつつ又来たり/桑本栄太郎
水鳥が飛沫をあげて着水したと思うと、次の水鳥が又やって来て飛沫をあげる。水鳥も、それを見ている作者も喜々としている。(髙橋正子)

09.空風や天のすみずみ晴渡る/小口泰與
上州の空っ風は、天のすみずみまで塵をはらい、すっきりと晴れ渡らせた。広大な、塵一つない晴れ渡る天への賛歌。(髙橋正子)

12.星空が輝く冬の夜明け前/高橋秀之
星空が最も輝くのは、空気が冷え込んだ夜明け前。多くの人がまだ眠りについているその時こそ、星空はみごとに輝くのだ。それを見届けた作者。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/8句】
05.水鳥の飛沫あげつつ又来たり/桑本栄太郎
次々と着水する鳥の様子が良く見える。又来たりが効いている。(廣田洋一)

12.星空が輝く冬の夜明け前/高橋秀之
冷え切った夜空に星空が最高に輝き、綺麗な空は夜明け前ですね。冬の未明の頃を歩く、作者が想われます。 (桑本栄太郎)

20.干し柿や旅路の果てに故郷(くに)想う/土橋みよ
干し柿が冬日に照り、風に乾いて軒先に揺らいでいる光景は郷愁を誘いますね。旅路の果てに想う故郷の景色がいつまでも変わらぬものであるよう祈りたいですね。 (柳原美知子)

24.蜜柑一つ持てば炬燵の暖かき/吉田 晃
炬燵での冬の団らんにつきものの蜜柑。丸くてひんやりとした蜜柑一個の感触が、賑やかで暖かい家族の団らんを思い出させてもくれます。 (柳原美知子)

26.冬の鵙いまは静かに止まりおり/多田有花
冬の寒さのなか、今はしんとした様子が感じられます。 (髙橋句美子)


29.ストーブの炎に和む夜の読書/西村友宏
 炎だから、ガスストーブか灯油のストーブだろう。炎が小さく揺らめくと手元の影が揺れ、それが疲れと緊張をほぐしてくれる。温かい家庭が感じられる。(吉田 晃)

32.雲晴れて石鎚全き雪嶺に/柳原美知子
冷えた朝、雲が晴れてると見上げる石鎚山が冠雪していました。朝日に輝く雪の峰に冬本番を実感されたことでしょう。(多田有花)

22.時雨るるを鳥渡りゆく佐田岬/吉田 晃

【髙橋句美子特選/7句】
11.冬の陽が海を染めあげ群青に/高橋秀之
日の光が海全体を照らして鮮やかな光景が一面に広がっている。「染めあげ」と言う表現で、よりスケールの大きい情景が浮かびました。 (西村友宏)

26.冬の鵙いまは静かに止まりおり/多田有花
冬の寒さのなか、今はしんとした様子が感じられます。 (髙橋句美子)

32.雲晴れて石鎚全き雪嶺に/柳原美知子
冷えた朝、雲が晴れてると見上げる石鎚山が冠雪していました。朝日に輝く雪の峰に冬本番を実感されたことでしょう。(多田有花)

09.空風や天のすみずみ晴渡る/小口泰與
16.天竜の川あおあおと冬はじめ/髙橋正子
20.干し柿や旅路の果てに故郷(くに)想う/土橋みよ
22.時雨るるを鳥渡りゆく佐田岬/吉田 晃

【入選/10句】
01.いにしえの戦は枯野の城址かな/弓削和人
つわものどもが夢の跡はそこが枯野となっても続きます。遠い昔その城をめぐって戦った侍たちがいた、そこに思いを馳せておられます。(多田有花)

25.枇杷の花咲き初む川沿いの道に/多田有花
枇杷の花が白く開き始め、ほんのりと甘い香りが川沿いに漂う散歩道。新たな季節の始まりが実感されます。 (柳原美知子)

28.毛糸帽深く被りてカフェ巡り/西村友宏
私自身もこの季節毛糸の冬帽子を深くかぶるのですが、これが本当に暖かい。冬のカフェ巡りのひとときを温かい気持ちで暖かく過ごす幸せのひとときです。(髙橋秀之)

30.読みかけの図書を返却十二月/西村友宏
借りた本をいつかいつか読もうとしていると、いつのまにか年末になった。あわただしい年の暮れの景観が目に浮かぶ。(弓削和人)

33.冬麗の新たな一歩吾子新郎/柳原美知子
御子息がご結婚されたのですね。吾子との言葉にこれまで育てられてきた万感の思いを感じます。(多田有花)

04.綿虫や想い出遠くなりいたる/桑本栄太郎
07.見事なる赤城のすそ野熊眠る/小口泰與
14.時々は見知らぬ鳥や冬の川/廣田洋一
23.冬銀河見上げ夜業の門を出で/吉田 晃
31.コック像へ冬薔薇の束名店閉ず/柳原美知子

■選者詠/髙橋正子 
17.京を過ぐ車窓に時雨ふりかかり
ふりかかる時雨に古都ならではの五重塔や冬紅葉がうっすらと浮かび過ぎる車窓。しとりとした旅情を感じます。(柳原美知子)

16.天竜の川あおあおと冬はじめ
先日お墓参りに帰られた旅の車窓から見えた景色でしょう。天竜川は大河です。ゆったりと初冬の風景の中央を流れていきます。(多田有花)

18.冬港止水のごとく潮が照り

■選者詠/髙橋句美子
34.新しきブーツの音は街中に
新しいブーツの足音を聴きながら歩く街は、また新鮮に思えることでしょう。クリスマスの季節の街を颯爽と歩かれる姿が目に浮かびます。 (柳原美知子)

