今日の秀句/2月11日~20日

2月20日(1句)
★野を焼くや事務所に満つる香の強き/廣田洋一
野を焼く煙が事務所に満ちて、野を焼く匂いが驚くほどに実感される。まさかの野焼きの強い匂いに包まれた事務所の様子が想像される。(髙橋正子)
2月19日(2句)
★嫁ぎし子の古き机や雛飾る/廣田洋一
「古き机」がいい。古い机は嫁いだ子が使っていた学習机であろうか。離れ住む子を思い雛を飾る心優しさが滲んでいる。(髙橋正子)
★茎立の今にもつぼみ開くかに/桑本栄太郎
茎立のつぼみが今にも開きそうになって、黄色だろうか、色が見えている。小さなつぼみの元気がかわいい。(髙橋正子)
2月18日(1句)
★道端の石碑に供ふ梅の花/廣田洋一
道端の石碑は、たいてい草花が供えられているが、今日は梅の花が供えられている。香り高い梅の花に、石碑の周囲までもきよらかになっている。(髙橋正子)
2月17日(1句)
★書を置いて湖を見ている春炬燵/小口泰與
ほっこりと足を温めてくれる春の炬燵に入りながら、書を読む目を休めて、湖の景色を眺めている。いい時間を過ごされている。(髙橋正子)
2月16日(1句)
★山風に春大根を干し展げ/小口泰與
春大根の切干を作るのだろうか。薄く広げ干して、風や日に良く当てると甘味をました切干ができる。春寒い山風とはいえ、なくてはならない風。(髙橋正子)
2月15日(2句)
★浜に焚く釜の湯気立て和布干す/廣田洋一
春とはいえ、和布を干す浜はまだまだ寒い。湯を沸かす釜も薪をくべられ、湯気がどんどん上がっている。和布干しの浜が生き生きしている。(髙橋正子)
★みどり濃き菜の花和えの夕餉かな/桑本栄太郎
菜の花和えが食卓に上ると確実に春。菜の花の緑も濃くて、美味しそう。旬の一品が嬉しい夕餉。(髙橋正子)
2月14日(2句)
★焼山や焦げし土より芽吹くべし/廣田洋一
枯草を焼き、草の芽吹きを促す。黒く焦げれば、焦げるほどよく芽吹くとも聞く。「芽吹くべし」と命令さながらの期待。山の芽吹きへのあかるい期待がいい。(髙橋正子)
★春めくや出かけんと靴の紐結ぶ/多田有花
春めいたと感ると、どこかへ出かけたくなる。靴紐をしっかり締め、足取り軽く歩きたい。春への衝動。(髙橋正子)
2月13日(1句)
★紅梅の更に色づく雨予報/桑本栄太郎
一雨ごとに春本番へ近づくころ。紅梅の蕾がふくらんで色づいてきた。雨となる予報も春本番へのうれしい一歩だ。(髙橋正子)
2月12日(1句)
★蕗の薹の緑湧き出る庭の隅/廣田洋一
枯葉などが溜まっている庭の隅だろうか。緑が湧き出るように蕗の薹が出た。
蕗の薹の緑を見たとたんの嬉しさが伝わる。(髙橋正子)
2月11日(1句)
★日差したる土手の南面よもぎ萌ゆ/桑本栄太郎
暖かい日差しの土手を見ると、よもぎが萌えだしている。春の日差しを一番喜んでいるのは土手草だろう。草萌える季節が嬉しい。(髙橋正子)

