2月11日~20日


2月20日(4名)

小口泰與
検番も無き糸の町花なずな★★★★
たんぽぽや立ち漕ぎで行く女学生★★★★
節分草赤城の空の根無し雲★★★

廣田洋一
忙しげに葉先の揺れる竹の秋★★★

竹林や荒れたるままに秋来たる(原句)
「秋来る」だと、実際の秋が来る意味に取れます。
竹林の荒れたるままに竹の秋★★★(正子添削)

古き家の庭の広がる梅の花(原句)
古き家の庭の広がり梅の花★★★★(正子添削)

桑本栄太郎
潮の香のふるさと想う多喜二の忌★★★
芽柳の風をはらいぬ川辺かな★★★
畑中のマルチきらめき風光る★★★★

古田敬二
クロッカス合格の日の朝に咲く★★★★
土からふっくらとした花を咲かせるクロッカスは、ほほえみのような明るい花だ。合格おめでとうというように朝、喜びの花を咲かせてくれた。(高橋正子)

春日さす水底メダカ餌に寄る★★★
黄水仙つぼみを載せて伸びる朝★★★

2月19日(3名)

小口泰與
サッカーに集う河原や水温む★★★★
駒返る草やゴルフの打球音★★★
ばらの芽の歓喜の声を開きける★★★

廣田洋一
雛飾る雨水の空の晴上り★★★★
雛を飾る日は、やはり晴れていてほしい。ちょうど雨水ながら、空は晴れて、飾られた雛も晴れやかなお顔だろう。(高橋正子)

プランターの土を篩ひし雨水かな★★★
球根の一つ届きて雨水かな★★★

桑本栄太郎
水切りの豆のふくらむ雨水かな★★★
永き日の新調したるスニーカー★★★★
日が永くなった。外を歩くのが楽しくなる。スニーカーを新調して、足取り軽く歩くのだ。なによりも足取りが軽いのがいい。(高橋正子)

芸術の爆発したりかの子の忌★★★

2月18日(3名)

小口泰與
新しき菓子次次や名の木の芽★★★
ばらの芽のとびとびに出づ小ぬか雨★★★

下萌やフォークダンスの輪の中に★★★★
日本で歌声運動やフォークソングが流行った時代、フォークダンスは若者たちにが躍ったように思う。今はだれなのか。輪になってフォークダンスを踊る広場の中心は緑が芽生え始めている。あかるく楽しそうな景色だ。句の素直さ、平易さもいい。(高橋正子)

廣田洋一
江ノ島の緑濃くせり春時雨★★★
暮れそめし車窓に流る春時雨★★★
石垣に零れ咲きたる黄水仙★★★

桑本栄太郎
枕辺に箱雛飾る仏間かな★★★
くくだちの蕾に黄色ありにけり★★★
竹林のはだれとなりぬ春の雪★★★★

2月17日(4名)

小口泰與
紅梅や榛名富士より根無し雲★★★

金縷梅や利根の目覚めの速かりし(原句)
金縷梅や利根の目覚めの早かりし★★★★(正子添削)
「目覚めの速かり」は不自然です。ここは、「目覚めの早かり」でよいです。
早春にまず咲く花、金縷梅(まんさく)が、利根の流れに沿って咲いている。それよりも利根川は早く目覚めて流れを速めている。早春の空気感が伝わる景色だ。(高橋正子)

猫柳いまだボートは山積みに★★★

廣田洋一
白玉の香るがごとし春玉葱★★★★
早くも玉葱が出回り始めた。春玉葱は、生食して美味で、真っ白な玉がうれしい。春玉葱のフレッシュさがいい。(高橋正子)

縁側をしきりに通う猫の声★★★
餌をやるなと看板あり猫の恋★★★

桑本栄太郎
梅林の夜ともなれば匂い濃し★★★★
有職と云うは哀しき古ひひな★★★
木々の枝の赤味ましたり春きざす★★★

多田有花
ほうれんそうスープの緑鮮やかに★★★
春菜くる薄桃色のジュース添え★★★
走りゆく先は青空春しぐれ★★★★

2月16日(4名)

小口泰與
見慣れたる榛名九嶺風光る★★★
ほうれん草赤城の風の豊かにて★★★★
山際の梅のほつほつふふみける★★★

廣田洋一
初午と知らずに過ぎしお稲荷さん★★★
初午や日本酒一合供へられ★★★★
今年の初午は2月9日。稲荷神社のお祭りだが、京都の伏見稲荷のような立派な神社から、祠のようは稲荷神社がある。狐を田の神(山の神)として祭り、好物の油揚げやお稲荷を供える。お神酒徳利にお神酒も供えられる。あまりにつつましい祭りがほほえましく思える。酒一合もつつましさ。(高橋正子)

春愁や友の断じる俳句依存症★★★

桑本栄太郎
有職と云うは雅や古ひひな★★★
白壁の古民家ありぬ梅二月★★★★
雨に濡れ滴垂れゐる梅見かな★★★

多田有花
春眠にゆったり四肢を投げ出して★★★
あのころの写真デジタル化する二月★★★
有頭の海老のリゾット春の雨★★★

2月15日(3名)

デパートの春のショールや五色豆★★★
鞦韆や缶ドロップの音さやか★★★
青空を映す榛名湖百千鳥★★★

廣田洋一
梅見頃青鮫偲ぶ日和かな★★★
舗装路のしわを埋めたる薄氷★★★
薄氷をゆらゆら揺らす小波かな★★★

桑本栄太郎
目覚むれば記憶うつろや春の夢★★★
ふるさとを離れ上京春愁う★★★
ニン月の目覚めて遠き故郷かな★★★★
二月と言う季節は、日差しは明るく、寒さも清らかなイメージとなって浮かんでくる。浅き春の目覚めに遠き故郷が浮かんでくるのも無理もない。(高橋正子)

2月14日(5名)

小口泰與
囀りや雨後の梢の真珠玉★★★★
蕗の芽や畷を犬と鳶の笛★★★
忽然と雉の鋭声や野良仕事★★★

廣田洋一
街角の漂ふ香り梅の花★★★★
婦人用ふんどし積まれ二月十四日★★★
八十路にてチョコを配れりバレンタインの日★★★

桑本栄太郎
白梅と紅梅混じり枝垂れけり★★★
丘上のにぶき日差しや梅香る★★★★
畑打や鳥の留まり見つめ居り★★★

多田有花
春浅き空をゆっくり大観覧車★★★★
「ゆっくり」が春らしくていい。春浅き空をゆっくり回る観覧車から、下界の景色はどう見えるだろうか。そんなことを思わせる句。(高橋正子)

