1月11日~20日

1月20日(4名)
廣田洋一
風花やリフトを待つ乳母車(原句)
風花やリフトを待てる乳母車(正子添削①)
風花にリフトを待って乳母車(正子添削⓶)
風花が舞うのに乳母車に子を載せてリフトを待っている、アウトドアの好きな親子と見受ける。東京の高尾山には、ベンチのような親子で乗れるリフトがあるが、そんなリフトが思い浮かぶ。(髙橋正子)
風花や牡蠣殻積みし小料理屋★★★
日に向かひ背伸びしたるや仏の座★★★
小口泰與
山並みの雪の濃淡上州路★★★
山道に洩れる朝日の枯木かな(原句)
山道に洩れる朝日や枯木立★★★★(正子添削)
大利根の白波擡ぐ虎落笛★★★
多田有花
今朝はどのマフラー巻いて出かけよう★★★
善哉や小さき餅を焼いて入れ★★★
冬陽さす働く人のうしろから★★★
桑本栄太郎
地吹雪の嶺より里へ在所かな★★★
湧き上がるように舞い居り風花す★★★
すずめ等の輪になり翔びぬ今日大寒★★★
1月19日(4名)
小口泰與
寒鯉や峠越ゆると佐久平(原句)
寒鯉の情景がわからないので、添削しました。(髙橋正子)
寒鯉釣り峠越ゆると佐久平★★★★(正子添削)
また一人寒鯉釣りに加わりぬ★★★
あけぼのの霜の玻璃戸のがりがりと★★★
廣田 洋一
明星と向き合ひ上る冬満月★★★
冬の月白く照らせる舗道かな★★★
庭先の風にうごめく冬木の芽★★★★
多田有花)
陽を受けて輝く雪の遠き嶺★★★
寒月の夜明けを待たず沈みけり★★★
万年筆の青き筆跡日脚伸ぶ★★★
桑本栄太郎
凍晴れや児童集まり登校に★★★★
凍てつくような朝もよく晴れて、家々から児童が集まって、集まったところで登校する。よく見かける光景だが、凍晴れの空の下の子供たちへのまなざしの優しさがいい。(髙橋正子)
天晴れて夢のようなり風花す★★★
いつまでも子等遊びを居り日脚伸ぶ★★★
1月18日(5名)
小口泰與
雀らに見はられ居りぬ霰餅★★★★
亀甲の結城紬や春近し★★★★
結城紬の温かみのある織、亀甲の目出度い結城紬特有の織柄に、それを身に着けている、おそらく奥さんなのでしょうが、はっと思わせた「春近し」の感じ。しっとりした華やぎがいい。(髙橋正子)
隠り沼の霊気や風の霜柱★★★
廣田 洋一
冬の月尖れる夜の更けゆきぬ★★★
長年の仕事終わりて冬の月★★★
お疲れさまでした。(髙橋正子)
麦の芽に大山の風吹き渡り★★★★
多田有花
古ジャケットの袖はレッグウォーマーに★★★
金銀のピアス冷たき耳にして★★★★
寒暁や決意新たに床を出る★★★
桑本栄太郎
目覚めても途切れやらずよ冬の夢★★★
嶺の端の白くけぶりぬ雪しまく★★★★
雪しまきふるさと遠く想いけり★★★
友田修
冬満月低く畑を照らしおり★★★★
「低く」がいい。冬満月が昇ったばかりのところ。大きな満月が低くから畑を照らす光は、厳しい寒さに研ぎ澄まされている。(髙橋正子)
冬の月黒々と畑を照らす(原句)
冬の月畑(はた)を黒々照らしける★★★★(正子添削)
下五は、「照らしけり」としてよいのですが、「照らしける」と連体形で止めて、余韻をもたせました。(髙橋正子)
寒晴れに空の高さを仰ぎ見る★★★
1月17日(4名)
小口泰與
近道の路地や朝日の霜柱★★★
探梅や二両車両の無人駅★★★★
蝋梅や川沿いにある古戦場★★★
廣田洋一
風花や牡蠣殻積みし五重塔★★★
風花や舞行く先の白き波(原句)
風花や白き波へと舞い行けり★★★★(正子添削)
原句は、風花と白き波のイメージが強いので、動きが止まった印象です。風花の動きが出るように添削しました。(髙橋正子)
湘南の麦の芽育つ伊勢ケ原★★★
多田有花
講義しておれば窓の外に雪★★★
大根と柚子を醤油で浅漬けに★★★
寒荒にクリームこまめに塗りにけり★★★
桑本栄太郎
くいくいと上向く枝の冬芽かな★★★★
よく見れば、冬芽は、懸命に、くいくいと上へと向かう勢いがある。自信満々に見える幼子に重なる冬芽の姿。(髙橋正子)
鬼夜叉のやうな貌なり枯芙蓉★★★
うつすらとピンク乗りたる冬木の芽★★★
1月16日(5名)
小口泰與
村道の雪の轍の古びけり★★★
喚きたる二羽の鴉や日向ぼこ★★★
夕映えのいっときの色浮寝鳥★★★★
友田修
年賀状きたねといってスマホ見る★★★
雪天に枝広げたる欅かな★★★
淡々と雪に消えゆく景色かな★★★★
多田有花
初えびす熊手抱えて戻る人★★★★
北の山終日雪の雲の下★★★
