●5月月例ネット句会ご案内●

■5月月例ネット句会ご案内■

①投句:当季雑詠(夏の句)3句
②投句期間:2021年5月3日(月)午前6時~2021年5月9日(日)午後5時
③投句は、下記アドレスブログの<コメント欄>にお書き込みください。

※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:5月9日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:5月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、5月11日(月)正午~5月14日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

※ここは、ご案内のみですので、投句はしないでください。

自由な投句箱/5月1日~10日

※当季雑詠3句(春の句・夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/5月1日~10日

5月10日(1句)
★野良猫の寄り来て鳴けり夏始め/多田有花
春に生まれた仔猫も初夏には大きくなって動き回る。野良猫には野良猫の人懐っこさもあって、人を見つけて寄って来て鳴く。(高橋正子)
5月9日(2句)
ひそやかに言葉話すや朴の花/廣田洋一
俳句は文芸で、詩的発想は許される。朴の花に親しめば、あたりの静寂の中で、花たちがひそやかに話しているようにも思える。(高橋正子)
★アイリスや蕾ほどけばみずいろに/多田有花
アイリスとみずいろの感覚がマッチしている。絵心がいい。(高橋正子)
5月8日(2句)
★朴の花白き木陰に子ら眠る/廣田洋一
朴の花の清らかさが思われる句。大きな朴の花の木陰が子らに優しい。(高橋正子)
★芍薬の切り花買い求めし男/多田有花
芍薬の鉢を買う男性は珍しくないかもしれないが、一時を愉しむ切り花を買う男性は稀かもしれない。しかも芍薬。好きな花かもしれない。そこに惹かれて出来た句。(高橋正子)
5月7日(1句)
★軒下に花柄のシャツ初夏の風/廣田洋一
初夏を迎えると気温もあがって、衣服も開放的に、軽くなる。軒下に明るい花柄のシャツが干してあったり、これも夏が来た証拠。(高橋正子)
5月6日(1句)
★二筋の菖蒲揺らして湯浴みせり/廣田洋一
菖蒲湯に浮かせる菖蒲が二筋。二本というのでなく、「二筋」に一文字に筋を引いたような菖蒲の葉のきりっとした姿が目に浮かぶ。いい菖蒲湯だった。(高橋正子)
5月5日(1句)
★校庭に白線引かれ夏立ちぬ/廣田洋一
校庭に白線が引かれるのは、季節を限ることではないが、万物がいきいきとしてくる初夏は、その白さが際立つ。初夏の空の下、土に引かれた白線があざやかだ。(高橋正子)
5月4日(1句)
★校庭に子らの夢なり鯉幟/廣田洋一
小さな学校だろうか。校庭に鯉幟を泳がせている。児童たちの夢をのせて伸び伸びと泳ぐ鯉幟と見える。(高橋正子)
5月3日(1句)
★柿若葉思ひ切り日を浴びてをり/廣田洋一
「思ひ切り」がいい。柿若葉がその全身で日を浴び、日を返している。やわらかそうで、強い柿若葉が詠まれている。(高橋正子)
5月2日(1句)
★山風を腹一杯の鯉幟/小口泰與
鯉幟が山からの風を受けて腹を膨らませ、勇壮に泳いでいる。荒々し山風が鯉幟を勢いづけている。(高橋正子)
5月1日(2句)
★兜の緒締め直されて武者人形/廣田洋一
端午の節句に飾る武者人形、1年間仕舞っている間に兜の緒が緩んでいることがある。緩んだ兜の緒をしっかりと締め直して、凛々しい武者に仕上げる。(高橋正子)
★迫り出でて虎杖ぽきと折られける/桑本栄太郎
虎杖が伸びるころ。道にせりだしているものは、通るに邪魔でもあるし、折りとられている。虎杖があれば、折りたくなる心情は、いつから持ち合わせたか。(高橋正子)