春雨や免許証の再交付★★★
春めきてお勧めチーズケーキを食す★★★

古田敬二
独りいる芽吹きの前の森静か(原句)
独りいて芽吹きの前の森静か★★★★(正子添削)
芽吹く前の森は、独りいれば、何か動く気配のようなものを感じるが、その気配がかえって静けさを呼び起こしている。燃え上がるような芽吹きの前の森が想像できる。(高橋正子)

春の木をコゲラがたたく森静か★★★
早春の水吸い上げている森静か★★★

2月13日(3名)

小口泰與
一斉にふふむ紅梅通り雨★★★★
さあっと降って通り過ぎる雨に紅梅も動き出した感じだ。一斉に蕾が膨らみ雨、蕾は雨露を光らせている。これからが楽しみな紅梅である。(高橋正子)

四季ばらの四方八方芽吹きおり★★★
迎春花線香花火の火をかばう★★★

廣田洋一
吟行の地図を片手に梅見かな★★★
梅見終へ墓参りせる母子かな★★★
二月にひそやかに咲く十月桜★★★

桑本栄太郎)
舟小屋の屋根崩れ居り磯菜摘む★★★
海苔掻やはるかに臨む隠岐の島★★★★
紙切れのハングル文字や春の磯★★★

2月12日(3名)

小口泰與
ひねもすの雨に紅梅ふふみけり★★★
忽然と椿を落とす山の神★★★★
そぼ降りてさわに芽吹きし庭の薔薇★★★

廣田洋一
門前の日溜りにあり黄水仙★★★
倒れてもなほ香りたる黄水仙★★★

白梅や梢の先に凛と咲き★★★★
白梅はまっすぐ伸びた梢の先まで花をつける。梢の先だからと言って、力を抜くわけではなく、凛と花を咲かせている。梅の花の凛とした気品が読み取れる句。(高橋正子)

桑本栄太郎
街道の雲の走るや菜の花忌★★★★
野放図と言うは畑の野梅かな★★★
天に向きリフト伸び行き剪定す★★★

2月11日(4名)

小口泰與
クロッカス赤子の笑顔陽の如し★★★
紅梅や暖簾をくぐる和服の娘(こ)★★★
渓流へどどっと攻むや蕗の薹★★★★

廣田洋一
水耕の花瓶並びてチューリップ★★★
タワマンの工事も休み建国記念日★★★
建国の日出雲・大和の展覧会★★★

桑本栄太郎)
頂のうつすら白くはだれ嶺★★★
春光の光りきらめく山河かな★★★
味噌といふ文化がありぬ建国日★★★

古田敬二
春の日のあまねく森を照らしけり★★★
青空をゆっくり掃ける春の木々★★★
コーヒー飲む窓から春の海見えて(原句)
「見えて」の「て」があると、句が締まらず、流れてしまうので、添削しました。
コーヒー飲む窓から春の海が見え★★★★(正子添削)

自由な投句箱/2月1日~10日


※当季雑詠3句(冬の句・春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
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今日の秀句/2月1日~10日


2月10日(2句)

★古墳への道の細きや春寒し/小口泰與
古墳は小高い丘の上などによくあって、たしかにそこに至る道は人が一人通れるほどの細い道。春寒い風が古墳の丘を撫でて吹く。(高橋正子)

★今週は早稲田に集ふ受験生/廣田洋一
大学受験のシーズン。今週は早稲田大学の入試がある。早稲田大学には、日本津々浦々から大勢の受験生が集う。その様子は、壮観と言えるほど。受験の句として、特異で面白いと思った。(高橋正子)

2月9日(2句)

★水音のかすかに橅や春の昼/小口泰與
私は、木の幹を水が通る音を聞いた経験があるような、ないような気持ちでこの句を読ませていただいた。春の昼の静かな森。橅の幹に耳を当てれば、かすかな水音がする。春のおとずれが、こんなところにもある。(高橋正子)

★白梅や黄色き蕊の光りをり/廣田洋一
白梅のよさは、花の白さや匂いばかりではない。まんなかにぱっと開いた黄色い蕊が日を受けて金のように光る。梅の花の強さでもあろう。(高橋正子)

2月8日(2句)

★芽吹きしに風に竦みし木の芽かな/廣田洋一
芽吹いた木の芽が、風の寒さに思わず竦んだ。作者自身が木の芽になったような、やさしさ。「竦んだ」と感じたのは、ようやく芽を出したばかり「出るか、出ないか」の木の芽を見てのこと。(高橋正子)

★やわらかき雲浮き来れば冬温し/川名ますみ
空を見るとやわらかな雲が浮いている。そのやわらかさは、春の雲のよう。それほど今冬なのに温かい。

2月7日(1句)

★海鳴りを遠くに聞きつ雛飾る/桑本栄太郎
海辺の暮らしにも雛を飾る日がある。遠く海鳴りを聞きながら雛を飾ると、海鳴りが遠い昔からの音でもあるような感じを抱く。(高橋正子)

2月6日(1句)

★探梅に青空の雲奔りけり/桑本栄太郎
探梅のころは、まだまだ風が寒い。晴れていながら雲は奔っている。上空はそれほど風が強い。動きのあるのがいい。(高橋正子)

2月5日(1句)

★ビル染める夕陽明るく春立つ日/上島祥子
いつものビルなのに、夕陽が明るく差すと、春がきたことがうれしく実感される。弾んだような嬉しさがいい。(高橋正子)

2月4日(2句)

★水切りの石弾みたる春の川/廣田洋一
さらりとした春らしい句。水切りの石が弾んで水の上を飛んでいく様子を素直に表現してやさしい句おなった。(高橋正子)

★春立つや空き家いよいよ空っぽに/多田有花
家具を取り払ったばかりの家であろう。外の明るい日差しと対照的に家内は、がらんと洞のようになっている。「いよいよ」「空っぽ」に強い思いがある。そこに惹かれる句だ。(高橋正子)

2月3日(1句)

★柊挿す赤城の風の叩く戸に/小口泰與
柊を戸に挿して、鬼を払う。その戸は赤城颪に寒そうにカタカタと鳴っている。あまりに蕭条として、鬼が実際居りそうな気配である。冬尽きる日の赤城の裾野の村である。(高橋正子)

2月2日(1句)

★縄跳びが風をきる音日脚伸ぶ/多田有花
日脚が伸びて子どもたちは外遊びが楽しくなる。縄跳びの縄もびゅんびゅん風を切ってなる。元気いっぱいの子供の様子がよく見える句だ。(高橋正子)

2月1日(1句)

★冬尽くや淡き色なる五色豆/小口泰與
冬が尽きるとき、暖かいところに住む人は、少し冬を惜しむような気持ちも湧くかもしれないが、
雪国や山国では、冬からの解放感が湧き上がるのではと思う。「淡き色なる五色豆」は、春そのもののように明るくほのぼのとしている。(高橋正子)

2月1日~10日


2月10日(2名)