2月11日~20日

2月20日(4名)
小口泰與
剪定や空あかあかと榛名富士★★★
噴煙の途切れとぎれや蓬摘む★★★★
紅梅や鳥に誘われ湖堤★★★
廣田洋一
わらわらと勢子の出で来る野焼かな★★★
野を焼くや事務所に満つる香の強き★★★★
野を焼く煙が事務所に満ちて、野を焼く匂いが驚くほどに実感される。まさかの野焼きの強い匂いに包まれた事務所の様子が想像される。(髙橋正子)
野を焼くや煙の中を帰宅せり★★★
多田有花
春遅しフロントガラスに湯をかける★★★★
朝出会う人と余寒を言い合えり★★★
雨あがり後も遅春の風強し★★★
桑本栄太郎
からころと竹林歌う春の風★★★
春空や馬の背雨の降り来たる★★★
橡の芽のぬめり煌めく日差しかな★★★★
2月19日(3名)
廣田洋一
嫁ぎし子の古き机や雛飾る★★★★
「古き机」がいい。古い机は嫁いだ子が使っていた学習机であろうか。離れ住む子を思い雛を飾る心優しさが滲んでいる。(髙橋正子)
部屋の隅少し艶めく夫婦雛★★★
夕方は雨との予報雛飾る★★★★
小口泰與
するすると枝より落つる春の雪★★★
鳥の来てほたほた落つる春の雪★★★
日の出て枝の水玉春の雪★★★★
桑本栄太郎
菜園の野辺のけぶりや犬ふぐり★★★
茎立の今にもつぼみ開くかに★★★★
茎立のつぼみが今にも開きそうになって、黄色だろうか、色が見えている。小さなつぼみの元気がかわいい。(髙橋正子)
午後よりの雨の予報や木の芽張る★★★
2月18日(3名)
小口泰與
麦踏や赤土の舞う山の風★★★
焼けてゆく芝火は忽と犬を追い★★★★
耕や鴉忽然集いける★★★
廣田洋一
道端の石碑に供ふ梅の花★★★★
道端の石碑は、たいてい草花が供えられているが、今日は梅の花が供えられている。香り高い梅の花に、石碑の周囲までもきよらかになっている。(髙橋正子)
春満月夜明けの空に皓皓と★★★
薄氷を踏み砕きつつウヲーキング★★★
桑本栄太郎
大振りの斑入り椿の開きけり★★★
まんさくの目立ちたがりや朝日占め★★★
さえずりの鳥の眼と合う散歩かな★★★★
2月17日(4名)
小口泰與
同窓の宴の朝や蜆汁★★★
壺焼やサイドカーより二人連★★★
書を置いて湖を見ている春炬燵★★★★
ほっこりと足を温めてくれる春の炬燵に入りながら、書を読む目を休めて、湖の景色を眺めている。いい時間を過ごされている。(髙橋正子)
廣田洋一
傘閉じて目の前なるや鶯餅★★★★
山を見て風に吹かれて麦を踏む★★★
麦踏や肩に手をかけ一列に★★★
多田有花
強風のおさまりし後春の月★★★★
ピアノ弾くことの楽しさ春の夜★★★
冴え返る熱きうどんを食べにけり★★★
桑本栄太郎
風を避け猫日溜まりに冴え返る★★★
余寒なほ風に大きく木々の枝★★★
行き交わす足並み早く春寒し★★★★
2月16日(4名)
小口泰與
山風に春大根を干し展げ★★★★
春大根の切干を作るのだろうか。薄く広げ干して、風や日に良く当てると甘味をました切干ができる。春寒い山風とはいえ、なくてはならない風。(髙橋正子)
遅き日や古りし表札我も古★★★
青饅や同胞集う大広間★★★
廣田洋一
バレンタインチョコを配れる寿司屋かな★★★
魚跳ねて光一瞬春の水★★★
鯉の群優しく包む春の水★★★★
桑本栄太郎
背景に青空入れて梅見かな★★★★
木の枝に引掛り居りぬいかのぼり★★★
白きもの青き空より春日さす★★★
多田有花
春しぐれ夕べ明るき中に降る★★★
快晴や春北風のごうごうと★★★★
余寒なお月冴え冴えと昇りくる★★★
2月15日(4名)
 
小口泰與
川魚の腹にたっぷり蕗味噌よ★★★
山風のいまだ冷たし蕗の薹★★★★
早春の妙義の雲の龍の如★★★
廣田洋一
浜に焚く釜の湯気立て和布干す★★★★
春とはいえ、和布を干す浜はまだまだ寒い。湯を沸かす釜も薪をくべられ、湯気がどんどん上がっている。和布干しの浜が生き生きしている。(髙橋正子)
富士見ゆる浜辺にずらり和布干★★★
海の香を噛みしめ和布刺身かな★★★
多田有花
まだ暗し早起きの雉が鳴いている★★★★
白梅に午後の静かな雨が降る★★★
山なみの眠りから覚め微笑みぬ★★★
桑本栄太郎
橡の芽のぬめり光るや新芽立つ★★★
うららかや散歩帰りにお菓子買う★★★
みどり濃き菜の花和えの夕餉かな★★★★
菜の花和えが食卓に上ると確実に春。菜の花の緑も濃くて、美味しそう。旬の一品が嬉しい夕餉。(髙橋正子)
2月14日(4名)
小口泰與
早春や山椒の効いた鰻飯★★★★
初雷や上州の山みな嶮し★★★
犬病むや目の前迫る薄氷★★★
廣田洋一
海見んと山火のほむら駆け登る★★★
焼山や焦げし土より芽吹くべし★★★★
枯草を焼き、草の芽吹きを促す。黒く焦げれば、焦げるほどよく芽吹くとも聞く。「芽吹くべし」と命令さながらの期待。山の芽吹きへのあかるい期待がいい。(髙橋正子)
新人を伴ひ二月礼者かな★★★
多田有花
春めくや出かけんと靴の紐結ぶ★★★★
春めいたと感ると、どこかへ出かけたくなる。靴紐をしっかり締め、足取り軽く歩きたい。春への衝動。(髙橋正子)
麗かな堤をゆけば川の音★★★
囀りの始まり近しいそひよどり★★★
桑本栄太郎
春寒の真夜に風吹き唸りけり★★★
さへづりや団地の空にイカル鳴く★★★
沈む日に月のぼり来る春淡し★★★★
2月13日(4名)
小口泰與
拓けゆく畑や青麦風の中(原句)
拓けゆく畑の青麦風の中★★★★(正子添削)
一本の校庭の松朧かな★★★
春霜や日差し射したる伏すボート★★★
多田有花
暁を待たず春眠より覚める★★★
あぜ道に青きさざめきいぬふぐり★★★★
二月の畔風やわらかくなりにけり★★★
廣田洋一
丈伸びて色艶増せり黄水仙★★★
春の雪帰りは雨となりにけり★★★
ケーブルカー軌道に残る春の雪★★★★
桑本栄太郎
との曇る空の田道や春しぐれ★★★
紅梅の更に色づく雨予報★★★★
一雨ごとに春本番へ近づくころ。紅梅の蕾がふくらんで色づいてきた。雨となる予報も春本番へのうれしい一歩だ。(髙橋正子)
白壁のつづく民家や梅屋敷★★★
2月12日(3名)
小口泰與
春暁や早も古木に群雀★★★
春の朝黄帽子の列背の順に★★★★
吐く息の赤城曇らす春の朝★★★
廣田洋一
蕗の薹芽キャベツ並び売られをり★★★
庭の隅緑湧き出る蕗の薹(原句)
蕗の薹の緑湧き出る庭の隅★★★★(正子添削)
枯葉などが溜まっている庭の隅だろうか。緑が湧き出るように蕗の薹が出た。
蕗の薹の緑を見たとたんの嬉しさが伝わる。(髙橋正子)
湯煙の流れる庭に蕗の薹★★★
桑本栄太郎
白壁の長き築地や梅屋敷★★★
せせらぎの春の小川の歌いけり★★★
近鉄の小坂を降りる菜の花忌★★★★
2月11日(3名)
小口泰與
春浅し朱き蕾を育てそめ★★★
上州の焼き饅頭や春兆す★★★★
産土の台地驚喜の雨水かな★★★
廣田洋一
休耕の畑の端より草青む★★★★
グリーン車にて最後の仕上げ受験生★★★
受験子に道案内の女学生★★★
桑本栄太郎
へんぽんと見よ建国の日章旗★★★
乙訓の風の田道や犬ふぐり★★★
日差したる土手の南面よもぎ萌ゆ★★★★
暖かい日差しの土手を見ると、よもぎが萌えだしている。春の日差しを一番喜んでいるのは土手草だろう。草萌える季節が嬉しい。(髙橋正子)

