■11月月例ネット句会/入賞発表■


■2020年11月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年11月9日

【金賞】
8.立冬や靴音高く人が行く/古田敬二
立冬は、「秋が極まり冬の気配が立ち始める日」と説明される。立冬と聞けば、人はなんとなく無口になり、冬服の人もいる。空気が乾燥し、靴音が高く響く。「人が行く」の「人」は肌身ある人というより、客観的な「人」の意識。今日から冬が始まる景色をすっきりと詠んだ。(高橋正子)

【銀賞/2句】
16.音軽し風に乾いて漆の実/吉田 晃
漆の実は、晩秋に葡萄のような薄茶色の房状の実となる。この種の皮から蝋が採られて和蝋燭の原料となるが、そんな漆の実も風に乾いて軽い音を立てている。「音軽し」が晩秋のものさびしさを救ってくれる。(高橋正子)

40.山茶花の真白に咲きて芭蕉句碑/廣田洋一
白山茶花の植えられた芭蕉の句碑を詠んだ句だが、真白な山茶花と芭蕉の取り合わせがいい。芭蕉の潔さやわびた心持を感じさせてくれる。(高橋正子)

【銅賞/3句】
15.雨雲の晴れ行く中より冬紅葉/多田有花
雨雲がかかっていたところが、晴れてゆくと見事な冬紅葉が現れた。その鮮やかさは雲のかかる高度にあって神秘的といってよいほどだ。(高橋正子)

31.おみやげのどんぐり六つ手のひらへ/川名ますみ
散策のときに拾ったどんぐりか、六つほどをおみやげに持ち帰ってくれて、手のひらへ載せてくれた。童心にかえるような楽しさが湧く。(高橋正子)

22.冬晴れに洗濯仕事を軽やかに/西村友宏
曇りや雨で困るのは、洗濯物が乾かないこと。よく乾燥した冬の晴れ間はうれしい。洗濯のあれやこれやの仕事が軽やかにはかどる。洗濯仕事がたのしい仕事になる。いい生活句。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
22.冬晴れに洗濯仕事を軽やかに/ 西村友宏
冬になると洗濯物が多くなるだけでなく乾きにくくなります。そんな中の冬晴れの日の洗濯仕事を軽やかにというのは、すごく共感します。 (高橋秀之)

31.おみやげのどんぐり六つ手のひらへ/川名ますみ
男でも女でも、誰でも子供の頃団栗で遊んだ記憶は有るものです。ここでは大人へのお土産としての団栗と想われますが、平仮名使いの措辞が子供の頃の郷愁を誘います。 (桑本栄太郎)

08.立冬や靴音高く人が行く/古田敬二
15.雨雲の晴れ行く中より冬紅葉/多田有花
16.音軽し風に乾いて漆の実/吉田 晃
35,銀杏黄葉子らきらきらと駆けまわる/高橋正子
40.山茶花の真白に咲きて芭蕉句碑/廣田洋一

【高橋正子特選/7句】
02.雲低し枯木の丘の低ければ/小口泰與
07.織部焼志野焼き並んで秋の昼/古田敬二
08.立冬や靴音高く人が行く/古田敬二
15.雨雲の晴れ行く中より冬紅葉/多田有花
16.音軽し風に乾いて漆の実/吉田 晃
22.冬晴れに洗濯仕事を軽やかに/ 西村友宏
40.山茶花の真白に咲きて芭蕉句碑/廣田洋一

【入選/16句】
01.豆菓子をかりっと噛むや神無月/小口泰與
この頃は空気が乾いて音がよく響く。奥歯で噛む豆菓子の硬さがいい音をたてた。明るく軽い音は作者の明るい気持ちを想像させてくれる。(吉田 晃)

?ボサノバをBGMに冬に入る/多田有花
街中の洒落たお店は折々に雰囲気が変わるよう、様々な工夫がされており、BGMも楽しみですね。立冬には低音でささやくようなボサノバに、新たな季節の到来が感じられ、楽しく耳を傾けられました。 (柳原美知子)