小口泰與
古墳への道の細きや春寒し★★★★
古墳は小高い丘の上などによくあって、たしかにそこに至る道は人が一人通れるほどの細い道。春寒い風が古墳の丘を撫でて吹く。(高橋正子)

春暁の水平傾ぐ写真かな★★★
春の朝日矢の当たりし浅間山★★★

廣田洋一
受験生にバス案内の先輩かな★★★
今週は早稲田に集ふ受験生★★★★
大学受験のシーズン。今週は早稲田大学の入試がある。早稲田大学には、日本津々浦々から大勢の受験生が集う。その様子は、壮観と言えるほど。受験の句として、特異で面白いと思った。(高橋正子)

梅見終へ井戸水汲みし東慶寺★★★

2月9日(3名)

小口泰與
鉦の音の響く夕べや春祭★★★★
水音のかすかに橅や春の昼★★★★
私は、木の幹を水が通る音を聞いた経験があるような、ないような気持ちでこの句を読ませていただいた。春の昼の静かな森。橅の幹に耳を当てれば、かすかな水音がする。春のおとずれが、こんなところにもある。(高橋正子)

冴返る利根の流れと根無し雲★★★

廣田洋一
白梅や黄色き蕊の光りをり★★★★
白梅のよさは、花の白さや匂いばかりではない。まんなかにぱっと開いた黄色い蕊が日を受けて金のように光る。梅の花の強さでもあろう。(高橋正子)

ふんはりと赤き玉なす梅の花★★★
蝋梅や真青な空に果てたりき★★★

桑本栄太郎
頂のうつすら白く寒戻る★★★
冴え返る木々の梢のすくみ居り★★★★
降り晴るる一日終わりぬ余寒かな★★★

2月8日(5名)

小口泰與
とびとびの枝の白梅ふふみけり★★★★
仰ぎたる浅間快晴銀蝋梅★★★
八十路なお書店通いや未開紅★★★

桑本栄太郎
起きて先ず結露拭きたり春の朝★★★
うつすらと路面光りぬ春しぐれ★★★
目覚むれば嶺の茜や春入日★★★★

多田有花
仏壇を送り出したる余寒かな★★★★
春早し再び入院の知らせ★★★
戸惑いつ焦りつ春眠より覚める★★★

廣田洋一
頭出し風に竦みし木の芽かな(原句)
芽吹きしに風に竦みし木の芽かな★★★★(正子添削)
芽吹いた木の芽が、風の寒さに思わず竦んだ。作者自身が木の芽になったような、やさしさ。「竦んだ」と感じたのは、ようやく芽を出したばかり「出るか、出ないか」の木の芽を見てのこと。(高橋正子)

まだ固き木の芽に声を掛けたりき★★★★
白き脚真赤になりぬ余寒かな★★★

川名ますみ
ラの音で走る列車よ今朝立春★★★
やわらかき雲浮き来れば冬温し★★★★
空を見るとやわらかな雲が浮いている。そのやわらかさは、春の雲のよう。それほど今冬なのに温かい。

紅梅と富士と多摩川窓一枚(御幸公園)★★★

2月7日(3名)

小口泰與
SLの太き汽笛や春の利根川(とね)★★★★
牧場にオカリナ聞ゆクロッカス★★★
ままごとの茶碗に盛りし猫柳★★★

廣田洋一
金閣を磨き上げたり春の雪★★★
とてもいい情景なのですが、「磨き上げたり」がしっくりきません。
金閣を眩しめ降れり春の雪(添削例)

神さびて白き斎庭や春の雪★★★
小公園一人きりなる梅見かな★★★

桑本栄太郎
ふるさと海想いたり磯菜摘む(原句)
ふるさとの海想いたり磯菜摘む★★★★(「の」の脱落でしょうか)

海鳴りを遠くに聞きつ雛飾る★★★★
海辺の暮らしにも雛を飾る日がある。遠く海鳴りを聞きながら雛を飾ると、海鳴りが遠い昔からの音でもあるような感じを抱く。(高橋正子)

吹きすさぶ風を恋い居り波の花★★★

2月6日(3名)

小口泰與
榛名湖の白波を聞く余寒かな★★★
黄水仙古墳を警護する如し★★★★

囀りや雪解定かな榛名富士(原句)
「囀り」「雪解」は、ともに春の季語です。どちらかに焦点を置いてください。
雪解はどんなことからそれを知ったのでしょうか。

廣田洋一
裏窓を叩く梢や冴返る★★★★
夕空に煌めく星や冴返る★★★★
飯蛸や金色の輪を探したり★★★

桑本栄太郎
日差し居る丘に登りぬ梅ひらく(原句)
登りぬ/梅ひらく が切れすぎ、ここは、「付かず離れず」(不即不離)です。

日差しいる丘に登れば梅ひらく★★★(添削)

青空の雲奔り居り梅探る(原句)
雲「奔り」と梅「探る」と動詞が二つあって、少し散漫かなと思います。

探梅に青空の雲奔りけり★★★★(添削)
探梅のころは、まだまだ風が寒い。晴れていながら雲は奔っている。上空はそれほど風が強い。動きのあるのがいい。(高橋正子)

紅梅の青空背なに開きけり★★★

2月5日(4名)

小口泰與
立春の榛名九嶺湖の上★★★
早春の光り返して利根の水(原句)
「利根の水」は、具体性に欠けるようで、静止したような印象を受けます。光を返すのは波がよいのではと思います。

早春の光り返して利根の波★★★★(添削)
冴返る赤城の風と利根の波★★★

廣田洋一
パソコンの動きの遅し余寒かな★★★
余寒なほ道行く人の背を丸め★★★
早春の光を浴びてゲートボール★★★

桑本栄太郎
春しぐれ恋は水色とう空に★★★
散策の一人歩きの余寒かな★★★
海苔掻きや潮目の白く沖にあり★★★★

上島祥子
ビル染める夕陽明るく春立つ日★★★★
いつものビルなのに、夕陽が明るく差すと、春がきたことがうれしく実感される。弾んだような嬉しさがいい。(高橋正子)

まず白が満開となり梅の庭★★★★
春の海検疫待ちのクルーズ船★★★

2月4日(4名)

小口泰與
利根川の流れ静かや梅の花★★★★
寒明けや利根の瀞場の渦の解け★★★

春立つやマニキアのよう牡丹の芽(原句)
「春立つ」と「牡丹の芽」はともに春の季語です。
マニュキアを刷かれしごとく牡丹の芽(添削例)

廣田洋一
立春の日差しを隠す雲流れ★★★
立春や運動靴を洗ひけり★★★★

水切りの石弾みたる春の川★★★★
さらりとした春らしい句。水切りの石が弾んで水の上を飛んでいく様子を素直に表現して句意と合っている。(高橋正子)

