自由な投句箱/2月11日~2月20日

※当季雑詠3句(春の句・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 
    
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      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
   右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
   名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句
2月20日
★下萌えに声交わし合う草野球    小西  宏 (こにし ひろし)🌸
2月19日
★ものの芽の一歩も退かぬ出のかまえ 野田 ゆたか(のだ ゆたか)🌸
2月18日
★立山の其の連峰の雪気水      高濱 虚子(たかはま きょし)
2月17日
★鞦韆は漕ぐべし愛は奪うべし    三橋 鷹女(みつはし たかじょ)
2月16日
★春光を残して庭師帰りけり     林 緑丘(はやし りょくきゅう)🌸
2月15日
★老いながら椿となって踊りけり   三橋 鷹女(みつはし たかじょ)
2月14日
★春光の角を打ち延べ板金工     野田 ゆたか(のだ ゆたか)🌸
2月13日
★美しき春日こぼるる手をかざし   中村 汀女(なかむら ていじょ)
2月12日
★春雷や胸の上なる夜の厚み     細見 綾子(ほそみ あやこ)
2月11日
★春嵐鳩飛ぶ翅を張りづめに     橋本 多佳子(はしもと たかこ)

今日の秀句/2月11日~2月20日

2月20日(3句)
    
★春夕日手を振り合って下校の子/上島祥子
春の夕日を背景に、下校の子供たちが互いに手を振り合って「さよなら」をいう時。子どもたちの楽しかった一日の終わりを温かく詠んでいる。(髙橋正子)

★放つ手に温もり残し鴨空に/土橋みよ

鴨を抱いて、空へ放したのでしょう。手にはまだ鴨の体温が残っている感じがしている。鴨との別れ難さが鴨の温みによって感じられる。(髙橋正子)

★桟橋の静かに朽ちる春浅し/弓削和人

春浅い桟橋にはひたひたと水波が寄せている。木の桟橋は、静かに朽ちていくのだろう。湖面と桟橋のたたずまいが趣深く詠まれている。(髙橋正子)
2月19日(1句)

★庭の木へ春日を与え鳥与え/小口泰與
庭の木が春日にかがやき、小鳥を止まらせている。だれがそうさせてくれたのか。その「誰・何」を思って見る、ちょっと詩のような俳句。(髙橋正子)

★福寿草苔むす野仏傾けり/森下朋子
野仏は苔むして、傾くようになっている。その裾には福寿草が咲いている。その自然なたたずまいが落ち着いて気持ちにさせてくれる。(髙橋正子)
2月18日(2句)
★未だその気貌にあらざり残り鴨/桑本栄太郎
「未だその気貌にあらざり」は、春になって北国へ帰ろうとする様子が身形や貌に現われていない。ちっとも帰る気配がない残り鴨の様子。こういう鴨も、ある日突然別れも言わず、素振りも見せず飛び立つのだ。(髙橋正子)

★白梅の一輪明るき空の下/上島祥子

白梅が明るい空の下に一輪咲いている。さきがけて咲く梅一輪の明るさが素直に詠まれている。(髙橋正子)
2月17日

該当句無し
2月16日(1句)

★春寒を支える雪の屋根ばかり/弓削和人
春は名ばかり。冬から春へと行きつ戻りつする季節の移り変わりが「春寒」と「雪の屋根」で表されている。「雪の屋根」には冬の忍耐と静寂がイメージされる。そんな冬が下支えする春の寒さがある。(髙橋正子)
2月15日(1句)

★朝に日に浅間は白し梅の花/小口泰與
「朝に日に」は「あさにけに」と読み、意味は「朝に昼に、いつも」。
浅間山は作者の住むところから、朝に昼に見え、いつも白く雪を冠っている。梅の花も咲いている。冠雪の浅間山の白さと梅の白さが通いあっているのがいい。(髙橋正子)
2月14日(2句)

★工事用宿舎の庭や猫の恋/廣田洋一
おかしみのある句。工事用宿舎の庭と言う男っぽく、殺風景なところを、あたりかまわぬ恋猫がニャーニャー鳴きながら通り過ぎる。笑ってしまう。(髙橋正子)
★梅咲きて新しい手帳買い求む/土橋みよ
梅が咲いて、作者は明るく、清々しい気持ちになったのだろう。手帳を新しく買い求め、新しく何かを書こうとしている。梅が開く、春の先駆けの時期の明るく前向きな気持ちがよく出ている。(髙橋正子)
2月13日(1句)

★土手の道ふわと踏みたる春の草/廣田洋一
土手の道を歩いていて、足元にふわとした感触を得た。やわらかく萌え出た春の草を踏んだのだ。春の訪れをさりげなく喜んでいるのがいい。(髙橋正子)
2月12日(2句)

★二月早や明るきうちに夕餉とす/多田有花
「二月早や」に日々日脚が伸びている驚きが表現されている。ついこの前までは、5時、6時の夕飯時は暗かった。いまは明るくなっている。単にそのうれしさ。(髙橋正子)

 近鉄小坂駅
★駅前に鉢植えならべ菜の花忌/桑本栄太郎
2月12日は作家司馬遼太郎の忌日で、彼が菜の花がすきだったことから、この日を菜の花忌と呼んでいる。「菜の花忌」と呼ばれる忌日は、丈草(旧暦)など他にもあるが、この句では、司馬遼太郎。駅前に明るい花鉢が並んでいて、菜の花忌に相応しいと思った作者がいる。(髙橋正子)
2月11日(1句)

★あけぼのの風豊かなり冴返る/小口泰與
上州の冴返るあけぼのであるにも関わらず、「風豊かなり」と感じている作者の心境がいい。(髙橋正子)

2月11日~2月20日

2月20日(6名)

小口泰與
古語辞典割って楽しも春の夜★★★
星飛ぶや我が産土は四方山★★★★
「星飛ぶ」は、秋の季語です。(髙橋正子)
春の沼水面へ鳥の急降下★★★

多田有花
<兵庫津を歩く>
菜の花の沖を北前船がゆく★★★★
<横溝正史生誕地>
浅春やメビウスの輪の絡み合う★★★
風の音高まる夜なり余寒なお★★★

上島祥子
春昼や甍眩しく空の青★★★★
春夕日手を振り合って下校の子★★★★
流行のスカート短く春の雪★★★

桑本栄太郎
木々の枝の剪り口白し冴返る★★★
剪定を終えて並木のちんちくりん★★★
頑なに赤きつぼみや丘の梅★★★

土橋みよ
放つ手に温もり残し鴨空に★★★★
鴉去り雀さざめく冬の庭★★★

弓削和人
桟橋の静かに朽ちる春浅し★★★★
ねじれ松春雪を積みなおねじれ★★★

湖の果白鳥二羽の湖上翔ぶ(原句)
湖の果白鳥二羽の湖を翔ぶ(正子添削)
湖の果の景色なのに、「湖上」が強調され、近影として目に映ります。それで「湖上」を「湖(うみ)」としました。(髙橋正子)