ベランダの蛇口にタオル巻く寒夜★★★
廣田 洋一
寒晴れや白富士の峯神々し(原句)
「白富士の峰」を上五に置いて、印象を強くしました。
白富士の峰神々し寒の晴★★★★(正子添削)
雪の富士マグマを秘めてすまし顔★★★
並木道ぽつぽつ紅き冬芽かな★★★
桑本栄太郎
凍晴の今朝の山肌縮むかに★★★★
「凍晴」は、凍りつくような寒さの中の快晴。凍てつく寒さに、山肌が身を縮めるかのような厳しい姿を見せている。見る者の気持ちが重なっているのはもちろんだろう。(髙橋正子)
青々と畝のつづくよ葱畑★★★
金柑の空にかざすや塀の中★★★
1月15日(4名)
廣田 洋一
亡き妻に善哉供ふ小正月★★★
小正月外出控へる友ばかり★★★
いつもの電車いつもの橋や日脚伸ぶ★★★★
1月も鏡開きのころになると、日脚がのびて、景色が明るくなってくる。生活も日常にもどり、いつもの電車に乗り、いつもの橋を渡って、仕事や買い物に出かける。日常の落ち着きやのどかさが明るく詠まれている。(髙橋正子)
小口泰與
霜柱踏む子犬の果てな顔★★★
ひと筋の紅蓮の没日冬の沼★★★
竹林や雪の間渉る風の音★★★★
多田有花
寒風やゆっくり珈琲を入れる★★★
窓を打つ寒波今宵はひとり鍋★★★
マフラーに首を埋めて出勤す★★★
桑本栄太郎
凍晴れや山膚白くそのままに★★★
スキップの子等の田道や寒晴るる★★★★
妻ひとり神社へ参る女正月★★★
1月14日(4名)
小口泰與
餅雪や石碑の文字古戦場★★★
滝氷柱怒髪の岩の不動なる★★★
葱の香の三和土にみつる山家かな★★★★
冬の葱は甘味がまして、特有の葱の匂いが鼻につんと来る。畑から抜いてきた葱を三和土に持ち込むと、夕餉のお菜になるのだろう、三和土は葱の匂いでいっぱいになる。山家の暮らしが見える句。(髙橋正子)
多田有花
正月の弘天詣智慧を受く★★★
置物の干支飾りおり松の内★★★
寒風に吹かれて鳩の舞い上がる★★★★
桑本栄太郎
カーテンを開けて結露や雪化粧★★★
音もなく眼下に降りぬ雪景色★★★
天よりの欠片のように雪が降る★★★★
廣田 洋一
公園の一画灯す水仙花★★★★
白水仙雌蕊は凛と黄金色(原句)
白水仙雌蕊の凛と黄金色★★★★(正子添削)
水仙の咲けども止まぬ丈くらべ★★★
1月13日(4名)
廣田 洋一
白々と煌めく海や寒日和★★★
鳰一羽餌を漁りたる寒の川★★★
寒稽古終へるを待ちて汁粉鍋★★★
小口泰與
自転車の補助輪外す吾子の冬★★★★
霜柱墨絵の如き妙義山★★★
上州の虎落笛こそ浴びに来よ★★★
多田有花
厄神に詣でて後の水仙花★★★
昼半月桜冬芽の上にあり★★★★
白い昼の半月。桜はまだ冬芽。この二つは、やがて輝く満月に、満開の桜になる。そんなイメージを秘めて、今も十分美しい。(髙橋正子)
坂を下れば正月の海見えてくる★★★★
桑本栄太郎
寒風の頬へ耳へといたぶりぬ★★★
水禽の番い水脈曳く何処までも★★★★
池の辺や風を見送る枯尾花★★★
1月12日(4名)
小口泰與
枯蔓引くや鳥声高き山上湖★★★
あけぼのの鋭声の鳥や木守柿★★★
冬草や畑に置き去るねこ車★★★
多田有花
滑り来て鴨は水輪の中心に★★★★
寒中の空を浮かべる山の池★★★
厄神に初詣して厄落し★★★
桑本栄太郎
カーテンを開けて結露や雪の朝★★★
晴れ居ても天より舞いぬ雪見かな★★★
シャンソンのアダモ聴き居り雪が降る★★★
廣田 洋一
足元より冷気上り来寒の朝★★★
寒の海きらきらはねる水平線★★★★
水平線は一線がまっすぐ引かれているのが普通だが、寒の海の水平線は、きらきらひかって、光がはねている。画に描いたような、きらきらと、また、ぴちぴちと跳ねる面白い、生きもののような水平線だ。寒中の光は意外にも強い。(髙橋正子)
仰ぎ見る寒の白富士凛として★★★
1月11日(4名)
小口泰與
渓流の流れ嫋嫋息白し★★★
枯桑や無人駅より小学生★★★★
山の井の寂寂として寒鴉★★★
廣田洋一
水仙や並木の根方取り囲み★★★
銀世界水仙色を濃くしたり★★★★
一面の雪の世界。水仙の葉の色も濃く、花も凛立っている。雪の中の水仙が清らかでいて、力強い。(髙橋正子)
寒晴や白き機影の煌めきぬ★★★
多田有花
浮かび来しアイデアメモしている寒夜★★★
非常灯寒夜の足元を照らす★★★
街角に晴着輝く新成人★★★★
桑本栄太郎
幾度も戸外眺むる寒の雨★★★
包丁を押しあて開く鏡割★★★
雨あがり冬の茜や嶺の空★★★