多田有花
快晴の春立つ朝に退院す★★★
竹林を春立つ風の揺らしけり★★★★

春立つや空き家いよいよ空っぽに★★★★
家具を取り払ったばかりの家であろう。外の明るい日差しと対照的に家内は、がらんと洞のようになっている。「いよいよ」「空っぽ」に強い思いがある。そこに惹かれる句だ。(高橋正子)

桑本栄太郎
ふるさとの海鳴り遠く波の花★★★
すずめ等の庭に降り立つ懸大根★★★
木々の枝の赤み差したり春迎ふ★★★★

2月3日(3名)

小口泰與
節分やテレビ命の老二人★★★

柊挿す赤城の風の戸を叩き(原句)
柊挿す赤城の風の叩く戸に★★★★(正子添削)
柊を戸に挿して、鬼を払う。その戸は赤城颪に寒そうにカタカタと鳴っている。あまりに蕭条として、鬼が実際居りそうな気配である。冬尽きる日の赤城の裾野の村である。(高橋正子)

節分や五戸より増えぬ峡の里★★★★

廣田洋一
福豆を一つ捕らえぬ節分会★★★
寒卵納豆飯に落としけり★★★
門口に柊挿せる寿司屋かな★★★★

桑本栄太郎
壬生寺に妻のお詣り追儺の会★★★★
くつさめも憚りありぬ集会所★★★
露凝るや仰ぐ葉裏の煌きて★★★

2月2日(4名)
小口泰與
白鳥の鋭声を発し翔ちにけり★★★
冬の鷺水面へ太き影伸ばし★★★
こうこうと餌をせびりし大白鳥★★★★

廣田洋一
盆梅の花より幹に唸りけり(原句)
いい句なのですが、「唸り」が気になります。基本は写生です。
盆梅の幹に歳月おおいなり(添削例)

400年の情熱放つ盆梅かな★★★
盆梅の鉢は今風信楽焼★★★

桑本栄太郎
露凝るやカーテン開き拭く朝★★★
鉢植えの葱の葉朝に事足れり★★★★
結界の護摩壇焚かれ追儺の会★★★★

多田有花
よく晴れて遠嶺に雪の姿あり★★★
ことごとく信号は青春隣★★★
縄跳びが風をきる音日脚伸ぶ★★★★
日脚が伸びて子どもたちは外遊びが楽しくなる。縄跳びの縄もびゅんびゅん風を切ってなる。元気いっぱいの子供の様子がよく見える句だ。(高橋正子)

2月1日(3名)

小口泰與
枯芝や我が物顔の醜草ぞ★★★

冬尽くや淡き色なる五色豆★★★★
冬が尽きるとき、暖かいところに住むひとは、少し冬を惜しむような気持ちも湧くかもしれないが、
雪国や山国では、冬からの解放感が湧き上がるのではと思う。「淡き色なる五色豆」は、春そのもののように明るくほのぼのとしている。(高橋正子)

風花の畷の空に鳶の笛★★★★

廣田洋一
受験子にバスの案内春隣(原句)
現実、中学受験などは、冬である2月1日から始まるので、春の季語である「受験子」と冬の季語である「春隣」をどう処理するかが問題になります。厳密にしすぎると矛盾が生じ、窮屈な考えになります。文芸上の真ということもありますから、句意から「受験子」を活かし、受験子の様子などを表現し、「春隣」を削り、春の句とするのがよいと思います。
受験子のまだ幼きにバスを案内(添削例①)
受験子にバスを案内背を見遣り(添削例②)

初雪の便り遅れて春隣★★★
次々と荒波立ちて春近し★★★

桑本栄太郎
山際の水色空やしぐれ雲★★★
ニン月と思う梢やゆるび見ゆ★★★
木々の枝の黒々とあり冬入日★★★★

自由な投句箱/1月21日~31日


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今日の秀句/1月21日~31日


1月31日(1句)

★剪定の目印ありぬ冬木立/桑本栄太郎
剪定する木に、赤とか緑、青、あるいは黄色といったテープなどで、目印がつけてある。冬木立なので、色が目立ち浮き立つ。剪定を待つ木々に春がそこまで来ている。俳句らしい目のづけどころがいい。(高橋正子)

1月30日(2句)

★咲き誇る梅の合間に青き空/廣田洋一
今、ちょうど、梅の花が咲き誇っている。先日まで2、3分咲きだったのが、真っ白に咲いている。その間から覗く青空もきれいでいいものだ。(高橋正子)

★短身の我が影長く日脚伸ぶ/桑本栄太郎
明るい日差しに映る自分の全身の影。長身でなかなかのスタイルではないか、と思うような影ができる。明るい日差しに、こんな影を見ると、若者でなくても、自己肯定感が増すというものだろう。(高橋正子)

1月29日(1句)

★春近しペンキ新たなボートかな/小口泰與
ボートのペンキが塗り替えられて、ボート遊びの季節に備えられている。塗り替えられたペンキが日に明るく、春の近さが思われる。(高橋正子)

1月28日(1句)

★温室の窓開けらるる春隣り/桑本栄太郎
温室は、室温が高くなりすぎると、蒸れて植物にいろいろ障害が現れる。窓を開けて空気を入れる必要があって、光が十分に差す暖かい日には、温室の窓が開けられる。それを見ると春はすぐ隣なのだ。(高橋正子)

1月27日(1句)

★寒禽に花びら揺るる小枝かな/桑本栄太郎
寒禽が止まる小枝に花が咲き、寒禽の重さや動きで花びらがゆれる。この寒さの中にもかわいらしい光景がある。(高橋正子)

1月26日(1句)

★日脚伸ぶ浅間の空のより深き/小口泰與
日脚が伸びると、浅間の空は、青さがより深くなる。空が輝くよりも深くなるのは、山国のためであろうか。(高橋正子)

1月25日(2句)

★寒林の彼方にありぬ入日かな/桑本栄太郎
寒林の彼方に日が沈む。寒林の枝々が入日を透かし、寒林が光を発しているようにも見える。暖かく心にしみる入日だ。(高橋正子)

★きらきらと池の面光る春隣/多田有花
池の面のさざ波がきらきら光る景色は、風の冷たさをよそに、春がそこまで来ている感じを持たせてくれる。(高橋正子)

1月24日(2句)

残りたる木の実の落ちて冬深し/廣田洋一
木の実がほとんど落ちてしまっているが、念を押すかのように残っている木の実が落ちた。冬の深まりを知る。(高橋正子)

★窓越しの空は明るく冬夕焼け/上島祥子
俳句の内容にふさわしい伸びやかで、素直な句。窓越しに空を見ると冬夕焼が広がっている。希望がすむような冬夕焼がいい。(高橋正子)

1月23日(1句)