2月19日(6名)
(今日から森下朋子さんが参加されます。よろしくお願いします。髙橋正子)
小口泰與
山風に耐えてほかほか春の木木★★★
写真機に振り回されし春野かな★★★
庭の木へ春日を与え鳥与え★★★★

廣田洋一
春の川大口開ける鯉の群★★★
残り鴨数を増やせり街の川★★★
鯉の列横に見ながら春の鴨★★★

森下朋来子
お地蔵の傾くもすそに福寿草(原句)
お地蔵の傾きもすそに福寿草(正子添削)

福寿草苔むす野仏傾きて(原句)
福寿草苔むす野仏傾けり(正子添削) 

サァ散歩老犬老女山笑う(原句)
サァ散歩老犬老女に山笑う(正子添削)

桑本栄太郎
春の夢きみの面影いま一度★★★
今朝もまた戸外真白や春の雪★★★
晴れいても路面濡れ居り風花す★★★
多田有花
<兵庫津を歩く三句>
おかげさまなり二月の七福神★★★
早春の兵庫を巡りオムライス★★★
春陽さす高田屋嘉兵衛の店跡に ★★★
弓削和人
白鳥のつがい湖畔の春を告ぐ★★★
春寒の渚の澄みて湖の砂
「渚の澄みて」と「湖の砂」との関係は?(髙橋正子)

雪間より根の黒ぐろと隠れけり
「隠れけり」は何が隠れているのですか。(髙橋正子) 
2月18日(5名)
小口泰與
山川へ朝日を与え百千鳥★★★
早も来て三國峠や帰る雁★★★
木木の芽や園児の声の数多なる★★★★

土橋みよ
枯葉舞う中に一羽の冬ツグミ
「枯葉」は冬の季語なので、「冬ツグミ」は「ツグミ」だけにします。
枯葉舞う中に一羽のツグミいて(正子添削)

 下野国一社八幡宮
二羽の鴨温もり残し寒の空
「鴨」は冬の季語です。「寒の空」と季節が重なりますので、これは避けましょう。「温もり」はどこに残っているのでしょうか。鴨はどこにいるのでしょうか。(髙橋正子)

多田有花
 <能福寺・兵庫大仏>
二月空背負い大仏の座せり★★★
 <神戸事件・滝善三郎墓所>
春浅き国を守りし命かな★★★
 <平清盛墓所>
平相国廟みな春の夢と消え★★★

桑本栄太郎
コキコキと竹林騒ぐ余寒風★★★
未だその気貌にあらざり残り鴨★★★★
老いて尚矜持のつぼみ梅古木★★★

上島祥子
歳時記のカバー改め涅槃の日★★★
月命日遅れる知らせ涅槃の日★★★
白梅の一輪明るき空の下★★★★
2月17日(5名)
小口泰與
春の沼梢に二羽の翡翠よ★★★
日を受けて紅ばらの紅褪せにけり★★★
春の雪遊び遊びて消えにけり★★★

多田有花
<兵庫津を歩く三句>
春淡き七福神へ詣でけり★★★
法皇の愛でし大輪田泊の春★★★
春空へ聳ゆ清盛塚仰ぐ★★★

桑本栄太郎
こつ然と帽子剥ぎ取る春疾風★★★
廃校を報すポスター冴返る★★★
たぷたぷとさざ波寄する春の池★★★

廣田洋一
見て見てと白さを誇る梅の花★★★
声残し二羽の鶯飛び去りぬ★★★
バックヤード雪崩を誘うスキーヤー★★★

土橋みよ
見上げればツグミの影や冬の葉よ
「冬の葉」は具体的にはどんな葉でしょうか。
また、「ツグミの影や」と切れ字の「や」に詠嘆の気持ちがあります。「冬の葉よ」の「よ」にも詠嘆の気持ちがあります。どちらを主として言いたいのでしょうか。(髙橋正子)

  下野国一社八幡宮
奉納の鳥舞い立ちぬ霞立ち★★★
2月16日(5名)
小口泰與
片翅を鮮やかに立て春翡翠★★★
朝夕の浅間よろしき春の雪★★★
赤城より木木を鳴かすや春疾風★★★

廣田洋一
白き雲棚引きており春の空★★★
最後の鶯餅を買いにけり★★★
うららかや順番待ちの滑り台★★★

多田有花
 <兵庫津を歩く>
春めくプロムナード六甲連山遥か★★★
 <ノエビアスタジアム神戸二句>
開幕を待つ早春のスタジアム★★★
春早し二冠のカップ飾りおり★★★

桑本栄太郎
春光の煌めき降りぬ大原野★★★
春耕の媼もんぺや畑仕事★★★
集落の甍まぶしき春日かな★★★

弓削和人
残雪や闇路のさきにつづきおり★★★★
春寒を支える雪の屋根ばかり★★★★
つきぐもり田沢湖のみの道しるべ★★★
2月15日(6名)
小口泰與
一枝より春翡翠の果敢なり★★★
朝に日に浅間は白し梅の花★★★★
卓袱台に若き娚や春の夕★★★

廣田洋一
堰落ちる水の細きや冴え返る★★★
恋猫やまたも破れて縁側に★★★
スノーボード知らずに起こす雪崩かな★★★

弓削和人
凍返るそっと晴間の憩いかな★★★
鷹化して鳩となる日の出羽の明け★★★
白きもの羽織り啓蟄眠りおり★★★

桑本栄太郎
集落の甍きらめき風光る★★★
前掛けの媼もんぺや春の畑★★★
こぼこぼと泡の芥や春の堰★★★

土橋みよ
梅咲いて程村紙に筆初めし★★★
梅咲いて俳句求める旅始む★★★
  草津温泉旅行(にて)→「にて」を省いた方が前書きがすっきりします。
春霞にモルゲンロートの溶けゆけり(原句)
春霞モルゲンロートの溶けゆけり(正子添削)

