11月22日(月)

★冬泉手にやわらかに旅半ば  正子
旅中にあって、これまでの快い道程、穏やかな旅の心情など、手にふれる水のやわらかさを通してうかがえます。冬泉のほとりの明るく澄んだ情景に、この先への旅へと心もふくらみます。 (藤田洋子)

○今日の俳句
ペダル踏む籠に落葉とフランスパン/藤田洋子
専業主婦としての日常生活を詠んで、読み手も楽しませてくれる。季語「落葉」が効いて、生活の実感を伝えてくれる。(高橋正子)

11月21日(日)

 広島福山
★亥の子の子らまた坂道を上の家へ  正子
福山では亥の子の行事が行われているのですね。亥の子とは、陰暦十月の亥の日に行われる刈り上げの行事です。亥の子餅をついて祝います。子どもたちが縄をつけた石で地面をたたいたりして家々から餅をもらって回ります。その子どもたちの様子をいきいきと詠まれた句。 (多田有花)

○今日の俳句
一片の雲なき空よ波郷の忌/多田有花
波郷の忌日は、十一月二十一日。肺結核を病んだ波郷に、一片の雲もない空と空気が、何よりの手向けと感じられる。(高橋正子)

○花冠各賞の授賞式、インターネット俳句コンテストの表彰式、洋介さん句集上梓、それぞれの祝賀会を行う。新横浜の駅ビル10階のブラッスリー「ラ・クラス」で、午前11時から開催。大阪から河野啓一さんご夫妻、伊豆から安藤智久さん、成田から後藤あゆみさん、地元からは、洋介さんと宏さん、それに信之先生、句美子さんと私。授賞式はテーブルの席で行い、9名の人数で、宏さんの名司会で、お一人お一人と話すことができて、記念すべきよい会となった。「ラ・クラス」を2時に引き上げ、その後、近くの横浜国際ホテルのカフェに場所を移して、句評などをして、しばらく過ごし、3時すぎに解散。大阪から日帰りで来られた啓一さんご夫妻は、ホテルまで横浜のご子息とお孫さんが迎えに来ておられた。あゆみさんとは、途中までご一緒。みなさん遠方からこうして来ていただき、ありがたいことです。句美子さんは、会計、会場担当で、ご苦労さまでした。お疲れがでませんように。

また、開催にあたって、大洲の治代さんからお茶とタルト、恵子さんからは、ご主人のふるさと奄美のお酒、智久さんからはわさび漬け、洋介さんからはお祝いとお菓子、あゆみさんからは、みなさんにお手製の手編みマフラー(信之先生にはソックス)のプレゼントがあり、クリスマス前の楽しいサプライズでした。みなさまありがとうございました。

11月20日(土)

★聳え立つ枯木に空の青一枚  正子
真直ぐに立つ大きい木を想像します。よく晴れた青一枚の空に、来たるべき季節への力を蓄えているのでしょう。きっぱりとした冬の景色です。(黒谷光子)

○今日の俳句
麦の芽の畝くねりつつ交わらず/黒谷光子
麦の芽が黒い土に芽生えると、色彩的にもうつくしい。整然とした畑ではなく、畝もくねっているが、決して交わらない。真を得ている。(高橋正子)

11月19日(金)

★水鳥を見ていて一つが潜りけり  正子
これまで静かだった池が急に賑やかになる。渡り鳥の到来です。その泳ぎをゆっくりと眺めていると、急に一羽が首から水に潜る。その突然の変化、自然の営みが可笑しくまたいとおしく思われます。 (小西 宏)

○今日の俳句
欅立つ落葉きらめく陽の中に/小西 宏
情景がよく整理されている。陽を受けてきらめきながら散る落葉。その中心に黄葉した大きな欅の存在が示されている。(高橋正子)

11月18日(木)

 鎌倉・宝戒寺
★内陣のひがし明るき白障子  正子
内陣とは、本尊を安置する本堂のこととか。そのひがし側には白障子が設えられ、うす暗い本堂に明るさと清々しさをもたらしている様子が窺われるように思います。(小川和子)

○今日の俳句
 ソウル
風寒き河辺に立てば吾は旅人/小川和子
ソウルの河辺は特に風の寒さが身にしみる。寒さが旅の身であることを意識させる。(高橋正子)

○花冠各賞の授賞式、コンテストの表彰式、洋介さん句集出版祝賀会と一度に行うが、その準備が整った。当日荷を持ち運べはよいだけにしておいた。お祝いに治代さんからお茶、恵子さんから、奄美の焼酎が送られてくる。治代さんはお菓子を明日届くように送られたとのこと。啓一さんは、急に冷え込んだせいか、風邪ぎみの様子でいらっしゃるが。