自由な投句箱/2月1日~10日

※当季雑詠3句(冬の句・春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
代表:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/2月1日~10日

2月10日(1句)
★紅梅の三分が良けれ梅ひらく/桑本栄太郎
紅梅の咲き具合によって、趣が違ってくる。三分ほど開いた紅梅はと言えば、
紅も濃く、わずかに開いた花がかわいらしい。(髙橋正子)
2月9日(1句)
★味噌汁の湯気馥郁と海苔二枚/小口泰與
味噌汁と海苔。新海苔ならば風味はいっそうで、味噌汁の香りとともに、春寒の朝には、体が温まり、気持ちが落ち着き、ありがたい朝食。海苔二枚もいい。(髙橋正子)
2月8日(2句)
★伏流の水湧き出づや蕗の薹/小口泰與
清らかな伏流水とさみどりの蕗の薹の取り合せに、早春の清らかさが読み取れて、読むものも嬉しい。(髙橋正子)
★富士を背に畦道黒き梅見かな/廣田洋一
梅見のころの畦道は、雨で湿って黒々としている。その実感がいい。遠望の富士が梅見の景色をひろびろとさせている。(髙橋正子)
2月7日(1句)
★春の日の散歩眩しきつばきの葉/桑本栄太郎
春の日に散歩をすると、つやつやとした葉が茂る椿に出会う。蕾はまだ固いが、眩しく光る椿の葉に春の光を感じる。(髙橋正子)
2月6日(1句)
★紅梅の莟ふくらむほど淡き/川名ますみ
紅梅の莟は濃い紅色。膨らむにつれ、そのままの紅ではなく、凝縮の紅が溶かれて、淡い色になる。このうつろいが魅力。(髙橋正子)
2月5日(2句)
★春一日すでに過ぎたり春立つ日/多田有花
立春の日も、気づけば、一日が終わっている。暦の上ながら春が来たと喜んでいる間も、一日ははや過ぎている。時の流れを思う。(髙橋正子)
★春の月甍を黒く照らしおり/友田 修
春の月が屋根を照らし、明るい月に甍は黒く光を返している。落ち着いた構図が、俳句の内容とよく合っている。(髙橋正子)
2月4日(1句)
★立春の雪に静まる入江かな/廣田洋一
浮世絵に見るような入江の景色。雪に静まる入江ながら、立春の明るさが立ち上っている印象を受ける。(髙橋正子)
2月3日(1句)
★柊を挿す夕映えの浅間山/小口泰與
節分の鬼除けの柊を挿していると、夕映えの浅間山が目に入った。浅間山の夕映えの向こうに、たしかに春が来ていると思える。(髙橋正子)
2月2日(1句)
★留守家の電話鳴り居り日脚が伸ぶ/桑本栄太郎
留守の家の前を通りかかると、家内の電話が鳴っている。電話も鳴りっぱなし。日脚が伸び、人はいろいろ用事で出かけているのだろう。面白い場面を句に詠んでいる。(髙橋正子)
2月1日(1句)
★赤福を土産に二月礼者かな/廣田洋一
正月でなく、余裕のできた二月に赤福を提げて、忘れずきてくれた人に、思わず笑みが浮かぶ。ゆっくりといい時間が過ごせたことと思う。(髙橋正子)