自由な投句箱/2022年1月1日~10日

※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
代表:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/2022年1月1日~10日

1月10日(1句)
★山眠るうえに蒼空あるばかり/多田有花
おおらかでシンプルな光景。「蒼空あるばかり」の「あるばかり」がこの句を詩として成り立たせている。蒼空の存在感を改めて知る。(髙橋正子)
1月9日(2句)
★市立つや小振りの達磨贖えり/小口泰與
達磨市が立って達磨を買い求めに大勢が集まる。大きいものではなく、小振りなものを買った。小振りな達磨を買おうと思う心持に頷ける。(髙橋正子)
★早梅の白さをみたり花舗の前/廣田 洋一
花舗の前を通り過ぎるとはやくも梅の枝が差してある。その梅の花の白さにはみずみずしく驚くほどだ。(髙橋正子)
1月8日(1句)
★早梅に湘南の日矢柔らかし/廣田 洋一
湘南の日差しのやわらかさを実感するのは、ちらほら梅が咲き出してからのことであろう。「日矢柔らかし」と梅の配置がいい。(髙橋正子)
1月7日(1句)
★あけぼのの風の氷柱の奏でける/小口泰與
あけぼのの風が氷柱を研ぎ、通り過ぎるとき氷柱が鳴る。きびしい自然のなかにも美しさがある。(髙橋正子)
1月6日(2句)
★枯蓮の池の水面や空の青/桑本栄太郎
枯蓮の池にはあちこち小さな水面が見られる。水面は平らで動かず、空を映している。鏡のような水面は、青空を美しく反射する。枯蓮と空の青の対比美しい。(髙橋正子)
★葉の陰の実もつややかに藪柑子/川名ますみ
藪柑子は丈が低くて、葉の陰にも赤くてつややかな実がついている。葉陰にも拘わらず、そのつややかさ、可愛さは魅力。それを見つけた。(髙橋正子)
1月5日(1句)
★ひと筋の没日の映ゆる冬の沼/小口泰與
荒涼とした冬の沼に、ひと筋没日が差し込むと、沼は静かな華やぎに満ちた。
没日が差し込むほんの一時をしっかりと受け止めて句となった。(髙橋正子)
1月4日(1句)
★青空に真白き富士よ初暦/多田有花
富士山の写真は、カレンダーに実によく使われる。富士山のいろいろな姿は、日本一と思わせる魅力がある。今年もめでたく、真白い雪をかぶった富士山の暦から始まった。当たり前ながらの、すがすがしさ。(髙橋正子)
1月3日(2句)
★水落ちる隙間残して滝氷柱/廣田洋一
滝に水が流れるままのような氷柱が下がっている。すっかり凍ってしまったのかと思うが、水が落ちる隙間が残って、水が落ちている。それを発見したとき、滝が生きているように思えたのだろう。(髙橋正子)
★破魔矢持つ人と出会いぬ田道かな/桑本栄太郎
田道を歩くと、すでに初詣を済ませ、破魔矢を手にした人と出会った。行きずりの人の破魔矢に年があらたまったことを実感した。(髙橋正子)
1月2日(1句)
★流れゆく川が映せる初御空/多田有花
元日の空は特別でふり仰ぐと淑気に満ちた感じがする。流れる川はと言えば、元日の空が映り、川の流れと共に流れて行くようだ。すがすがしい空である。(髙橋正子)
1月1日(4句)
★駈け寄りて胡坐にふわり春着の子/小口泰與(上州)
★瀬戸内の雪の元朝珍しや/多田有花(瀬戸内)
★早梅や産土神の参道に/廣田 洋一(湘南)
★湯に浸かり遥か遠くに除夜の鐘/桑本栄太郎(京都)
それぞれの句にお住いの土地に対する感覚があるのだと、感じました。
本年もよろしくお願いします。(髙橋正子)