26.散り落ちて紅葉つぎつぎ流れゆく/髙橋句美子
我家の近くにある桜並木の紅葉が下の川に散り落ちて流れて行く。紅葉が散って流れる景色が良く見える。(廣田洋一)
落葉樹は、晩秋の寒冷にあうと、紅葉した葉が風に煽られて川に落ちて流れてゆく景は、華やかな紅葉の姿に晩秋の侘しさが感じられます。 (小口泰與)

32仄赤く富士を照らせる夕月夜/川名ますみ
富士山が見えるところへお住まいでしょうか。仄赤く富士山が染まった月夜、幻想的な景ですね。(祝 恵子)

41.長き首前へ前へと鶴渡る/廣田洋一
寒くなると北の国へ鶴が飛来する。長い首を前へ前へと伸ばして飛ぶ鶴。そのさまがうまく表現されていると思います。 (古田敬二)

04.飄然と風を待ち居りゑの子草/桑本栄太郎
風に揺れている情景を「飄然」という表現をされているのは面白いと感じました。秋ののどかな光景が浮かびます。(西村友宏)

20.秋天の青を返して笹の山/柳原美知子
秋の爽やかな青空が山を照らす様子が想像できます。 (髙橋句美子)

03.底冷えの牛舎や群の白き息/小口泰與
早朝、牛車に入って作業をされているのでしょう。牛の白い息、人の白い息、寒さの中での同じいきものの営みを感じます。(多田有花)

06.つまみ見るひつじ穂確と稔りけり/桑本栄太郎
稲刈り後の田にはひつじが伸びていっとき青々としてきます。やがて気温が下がり、それらは枯れていきますが、そのひつじ穂にもしっかりとした稔りを発見されました。(多田有花)

10.暮れの秋戻る賑わい夜の街/高橋秀之
今年は三月頃からコロナ禍に見舞われ、withコロナの生活は常態となりそのまま暮れていきそうです。それでも少しずつ用心しつつ元の生活の片鱗が戻りつつありますね。(多田有花)

14.立冬や缶詰カレーを温める/多田有花
17.カジュアルの街行く笑顔菊日和/吉田 晃
21.天空に芒の穂絮陽を透かせ/柳原美知子
37.立冬やあてを残して蛸ごはん/祝 恵子
38.冬瓜のころり転がる田の隅に/祝 恵子
42.神門の開け放たれし神の留守/廣田洋一

■選者詠/高橋信之
28.立冬の天井の灯の親しさよ
29.冬に入るデジタル時計に緑置き
30.大根をそのまま妻が卓に置き
産直市で買われた葉付きの大根が一本まるごとテーブルに置かれ、瑞々しい緑と白の輝きに冬の到来を実感されました。おでんや風呂吹き大根が楽しみですね。(柳原美知子)

■選者詠/高橋正子
36.献血車銀杏黄葉の降る下に
銀杏大樹の下に献血車が止まって、献血に訪れる人を待っている。そこに銀杏黄葉がはらはらと散ってきます。献血車の白に赤のストライプ、銀杏黄葉の黄色、明るい晩秋の晴天の午後の日差し、そういうものがはっきりと目に浮かびました。(多田有花)

35,銀杏黄葉子らきらきらと駆けまわる
公園の銀杏がすっかり黄葉し、風に舞い散る中、駆け回る子供たちも秋光を浴び、きらきらとしています。絵本を見るように美しくあたたかい情景です。(柳原美知子)

34.ななかまど夕日まっかに差し来る

■互選高点句
●最高点(6点)
16.音軽し風に乾いて漆の実/吉田 晃


コメント

  1. 廣田洋一
    2020年11月9日 12:48

    御礼
    高橋信之先生
       正子先生
    月例ネット句会を開いて頂き有難う御座います。
    40.山茶花の真白に咲きて芭蕉句碑 を、銀賞、高橋信之特選7句及び高橋正子特選7句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、誠に有難う御座います。
    今後とも宜しくご指導のほどお願い申し上げます。

  2. 廣田洋一
    2020年11月9日 12:53

    御礼
    古田敬二様
    41.長き首前へ前へと鶴渡る をお選びいただき、素敵な選評を頂戴致しまして、大変有難う御座いました。
    大きな励みになります。
    今後ともよろしくお願いいたします。