5月1日~10日

5月10日(4名)
小口泰與
アカシアやとんがり屋根の少年院★★★
野いばらや碓氷峠の眼鏡橋★★★
鉄線や利根は白波裏返す★★★
廣田洋一
さはさはと頬を撫でたる初夏の風★★★★
久し振りと声を掛け合ふ初夏のジム★★★
初夏や鷺の佇む街の川★★★
桑本栄太郎
若者はなべて撫で肩若葉吹く★★★
姫女苑の風に抗う雨催い★★★★
久闊を叙すや電話の走り梅雨★★★
多田有花
野良猫の寄り来て鳴けり夏始め★★★★
春に生まれた仔猫も初夏には大きくなって動き回る。野良猫には野良猫の人懐っこさもあって、人を見つけて寄って来て鳴く。(高橋正子)
はつなつの釣り竿並ぶ突堤に★★★
初夏の靄晴れゆき沖の小島見ゆ★★★
5月9日(4名)
小口泰與
卯の花やカンバスいまだ白きまま★★★★
帆船の浮かぶ岸辺の海芋かな★★★
花桐や長きすそ野の赤城山★★★
廣田洋一
何事か話す風情や朴の花(原句)
ひそやかに言葉話すや朴の花★★★★(正子添削)
俳句は文芸ですから、詩的発想で、添削のように言い切ってよいです。朴の花に親しめば、あたりの静寂の中で、花たちがひそやかに話しているようにも思えます。
白鱚はこれに限ると刺身にす(原句)
白鱚を刺身にこれに限るなり★★★★(正子添削)
シャツの袖まくり上げたる薄暑かな★★★
桑本栄太郎
若者の青嵐の意気欲しきかな★★★
風薫る田道過ぎ行く路線バス★★★★
丘に群れ茅花流しの夕べとも★★★
多田有花
アイリスや蕾ほどけばみずいろに★★★★
アイリスとみずいろの感覚がマッチしている。絵心がいい。(高橋正子)
欄干から釣り糸を垂れ浅き夏★★★
帆をあげしヨットこれより沖に出る★★★
5月8日(4名)
小口泰與
花びらを咥え秀つ枝へ四十雀★★★
置き鉤を手繰るや鯰眼間に★★★
金雀枝や池にかがよう夕日影★★★
廣田洋一
蓮のごと広がり開く朴の花★★★
朴の花白き木陰に子ら眠る★★★★
朴の花の清らかさが思われる句。大きな朴の花の木陰が子らに優しい。(高橋正子)
臥竜のごと一枝伸びる朴の花★★★
多田有花
芍薬の切り花買い求めし男★★★★
芍薬の鉢を買う男性は珍しくないかもしれないが、一時を愉しむ切り花を買う男性は稀かもしれない。しかも芍薬。好きな花かもしれない。そこに惹かれて出来た句。(高橋正子)
皐月つつじ雄蕊雌蕊の影くっきり★★★
新緑のなかをくだりゆく車★★★
桑本栄太郎
姫女苑の小花脇へと控えけり★★★
花大根遥か遠くに路線バス★★★★
赤き実の鋪道染め居りさくらんぼ★★★
5月7日(3名)
小口泰與
秀っ枝より睨みを利かす目白かな★★★
蜘蛛の囲の雁字搦めや雨後の朝★★★
置き鉤にかかりし鯰ゆらゆらと★★★
廣田洋一
雨上がり日の射す空に初夏の富士★★★
軒下に花柄のシャツ初夏の風★★★★
初夏を迎えると気温もあがって、衣服も開放的に、軽くなる。軒下に明るい花柄のシャツが干してあったり、これも夏が来た証拠。(高橋正子)
枝先に子供駆けよる朴の花★★★
桑本栄太郎
泰山木の早もつぼみや夏初め★★★
匂い立つ栗の花咲く雨催い★★★
やかなとは斯く難しき健吉忌★★★
5月6日(3名)
小口泰與
群なして木から木へ目白かな★★★
口ずさむ藤村の詩や夏の雲★★★
花桐や嶺雲はやも遁走す★★★★
廣田洋一
二筋の菖蒲揺らして湯浴みせり★★★★
菖蒲湯に浮かせる菖蒲が二筋。二本というのでなく、「二筋」に一文字に筋を引いたような菖蒲の葉のきりっとした姿が目に浮かぶ。いい菖蒲湯だった。(高橋正子)
湯の菖蒲ぐいと引き寄せ匂ひかぐ★★★
連休明けの公園濡らす夏の雨★★★
桑本栄太郎
上賀茂の大田の沢や杜若★★★
甍越へ大きく空へ鯉のぼり★★★★
わらわらと白き葉裏や若葉吹く★★★
5月5日(3名)
小口泰與
初夏や利根上流の水の色★★★
薄暑はや松籟うれし丘の上★★★
爆発のこの一瞬の牡丹かな★★★
廣田洋一
ハンカチはいつも四つ折り青き芝★★★
夏立つや庭に撒きたる除草剤★★★
校庭の白線引かれ夏立ちぬ(原句)
校庭に白線引かれ夏立ちぬ★★★★
校庭に白線が引かれるのは、季節を限ることではないが、万物がいきいきとしてくる初夏は、その白さが際立つ。初夏の空の下、土に引かれた白線があざやかだ。(高橋正子)
桑本栄太郎
雨音を聞きつつ夢の午睡かな★★★
木々の葉のぼつてり見ゆる走り梅雨★★★
立夏早や雨のひと日の暮れ行ける★★★
5月4日(4名)
小口泰與
初夏や草木爆発おちこちに★★★
稜線と谷川定か聖五月★★★
画架立てし湖畔や空は浅き夏★★★
廣田洋一
校庭に夢は大きく鯉幟(原句)
校庭に子らの夢なり鯉幟★★★★(正子添削)
校庭に鯉幟を泳がせている。児童たちの夢をのせて泳ぐ伸び伸びと泳ぐ鯉幟と見える。(高橋正子)
息を吐き少し休める鯉幟★★★
子が生まれ一匹足せる鯉幟★★★
多田有花
おぼろな朝日なだらかな山の上★★★
春送るリコーダーを奏でつつ★★★
野遊びや犬にボールを追わせおり★★★
桑本栄太郎
黄金週間しずもり返る街の中★★★
修司忌のマッチ擦る間も書を読みぬ★★★
午後よりの雨の予報やみどりの日★★★
5月3日(3名)
小口泰與
河岸にまつわる小鮎雲一朶★★★
荒波の間遠となりし春惜しむ★★★
爆発の牡丹や空の青青と★★★
廣田洋一
柿若葉思ひ切り日を浴びてをり★★★★
「思ひ切り」がいい。柿若葉がその全身で日を浴び、日を返している。やわらかそうで、強い柿若葉が詠まれている。(高橋正子)
温室の硝子戸光り柿若葉★★★
朝刊を配るバイクや明易し★★★
桑本栄太郎
黄金週間ボール遊びの親子かな★★★
日の丸を掲げ憲法記念の日★★★
幹太く垣根に沿いぬ花うばら★★★
5月2日(4名)
小口泰與
春暁の岩根をかける魚影かな★★★
若鮎や魚道遡上の群の波★★★
山風を腹一杯の幟かな(原句)
「幟」は、鯉幟も指すが、もともと旗幟。「腹一杯」とあるので、鯉幟と思われるが、この句では、「鯉幟」とはっきりした方が良い。(高橋正子)
山風を腹一杯の鯉幟★★★★(正子添削)
鯉幟が山からの風を受けて腹を膨らませ、勇壮に泳いでいる。荒々し山風が鯉幟を勢いづけている。(高橋正子)
廣田洋一
鶯や竹から木へと渡りけり★★★
鶯の声高く澄む竹の奥★★★★
桜の実赤く色付き空を突く★★★
多田有花
春深し電子ピアノを弾き初めし★★★
いかなごのくぎ煮や春の卵焼き★★★
春疾風洗濯ものを部屋に干す★★★
桑本栄太郎
ゆすら梅早くも赤き軒端かな★★★
さみどりの風弄ぶ大手まり★★★
メーデーと云えば代々木や雨の中★★★
5月1日(3名)
小口泰與
精悍な木木のこの芽や小糠雨★★★
山藤や雨を弾きし石畳(原句)
山藤や雨を弾ける石畳★★★★(正子添削)
掛軸の花押古りたり朧月★★★
廣田洋一
ミニチュアの五月人形飾りけり★★★
武者人形兜の緒を締め直し(原句)
武者人形が主語になっていますので、人形が「締め直す」の意味になっています。
兜の緒締め直されて武者人形★★★★(正子添削)
端午の節句に飾る武者人形、1年間仕舞っている間に兜の緒が緩んでいることがある。緩んだ兜の緒をしっかりと締め直して、凛々しい武者に仕上げる。(高橋正子)
メーデー歌思ひ出せずに風呂掃除★★★
桑本栄太郎
虎杖の道に迫り出し折られ居り(原句)
「道に」は説明になっているので、要らないです。
迫り出でて虎杖ぽきと折られける★★★★(正子添削)
虎杖が伸びるころ。道にせりだしているものは、通るに邪魔でもあるし、折りとられている。虎杖があれば、折りたくなる心情は、いつから持ち合わせたか。(高橋正子)
屋根付きのトラクターとや代田掻く★★★
竹秋の山すそ熱のあるかとも★★★