2022年1月1日~10日

1月10日(4名)
小口泰與
一月の山は多弁や川は黙★★★
独り居の友へ寒紅届けける★★★
奥利根の宿の女将や雪眼鏡★★★
廣田 洋一
宝船重ね枕の良き眠り★★★
煮凝りをそのまま乗せる熱き飯★★★
氷柱溶け雪を穿てる軒の下★★★★
桑本栄太郎
寒晴や鉄塔連なる嶺の空★★★
一天の雲の無き日や寒の晴れ★★★
逃げもせず啄み居たる寒すずめ★★★
多田有花
腰かけて日向ぼっこのふたりかな★★★
山眠るうえに蒼空あるばかり★★★★
おおらかでシンプルな光景。「蒼空あるばかり」の「あるばかり」がこの句を詩として成り立たせている。蒼空の存在感を改めて知る。(髙橋正子)
起きぬけと寝る前に飲み寒の水★★★
1月9日(5名)
川名ますみ
初写真大きな富士を真ん中に★★★★
しらじらと初富士のより高きこと★★★
初鏡白髪も顔になじみけり★★★
小口泰與
市立つや小振りの達磨贖えり★★★★
達磨市が立って達磨を買い求めに大勢が集まる。大きいものではなく、小振りなものを買った。小振りな達磨を買おうと思う心持に頷ける。(髙橋正子)
穏やかな仏の目鼻冬うらら★★★
一人住む閨秀作家寒牡丹★★★
廣田 洋一
ぽたぽたとうるさき氷柱折られけり★★★
一滴づつ光零して氷柱痩せ★★★
早梅の白さをみたり花舗の前★★★★
花舗の前を通り過ぎるとはやくも梅の枝が差してある。その梅の花の白さにはみずみずしく驚くほどだ。(髙橋正子)
多田有花
これ以上なきほど晴れて寒四郎★★★
ふとん温し夢の余韻のなかにいる★★★
湯たんぽのほのかな温み足に触れ★★★
桑本栄太郎
溝川の丘の流れや冬うらら★★★
連棟のハウスまぶしき寒晴るる(原句)
連棟のハウスまぶしく寒晴るる★★★★(正子添削)
冬耕の土塊白き田道かな★★★
1月8日(3名)
廣田 洋一
煮凝りや独り住まいの台所★★★
早梅や芝にくつろぐ家族有り★★★
早梅に湘南の日矢柔らかし★★★★
湘南の日差しのやわらかさを実感するのは、ちらほら梅が咲き出してからのことであろう。「日矢柔らかし」と梅の配置がいい。(髙橋正子)
小口泰與
火灰埃舞いて大根畑かな★★★★
奥利根の風垣囃す山の風★★★
強面の猿の仕草や冬ぬくし★★★
多田有花
静かなるジャズを流して七日かな★★★★
もぐさの香部屋いっぱいに初やいと★★★
街角に句材を探す松の内★★★
 