2月1日~10日

2月10日(4名)
小口泰與
風韻の川辺の里や枝垂梅★★★
春雪や静寂を破るブレーキ音★★★
奥利根の細川(ほそ)の流や蕗の薹★★★★
廣田洋一
駆けまわる園児の声や下萌ゆる★★★
遊水地の土手の広がり下萌ゆる★★★
下萌えや富士は遠くに白かりき★★★★
桑本栄太郎
さざ波の池に皺立て風光る★★★
紅梅の三分が良けれ梅ひらく★★★★
紅梅の咲き具合によって、趣が違ってくる。三分ほど開いた紅梅はと言えば、
紅も濃く、わずかに開いた花がかわいらしい。(髙橋正子)
永き日やひと眠り後の西の空★★★
多田有花
春中に使いきりたしこのボールペン★★★
カントリー聞きつつ春の出勤日★★★★
カノン弾く手首やわらか春淡し★★★
2月9日(4名)
小口泰與
学食の椀に茶柱朧月★★★
味噌汁の湯気馥郁と海苔二枚★★★★
味噌汁と海苔。新海苔ならば風味はいっそうで、味噌汁の香りとともに、春寒の朝には、体が温まり、気持ちが落ち着き、ありがたい朝食。海苔二枚もいい。(髙橋正子)
春光や縄文土器の諏訪平★★★
廣田洋一
公園に目白を呼びし梅の花★★★
ほつほつと空に色付け梅の花★★★★
親の年超えたる春や忌を修す★★★
多田有花
決算を済ませて帰る春の夜★★★
ほのぼのと夜明けの空や雉子啼く★★★★
わが声を聞いて驚く春の昼★★★
桑本栄太郎
うららかや幼児こつくり自転車に★★★★
春日さす天の遠くにヘリコプター★★★
小さくとも目元ぱつちり犬ふぐり★★★
2月8日(4名)
小口泰與
冴返る心の淵を隠しける★★★
伏流の水湧き出づや蕗の薹★★★★
清らかな伏流水とさみどりの蕗の薹の取り合せに、早春の清らかさが読み取れて、読むものも嬉しい。(髙橋正子)
節くれの手に刻みけり遍路道★★★
廣田洋一
園児らの行列なして梅見かな★★★
富士を背に畦道黒き梅見かな★★★★
梅見のころの畦道は、雨で湿って黒々としている。その実感がいい。遠望の富士が梅見の景色をひろびろとさせている。(髙橋正子)
色を愛で香りを愛でる梅見かな★★★
多田有花
あけぼのの早春の空見上げおり★★★
断食で心身整え冴え返る★★★★
節忌の土に明るき日差しかな★★★
桑本栄太郎
ベスト着る犬の散歩や春遅し★★★
ビル風の吹き抜け通る春寒し★★★
まんさくの枯葉に埋もれつぼみけり★★★★
2月7日(3名)
小口泰與
早春の忍び寄り来る夕間暮れ★★★
春寒や踏切の鳴る足尾線★★★
薄氷は田の花なれや鳥の声★★★★
廣田洋一
料峭や足踏みしながらバスを待ち★★★
春寒し雨に混じりて白きもの★★★
春寒の庭に湯気立て露天風呂★★★★
桑本栄太郎
ビル風の素通りしたる春寒し★★★
ベスト着る犬の散歩の余寒かな★★★
春日さす散歩眩しきつばきの葉(原句)
春の日の散歩眩しきつばきの葉★★★★(正子添削)
春の日に散歩をすると、つやつやとした葉が茂る椿に出会う。蕾はまだ固いが、眩しく光る椿の葉に春の光を感じる。(髙橋正子)
2月6日(5名)
小口泰與
春寒の雲のあわいに浅間山★★★★
仰向けに椿落けり池真中★★★
病院のロービーの椅子や春浅し★★★
廣田洋一
春寒や車窓に見ゆる白き峰★★★
特急列車席まばらにて春寒し★★★★
母親の命日近し寒の明★★★
多田有花
穏やかなジャズを流して寒もどり★★★
大根の浅漬けかりぽり冴え返る★★★★
失せしものに婚礼箪笥春の雪★★★
桑本栄太郎
さざ波の走り歌うよ春の池★★★
山肌の陰影しるき春の朝★★★★
のぼり旗はためき居りて春きざす★★★
川名ますみ
隣家より鉢のすみれと蒸かし芋★★★★
梅つぼみ窓の向こうに指さす人★★★
紅梅の莟ふくらむほど淡き★★★★
紅梅の莟は濃い紅色。膨らむにつれ、そのままの紅ではなく、凝縮の紅が溶かれて、淡い色になる。このうつろいが魅力。(髙橋正子)
 