自由な投句箱/4月21日~30日

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/4月21日~30日

4月30日(2句)
★夏隣間近き山の樹木の色/小口泰與
間近に立つ山の木々を見ると、夏が近い、濃い緑になっている。年中緑ながら、微妙に変わる木々の色が夏隣となって、すがすがしい。(高橋正子)
★突堤に座れば春の波近し/多田有花
突堤に座ることは海に近いことなのだが、腰を据えて座ってみると、春の波が寄せて来るのが、身体に響くように感じられる。穏やかな春の海だからこそ「波近し」なのだ。(高橋正子)
4月29日(1句)
★白き蝶光揺らして飛び去りぬ/廣田洋一
「光揺らして」に新しい発見があって、飛び去る蝶が眩しいほどの存在になっている。焦点が良く絞られている。(高橋正子)
4月28日(1句)
★茄子苗の小さき支柱や朝の日に/桑本栄太郎
茄子には高い支柱はいらないが、しっかり根付くように支柱を立てられる。その支柱が小さくて、朝日を浴びて、茄子苗をけなげに支えている。成長を応援したくなる。(高橋正子)
4月27日(1句)
★なんじゃもんじゃ酒舗の庭なる夏隣/桑本栄太郎
「なんじゃもんじゃ」という面白い名前の木。もじゃもじゃのよくわからない花をつけるのが、よっぱらって咲くわけではないが、酒舗の庭にある。夏の近い明るさがいい。(高橋正子)
4月26日(1句)
★整然と植え付けを待つ春の畑/多田有花
じゃが芋など春に植え付けがはじまる準備が済んだ畑。雑草を取り払い、よく耕し、整然と整えら得ているのをみると、のどかな春の天気も手伝って気持ちの良いものだ。(高橋正子)
4月25日(2句)
★谷川の真っ向にあり濃山吹/小口泰與
谷川に来ると向こう岸の眺めが目に入る。ちょうど自分の真向かいに位置をずらさず山吹が濃い黄色の花をつけている。偶然とは言え、山吹と向かい合う面白さ。(高橋正子)
★尺取りの虚空に伸ばす体かな/多田有花
尺取り虫がついに枝の先まで来た。その先に尺を取る枝はない。自然、体は虚空にのけぞる。枝の端の夏空にのけぞった体の尺取りの姿が面白い。(高橋正子)
4月24日(1句)
★見上げれば視界にあふる八重桜/多田有花
見上げた時の視界は、それほど広くない。ほぼ真上あたりか。この視界に八重桜の花がふわふわと重なり合い、あふれるほど。あでやかさはいかばかり。(高橋正子)
4月23日(1句)
桜しべ降りつくしたり空真青/小口泰與
満開の桜が散り、赤い桜しべも降りつくしてしまった。空の色が真青になり、いよいよ葉桜の季節を迎える。花の時から葉桜へとうつりゆく桜の木である。(高橋正子)
4月22日(1句) 
★藤棚に蜂の羽音のおそろしき/桑本栄太郎
藤棚の藤が満開で垂れ下がり、それに蜂が恐ろしいまでの羽音を立てて蜜をすっている。藤の花の生き生きとした豪華さを印象付けられる。(高橋正子)
4月21日(1句)
★沼広びろ残る鴨の紛れなし/小口泰與
冬の間沼を占めていた鴨がおおかた帰り、残る鴨もわずかになった。沼が広々となり、沼に点在する鴨一羽一羽がはっきりと確かめられる。まぎれもない鴨の存在。(高橋正子)