35.冬帽子編まれた糸のやわらかさ
36.冬夕焼け真っ白な壁に夫婦の影

●互選最高点句(4点/同点3句)
05.水鳥の飛沫あげつつ又来たり/桑本栄太郎
09.空風や天のすみずみ晴渡る/小口泰與
16.天竜の川あおあおと冬はじめ

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。


コメント

  1. 多田有花
    2024年12月9日 17:26

    コメント
    01.いにしえの戦は枯野の城址かな/弓削和人
    つわものどもが夢の跡はそこが枯野となっても続きます。
    遠い昔その城をめぐって戦った侍たちがいた、そこに思いを馳せておられます。

    16.天竜の川あおあおと冬はじめ/髙橋正子
    先日お墓参りに帰られた旅の車窓から見えた景色でしょう。
    天竜川は大河です。ゆったりと初冬の風景の中央を流れていきます。

    33.冬麗の新たな一歩吾子新郎/柳原美知子
    御子息がご結婚されたのですね。
    吾子との言葉にこれまで育てられてきた万感の思いを感じます。

  2. 柳原美知子
    2024年12月10日 0:04

    コメント
    20.干し柿や旅路の果てに故郷(くに)想う/土橋みよ
    干し柿が冬日に照り、風に乾いて軒先に揺らいでいる光景は郷愁を誘いますね。旅路の果てに想う故郷の景色がいつまでも変わらぬものであるよう祈りたいですね。

    24.蜜柑一つ持てば炬燵の暖かき/吉田 晃
    炬燵での冬の団らんにつきものの蜜柑。丸くてひんやりとした蜜柑一個の感触が、賑やかで暖かい家族
    の団らんを思い出させてもくれます。

    25.枇杷の花咲き初む川沿いの道に/多田有花
    枇杷の花が白く開き始め、ほんのりと甘い香りが川沿いに漂う散歩道。新たな季節の始まりが実感され
    ます。

    34.新しきブーツの音は街中に/高橋句美子
    新しいブーツの足音を聴きながら歩く街は、また新鮮に思えることでしょう。クリスマスの季節の街を
    颯爽と歩かれる姿が目に浮かびます。

  3. 多田有花
    2024年12月10日 10:49

    お礼
    正子先生、句美子先生
    12月月例句会を開催いただきありがとうございました。

    「冬の鵙いまは静かに止まりおり」を銀賞ならびに両先生の特選ににお選びいただき御礼申し上げます。
    西村友宏様、選をありがとうございました。
    秋、あれほど鋭く鳴いていた鵙がすっかり穏やかになっていることに冬を感じました。

    「枇杷の花咲き初む川沿いの道に」を入選にお選びいただきありがとうございます。
    吉田 晃様、廣田洋一様、高橋秀之様、選をありがとうございました。
    柳原美知子様、コメントうれしく拝読しました。ありがとうございます。 
    散歩している川沿いの道に立派な枇杷の木が一本あります。暖かそうな綿毛にくるまれ、開花が始まっていました。

  4. 髙橋正子
    2024年12月10日 18:48

    コメント書き込みお礼
    有花さん、美知子さん、コメントをたくさん書き込んでいただき、ありがとうございます。
    また、美知子さんには、わたしの時雨の句を詩情ゆたかに読んでいただき、大変うれしいです。ありがとうございます。

  5. 柳原美知子
    2024年12月11日 0:09

    お礼
    正子先生、句美子様、友宏様、12月月例ネット句会を開催いただき、ありがとうございました。
    「雲晴れて石鎚全き雪嶺に」の句に正子先生、句美子様の特選、金賞をいただき、正子先生の貴重なご句評を賜り、大変嬉しく感謝申しあげます。
    「冬薔薇」「冬麗」の句も入選句にお加えいただき、ありがとうございました。
    立冬が過ぎてからも温かい日が続いていましたが、長雨で雲に隠れて見えなかった石鎚山が12月になると雲が晴れて一気に真っ白い姿を見せてくれ感動
    しました。
    有花様には「雪嶺」と「冬麗」の句に選と温かいコメントをいただき、ありがとうございました。
    晃様には「冬薔薇」の句に選をいただき、ありがとうございました。松山銀天街の半世紀以上にわたる
    名店(ジャックと豆の木)の閉店が惜しまれます。
    正子先生、句友の皆様今年一年の月例句会大変お世話になりました。来年もよろしくお願い致します。

  6. 土橋みよ
    2024年12月11日 10:25

    お礼
    句集「手袋の色」からこの句会に辿り着きました。特選句に選んで頂きありがとうございました。また、柳原様には、暖かいコメントありがとうございました。

  7. 小口泰與
    2024年12月11日 14:08

    御礼
    高橋正子先生、久美子様、友宏様
    12月ネット句会を開催していただき有難う御座いました。その上、正子先生には「空風」の句を銅賞にお取り上げ頂き、素晴らしい句評をいただき有難う御座います。今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。有難う御座いました。

  8. 小口泰與
    2024年12月11日 14:17

    御礼
    高橋句美子様
    (空風)の句を特選句に(熊眠る)の句を入選句にお取り上げ頂き大変うれしく感謝申し上げます。今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。有難う御座いました。

  9. 桑本栄太郎
    2024年12月14日 10:25

    御礼
    高橋正子先生
    花冠12月ネット句会をご開催頂き、大変有難う御座います!!。
    又「水鳥の飛沫あげつつ又来たり」の句を銅賞にお選び頂き、大変有難う御座います!!。
    高橋句美子様には、特選句に廣田さまには選炉コメントを、西村様には貴重なる選を賜り大変有難う御座います!!。