多田有花
 兵庫津を歩く三句
春暁海辺のハイキングに向かう★★★
うららかや古き車両の顔を見る★★★
春浅き空を映せる兵庫運河(原句)
「兵庫運河」の「兵庫」がどのくらい効いているか、です。そこがおしい。(髙橋正子)

2月14日(4名)
小口泰與
朝な朝な春翡翠の沼へ来し★★★
ものの芽や我を育てし幾山河★★★
絶え間なき犬の遠吠え朝まだき
季語がある方がいいと思います。(髙橋正子)

廣田洋一
まず一献鱵の刺身当てにして★★★
工事用宿舎の庭や猫の恋★★★★
駅前の托鉢僧や冴え返る★★★

土橋みよ
梅開くメールを辞めて筆を持つ(原句)
この句のよいところは、「梅開く」と「筆を持つ」です。俳句は短いので「今」を読みます。「メールを辞めて」は、読み手に想像させます。この句では、無駄な表現になります。(髙橋正子)

梅咲きて新しい手帳買い求む★★★★

梅咲いて言の葉紡ぐ旅始む(原句)
「言の葉紡ぐ旅」は読み手にはよくわかりませんので、それが何かを率直に言うのがいいです。(髙橋正子)

桑本栄太郎
西山の谷のあたりやはだれ雪★★★

紅梅のつぼみふふまる真紅かな
「ふふまる」はこれでよろしいですか。(髙橋正子)

春宵の茜のこりぬ嶺の端に★★★
2月13日(6名)
小口泰與
山門へ一礼するや犬ふぐり★★★

戸に出づや天煌煌と朝月夜(原句)
戸を出づや天煌煌と朝月夜(正子添削)

沼の水さらさら鳴いて蕗の薹★★★

廣田洋一
残る鴨小さき鴨の揃いおり★★★
土手の道ふわと踏みたる春の草★★★★
大鱵釣り上げし子の自慢顔★★★

多田有花
春満月レグルス歩みを進めおり★★★
東向き墓は春陽を浴びて立つ★★★
バレンタインお茶うけにハートのチョコレート★★★

土橋みよ
梅咲いてメールを辞めて電話断つ
梅が咲いたとき、メールや電話を断って、楽しいことや気づいたこと、驚いたことなどありましたか。それを句に詠むとよいのではないででょうか。
 
透き通るヤリイカ添えて冬の膳(原句)
透き通るヤリイカのある冬の膳(正子添削)
目の前の事物をしっかり写生すると、読んだときその情景が目に見えるようなります。(髙橋正子)

冬嵐枝は揺れども鳥澄ます(原句)
「揺れども」の「ども」は理由や理屈を言ってしまうことになるので、避けましょう。(髙橋正子)
冬嵐揺れいる枝に鳥が澄み(正子添削)

桑本栄太郎
夜もすがらおらび声聞く春一番★★★
残雪のいまだ見え居り峰の谷★★★
樹木ごと大きく揺るる春疾風★★★
弓削和人
房総の春一番を受けて発つ★★★
たちまちに雲の間よりの春一番★★★
春一番開けたる眼を探しけり★★★ 

2月12日(6名)
小口泰與
春の日の当たる方へと雀達★★★
庭に来る雀数多や春夕日★★★
一十の雀集うや春の庭★★★

廣田洋一
能登の町白一色に冴え返る★★★
春の雪予報通りに積りけり★★★
山裾の温泉宿や通雪崩★★★

土橋みよ
花手水悴む手よりすり抜ける★★★★
流れ来る淡き光や冬渡良瀬★★★
酒粕に砂糖一振り寒の朝★★★

多田有花
二月早や明るきうちに夕餉とす★★★★
ちくわ切る丸き形の並ぶ春★★★
予定表に抜けのありけり春の雨★★★

桑本栄太郎
くもりいて雨かみぞれか春浅し★★★
<近鉄小坂駅>
駅前に鉢植えならべ菜の花忌★★★★
咲きそろうカランコエとや室の花★★★

弓削和人
残寒やぬくとき室にアイス欲し★★★
「ぬくとき」は「温とい」の連体形。「ぬくとき室」は「あたたかい部屋(あたたかく心地良い部屋」の意味。主に関西地方で使われる。(髙橋正子)

安濃津に帰りて診てり二月雪(原句)
安濃津に帰りて見たり二月雪(正子添削)
雪を「診る」と使うのは少し疑問があります。
「安濃津」は「津」市の古称。
「二月雪」は「にがつせつ」あるいは「にがつのゆき」と読ませます。(髙橋正子)
湖の靄に毀れる二月の陽★★★★

2月11日(5名)

小口泰與
あけぼのの風豊かなり冴え返る★★★★
朝日差す春の榛名へ鳥向かう★★★
早春の冷気浴びけり沼の端★★★

廣田洋一
曲がりたる松の木切りて建国の日★★★
庭石の白々として春寒し★★★
電車もバスも閉じ込め春の雪★★★

多田有花
翩翻と日章旗あり建国日★★★
口中に二月のチョコレート溶ける★★★
サイドミラーに早春の光あり★★★

桑本栄太郎
恐るおそる凍道歩く散歩かな★★★
へんぽんと建国の日の日章旗★★★
楽をなしトタン屋根より雪解水★★★

土橋みよ
吹かれゆく我が影長し矢場の冬★★★
しもつかれ温まりゆく里の冬★★★
「しもつかれ」は北関東の郷土料理なのですね。(髙橋正子)
焼き芋の立ち上る湯気ガラス越しに★★★

自由な投句箱/2月1日~2月10日

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      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
   右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
   名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句
2月10日
★ままごとの飯もおさいも土筆かな  星野 立子(ほしの たつこ)
2月9日
★メトロ降り東京の浅き春を行く   臼井 虹玉(うすい こうぎょく)🌸
2月8日
★さえずりや澄し空気を一直線    藤田 裕子(ふじた ひろこ)🌸
2月7日
★詩に痩せて二月渚をゆくはわたし  三橋 鷹女(みつはし たかじょ)
2月6日
★春潮に流る藻あり矢の如く     杉田 久女(すぎた ひさじょ)
2月5日
★盤石のどの深さまで凍てゆるむ   谷野 予志(たにの よし)
2月4日
★春が来て電柱の体鳴りこもる    西東 三鬼(さいとう さんき)
2月3日
★寒禽の目の今われを映しおらず   池田 加代子(いけだ かよこ)🌸
2月2日
★遠山に日の当たりたる枯野かな   高濱 虚子(たかはま きょし)
2月1日
★中庭へ深く降りきて雪積もる    川本 臥風(かわもと がふう)🍁