4月21日~30日

4月30日(4名)
小口泰與
夏隣間近き山の樹木の色★★★★
間近に立つ山の木々を見ると、夏が近い、濃い緑になっている。年中緑ながら、微妙に変わる木々の色が夏隣となって、すがすがしい。(高橋正子)
雛菊や隣家は天寿全うす★★★
朝日差す楓の花の初初し★★★
廣田洋一
整然と畝並びたる春の畑★★★
春の日や畑の土の瑞々し★★★
一畝に立ち続けをる葱坊主(原句)
一畝に立ち続けたり葱坊主★★★★(正子添削)
多田有花
一面ににんじん育つ春の畑★★★
灯台のまわりはすべて春の潮★★★
突堤に座れば春の波近し★★★★
突堤に座ることは海に近いことなのだが、腰を据えて座ってみると、春の波が寄せて来るのが、身体に響くように感じられる。穏やかな春の海だからこそ「波近し」なのだ。(高橋正子)
桑本栄太郎
荷風忌のシャンソン聴くや電蓄に★★★
雨上がり葉擦れの音の弥生尽★★★
花びらの散りてピンクや花みづき★★★
4月29日(4名)
小口泰與
春の宵八十路の酒量凛凛と★★★
紅雲の育つ夕暮花こぶし★★★
盤石は神の化身や風光る★★★
廣田洋一
行く春や外出止める雨降りて★★★
何の日と問はれ昭和の日と答へる★★★
白き蝶光揺らして飛び去りぬ★★★★
「光揺らして」に新しい発見があって、飛び去る蝶が眩しいほどの存在になっている。焦点が良く絞られている。(高橋正子)
多田有花
キックボード春の河口へ走らせる★★★
釣れますかと釣り人に問う春の磯★★★
突堤に並ぶ釣り人風光る★★★
桑本栄太郎
雨水の坂に溢るる菜種梅雨★★★
との曇る天の明るき菜種梅雨★★★
吾が歳の戦後生まれや昭和の日★★★
4月28日(4名)
小口泰與
有明の風の水田や赤蛙★★★
家長我床の間を背に春火鉢★★★
銀輪や風を切り行く新入生★★★★
廣田洋一
言われればピンクに見える春★★★
背高き草のはびこり春深し★★★
横浜にロープウエイや春惜しむ★★★
多田有花
春日さんさん墓石と向かい合い★★★
地蔵菩薩胸まで埋まる春の土★★★
憩うのはすでに木陰よ春深し★★★★
桑本栄太郎
寄せ植えのパンジー鉢をこぼれけり★★★
花ゑんどう支柱の丈に飽き足らず★★★
茄子苗の小さき支柱や朝の日に★★★★
茄子には高い支柱はいらないが、しっかり根付くように支柱を立てられる。その支柱が小さくて、朝日を浴びて、茄子苗をけなげに支えている。成長を応援したくなる。(高橋正子)
4月27日(4名)
小口泰與
白竜のなれの根付や春の宵★★★
群青の湖や公魚朝まだき★★★
残照の空は紅蓮や花こぶし★★★
廣田洋一
明星の光も見えず春満月★★★
一仕事終えたる夕べ春の月★★★
スカイツリー消えたる空に春満月★★★
桑本栄太郎
青空のまつたきありぬ新樹晴れ★★★
中州なる小さき一画うまごやし★★★
なんじゃもんじゃ酒舗の庭なる夏隣★★★★
「なんじゃもんじゃ」という面白い名前の木。もじゃもじゃのよくわからない花をつけるのが、よっぱらって咲くわけではないが、酒舗の庭にある。夏の近い明るさがいい。(高橋正子)
多田有花
川ここで海に入りたり春深し★★★★
惜春の地蔵に赤きよだれかけ★★★
葱坊主お地蔵様のかたわらに★★★
4月26日(4名)
小口泰與
春灯下遺愛の時計かちかちと★★★★
求愛の犬の尻尾や春の野辺★★★
山門へ辞儀して通る新入生★★★
廣田洋一
若葉して風見鶏の尾動かざる★★★
公園を駆け抜けて行く若葉風★★★★
新しき庭に根付きて若葉光★★★
多田有花
点々と島を並べて春の海★★★
麗かな沖ゆく船を眺めおり★★★
整然と植え付けを待つ春の畑★★★★
じゃが芋など春に植え付けがはじまる準備が済んだ畑。雑草を取り払い、よく耕し、整然と整えら得ているのをみると、のどかな春の天気も手伝って気持ちの良いものだ。(高橋正子)
桑本栄太郎
わらわらと葉の靡き居り新樹冷ゆ★★★
風に乗り風にあらがい蝶の昼★★★
みどり濃き中に未だし余花落花★★★★
4月25日(4名)
小口泰與
若鮎の魚道を遡上朝まだき★★★
待ちわびる勿忘草や時流★★★
谷川の真っ向にくる濃山吹(原句)
谷川の真っ向にあり濃山吹★★★★(正子添削)
谷川に来ると向こう岸の眺めが目に入る。ちょうど自分の真向かいに位置をずらさず山吹が濃い黄色の花をつけている。偶然とは言え、山吹と向かい合う面白さ。(高橋正子)
廣田洋一
枯れ果てし切り株囲む春の草★★★
夕暮れの流れのどかな街の川★★★★
細かなる泡湯に浸かりのどかなる★★★
桑本栄太郎
大樹とてうすきみどりや手鞠花★★★