○よい天気で、授賞式の準備も整ったので、近所の散歩に信之先生と出かけた。日吉本町5丁目の広い屋敷林を見たり、公園の紅葉を見るだけの予定だったが、ついに足を山の上の日吉本町6丁目、それに続く公団の立ち並ぶ下田町まで歩いた。下田町から日吉駅行きのバスに。日吉東急で、辛子明太子を買い、アイスクリームを食べて徒歩で帰宅。途中、桜紅葉が大分散ってしまった金蔵寺に寄る。アイスクリームの話だが、近頃は、ホワイトミルクバニラというのがある。ミルクは、白いと思っていたが、実はオフホワイトだったのだ。それが、今は、ホワイトミルク。これが流行のアイスクリームでおしゃれな色です。

○おととい朝吹英和さんから、第三句集「夏の鏃(やじり)」が送られていていたのを、一通り読む。俳人で角川賞を受賞されている仲寒蝉さんの解説が栞としてはさんである。朝吹俳句の解説としてもっとも同感できるものと感じた。朝吹さんは、写真もないし、職業も生活も全くわからないが、三句集とエッセイ集を送っていただいている。

○郵便局に行く途中、道路の向こう側で、お出かけ中の老婦人が転ぶ理由もないようなのに転んだ。なかなか起き上がれなくて倒れたまま。そばを通ったおじいさんは、「大丈夫ですか」と言って通りすぎただけ。道路を渡って起こしあげると、利き腕が下側になって、痛くて力がはいらないので起き上がれないとのこと。転んだ理由は、歩きながら、靴のつま先をとんとんと突いたせいだという。はずかしがっていたが、そんな話ではない。

11月17日(水)


★落葉ふる空の青さのどこまでも  正子
冬晴の日に仰ぐ落葉。朱や黄や様々な色の葉が降る、その上空は透徹していて、どこまで青空が続くのだろう、と想います。ふと天に届きそうな心地にもなります。 (川名ますみ)

○今日の俳句
一棟をきらきらと越す落葉風/川名ますみ
落葉を連れて風がマンションの一棟を越えていった。きらきら光るのは、落葉も、風も。明るく、高みのある句だ。(高橋正子)

11月14日(日)

★鴨泛かぶ池の青さのまっ平ら  正子

○今日の俳句
石蕗の花海に落ちゆくゆるき坂/成川寿美代
石蕗の花と海の色彩が美しい。海へと下るゆるい坂を歩きながら、気持ちが広く、ゆるやかに景色に溶け込んでいるのがよい。(高橋正子)

○ネット通信NO.84を出す。
花冠1月号の校正の案内。21日の花冠各賞授賞式・祝賀会の案内など。

○別府市の倉田紘文先生主宰の「蕗」の「俳誌巡礼」に「オンライン版花冠12月号」が紹介される。紹介くださったのは、蕗同人で、同人誌「少年」主宰の稲田眸子氏。オンライン版を1ページ全部使って丁寧に紹介いただく。稲田眸子氏は、愛媛生まれで、現在埼玉県三郷市に在住。1954年生まれ。

11月13日(土)

★枯草を踏みおり人に離れおり  正子

○今日の俳句
木枯しや対岸の灯の明らかに/小口泰與
木枯しが吹くと、空気中の塵が吹き払われて空気が澄んでくる。対岸の灯が「明らかに」なる。この灯の美しさに、人は魂のふるさとを思いみるだろう。(高橋正子)

○京成線の青砥駅近くに住む長男の社宅を信之先生と訪ねる。持参したのは、鯛めし、筑前煮、小さな串かつ、ささみと茗荷のレタスサラダ。それに、手焼きのクッキーと林檎。2時間ほど食事をして帰る。帰り道、青砥駅近くの杉戸せんべい店に寄る。おかきなど買って帰る。食してみれば、意外とおいしい。店の隅で、できたばかりの海苔巻きせんべいを手作業で袋詰めしていたので、普通のせんべい屋さんかと思いきや、ネットで検索すると、下町のせんべい屋として有名で、通販もある。とくに揚げおかきが有名らしい。通販は12月1月とお休みとのこと。200種類のほどせんべいがある。

○青砥まで日吉本町から2時間以上かかった。日吉本町→日吉→目黒→日暮里→青砥
日暮里を出ると、下町の風景。日暮里から二十分ほどで青砥に着くが、自宅から延々辿った感じであった。