1月7日(4名)
小口泰與
湖凪ぐや七草粥を大盛に★★★
贈られし諏訪の真澄や御神渡★★★
あけぼのの風の氷柱の奏でける★★★★
あけぼのの風が氷柱を研ぎ、通り過ぎるとき氷柱が鳴る。きびしい自然のなかにも美しさがある。(髙橋正子)
多田有花
通勤の車列再び人日に★★★
人日やいずれのペンで書くべきか★★★
ペン立てにペンのいろいろ七日かな★★★
廣田 洋一
皿一つ取り残されて煮凝れり★★★
配達の足跡二つ雪の朝★★★
新雪の一足ごとに音立ちぬ★★★★
桑本栄太郎
お代わりの二杯食べ居り七日粥★★★
風無くば茫然たりぬ枯尾花★★★
岸離れ番い集いて浮寝かな★★★★
1月6日(5名)
小口泰與
山峡の没日の沼や小白鳥★★★
残光の森の枯木へ山の風★★★
ゆったりと鰭の動作や冬の鯉★★★
廣田洋一
煮凝や取り残されし夜の卓★★★
福寿草咲き溢れたる黄金色★★★
日の差せる松の根方や福寿草★★★★
多田有花
アヴェマリア電子ピアノの弾初に★★★
夕刻のはっきり遅し寒の入★★★
買初は四割引のワークシューズ★★★
桑本栄太郎
晴れ居ても忽ち雪の在所かな★★★
枯蓮の池の水面や青き空(原句)
枯蓮の池の水面や空の青★★★★(正子添削)
枯蓮の池にはあちこち小さな水面が見られる。水面は平らで動かず、空を映している。鏡のような水面は、青空を美しく反射する。枯蓮と空の青の対比美しい。(髙橋正子)
朽野やにぶき太陽田の面に★★★
川名ますみ
葉の陰の実もつややかに藪柑子★★★★
藪柑子は丈が低くて、葉の陰にも赤くてつややかな実がついている。葉陰にも拘わらず、そのつややかさ、可愛さは魅力。それを見つけた。(髙橋正子)
初雪に濡れてヘルパー挨拶す★★★
アイラインかるく跳ねさす初鏡★★★
1月5日(4名)
小口泰與
どっぷりと硯の海へ筆始★★★
ひと筋の没日の映ゆる冬の沼★★★★
荒涼とした冬の沼に、ひと筋没日が差し込むと、沼は静かな華やぎに満ちた。
没日が差し込むほんの一時をしっかりと受け止めて句となった。(髙橋正子)
冬薔薇の重く固まり風の中★★★
廣田 洋一
煮凝りやぷるんぷるんと海の音★★★
煮凝りのほどけ広がる青き皿★★★
御慶交す人に会ひけり喫茶店★★★★
多田有花
四日はや青空に向け干し物を★★★
小寒や犬に連れられ散歩する★★★★
買初にスマホ画面をクリックす★★★
桑本栄太郎
まんさくの枯葉のままに蕾かな★★★
こつ然と風起こり来るしぐれ雲★★★
白き実を青空に添え冬木立★★★★
1月4日(4名)
小口泰與
年酒の余りにあまる四日かな★★★
妻と酌む四日の酒や置炬燵★★★
棚探し二人にあまる鍋の物★★★
廣田洋一
故郷の土産と共に御慶かな★★★★
その度に立ち上がりたる御慶かな★★★
煮凝りの手羽肉覆ふ琥珀色★★★
多田有花
青空に真白き富士よ初暦★★★★
富士山の写真は、カレンダーに実によく使われる。富士山のいろいろな姿は、日本一と思わせる魅力がある。今年もめでたく、真白い雪をかぶった富士山の暦から始まった。当たり前ながらの、すがすがしさ。(髙橋正子)
穏やかな晴れ賜りぬ三が日★★★
集まって鍋を囲みし三日かな★★★
桑本栄太郎
エンジンの朝の駆動の四日かな★★★★
風無くばあっけんからんと枯尾花★★★
午後よりのきらきら降りぬしぐれ雲★★★
1月3日(4名)
廣田 洋一
水仙の二輪並びて咲きにけり★★★
門燈の如く立ちをる水仙花★★★
水落ちる隙間残して滝氷柱★★★★
滝に水が流れるままのような氷柱が下がっている。すっかり凍ってしまったのかと思うが、水が落ちる隙間が残って、水が落ちている。それを発見したとき、滝が生きているように思えたのだろう。(髙橋正子)
小口泰與
三日もう年始の客の無かりけり★★★
三日はや足裏(あうら)のつぼを押しにける★★★
あながちに年酒余る三日かな★★★
多田有花
年迎う雪照らしゆく陽とともに★★★★
初日影山肌を降り街へ向かう★★★
年新たどこかでボッとガスが点く★★★
桑本栄太郎
破魔矢持つ人と出会いぬ田道かな★★★★
田道を歩くと、すでに初詣を済ませ、破魔矢を手にした人と出会った。行きずりの人の破魔矢に年があらたまったことを実感した。(髙橋正子)
初買のセブンイレブンドーナッツ★★★
三日はや鍋の夕餉となりにけり★★★
1月2日(4名)
小口泰與
朝日差す巍巍の浅間や初景色★★★
初浅間噴煙柔く垂直に★★★★
家長より賜わるならい柳箸★★★
廣田 洋一
嫁きたる子電話で済ます御慶かな★★★
ジムの友かけより交す御慶かな★★★
煮凝りを茶匙で掬ひ白き飯★★★
多田有花
身近な山雪化粧して大旦★★★
流れゆく川が映せる初御空★★★★
元日の空は特別でふり仰ぐと淑気に満ちた感じがする。流れる川はと言えば、元日の空が映り、川の流れと共に流れて行くようだ。すがすがしい空である。(髙橋正子)
初景色初雪となるめでたさよ★★★
桑本栄太郎
ふるさとの訛り懐かし初電話★★★
嶺の端の間に雪の淑気かな★★★★
二日早やうどんの昼餉摂りにけり★★★
1月1日(4名)
小口泰與
初浅間紫紺の雲を産みにける★★★
あけぼのの産土神へ初日かな★★★
駈け寄りて胡坐にふわり晴着の子(原句)
「晴れ着」は季語になりません。「春着」としてください。(髙橋正子)
駈け寄りて胡坐にふわり春着の子★★★★(正子添削)
多田有花
除夜の鐘聞くことも無く眠りけり★★★
昨日とは変わらぬ今日も年新た★★★
瀬戸内の雪の元朝珍しや★★★★
廣田 洋一
限りなく青澄み渡る初御空★★★
初富士の白き山頂仰ぎけり★★★
早梅や産土神の参道に★★★★
桑本栄太郎
湯に浸かり遥か遠くに除夜の鐘★★★★
京都ならではですね。
東雲のうすき明かりや淑気満つ★★★
雪しまく元朝なりぬ今朝の窓★★★