花びらの紅差し散りぬ花みづき★★★
風吹けばさざ波皺に代田かな★★★★
多田有花
蜥蜴出づスカイブルーの尾を引いて★★★
藤見上ぐ九十九折を上りつつ★★★
尺取りの虚空に伸ばす体かな★★★★
尺取り虫がついに枝の先まで来た。その先に尺を取る枝はない。自然、体は虚空にのけぞる。枝の端の夏空にのけぞった体の尺取りの姿が面白い。(高橋正子)
4月24日(4名)
小口泰與
鉄棒へましらのようや新入生★★★★
桜しべ風の矢じりに絡まれし★★★
山裾へ馬棚続きけり鼓草★★★
廣田洋一
春の草意外と長き根を張りて★★★
荒畑の香り芳し春の草★★★★
のどけしや牛散らばりて草を食む★★★
桑本栄太郎
野ばら咲く窓や認定保育園★★★
花びらを鋪道に散らしポピー咲く★★★
黒蟻の行方定めず石の上★★★★
多田有花
見上げれば視界いっぱい八重桜(原句)
見上げれば視界にあふる八重桜★★★★(正子添削)
見上げた時の視界は、それほど広くない。ほぼ真上あたりか。この視界に八重桜の花がふわふわと重なり合い、あふれるほど。あでやかさはいかばかり。(高橋正子)
低く座し三色菫と向かい合う★★★
山路ゆく足元に咲きすみれ草★★★
4月23日(4名)
廣田洋一
食後の茶ゆったり啜る春の昼★★★
春昼や額に手を当て眠りをり★★★
春昼の見るとはなしに橋の上★★★★
小口泰與
吾妻の四万湖の青さ濃山吹★★★
桜しべ降りつくしたり空は蒼(原句)
「空は蒼」の「は」によって、空が強くなりすぎています。(高橋正子)
桜しべ降りつくしたり空真青★★★★
満開の桜が散り、赤い桜しべも降りつくしてしまった。空の色が真青になり、いよいよ葉桜の季節を迎える。花の時から葉桜へとうつりゆく桜の木である。(高橋正子)
おずおずと教室へ行く入学児★★★
川名ますみ
空へ伸びやがてうつむき紫蘭咲く(原句)
「空へ伸び」に対して、「うつむき」がマイナス思考へ働きますので、添削しました。
空へ伸びやがてむらさき紫蘭咲く★★★★(正子添削)
蕾をつけた茎が空へ伸びて、やがてむらさきの花を咲かせる。紫蘭の花のうつむいたイメージは読者に想像を委ねます。(高橋正子)
うつむきし紫蘭のつぼみ紅ほのか★★★
春闌けて髪の重さをカットする★★★★
桑本栄太郎
青柳の上へと靡く川の風(原句)
青柳を上へ上へと川の風★★★★(正子添削)
石垣の上に築地やつつじも燃ゆ★★★
夕闇にかざす明かりや花水木★★★
4月22日(4名)
小口泰與
渓流の迅き流れや濃山吹★★★
魚釣の今日は坊主や夕霞★★★
川沿いの菜の花畑まさやけし★★★★
廣田洋一
春日傘畳みて足を早めけり★★★
風受けて閉じたるままの春日傘★★★
橋の上立ち止まりたる春日傘★★★★
桑本栄太郎
わらわらと葉のゆらぎ居り若葉吹く★★★
ぶんぶんと羽音おそろし藤の棚(原句)
藤棚に蜂の羽音のおそろしき★★★★(正子添削)
藤棚の藤が満開で垂れ下がり、それに蜂が恐ろしいまでの羽音を立てて蜜をすっている。藤の花の生き生きとした豪華さを印象付けられる。(高橋正子)
花びらの色濃く散りぬ八重桜★★★
多田有花
無人の公園八重桜満開★★★
滑り台すべりゆくかな花びらも★★★★
生垣の平戸つつじの咲き初めし★★★
4月21日(4名)
廣田洋一
いつも通り事務所を出でて日永かな★★★★
日永なりお茶を一杯入れやうか★★★
春の風邪人には知らせず治しけり(原句)
春の風邪人に知られず治りけり★★★★(正子添削)
春の風邪があまりひどくならなくて、人に知られることもなく治ったというのも「春の風邪」らしくて俳句としていいのではと思います。
小口泰與
片雲や和同遺跡の遍路道★★★
春暁や湖を見下ろす丘に立つ★★★
残る鴨沼広びろと紛れなし(原句)
「紛れなし」と「残る鴨」が離れすぎて一読意味がとりにくいです。(高橋正子)
沼広びろ残る鴨の紛れなし★★★★(正子添削)
冬の間沼を占めていた鴨がおおかた帰り、残る鴨もわずかになった。沼が広々となり、沼に点在する鴨一羽一羽がはっきりと確かめられる。まぎれもない鴨の存在。(高橋正子)
多田有花
花吹雪いま盛んなる丘に立つ★★★★
平戸つつじにロードバイクの青年★★★
リード長きトイプードルがつつじに寄る★★★
桑本栄太郎
媼らのベンチ占めたる藤の棚★★★
たんぽぽの絮毛旅立つ野辺の風★★★
木洩れ日の木陰を歩む春落葉(原句)
「歩む」ことを言うより、「春落葉」に焦点を絞って、様子を述べるのが良いと思います。
木洩れ日の木陰にあまた春落葉★★★★(正子添削例)