2月5日(5名)
廣田洋一
眺め良き席を選びぬ梅見茶屋★★★
香り良き木を取り囲む梅見かな★★★★
春寒に五輪の幕の上がりたる★★★
小口泰與
老犬に合わす散歩の余寒かな★★★
畑を打つ山のあわいに日は沈む★★★★
淡雪や生徒二人の分教場★★★
多田有花
春一日すでに過ぎたり春立つ日★★★★
立春の日も、気づけば、一日が終わっている。暦の上ながら春が来たと喜んでいる間も、一日ははや過ぎている。時の流れを思う。(髙橋正子)
寒明けを名ばかりとして風荒れる★★★
窓をうつ春北風の音なお激し★★★
桑本栄太郎
一歩二歩散歩に向かう春日かな★★★
妻化粧う役者のように春立てり(原句)
春立てり役者のように妻化粧う★★★★(正子添削)
料峭の風の田道や大原野★★★
友田修
立春の川面膨らむ光かな★★★
垣根越しほのかに覗く梅の花★★★★
春の月甍を黒く照らしおり★★★★
春の月が屋根を照らし、明るい月に甍は黒く光を返している。落ち着いた構図が、俳句の内容とよく合っている。(髙橋正子)
2月4日(4名)
小口泰與
早春や日はあわあわと利根河原★★★
春浅し浅間へ落ちる日の淡し★★★
遠山の残雪風を育てそめ★★★★
多田有花
節分や豆の代わりにナッツ食ぶ★★★
スケジュール次々埋まり春立つ日★★★
立春や試験に向かう人送る★★★
廣田洋一
立春や夜明けとともに晴上り★★★
立春の雪に静まる入江かな★★★★
浮世絵に見るような入江の景色。雪に静まる入江ながら、立春の明るさが立ち上っている印象を受ける。(髙橋正子)
門前にすっくと立ちし黄水仙★★★
桑本栄太郎
堰水の煌めき落つや春立ちぬ★★★★
川風の下方に吹きぬ春寒し★★★
春立つや目玉品買うスーパーに★★★
2月3日(3名)
小口泰與
風の門扉に柊を挿しにけり★★★
大利根を奮い立たせし寒の月★★★
柊を挿す夕映えの浅間山★★★★
節分の鬼除けの柊を挿していると、夕映えの浅間山が目に入った。浅間山の夕映えの向こうに、たしかに春が来ていると思える。(髙橋正子)
廣田洋一
子のフード広げる父や節分会★★★
節分の豆を加へて旅立ちぬ★★★
節分会終えて潜れる茅の輪かな★★★★
桑本栄太郎
大根の畑に刺すかに残りけり★★★
溝川の優しく歌い春きざす★★★
紅梅の陽を溜め居りぬ屋敷畑★★★★
2月2日(3名)
小口泰與
年をへし寒紅梅や分教場★★★★
碧落の奇岩の山へ鷹一つ★★★
古き家に老夫婦のみ冬の虹★★★
廣田 洋一
団栗の枝切り落とし寒々し★★★
小公園手軽に済ます梅見かな★★★
誘ひ合ひ城門くぐる梅見かな★★★★
桑本栄太郎
二ン月の雲影走る山の膚★★★
留守家の電話鳴り居り日脚が伸ぶ★★★★
留守の家の前を通りかかると、家内の電話が鳴っている。電話も鳴りっぱなし。日脚が伸び、人はいろいろ用事で出かけているのだろう。面白い場面を句に詠んでいる。(髙橋正子)
あじさいの枯れしままなり二月入る★★★
2月1日(5名)
小口泰與
飽食の山羊冬草を目におさむ(原句)
食べ足りし山羊冬草を目におさむ★★★★(正子添削)
利根川の数多の細川(ほそ)や雪景色★★★
朴の秀の雀吹かれて春隣★★★
廣田洋一
赤福を土産に二月礼者かな★★★★
正月でなく、余裕のできた二月に赤福を提げて、忘れずきてくれた人に、思わず笑みが浮かぶ。ゆっくりといい時間が過ごせたことと思う。(髙橋正子)
マント着て手提げ鞄の翁かな★★★
ゆったりと立ち上がりたるマント人★★★
多田有花
長き冬ひたすら咲き継ぎ山茶花よ★★★★
時雨降る中を着きおり救急車★★★
聞きなれぬ自分の声を聞きし寒★★★
桑本栄太郎
二ン月の水色空を見て歩く★★★
パンジーの花壇明るき小学校★★★★
坂道をつづらに登る冬日かな★★★
友田修
大寒を超えて膨らむ日の光★★★
陽だまりを選びて辿る冬散歩★★★
赤芽垣つつつと隠る雀の子★★★★

自由な投句箱/1月21日~31日

※当季雑詠3句(冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
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今日の秀句/1月21日~31日

1月31日(1句)
★大寒の声透き通るコンサート/廣田洋一
大寒の空気はより緊張して、音をよく響かせる感じがする。コンサートの歌声も、透き通り、聞く人の心に沁みとおってくる。(髙橋正子)
1月30日(2句)
★ほの暗き竹林の奥笹子鳴く/廣田 洋一
笹子の鳴く声が聞こえる。どこからかと思えば、ほの暗い竹林の奥のほうから。竹林のほの暗さに、隠れ鳴くような笹子の声に春が待たれる。(高橋正子)
★寒梅や柾目はっきり長廊下/小口泰與
庭に寒梅が咲き、家に柾目の長廊下が一本通っている。日差しが注いで、廊下の板の柾目がはっきりと見える。家の南面の景色が冬日に暖かそうだ。(髙橋正子)
1月29日(1句)
★蝋梅のうすく透けたる青き空/桑本栄太郎
蝋梅はまず花が咲いてのちに葉が出る。蝋のように透けた花と、青空の取り合せが、ややマンネリ感はあるものの、きれいな景色を作っている。(髙橋正子)
1月28日(1句)
★川の鯉大きく動き春近し/廣田 洋一
日脚が伸び、川面があかるくなると、川を覗いてみたくなる。寒い日には動きも鈍かった鯉が大きく動いている。鯉の大きな動きを見るにつけ、春が近いことを思う。春はそこまで来ている。(髙橋正子)
1月27日(1句)
★谷あいのつぼみ固きや梅探る/桑本栄太郎
探梅と言えば、思いつくのは谷あいからだ。出かけてみれば、まだ蕾は固い。
蕾の固さを確かめて、次の探梅の日が楽しみになる。普通の生活にある楽しみだ。(髙橋正子)
1月26日(1句)
★土くれの白き田面や日脚伸ぶ/桑本栄太郎
掘り起こされた後の土塊か、乾いて白くなっているが、陽光が明るくなり、日脚が伸びると、春を待つ気持ちが逸る。(髙橋正子)
1月25日(1句)
★笹鳴や起重機車両通過せる/小口泰與
起重機などの工事車両が通る道は、造成工事の道であったり、傍に藪があることが多いが、そんな場所であろう。笹鳴が聞こえる。現場の様子が目に浮かぶ。(髙橋正子)
1月24日(1句)
★ワクチンの接種終えたり冬入日/桑本栄太郎
ワクチンを接種して安心を得たい。接種した安堵感と、けれどやはり、一抹の不安も。その気持ちを冬の入日が物語っている。(髙橋正子)
1月23日(1句)
★ジーパンの洗い晒しや春近し/小口泰與
真冬ならジーパンをはくときの冷たさを思い切り感じるが、洗い晒しの、ちょっときつめのジーパンがほどよく心地よい。楽しい春が近いことを思う。(髙橋正子)
1月22日(1句)
★白菜を収穫している遠き畑/多田有花
白菜畑が続くのだろう。遠目にも白菜を収穫している所作がわかる。農家は今白菜の収穫の真っ最中。(髙橋正子)
1月21日(1句)
★何もなき畑うるほす仏の座/廣田 洋一
畑に作物が育っているのはうれしいものだが、何もない畑に今仏の座が元気よく育っている。畑の力、地の力が仏の座を育て、潤いのある畑の姿なのだ。(髙橋正子)

