炬燵/11月2日(日)

俳句
炬燵だし炬燵布団のすがすがし
鶺鴒の吹かれてカギに飛ぶことも
晩秋の香の染みたる文庫本

晴れ。
○午後、無印へ炬燵セットを買いに出かける。11月4日までは、配達料が無料となる。65cmのを買う。6日の配達となる。夕方は、信之先生の炬燵を出す。もう炬燵がいる時期となった。

○富有柿が熟れごろになった。柿は富有柿。
柿は木に固く冷えたる富有柿

花冠スタッフ吟行/11月1日(土)

俳句
外苑の松それぞれに冬近し
噴水の止むと波寄る秋の水
暮れかかりみどり明るき榠樝の実
噴水のしぶきに透けて銀杏黄葉
夕月の下位にかかれる黄落期
ユリノキの黄葉都心の大空に
黄落の路はますぐに東京駅
流水のごとくに吹かれ秋柳
柿の実の四角は柿の花の跡
開きいし手帖の落葉かさと落つ
冬近き雲の淡さを電車より
花籠を掛けし街路の秋深し
紅葉かつ散りたる音の中空に

晴れ
朝の冷たい風に驚く。木枯し1号だそうだ。吟行にマフラーを巻いて出かける。

○今日の吟行は、出光美術館の東西陶磁交流展。皇居外苑、和田倉噴水公園、新丸ビル、東京駅。美術館を出てからは、祝田橋のところから入り外苑を散歩。休憩場所を探しつつゆくと、和田倉噴水公園があって、そこのひと隅に陣取り、休憩。愛代さんのお稲荷のお弁当をいただく。蜜柑、ウーロン茶など持参したもので、昼食を済まし、新丸ビルの5Fのフランツクラブで、ビール、ソーセージ、パンの食事。帰りは4Fまでエスカレーターでお店を見ながら降りる。小さい店がたくさんある。

○陶磁展は、東西陶磁の交流のあとがよくわかっておもしろかった。柿右衛門がマイセンに与えた影響もはっきりと見た。マイセンもよく柿右衛門を真似たものだと、感嘆する。

○噴水公園のレストランのある建物は、丹下健三の設計であるとのこと。
今日の噴水は、背景に銀杏黄葉があって、しぶきが特に綺麗に見れた。

○帰宅は、4時半で、夕月が懸かっていた。電車の人混みに少々疲れたので、解凍した鰤のあらと牛蒡を炊いて、一品だけの夕食とする。

10月30日(木)

俳句

○晴れ
○髪をカットに。空いていたので、横浜まで足を延ばし、鳩居堂とそごうまで。
文庫版手帖を5冊と、葉書、来年の干支の高山の張子の丑を買う。そごうでは、食器売り場の探索。正月を控えて、和食器が多く出されている。一つティーセットを持つとしたら、なにがよいかいろいろと見てあるく。ロイヤルコペンハーゲンがいいかな、といつもそこに落ち着く。

10月27日(月)

俳句

晴れ
○パソコンに残している原稿をバックアップしようとしたが、不具合でできなかった。CDROMに残す方法もあるが、ブログにアップするのもいいのかも。ヤフーメールの自分宛に送っておいて、それを検索して引き出す方法もあるとか。いまや、分類ではなく、検索の時代に入ったらしい。それもグーグルの成功にあるようだ。

10月26日(日)

俳句

くもり、小雨。
○句集「花影」を和子さん宛てに午前中、夕方同人のみなさんへクロネコ便で発送。

○荘二さんの句集の初校ゲラが、昨日の花影の荷に入っていたので、今日初校を済ませた。表紙のシーグリーンがいい色に仕上がっている。製本されても大丈夫だろう。

○11月1日(土)を事務局吟行と予定する。行き先は出光美術館と皇居外苑、東京駅ほか。土曜日、休暇をとった。

「片す」/10月25日(土)

俳句

晴れ。
○小川和子句集「花影」が夕方届く。表紙の色と句集名とがよく合っている。

○高知産の今だけしかでまわらない四方竹の筍を煮る。八百屋の80はとおに越えているおばあさんに勧められたが、大変美味。これを買ったので、おばあさんは上機嫌でした。レジではなく、私がそろばんを弾いてあげるとも。ほかに買い物があったので、そろばんで計算はしてもらわなかったが、次はそろばんを弾いてもらおう。