★かまくらや一灯ともし完成す/廣田洋一
雪国の小正月の伝統行事として、今では、観光にもなっているかまくらであるが、雪洞のなかに、祭壇を作り水神が祭られ、灯をともして、また、子供たちが餅を焼いて食べたりする。「一灯ともし完成す」で、建築家のブルーの・タウトが「夢の国」とまで言った、幻想的な光景が見られることになる。(高橋正子)

1月22日(1句)

★隼の風割る響き青空に/小口泰與
隼が風を割る(切る)音を実際聞いたことないが、隼が獲物を狙い急降下するとき、時速300キロメートルで急降下するとのことだが、そのとき風を割る音だろう。その鋭い音が冬の青空に響く。隼の精悍さを思う。(高橋正子)

1月21日(1句)

★木蓮のいよよ色めく冬芽かな/桑本栄太郎
木蓮の冬芽も、日脚が伸びてくると、少し膨らみ、つやつやとしてくる。「いよよ色めく」と思われる。春とおからじである。(高橋正子)

1月21日~31日


1月31日(4名)

廣田洋一
大寒に目出度き舞の中華街★★★★
茜色はね返すごと冬三日月★★★
三日月の光柔らか冬ぬくし★★★

小口泰與
あおあおと浅間の空や冬の草★★★
夕照の沼の空より大白鳥★★★★
枯葦や利根の白波奮い起つ★★★

桑本栄太郎
剪定の目印ありぬ冬木立★★★★
剪定する木に、赤とか緑、青、あるいは黄色といったテープなどで、目印がつけてある。冬木立なので、色が目立ち浮き立つ。剪定を待つ木々に春がそこまで来ている。俳句らしい目のづけどころがいい。(高橋正子)

青空に毬吊り下げる冬木かな★★★
今頃となりて夕べの寒波来る★★★

多田有花
春隣る朝の光が木々に差し★★★★
明るさを増す光浴び寒鴉★★★
寒晴や捨てる荷物は山ほどある★★★

1月30日(3名)

小口泰與
弔問の帰りの星や枯木立★★★★
水源の森の鳥語や雪明り★★★
新聞に包まる冬菜貰いける★★★

廣田洋一
早梅や独り見上げし並木道★★★
咲き誇る梅の合間に青き空★★★★
今、ちょうど、梅の花が咲き誇っている。先日まで2、3分咲きだったのが、真っ白に咲いている。その間から覗く青空もきれいでいいものだ。(高橋正子)

潦紅く染めたる梅の花★★★

桑本栄太郎
我がうちの蠢動覚ゆ春隣り★★★
短身の我が影長く日脚伸ぶ★★★★
明るい日差しに映る自分の全身の影。長身でなかなかのスタイルではないか、と思うような影ができる。明るい日差しに、こんな影を見ると、若者でなくても、自己肯定感が増すというものだろう。(高橋正子)

畦焼のけむり棚びく野面かな★★★

1月29日(3名)

小口泰與
裸木の秀枝に二羽の雀かな★★★
烈風や牡丹の冬芽血の如し★★★
春近しペンキ新たなボートかな★★★★
ボートのペンキが塗り替えられて、ボート遊びの季節に備えられている。塗り替えられたペンキが日に明るく、春の近さが思われる。(高橋正子)

廣田洋一
道戻り手袋拾ふ坂の上★★★
手袋の右だけ落とす改札口★★★
手袋をずらりと干せり工事主任★★★

桑本栄太郎
山際の水色なりぬしぐれ虹★★★★
寒林の梢ゆるむや木々の雨★★★
木々の枝の緩む雨なり草城忌★★★

1月28日(3名)

小口泰與
犬と居て信号を待つ四温かな★★★
記憶より狭き校庭冬菫★★★
忽然と空を奪いし鴨の群★★★★

桑本栄太郎
日輪のにぶき日射しや寒緩む★★★
温室の窓開けらるる春隣り★★★★
温室は、室温が高くなりすぎると、蒸れて植物にいろいろ障害が現れる。窓を開けて空気を入れる必要があって、光が十分に差す暖かい日には、温室の窓が開けられる。それを見ると春はすぐ隣なのだ。(高橋正子)

ゆるゆるとうねる生駒嶺や日脚伸ぶ★★★

廣田洋一
句会終へ未だ止まざる冬の雨★★★
独り居の窓を打ちけり寒の雨★★★
裸木を黒く染めたり雨しとど★★★★

1月27日(3名)

小口泰與
湖の奥に浅間山(あさま)や日脚伸ぶ★★★
春待つや五家宝の土産とどきける★★★
春近し金平糖のうすき色★★★★

廣田洋一
待ち合わせ取消されけり雪催★★★
雪催人影見えぬ畑かな★★★★
柚の実の中をえぐられ雪催★★★

桑本栄太郎
寒禽の花びら揺るる小枝かな(原句)
寒禽に花びら揺るる小枝かな★★★★(正子添削)
寒禽が止まる小枝に花が咲き、寒禽の重さや動きで花びらがゆれる。この寒さの中にもかわいらしい光景がある。(高橋正子)

唐国のまき散らしたり流行風邪★★★
午後よりの風の出でをり寒の雨★★★

1月26日(4名)

廣田洋一
着ぶくれて階段高しジム通ひ★★★
穏やかな主の顔や冬菫★★★
冬菫見る度ごとに歩をゆるめ★★★★

小口泰與
外に出づや眼間大きく寒満月★★★
蝋梅や夕餉仕度の手をとめて★★★
日脚伸ぶ浅間の空のより深き★★★★
日脚が伸びると、浅間の空は、青さがより深くなる。空が輝くよりも深くなるのは、山国のためであろうか。(高橋正子)

桑本栄太郎
せせらぎに固まりいたる冬の鷺★★★
くだら野やどどと過ぎ行く新幹線★★★
くいくいと天を目指すや桜芽木★★★★

多田有花
白菜の収穫進む遠き畑★★★★
寒晴や河岸段丘ひろびろと★★★★
春近し江戸の道標残る道★★★

1月25日(4名)

小口泰與
冬落暉飛行機雲も日を受けて★★★★
酒量はや子にかなわざり寒見舞★★★
村里の書割めきて冬の月★★★

廣田洋一
病得し友の見舞や冬日和★★★★
富士山に雲一つ浮き冬うらら★★★
蒸かし饅頭に行列長し冬日和★★★

桑本栄太郎
三寒の四温の晴れや朝日差す★★★
着ぶくれと言い訳なりぬ太き腹★★★

寒林の彼方にありぬ入日かな★★★★
寒林の彼方に日が沈む。寒林の枝々が入日を透かし、寒林が光を発しているようにも見える。暖かく心にしみる入日だ。(高橋正子)

多田有花
寒の空リアウインドウいっぱいに★★★
今川焼姫路じゃ断然御座候★★★
横浜そごうに御座候あります。断然ですね。(正子)

きらきらと池の面光る春隣★★★★
池の面のさざ波がきらきら光る景色は、風の冷たさをよそに、春がそこまで来ている感じを持たせてくれる。(高橋正子)