1月21日~31日

1月31日(4名)
小口泰與
春近し芝の醜草始末せり★★★
頬杖を解くや眼間寒鴉★★★
雪浅間吠ゆや田畑の砂煙★★★
廣田洋一
大寒の声透き通るコンサート★★★★
大寒の空気はより緊張して、音をよく響かせる感じがする。コンサートの歌声も、透き通り、聞く人の心に沁みとおってくる。(髙橋正子)
大寒や唄と踊りのコンサート★★★
明星の輝く空に冬三日月★★★
多田有花
一月尽く飛び去る月日を追いかけぬ★★★
寒晴れや光の波がわが家にも★★★
ボイスレコーダー使ってみたり春隣★★★
桑本栄太郎
巣ごもりの妻の勘気や底冷えす★★★
日脚伸ぶベンツに乗りて菜園に★★★
我が故郷(さと)に天日卵とや寒卵★★★
1月30日(4名)
廣田 洋一
ほの暗き竹林の奥笹子鳴く★★★★
笹子の鳴く声が聞こえる。どこからかと思えば、ほの暗い竹林の奥のほうから。竹林のほの暗さに、隠れ鳴くような笹子の声に春が待たれる。(高橋正子)
鎌倉のそぞろ歩きや笹子鳴く★★★
葉牡丹の渦のばらけて咲きにけり★★★
小口泰與
寒梅や柾目はっきり長廊下★★★★
庭に寒梅が咲き、家に柾目の長廊下が一本通っている。日差しが注いで、廊下の板の柾目がはっきりと見える。家の南面の景色が冬日に暖かそうだ。(髙橋正子)
浜っ子の下仁田葱を褒め称ふ★★★
群雀枯木賑わすほしいまま★★★
桑本栄太郎
寒風の頬に額に田道行く★★★
さざ波のたぷたぷ岸に寒の風★★★★
寒晴れや何処か遠くにヘリの音★★★
多田有花
甘くない小豆のレシピ試す寒★★★
運転によきは短きジャケットよ★★★
亡き人の旅の土産のペルシャ絨毯★★★★
1月29日(4名)
廣田 洋一
植物図鑑ページ繰りつつ春を待つ★★★★
ベランダに蒲団干されて日の恵み★★★
よし行くぞ一声かけて蒲団出づ★★★
小口泰與
寒風や峠の邑の何でも屋★★★
消防車埃に噎ぶ畷径★★★
里山や手に掬びたる寒の水★★★★
多田有花
寒厨オリーブオイルの固まりぬ★★★
人参をゆっくり炒めて出る甘さ★★★
平飼いのものを求めし寒卵★★★
桑本栄太郎
早梅や白壁民家の里の庭★★★
蝋梅のうすく透けたる青き空★★★★
蝋梅はまず花が咲いてのちに葉が出る。蝋のように透けた花と、青空の取り合せが、ややマンネリ感はあるものの、きれいな景色を作っている。(髙橋正子)
枯草の岸辺を被う瀬音かな★★★
1月28日(3名) 
小口泰與
悴むや納戸に据える酒の樽★★★
窓に風花人通り途絶えける(原句)
人通り途絶えて窓に風花す★★★★(正子添削)
山風の真只中に麦を撒く★★★
廣田 洋一
静まりし小路を散歩春近し★★★
春近し机の抽斗整理して★★★
川の鯉大きく動き春近し★★★★
日脚が伸び、川面があかるくなると、川を覗いてみたくなる。寒い日には動きも鈍かった鯉が大きく動いている。鯉の大きな動きを見るにつけ、春が近いことを思う。春はそこまで来ている。(髙橋正子)
桑本栄太郎
雲途切れ天使のはしご日脚伸ぶ★★★
日脚伸ぶベンツ停まりぬ菜園に★★★
さざ波へ番の水脈や春隣★★★★
1月27日(4名)
小口泰與
やま吠えて忽と風花吹き出しぬ★★★
黒猫の眦あぐや寒鴉★★★
五つ六つ砂浴びの穴寒雀★★★★
廣田洋一
日溜りに身体寄せ合ふ寒雀★★★
ひょいと来てさつと飛び立つ寒雀★★★★
新しき庭の片隅寒薔薇★★★
多田有花
窓を拭く人のありけり春近し★★★★
一日に一つの日課冬林檎★★★
人参も牛蒡も千切りきんぴらに★★★
桑本栄太郎
谷あいのつぼみ固きや梅探る★★★★
探梅と言えば、思いつくのは谷あいからだ。出かけてみれば、まだ蕾は固い。
蕾の固さを確かめて、次の探梅の日が楽しみになる。普通の生活にある楽しみだ。(髙橋正子)
群れ下りて野菜ついばむ冬の鵯★★★
蝋梅の日を溜め開く軒端かな★★★
1月26日(4名)
小口泰與
手水舎へ波紋広ぐや寒椿(原句)
「手水舎へ波紋を広げる」のは「椿」と読めますがそういうことでしょうか。
(髙橋正子)
手水舎の水の波紋や寒椿★★★★(正子添削)
春近し浅間へ没日近寄らぬ★★★
一列に登校の子ら冬の雁★★★
廣田 洋一
白菜の横たへられし畑かな★★★
白菜の尻を揃へて売られけり★★★★
底冷えや京の座敷を思ひ出し★★★
多田有花
風呂上り喉を潤す寒の水★★★
起き抜けに飲むもまたよし寒の水★★★
冬深しヘッドホンの音深し★★★★
桑本栄太郎
土くれの白き田面や日脚伸ぶ★★★★
掘り起こされた後の土塊か、乾いて白くなっているが、陽光が明るくなり、日脚が伸びると、春を待つ気持ちが逸る。(髙橋正子)
日脚伸ぶ田面を辿る路線バス★★★
看板の南茶屋とや冬うらら★★★
1月25日(4名)
小口泰與
寒鯉に太棹の鈴鳴りにけり★★★
笹鳴や起重機車両通過せる★★★★
起重機などの工事車両が通る道は、造成工事の道であったり、傍に藪があることが多いが、そんな場所であろう。笹鳴が聞こえる。現場の様子が目に浮かぶ。(髙橋正子)
風花の舞いくる里の分教場★★★
廣田 洋一
凍蝶にひよいと出くはす畔の道★★★★
子ら遊ぶ園の片隅冬菫★★★
朝一つ二人で分ける寒卵★★★
多田有花
寒の雨あがれば少し風の出て★★★
どんな夢も目覚めれば布団の中★★★
ひとり弾く電子ピアノや冬の夜★★★★
桑本栄太郎
日脚伸ぶ白き銀杏の梢かな★★★
屈みこむ畦の中なり犬ふぐり★★★
日脚伸ぶ虚像あかるきカーブミラー★★★★
 