今日の秀句/2月1日~2月10日

2月10日(1句)

★戸を開けて見れば西山はだれ雪/桑本栄太郎
京の西山は高雄や清滝、嵐山など、美しい自然や文学で知られるところ。朝、戸を開けてみれば、「西山」に「はだれ雪」。この景色に驚いて、そのままを詠んだ句。(髙橋正子)
2月9日(2句)

★満開の梅の一枝売られおり/廣田洋一
売られている梅の枝の、そのなかの満開の枝に目が留まった。満開の梅の枝に、明るい春の兆しを見た喜びが素直に詠まれているのがいい。(髙橋正子)

★春雪のきらめき光る金閣寺/桑本栄太郎
春の雪にきらめき光る金閣寺はそのまま美しい。季節が冬から春へと移り変わるときに見られる金閣寺のしずかな情趣がいい。(髙橋正子)
2月8日(2句)
★落葉轢く音を体に車椅子/川名ますみ
車椅子で公園などを進むと、車椅子の車輪が落葉を轢くことになる。そのとき落葉が砕けるおとが身にじかに、体に響いて感じられたということ。音が体で感じ取れたということは素敵なこと。(髙橋正子)

★春の雪枝しなるまで積もりたり/桑本栄太郎
京都にも「枝しなるまで」の春の雪が降ったという驚き。春の雪とは思えぬ降り方が、枝に積もった雪を観察することで驚きとなっている。(髙橋正子)
2月7日(1句)

★西天に雲を浮かべて春の空/廣田洋一
天気は西から変わると言われるが、私は無意識に西空をよく見る。西空がのどかだと、いい天気が続きそうな気がする。西空にぽっかり浮かんだ雲に春らしさを感じる。(髙橋正子)

2月6日(1句)

★剪定のリフト高きや青空に/桑本栄太郎
剪定は、果樹や庭木、街路樹などで春先に行われる。夏は「刈り込み」とよばれている。街路樹などの高い木はリフトに乗って剪定しているが、現代的な剪定風景と言える。剪定が済んだ木はさっぱりとして青空を背景に、見た目にも気持ちがよい。(髙橋正子)

2月5日(2句)

★節分をしてひとり豆つまみおり/弓削和人
節分には魔物や邪気を払うために豆まきをする。ひとりなのだが、節分の行事の豆まきをした。撒いたあとは豆を年の数だけ、あるいは年の数より一つ多く食べる。ひとり豆をつまんでいるわびしさもあるが、鬼を払った安心もある。(髙橋正子)

★梅のどの蕾も珠となりし朝 /川名ますみ
朝、梅の枝を見ると、どの蕾も「珠」となっている。梅の蕾が膨らんできたのだ。「朝」と「珠」は、梅の蕾のみずみずしい輝きを表していて、生き生きとした心境がうかがえる。(髙橋正子)

2月4日(2句)

★春立つ朝野鳥の声に目覚めおり/多田有花
「春立つ」という言葉を聞くだけで、人の心は春を意識して明るく楽しい思いになる。おりしも野鳥が鳴いてくれて、心地良い朝の目覚めだ。(髙橋正子)

★立春の対馬海峡風強し/廣田洋一
対馬へ旅行されたのだろう。暦の上にしろ、立春の明るい春が来たというのに、対馬海峡は自然の厳しさを見せている。これを旅で実感された。(髙橋正子)

2月3日(2句)

★水仙花淡路の友より便り来る/多田有花
水仙を活けている部屋で淡路の友からの、嬉しくなる便りを読んでいるのだろう。海を想像させる「淡路」と「水仙花」の取り合わせが芳しい。(髙橋正子)

★寒空に来たりし友と多々良沼へ/土橋みよ

多々良沼は、四季折々に美しい景色が見られるが、冬は白鳥の飛来で有名な沼。寒空をいとわず来た友と多々良沼へ行った。それを素直に詠んで、言外に楽しさが伝わってくる。(髙橋正子)

2月2日(2句)

★枯木の枝伸び伸びとして鳥支え/小口泰與
枯木の枝は、作者の目からは、「伸び伸びとして」見えた。このことは春が近いことを思わせてくれる。軽い小鳥の体を「支えて」いる。やさしい枯木の枝はであり、とりもなおさず作者の気持ちである。(髙橋正子)

★冬萌や石垣つなぐうすみどり/桑本栄太郎
冬萌はまだ「うすみどり」。石垣の間にうすく萌えでて、石垣の石と石をつないでいるように見える。それぞれの石の形もはっきりして、少し楽しい景色に見える。(髙橋正子)

2月1日(1句)

★春隣る山下刈りの町内放送/多田有花
山の下刈りはいろんな理由で行われる。春が近くなると、下草の芽生えを促したり、火災が起こらないよう、また山林の保護や景観のために、枯草を刈り取る。町内の人達によって、山林が保護されていることは明るい人間の暮らしと言える。春隣となればこそ。(髙橋正子)

2月1日~2月10日

2月10日(3名)
小口泰與
あけぼののすそ野明るき春赤城★★★
枝垂れ木へ春の夕日や雀達★★★
あけぼのの嘴打つ音や森の春★★★

多田有花
春の豪雪スーパーの棚を空にする★★★
冷えるとも春陽明るくさんさんと★★★
ヘルメット光らせ少年春早し★★★

桑本栄太郎
バリバリと凍雪踏みて登校生★★★
戸を開けて見れば西山はだれ雪★★★★
はだら野や畦の窪みに白きもの ★★★
2月9日(3名)
小口泰與
榛名より春あけぼのの雨の音★★★
胡坐居の婆の寝床に孕み猫★★★
朝夕の蜆の汁の旨かりし★★★

廣田洋一
満開の梅の一枝売られおり★★★★
春の日の柔和な笑みや石観音★★★
早春の島を巡りて船の旅★★★

桑本栄太郎
春雪のきらめき光る金閣寺★★★★
何処までもあおぞら青く雪解晴★★★
塵出しの首にひとすじ雪解水★★★
2月8日(6名)
小口泰與
大沼の春の翡翠明らかに(原句)
 「明らかに」は何が明らかなのでしょう。(髙橋正子)
大沼の春の翡翠色明らか(正子添削例)