1月24日(4名)

小口泰與
白鳥へ飛び來るパンを奪いあう★★★
浅間嶺へ冬星ひときは耀える★★★★
雪雲の峠の空をみたしけり★★★

廣田洋一
三寒の続かぬうちに四温来る★★★
残りたる木の実の落ちて冬深し★★★★
木の実がほとんど落ちてしまっているが、念を押すかのように残っている木の実が落ちた。冬の深まりを知る。(高橋正子)

箱根は雪とスマホに知らせあり★★★

桑本栄太郎
手探りのような朝や冬の靄★★★
くだら野や貨物列車の何処までも★★★★
嶺の端のうすき茜や日脚伸ぶ★★★

上島祥子
早天やインフルエンザ罹患メール★★★
廃屋の更地となって冬の雨★★★

窓越しの空は明るく冬夕焼け★★★★
俳句の内容にふさわしい伸びやかで、素直な句。窓越しに空を見ると冬夕焼が広がっている。希望がすむような冬夕焼がいい。(高橋正子)

1月23日(3名)

小口泰與
白鳥の塒へ奇数偶数と★★★
鴛鴦や永久のめおとの姿なり★★★
吹越と呼びし老婆の今は亡き★★★
(注)吹越(ふっこし)は、上州地方の方言で風花のこと。吹越(し)(ふきこし)は、万葉集では、風が高くを過ぎることを指しています。(高橋正子)

廣田洋一
かまくらや一灯ともし完成す★★★★
雪国の小正月の伝統行事として、今では、観光にもなっているかまくらであるが、雪洞のなかに、祭壇を作り水神が祭られ、灯をともして、また、子供たちが餅を焼いて食べたりする。「一灯ともし完成す」で、建築家のブルーの・タウトが「夢の国」とまで言った、幻想的な光景が見られることになる。(高橋正子)

かまくらや狭きとは言へ華やぎて★★★★
かまくらの座敷を仕切るガキ大将★★★

桑本栄太郎
彫刻のように川面や冬の鷺★★★
うつうつとひと日暮れ行く寒の雨★★★
水滴の小枝に歌う寒の雨★★★

1月22日(3名)

小口泰與
蝋梅や三三五五と歩を運び★★★
隼や媼の鎌の光りける★★★
隼の風割る響き青き空(原句)
「隼の風割る響き」と「青き空」の二つことが示されていますが、それがどうしたのですかという質問が生まれます。つまり、取り合わせの場合の切れの問題です。

隼の風割る響き青空に★★★★(正子添削)
隼が風を割る(切る)音を実際聞いたことないが、隼が獲物を狙い急降下するとき、時速300キロメートルで急降下するとのことだが、そのとき風を割る音だろう。その鋭い音が冬の青空に響く。隼の精悍さを思う。(高橋正子)

廣田洋一
青空を弾くが如し早き梅★★★★
あちこちにほころびをりぬ早き梅★★★
早梅や高き枝より咲き始む★★★

桑本栄太郎
太きもの白く立ち居り冬の畑★★★

地下鉄の地上に出でて日脚伸ぶ(原句)
地下鉄より地上に出でて日脚伸ぶ★★★★(正子添削)

一木を絡め取りたり枯むぐら★★★

1月21日(3名)

小口泰與
吹越に岸辺の鷺の動かざる★★★
蝋梅の川面いっぱい攻め入りぬ★★★★
冬空へのっぺらぼうのビルひとつ★★★

廣田洋一
群れなしてつんと尖りし冬木の芽★★★
鳥の声急かせる如く冬木の芽★★★
日の光溜め込みてをり冬木の芽★★★★

桑本栄太郎
病院の中庭なりぬ枯芙蓉★★★
木蓮のいよよ色めく冬芽かな★★★★
木蓮の冬芽も、日脚が伸びてくると、少し膨らみ、つやつやとしてくる。「いよよ色めく」と思われる。春とおからじである。(高橋正子)

師の影を追い求めたり久女の忌★★★

自由な投句箱/1月11日~20日


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今日の秀句/1月11日~20日


1月20日(1句)

★冬の星見舞い帰りのバス停に/小口泰與
病院の面会時間に合わせて午後から見舞いに出かけたのであろう。帰るころ、バス停でバスを待っていればいれば、冬の日暮れは早く、星が出ている。見舞いのあとのきれいな星に心を置いている。(高橋正子)

1月19日(2句)

★雪空に生き生きと飛ぶ鳥のあ/廣田洋一
鳥たちは、雪空であろうと、自由に、いきいきと飛んでいる。小さい体にある生命力の強さを見せられる場面。(高橋正子)

★パンジーや開店準備朝陽射す/上島祥子
開店準備中の店頭に朝日が射し、店先のパンジーが生き生きと輝いている。働く人がいきいきと、はつらつとした店の様子が見える。(高橋正子)

1月18日(2句)

★冬桜宿下駄響かせもどりけり/小口泰與
泊りがけで冬桜を見物に。旅の身をほどいて、宿下駄をひっかけて冬桜を見に。良い写真がとれたのであろう。宿下駄をからころ響かせて宿に戻った。楽しそうだ。(高橋正子)

★新駅の高架交叉や日脚伸ぶ/桑本栄太郎
高架が交差し、新駅ができ、街はいきいきと変貌している。日脚が伸びて、その様子が目の当たりに明らかになったように思う。(高橋正子)

1月17日(2句)

★起き抜けの寒気厳しく水を汲む/廣田洋一
寒気は、起き抜けの時一番感じるものかもしれない。その厳しい寒気に耐えて生活の水を汲む必要がある。
地味な句意なのだが、実感があってよく頷ける。(高橋正子)

★まんさくの花よ枯葉をその侭に/桑本栄太郎
まんさくは、枯葉を落ちきらずに花を咲かせている。この枯葉の色と、まんさくの黄色い花が、いい色合いで好もしいのだ。(高橋正子)

1月16日(2句)

朝来山登山
★青空へ裸木の姿くっきりと/多田有花
山の稜線に立つ裸木は、青空を背景にその姿が、ありのままくっっきりとよく見える。きっぱりとした裸ぎの姿が青空と対比されてきれいだ。(j高橋正子)

★春を待つ鉄塔嶺に並びけり/桑本栄太郎
春を待つ心が、遠くの山へ視線を向かわせる。山に鉄塔が並んでいるのはいつも変わらないが、日差しが暖かそうで、そこから春が来そうなのである。(高橋正子)

1月15日(1句)

★水平線白く光れる寒の凪/廣田洋一
空と海とが接する水平線。凪いでいるせいで、その水平線が冷たく白光を放っているのだ。そこから遠い世界が始まるような気がする寒中の景色。(高橋正子)