1月24日(4名)
小口泰與
蝋梅の虜となるや里の風★★★
砂浴びの穴の五六個寒雀★★★
ひと筋の没日に映ゆや小白鳥★★★★
廣田洋一
松過ぎの松の小枝の青々と★★★★
松過ぎて鎌倉殿の十三人★★★
日溜りにゆったりとまる冬の蝶★★★
多田有花
いつとなく降り出しており寒の雨★★★★
テーブルの下を拭き上げ寒土用★★★
出勤する人の足音寒暁に★★★
桑本栄太郎
コロナ菌のような形や花八手★★★
寒木瓜の雨に滴やうすき紅★★★
ワクチンの接種終えたり冬入日★★★★
ワクチンを接種して安心を得たい。接種した安堵感と、けれどやはり、一抹の不安も。その気持ちを冬の入日が物語っている。(髙橋正子)
1月23日(4名)
小口泰與
山からの風の狼藉寒牡丹★★★
正面の白き浅間や寒紅梅★★★
ジーパンの洗い晒しや春近し★★★★
真冬ならジーパンをはくときの冷たさを思い切り感じるが、洗い晒しの、ちょっときつめのジーパンがほどよく心地よい。楽しい春が近いことを思う。(髙橋正子)
廣田 洋一
枯畑の一画青く小麦の芽★★★★
減反に逆らひ伸びる小麦の芽★★★
悴みし手にて包みし紙コップ★★★
多田有花
寒ゆるみ掃除機の音にぎやかに★★★★
日脚伸ぶ路地に響きし子らの声★★★
冬深し夜明けの少し早くなる★★★
桑本栄太郎
<ふるさと追憶二句>
海鳴りの風を聞き居り干大根★★★
藁屋根の軒の深さや懸大根★★★
時雨るるや歩み行くほど本降りに★★★★
1月22日(5名)
廣田 洋一
万両の実の連なれり通学路★★★
日溜りや万両の実のつやつやと★★★
一枝に一枚残る枯葉かな★★★
小口泰與
日脚伸ぶ雀の集う水たまり★★★
寒犬や砂塵舞いあぐ畷道★★★
探梅や降りたつ駅は無人駅★★★★
多田有花
あらうれし飛び跳ね吠えて雪の犬★★★
白菜を収穫している遠き畑★★★★
白菜畑が続くのだろう。遠目にも白菜を収穫している所作がわかる。農家は今白菜の収穫の真っ最中。(髙橋正子)
日差し受け稜線の木々春を待つ★★★
桑本栄太郎
凍晴れの石に躓く田道かな★★★
寒晴れの田面を辿る路線バス★★★
どの家も斎藤姓や寒晴るる★★★
友田修
道々の大寒を見る散歩かな★★★
「道々の大寒」のところは、抽象的なので、俳句では、ここを具体的に物で表して述べることが推奨されます。具体的には何が印象にのこったのでしょうか。(髙橋正子)
大寒の朝に鋭くカラス飛ぶ★★★
水仙と雨音を聞く冬座敷(原句)
「水仙」は、冬の季語で、「冬座敷」も冬の季語ですので、季語は原則、一句に一つにします。(髙橋正子)
活けられし水仙と聞く雨の音★★★★(正子添削①)
水仙の香に雨音を聞く座敷★★★★(正子添削②)
1月21日(4名)
小口泰與
仲今の老の活力冬の虹★★★
寒梅や山風土間に居座りし★★★
青青と松の貫禄瀬戸火鉢★★★
廣田 洋一
何もなき畑うるほす仏の座★★★★
畑に作物が育っているのはうれしいものだが、何もない畑に今仏の座が元気よく育っている。畑の力、地の力が仏の座を育て、潤いのある姿なのだ。(髙橋正子)
夜明け前冴ゆる星空広がりぬ★★★
大寒の月を仰げる夜明け前★★★
多田有花
驚くや大寒の陽の明るさに★★★
ぬるま湯でフロントガラスの凍てをとる★★★
雪はらはらやがて朝日の差し来るを★★★
桑本栄太郎
降る雪の頻りに落つや消えゆきぬ★★★
晴れいても又も降りだす今朝の雪★★★
ちょんちょんと胸毛ふくれて寒すずめ★★★