戸に出づや早春の冷気浴びにけり(原句)
「戸に出づ」は「戸を出づ」が正確と思います。この場合は出入りの「戸」の意味です。「外(と)に出づ」なら、「外に出る」と言う意味で、問題はありません。(髙橋正子)

春の朝鳥の声にて明けにけり★★★

廣田洋一
料峭や思わず肩をすくめたり★★★
かぐわしき潮の香撒きて和布干し★★★★
退会の信書受け取り春寒し★★★

弓削和人
駅前の碑石は堅し寒すずめ(原句)
「碑石は」の「は」は物事の限定を示します。これ、気になります。(髙橋正子)
乗換えの車両へ駆けぬ春の泥★★★
春雪は車両開扉に春を告げ
車両開扉に春を告げ」の意味が分かりにくいです。車両開扉するのに雪国特有の現象があって、それが春を告げると言う意味でしょうか。(髙橋正子)

多田有花
春雪が薄く輝く朝の街★★★★
ちらほらと日差しの中へ春の雪★★★
春浅き冷え込み続く午後の雪★★★

川名ますみ
梅咲いて紅色すこし薄らぎぬ★★★★
寒風の音一棟を突きぬける★★★
落葉轢く音を体に車椅子★★★★

桑本栄太郎
カーテンを開けて一面春の雪★★★
吹き上ぐる風に流るる牡丹雪★★★★
枝しなり雪の積りぬ春の雪(原句)
写生だけでなく、ご自分の気持ちを少し入れると句が生き生きします。(髙橋正子)
春の雪枝しなるまで積もりけり(正子添削)
「枝しなるまで」の「まで」に自分の感情をいれています。(髙橋正子)
2月7日(4名)

小口泰與
春浅き利根の流れの雄雄しきよ★★★
二ン月の山あからさま上州路★★★
風の日の目も開けられぬ春赤城★★★

廣田洋一
西天に雲を浮かべて春の空★★★★
春寒の園児らの声賑やかに★★★
ゆっくりと白湯を頂き春寒し★★★

土橋みよ
 下野国一社八幡宮にて
わけもなく参道歩む冬日和(原句)
「わけもなく」が気になります。
参道をすずろ歩めり冬日和(正子添削)

冬八幡古墳を守って凛と立つ★★★
時の声源氏の社と冬木立★★★

桑本栄太郎
照る曇る交互に来たり春障子★★★
おそ春の豌豆苗の震えけり★★★
パソコンの不機嫌なりぬ春寒し ★★★

2月6日(4名)

小口泰與
茜さす春の榛名へ鳥向かう★★★
春と言う二月はいまだ雪世界★★★
春浅し長きすそ野の赤城山★★★★

桑本栄太郎
剪定のリフト高きや青空に★★★★
白雲の疾く奔り居り春の空★★★
蝋梅の葉なき明かりを極めけり★★★

弓削和人
来るはずのバスは遅れて春初め★★★
早春の喪にてひさかた姪っ子来★★★★
朝よりの試験終えたりのたりかな★★★

上島祥子
探梅や進める脚は痛くとも★★★

春光墨の香りの手紙束(原句)
春光は普通「しゅんこう」と読みます。「はるひかり」と読むのは、なじみません。その場合は「春の光」となります。(髙橋正子)
春光の墨の香りの手紙束(正子添削)

一日を終えてショールに身を委ね ★★★

2月5日(6名)

小口泰與
あかつきの春の鳥たち声盛ん★★★
餌で呼ぶ春山雀を手のひらに★★★★
枝垂れ木に数多集いし春雀★★★

土橋みよ
寒凪や舟の歩みの生む波よ★★★★
雪道に羽音ひとひら鷺の影★★★★
冬の朝目覚めし香りに焼きリンゴ★★★

廣田洋一
パンジーや風なき庭に揺れており★★★★
点々と薄氷光る雨上がり★★★
公園の木椅子ポツンと春寒し★★★

弓削和人
隣る世へ旅立つ叔父の喪は春や★★★
節分をしてひとり豆つまみおり★★★★
山水の音の聞こえぬ春はじめ★★★

桑本栄太郎
うすらいの朝日に綺羅と気泡かな★★★
薄氷やバケツの中に柄杓立つ★★★★
みずいろの空より落つる牡丹雪★★★

川名ますみ
凍星の一つは富士の斜め上★★★
芝刈れば濠辺に冬木しろく在り★★★
梅のどの蕾も珠となりし朝 ★★★★

2月4日(4名)

小口泰與
春の日の当たる枯木や雀達★★★
春日射す枝垂れに数多雀達★★★
あえかなる森の新芽や春の朝★★★

多田有花
節分の氏神様で厄払い★★★
立春の野鳥盛んに啄みぬ★★★
春立つ朝野鳥の声に目覚めおり★★★★

廣田洋一
節分や年の数だけ鼓打つ★★★
侘助や華やぎみせる金石城址★★★
立春の対馬海峡風強し★★★★

桑本栄太郎
微笑みのつぼみピンクや寒つばき★★★
歩み行くみずいろ空や春寒し★★★
山茶花の散りて襤褸の舗道かな★★★
2月3日(4名)
小口泰與
あえかなる冬芽を愛でし朝日かな★★★
水鳥やレンズ賄う昨日今日★★★★
茜さす雪の浅間や鳥の声★★★

多田有花
水仙花淡路の友より便り来る★★★★
晩冬や畑に色濃し如月菜★★★
節分や年越祭の町内放送★★★

土橋みよ
 多々良沼にて
寒空に来たりし友と多々良沼へ★★★★
春天へ二羽ずつ翔る白鳥や★★★★
流れにも白鷺ひたと餌を待つ★★★★

桑本栄太郎
蠟梅の玉の明かりや雨しとど★★★
堰水のきらめき落つや春迎う★★★
公園の遊具塗り替え春来たる★★★★
上島祥子
注文の本の知らせや春立つ日★★★
春の雨送迎の車列夜半まで★★★
春立つ日姉とのメールは母の事 ★★★
2月2日(5名)
多田有花
冬深しこの田も宅地に変わりけり★★★
山茶花の根元に花びらの数多★★★
枯芙蓉木の十字架のかかる前★★★