自由な投句箱/12月21日~31日

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今日の秀句/12月21日~31日

12月31日(1句)
★大歳の庭真っ白や雪景色/桑本栄太郎
大歳の雪は、雪国はともかく、珍しいのではないだろうか。庭を真っ白に覆う雪に、年があらたまる思いが強まる。(髙橋正子)
12月30日(1句)
★竹林の竹節白々寒波来る/桑本栄太郎
寒波が来ると、辺りが寒さで冴えて、竹林の竹の節が、粉を吹いたように白くなる。いかにも冷たく寒むそうな景色。(高橋正子)
12月29日(2句)
★枯芒刈りて赤城の目路ひろげ/小口泰與
枯芒も枯れが進むと、呆けてうるさげになる。それを刈り取ると赤城山までの視界が開ける。寒さのなかにも、気持ちがすっきりと晴れやかになる。(高橋正子)
★大掃除鏡きれいに拭きあげる/多田有花
大掃除で鏡まできれいに拭きあげる。鏡に映った部屋が一度に明るくなって、新年がすぐそこまで来た感じだ。(髙橋正子)
12月28日(1句)
★紺碧の今朝の赤城や雪囲/小口泰與
今朝紺碧となった赤城山と、雪囲の取り合せがいい。「今朝」と言う時間が新鮮。雪囲もされたばかりだろう。(高橋正子)
12月27日(2句)
★初雪や日暮れとともに降り出しぬ/廣田 洋一
じっくり味わうと、句の良さが伝わってくる。日暮れになって冷えてくると、雨として降るはずが、初雪となって降り始めた。夜の帳が広がるにつれ初雪がおそるおそる降るようで、情趣深い。(髙橋正子)
★寒風の中に響ける子らの声/多田有花
寒風は寒く冷たいだけでなく、空気を冴え返らせて、元気に遊ぶ子どもたちの甲高い声をよく響かせる。寒風独特の響きが聞こえる。(髙橋正子)
12月26日(1句)
★陽を受けて眠れる山の穏やかに/多田有花
陽を受けると山も人のように、穏やかに眠る。山という巨人が穏やかに眠っているようでもある。(髙橋正子)
2月25日(1句)
★冬至の日猫より伸びる長き影/川名ますみ
一年で影が一番長い日の冬至。いつも身の周りにいる猫から長い影が生まれていることに気づいた。しなやかな肢体の影が長くて影絵の猫のように面白い。(髙橋正子)
12月24日(1句)
★多宝塔へ桜冬芽の枝のばす/多田有花
多宝塔と桜の取り合せは、寺の確かな景色。多宝塔に桜の冬芽をつけた枝が伸びているのも冬ということ。桜が咲けば爛漫の花と多宝塔という構図で楽しめる。(高橋正子)
12月23日(1句)
★盛り土の沈むを待ちて冬ざるる/廣田洋一
盛り土をしたばかりのときは、土といえどもその色は盛り上がり方も生々しい。その土も日にちが経ち落ち着いて沈んでくる。そうなると急に「冬ざれ」が強まって来る。難しいところをよく観察して詠まれている。(高橋正子)
12月22日(1句)
★鉄橋を貨物列車がゆく冬至/多田有花
鉄橋を貨物列車が渡ってゆくのは、冬至にかぎったことではない。けれど冬至であることで、鉄橋を渡る貨物列車の風景に一抹の感慨が湧く。(高橋正子)
12月21日(1句)
★町並みのうえに低かり冬満月/多田有花
町並みのうえに冬の満月は、昇ったばかり。低い位置から町の暮らしを照らしている。昭和レトロな雰囲気もあって、なつかしさを覚える句。(髙橋正子)