自由な投句箱/4月11日~20日

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/4月11日~20日

4月20日(1句)
★溝川の流れゆかしき花菜晴れ/桑本栄太郎
菜の花が咲いて空が明るく晴れている。溝川の流れもやさしく、ゆかしい思いになる。やわらかく明るい春の景色を詠んだ句。(高橋正子)
4月19日(1句)
★春疾風島の灯台遠く見ゆ/多田有花
島の灯台は、普段なら、いつもの場所にくっきりと見えるのだが、春疾風が吹くと、砂塵を巻いているせいか、遠ざかって見える。ときには、ゆがんで見えるような気がする。また、逆の場合もあるようである。
春疾風星またたけば星近む 広瀬直人
4月18日(2句)
★富士の峯未だ白きや花水木/廣田洋一
富士の冠雪がまだ白いのに、ふもとでは、花水木が花びらを輝かせて咲いている。遠くに冠雪の富士を置き、近くを花水木が飾る。富士あればこそのいい眺めだ。(高橋正子)

★春疾風海鳥一列に並ぶ/多田有花
春の疾風が吹き付けるとき、なぜか海鳥は群れで固まらず、一列に突堤などに並んでいる。海鳥の整列を吹く春疾風。どちらも芯がある。(高橋正子)

4月17日(1句)
★古民家にて轆轤廻して春深き/廣田洋一
古民家の家内の深さを感じるのは春であろう。春も闌けてくれば外光が明るくなり、内は薄暗い。そこに轆轤が時を深めるように廻り土より器が生まれる。
「春深き」が実感できる。(高橋正子)
4月16日(1句)
★高きよりさらに高きへ松の芯/多田有花
松の枝に松の芯がずいっと伸びるころ。高い枝からさらに高い所へと伸びる松の芯は、伸びてゆらゆら揺れるほど。それらは空の高くでのできごと。(高橋正子)
4月15日(2句)
山峡の一朶の雲や鼓草/小口泰與
鼓草はたんぽぽのこと。しずかな山峡にぽっかりとい浮いている一朶の雲。それを見上げるように咲いているたんぽぽ。あたたかい日差しがかんじられる童画のような句。(高橋正子)
★しおやとんぼ霞桜の咲くころに/多田有花
しおやとんぼは四月ごろからあらわれる。山に霞桜が咲くころである。しおやとんぼと霞桜、少し珍しい出会いに、季節の妙を思う。(高橋正子)
4月14日(1句)
★木の芽山白き灯台立ちにけり/多田有花
岬の灯台の白と、木の芽山の淡いみどりの色合いが春らしく、よく映えている。(高橋正子)
4月13日(1句)
★すかんぽやひと際高く赤き穂に/桑本栄太郎
すかんぽの赤い穂の色は、葉の緑と親しみあう色。すっと高く伸びて野の草に高低をつけて郷愁を誘う。ただそのことが印象に残る。(高橋正子)
4月12日(1句)
★汐飛ばす蛤すぐに買ひにけり/廣田洋一
店先の蛤。汐を飛ばしているので、すぐ買いたくなった。生きのいい元気な蛤に出会ったときのうれしさが、率直に表された句。(高橋正子)
4月11日(1句)
★糸柳映りし水面波立てり/廣田洋一
糸柳は、枝垂柳のこと。糸柳というといかにも繊細な枝が想像できる。糸柳が映った水面が波立っている。映った柳が揺れて波立たせているようにも思える。水辺のやさしい光景。(高橋正子)