小口泰與
枯木にて枝伸び伸びと鳥支え(原句)
枯木の枝伸び伸びとして鳥支え(正子添削)
おりからの月光沼へ差しにけり★★★
啄木鳥のおりおり聞こゆ沼の端★★★

桑本栄太郎
蠟梅の金のつぼみや雨しとど★★★
冬萌や石垣つなぐうすみどり★★★★
節分や鬼よりこわい山の神★★★

上島祥子
名古屋まで車窓流れる冬景色★★★
手袋の少女指差す新幹線★★★★
八重椿共に手渡す回覧板(原句)
原句は共に手渡すものがよくわからないので、はっきりさせます。(髙橋正子)
八重椿と共に手渡す回覧板(正子添削)

弓削和人
待春や子犬の駆けるちから増す★★★★
寒波来ぬおもわず手足をさすりおり★★★
特急を過ぎゆきて果つ鎌鼬★★★

2月1日(4名)

小口泰與
冬の日の尾上の木木へ隠れけり★★★
豊満なおみな埴輪へ冬日差す★★★
おやみなき浅間の雪を見ておれば★★★

多田有花
春隣る山下刈りの町内放送★★★★
冬耕の後整然と均されて★★★
薄曇る陽に匂いけり枇杷の花★★★

桑本栄太郎
番ごとの浮寝なるらし水面かな★★★
水脈を曳く鳥のつがいや二月来る★★★
もくれんの冬芽かくかくしかじかと★★★

上島祥子
風邪籠り書留届くバイク音★★★
寒灯や練習帰り野球の子★★★
展望台呼吸整う冬青空★★★

自由な投句箱/1月21日~1月31日

※当季雑詠3句(冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 
    
     🍊🍊🍊 🍊🍊🍊 🍊🍊🍊 🍊🍊🍊 🍊🍊🍊
      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
   右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
   名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句
1月31
★しんしんと寒さがたのし歩み行く   星野 立子(ほしの たつこ)
1月30
★身に纏う黒きショールも古りにけり  杉田 久女(すぎた ひさじょ)
1月29
★箸とるときはたとひとりや雪降り来る 橋本 多佳子(はしもと たかこ)
1月28
★餅のかびけづりをり大切な時間    細見 綾子(ほそみ あやこ)
1月27
★寒暁といふ刻過ぎて海青し      谷野 予志(たにの よし)
1月26
★戯曲読む冬夜の食器浸けしまま    杉田 久女(すぎた ひさじょ)
1月25
★厳寒や一と日の手順あやまたず    中村 汀女(なかむら ていじょ)
1月24
★たらちねに送る頭巾を縫ひにけり   杉田 久女(すぎた ひさじょ)
1月23
★水枕ガバリと寒い海がある         西東 三鬼(さいとう さんき)
1月22
★雪残る頂きひとつ国境           正岡 子規(まさおか しき)
1月21日
★かけ通るこがらしの胴鳴りにけり      山口 誓子(やまぐち せいし)

今日の秀句/1月21日~1月31日

1月31日(2句)

★眩しさや枯れの極まる野の光/多田有花
「枯れの極まる」とき、日差しは日々強くなっている。枯野の光は眩しいほど反射している。「枯れ」の「清潔さと明るさ」がよく詠まれている。(髙橋正子)

★春を待つ夕星高く光りおり/廣田洋一
夕星が高くつややかに光っている。そんな夕星を見るにつけ、春への思いが膨らむ。言葉の選び方が、素直なのがいい。(髙橋正子)
1月30日(1句)

★配達夫寒さを問えば雪と答う/上島祥子
品物を配達に来た人に「外は寒いですか」と聞くと、「雪ですよ」と答えてくれた、寒い日の日常の一こまが詠まれている。その日の寒さ、暮らしぶりがよくわかり、自分に置き換えて共感できる。「答う」は、「言う」と、定型に収めてよさそうなものだが、しっかり「答う」で終えられているところも汲みとるべき。(髙橋正子)
1月29日(2句)

  藤本観音山古墳にて
★冬日差す古墳に足止め風を聞く/土橋みよ
藤本観音山古墳は長さが100mほどもある大きな前方後円墳。栃木の五座にもなっているという。「風を聞く」が自然なのがいい。古の人々の声を聞くかのように足と止めている(髙橋正子)。

★寒椿落ちゆくならば淡海/弓削和人
寒椿は落ちてゆくなら、淡海に落ちてゆきたいものだと。また寒椿は淡海に落ちて子と相応ししと言う思いを詠んだ句。寒椿と淡海の取り合わせに妙がある。「淡海」は「おうみ」と読むのなら字足らず。出来るなら、定型にする方が、句に格調が生まれると思う。(髙橋正子)
1月28日(1句)

★主治医との面談コート着たままに/上島祥子
主治医と話すとき、コートを着たままは失礼になる場合もあり、違和感を感じているのが作者。感じた「違和感」を誠実に鋭く句に詠んでいる。重要な差し迫った話の内容だったのかもしれない。仕事から急いで駆け付けてコートを脱ぐ間もなく話さなければならなくなったのかもしれない、ことなどが事情。(髙橋正子)
1月27日(1句)

★咳をする人を数えり深夜バス/弓削和人
深夜バスは外の景色が見えない分、バスの車内に関心がいく。静かな車内で咳をする人があそこの席、こちらの席と数人はいるようだ。風邪が流行る時期の深夜バスの様子がよく詠まれている。(髙橋正子)
1月26日(1句)

★待春の巡礼道を辿りけり/多田有花
暖かい春がくると巡礼に出かける人が多い。春を待ちつつ、巡礼ではないが、巡礼の道を歩いてみた。巡礼をしている気持ちがするだろう。(髙橋正子)
1月25日(1句)

★間道の社のたもと探梅行/弓削和人
「間道」は主な通りを外れた道のこと。ひっそりと佇む社のたもとに梅の木がある。梅の花はまだかと、訪ねてみる。仰々しい探梅行ではなく、ひとり楽しむささやかな探梅行もまたいいものだ。(髙橋正子)
1月24日(1句)

★夕空に茜残りぬ日脚伸び/多田有花
私もこのような景色を、ここ2,3日の内に見ている。日が落ちてすぐに真っ暗になっていたのは、ついこの間まで。大寒と言う寒さにもかかわらず、夕空はきれいな茜色で、日は暮れず、日脚が伸びたことを実感する。(髙橋正子)
1月23日(1句)