12月21日~31日

12月31日(4名)
廣田 洋一
呑み会の約束一つ年を越す★★★
スポーツジムの予約を入れて年越せり★★★
若き鷹飼追いひて鳴きにけり
小口泰與
届きたる酒を一献大晦日★★★
年越しや机辺の堆書数多なり★★★
年の夜や二年参りの星の数★★★★
多田有花
風の音朝より激し大晦日★★★
行く年に逝きたる人を思いけり★★★
大晦日家に籠ると但馬っ子★★★★
 (但馬は兵庫県の日本海側です)
桑本栄太郎
年用意終えて安堵の歌番組★★★
大歳の庭真っ白や雪景色★★★★
大歳の雪は、雪国はともかく、珍しいのではないだろうか。庭を真っ白に覆う雪に、年があらたまる思いが強まる。(髙橋正子)
年の夜や歌の番組延々と★★★
12月30日(4名)
小口泰與
黙想の森の枯木や雨の夜★★★★
小晦日妻は華髪を染めにける★★★
年用意風韻かける跡見せず★★★
廣田 洋一
セーターの穴をかがりて年惜しむ★★★
煮凝りをあたためなおしみをほぐす★★★
台所を磨き上げたり年送る★★★★
多田有花
小晦日古き土鍋に暇を出す★★★
捨てるものさらに捨てたり小晦日★★★
目標と抱負を記す小晦日★★★
桑本栄太郎
竹林の節白々と寒波来る(原句)
「竹林の節」は表現が不正確では、と思います。(高橋正子)
竹林の竹節白々寒波来る★★★★(正子添削)
寒波が来ると、辺りが寒さで冴えて、竹林の竹の節が、粉を吹いたように白くなる。いかにも冷たく寒むそうな景色。(高橋正子)
不意に翔つ羽音こきこき寒鴉★★★
風無くばあっけんからんと枯尾花★★★
12月29日(4名)
小口泰與
枯芒刈りて赤城の目路ひろげ★★★★
枯芒も枯れが進むと、呆けてうるさげになる。それを刈り取ると赤城山までの視界が開ける。寒さのなかにも、気持ちがすっきりと晴れやかになる。(高橋正子)
木守や流る彩雲浅間へと★★★
姦しき雀の性や寒の水★★★
廣田 洋一
金閣寺雪を冠りて静まれり★★★★
声かけて挨拶のみの仕事納★★★
古暦最後の予定残りをり★★★
多田有花
豪雪の写真友より届きけり★★★
寒波来て毛布一枚夜具に足す★★★
大掃除鏡きれいに拭きあげる★★★★
大掃除で鏡まできれいに拭きあげる。鏡に映った部屋が一度に明るくなって、新年がすぐそこまで来た感じだ。(髙橋正子)
桑本栄太郎
投句さえ忘れて居りぬ年用意★★★
数へ日の寸暇を惜しみ歩きけり★★★
歳晩の畑に人影だれも見ず★★★★
12月28日(3名)
小口泰與
紺碧の今朝の赤城や雪囲★★★★
今朝紺碧となった赤城山と、雪囲の取り合せがいい。「今朝」と言う時間が新鮮。雪囲もされたばかりだろう。(高橋正子)
大沼の木立霧氷や朝日差す★★★
矍鑠と眉雪をほこる毛皮かな★★★
廣田 洋一
ランニングマシン徐々に止まりて年送る★★★
新しきこと一つして年用意★★★★
思ひつきり手足伸ばして年惜しむ★★★
多田有花
冬林檎すっぱり割れば蜜たっぷり★★★
数え日に済ませる用事の二つ三つ★★★
数え日にすること整理と計画と★★★
12月27日(4名)
小口泰與
狼の声の如くや虎落笛★★★
蒼空へでんと構えし雪浅間★★★★
城跡の秀つ枝下枝の枯葉かな★★★
廣田 洋一
数へ日の一日を予約理髪店★★★
初雪や日暮れとともに降り出しぬ★★★★
じっくり味わうと、句の良さが伝わってくる。日暮れになって冷えてくると、雨として降るはずが、初雪となって降り始めた。夜の帳が広がるにつれ初雪がおそるおそる降るようで、情趣深い。(髙橋正子)
産神に参拝終へて松飾り★★★★
多田有花
懐かしき音楽流し年の内★★★
年末寒波空真っ青に晴れて★★★
寒風の中に響ける子らの声★★★★
寒風は寒く冷たいだけでなく、空気を冴え返らせて、元気に遊ぶ子どもたちの甲高い声をよく響かせる。寒風独特の響きが聞こえる。(髙橋正子)
桑本栄太郎
深々と音なき夜や雪が降る★★★★
凍朝の水色空や日差し来る★★★
ふるさとのテレビニュースや寒波来る★★★
12月26日(5名)
廣田 洋一
数へ日やなすべきことに指を折る★★★
数へ日に有志の集ふクラス会★★★
駐車場の一画占める飾売り(原句)
「切れ」をいれて、添削しました。(髙橋正子)
駐車場の一画を占め飾売り★★★★
小口泰與
木守や風と敵対砦門★★★
数え日やコッペパんを頬張りて★★★
歳晩や庭の植木へ向かいける(原句)
歳晩や庭の植木に真向かえり★★★★(正子添削)
多田有花
陽を受けて眠れる山の穏やかに★★★★
陽を受けると山も人のように、穏やかに眠る。山という巨人が穏やかに眠っているようでもある。(髙橋正子)
風強けれど光明るしクリスマス★★★
万年筆自分に贈るクリスマス★★★
桑本栄太郎
山茶花の生垣みだれ咲きにけり★★★
風花の蒼き空より晴れ来たり★★★★
一仕事終えたようなり賀状書く★★★
川名ますみ
薬局にクリスマスケーキ提げたひと★★★
線香と雑炊の湯気まじわりぬ★★★
年の瀬の夕映えミルクティーのいろ★★★★
12月25日(5名)
廣田 洋一
賑やかにチャーハン食べるクリスマス★★★
乾杯はノンアルコール聖夜かな★★★
俳句教室全て終わりて年惜しむ★★★
多田有花
歳晩の準備せわしき神呪寺★★★
見上げれば丸き山頂冬の空★★★★
十二月花いっぱいのティールーム★★★
小口泰與
離れにて吾は転寝や年用意★★★
行く年や県知事賞の知らせ無く★★★
歳晩や利根の川底石数多★★★★
川名ますみ
冬至の日猫より生ゆる長き影(原句)
「生ゆる」に工夫がありますが、「写生」に重点を置くのがいいと思います。
冬至の日猫より伸びる長き影★★★★(正子添削)
一年で影が一番長い日の冬至。いつも身の周りにいる猫から長い影が生まれていることに気づいた。しなやかな肢体の影が長くて影絵の猫のように面白い。(髙橋正子)
花いっぱい編まれショールのかろやかに★★★★
医師の声ショールの端をつまみ聞く★★★
桑本栄太郎
合歓の実の莢の乾ぶる冬日かな★★★
野良猫の日差しに眠る枯芙蓉★★★★
歩き行く程に集うやしぐれ雲★★★
12月24日(4名)
廣田 洋一
書き込みを一つ残して暦果つ★★★
守護札と並びて懸る暦果つ★★★
休耕の畑広がり山眠る★★★
小口泰與
御仏の螺髪の乱れ枯落葉★★★
近道の渇きし火山灰や北颪★★★
余燼溢れし吾の髪膚寒卵★★★
多田有花
石像の両手差しあぐ冬青空★★★
裸木の広く囲みし三角点★★★
多宝塔へ桜冬芽の枝のばす★★★★
多宝塔と桜の取り合せは、寺の確かな景色。多宝塔に桜の冬芽をつけた枝が伸びているのも冬ということ。桜が咲けば爛漫の花と多宝塔という構図で楽しめる。(高橋正子)
桑本栄太郎
山眠る嶺より里へ送電線★★★
山茶花の生垣高く里の家★★★
あご髭の白く伸びたりイブの夜★★★
 