  3. 多田有花
    2020年11月9日 17:06

    コメント
    03.底冷えの牛舎や群の白き息/小口泰與
    早朝、牛車に入って作業をされているのでしょう。牛の白い息、人の白い息、寒さの中での同じいきものの営みを感じます。

    06.つまみ見るひつじ穂確と稔りけり/桑本栄太郎
    稲刈り後の田にはひつじが伸びていっとき青々としてきます。
    やがて気温が下がり、それらは枯れていきますが、そのひつじ穂にも
    しっかりとした稔りを発見されました。

    10.暮れの秋戻る賑わい夜の街/高橋秀之
    今年は三月頃からコロナ禍に見舞われ、withコロナの生活は常態となり
    そのまま暮れていきそうです。
    それでも少しずつ用心しつつ元の生活の片鱗が戻りつつありますね。

  4. 古田敬二
    2020年11月9日 22:23

    御礼
    信之先生、正子先生
    11月例会で思いのほか金賞に小生の句を選んでいただきありがとうございました。
    ますます励みたいと思います。

  5. 多田有花
    2020年11月10日 20:04

    お礼
    信之先生、正子先生
    花冠11月月例句会を開催いただきありがとうございました。
    立冬が過ぎ、やはり寒くなってきました。
    「雨雲の晴れ行く中より冬紅葉」を銅賞にお選びいただきありがとうございます。
    高橋秀之さま、選をありがとうございます。
    紅葉もようやく本番というところです。

    「ボサノバをBGMに冬に入る」を入選句にお選びいただきありがとうございます。
    柳原美知子さま、コメントをいただきうれしく読ませていただきました。
    小口泰與さま、桑本栄太郎さま、選をありがとうございます。

    「立冬や缶詰カレーを温める」を入選句にお選びいただきありがとうございます。
    廣田洋一さま、吉田晃さま、選をありがとうございました。

  6. 祝恵子
    2020年11月10日 21:00

    お礼
    高橋信之先生、正子先生、11月月例ネット句会の開催をありがとうございました。
    「立冬」「冬瓜」を入選にお選び頂きましてありがとうございました。
    吉田晃様には「立冬」に選を頂きありがとうございました。

  7. 小口泰與
    2020年11月11日 10:24

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    11月月例ネット句会を開催していただきありがとう御座いました。
    また、正子先生には「枯木」の句を特選七句の一句にお取り上げ頂き、素晴らしい句評を賜り有難う御座いました。
    今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
    古田晃様には「神無月」の句にコメントとを頂き感謝申し上げます。
    祝様、多田様、古田様には「底冷え」の句に選を頂き有難う御座いました。
    今後ともよろしくお願い申し上げます。

  8. 桑本栄太郎
    2020年11月11日 12:16

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    11月月例ネット句会をご開催頂き、大変有難う御座います。
    又「瓢然と風を待ち居りゑのこ草」「つまみ見るひつじ穂確と稔利蹴り」の二句を入選句にお選び頂き、大変有難う御座います!。
    小口様、廣田様、西村様、多田有花様には選とコメントをお寄せ頂き、大変有難う御座いました。

  9. 柳原美知子
    2020年11月12日 0:42

    コメント
    30.大根をそのまま妻が卓に置き/高橋信之
    産直市で買われた葉付きの大根が一本まるごとテーブルに置かれ、瑞々しい緑と白の輝きに冬の到来を実感されました。おでんや風呂吹き大根が楽しみですね。

    35,銀杏黄葉子らきらきらと駆けまわる/高橋正子
    公園の銀杏がすっかり黄葉し、風に舞い散る中、駆け回る子供たちも秋光を浴び、きらきらとしています。絵本を見るように美しくあたたかい情景です。

  10. 柳原美知子
    2020年11月12日 1:02

    お礼
    信之先生、正子先生、11月月例句会を開催していただき、ありがとうございました。
    「芒の穂絮」と「秋天」の句を入選句にお加えいただき、ありがとうございました。
    高橋句美子様、「秋天」の句に選と嬉しいコメントをお寄せいただき、ありがとうございました。
    廣田洋一様、小口泰與様、古田敬二様、「芒の穂絮」の句に選をいただき、ありがとうございました。石鎚スカイライン、UFOラインをドライブし天狗岳、瓶が森を目の当たりにし、感動しました。