自由な投句箱/2022年1月11日~20 日

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※投句は、一日1回3句に限ります。
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代表:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/1月11日~20日

1月20日(1句)
★風花にリフトを待って乳母車/廣田洋一
風花が舞うのに乳母車に子を載せてリフトを待っている、アウトドアの好きな親子と見受ける。東京の高尾山には、ベンチのような親子で乗れるリフトがあるが、そんなリフトが思い浮かぶ。(髙橋正子)
1月19日(1句)
★凍晴れや児童集まり登校に/桑本栄太郎
凍てつくような朝もよく晴れて、家々から児童が集まって、集まったところで登校する。よく見かける光景だが、凍晴れの空の下の子供たちへのまなざしの優しさがいい。(髙橋正子)
1月18日(2句)
★亀甲の結城紬や春近し/小口泰與
結城紬の温かみのある織、亀甲の目出度い結城紬特有の織柄に、それを身に着けている、おそらく奥さんなのでしょうが、はっと思わせた「春近し」の感じ。しっとりした華やぎがいい。(髙橋正子)
★冬満月低く畑を照らしおり/友田  修
「低く」がいい。冬満月が昇ったばかりのところ。大きな満月が低くから畑を照らす光は、厳しい寒さに研ぎ澄まされている。(髙橋正子)
1月17日(1句)
★くいくいと上向く枝の冬芽かな/桑本栄太郎
よく見れば、冬芽は、懸命に、くいくいと上へと向かう勢いがある。自信満々に見える幼子に重なる冬芽の姿。(髙橋正子)
1月16日(1句)
★凍晴の今朝の山肌縮むかに/桑本栄太郎
「凍晴」は、凍りつくような寒さの中の快晴。凍てつく寒さに、山肌が身を縮めるかのような厳しい姿を見せている。見る者の気持ちが重なっているのはもちろんだろう。(髙橋正子)
1月15日(1句)
★いつもの電車いつもの橋や日脚伸ぶ/廣田 洋一
1月も鏡開きのころになると、日脚がのびて、景色が明るくなってくる。生活も日常にもどり、いつもの電車に乗り、いつもの橋を渡って、仕事や買い物に出かける。日常の落ち着きやのどかさが明るく詠まれている。(髙橋正子)
1月14日(1句)
★葱の香の三和土にみつる山家かな/小口泰與
冬の葱は甘味がまして、特有の葱の匂いが鼻につんと来る。畑から抜いてきた葱を三和土に持ち込むと、夕餉のお菜になるのだろう、三和土は葱の匂いでいっぱいになる。山家の暮らしが見える句。(髙橋正子)
1月13日(1句)
★昼半月桜冬芽の上にあり/多田有花
白い昼の半月。桜はまだ冬芽。この二つは、やがて輝く満月に、満開の桜になる。そんなイメージを秘めて、今も十分美しい。(髙橋正子)
1月12日(1句)
★寒の海きらきらはねる水平線/廣田 洋一
水平線は一線がまっすぐ引かれているのが普通だが、寒の海の水平線は、きらきらひかって、光がはねている。画に描いたような、きらきらと、また、ぴちぴちと跳ねる面白い,生きもののような水平線だ。寒中の光は意外にも強い。(髙橋正子)
1月11日(1句)
★銀世界水仙色を濃くしたり/廣田洋一
一面の雪の世界。水仙の葉の色も濃く、花も凛立っている。雪の中の水仙が清らかでいて、力強い。(髙橋正子)