12月23日(4名)
小口泰與
蒼天へ聳つ妙義鷹一つ★★★
遠き祖(おや)訪ね諏訪へと桜鍋★★★
暗渠へ枯葉や雨の水の音★★★★
廣田洋一
盛り土の沈むを待ちて冬ざるる★★★★
盛り土をしたばかりのときは、土といえどもその色は盛り上がり方も生々しい。その土も日にちが経ち落ち着いて沈んでくる。そうなると急に「冬ざれ」が強まって来る。難しいところをよく観察して詠まれている。(高橋正子)
空き地にて風のまにまに枯尾花★★★
枯芙蓉蕾の姿をそのままに★★★
多田有花
柚子の香の溢るる湯舟に浸かりおり★★★
大阪湾遠く冬陽に光りおり★★★
梅田のビル群後ろは冬の生駒山★★★
桑本栄太郎
冬日さす煙たなびく野面かな★★★
冬耕の畝間に水や午後の日に(原句)
冬耕の畝間の水や午後の日に★★★(正子添削)
山里の甍きらめく冬日燦★★★
12月22日(4名)
廣田 洋一
頂きし柚子を浮かべて冬至風呂★★★
燦燦と朝日降りたる冬至かな★★★★
道の端ぽつぽつ紅き冬薔薇★★★
小口泰與
碧天や噴煙のたつ雪浅間★★★★
満天の星や冬ばら風の中★★★
空風や赤城と榛名対峙せる★★★
多田有花
鉄橋を貨物列車がゆく冬至★★★★
鉄橋を貨物列車が渡ってゆくのは、冬至にかぎったことではない。けれど冬至であることで、鉄橋を渡る貨物列車の風景に一抹の感慨が湧く。(高橋正子)
湯たんぽを足で探りて眠りにつく★★★
正午前わずかに冬至の日差しあり★★★
桑本栄太郎
田舎より冬至南瓜の届きけり★★★
着ぶくれて樽のようなり朝歩き★★★
乙訓の風の田面や北おろし★★★
12月21日(4名)
小口泰與
日向ぼこ迦陵頻伽は夢の中★★★
雀らは樋の塒や木の葉雨★★★
丸めたる新聞持つや冬の蠅★★★
廣田 洋一
仏前にケーキ供へてクリスマス★★★
昼は並木夜は電飾聖夜かな★★★
冬凪や消波ブロック静まりぬ★★★
桑本栄太郎
小春日の園児ら手つなぎ散歩かな★★★
顔見世や掛け声ひびく大向う★★★
峰の端に宵の明星石鼎忌★★★
多田有花
冬満月町並みのうえに低し(原句)
町並みのうえに低かり冬満月★★★★(正子添削)
町並みのうえに冬の満月は、昇ったばかり。低い位置から町の暮らしを照らしている。昭和レトロな雰囲気もあって、なつかしさを覚える句。(髙橋正子)
シクラメン冬陽浴びつつ店先に★★★
山茶花を背景にしてはいポーズ★★★

自由な投句箱/12月11日~20日

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代表:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/12月11日~20日

12月20日(1句)
★冬凪や渚に貝を拾ひけり/廣田洋一
冬凪の渚には、風は冷たいものの明るい日差しがとどき、貝を拾いたくなる。この所作に素敵な静けさがあっていい。上品で穏やかな静けさに心休まる句。(高橋正子)
12月19日(1句)
★燦々と背ナに冬日や朝餉摂る/桑本栄太郎
朝餉の時間、ちょうど背ナに冬日が当たって、暖かい。日の当たる背ナは、暮らしてきた歳月がそのまま表れて見える。(高橋正子)
12月18日(1句)
★寒波来て入日いっそう輝けり/多田有花
寒波の厳しさが入日を磨くように、いっそう輝かせる。厳しい寒さが空気を鋭利にさせたようだ。(高橋正子) 
12月17日(1句)
★木の伐り株白し寒波来る/桑本栄太郎
大木ならば、切株も大きく白さも鮮やかだろう。切株の白の鮮烈さに、生々しささえ見える。寒波が来て、いっそう切株の白さば目立つ。(髙橋正子)
12月16日
該当句無し
12月15日(1句)
★星冴ゆる真夜の報せや叔父逝去/桑本栄太郎
星が冴える夜は、冷え込みがまし、家うちに居ながら、感覚がさえる。そんなときの身内の訃報はある意味納得し、ある意味受入がたく、思い出がふつと湧く。人の死と切り離せない星の冴える夜である(髙橋正子)
12月14日(1句)
★駅出れば星の迎へる十二月/廣田洋一
日もいよいよ短くなり、寒さがつのり、空気が澄んでくる十二月。駅を出るとたくさんの星が空にきらめき、出向かえてくれるようである。(髙橋正子)
12月13日(1句)
★間の朱き冬芽のひたすらに/小口泰與
庭の木々を見上げると、眼間には朱い冬芽がたくさん育っている。その姿は「ひたすら」とさえ思える。そう思うのは優しさ。(髙橋正子)
12月12日(1句)
★凍草や湖は紫紺を極めける/小口泰與
湖のほとりは凍草が覆っている。湖も紫紺の色を極め、静寂がやがてこころのなかに、華やかさに変わっていく、美的なセンスのある句だ。(髙橋正子)
12月11日(1句)
★落葉松の錆びのようなる積む落葉/桑本栄太郎
落葉松は金色の黄葉から錆び色の落葉へと変わっていく。錆びを落としていくように地面に深々と降り積もる。芽吹くときも、黄葉のときも、名のとおり落葉となるときも、人の一生のごとく趣ある変化を見せて来る。(髙橋正子)