4月11日~20日

4月20日(4名)
小口泰與
牧開き真しやかに馬の顔
「真しやかに」の使い方が気になります。本当だとわからないのに本当らしくという元の意味からすると、馬とわからないのに、馬らしい顔という意味ですか。
山独活や溶岩も定かな浅間山★★★★
峻嶮の奇岩巨石や落し角★★★
廣田洋一
うららかに草々そよぐ狭庭かな★★★
花冷えや北の国から花便り★★★★
花冷えにどれを着るかと迷ひけり★★★
多田有花
造成地彼方に春の海光る★★★
春の昼ずらりとソーラーパネルかな★★★
続々と船がゆくなり春の沖★★★★
桑本栄太郎
一画の田の一面やげんげ咲く★★★
木洩れ日の綺羅と輝き春深む★★★
溝川の流れゆかしき花菜晴れ★★★★
菜の花が咲いて空が明るく晴れている。溝川の流れもやさしく、ゆかしい思いになる。やわらかく明るい春の景色を詠んだ句。(高橋正子)
4月19日(4名)
小口泰與
春の暮畑の十字の長話★★★
石碑ただ薄れし文字や百千鳥★★★
朝寝して忽と階下のドアの音★★★
廣田洋一
豌豆の白花覆ふ畝一つ★★★
支え木にまだ余裕有り花豌豆★★★★
うららかや子牛一頭足湯浴び★★★
多田有花
春の波寄せる彼方にガスタンク★★★
春疾風島の灯台遠く見ゆ★★★★
島の灯台は、普段なら、いつもの場所にくっきりと見えるのだが、春疾風が吹くと、砂塵を巻いているせいか、遠ざかって見える。ときには、ゆがんで見えるような気がする。また、逆の場合もあるようである。
春疾風星またたけば星近む 広瀬直人
残る鴨波打ち際に二羽三羽★★★
桑本栄太郎
風に乗り風に抗い蝶の昼★★★
みどり立つ軒端となりぬ売家かな★★★
二日見ぬ間にも色濃く躑躅燃ゆ★★★
4月18日(4名)
小口泰與
頬白の声を聞きつつ隠り沼へ★★★
囀りや水輪ひまなき潦★★★★
春雨を含む秀つ枝のきらきらと★★★
廣田洋一
バス通り白く染めたり花水木★★★
富士の峯未だ白きや花水木★★★★
富士の冠雪がまだ白いのに、ふもとでは、花水木が花びらを輝かせて咲いている。遠くに冠雪の富士を置き、近くを花水木が飾る。富士あればこそのいい眺めだ。(高橋正子)
日米の仲を確かめ花水木★★★
桑本栄太郎
紫雲英咲く田面広きや大原野★★★★
麗らかや天にぽつかり放れ雲★★★
被りもの取りて日差しに葱の花★★★
多田有花
播磨灘白く波立ち春疾風★★★
春疾風海鳥一列に並ぶ★★★★
春の疾風が吹き付けるとき、なぜか海鳥は群れで固まらず、一列に突堤などに並んでいる。海鳥の整列を吹く春疾風。どちらも芯がある。(高橋正子)
突堤の釣り人退散春疾風★★★
4月17日(4名)
小口泰與
写真機へ間合もよくて春の鹿★★★
赤城今朝若紫の弥生かな★★★
急流に負けず遡上の小鮎かな★★★
廣田洋一
五平餅食べつつ飛騨の旅うらら★★★
鯉の列長く伸びたる春深し★★★
古民家にて轆轤廻して春深き★★★★
古民家の家内の深さを感じるのは春であろう。春も闌けてくれば外光が明るくなり、内は薄暗い。そこに轆轤が時を深めるように廻り土より器が生まれる。
「春深き」が実感できる。(高橋正子)
多田有花
葱坊主雨にうたれつ並びおり★★★
降り続く雨桜しべ降り続く★★★
森の色明るくしたり春の雨★★★
桑本栄太郎
との曇り嶺の明るき菜種梅雨★★★
花みづき雨にしとどやエントランス★★★
垂れ下がるむらさき長く藤の花★★★
4月16日(4名)
廣田洋一
鳶一羽ゆったり舞てうららけし★★★
春深し木々の透けたる並木道★★★
段葛色濃くなりて春深し★★★★
小口泰與
風に揺るほのかな色や春ショール★★★
楓の芽紅に仄仄ほぐれたり★★★
ほろほろと山鳥歩む藪の奥★★★
桑本栄太郎
雨降れど天の明るき菜種梅雨★★★
大根の花の愁いや野の風に★★★
御衣黄桜のうすき紅差す春惜しむ★★★
多田有花
八重桜坂道ここに始まりぬ★★★
高きよりさらに高きへ松の芯★★★★