★竹藪まで届く日差しや梅早し/廣田洋一
日脚が伸び、小暗い竹藪に日差しが差し込むようになった。早くも梅が咲き始め、春の訪れに心があかるくなる。「梅早し」が効いている。(髙橋正子)
1月22日(1句)
★冬空に園児の列はまっすぐに/弓削和人
この俳句は、寒い冬の空の下で、園児たちがまっすぐに整列している様子を描いています。弓削和人の詩情がよく表れた一節ですね。
一つのコメントですが、冬の空という背景が、清らかで澄んだ感じを与え、園児たちの純粋さや無邪気さをさらに引き立てているように感じます。冬の冷たさの中でも、園児たちの元気さや規律正しさが、心温まる印象を与えてくれますね。(AIによるコメント/引用責任髙橋正子)
1月21日(1句)

★雪原の若やぐ朝や鳥の声/小口泰與
雪原が若やいだ印象は読み手に任されるが、雪原に朝日が差し、雪原が明るく輝いて広々とした情景が想像できるだろう。そんな雪原に鳥の声が聞こえ、寒さのなかにも生き生きと、また溌溂とした世界が感じられる。(髙橋正子)

1月21日~1月31日

1月31日(5名)

小口泰與
寒風に木木の鳴りけり山の沼★★★
人の世のああ儚きやはかなきや★★★
冬木立つ沼へ夕日の当たりたる★★★

多田有花
お出かけの計画話し春を待つ★★★
眩しさや枯れの極まる野の光★★★★
湯たんぽに布団に残る夜の温み★★★

廣田洋一
春を待つ夕星高く光りおり★★★★
手を上げて渡る園児や春近し★★★★
裸木のすっくと伸びる青き空★★★★

桑本栄太郎
塵出しの霙まじりの小雨かな★★★
干しものの風に躍りぬ一月尽★★★
底冷えや寝床の背ナのつめたきに★★★

弓削和人
冬将軍比叡おろしに襟の盾★★★
鳶鳴けり大杉跨ぎの鳶も鳴き★★★★
鳰潜る波の揺れなき冬湖畔★★★
1月30日(5名)

小口泰與
吹き募る赤城颪や厩橋★★★
森の朝鴛鴦盛装の娚(めおと)かな★★★
山の沼冬翡翠に偶然に★★★

多田有花
ボールペン不意にインクの尽きて寒★★★
強風に寒の茜の色冴える★★★
寒風や面をあげて歩きけり★★★

廣田洋一
熱燗もワインも飲みてクラス会★★★

更地の測量終えて春近し(原句)
字足らずが気になりました。(髙橋正子)
測量を終えし更地や春近し(正子添削例)

青空に縄飛唄のにぎにぎし★★★
「青空に縄跳唄」はとてもいいです。(髙橋正子)

桑本栄太郎
白きもの思い出すかに風花す★★★
凍雲のはるか嶺の端白きかな★★★
こきこきと竹林揺るる寒の風★★★

上島祥子
虎落笛一人になればさらに鳴き★★★★
小雪舞う命日の花自転車に★★★★
配達夫寒さを問えば雪と答う★★★★
1月29日(6名)
多田有花
春隣る大樹は空を友として★★★
寄せ植えに小さき葉牡丹のありぬ★★★
午後の日はすでに翳りて花八手★★★

小口泰與
浮子の影くいっと散りし冬の沼★★★
空っ風吹き荒る用意怠らず★★★
鴛鴦の二羽にて日の出伝えけり★★★

廣田洋一
早梅や紅き光を放ちおり★★★
早梅の白きを供う慰霊碑かな★★★
蕊光り日を返したる寒椿★★★

土橋みよ
  藤本観音山古墳にて
冬日差す古墳に足止め風を聞く★★★★
春の風古墳の食器時を超え★★★

桑本栄太郎
夜もすがら虎落笛聞き目覚めけり★★★
山容のくつきり見ゆや寒の風★★★
冬ぬくし背ナに日差しの厨かな★★★

弓削和人
寒椿落ちゆくならば淡海★★★★
冬銀河鳰の湖へと流れけり★★★★
鳰の湖浪の音を背に寒桜★★★
景色はとてもいいですので、もう少しまとまるといいです。(髙橋正子)
1月28日(6名)
小口泰與
枝垂れ木に群れて糞する寒雀★★★
一羽発ち次は瞬時や寒雀★★★
吹きよどむ赤城颪の治まりし★★★

廣田洋一
冬温し手をつなぎ行く老夫婦★★★
時々は口を開けたり寒の鯉★★★
街角の花屋をのぞく春隣★★★

多田有花
布の干支小さきストーブの上に★★★
春近しシフォンケーキにクリームを★★★
蝋梅に寄れば雀のぱっと発ち★★★

桑本栄太郎
枝先の日を受け艶に冬木の芽(原句)
枝先に日を受け艶に冬木の芽(正子添削)

寒風や鴉の声の嗄れいたる★★★
ふるさとの野山を想う寒波かな★★★
土橋みよ
     矢場川神明宮にて
短日や寒さに耐える守り神(原句)
「短日」と「寒さ」が二つがテーマになっています。「短日の寒さ」にし、テーマは一つにします。(髙橋正子)
短日の寒さに耐える守り神(正子添削)

春を待つ鯉に乗る仙人(ひと)夢馳せる★★★
山茶花の小径を歩く雀かな ★★★
上島祥子
主治医との面談コート着たままに★★★★
寒犬の揺れる尻尾や散歩の子★★★
寒犬の揺れる尻尾」と「散歩の子」の関係をはっきりさせるとよいと思います。(髙橋正子)
欲しくとも買えぬ訳有り桜草★★★
1月27日(5名)