1月14日(2句)
★冬木立まぶしき朝日受けいたり
差してくる朝日を冬木立が受け止めて輝いている。冬木立の凛とした姿、朝日のまぶしさが、いきいきと緊張感をもって詠まれている。(高橋正子)

★湯上がりの喉を鳴らして寒の水/多田有花
寒中の水は、ごくごくと飲むには冷たすぎる。それでも湯上りとなれば、寒の水の冷たさが乾いたのどにうれしい。喉を鳴らし、ごくごくと飲む。健康でであればこそ。(高橋正子)

1月13日(1句)

★寒鯉を釣りて駆け来る子ら二人/小口泰與
この寒い中、鯉を釣って喜び勇んでかけてくる子二人。見るにつけ、元気な子ども、生き生きした鯉、の様子が絵本の絵のように懐かしく目に浮かんでくる。(高橋正子)

1月12日(2句)

★日の光思はす黄色寒牡丹廣田洋一
牡丹の色として黄色は珍しい。その美しさをなんと表現しようかと悩むところを、寒牡丹の黄色は日の光を思わすとずばり的を得た表現をされた。(高橋正子)

★仏手柑の添えて有り居り松飾/桑本栄太郎
松飾に仏手柑を添えるのは、おめでたく、飾りの意味が大きいからと想像する。伝統的なものかどうかは、知らないが、現代的な印象がする。(高橋正子)

1月11日(2句)

★白鳥や入日の紅の失わず/小口泰與
白鳥に入日が差していつまでも入日の紅に染まっている。美しい光景。心情が入れば、さらに素晴らしい句に。(高橋正子)

★初化粧リップラインを直線に/川名ますみ
リップラインを直線に引いた初化粧。きりりと引いたリップラインの新年の溌剌とした思いがある。(高橋正子)

1月11日~20日


1月20日(3名)

小口泰與
吹越やシャッター街の通学路★★★
みずうみの只中の島大白昼 
大白昼は、大白鳥の誤りでしょうか。「白昼」が間違いでないなら、「白昼」の「白」は、「明るくはっきりしている」の意味があり、それに「大」はいらないのでは、と思います。

冬の星見舞い帰りのバス停に★★★★
病院の面会時間に合わせて午後から見舞いに出かけたのであろう。帰るころ、バス停でバスを待っていればいれば、冬の日暮れは早く、星が出ている。見舞いのあとのきれいな星に心を置いている。(高橋正子)

廣田洋一
大寒や気温予報を見て出かけ★★★
大寒や今日も元気にラジオ体操★★★
大寒や肩口冷えて目覚めたり★★★

桑本栄太郎
一木を被い尽くせり枯葎★★★

裸木の小枝真直ぐや天を向く(原句)
裸木の小枝真っ直ぐ天を差す★★★★(正子添削)

流木の白く映え居り寒の川★★★

1月19日(5名)

小口泰與
北風に雨戸の騒ぐ夜更かな★★★
空風のさなか巡回車の灯(トモシ)★★★
雪浅間真向いにして大気受く★★★

廣田洋一
降る雪の積もらぬままに止みにけり★★★
白きもの混じれる雨の雪となり★★★
雪空に生き生きと飛ぶ鳥のあり★★★★
鳥たちは、雪空であろうと、自由に、いきいきと飛んでいる。小さい体にある生命力の強さを見せられる場面。(高橋正子)

上島祥子
松過ぎて結局読まずに返す本★★★
小正月出社の息子送り出す★★★
パンジーや開店準備朝陽射す★★★★
開店準備中の店頭に朝日が射し、店先のパンジーが生き生きと輝いている。働く人がいきいきと、はつらつとした店の様子が見える。(高橋正子)

桑本栄太郎
うつすらと寒月残る西の空★★★
燦々と橙の実の日差し受く★★★
トンネルを出でて冬日や新京極★★★

多田有花
亡き人の故郷よりとどくみかんかな★★★
ブロッコリやわらかく溶けるチーズのせ★★★
助手席に葉つき大根二本載せ★★★★

1月18日(4名)

小口泰與
校庭を子ら駆け來るや霜の声
「霜の声」は、「霜の降りる寒い夜、物音がしんしんと響くようなさえわたった興趣。」 を言い、「 霜の降りた夜の様子をいう語」です。ですが、この句からは、昼の子供たちの様子ではないかと思えるのです。

枯枝に音符の弾む群雀★★★

宿下駄を響かせもどる冬桜(原句)
冬桜宿下駄響かせもどりけり★★★★(正子添削)
泊りがけで冬桜を見物に。旅の身をほどいて、宿下駄をひっかけて冬桜を見に。良い写真がとれたのであろう。宿下駄をからころ響かせて宿に戻った。楽しそうだ。(高橋正子)

廣田洋一
着ぶくれて手押し車を出しにけり★★★
着ぶくれてジムに通へる媼かな★★★
着ぶくれてふくら雀と向き合へり★★★

多田有花
寒中の山おりて向かうサウナかな★★★
葉つきのまま大きかぶらを貰いけり★★★
煮かぶらの舌にとろけるばかりなり★★★

桑本栄太郎
<桂川、淀川、木津川>
三川の集う中州や大枯野★★★
新駅の高架交叉や日脚伸ぶ★★★★
高架が交差し、新駅ができ、街はいきいきと変貌している。日脚が伸びて、その様子が目の当たりに明らかになったように思う。(高橋正子)

大寒や村に一つの半鐘塔★★★

1月17日(4名)

小口泰與
冬の鷺湖面に長き影を乗せ★★★
大岩を越えて氷柱の飛びにけり★★★
雪雲の万象全て遮断せり★★★

廣田洋一
海原に酷寒満ちて白々と(原句)
「酷寒満ちて(酷寒が満ちる)」は、日本語として不自然な感じです。
酷寒の海原白々広がれり★★★★(正子添削)

起き抜けの寒気厳しき水を汲む(原句)
「寒気厳しき水」も日本語として不自然です。

起き抜けの寒気厳しく水を汲む★★★★(正子添削)
厳しくのところで切れを入れます。
寒気は、起き抜けの時一番感じるものかもしれない。その厳しい寒気に耐えて生活の水を汲む必要がある。
地味な句意なのだが、実感があってよく頷ける。(高橋正子)

厳寒の空を彩るオーロラかな★★★

桑本栄太郎
鎮魂の祈り炎に阪神忌★★★

まんさくの花よ枯葉のその侭に(原句)
まんさくの花よ枯葉をその侭に★★★★(正子添削)
まんさくは、枯葉を落ちきらずに花を咲かせている。この枯葉の色と、まんさくの黄色い花が、いい色合いで好もしいのだ。(高橋正子)

稜線をいく度も見たり雪催い★★★

多田有花
<朝来山登山三句>
枯葉に座し昼のラーメンを囲む★★★
冬空を映せる池の畔に下りる★★★
天空の城は陽のなか日脚伸ぶ★★★★

1月16日(5名)