松の枝に松の芯がずいっと伸びるころ。高い枝からさらに高い所へと伸びる松の芯は、伸びてゆらゆら揺れるほど。それらは空の高くでのできごと。(高橋正子)
春の森あまたの色を広げおり★★★
4月15日(4名)
小口泰與
山峡の一朶の雲や鼓草★★★★
鼓草はたんぽぽのこと。しずかな山峡にぽっかりとい浮いている一朶の雲。それを見上げるように咲いているたんぽぽ。あたたかい日差しがかんじられる童画のような句。(高橋正子)
枝垂れ枝へ渦より出づる蛙かな★★★
水天に閃く細魚夕日影★★★
廣田洋一
座り心地良き切り株からひこばえ★★★★
うららかや子らの群れたる滑り台★★★
うららかや檜の香る露天風呂★★★
多田有花
しおやとんぼ霞桜の咲くころに★★★★
しおやとんぼは四月ごろからあらわれる。山に霞桜が咲くころである。しおやとんぼと霞桜、少し珍しい出会いに、季節の妙を思う。(高橋正子)
奏でおりなば花びらの舞い込みぬ★★★
花好きの家玄関に藤咲かせ★★★
桑本栄太郎
ひらひらと風に白きや花みづき★★★
曇りくる空の暗さや菜種梅雨★★★
からし菜の土手を占めたり川の風★★★
4月14日(4名)
小口泰與
散る花や利根上流の永久の水★★★
放棄地は鳥のあそび場菜の花黄★★★
起き抜けの顔へ化粧や睡花★★★
桑本栄太郎
つばくらの田面沿いゆく飛燕かな(原句)
飛燕かな田面沿いゆくその速さ★★★★(正子添削)
被りもの取りて咲き居り葱坊主★★★
ワクチンの接種始まり春惜しむ★★★
廣田洋一
蘖の花一輪咲きにけり★★★
蘖や親の評判越えられず★★★
蘖や親の道をば歩みたる★★★
多田有花
木の芽山白き灯台立ちにけり★★★★
岬の灯台の白と、木の芽山の淡いみどりの色合いが春らしく、よく映えている。(高橋正子)
春の河口先に小さき島があり★★★
花桃や空の青さに映えにけり★★★
4月13日(4名)
小口泰與
申し訳程の田畑や啄木忌★★★
ほとめきて春の通学女学生★★★
渓流の雪代山女夜のほどろ★★★
廣田洋一
雨に濡れ柳枝垂れるかえる神社★★★
山裾を紅く染めたり桜草★★★
雨浴びていよよ色濃く八重桜★★★★ 
桑本栄太郎
いざ帰らばや渋民村へ啄木忌★★★
すかんぽやひと際高く赤き穂に★★★★
すかんぽの赤い穂の色は、葉の緑と親しみあう色。すっと高く伸びて野の草に高低をつけて郷愁を誘う。ただそのことが印象に残る。(高橋正子)
嶺の端の雨に隠るる菜種梅雨★★★
多田有花
<兵庫県立赤穂海浜公園三句>
春の池スワンボートがいくつも巡る★★★
少年の夢の数ほどシャボン玉★★★
内海の波は静かよ春の浜★★★
4月12日(4名)
小口泰與
海棠や日にけに風と粉ぬか雨★★★
菜の花や雲のほぐるる榛名富士★★★
里人の蕨三和土に干しにけり★★★
廣田洋一
蛤のことこと煮えて蓋あくる★★★
汐飛ばす蛤すぐに買ひにけり★★★★
店先の蛤。汐を飛ばしているので、すぐ買いたくなった。生きのいい元気な蛤に出会ったときのうれしさが、率直に表された句。(高橋正子)
蛤の眠気覚ましに汐を吹く★★★
桑本栄太郎
からし菜の中州占めたる地道行く★★★
曇り来る空の暮れゆく菜種梅雨★★★
ワクチンの接種開始や春惜しむ★★★
多田有花
<兵庫県立赤穂海浜公園三句>
春の海隔てて四国の山かすか★★★
ちらほらと春の渚に人の影★★★
のどけしや塩田終焉五十年★★★★
4月11日(3名)
小口泰與
春昼の裏口出づや草数多★★★★
春風や検眼表の文字定か★★★
残照の湖へ景落つ落花かな★★★
廣田洋一
白躑躅とって変わりぬ花盛り★★★
糸柳映りし水面波立てり★★★★
糸柳は、枝垂柳のこと。糸柳というといかにも繊細な枝が想像できる。糸柳が映った水面が波立っている。映った柳が揺れて波立たせているようにも思える。水辺のやさしい光景。(高橋正子)
柳揺れ弁天堂の赤き壁★★★
桑本栄太郎
あちこちと辿り探すや蝶の昼★★★
山吹の八重の明るき茂みかな★★★★
大根の花の愁いや夕間暮れ★★★