小口泰與
冬の日や幼き竹に小さき葉★★★
山風の吹き治まりて冬の雷★★★
冴ゆる日の噴煙我に降り注ぎ★★★★

多田有花
裸木の大樹骨格の新た★★★
紅白の山茶花咲かせ巡礼道★★★
水彩画版画を並べ春を待つ★★★

廣田洋一
電気行火強火にしたる夜明け前★★★
諫暁の朝刊配る靴の音★★★
子供らのボール蹴り合う大枯野★★★

桑本栄太郎
太陽のにじみ真上やしぐれ雲★★★
ふるさとを想い歩むや枯野行★★★
海鳴りの頻りに聞こゆ懸大根★★★

弓削和人
夜の更けて気になる仕事に湯ざめかな★★★
咳をする人を数えり深夜バス★★★★
バスを待つわずかなりしも日向ぼこ★★★★

1月26日(4名)
小口泰與
雄心をすくし寒風摩擦かな★★★
男盛りをとうに過ぎたり枯薄★★★
吹きよどむ赤城颪も治まりし★★★

廣田洋一
白き枝ぴんと伸びたる冬の空★★★
寒晴れや透かし見えたる川の底★★★
青空に富士山白き春隣★★★

多田有花
待春の巡礼道を辿りけり★★★★
寒中の青空映す池の面★★★
開運の干支一月の神社かな★★★

桑本栄太郎
凍雲の疾く走り居り朝歩き★★★
雲奔り日差しまぶしき春隣★★★
枯蔓の金網塀にすがりけり★★★
1月25日(4名)
小口泰與
籠り居の赤城颪を肌に聞く★★★
井の底に冬満月の煌煌と★★★
枯木山日影小暗き山の端★★★

多田有花
寒中に汗光らせて長距離走★★★
城までの道まっすぐに寒霞★★★
寒ぬくしロードサービスを呼びぬ★★★

桑本栄太郎
覆うもの皆うらがえり風凍つる★★★
雲出でて日射し遮る寒波かな★★★
明暗の頻りに替わる障子越し★★★

弓削和人
新春や天満宮の祈願絵馬★★★
猿曳の猿励まされ空を舞い★★★
間道の社のたもと探梅行★★★★
1月24日(4名)
多田有花
寒卵ゆでる間に散歩する★★★
寒中の森の奥より鳥の声★★★
夕空に茜残りぬ日脚伸ぶ(原句)
「残りぬ」、「日脚伸ぶ」はどちらの言い切って切れが生まれています。どちらを中心にしますか。(髙橋正子)
夕空に茜残りぬ日脚伸び(正子添削)

小口泰與
マスクして目は笑い居る人なりし★★★
しとしとと続く冬雨詫住い★★★
天を割り冬雷の顔を出す★★★

廣田洋一
プールより空を見上げて日脚伸ぶ★★★
母子にてボール蹴り合い日脚伸ぶ★★★
夕星を一つ浮かべて寒茜★★★

桑本栄太郎
人はみな何かに縋る霜夜かな★★★
太陽のにじみ明るき冬ぬくし★★★
徐州へとすすむ軍馬や蘆平忌★★★
1月23日(5名)

小口泰與
登り来る若き炎帝太氷柱★★★
ゆうらりと雲湧く度に雪浅間★★★
風よりも僅かに軽き枯葉かな★★★

廣田洋一
神主が先頭に立ち初笑い★★★
冬薔薇の小さく咲きて青き空★★★
竹藪まで届く日差しや梅早し★★★★

多田有花
反故紙へ書きつけいろいろ冬の夜★★★
階段を上り下りして春を待つ★★★
寒中の日差し背に受け歩きけり★★★

桑本栄太郎
山膚のうす紫よ冬がすみ★★★
溝川の音のやわらぎ春隣る★★★★
ろうばいの葉の見当たらぬ花の色★★★

土橋みよ
柿の実を食べ尽くされて誰が為★★★
食育のカレンダー手に冬の味★★★
冬の幸添え書き綴る手止まらず★★★
1月22日(5名)

小口泰與
別れては一人一人の冬芽かな★★★
友人のさらばと別る冬の駅★★★
刻限をわきまう赤城颪かな★★★

廣田洋一
天気予報三寒四温そのままに★★★
河原の石広くせり出し冬の川★★★
門前の日溜り占めて冬薔薇★★★

多田有花
蝋梅の香りの中に踏み入りぬ★★★
瀬戸内よ冬青空の眩しき地★★★
大根を豚ばら肉と煮て夕餉★★★

桑本栄太郎
寒晴といえど冷たきもの頬に★★★
晴れいても枯葉まといぬ櫟かな★★★
寒菊の傾ぎて尚も濃むらさき★★★

弓削和人
冬空の園児の列はまっすぐに(原句)
「冬空の園児の列」の「の」の使い方に注意です。(髙橋正子)
冬空に園児の列はまっすぐに(正子添削)

冬の鳩餌を求めつつ足の元★★★
冬の店たこ焼をつく女学生★★★
 
1月21日(5名)
小口泰與
たまに浮きあとは水底冬の鯉★★★
冬の日や日向日陰を木木分かつ★★★
雪原の若やぐ朝や鳥の声★★★★

廣田洋一
冬薔薇赤くとんがる蕾かな★★★
句の主の名乗りを聞きて初笑★★★
早梅の一樹を囲む女学生★★★

多田有花
鳥の影窓を横切る寒の午後★★★
熟睡の山を見上げて伸びをする★★★
浮かびくることのいろいろ反故紙へ
季語を入れたほうがいいです。(髙橋正子)

桑本栄太郎
久女忌のあおぞらに添い田道行く★★★
グランドのおらび声聞く春隣★★★
枝上に我を見下ろす寒がらす★★★

上島祥子
寒晴や病院までの遠き道★★★
お下がりの兎のマフラー母見舞う★★★
茜さす紫の雲春隣★★★

自由な投句箱/1月11日~11月20日

※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 
    
     🍊🍊🍊 🍊🍊🍊 🍊🍊🍊 🍊🍊🍊 🍊🍊🍊
      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
   右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
   名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句
1月20日
★大寒や転びて諸手つく悲しさ     西東 三鬼(さいとう さんき)
1月19日
★火鉢にかざす手の中のわが指の骨   臼田 亜浪(うすだ あろう)🍁
1月18日
★土堤(どて)を外(そ)て枯野の犬となりゆけり 山口 誓子(やまぐち せいし)
1月17日
★風邪の母子抱きあふ形玻璃透る    西垣 脩(にしがき しゅう)🍁
1月16日
★雪山の風来るまでにちかづきぬ    篠原 梵(しのはら ぼん)🍁
1月15日
★群れ来たりまた大空へ寒すずめ    石井 信雄(いしい のぶお)🌸
1月14日
★畝伸びる彼方に雪の剣岳       能作 靖雄(のうさく やすお)🌸
1月13日
★限りなく降る雪何をもたらすや    西東 三鬼(さいとう さんき) 
1月12日
★鴨の中の一つの鴨を見てゐたり    高浜 虚子(たかはま きょし)
1月11日
★ふかぶかと枯野の果ての日の名残り  大山 涼(おおやま りょう)🌸