古田敬二
冬木立黒々影を伸ばしけり★★★★
落葉道踏まれて土になる気配★★★
尾根に出る快晴の空冬温し★★★

小口泰與
白鳥のだみ声発し翔ちにけり★★★
背らよりシャッター音や大白鳥★★★
白鳥の長の鋭声や族も翔つ★★★

廣田洋一
茜空未だ広がり日脚伸ぶ★★★★
バス停の行列長し日脚伸ぶ★★★
軟式のテニス練習日脚伸ぶ★★★

多田有花
<朝来山登山三句>
赤テープ頼りに枯葉踏み登る★★★
寒林を透かし但馬の山望む★★★
青空へ裸木の姿くっきりと★★★★
山の稜線に立つ裸木は、青空を背景にその姿が、ありのままくっっきりとよく見える。きっぱりとした裸ぎの姿が青空と対比されてきれいだ。(j高橋正子)

桑本栄太郎
山間にけぶる一条寒の峰★★★
春を待つ鉄塔嶺に並びけり★★★★
春を待つ心が、遠くの山へ視線を向かわせる。山に鉄塔が並んでいるのはいつも変わらないが、日差しが暖かそうで、そこから春が来そうなのである。(高橋正子)

寒釣の日差しを背中に紫煙かな★★★

1月15日(4名)

小口泰與
大沼の入日に吼ゆる大白鳥★★★
枯枝の中に入り込む群雀★★★
霜柱庭駆け回る子ら二人★★★★

多田有花
城跡を望める寒の立雲峡★★★★
寒中の桜の枝を見上げおり★★★
冬ぬくし展望台で自撮りかな★★★

桑本栄太郎
乳呑み子の乳欲しきとや雪女★★★
湖の瀬田の小舟や寒しじみ★★★
高階の角の吠え居り虎落笛★★★

廣田洋一
梅の芽のぐんと伸びたる寒日和★★★★
赤き芽の丸く膨らむ冬牡丹★★★

地平線白く光れる寒の凪(原句)
水平線白く光れる寒の凪★★★★(正子添削)
空と海とが接する水平線。凪いでいるせいで、その水平線が冷たく白光を放っているのだ。そこから遠い世界が始まるような気がする寒中の景色。(高橋正子)

1月14日(5名)

古田敬二
寒林やほほに心地よき風受けて(原句)
寒林や心地よき風ほほに受け★★★★(正子添削)

冬木立朝のまぶしき日を受けて(原句)
冬木立まぶしき朝日受けいたり★★★★(正子添削)
差してくる朝日を冬木立が受け止めて輝いている。冬木立の凛とした姿、朝日のまぶしさが、いきいきと緊張感をもって詠まれている。(高橋正子)

柔らかく深くなりたる落ち葉道★★★★

小口泰與
夕暮の枯野出られぬ頭痛持★★★
冬草やゲートボールの老五人★★★
日の暈に閉じ込められし大白鳥★★★★

廣田洋一
初旅や電子辞書を忘れずに★★★
アフリカと言えど気軽に初旅行★★★
初旅に富士の裾野を見渡せり★★★★

多田有花
アイスショー見に門真まで松の内★★★
スケートの大輪の花リンクに咲く★★★
湯上がりの喉を鳴らして寒の水★★★★
寒中の水は、ごくごくと飲むには冷たすぎる。それでも湯上りとなれば、寒の水の冷たさが乾いたのどにうれしい。喉を鳴らし、ごくごくと飲む。健康でであればこそ。(高橋正子)

桑本栄太郎
寒梅の紅のほのかに風に乗り(原句)
寒梅の紅のひとひら風に乗り★★★★(正子添削例)
もとの句は、「紅がほのかに風に乗り」ということなので、意味がよくわかりません。「ほのか」は色や匂いにつかいますが。添削例を挙げました。(高橋正子)

とつぜんの双手鼻へとくつさめす★★★
川底の涸れて蛇行や天井川★★★

1月13日(3名)

小口泰與
寒鯉を釣り掛け來る子ら二人(原句)
寒鯉を釣りて駆け来る子ら二人★★★★(正子添削)
定型5・7・5に直しました。
この寒い中、鯉を釣って喜び勇んでかけてくる子二人。見るにつけ、元気な子ども、生き生きした鯉、の様子が絵本の絵のように懐かしく目に浮かんでくる。(高橋正子)

朝日差す紫紺の榛名山(はるな)霜柱★★★
鳥声や朝日の中の木守柿★★★

廣田洋一
お互ひにそっぽ向きたる水仙花★★★
公園の端に整列水仙花★★★
門前にあちこち向きて水仙花★★★★

桑本栄太郎
一木の山のようなり枯木立★★★★
紅色のままに枯れたる芙蓉かな★★★
小さくて痛々しさや冬の薔薇★★★

1月12日(3名)

小口泰與
杣宿の燗絶妙や北颪★★★
妹もまねて転がす雪だるま★★★
包めるは農事新聞セロリかな★★★★

廣田洋一
菰を着て妍を競ひし寒牡丹★★★
日の光思はす黄色寒牡丹★★★★
牡丹の色として黄色は珍しい。その美しさをなんと表現しようかと悩むところを、寒牡丹の黄色は日の光を思わすとずばり的を得た表現をされた。(高橋正子)

後戻りしてまた見たる寒牡丹★★★★

桑本栄太郎
寒椿高き土塀の建仁寺★★★

仏手柑の添えて有り居り松飾★★★★
松飾に仏手柑を添えるのは、おめでたく、飾りの意味が大きいからと想像する。伝統的なものかどうかは、知らないが、現代的な印象がする。(高橋正子)

せせらぎに枇杷の花咲く高瀬川★★★

1月11日(4名)

廣田洋一
寒月や日暮れの空に白々と★★★
寒月の色に染まりし大銀杏★★★★
人居らぬビルの寒月映す窓★★★★

小口泰與
風に乗り狸のにおい露天風呂(原句)
風に乗り狸のにおい露天湯へ★★★(正子添削)
健啖の老へ北風吹きにけり★★★

白鳥や入日の紅の失わず★★★★
白鳥に入日が差していつまでも入日の紅に染まっている。美しい光景。心情が入れば、さらに素晴らしい句に。(高橋正子)

桑本栄太郎
家中の飾りを集め鏡割り★★★
目覚めいて風呂の掃除や日脚伸ぶ★★★★
鍋に入れ鏡開きの夕餉かな★★★

川名ますみ
初乗の多摩川の果て富士の影★★★
初化粧リップラインを直線に★★★★
リップラインを直線に引いた初化粧。きりりと引いたリップラインの新年の溌剌とした思いがある。(高橋正子)
勝手尽して初夢に人助け★★★