○こちらに来て「片せる」とよくいう女性がいる。その女性が話すのしか聞いたことがないので、方言かと思っていた。物を別の場所に移動させておくこと。片寄せること、片付けると辞書にある。今日、初めて男の人が言うのをきいたので、辞書で調べた。これまで、「片せる」と言う言葉を一度も使ったことがない。このような場合でも「片付ける」でとおっていた。辞書に、「片す」が他動詞サ行5段とある。例として「おもちゃを―・す」「其所を―・して盥(たれい)をあげろ/塩原多助一代記(円朝)」があった。

「片せる」は、どうなんだろう。
「飛ばす」を「飛ばせてごらん。」などというのと同じだろうと、信之先生。
「飛ばしてごらん。」とも使うだろう。「片せてくるからね。」は、「片してくるからね。」とも使えそうだ。「し」が言いにくいからか。

10月24日(金)

俳句

○曇り。昨日の雨があがって、今朝は初冬のような景色。

○花冠句会の入賞発表準備。

○「花影」が明日かあさって、納入される予定。発送準備をする。

○光子さんの「能笛」のご友人の歌人からいただいた句集評を読ませていただく。よい読者がいてこその俳句を実感する。すばらしい句に対して、またすばらしい句集評である。

近代日本の巨匠展/日本民藝館10月23日(木)

俳句
ゆりの木の黄葉かるがる濠へ散り
 日本民藝館
秋雨の音もしずくも大甕に
大甕にむかえば雨と森の声

晴れのち雨

○大洲の治代さんから、出かけるちょうど前に、郷土料理のいもたきのセットが送られてくる。里芋と牛蒡は大洲の名産。夕食の献立を変更し、早速いただく。

○出光美術館の近代日本の巨匠展と、駒場の日本民藝館へ信之先生と。

小杉放庵がかなりあって、楽しむ。なんと、「さんたくろす」の絵もあり。帰り、放庵の「金時遊行」の絵葉書を買う。

仙の併設展も。出光のカレンダーをここ何十年も裕子さんに送ってもらっているので、見慣れたものも。

上村松園の「灯」。襟元のゆるみと、袖口に見える色合いが、やわらかさを出している。浅黄色の着物には紋が付いている。眉が剃ってあるので若妻であるが、どんな日のどんな場であろうかと思う。

佐伯祐三の踏み切りの絵。大正15年作。日本の風景は脆弱であるとする。物足りなさが鬱屈して画面に出たのか、鬱々とした色。電信柱、踏み切り、家の線がひ弱なのが風景。

平櫛田中の張果像。瓢箪からロバを出して、そのロバにのって走った仙人。ついでに、この田中の師西山禾山は、愛大俳句の仲間西山恭子さんの祖父である。

冨岡鉄斎。これまでの山水画より線が逞しく動きが自由闊達の印象。

陶芸では富本憲吉と板谷波山。憲吉は、砥部焼きの窯元にも数点あったので、馴染みがある。都市的であることは、簡明であることとも言えるのだそうだ。

陶磁器の破片を見る。中国青磁の色がいい。

○日本民藝館の初代館長は柳宗悦。二代は濱田庄司。同人作品に、庄司、憲吉、河井寛次郎、リーチほか、の展示がある。リーチのいわゆるリーチハンドルの小鹿田釉が気に入る。家に置きたい気持になった。そして彼の壷もよかった。

○井の頭線の東大駒場前を出たときには、雨になる。コンビニで傘を買い、民藝館へ行ったのも、心持おもしろかった。駒場は駒場。そこらに生えている雑草に、都会でないものがあるのが昔を語っている。

民藝館を去り、渋谷へ引き返し、東急のレストラン街へ遅い昼食。「四国」で、讃岐の生醤油海老うどんを注文。食べ方の説明をしてくれる男の子に、「わたしら四国人間ですよ」というと、にこにこ。男の子は東京人とのこと。反応を示す無邪気さが残っているのが若い東京人の救い。思惑がないのがよろしい。

○愛代さんか「人間国宝 濱田庄司展を見て」を寄稿してくれる。溝口の生家を訪ね当ててくれた。もとは、和菓子店だったが、今は洋菓子店になっているとのこと。

○22日の朝日夕刊に<「民芸」・日本デザイン>に脚光/パリの展覧会で柳宗悦・棟方志功など紹介 とあった。歴史的背景を評価し、パリで人気の無印の影響も大とある。2年前、エッフェル塔近くに開館した「ケ・ブランリ美術館」で展示されているとのこと。日本民藝館の150点余りが出展とある。民芸運動をより広い時代的、国際的な文脈で再認識する意図があるようだとする。